大昔の人間は石を研磨して鋭くしたという。
今の職人包丁も研磨して鋭さを保つという。
材質が骨のようなものも研磨すれば鋭くなるのだろうか。
私は昨日手に入れたワニの尻尾飾りを見て唸る。
研磨して斧や剣の様になれば切断系の赫子が無い私でも容易に首を落とせるのでは無いかと考えたが研磨なんてやった事ない。
とりあえずざらざらした岩を持ってきて尻尾飾りを研磨しては見るが削れてる気がしない。
早々に放棄して新しい獲物を探す。
食べきれなかった尻尾を持って。
もう武器この尻尾でいいんじゃないかな。
切断系でないのが残念でならないけどもね。
いつも通り広場に出る通路に出ようとすると赤く丸い体型のダルマっぽい何が広場を闊歩していた。
本当に飽きが来ないね。
昨日のワニに今日のダルマ、新しい謎生物が次から次へと出てくる。
例えるなら動物園がぴったりだ。
尻尾で顔面殴ろうかしら。
よっこら、と尻尾を握り直し担ぐ。
ワニと同様先手を取る為スタートダッシュを切り顔面に尻尾を叩きつける。
顔はお面の様な物だったらしく殴った衝撃で見事に割れている。案外脆いのね。
よろけるダルマの顎下を尻尾でアッパーしてダルマを仰向けまでは行かなくても腹や首など肉質の柔い場所を一時的に狙いやすくさせる。
尾赫を出してスタンバイさせ振り上げた尻尾を離し、ダルマの喉元に尾赫を突き刺す。
そして尾赫突き刺したことを後悔する。
絶命したダルマから尾赫を引き抜き血を振り払う。
尾赫の鱗擬きの間々に挟まった細かい肉片の不快感に苛まれながらダルマのばら肉をあばらごと取り出す。
右あばら左あばらで時間はいつもよりかかったが霧状になる前に無事取り出せた。
あばらを脇に抱え後に飛んでった尻尾を拾い、水場へ急ぎ足で戻る。
尾赫を水で濯ぎ、肉片をちまちま取り出す。
特に尾赫の先端あたりは鱗擬きが大きく鋭いから刺して切れた肉片が凄く残ってるが、同じく鱗擬きが大きくてあまり深く刺さらなくて肉取りがより大変でないのが唯一の救い。
刺さないタイプでも刺せはするが威力は低くて不快感が凄い。
しかも刺した傷口はボロボロになる。
これをよく尾赫仲間に笑われてたな。
粗方肉取りが終わり尾赫をもう一度水で濯いて戻す。
次は出す赫子考えてから殺ろう。
今考えたことを心に刻み、あばらをロッカー室に隠す。
尻尾を食べ切ってから食べよう。
もう1回広場へ出ようと通路を歩くと広場にまたダルマが見えた。
しかも周りに4つの人影も見える。
わお、人間だ。
しかもダルマを囲んで多種多様な武器を振り回している。
ダルマを狩って食べるのだろうか。
いや、たべないだろうな。
まず霧になる時点で持ち帰れないか。
じゃあ素材とかのためだろうかね。
あの変形する武器も謎生物の素材で出来てる様に見えるし、謎武器の中身も謎生物のようなもので出来ているっぽい。
あの武器の中身味見したい。
隊長と呼ばれたジュリなんちゃらの剣でダルマの尻尾を切り、暴れるダルマを他の子がハンマーや大剣などで背中の飾りや顔面を破壊。
そして弱った所を確実に副隊長と呼ばれた子がトドメをさす。
そして絶命したダルマを4人とも武器から出る伸縮する謎生物に食べさせる。
あれが武器の中身か。
ダルマを食べたのは謎武器だけで彼らは何もしなかった。
急に4人とも当たりをキョロキョロしだし、そして話し込む。
話の内容が気になり近くに寄りながらも、4人の視線から死角になるように隠れながら聞き耳を立てる。
「依頼じゃあコンゴウは2体らしいが、
一体しか出てこないぞ。」
「別の場所に逃げてたりとかじゃない?」
「もういないならいいんじゃないかな。」
「案外別のアラガミに食べられちゃったりとかあるかもよ?」
コンゴウとはあのダルマの事だろうか。
なら、食べたのは私だ。
アラガミとやらでは無く喰種だ。
彼らは消えたコンゴウを特に気にするでもなく、迎えに来たらしいヘリに乗り怪我の手当をされて帰って行く。
気づいたら居たけど何処から涌いて出てきたんだ。
広場を見渡すと大きな断層なのか崖の様な物が見える。
甲赫を出して崖の上に手をかけて登る。
舗装されてはいないが草木の生えていない道らしい所に出た。
ここが人間達のこの廃墟の出入口なのかもしれない。
だとしたら他のところにも行けるかも知れない。
まあ、まだ出ないけれども。
崖を降りてまた水場へ戻る。
放置してた尻尾を食べ切り、ロッカー室のばら肉を骨ごと食べる。
人間を見たせいなのか単にお腹がすいているのか分からないが何か無性に食べたくなる。
コンゴウの肉は想像してたより遥かに美味しかった。
ワニや白い謎生物と違う感じで旨みが強い。
赤身と脂身が混ざった肉だが噛むほど脂身のコクの深い味わいが赤身と混ざる。
謎肉の中で断トツで美味しい。
尻尾をゆっくり食べてたとは思えないほどの速さでばら肉を完食して庭を闊歩する白いのを狩り、食べる。
足はもぎ取らず今度は首あたりに直接かぶりつく。
湧き上がる謎の空腹感を満たす為に肉を喰い千切り滴り落ちる血を啜る。
もう一口と口を開けるが霧になって肉は消える。
ゆっくり立ち上がり血で濡れた口元を袖で拭う。
それでも空腹感は沸き上がり続ける。
なんだろう。
食べてるのにお腹がすいてる気がしてならない。
ああ、なるほど。
ヒトの血の匂いが漂ってるからか。
酷いな。生殺しだ。
気休め程度にしかならないがローブを鼻に当てて匂いを抑える。
そして感じるはずのない空腹感と湧き出る唾液を腹に飲み込み急いで寝床に帰る。
ベッドにダイブして頭からシーツを被る
お天道様はまだ出てるが活動する気は起きない。
誇り臭いシーツだが今日はやけにその臭さが愛しく感じられた。
コンゴウは豚肉。
アラガミが幾ら美味しくてもやっぱり人肉が1番な喰種の少女。
誤字脱字などあれば報告してくれると有難いです。