星王が異世界から来るそうですよ?【修正中】   作:きのこの山親衛隊

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遅くなりました。
少し路線変更をしていまして……

シリアス成分は薄めで行くかもしれません。


どうやらことが穏便に済んだそうですよ!

 

 

 

 

 

────まずは、速攻!

 

 目の前の相手が誰かも確認することなしにキリトは突進する。もとよりゲーム内容からして立っている相手など分かりきったものだった。

 

「やれやれ、いきなり突撃とは。

 キリトくんも随分性格が変わったそうだね。それとも何か焦っているのか?」

 

 冷徹な目でキリトに視線を合わせた目の前の騎士は即座に盾で二刀を弾く。

 弾かれた瞬間、キリトは即座に空中で一回転し地上へと降り立った。

 

────おかしい、あの盾捌き。どこかで見たような

 

 

ザザッザザザザッッ

 

 

 頭に耐え難い痛みがはしる。このような経験は何百年もアンダーワールドにいた生活のなかでこのような経験は一度もなかった。それは一層キリトを困惑させる。

 目の前の騎士が剣を構え直したのを見てキリトもその思考を中断した。

 

「頭が痛むのか?いや、そうではないだろうか。

 ……ふむ。なるほど、そういうことなのか」

 

 敵に心配されるという世にも珍しい経験を成し遂げたキリトは剣を構え直す。

 

「そんなことはどうでもいい。俺はあんたの敵。それでいいだろう」

 

 刹那、凄まじい殺気が溢れ出す。相手の騎士はそれをこともなさげに受け流しながら自然体を保っている。

 静まり返る戦場。何も聞こえず、誰も話さない。ふとしたことで戦端が開かれそうな緊張した時間。

 

 

   ザザザザッザザ────ッ

 

 

「ああ、私たちは常にそうだったな」

 

 その言葉を皮切りにして両者が動き出す。

 激突した二者は弾かれるようにして互いに距離を置く。そして、また動き出す。キリトは後ろから回り込むように一瞬で騎士の視界から消え失せる。だが、目の前の騎士は背後から迫り来る凶刃を見ることもせずに受け流した。

 

「忘れているのかい、キリトくん。私は天才なのだよ」

 

 それはキリトの行動を予測したということだろうか。いや、事実そうなのだろう。目の前の騎士は理由もなしに嘘をつくような性格をしていない。

 舌打ちする。自分の行動を読まれているのならさらにその裏を突くまで。

 

 キリトは体を鞭のようにしならせて一撃を放つ。秘奥義は使わない。それは目の前の騎士が設計したものなのだから。

 だが、その一撃も彼ほどの達人とまでなると音速を超えた超高速の一撃となる。

 

 刃が交錯し、閃光がほとばしる。

 それは基本に忠実ながら、芸術のような美しさも兼ね備えていた。

 再び、打ち合いが再開される。

 

 打ち、切る、叩く。

 接近し、距離を取り、宙を舞う。

 その金属音はまるで管楽器の音のような壮麗な音色が響き渡る。

 

 

 迎え撃つは鎧をまとった騎士。その佇まいは神に仕える聖騎士と行っても通じるであろう。堅実かつ強固な意志を感じる。

 

 しかし、忘れてはならない。

 ここは彼の城。彼の世界。

 ならばこの拮抗を崩すのも彼だということを。

 

「神聖剣よ」

 

 それは詠唱とも呼べない、独り言のようなつぶやき。だが、それによって引き起こされた現象は現実の物理法則を超えるものだった。

 地面を光の斬撃が()ってくる。その姿はまるで蛇のよう。

 

部分的武装強化術(レムナント・アーマメント) ────ッ!」

 

 それはほとんど条件反射のようなものだった。

 即座に夜空の剣の部分的武装強化術(レムナント・アーマメント)を起動させそれらを飲み込む。そうやって彼の一撃を相殺した。

 また、少しばかり距離を取る。

 

 結論から言うとキリトが押され始めていた。攻めのキリト、守りの騎士。その均衡は目の前の騎士が反撃の手段を持っていたことで崩された。

 攻撃は最大の防御というが、その逆もまたありうるのかもしれない。

 攻めの剣を繰り出せば、盾によって弾かれ、そこからカウンターを繰り出すように一撃を繰り出す。そのカウンターをもう片手にある剣で弾き、宙で一回転するともう一度元の位置にへと戻った。

 

「キリトくん。少し話をしないかい?」

 

「断る」

 

 

    ザザザザッッザザザザ────ッ!

 

 

 そう言ってキリトは再度突撃する。

 

「いつだって君はそうやって一人で戦いに行くから負ける。アインクラッドのことを忘れたのか」

 

「だからそのアインクラッドなんていうものを知らないんだよ」

 

 剣をクロスに構えて盾の一点を集中的に攻撃する。壊すことはもとより頭にない。

 予想通りに体勢を崩した目の前の騎士に一撃を入れようと死角から剣をなぎ払う。

 

「そうやって君は自ずから孤独の道を突き進む。その先には光がないことを知りながら」

 

 渾身の一撃は騎士によって阻まれた。その衝撃を上にへと受け流し、バク転をしながら一度距離を取る。

 

「キリトくんはあの仮想世界へと帰りたがっているようだが、この世界に来たその時点で君の席は無くなった」

 

 思考が一瞬空白に染まる。

 

「オーシャンタートルにて比嘉タケルは君のコピーを試みた。その際彼が操作を誤ったのであろう、君のコピーは二つ存在していた。だが、比嘉タケルも優秀であった。データ容量から異常を検知した彼は即座にその人格を消去した。

 ところでその先を話す前に、君にひとつ問いたいことがある。君は意識が消滅した後、どこに行くと思う?」

 

「さあね、俺が知るかよ」

 

「私はそれの観測に成功したんだ。それはね、キリトくん────」

 

 興奮したように目の前の騎士は語る。それは彼の格好も相まってひどく現実味の薄いものであった。

 だが、運が悪かったようだ。その瞬間に────

 

「オラァ!俺も混ぜろ!」

 

 ────来訪者が現れたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ゲームがクリアされました』

 

 十六夜が参戦してからは一方的な戦闘を繰り広げた。

 参戦する前とは打って変わるように騎士は無言へ、無機質へとなりその戦闘力を大幅に減少していたのも勝因の一つかもしれない。

 

 その一言とともにキリト、十六夜の二名は湖にへと投げ出された。バッシャーンと大きな水柱がたつ。

 湖から出てきた二人を待ち構えていたのは黒ウサギではなく、うん臭い笑みを浮かべたクリスハイトだった。

 

「Congratulation! キリトくん。これは勝者へ送るプレゼントだよ」

 

 そう言ってクリスハイトは何やら光る光球のようなものをキリトの方へと飛ばす。

 

「私たちはここに来るために随分と無茶をしたからね。()()()間のお別れだ。では、最後の冒険を楽しみたまえ」

 

 そう言って目の前のクリスハイト──改め菊岡が消滅する。

 

「ハハッ、ハハハハ!」

 

 笑った。盛大に笑った。

 これが笑わずに入られるだろうか。

 仮想世界の守護者足らんと願った王はその座を追われ、それならば現実世界へと願うことすらも許されない。

 孤独なる剣士は孤独なる王へとなった。

 

「ああ、何か言いたげな眼差しだな。安心しろ十六夜、黒ウサギに聞きたいことを聞いた後にでも教えてやるさ」

 

 そう言って黒ウサギに二人は鋭い目線を向けた。

 

 

 

 

  ◆

 

 

 

 

「────以上がコミュニティの現状です……」

 

 黒ウサギから語られた内容は以下のようなものらしい。

 

 彼らの所属するコミュニティは以前は東区画最大のコミュニティであった。

 だが、三年前に突如として現れた箱庭に蔓延(はびこ)る天災────魔王に突如挑まれたギフトゲームによって一夜にしてコミュニティは壊滅させられた。

 コミュニティの旗も仲間も奪われた彼らは今や"ノーネーム"として蔑称(べっしょう)されるようになった。

 

 今やギフトゲームに参加できるのは122人中、黒ウサギとリーダーの二人だけ。

 あとは10歳以下の子供たちというまさに逆境というほかない状況であった。

 

 

 黒ウサギはすがるような眼差しを二人に向ける。もはや彼らが入らなければコミュニティの存続など到底ありえないことになるとどこかで確信しているからだろう。

 彼ら二人は────

 

 まさにその同時刻、久遠たちもも同じ内容を聞いていた。

 突然会話に割り込んで来た獣人の男がその説明をする。そして、彼は久遠たちに自分たちのコミュニティに入らないかと勧誘する。そして、彼女たちは────

 

 

 

「いいなそれ、協力してやるよ」

 

「ああ、いいぞ。もはや元の世界に帰る意味もない。全力で君たちのサポートをするさ」

 

「ジンくんたちのコミュニティで間に合っているからあなたのお誘いはお断りするわ」

 

「私は……やめておく。箱庭には友達を作りに来ただけだったから」

 

 奇しくも四人の返答が同時刻に一致した。

 

 

 

 これから始まるのは悲劇ではない。

 これから始まるのはこれ以上のない喜劇だ。

 役者は十分。

 故に、最高の劇であることを私が保証するよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはその後のある何気ない会話

 

「あら、なら私が春日部さんの友達第1号に立候補してもいいかしら

 ……私たちって正反対だけど、どこかうまくやっていけそうな気がするのよ」

 

 恥じらいながら問う久遠に対して春日部は少しだけ逡巡(しゅんじゅん)した後、コクリと頷いた。

 

「……うん。私のことは耀でいいよ。私も飛鳥って呼ぶから。飛鳥は私の知る女の子とちょっと違うから大丈夫かも」

 

『よかったなお嬢……お嬢に友達が出来てワシも嬉しいわ』

 

「ちょっと大袈裟だよ三毛猫」

 

「そう、ところでねあなたの能力についてもっと聞きたいのだけれども────」

 

 先ほどまでのシリアスな雰囲気はどこにいったのか会話を弾ませる女性陣たち。その会話は初々しさを感じられ、思わずほっこりとさせるものであった。

 ほっとかれていて悲しそうなジンの哀愁を誘うその背中は見なかったことにしてあげたい。

 

 

 

 

  ◆

 

 

 

 

「なあ、キリト。お前が強いのはよくわかった。そこでだ、ひとつ勝負しないか?」

 

「ああ、十六夜のその謎の力も気になっていたんだ。ひとつデュエルをしようか」

 

 パチパチと二人の間で紫電が飛び交う。

 もともと問題児気質のあったキリトは十六夜ととても気があうみたいだった。

 

「そうだな、判定は初撃決着でどうだ。一撃強いのを決めた方が勝ちってので」

 

 キリトがその手から静電気をほとばしらせ、あのホログラムのプレートを出そうとして────

 

「いい加減にしてください!どうして仲間同士で戦おうとするのですか!」

 

 半泣きの黒ウサギが全力のグーパンチを二人に放った。

 もちろん、何もせずにそのまま受ける二人ではない。キリトは華麗にかわし、十六夜は持ち前の超スピードで逃げることに成功した。

 黒ウサギがさらに半泣きになる。

 

 ごめんごめんとキリトが今までの剣呑な雰囲気を霧散させ黒ウサギをなだめに行く。その光景を十六夜は楽しそうに見ていた。

 

 

 彼らはどうも平和らしかった。

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