転生愉悦部の徒然日記 作:零課
「ロマンが・・・ソロモン王!? ど、どういうこと!? それなら、あのソロモン王は!? 魔神柱は!? あ、ああぁああ・・・・色々と驚きの情報が出すぎ!!」
「でも、ロマニそこまで肌黒くないし肌も白いよね?」
「それはこうするようにした。肌とかも魔術で変えていたからね。ほら。これならわかりやすいかな・・・」
そういってロマニは僕らの前であっという間に姿を変えて見慣れた姿からあのソロモン王の姿に変わり、カルデア中が騒然となる。
「な・・・な!? いや、でも確かに・・・!!」
「魔力の感じも、あの時のやつと同じだ・・・・どういうことだよ! 相手がわかったうえで華奈先生を見殺しに、カルデアでキャンキャン吠えるだけだったってのか!!? ぁあ!!」
殺意を増して剣から電撃を走らせながら近寄るモードレッドに目の鋭さは変わらないまま、アルトリアが片手で制する。
「色々と困惑していて、私も今怒りのやり場をどうぶつけていいのかわかりません。ただ・・・その事情は何ですか? なぜ、ダ・ヴィンチは事情を知っていたうえで隠していたのか。そして・・・おそらく、姉上も同じなんでしょう?
カルデアの古株と二人は聞いています。だからこそ、なんでこういう行動をしているのか。意味があるのか・・・教えてください」
ギリギリと聖剣を握る音を響かせながらも必死に怒りを抑え込んで暴れない。暴れないとこらえているアルトリアさん。恐らくこの中でも銀嶺隊と同じかそれ以上に怒っているあの人の覇気、怒気に僕もみんなも黙ってしまい、じっとロマニ・・・いや、ソロモン王を見るほかなかった。
「うん。まず、これは言う。僕は確かにソロモン王だ。そして、ロンドンに出たソロモン王は『肉体』はソロモン王。ただ、なかにいる精神、魂は別物だと言っていい」
「ふむ・・・つまり、あれはソロモン王であってソロモン王じゃない。あくまでも外側だけはそうだけど、英霊として、ソロモン王としての存在ではない。か・・・でも、冠位の資格と、出力はあるよな?」
いろいろと困惑する発言に、ストーム1の発言になるほどと一同が納得する。
「ふむ・・・・・・・む。レギオン。だったか・・・確か、いくつもの人格を持つ悪魔だったような。そう言う・・・いわゆる悪魔がソロモン王の肉体を利用した。ということが近いのか?」
「あぁ? ってーと・・・あれだろ? 恐らく魔術王の身体に誰かが乗り移って他人を騙っているっつーか」
「だけど、七十二柱の魔神とかの逸話を持つ、力を使える王様というのは相違ないはずだが」
ストーム2の皆さんの発言に段々とロマニへの嫌悪や不安、怒りは薄れていく。
「ああ、そもそも。英霊として呼ばれない限りソロモン王がこの時代に来ることがない。そして、僕は確かに一度死んでいる。だけど、魔神柱たち。あの七十二柱は僕と同じ寿命があるわけでもない高次の存在。
そして、仮にも僕の使い魔としていた存在。だから死後僕の肉体を使い、動くうえでも最適だったんだろう。僕という魂と精神が抜けた抜け殻の肉体。だけどその魔術回路と使い心地は最適で使い勝手の分かるパーツ」
「つまり・・・あれはソロモン王の魔神たちが動かしているだけのソロモン王の生きた術式・・・・・・ということですか・・・!?」
マシュの発言に皆が更にどよめく。
「ああ、ほら、わずかだけどアイツが出てきたとき・・・仮に、ゲーティアと呼ぼう。ゲーティアが出てきたときに皆と会話した時に皆へそのまま似たような反応をしていただろう? それはきっと魔神たちでそれぞれ違う存在が対応していたんだろうね。
魔神柱たちの集合体。そしていくつもの意識があるゆえにそれに合わせた対応をする。そして・・・もうわかると思うけど・・・あいつは冠位を名乗っていたが決してそれはない」
「なるほど・・・キョンシーみたいなものですかね。で、確かに英霊の肉体はあれど英霊の精神も魂もない生きた術式。冠位を名乗る能力はあれども、冠位ではない。しかしその力は英霊を隔絶する強さ・・・
そうなると・・・冠位をいただく英雄でないとしたら」
「冠位を持つ英雄たちが戦うべき存在。人理を滅ぼす。世界を滅ぼすもの・・・か?」
「おそらくそうだ。英霊の座にいた時、聖杯戦争にいた時に冠位やそこら辺の決戦術式への知識はあった。そしてゲーティアは英霊ではない人類を滅ぼそうとしている存在。
・・・・・ビースト。人類悪と呼ばれる人類を、世界を滅ぼす自滅機構の一角だろうね」
さらなる存在の。本来なら冠位の英霊たちが倒すべき存在が敵だということにもう周りが驚きの連続で処理落ちするもの。驚きで固まる者。気絶するもの。ソロモン王が敵ではないがその魔神たちは敵であり、しかも人類悪。
話が急に動きすぎて最早何が何やら。としか言えない。ただ、同時に納得がいく。人類悪。それほどの存在なら人類史を滅ぼす。焼くというのもある程度納得はいく・・・
「僕も、正直な話予想外にもほどがあった。本当に察知もできず、ローマで嫌な予感はしたけど信じきれず、そして、ようやくロンドンで理解できた。
・・・・・・・ただ、その結果僕を支えてくれた姉のような大事な人をこうなるまで何もできなかった。だから、どうか話を聞いてほしい。ゲーティアをどうにかするためにも」
「・・・・・・部下の監督不行き届きでとんでも暴走を許してしまったのは、私も覚えがあります・・・貴方も被害者と言っていいですね・・・とりあえず、話を聞きましょう」
二振りの聖剣をしまい、座布団を持ってきてアンナさんたちに茶菓子と紅茶を頼むアルトリアさん。そしてみんなもそれに続いて腰を下ろす。確かにロマニも被害者だし、何より気にならないと言えばウソだ。使い魔と言えど、ソロモン王と人生を共にした魔神たちが何でこんなことをしたのか。
何でそんな選択肢をしたのか。魔神を一番よく知るロマニ。もといソロモン王からの話を聞くべきだと。さっきまで充満していた殺気と怒気は消えて、ソロモン王は語り始めていった。前の人生とそのころのソロモン王の実態を。
「ふぅー・・・・・感謝しますよ金時様。この機動力。栗毛やハチたちも驚くかも。あ、これつけていてください。気配遮断の効果を低ランクですが持てるブレスレットです」
「サンキュー! ミス・シルバー。しっかし、改めてどこにいても鬼の匂いがしまくる。文字通り鬼の島。鬼ヶ島ってわけかあ・・・」
何とか鬼たちの群れを潜り抜けて無事に休めそうな場所にたどり着いた私達。お茶とかこじゃれたものがあるわけでもないのですがひとまず岩場に腰かけて小休憩。
「に、しても嫌に手ごたえが軽いと言いましょうか。あの鬼たち。私達がいたブリテンでもオーガ、そちらの鬼種に近い存在はいましたが、これは・・・少し違うような? あの固い、岩のような肉体とは違うと言いましょうか」
「ああ、あれはどっちかと言えば呪いが形を成したもの。霊獣とか、神獣たちの血を引くようなものや実在しているやつらっつーよりも実在しない生まれた呪いというべきか。そんな奴らだな。だから見た目・・・もあれだが切っても殴っても手ごたえが軽い」
「流石は金時様。専門家の意見を頂けるのはありがたい話です。ですが同時にそうなるとここは・・・」
鬼が住まう島ではあるけど、自意識や、自由権利を持つ鬼種たちの集まり。というよりも使い魔として鬼たちが存在していてその鬼たちも管理されている。黒幕というか管理者以外は全部全部がまがい物というのが正しいかもしれない。
まあ、あの魔術王が私をぶっ殺すために用意した場所なのでさもありなん。という感じですがそうなると同時にこの島はまだしもあの数の鬼を用意出来たという事実。島を生み出す逸話や道具を用意して、その魔力を鬼を生み出すために使っているというかそこら辺だろうか。
しばらく金時様と会話をして情報と意見交換をしていましたがらちが明かない。分かったのは鬼の種類の違いだけとなってしばらく。
「こうしているだけでは俺っちもベアー号もしょうがねえ。ミス・シルバーをカルデアに返すためにもこの島を見てくるべきだな。この便利なブレスレット。しばらく借りていいか?」
「ええ。私も一度この島を見てどうするべきかを考えます。どこをどうするべきか。どこに進んでいくのが正しいのか。一緒に行ける戦力はこの島にいるのか。わかるものがないと進む筋道もない」
「だな。じゃ、一度離れてここで再度合流するってことで。ミス・シルバーの腕前なら問題ねえとは思うが、気を付けていくんだぞ」
「ふふふ。優しいですね金時様は。ええ。気を付けていきます。どうか武運を」
互いに気配遮断と敏捷を強化できるアクセサリーをつけて改めて鬼ヶ島の探索を開始。魔術王が用意した私を殺すための舞台。見極めつつ帰るために頑張らないと! 後ついでにお茶が欲しい。のどかわきました。
「まず。僕ソロモン王は人としての意思が希薄ないわゆる『人でなし』な人間だった。何せまあ、神にささげられた人間だったうえにいわゆる神様の意思を代弁するだけの操り人形。傀儡と言っていいくらいだよ。
だってソロモン王の時代は人の意思が希薄だし、何をするにしても神様の意思を聞いたほうがいい。そのほうが気楽で確実。御告げなら間違いない。
その神様の声を聴くだけの人形がソロモン王。民を導くための神様の動かしやすい道具だ」
「神権政治。ってよりは文字通り神様の言葉によって動かしている国。か・・・俺らの時代だとちょっと考えられないけど・・・時代と偉業を考えれば納得もいく・・かねえ・・・」
「母上がブリテンの妖精や神様と縁のある巫女の血筋、と言えばいいのか。そんな方でしたし、なるほど・・・私たちの時代以上に神様が身近かつ、しかもその神託を聞ける存在となれば、基本的にはソロモン王自身の意識もあんまり・・・国を動かすための機械・・・」
ロマニの語るソロモン王としての話は、思ったよりもぶっ飛んでいたというか、僕らからは想像もつかない話だった。生まれてからずっと神様の傀儡。
しかし、それに反応するのはアルトリアさんやクー・フーリンたち。彼らの場合、神様や巫女、まだまだ神代の時代だったのもあってそういう存在。神託を聞く人間のあれこれや王という名の国を回す機械となってしまう存在を、経験をしているからわかるのだろうか。苦虫を噛み潰したような顔だ。
「まあ、だから何だろうね。人としての意思も希薄。自分で何を考えるわけでもない。喜怒哀楽なんてまるでない。なにがあっても「ふーん? それで?」って済ませてしまう人でなしさ。
そこに珍しく神様が僕になんでもプレゼントをするっていうからさ。僕はちょうどいいや。と思ったんだ。こういう生活を送っていると考えていたことがある。
僕は人を、人間を知りたい。その心を、ありのままを知りたい。って生きていくことの意味を。辛く苦しいことも多い中で何を思い生きているのかって」
人を知りたい。その思いで神様に栄誉も富も求めない。いや、それは既に満ち足りているからなのかな。だから。選んだ。人を知ることを。苦笑しながらも懐かしむように話すロマニは姿は違っても僕のよく知るドクターだった。
「それで神様に『知恵を。世界に満ち足りる当たり前を知るための知恵を』って願ったんだよ。人々が普段から感じていること。思っていること。そんな人だから、人らしいことを知りたかった。
なのにさあ! 神様は何を勘違いしたか10の指輪を渡してきたんだよ! 天使と悪魔。あーあの魔神たちね。を使役できる指輪。奇跡と称される力を。知恵じゃなくて知恵を持つパシリを渡したって知恵が増えないよ! 下請けに下請けを増やしたって何の意味ないよ!!
ということも言えず考えられず、そのままさ・・・」
「ご協力感謝します剣士のお方。貴女様の剣技。まるで流水のように滑らかで、されど刃は曇りなく敵を討つ。お見事な剣技でした」
「こちらこそ。いやー知り合いの待ち合わせの場所に鬼が居座ってどうしましょうかとなっていたものですから。私は船坂華奈。にほ・・・日ノ本の人間ですが、異国で騎士をしています」
あの後一通り島を見回り、結局周りにどうこうするためのものもなく、上に行ってしまうしかないかなあ。となって待ち合わせ場所にもどったら鬼たちが小休止を始めてしまい、ぶっ殺すかと考えていた矢先。黒髪爆乳美人さんが来て鬼を斬り捨ててくれたので手伝って瞬殺。
二人で一気にし多分音も大きく出ずに済んで無事にひと段落。の後にまず自己紹介。
「あらあらまあまあ。同業の方でしたか。騎士・・・とは、武者の違う言いかたでしょうか? 狼を彫り込まれた鎧。大神・・・天照大神を信仰する方でしょうか」
「んー狼とは仲良しですけど、ちょっと違うかも? ところで、貴女様は一体? その太刀筋。立ち回り。はっきり言って並みの武芸では済まないほどの腕前ですが」
「私のことなどお気になさらずに。お互いになすべきことをしたために道が交わっただけ。巡り合わせがあればまた会うでしょう。なので、その時が来ればまた・・・私はこれにて失礼しますね」
「あ。行っちゃった。うーん・・・まあ、予想はつきますが、はてさて・・・」
するりと抜けるように話を終えてどこかに行く美人さん。全く、とんでもない腕前。生で見るのは初めてですが、その技量、そして振るう太刀。その鳴り響いていた名前は伊達ではないですか。
「いよう。悪かったな。ベアー号がゴキゲンすぎてちょいと遠くまで行ってきていた。んで? 一戦始めた後かよ。無事かあ?」
その考えをふっ飛ばすように鳴り響く爆音。そしてバイクから降りてくる金時様。真面目にこれで鬼の追跡が来ないんですから気配遮断ってすごいんですねえ。
「ええ。私はほぼ不意打ちで終わらせましたし、それに、美人さんに助けてもらいました」
「美人さんだぁ? そんなのがいたのか?」
「ええ。すらりと長身で爆乳。所作も戦いも全部流麗で、それでいて艶やかで包容力のあるかたでしたね。優しく微笑む中にも警戒を絶やさない。まさしく武芸者としてもかなりのものでした」
「・・・・・あ・・・? いや・・・まじか? まさかな・・・」
あーこれはビンゴ―。絶対頼光さんですねえ。そりゃあ、魔術王の用意した舞台で出会うとか想像しないでしょうし、同時にあれこれ考えているのがよくわかる。あの顔が出てきてしまえば何が起きてもおかしくないので。
ここを切り抜けた後はぜひお近づきになってほしい方なんですけどねえ~香子様との話も聞きたいですし。
「まあ、とりあえず私も得た情報があるので話しましょう。ベアーちゃんも休ませつつ、ちょっと水とかをくすねてきたので」
「お、そいつはいいな。有難く頂戴するぜ」
ふぅー・・・えーと。どこから話しましょうかね?
華奈は基本こんなノリ。もう突っ走るしかねえやって感じ。