転生愉悦部の徒然日記 作:零課
「ってわけなんですよ~だからまあ、とりあえずエジソン王もケルトをぶっ潰してくれる存在ですし喧嘩をする前にとんずらしてきたわけでして」
「一応一方的にあちらの防備を見るわけにはいかないし礼儀も兼ねてカルデアとの通信をさせないようにしていたけど、まあ・・・非情な判断かもだけど同時に合理的ね。国を守るという為政者が取る判断として。ゲーティアに立ち向かうことの無謀さもよくわかっているようだし」
「しっかりと国の思ってはいるんだろうな。ただ・・・ロンドンの事を見ないようにしていないかアイツ?」
野戦病院の皆さんに引継ぎとお別れの挨拶をしてからみんなで移動ながらの情報交換。ケルトの方も攻め上がってこないあたり夜襲を嫌がっていたらしく英霊の皆さんで交換して監視をしながら銀嶺隊は魔獣含めて仮眠をとって気力上々。
心地よく夜風を切りながらアメリカの荒野を駆けています。
「まあーですよねえ。エジソン王がアメリカを異なる時間軸にある国にするとして、それでも一度聖杯を置き、特異点としてくさびを打ち込んだ場所。はっきり言えば処刑される時間を引き延ばしにしたようしか思えないですね。直にゲーティアを見た後だと」
カルデアのように観測が難しい状態にするのかもしれませんが、その聖杯のリソースもどこまであるのか。機能が優れていてもそれを動かせるためのエネルギーも直に見ていないうえでの仮定でしょうし、感情も判断も分かりますが内向的かつ目途がうまくいくかもどこまでもが不安定。
ただ、とりあえずそれをガツンと言って決裂するよりは今は泳がせつつケルトと戦ってもらう方がいい。ということで私たちは次の戦力を持つ陣営レジスタンスの方に。
『ちょっと待ってほしい。サーヴァントの反応だ。一騎こちらに来ている。だけど、うーん。ケルト兵のような反応を連れていないし、こちらを見て動きを止めた、宝具を展開するようなそぶりもない』
「こちらでも見えました。見たところ・・・アメリカのインディアン? みたいな風貌をしていますね。全軍停止。防御態勢を取り警戒を解かないように」
ロマニ様の報告と同時にこっちでも見えてきたので一度部隊を停止。ケルト軍、エジソン王の軍に備えるように円陣を敷いてもらいつつ私とアルトリア様の方でゆっくりと前に出て目の前の男に近寄る。
「私たちはカルデアのものです。用向きがあると思いましたが貴方の名前を教えていただいてもよろしいですか?」
「ああ、感謝する。私の名前はジェロニモ。見ての通りサーヴァントであり、レジスタンスに所属しているものだ」
「たしか・・・アパッチ族の誇り高い戦士でしたね。精霊を呼び出せるシャーマンと聞きましたが?」
あっさりと真名も明かして名乗り出てくれるジェロニモ様。世界にインディアンの勇猛果敢さを知らしめた英雄。同時にこのアメリカに住まうものだった一人。
「いやいや・・・そんな大それたものではない。ただの昼寝が好きなものさ。単刀直入に言おう。我らがレジスタンスに協力してほしい。そして、それがたとえ無理でもできればその治療技術を貸してほしいのだ」
「いいでしょう。私も話を聞きたいのでその情報を話してくれるのなら治療でもケルト軍ぶち転がしでもやります。先ほどアメリカ側の話は聞けて私たちもレジスタンスに会いに行く予定だったので」
「な、ほ、本当か! 話が早くて助かる!」
渡りに船とはこのこと。あちらも私たちの方を探していた様子。なのでまあさっくりと受け入れて行動をしようと握手。ただ、治療技術という単語にあの人が反応しないわけもなく。
「治療。患者ですか?」
「ああ、実は我々と協力してくれているサーヴァント・・・」
「英霊でいいですよ? 貴方も偉大な尊敬するべき先達であり戦士ですから」
「ありがとう。偉大な狼騎士に言われるとは。こほん。我々レジスタンス軍の中で狂王と呼ばれるケルト軍の首魁の一人と思わしきものと戦闘をした英霊がいる。が、狂王の力はすさまじくてな。とんでもない深手を負って今は隠れている状態だ。
私の知っている治療や、レジスタンスの治療も施したが現状維持もギリギリ。そこで力を貸してほしい」
「分かりました。患者がいるのなら私はどこへ立っていきましょう。ジェロニモ。案内をお願いします」
『敵の首魁と戦った戦士がいる! それはすごくうれしい情報だ! 華奈。急いで行先をそっちにしよう!』
「もちろんです。ではジェロニモ様。私の馬に乗ってください。私はハチに乗るので。先導と、その間情報を聞かせてくださいませ」
フローレンス様も速攻であちらに向かう気満々。そしてまあ、こちらとしてもさらに情報を教えてくれる相手がいるとわかりウキウキ。急いで軍の陣形を解除してジェロニモ様を栗毛に乗せて移動を開始。
「あ、藤丸様。マシュ。オルガマリー様、モードレッド様、アルトリア様は用意しておいた馬車の中で休んでください。震動軽減。クッションも防音もばっちりなのできっと快適でしょう」
「了解です姉上。朝の方は私が警戒をするのでその時に姉上も休んでください。モードレッド、オルガマリー所長。藤丸、マシュ。休みますよ」
移動しつつ生身のメンバーは私以外を即席の仮眠室、あるいは荷車に扱うように作っておいた馬車で休ませておき、銀嶺隊は速度をやや出しながら夜の荒野を走る走る。
「さて・・・と。じゃあ、ジェロニモ様。現在のレジスタンスについて教えてもらっていいですか?」
「ああ。現在レジスタンスはアメリカの南の部分に拠点を作り現在は拠点周辺を防衛しつつ戦士たちを集めている。そこには英霊が三騎拠点を起点にいくつもの村や集落を作り、現在は工場を建築している。彼らに守りを任せている間私たちが戦士たち。つまりはアメリカに呼び出された英霊たちをかき集めている状態なんだ」
「ふむ。ということは実働部隊はジェロニモ様以外にもいるんです? あ、これ蜂蜜レモンジュースです」
「いただこう。うん・・・!! 美味しい・・・気力がわく。で、その通りだな。私以外に協力している英霊が3騎。ただ、そのうち1騎が深手を負ってある町の方で隠れつつ治療をしてもらっている現状だ。
しかも人手の多さという面と嗅覚の鋭さはケルト軍が上の状況でね。最初はもっと英霊も多かったのだが、協力、連合をする前にケルト軍がその英霊たちを各個撃破していて我々は後手に回っている。正直言えば本来なら守りも実働も倍はいけたはずなのだが・・・敵の行軍速度を見誤っていた」
「うーん・・・先ほどの話と合わせて、さらに私たちの経験も合わせると多分英霊とぶつかったケルト兵は即座に自軍の英霊。私たちが始末したやつらといい、狂王に連絡をして足止めなりをしながら確実に刈り取っていくというスタイルをしているんでしょうね。
物量に任せた壁と攻めをしつつ英霊には英霊。しかも戦闘狂、強力な戦士ぞろいのケルトの英雄たちをぶつけてくる。合理的です」
『全く怖い話だ。蛮族扱いも納得だけど同時にだからこそ脅威の排除に関しての動きも洗練されている。もしかして、ディルムッドたちも華奈たちが暴れた際にその報告を聞いて調べに来ていたのかな?』
あり得ない話ではないですねえ。そしてレジスタンスにも、アメリカにも英霊が来ないほどにあちらは動いていたというのにこれを抑えてどうにか拮抗に持ち込んでいるエジソン王。ふーむ・・・エジソンという男に軍略、武器に明るいという話はない。ただカルナという超一級品の英霊と、エレナ様。それ以外にも何かの要素がケルト軍を抑え込めるほどのあの兵器を作れたということですかね?
「ただ、君たちがレジスタンスに来てくれれば話は変わる。銀嶺隊の機動力、英霊たちがいればより大胆に行動もとれるだろう。仲間を集めてアメリカ側と連携、呼応をしていけばケルト軍を押し返し勝利のきっかけを作れるはずだ」
「ふむ。ではひとつ。質問をよろしいですか?」
「ああ、こちらに答えられることならなんでも。婦長さん」
「それなら私の記憶が確かならジェロニモ。あなたはこの国と戦った人間のはず」
「・・・そうだな」
「この時代を修正すればやはりあなたは敗北した戦士として扱われるでしょう。それでもいいのですか?」
うーん・・・鋭い。そして、確かにとも思う。エジソン王が負ければアメリカが滅ぶさまを見れる。エジソン王が勝てばジェロニモ様の敗北や悲劇はなかったことになる。つまりはこの戦いに参加せずともいい部分もあるよね。その上で何で戦うのかをフローレンス様は気になったと。
「構わないのだよ。私は。・・・勝利も敗北も、所詮は時代の中に組み込まれた点に過ぎない。この時代を潰すということは私の流した血が、私の同胞たちが流した血が無為になるということだ。何かをなかったことにするのは簡単だ。ましてそれが自分の不利益になることなら尚更な。
それでも、それを堪えるのが戦士というもの。『なかったことにする』だけでは小狡いコヨーテだ。皮肉にも程があるがね」
「・・・そうですか。なら、今のところは味方と考えていいのですね」
「ブリテン、もとい円卓の騎士をやっていた私がいうべきかはあれですが、素晴らしい戦士であり、そして・・・高潔です。貴方に私、そして銀嶺隊は敬意を払います。ジェロニモ様」
「いやいや、いくら何でも君は時代が違いすぎる。それに、あの行動をしたのは英国人ではなくアメリカ人だ。だからその温かい気持ちはありがたく受け取るよ。
あともう少しでつく。今度は私から君たちの話を聞かせてほしいな」
それならと私たちの話を行軍の音をBGMにしつつゆったりと今までのカルデアの旅路を話しつつ、余は更けて空は白んでで行きました。
「ふわぁ・・・・・よく眠れたわ・・・」
「んっくぅうー・・・・」
「はふ・・・馬車。快適でしたね」
「おはようマスター、藤丸。マシュ。5時間の睡眠だが熟睡のようだな。簡素な朝食になるがサンドイッチとコーヒーだ。ゆっくり食べてほしい」
「おはようございます。さてと。ジェロニモ様。ここに仲間がいるのですね?」
「ああ、ここにいるのは我々の同胞だけだ」
起きた藤丸様達に簡素な朝食を取らせつつ、ジェロニモ様とも情報交換。小さな町ですが閑散としており人の気配はあっても数十人あるかどうか。あくまでも偵察とこの町の物資調達が出来るか。くらいの人数ですね。
「ふむ。町の資材。木々などは頂戴していいです?」
「住人は避難しているが・・・この状況だ。後で私が説明しておこう。建物の破壊は勘弁してくれよ?」
「大丈夫です。工兵部隊は早急に荷車を作ってください。レジスタンスの皆さんも乗せていくつもりなのでそこそこのサイズを数台」
ある程度の補給は許可をもらえたので早速町の建築資材や木材置き場などにうちの部隊を向かわせて荷車の用意。なんでしたら避難している住人にレジスタンスの拠点に生きがてら物を届けられますしね。
「これがアメリカの、黒船を送った国の街並み・・・ところで、その負傷している英霊とやらはどこです?」
「ああ。それなら」
「ジェロニモか!」
「彼は無事か?」
沖田様や信長様が興味深げに町の様子を見ていると話しこんでくる一人の兵士。どうやらレジスタンスの様で私たちに最初面食らいましたがジェロニモ様がそばにいるので仲間と判断してくれたんでしょう。落ち着いて話を続けます。
「ああ、サーヴァントの生命力はすさまじいな。無事とは言い切れないが、かろうじて呼吸はして生きているよ」
「ではその患者に会いに行きましょうか。早急に治療をしなければ」
「ああ、では彼を運んできてくれ!」
ジェロニモ様の発言で担架に運ばれてくる一人の英霊。しかし、その様子はまあ見ていてすさまじいとしか言えないものでした。
赤い髪を後ろでまとめた中性よりだけど男と分かる顔と肉体。細くも鍛えられた剣士のそれに赤い衣装と籠手を纏い、そばには見事な大剣が一振り。
そして、彼の胸には彼の髪の形状に赤く、いえどす黒いものが混じった血が流れながら大穴が開いており、正直なんで生きているの? って具合のものでした。これには私たち一同も思わず驚愕を隠せない。
「ぐっ・・・げふ・・っ!」
「・・・酷い・・・!」
『心臓を半分ほど抉られているぞ!? よく生きているなあ彼!』
「呪いの類まであるわ・・・とてもじゃないけど現代の魔術師では土台できないようなもの・・・見るだけで悍ましい・・・!!」
「多分神代のものでしょうね。いやしかし・・・ここまでひっどい呪いをぶち込める武装って・・・」
「俺らも英霊の端くれだが、これをされたら流石に生きていないだろうなあ・・・」
いや、ストームと大尉様らの場合多分爆撃かましても生きているでしょ。アーマー的な意味で。しかしオルガマリー様、マシュの顔も流石に青くなりますよねえ。魔術師としての知識が無くても分かるほどの濃密な呪いとえげつない傷口。ローマでの戦場を潜り抜けてもこれはきついでしょう。
うちの魔術部隊でもこれは治癒は出来ない、解呪もできない。治療に長けた英霊や、そういうのに特化したものじゃないと現状維持は愚か鎮痛剤にもなりはしない。
「・・・・まあ、頑丈なのが・・・・取柄、だからな・・・・ぐぅぅっ・・・!!」
「こんな傷は初めてです。ですが、見捨てることはしません。安心しなさい少年。地獄に落ちても引きずり出して見せます」
「くく・・・それは、安心できそうだ・・・! アダダダ!! 貴様もうちょっと手加減できないのか!? 余は心臓を潰されているのだぞ!」
「心臓を砕かれて喋っている方が驚愕です」
「コントしているんじゃないんだから。はぁー・・・ねえ、あんた。これ呪いもあるんでしょう? 祈りでどうにかできないの?」
「これは・・・いえ、私の力でも通用するかどうか・・・」
ジャンヌ様でも駄目ですか。そしてまあ、うん。とてもじゃないですが心臓潰された人のやり取りではないですよねえ。この規格外の生命力。怪獣でも心臓は弱点だっていうのに。で、目の前では四肢切断をしてしまおうというフローレンス様の提案にドン引きするレジスタンスの一同。
それは勘弁してくれという英霊と絶対に治して生きさせるから黙っていろと言わんばかりのフローレンス様の押し問答。やっぱりコントでは?
「えーと・・・あの、そちらの英霊の方は? この国の英霊ではなさそうですが」
「よ、余の事か!? 余はラーマ! 偉大なるコサラの王である! 詳しくは・・・アイダダダダ!! 『ラーマーヤナ』を読め。以じょ・・・っああだっだあ!! 待て待て! それ以上は流石に・・・ぐぉぉぉおっぉお!!?」
「・・・悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい・・・・・・! 追いかける死の速度を鈍くできても止めることは出来ないの!? いいえ、諦めはしません。この肉体が生きている限り、私は己の務めを果たすのみです!」
うーむ・・・私も合間合間に呪いを切ろうとしていますが、フローレンス様の治療と合わせても痛みを緩和したり抑え込むだけ。はっきりと言えば鎮痛剤や解熱剤のようなその場しのぎ以下。死という概念を強烈に叩き込み、加えて霊核に与えたダメージ。
まるで神霊、大神レベルが放った死の呪いそのもの。
「ああ、ナイチンゲールさんお手柔らかに!」
「ふむ・・・この呪い、傷・・・覚えがあるぞ・・・」
「本当!? エミヤ!」
「仕方あるまい・・・何しろ相手は、クー・フーリン。アイルランド最強の英雄だ」
そして、戦ったラーマ様からのこの深手を与えた正体は、クー・フーリン様。
「え、オレッ!!?」
「はぁ・・・貴様というやつは。ケルトにいるのは納得するがな・・・」
思わず全員の視線が集まってしまい、ドン引きされる視線も多々。いやー英霊のシステムのせいでご愁傷様です。
「いやいや! 俺アンタと戦った覚えはねえぞ!!」
「なに! やつが来ているのか・・・!? あ、いや・・・貴様、ではないな・・・その槍よりもえげつない槍、そして纏う空気も、立ち振る舞いも似てはいるが別ものだった・・・いづづ! おそらく、別の側面で呼ばれた貴様であろう。うぐぅ・・・同じ気配を持つ朱槍でも、別ものだった」
「おそらく本気で戦う時のモンスターモードとか、何かの細工があるんでしょうねえ。同時に納得です。私も呪いを切ろうとしていますが切った先からすぐに呪いがラーマ様を蝕む。フローレンス様の治療と含めてもまだ足りない」
しかもこの状況で人の気配と血の匂いを引き付けたかワイバーンやらも出てきて・・・はー積み荷に積む食料が増えたと思いましょう。
「モードレッド様。対応お願いします」
「よし来た!」
とりあえずモードレッド様に任せて、治療の方針を考える。
「オルガマリー様。クー・フーリン様。一応聞くのですが、其方から見ても心臓付近に渦巻くあれは呪いで間違いないですよね?」
「ええ。心臓を破壊する。という因果の呪い。と、同時に濃密な死の気配・・・あの英霊に二度も戦わないといけないとか・・・あの時はテストみたいなものだったけど・・・思い出すだけで・・・」
「あー・・・ああ、強度は違えどまず俺の槍でぶち抜いたやつだな。インド神話の大英雄だから耐えたと言ってもいい。本当にとんでもねえな」
フローレンス様の治療で治した先から傷口が広がり壊死していくというとんでもない状態を見つつ、自分の側面の攻撃と現代では最高峰の魔術師の一人から見てもらいそれは呪いで問題ないと太鼓判。
じゃあ、これが早いですかねと・・・
「む。貴様。一体何を・・・」
「えいや」
「ぐおぉおっ!?」
「殺菌!!」
「あばふっ!!」
「お母さん!!?」
「姉上!?」
陽炎をラーマ様の脇腹に、臓腑に突き刺さらないようにぶすりとしたらフローレンス様に殴り飛ばされました。あだだ・・・思った以上に響く・・・
「い、いきなり何・・・を・・・? む・・・い、痛みが和らいだ・・・いや、酷くならぬぞ!?」
「・・・ドクター。一体何をしたのです?」
「あつつ・・・私の脇差の陽炎は呪いや魔への浄化や特攻を持てる刀剣です。神代が終わる時代とはいえ、その時代に鍛え直された刀です。その刀の力を直に叩き込めばあるいはと思ったんですが・・・ふむ。効果覿面ですか」
やっぱりエクスカリバーなどを渡してくれた湖の乙女に鍛え直してもらった刀剣。効果はあると。
じゃあと一度刃を抜いて、鞘に納めてラーマ様に埋め込んで、えーと・・・呪い対策のアクセもついでに・・・うーん。魔力の消費はワイバーンをステーキにして食べて補いますかあ。なんかまだ戦闘続いている当たり数十匹単位で来ているようですし。
『いや、さいしょからそうしようよ華奈・・・でも、今なら治療はどうかな?』
「む・・・心臓が治療できました。が・・・完全ではない。完治とは言えません・・・ドクターでも駄目とは相当ですね」
「激痛が走るのは止まらぬが、それでも戦えないわけではない! それに身体にも力が少しづつ・・・うん。いけるぞ!」
「大人しくしていなさい。もう少し休んでおくべきです」
「ですね。まずは肉やごはんを食べて血肉をつけて元気になりましょう。今ワイバーンを仕留め終わったのでちょっと料理してきますので。レジスタンスの皆さんもどうです? 腹肉と足の方はやわらかくていいですよ~♪」
「うわははは。アメリカンステーキを朝食の後にすぐ食べられるとは贅沢だのう」
「あれうまいんだよな~大尉らもいずれやると思うから勉強しに行こうぜ」
「っはぁー・・・! 生き返る気持ちだ!! 感謝するぞ華奈殿! このくらいの痛みなら我慢できるし、婦長殿の鎮痛剤も効いてこんなにおいしい食事はアメリカに来て初めてだ!」
「飲酒は駄目ですからね。心臓が9割5分復帰したと思えばすぐに豪快に食事もできる。インドの英雄とは規格外なのですね・・・」
「これがワイバーンの味。うーむ。バイソンよりおいしい肉があるとは・・・! これは癖になるな。お酒もあればよかったが、贅沢は言っていられない。おかわり貰えるかな?」
「ふっふふ。これで治療はもう一息。なんですが・・・うーん。出来ればケルト軍と本格的にぶつかる前に完治させたいですねえ」
みんなでラーマ様のある程度の復活を祝いワイバーンステーキとテールスープ。バケットで食事会。エジソン王のもとから離れたメンバーにレジスタンスメンバーもワイバーンをここまで食べられるとは思っていなかったようでみんなうまいうまいと驚きながら舌鼓を打っております。
豪快に食事をかき込むラーマ様をフローレンス様がたしなめつつ、同時にまだ完全復活とは言えないラーマ様の治療についてはどうしたものかと首を傾けてしまう。
「私の鞘を使わずともこれとは流石ですが・・・呪いを抑えているだけで、姉上の武器を使っている以上英霊の数は増えましたが、やはり完治してほしいですし、どうやって治しましょうか」
『うーん。もしかしたらだけど、それをできるかもしれない方法がある。賭けみたいなものだけど』
「ロマニ。それは一体?」
『そうだね。一つはラーマが英霊という存在ゆえにその存在を補強、後押しできるかもしれないということ。で、もう一つはここは特異点。世界がぐらぐらと不安定な場所だ。ケルト軍もあやふやで、英霊も呼び出されては戦い、殺され、今もどこかに召喚されているかもしれない。この国は今アメリカとケルトの存在と英霊の戦いで揺れ動いている。
その中にラーマの存在を補強できるような。具体的にはいくつもの武具を持ち、多くの伝承を持つラーマのそばにいた英雄たちの補助や生前のラーマを知る者。生前のラーマを知る者であればミス・ナイチンゲールの死を取り除く。治療の効果もより上がり、華奈の陽炎が呪いを押し出せる助けにもなるはず』
なるほど。確かに神々では殺せない魔王を退治し、多くの英雄伝を持つインドの伝説的大英雄。英霊の格でいえばクー・フーリン様にも引けは取らない。いや、むしろ神代の時代の深さ的にはこちらが勝る部分もある。
そんな彼に、ラーマ様に近づければこの呪いをはじき返す。そのためのバックアップも既にあるから押し返せるだろう。と。この話を聞いていたラーマ様の食事の手がぴたりと止まる。
「・・・一人、いる。この世界のどこかに召喚された英霊が。それは余と同じ時代から召喚される英霊。我が妻シータだ。余もまだこの目では見ていないが、必ずこの世界のどこかに囚われている。余はそれを糾弾し、彼女の居場所を知るためにクー・フーリンと刃を交えたのだ」
「妻ですか。ならばきっとラーマ様の縁によってここに来たのでしょうね。それなら尚更にありがたい。では、とりあえずお嫁さん救出ついでに移動中にケルト軍に出会えばアナル地獄賞でも与えて話を引き出せるよう試しましょう」
「あ、アナ・・・?」
「あ、お母さんの言うことは半分流していいので。たまにぶっ飛んだ行動をしますが・・・シータさんを助けるために最善を尽くすというのは確定ですので」
「う、うむ・・・ありがたいが、下手に怒らせないほうがよさそうだな」
大分言うようになりましたねえマシュ。これくらい元気な方が可愛いってものでうれしいです。まあ、それはそれとしてケルト軍はアナル地獄賞は確定ですけど。うちのオカマとゲイに食べていいと許可出しておきましょ。
ラーマがフルアーマー状態で来たら速攻で召喚室の一角が武器まみれになりそう。確か原点でも数ページに及ぶほどの武器をもらっているんですよねラーマって。