喰種はアラガミに分類されるようです   作:黄リン

5 / 5
雨宿りとゲテモノ

1日経てば美味しそうな匂いは消えたが、

胃袋は正直でずっと音を立てて催促している。

 

誰かから聞いた話でどこかの美食家が自分の肉は美味しいと言っていたらしい。

痛みを覚悟で自分の右親指を喰いちぎるが結局の所不味い。

美味しい言った美食家は頭大丈夫何だろうか。

それとも喰種も人間が肉用に育てる家畜の様に、

食べる肉の質で自分の肉が美味しくなるのだろうか。

だったら今度美食家捕まえて共喰いでもしてみようかな。

 

まぁ、今度があればいいのだけどもね。

 

左手で親指があった所を抑える。

痛いしその場しのぎってだけで腹の足しにもならなかった。

うん、食べて損したわ。

 

指は存外不味い事を学習して食料探しに広場に出る。

背伸びをして背骨をボキボキ鳴らしながら空を見た。

今までずっと晴れだったから空が曇っている所を見たのは久しぶりな気がする。

ひと雨降りそうな気温と雰囲気だ。

 

こげ茶で地面から生えた毛むくじゃらならいるが、

お世辞にも美味しそうに見えないしに美味しそうな匂いでもない。

あれは、絶対に不味い。

 

暫く待ってみたがワニやダルマなど美味しそうなのが来る気配も全くしない。

珍しく白い奴もいない。

 

不味いかまずは殺さずに味見をば。

意を決して毛むくじゃらに近づく。

頭部を拳骨で殴り倒し気絶させてから少し肉を抉る。

手のひらサイズの肉塊をまじまじと見てから勢いよくかぶりつく。

咀嚼するたびに染み出てくる味は何とも予想通りで、

気をはらないと胃酸をリバースしそうである。

 

鼻を摘みながら過剰に弾力がある肉を噛み潰してギリギリ飲み込めるサイズにして急いで胃に押し込める。

人の食べ物でもこんなに不味いを感じたことはない。

体の生理的な反応で吐き戻す反応が無いだけマシではあるけれど、

壊滅的な不味さで胃が拒否反応起こしそう。

口直しの為に急いで水場に行く間も何回か嘔吐くも何とか耐える。

 

毛むくじゃらはもう食べない。

絶対食べない。

ダメ絶対。

 

胃に溜まって空腹感は少し解消されたけど、

後味悪い、なんかお腹が気持ち悪い、無駄に疲れた。

本日2回目、食べて損した。

 

 

無心で水面に映る自分を見て水に波紋を立てて顔を歪ませる。

顔の首元に映るローブを見てこっちに来てから洗濯して無い事に気づいてしまった。

眉をひそめながら首元のローブを持ち上げて臭いを嗅ぐ。

柔軟剤でいい匂いだったローブが、汗や血それと自分の体臭の混ざったなんとも言えない香りに変容していた。

 

ローブを脱ぎかけてピタリとフリーズする。

水場で洗ってもいいが飲水としても使うのだからなんか気が引ける。

脱ぎかけたローブを再び着直してパンツなどの下着類も洗濯するとなるとやっぱりこの水場では絶対に洗いたくない。

川があるかひと雨降ればいいんだけれどもねぇ。

 

川はあったが水量が絶望的にに少なくて洗濯可能かは望み薄。

雨は降りそうな天気だったけど降っただろうか。

駆け足で広場に通じる道を通ると予想通り雨が降っていた。

 

自然のシャワー服も体も洗おうとも思って飛び出そうとしたがすんでのところで留まった。

これが普通の雨だったなら何の遠慮も無く飛び出すのだが、

なんだこの赤い水の雨は。

黒い雨なら聞いたことは多々あるが赤は聞いてない。

 

こっちではこの色が普通で何の害は無いとかなのか。

それとも黒い雨同様人体に被害及ぼすものなのか。

 

そっと手を差し出して赤い水を手に貯めて、ある程度溜まったら水を少し観察する。

透き通った透明感のある赤色で例えるなら、水に筆についた赤い絵の具を落とした時の水の色見たいな色。

顔に近づけて臭いを嗅ぐも無臭。

舌を出して味を確かめてみる。

 

ペロッ、これは青酸カリ!

なんて事は無くただの水がと同じく無味だった。

手に残った水を捨ててローブで濡れた手を拭う。

 

専門とかの知識が全くと言ってない私が判断すれば、

この雨はあまり害は無いように思えるが念には念を。

自然のシャワーは諦めて透明な色の雨を待とう。

 

気づかった時は何も思わなかったけど、

一旦気づいてしまうと纏うものに不快感が増す。

 

ギリギリ雨の当たらない所に座り込んでひたすら天から降ってくる赤い雫を見つめる。

雨が地面に落ちる音に混じって遠くからサイレンみたいな音も聞こえる。

謎生物がサイレンを使うとは到底思えない。

きっと近くに人が住む所、それもサイレンを使わなきゃダメなほど人口がある町の様な所。

一通り食べて飽きたら新天地向かうついでにそこに行って1人2人摘もうかな。

 

いいねぇ。

想像したらまたお腹が減って来たよ。

ついさっき不味いの納めたばっかりなのに。

 

鳴り響くお腹の音を抑えようとお腹がを抑えるが、

効果はひまひとつのようだ。

仕方なしにさっき生えてきた方とは反対の親指を食べる。

やっぱり痛いがその場しのぎの程度だ。

 

あぁもう、お腹空いた。

こんなことならあの尻尾残しとくんだった。

 




ナイトホロウはハリボーのグミタイヤ味をイメージ。
タイヤ味見るからに不味いし臭いも凄かった記憶がある。

食べさせたいアラガミは結構いるけども、
いつこの子新ステージに移動させればいいのかが悩み所。

誤字脱字あったら報告してくれると幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。