転生愉悦部の徒然日記   作:零課

100 / 222
 ~時間神殿~


 魔術王?「藤丸とやらは監獄に誘い込めなかったが、代りに騎士を引き込めたか。しかし、あの騎士に今更あの監獄を見せたところで脱出もすればあれを地獄と思うか怪しい・・・・・・


 ああ、そういえばアイツは日本出身だったな。ちょうどいい。あの島にでも送りこんでしまうか。下手な相手よりもまず、助からない」


誘拐旅行鬼ヶ島
迫真誘拐旅行


 「みんなお疲れさまだ! よく無事でいてくれたよ・・・・! 相手がまさかの魔術王。しかも、冠位を持つものだなんて・・・!」

 

 

 「積もる話はあとよロマニ! 急いで全員の治療と検査。呪いの類がないかチェックよ! 華奈、貴方の部隊は今は借りないわ。あなた自身も危ないもの!!」

 

 

 「メディカルチェックの類はばっちりだよ。さあさ。特にマシュ君、華奈君。藤丸君らはしっかりと。それと新入りのモードレッド君には悪いが英霊も含めて今回特異点に言ったみんなは早速シャワーや衣類の洗濯を頼みたいあそこの霧、というか空気の毒は怖いからね!」

 

 

 レイシフトから戻り、早々に出迎えたのは心底心配していたロマニ様とオルガマリー様、ダ・ヴィンチちゃん。ただいまの挨拶を言う前に矢継ぎ早に私達の無事と検査をしようとすんごく騒がしい。

 

 

 その勢いにつられて周りの職員の皆さんも心配と安どで魔術王が敵だという不安も一時的に忘れている。よかった。私や銀嶺隊はまだしもほかの皆さんには。いえ、魔術師として、そして英霊を知る組織だからこそその絶望は計り知れませんし。

 

 

 「感謝します。そしてただいまですよ。じゃあ、早速シャワーとメディカルチェックを受けてきますね? 香子様やアルトリア様の術式や道具ならちょうどいいでしょう。あと、クー・フーリン様も。ふふふ。少し休ませてもらいます」

 

 

 「はい・・・少し、私も休ませてもらいます。話は、あとでじっくりとしますので。それでいいでしょうか? 所長、ドクター、ダ・ヴィンチちゃん」

 

 

 「色々あってくたくた・・・」

 

 

 「今回は色々あったなあ。ただ、ゴールが見えたのはいいと考えるべきか」

 

 

 「さてな。相手が相手だ。とにかく今は力を蓄えていくほかないだろうさ」

 

 

 「全く、人類史を救う戦いってのはこうなるのかねえ。こりゃ、今後は楽は出来そうにないなあ」

 

 

 とにかく今はその相手が気まぐれを起こして帰ったこと。それで生き残れたということに感謝しつつ皆一度メディカルチェックへ。その際に、滅茶苦茶伊吹童子様に食べられそうになったりもみくちゃにされたのは内緒です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ・・・・ん・・・あ・・・」

 

 

 風呂に入り、メディカルチェックなどを受けてからブリーフィングルームに行く途中。ふいに来る眠気と、瞼の裏に映るカルデアとは違う場所。

 

 

 早い。思った以上に何かが来ている。いえ、私が届けられているのでしょうか?

 

 

 「マスター?」

 

 

 「っち・・・ストーム。このメモを。皆さんに届けておいてください。やるべきことが書いています・・・」

 

 

 「そうか? しかし、疲れが来たのかねえ。マスターはリモートか、休んでいくべきじゃないか? 俺が伝えても」

 

 

 「そうですねえ・・・」

 

 

 あー身体が重い。というよりは自分の身体から離れるような感覚。まずい。これ・・・きっつぅ・・・

 

 

 「お願いします・・・わたし、ちょっと・・・やば・・・あふん」

 

 

 完全にもう無理。自由がきかないからだと意識はそのまま手放して、私は多分カルデアの床にぶっ倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「くふぅ・・・ふぅ・・・はぁ・・・ここは・・・」

 

 

 目を覚ませば、そこは知らぬ浜辺。ぐったりとしていたのですが近くにあった船がいい感じに影になっていたのでしょう。周りの人眼にはつかずに済みました。

 

 

 そのまま体に力は入るか、武装は使えるかをチェック。

 

 

 「銀嶺隊は呼べず、妖精の宝石箱は使えますが数がない・・・刀は・・・4振りとも無事」

 

 

 とりあえず、一人で動かないといけない。そしてまあ、恐らくですが・・・

 

 

 「魔術王が私を殺すための場所。あるいは幽閉するための場所でしょうけど・・・・はぁー・・・当てつけですか?」

 

 

 この形状、そして感じる妖魔類の匂い。恐らく・・・

 

 

 「鬼ヶ島。ですか。同時に私にとっては一番厄介であり、恐怖をあおるにもちょうどいい」

 

 

 完全にこの島も、住んでいるであろう住人も作られたものであり、私の伝手も縁も情報も使えないであろう場所。歴史に通じているけど日本の鬼種との戦闘経験は少ない。加えて軍団戦もできない。

 

 

 孤立無援の状態のままで戦わないといけないというのも相まってまさしく私を処刑するための場所と言える。

 

 

 「ただまあ、魔術王の聖杯を受け取ってこれを作った相手がいるとして、それは誰なのやら・・・ふぅ・・・考えさせてくれる時間さえもないですか」

 

 

 そしてまあ、流石は鬼。目も鼻も聞くようで、私に気づいたようで早速金棒と下卑た目線を向けながら走ってくる。

 

 

 「私をどうするかはまあ、想像がつきますがね?」

 

 

 「ギィッ!?」

 

 

 「シャアッ・・・か・・・ッ!」

 

 

 襲い掛かってくる鬼を数十匹とりあえず切り伏せて血の雨を降らせつつ、船を持ち上げてぶん投げて狭い道に押し返す。

 

 

 「私を本気で殺したければ。将も名の知れた鬼もなく取り押さえたければ万を超える群を持ってこないと駄目ですよぉ・・・?」

 

 

 とにかくここの状況を切り抜けていかないとですね。これも修行の一環と思いますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「で、マスターはどうなっているんだ? ダ・ヴィンチちゃんの方でも診てもらったんだろう?」

 

 

 「それが・・・まるで動かない。眠っているというか、魔力の方も身体の方も問題ない。身体は大丈夫なんだけど、魂だけスポっと抜けたような・・・」

 

 

 「・・・・・・・・」

 

 

 「あの華奈が何かあったの? 気がつけばトンチキな作戦やらぶち込むのが日常。驚かせて逆に倒れさせるようなバカがねえ?」

 

 

 「うーん・・・いったい何が・・・」

 

 

 「姉上! 姉上が!! どどどどど、どうしたらいいのですかモードレッド! ユニヴァースの方でなんかいい道具でも持ってきた方が!!」

 

 

 「叔母上おち・・いや、俺もどうしたらいいんだよぉ! ロンドンで再開したと思ったらこれとかさあ!! くそが! おい! 魂が抜けたとして、どこに行くってんだよぉお!!」

 

 

 あの後、マスターがぶっ倒れてから急いでサイドメディカルチェック。科学に魔術にとあらゆる分野で精密検査をしても結果は問題なし。

 

 

 ただ、まるで動かない。ぷつんと動かない。息はしているのだけどもうんともすんとも言わないのだ。

 

 

 それで英霊も職員も集まってあーでもないこーでもないと喧々諤々の大騒ぎ。

 

 

 俺も正直気が気でない。が、医療関連なんて真面目に戦闘時に使えるものくらいで精密な道具や術式、知識も経験もない。あくまでも俺はただの軍人。戦い以外は本当に明るくない。ただ、騒いでもどうしようもないのは数十年の戦いの経験で分かる。歯がゆいとしか言えない。

 

 

 「・・・・おそらく、邪視と言われるものだ。魔術王と目があった際に視線に乗せて呪いを叩き込まれたんだと思う。そして、今魂は別の場所に飛ばされている。ただ、完全に体から離れていないから華奈はまだその飛ばされた先で無事だとは思う」

 

 

 「「「「!!?」」」」

 

 

 まさかのロマニからのマスターの状況を見抜いていることに視線が集まる。当然だろう。急にすらすらとこのことを言われては。

 

 

 「ロマニ。どういうこと! 邪視!? それで、華奈は一体どこに魂を飛ばされているってのよ!」

 

 

 「分からない・・・ただ、すぐに魂を殺せていないのは、どこかに飛ばされているんだと思う。そこで魔術王が用意した場所で戦っているはず・・・」

 

 

 「待ちなさいドクターロマン。なぜ貴方がそこまで知っているのです? 魔術師の組織の医療責任者と言えども詳しい・・・何を知っています? 何を分かっています? 教えてもらいましょう・・・姉上を救うためなら、何をしてもいいですよ今の私は」

 

 

 ギラリと龍のような目をしつつ聖剣を抜いてロマニの前に王の威圧感をもって迫る。それは他も同じ。マスターに縁のある、恩のあるものは全員とにかくこの状況をどうにかしたい。そのためなら暴力も拷問もいとわないと言わんばかり。

 

 

 「・・・・分かった。すべて話すよ」

 

 

 「っ・・・いいのかい? ロマニ。その選択は・・・」

 

 

 「いや、あんなことがあったんだ。すべて話すべきだと思う。華奈なら必ず到達する。あの魔術王の皮をかぶったやつの所まで。だから。レオナルド。僕は言うよ」

 

 

 「そう・・・」

 

 

 ふっと切なげに目を細めてそれ以上は何も言わないと離れるレオナルドと、俺たちを見回してロマニ唾をのんだ後に。

 

 

 「僕の正体は英霊。ソロモン王だ。同時に、あのロンドンで出てきた魔術王は僕の姿をしているけど、おそらくソロモン王じゃない」

 

 

 

 「「「「「・・・・・・・・・はぁああああああぁあぁああっああああ!!?」」」」」

 

 

 今日一番の、カルデアの壁が声で壊れんばかりの絶叫と衝撃が襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いやー全く! こんな場所でまた会うとは、ミス・シルバーも大変だなあ!」

 

 

 「私だって予想外過ぎて。というか日本の鬼ってこんなんでしたっけ!?」

 

 

 突然ひき逃げアタックで助けてくれたライダースーツにばっちり決めた髪型が光る金時様。ロンドンからすぐさま。時間的には2、3時間後のすぐさま再開と同時に鬼たち相手に大立ち回り。一体一体がまあ雑兵以下のトーシロなので楽々拳と蹴りと刃で叩きのめしていますが全くキリがない。

 

 

 「いやいやいや。流石にこれはねえ。なんかの絵物語から出てきたような緩ーい鬼なんぞ。オレっちが戦っていた鬼たちはもっとこう。雑兵でもそれなりにやべえ気迫がある。こんな腑抜け顔してねえ・・・よっ!」

 

 

 「じゃあ、やっぱりここに何なそちらに縁のある誰かがいるってことですかねえ? 魔術王のせいで恐らく私ここに来ちゃったんですけど」

 

 

 「はぁ!? おいおい! 流石に俺っちの仲間にそんな無粋なことをする奴は一人もいねえぜミス・シルバー! 曲がったことは大嫌い。京を鬼、妖魔から守り続けた頼光四天王。あんなのに手を貸すわけねーぜ!」

 

 

 「ですよ・・・ねっ!」

 

 

 金時様の拳から迸る電撃と私の振るう飛ぶ斬撃で鬼の群れに叩き込んで無理やりに道を切り開いていく。よし。これくらいなら?

 

 

 

 「行きましょう金時様。さっさとここを抜けて一息つきつつ探れる場所を探って脱出しましょう」

 

 

 「オーライ。じゃあばっちり掴まってなミス・シルバー!! こいつは一瞬で百里も駆け抜けるモンスターだからよぉ!」

 

 

 「それは頼もしいですね! よいしょ!」

 

 

 ムニュン♡

 

 

 「っと・・・あー・・・その、なんだ。で、出来ればすこーし後ろに下がってもらえねえかな? 安全のために」

 

 

 「ほへ? まあーいいですよーじゃあバイクの掴めるところに片手を・・・じゃ、お願いします。金時様。ベアーちゃん」

 

 

 「いよっしゃ! ゴールデンな走りで行くぜおらぁ!!」

 

 

 

 こうして、私と金時様でこの奇妙な鬼ヶ島の冒険。恐らく魔術王の用意した場所を抜け出すための戦いが始まりましたとさ。




 ということで始まりました鬼ヶ島。ぶっちゃけ華奈だと監獄に叩き込んだところで人の感情による憎悪や大罪は現役時代にもいやッてほど見尽くしているので。後シンプルに強い。


 藤丸君はいつか適当なところで最高の共犯者であり相棒のエドモンと裏で出会ってもらって仲良く男同士で馬鹿な話をしてほしいなあって。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。