転生愉悦部の徒然日記 作:零課
信長「おう! ・・・まじ?」
華奈「で、采配に関してはアルトリア様に預けますので、信長様とアルトリア様お二人で銀嶺隊をどう動かすか、私たちがいない間カルデアの部隊としてどう動くか。まあ考えておいてくださいな」
アルトリア「了解です。とはいえ、まあー留守番するくらいでしょうから、ひとまず近くの森で何か使えそうなものでも採取しておきます」
「さて。姉上たちが行きましたが。今日はもう戦いはないですかねえ・・・」
「もう夜が来るしのお。ケルト軍と言えども夜襲の準備が無くては被害が増すばかりじゃろ」
姉上から軍権を託されましたが、私の直感と、アンナの部隊に索敵をさせても敵が来る様子はない。いくらケルトの戦士と言えども全員が英霊、サーヴァントというわけではなく、何より下手にここに攻められないと判断して野営でもしているのだろう。
私の目からは見えない場所に陣地を構えるあたり、あちらの方も大統王の大砲や銃弾も気にしているのか。
「うーん。それじゃ、こっちから打って出るってのは無し?」
「銀嶺隊だけならそれくらいお茶の子さいさい。とはいえ、俺たちが前に出る間はここの病院ががら空きになるからなあ。俺らの突破力を見ていた相手が会えてすり抜けてから背後に回って挟み撃ち。
その際にここの病院を潰すとか、大砲をくすねてとかされたら流石に先生に面目が立たねえ」
「夜襲・・・いいとは思うんですがねえ」
聖女とは思えない脳筋思考になんやかんや姉妹見たいですねえと思いつつ、モードレッドの意見に同意。敵の火力が高い場合、あえていなしつつ深くまで進ませたところで包囲殲滅を狙う。という策もある。
姉上の部隊ならそれも軽々壊す、対応もできなくはないし、しかもこの英霊の面々だ。粘れる。けど、この戦争は自分たちのものだけではない。先頭の余波があちこちに伝播して前線広域で大規模な乱戦になる可能性も捨てきれない。
「夜襲は効果があるが、同時に敵の物資や食料もある。つまりは気力を養い回復している状態でもある。ましてや数が違う相手。下手につつくよりはこっちの有利な陣地で防御の有利性を活かしていくほうがいい」
「そういうことです。それに夜襲や不意打ちはあちらも得意戦術としている分こちらの足を見ている分警戒しているでしょう。今夜は森の動物たちを食べるための罠の設置と、防衛陣地の設置をして休みましょう」
なのでま、やれることは姉上たちが帰るまでの間に病院前に私たち以外の兵士たちも使える防御陣地を作って、あとはレジスタンスの方に合流をしてみる。
「もどったよ~クマとウサギ、山菜と薬草を見つけた。罠も設置してきたから今日は鍋をつつこうか」
とりあえず今後の方針を決めて野営の準備をしていると先に森に入っていたダンカンが持ってきてくれた大量のウサギと丸々と太った熊。そして荷車一杯の山菜。アンナの部隊で用意した水もあるし、まあ、スープを作るくらいなら問題ないですか。
食事の方も、野営の準備も良し。そうなると疑問が頭に浮かぶ。
「ですね。あ、熊の胆は胃薬になるのでそれは野戦病院に分けましょうか。で、クー・フーリン。貴方が言っていたメイヴ。現在のケルト軍を率いているかもしれない女王。ですよね? どのような英霊なのです?」
「ん? あー・・・そうだな。知っておかねえといけねえか。はっきりと言えばいい女だろうけど、とにかく自分に正直、我がままでとんでもねえことをすることもしばしばな奴だよ」
『ケルト神話、アルスター伝説に登場するコノートの女王だね。財を狙いアルスター伝説でも大規模の戦争を起こしたり、夫とライバルだったり、破天荒なエピソードには事欠かないよ。妖精の女王マブと同一視されることもあるんだけど、それも納得なほどの交友関係と行動力だ』
「んで、まあー・・・要はアイツ生前から自分の望みと、欲しいものがあれば戦争をやらかす。俺らの時代はそういうものだったが、なかでもアイツは自由だった。男もとっかえひっかえ。男接だけで固めた近衛兵、親衛隊を作ったりでなあ」
「え・・・あの・・・女王。ですよね?」
・・・一応知ってはいましたが、改めて聞くとすさまじいとしか言えないですね。マシュが思わず聞いてしまうのも分かります。火遊び愛人を持つのはまあ貴族でも珍しくないというか有名。とはいえ神話時代とはいえ一国の女王が愛人を大量に持ってしかも遊びまくり。
後継者問題や国の事は大丈夫か? と。というか夫ともライバルという関係性が既にすごすぎる。モードレッドも宇宙猫になっていますし。
「ああ、女王だ。だがそんなのは関係ねえよ。やりたいからヤル。そう言うやつだアイツは」
「貴様も大概だがな」
「あんだとぉ!?」
「四人の女性と関係を持ち、しかもうち一人は一騎打ちで倒して認めさせたのだろう? やりたいからヤる。貴様の言うことまんまだ」
「ぬぐっ、というか師匠をカウントすんな! むしろ怖気が走るわ! それにアイツとは規模が違う!!」
まあ、クー・フーリンの犬っぷりとおつらい過去の方は置いておくとして・・・
「その話は後で酒の肴にするとして」
「すんな!」
「そちらと関係を持つ、知り合いの女王や神の血を引く女性は多いと思いますが、なんでメイヴが主犯だと確信したので?」
「そうだったな。そっちが本題だった。俺もあくまでうわさでしか聞いたことがねえが、あいつは多くの兵士の母と呼ばれていたんだが、実際に腹を痛めてその兵士たちを産んだわけではねえ。あ、一応腹を痛めて産んだ子はいるようだけどな?
で、なんでそう呼ばれるかってーとアイツは自分と関係を持った相手の精液とか、今でいうと遺伝子情報か。それを体に取り込んだ後に人差し指の先を刃物で傷つけて、その血からその関係を持つ兵士の複製が生まれてくる。はっきり言えば複製工場みたいなことをできるんだよ」
「なるほど。それで姉上がそっくりさんが多いとツッコんでいたわけです」
『いやいやいや! それ相当やばいよね!? 華奈たちは瞬殺していたけど神話時代の兵士をいくらでも生み出せるってことだよ!? どおりで剣やら槍、弓矢であの弾丸の雨あられの中に突っ込んでここまで戦えるわけだよ!』
「そ、それがあれば・・・! い、いや流石にクローンはな・・・」
「でも、為政者が軍を操る上ではもってこいですね・・・手段の是非はまだしも合理的かつ早い・・・ストームチームのクローン・・・」
「それ、スプリガンとペイルウィングのストーム1は駄目じゃない?」
「何じゃその能力!! そんな能力あれば馬廻りとか強い兵士を固められるのに! ズル! ズルじゃろそれ!! コスパ最強で精鋭を生み出せるって羨ましぃいいいいいい~~~~~!!!」
「ノッブが発狂しています。まあ、気持ちはわかります。アメリカの広い大地をあそこまで制圧できる兵士たちをたくさん・・・これがあれば新選組も・・・あ、やめましょう。土方さんの軍団とか考えたら頭痛くなり・・・コフッ!」
「ご飯できたわよ~」
まさしく兵士たちにとっての母であり支配する女王の能力。勇士ひしめくケルト神話の中でも納得の女傑っぷりです。そして、ますます発狂する面々にこのくらいの騒ぎはなれているので出来上がったジビエスープを持ってきてくれるアンナ。
ほふぅ・・・荒野は冷えるので焚火とスープの温かさ、肉の味と山菜の味が染みる・・・
とりあえず騒ぎつつもみんなもスープを取り、パンをかじってワイワイ野営を満喫中。
「まあ、とはいえその中で英霊をしばきまわせたのと、真面目にそれゆえの崩し方は思いついたので今は休みましょう。ところで、ナイチンゲールはどこです?」
「あ、それならカルデアから持ってきた治療や応急手当の本、薬草の効能や銀嶺隊の野戦病院の準備のあれこれをまとめたマニュアルに目を通しています。少し前まですぐに動こうと暴れる勢いでしたが、知識を吸収すると言ってまるで椅子や机と溶接したかのように動きません」
「ふむ。スープとドリンクを持っていきますか。英霊とはいえ食事による魔力補給と、気持ちの娯楽、癒しはあって損はなし」
あの美貌・・・看護師。ライバルになりそうな気もしますが仲間ですしね。今は新しい仲間と一緒にローマぶりの野営を楽しみましょう。あー魔獣のモフモフとスープ最高。
「に、しても助かったわ。カルナが負けないでしょうけどあそこで暴れて余計な被害を出したくなかったからね」
のんびり快適な場所に揺られてぽっこぽこ。というわけではなくヘルタースケルターの足をタイヤにした馬車みたいなもの? にけん引されての移動。何でも大統王の側近や将官たちを移動させるときにしか使わない数少ないものだとか。
で、エレナ様は私たちと事を荒げずに済んでよかった。と勝つこと前提で話している。いやまあ、インドの大英雄ですし、しかもその原点でもあまりの強さに搦手で封殺しまくって殺す程でしたけどねえ。でもそれは思い上がり。
「いや、私とストーム、大尉様達がいればその時点で負けていましたよカルナ様」
「え?」
「だって、ストームチーム、インドの神話の神様の一角ぶち殺していますし」
実際はタイムマシンで数千年前に人類を見たさに時間旅行した銀の人。生き恥ペプシマンたちでしょうけど。でも結局世界を作り替えるようなことをしていましたし、伝承の主を潰したという意味でも怪物ですからねえ。
「もっと言えばヴィマナに乗る神様を。ですね」
「・・・・・・ええ・・・」
「幽霊の正体見たり枯れ尾花。となるどころか時空も操る別ベクトルでやばかったけどなあ。その神様もどき」
「なるほど。だからか。神殺しの気配を感じた」
だからまあ、神様、神話体系に関わる英霊は数あれど、インド系は特にストームの特攻スキルや経験がぶっ刺さる。というか多分経験していない相手がほぼいない。そして全員ぶち殺している。
「ただまあ、せっかく守った病院の皆さんの前で自分たちの心の支えと争い、場を荒らすのも嫌だったので。暴れるよりは素直に話をしてそちらの王様を知るほうが早いですし」
「そ、そう・・・ますます、こっちに来てほしいのだけどねえ」
「私たちもこの特異点を知りたいですし、そういう意味では渡りに船ですがねえ。レジスタンスも気になりますし。私たちの軍が動きやすいかも含めて」
「一応、頼めば特権は与えてくれると思うけどね。カルナを倒せるかもしれない英霊を招ける。しかも現代の英霊となれば自分の用意した武器をテストしてもらえると大騒ぎでしょうし」
「王様。科学者か何か?」
藤丸様の質問にごまかすように、あるいは苦笑するような感じのエレナ様。うーん。発明者、科学者・・・うーん。確かに。あれだけの火薬と技術を用意しているとなるとそうなりますよねえ。そして、それが出来るのはキャスター。
近現代史にいますからねえ。毒ガスに肥料に、火薬を空気から生み出したとんでもない天才科学者。私も部員としての中の記憶でちょっと一部ど忘れがありますねえ。うーん。誰だったか。
「ま、せっかく顔見せしてくれるし旅の道連れというかなんと言いますか縁です。サンドイッチどうぞ。サーモンではないですが美味しいと思いますよ?」
「ありがとう。いただくわ。うん・・・おいしい! 両面しっかりパンを焼いてバターも香ばしい・・・ほんのり甘いのは蜂蜜かしら? いい味のチョイスの卵ハムサンドね」
「うん・・・活力が出る。美食を感謝する」
大袈裟ですねえ。サクッと作れるものですのに。蜂蜜も卵を焼く際にすこーしまぜただけですが見抜くとは。本気の料理も機会があれば振るいたいですねえ。
「あ、あの大きな建物です? うーん・・・うーん?」
「なんつーか・・・派手だなあ・・・」
「電飾まみれだぁ・・・夜襲には強そうだけど」
そしてたどり着いた場所はホワイトハウスを意識しているであろう豪奢な城砦。なんですが、いたるところに電球やら電飾。そして色んな機械? のモデルに機械兵が至る所に鎮座。もはや凱旋する王様や将軍を出迎えるような派手さが常にそこにあるというもので、風に揺れる無数のアメリカの旗がそれをなお引き立てる。
これには私も含めてカルデア側は見事困惑。なんでしょうかねえ―地雷臭がプンプン。
「ブラヴァツキー夫人、カルナ様、そしてカルデアの方々。大統王がお待ちです。すぐにおいでください」
「はいは~い。さ、我らが王様に会ってもらいましょうか!」
とりあえず、出会わないことには話が始まらないので早速中に。で、なかにもこれ見よがしに電球と電飾、配線に機械まみれ。顕示欲が・・・顕示欲が強い! そしてここまでされれば馬鹿でも正体が変わるというかここに関わっている英霊の目星がつく!
ストームもまさかという顔ですし。うんうん・・・日本生まれだとあの曲と漫画で絶対触れますものねえ。
「あー・・・もしかしてさあ・・・マスターここの王様って・・・」
「おそらく・・・確かに偉業を成した方ですが」
「でもなんか変な予感するんだよねえ」
そうこう話すうちに少し広い部屋に出て、奥の方に鎮座する執務のための椅子と後ろにある通路。そして
「はははははは!! あの円卓の鬼神! 銀狼と会えるとは! しかもそばには最新の英霊とは! 見識を広められる。しかもこの状況を早くしまってケルトども潰せる! 納期が早く済み、しかも質も良いものになるかもしれないチャンス。ものにしたいものだ!」
すっごい良く通る声が響きながら色々ぶちまけている。
「・・・・はぁまた歩きながら独り言言っている。この癖は治らないのねえ」
「これ独り言かよ!」
「諸君、率直に言って大儀である! みんな、はじめまして、おめでとう!」
そして目の前に出てくるのは筋骨隆々な肉体に、両肩にまばゆく光る電球。身体を包む衣装はアメリカンカラーで彩られ、そして頭部パーツははホワイトライオンそのまま。
アメコミの異色ヒーロー枠がそのまま飛び出してきたような、アメリカ版ライオン丸が出てきたようなその存在に藤丸様とストームは思わず絶句。王様ってよりヒーロー、前線でビームぶっぱなしている方が似合う人? が来ればそうもなります。
「・・・・・・・・・」
「こちらは喧嘩を売ってきたやつらを退治しただけの事。感謝は頂戴しますが、そこまでの事はしていません」
「何を言うか! もう一度言おう。大儀である! と」
「ね、ね、ね? 驚いたでしょ? 華奈の方はすぐに対応できるあたり流石だけど」
「・・・・・・まあ、これを見れば驚かないのも無理はない」
とりあえず拝手の姿勢をとって頭を下げればサイドすごい声量での感謝。いたずらっ子の笑顔を浮かべるエレナ様。そうなるとカルナ様。私はまだしも二人があの反応ですので当然面白いですよねえ。
「い、いやぁ・・・いろいろ見てきたけど、びっくりで・・・」
「英霊って色々いるんだなあ。・・・でー・・・あー俺はストーム1 貴方がこのアメリカの王様。ってことでいいんです?」
ショックが抜けきれない二人もしどろもどろというかぎこちないながらに対応をしていく。あのストームもこうなるって話せるクリーチャーな見た目はなんか不意打ちだったのでしょうか。今まで魑魅魍魎、百鬼夜行の怪物とエイリアンばかり相手してきたのに。
「如何にもその通り。我こそはあの野蛮なケルトを粉砕する役割を背負った、このアメリカを統べる王。サーヴァントにしてサーヴァントを養うジェントルマン! 大統王! トーマス・アルバ・エジソンである!!!」
「「・・・・・・エジソン!!?」」
「いやぁー・・・ですよねえ~・・・さすがに驚きモモノキ」
で、まあ分かっていたとはいえ真名を聞けば驚くのも無理はない。藤丸様はその姿に。ストームはおそらく感じる気配の異色さも相まってますます驚く。珍しいものを見れている私も、改めて本人から聞くこの衝撃は苦笑が止まらない。
「しっかしまあ、かの高名な発明家が今度は王様とは、何が起きるかわからないもの・・・」
「全くですな。そして、貴女が銀嶺隊隊長にして円卓の騎士カナ殿ですか。寝物語、絵本でも書かれていた通り美しい・・・時代も国もまるで違うというのにこうして巡り合えたのは奇蹟といいましょう。私は軍人ではないのですがゆえに、そちらの行動、奮励努力とその功績、あり方は敬意を払うものです。
是非、その力を貸してもらいたい。現場の士気高揚に戦術戦略の指南、自前の領地で二つの国を支えた経済発展の指南などなど・・・わが国には足りないものを貴女達は持っている」
「ふむ・・・・・・なるほど。なんとなしに感じていましたが、そちらの国には将たる存在がいない。ということですか」
「・・・その通りよ。このアメリカ側の英霊はここにいる3名。私と、カルナ、そしてエジソンね。ケルト軍はその数と機械化兵団でどうにか押し返して拮抗しているけど・・・」
「それでもあの蛮人たちは恐れを知らずに我が兵士たちに襲い掛かり、しかも一騎当千のエース。英霊もいる。英霊は英霊でないと倒せない。しかもあちら側は武に長けた英霊が多く、逆に我が国は私とエレナ夫人は前線で戦うタイプではなく、カルナ君も動いてくれているがこのアメリカは広い。
ひとつ陣地を取る間に別の陣地を取られて。の繰り返しになっているのが現状だ」
「通りで・・・だから指揮官らしいやつらもあんまりいなければ練度も低い。鉄の物量と距離の差でどうにかなっていた感じだなあ」
エレナ様が欲しがるのも分かる。私一人を招くだけで円卓一人、準円卓級が5名。そして百戦錬磨。30年以上側で暴れ続けた兵士が3500騎揃いますものね。今はそこにアルトリア様とモードレッド様、マシュと円卓とその騎士王がいるのでさらに。
で、ストームは指揮官経験。大軍を指揮することはあんまりなかった。合っても数十人くらいですがその最新の兵器を研究、量産できればさらにあの機械化兵団たちは強くなる。ストームの武器は確かに強いし怪物も大型船もビルもぶっ壊せるけどそれはEDFの科学力が生み出した兵器。聖剣、魔剣、魔力や加護の籠ったワンオフ物の武装、神造兵器の類とは違って技術と素材が伴えば量産できてしまう。
というか現にカルデアではエミヤ様の魔術で複製したものを銀嶺隊とちびノブ隊に渡していますし藤丸様にもあげていますしね。
現場を指揮できる英霊との戦いを経験している私。武器の情報提供とこれまた一騎当千の怪物のストーム。なるほどエレナ様がしきりに欲しがるのも分かる。
「うむ。なので是非我が国に来てほしいのだ。前線指揮のエキスパートに遊撃手であり武器のデータ提供者としても。他にも英霊はいるのだが、我が国に協力せずふらふらとしていて頼りにならぬのでな」
「・・・うーん・・・その話を聞く前に、三つ質問をしたいです。宜しいですか?」
「構わないとも。英霊二騎を撃破してその主力部隊を現場に張り付かせてくれているのだ。これくらいはしないとジェントルマンの名が廃る」
ニコニコとほほ笑んで執務席に腰かけるエジソンさまと、私たちも椅子を用意してもらい腰掛けることに。
「ではまず一つ。あの獰猛なケルト軍を押し返して戦線を拮抗させている機械化兵団に武器技術の進歩。それはすごい手腕ですが、同時にその武器弾薬をどうやって確保しているので?」
「うむ! あれは私の用意した新体制! この国難を克服し、砕くために考え付いた結論である!! 国家団結、市民一群・・・いや、一軍となっての新星! 老若男女分け隔てない国家への奉仕! いずれはすべての国民に武器と機械化兵器がいきわたりケルト軍を打ち破るだろう。
しかし、そのためには大規模な生産ライン。それを維持する工場が必須。カナ君の質問ももっともだ。だからこそ私は各地に散らばる労働者を集めて監視のもと一日二十時間の労働。その分福利厚生も最上級にしていく。娯楽あっての労働であるからな。常人の三倍働き、三倍遊び、三倍勝ち続ける! それこそが私の目指すアメリカの新体制なのだ!!」
「・・・・・・人間の限界を知らないのかな?」
「「・・・・・・・・あー・・・・」」
藤丸様の発言はごもっとも。ですが私とストームはなんというか、どこもそうなるよなあーと絶句と内心苦虫噛み潰した心情に。私も防衛戦争に侵略者排除、国内の治安維持と走り回った時は真面目に三日三晩動き通してぶっ倒れるように寝て、起きてからまたすぐ三日三晩暴れ続けて敵兵をぶち殺すとかしていましたし。
で、ストームに関しても、失業者は愚か最終的には市民すらも捨て駒に敵にぶつけて時間稼ぎをするような戦いを経験しているのでこの話を聞くだけでもエジソンは見た目とリアクション以上に追い詰められているというか、追い込まれている思考というか。
自身は英霊で疲れは魔力補給さえできれば問題ないのでそのテンポを周りにも押し付けている節も相まってまあ―大変な体制を打ち上げようとしています。でもこれを議論したら話が進まないので、次に。
「では、二つ目ですね。エジソンさま。貴方はケルト軍を敵視していますが、もう一つのレジスタンス。この国から南の方にあるあの地域。あの場所に知っている情報はないですか?」
「ふむ。あの地域はいわゆる受け皿となっている。仕方のない話だが国がある以上その国に合う合わないは出てくるもの。ケルト軍はケルト人以外を認めず民間人も虐殺していたり暴行虐待が普通だが、あの国はそういった避難民、そしてなぜかこの国につかなかった英霊たちがいる場所となっている。
この国の良さを見抜けぬ愚か者と思うところはあるが同時に協力してくれる動きと食糧支援、何より英霊がいることもそうだが少数の兵士で戦い方がうまい。ゆえに同盟に近い関係を結んで現在は双方向から県政をすることでケルト軍を抑えている。レジスタンスの名前は確か・・・マジカル☆ウルフルズ だったか・・・」
「・・・・・っ・・・・」
動揺しないように、小さく息をのむ。もしかして、あの方がいる? 同時に、モードレッド様以外にもカルデアに手を貸すように動いているメンバーを思い出せば・・・・ああ、多分。恐らくですが、あの方でしょうね。ほんとっ。茶目っ気とそういうところがいい男です。
「なるほど。では最後に。エジソンさま。いえ、エジソン王。貴方は、ケルトの駆逐の先に何を望みますか?」
そして、ここが本題と言える。というのも。だ。この聖杯というのは文字通り国一つを切り取り、場所を作り、英霊を呼び出しているほどのとんでもないもの。今までそれを使う敵を倒してきたがその協力者たちは聖杯を望まずに託してくれたもの、助けてくれた報酬としてくれたもの。そもそもカルデアがしっかりと直に回収できたものと様々。
ただ、その聖杯の力を知った権力者が。魔術師のクラスを得ているであろう発明家がそれを求めれば何を考えるか。王として、個人として、権力者として。この戦いの後に聖杯を奪い取ろうという考えを持つ可能性もない。こういう勘は騎士としての数十年。カルデアでの十年。この人理修復の合間に出会った皆様のおかげでより鋭く、少しだけど目が肥えてしまった気がする。
私の質問にエジソンもしばしの間腕を組んで考えた後。
「アメリカの完全なる回復。だ」
「それは「本来のアメリカ」ですか? この特異点のアメリカ「だけ」ですか?」
「・・・鋭いな。君は。そうだ。聖杯を確保した後は聖杯を改良してしまいこのアメリカの焼却を防ぐ。そうなれば特殊な状況だが異なる時間軸にこのアメリカという世界が誕生。いや、あり続けることとなる」
「少し待ってほしいエジソン王。それじゃあ、ほかの国は。アメリカ以外の国はどうなるってんだよ?」
「それに時代も。今は国や土地だけじゃない。歴史が、時代が焼かれている。アメリカ以外の場所はどうするの?」
「滅びるだろうな」
ふーむ・・・アメリカだけを完全に守るために他を斬り捨てる。と・・・そして、聖杯のエネルギーとその力、機能は理解している。ケルト軍の強さも理解しつつも、倒せると踏んではいる。
「なっ・・・! おい!」
「待って、それじゃあせっかく僕らはここ・・・」
思わず腰をあげる二人を制しつつ、会話を続けさせてほしいと制止させてからエジソンに向き直る。
「魔術王に挑む未来は考えないのということでいいですね?」
「ああ、今までの君たちが歩んできた特異点攻略は見てきた。そしてそのうえでの判断だ。このような聖杯をいくつも所持してなお些事と考える者相手に立ち向かい臣民を被害に合わせてアメリカを消滅させては意味がないとな」
「分かりました・・・・・」
なるほど。この人も魔術王。いえ、ゲーティアにビビってしまった口と。ならまあ、話は早い。
「おお! そうかね! では是非カナ君にはこれからの軍事運用について・・」
「行きますよ二人とも! 急いでレジスタンスの皆さんと合流です!」
二人の手を握ってからすぐさま縮地で信長様の所へバイバイ。その前に三人が何かを言おうとしていましたがしったことではない。ふふふ。円卓の騎士が東洋の仙術を覚えているのは流石にエレナ様も対処できませんでしたか。
「うおっ! 華奈先輩!? ストーム1先輩!」
「姉上! 会談は?」
「先輩! ストーム1さん。お母さん!」
「アメリカでの就職話は蹴ってきました! さあ、レジスタンス軍の方に逃げながら出発です!」
「「「「イエッサー!!」」」」
そしてすぐさま皆さんに指示を出して機械化兵団とかが来る前にスタコラサッサ。なんか数十名私たちの方についてくれるアメリカ兵もいましたのでその皆さんも参加。これは愉快な旅になりそうですね。
華奈がエジソンを苦手な理由はやり口を想像しやすいことですね。訴訟やら金をむしり取るやり方が。
ドリフターズでもFGOでも敵の能力にブちぎれながら羨ましがる信長。こういう運命なのかなあ。
華奈とストーム1、アメリカの状況にベストマッチ。いやこの二人の当たり判定が広すぎるだけか。