転生愉悦部の徒然日記 作:零課
「む。敵の斥候だな」
「エミヤ。仕留められるのなら仕留めておきなさい」
「所長さん。敵兵の方もうちの斥候が見つけたわよ。数は4000ほど」
「オルタ、信長。いけそう?」
「もちろんじゃ。このくらいなら20分もあれば全滅じゃろ」
「じゃあ、殲滅をお願いするわ。レギアたちにも上空からの火力支援でかく乱してもらうから」
華奈さんらと別れて移動中。たびたび500~5000ほどのケルト兵にあっては先んじて不意打ちで蹴散らすということをしばしばしつつ、行軍を繰り返す僕ら。
銀嶺隊。その直下兵を借り受けたジャンヌオルタは特にイキイキしていて、同じくテンションアゲアゲな信長と、華奈さんらと一緒に行けなかったことでふてくされている沖田と一緒に敵を撃破している。
「ふむ。ならこの移動中になるが現状を話していこう。まずは今から合流する英霊だが、ともにクラスはアーチャー。真名は本人らから聞いてほしい。どちらとも名うての英霊かつ、ゲリラ戦に秀でている。よほどの強敵に合わない限り敗北はないだろう。
ただ、その上でその戦術もケルト軍の数に関してはあくまでも抑制的効果でしかなく、あちらに大きな被害は与えられていない。ケルト軍はそれほどに多く、縦横無尽にこの大陸を荒らしまわっている。分かり易過ぎるほどに蛮族的にな」
「縦横無尽? 蛮族的。には納得がいきますが、その話しぶりだと組織的活動はしていないのですか?」
「確かにそうね。私たちが出会った英霊の率いた軍はちゃんと統率も動きもしっかりしていたけど」
「あれは対英霊用の軍。言ってしまえばあそこだけはしっかりとした指示と命令がある部隊。と言っていい。客観的に見て組織的動きは最小限だが、それでも邪魔なものを排除するための用意はする。後は各々が好きに暴れてしまえばそれで事足りると相手は考えているのだろうさ。目的は大陸の掌握。そこだけ抑えておくことを考えておけばいいと」
「あー・・・まあ、そうだな。俺らの時代は個人の喧嘩から国や都市の戦争に発展ってのも珍しくなかったし、気がついたらすぐに喧嘩や戦争、敵より味方の方が怖いなんてのはしょっちゅうだった。メイヴのやつもそこを分かっているんだろ。軍としてやらせるよりも、形として軍の名前は付けるが、好きに暴れさせて飲み食いするために、殺しや戦いをするために制限をつけないほうがいいって」
何とも蛮族的なクー・フーリン直々のケルト講座に一同ドン引きするがそれも納得だ。
あの3万の軍以外では斥候などはいるけどあくまでも最低限のものらしく銀嶺隊の面々も個の強さはあるけどそれだけなので対応がすごく楽だと言っているくらいだし。
「なるほどのお。変に目的をお上の方からあれこれ言うよりも飯や女や金に酒、殺しを求めて動かすと。実際、即物的、実利的なものの方が動かしやすいというものよ。武田と上杉の川中島の戦いなんぞまさしく銭を手に入れやすい地域を求めての戦いだったしのぉ」
「はぁ。いつの世もやっぱりそういう部分はあるんですねえ。まあ、実際ご褒美がすぐそばにあるほうがいいのは分かりますけど」
「ただそれでもこの強さ、あの野蛮さを引き出すという意味ではメイヴとやらも悪くはないんじゃないかの。下手にぶつかれば兵法の常識に当てはめた分だけめんどくさい動きをしてきそうじゃし」
もう片をつけたのか戻ってきた信長と沖田さん。やっぱりというか、華奈さんの直下兵はものすごく強いようですぐに始末できたそうな。
「あれ? ジャンヌ達は?」
「大尉らと一緒に斥候の勉強をするためにと言って追撃の後前に出ているぞ」
「獣相手に人の戦いを持ち込んでも通用はしないということか。なるほど、英雄王が貴様を犬呼ばわりしていたのも納得だ」
「うるせえ! それでも強いし生き残ったやつはさらに強くなれたんだからそういうものだったんだよ!」
ギャーギャーと騒がしくも愉快に行軍を続ける中、遠くに煙がみえ始め、同時にジャンヌ達から無線で連絡が入る。
「マスター、所長さん。聞いているわね? 目的の町らしいところで既にケルト軍と英霊らしいやつらが交戦中よ。私とバカ聖女で先に支援していくから、銀嶺隊の方もすぐに突撃の用意をさせておいて」
『こっちでも確認できた。英霊の存在を複数確認。町の中の遮蔽物を活かして敵軍を食い止めているようだ!』
「了解。オルガマリー所長。マシュ!」
「ええ。銀嶺隊。突撃用意! マシュの部隊以外は二手に分かれて町の包囲をしているケルト軍の排除。マシュの部隊と私たち本隊は町中に強行突破をして合流を図るわ。お願いね。花子ちゃん」
そういって所長を乗せている花子相図をすれば魔猪の花子ちゃんもコクリと頷いた後に猛ダッシュを始めて銀嶺隊もすぐさま行動に。どんな英霊たちかな。ゲリラ戦のプロってどんな人たちなんだろうか?
「うーん・・・・・これ、調理できるのかしら・・・?」
「脂を濾していけば魔術の材料とか、味付けにはできそうだけど・・・食いでは・・・なさそうだなあ」
「でもでも、せっかくですしワイバーンの例もあります。食べてみましょうよ!」
「やめておけ。食べられたとしてもバラムツのようになりかねん」
「そういえば、戦争末期の際に食べて酷いことになったやつがいたような・・・」
「思い出させないでください。おかげでひどい目に合ったんですから」
『流石にこのヘドロみたいな油を出す魔獣はやめたほうがいいと思うなあ・・・とにかく戦闘お疲れ様。アーチャーの二人のおかげで大分楽に済んだね』
ケルト軍をあっさりと蹴散らし、出てきた脂を纏う大柄の四足歩行の生物も軽々と始末。その後にジャンヌ達が食べられるかどうかを大尉さんらと話しつつワイバーンはまた解体していると僕らの前に二人の英霊が。一人は美少年で金髪を少しのばした柔らかい笑顔とシャツの上から黒のジャケットスーツ。腰に下げているリボルバーが特徴的。
もう一人は整った顔立ちと片目を隠している茶髪の髪の美青年。全身を緑や渋茶色の装いで隠し、ボウガン? らしきものを持っていて、どこか冬利さんに似ている雰囲気だ。
「よ、あんたらがジェロニモのおっさんの言っていた援軍かい?」
「いやー助かったよ。いきなり双子の女性二人が旗やら剣を振り回し、軍人らしい人らがマシンガンで大暴れした時は最初思わずエジソン軍が来たのかと」
「あはは。うちの自慢の英霊たちです。僕は藤丸立夏。しがないカルデアのマスターです」
「私はマシュ・キリエライト。藤丸先輩の後輩でファーストサーヴァントです」
「フォー」
「こっちはフォウっていうカルデアのマスコット? らしいわ。私はオルガマリー・アムニスフィア。カルデアの所長です」
僕らであいさつをすると二人とも笑顔で握手にも応じてくれて感謝をしてくれた。どうやら二人でかなりの時間ケルト軍を相手し続けていたようで、町の建物を遮蔽物や隠れる場所にして不意打ちや罠で対応していたけど戦の音を聞きつけて敵がひっきりなしに来て困っていたところに僕らがちょうどよく来たという感じらしい。
「流石に孤軍奮闘、一人で戦う時はなれているけど流石にくたびれましたねえ。オレの名前は・・・めんどくさいし言っておくか。ロビンフッド。クラスはアーチャー。で、隣のコイツがー」
「なんだ。あっさり明かしちゃうのか。ズルいなあ。それじゃあ僕も明かさないわけにはいかないじゃないか。僕はウィリアム・ヘンリー・マッカーティ・ジュニア。人呼んでビリー・ザ・キッド! この国を守るためにこの国のサーヴァントである僕が呼ばれたようだね。クラスは当然アーチャー。よろしく!」
「おおぉ・・・! あの二人が!」
「はい! アニメでよく見た二人です!」
僕は漫画とかでモデルにされている二人を。マシュは多分華奈さんから見せてもらったアニメで見た二人を直に見れて興奮気味。いやあ、アーチャーと言えば思い浮かべる代名詞の二人だ。
「二人とも生きていて何よりだ。カルデアの組織。そしてそこにいる円卓の騎士カナの軍団で来ている状況だ。二人以外には誰かいるのか?」
「避難できなかった、遅れた住人が少々。怪我をしていてね」
「それでしたら、既に食事と手当を終えて、簡素ですが荷車を今作ったのでそれに乗せています。そのまま避難もできるかと」
「全く。人間は不便ね。少し傷を負ったくらいで何もできないんだから。ま、あの戦の中で声を殺して英霊二人のジャマにならないようにしたのは良かったんじゃないかしら?」
その住人の手当ても移動手段も確保していたらしいジャンヌ達が戻ってきて人を助けることが出来て笑顔のジャンヌと人のもろさをあれこれ言いつつも助かったことへの評価もくれるジャンヌオルタ。なんやかんや、フランスのころより丸くなっているなあジャンヌオルタは。
「そいつはよかった! で、それなら住人の避難に僕らもやることはやった。次は何をするんだい? ジェロニモ」
「うむ。それに関してだが、その円卓の騎士カナと騎士王らがレジスタンスの拠点についていてな。今後どうするかを話すそうだ。一度拠点に戻りつつ避難民や同胞になりたいものらを受け入れつつ戻るべきかと考えている。
君らを休ませつつ、実働部隊の再編成を考えるためにもね」
「私も同意見だわ。それに、今後レジスタンスと協力するうえでもトップがそういう思想を持っているのか、本当に助けてくれるかを見極めないといけない。エジソン王のような場合だと、最後には戦うなんてこと人るのはごめんだし」
「では、一度引き返そう。この町から持っていける物資と住人を乗せて移動だ。すぐにケルト軍らが血の匂いにつられてやってくるはずだ」
ひとまずの合流と成果を見せたことで僕らは一度レジスタンスの本拠点に移動することに。華奈さんたちは一体どうなっているのかなあ。
「皆さん。ご飯が出来ましたよ。ってあら・・・? 看護師さんは?」
「あーレジスタンスの医療施設の機材や薬品を見に行くと言って、あと患者がいるのなら手伝うと言って飛び出していきました。ラーマ様もそれに引っ張られてしまったので、あとで振る舞いましょう。ちなみにイグレーヌ様は?」
「お母様も病院の方でお手伝いを。後畑を耕すということで水まきと雑草むしりを」
「相変わらずですねえ母上。まあ、今は栗毛やハチたちと戯れているのかも?」
あの後とりあえずということで軽い食事をとりながらレジスタンスの皆さんと顔合わせと相成り、主力の皆さんの顔を見せてもらうことに。
バケットにジャム、バター、紅茶にベーコンとコーン、は野菜の炒め物にスクランブルエッグ。コンソメスープにポテトサラダと戦時下とは思えないほどの豪華さだが、これでも質素なもの。らしい。相当いい運営しているようですねえ。
「ウオッホッホ。いやいや。華奈君とまた会えるとは。王や姫様。ジャック君と会えた時も驚いたが、全く楽しみは死後も増えるものだねえ。相変わらず元気そうで」
「華奈殿とまた轡を並べて戦える。しかもこの大陸を救うとなればまさしく騎士の誉れ。ヤマジ殿もいるようですし腕がなりますな」
そして、懐かしい顔というのがこれまたオークニーで一緒に働いたコ―ウェン将軍とジャック将軍。モルガン様はロット王・・ではなくロット様を召喚した際に更にこの二人も召喚していたようで、ジェロニモ様が拠点を守備している英霊の三騎というのがこれまた納得のいくものだった。
「私もお二人と会えるとは思いもしませんでした。が、同時にこのレジスタンスの拠点の豊かさと民草の様子を見て納得が行きました。確かにロット様とお二人、モルガン様達ならこれくらいの善政はたやすいでしょう」
「いやー兵士も気合充実。子供らも遊んでいたり本を読んだり。まるで平和そのものみたいな様子だったからなあ」
ストームの言う通り、レジスタンスの領地内は確かに子供たちも働いてはいたが、無理のないものであり誰もが疲れを感じつつも希望と安心を持っていた。同時に神代の時代からひたすらに研鑽を積み重ねたモルガン様とイグレーヌ様の魔術。そして国の運営、財務を回したり宣伝、兵站の用意は一級品のコ―ウェン将軍。守りならアルトリア様も突破をやすやすとさせないほどの守りを見せるジャック将軍。
そして私を含め皆を全力で活かせるように采配を振るいつつ定期的に催しで国をにぎわせ、財務調整、官民へのバランスもとっていたロット様。なるほどこれくらいは出来ることなのでしょうねえ。英霊として得た現代の知識と超絶パワーアップしたお母様と愛妻がいるんですから。
「ふふふ。華奈君にそう言ってもらえるとはおじさん頑張った甲斐があるなあ~」
「父上。鼻の下のばしているぞー母上に抱き着かれてデレデレだなあ。おー熱い熱い」
「からかうものじゃないですよモードレッド。姉上とも夫とも千年以上久しぶりの逢瀬。味合わなくてどうするというのです」
で、まあそのモルガン様は配膳が終わるやロット王の腕に自分の腕を絡ませつつ私の胸に顔を突っ込んで私吸いなるものをしている始末。これでいいのかレジスタンスの女王様。声と表情はキリっとクールなのに行動がもうどうしていいのやら。
「カカカッ! まあ、いいではないか。戦時下で平和な夫婦や時間は貴重だ。そして・・・王がこれほどの剣士と知り合いで、しかももう一人の銃使いもかなりのもの・・・もしよければ一手死合わなぬか?」
私を見つつ器用にお箸で食事をしている赤髪の精悍な顔立ちに鍛えられつつもしなやかな身体。人を射頃さん目で。というか今すぐにでも殺し合いをしたいと言っている男。近現代史にあってその強さ、技は神槍と詠われた武術の大達人、李書文。
「はははは。せめてカルデアが合流するまで勘弁してください」
「いやいやー王様達も凄いですねえ。このような美女がお姉さんかつ有能な剣士とは。欧州きっての騎士の一角円卓とは。私ともよければ是非模擬戦でいいので一戦を!」
そしてもう一人。白銀の髪の毛を後ろに結っておりその豊満な女体とくびれ、美貌は着物に負けない美しさ。食事が出るまでは鯉口を鳴らしまくって私とストーム、ラーマ様に挑発しまくっていた剣豪宮本武蔵。
ジェロニモ様達がアメリカ各地で英霊を探す中、生身で領地内に現れた武蔵様と、ケルト兵をぶっ飛ばして回っていた李書文様をジャック将軍が勧誘していたようでこの二人も客将、食客という扱いで現在はレジスタンスの遊撃隊に所属しているそうです。
で、武蔵様の方は私を性的な目で狙いつつも斬りあいもしたいようでギラギラと視線が痛い。この状況にわははと笑う皆さんも全く。うちの変人どもに慣れてしまったせいですかねえ。割と何割かマジで命狙われているというのに。
「はぁー・・・じゃあ、私と、アルトリア様もよければ手伝ってくださいな。この二人相手を連戦は骨が折れます。んー・・・おいしい・・・腕を上げていますねえ。モルガン様」
「はい。それと姉上は華奈に引っ付きすぎです!」
「いいじゃないのアルトリア! 貴女はここ数か月好きな時に味わえたんですから! ああ、それとロットさん。華奈に頼みたいことがあるんじゃなくって?」
「そうだねえ。華奈姉上。出来れば私たちレジスタンス軍に参加してほしいのはもちろんだが、出来ればその勝ち方、あり方にも今回は贅沢を求めたいんだ」
どっちがアルトリア様か、モードレッド様か、私か、ストームとやるかとじゃんけんをしている武蔵様と李書文様。食事を楽しんでいたロット様はその手を止め、考えていたことを話す。贅沢な勝ち方。とは変な注文です。
「贅沢? ですか」
「ああ、この数の英霊たちと、エジソン王らの機械の軍団を合わせて戦えばそれだけでも十分にケルト軍を押し込める数にはなるとは思う。それで焦った敵の総大将が出れば袋叩きにもできるだろう。
ただ、この大陸、大地に生きる人らは英霊の力や科学の技術だけで終わったと思ってほしくない。人類の希望と未来を取り戻すための戦いであり、合理の怪物かつ夢を追い求めてきた人らも多くが生まれるこのアメリカという国。彼ら自身の手でも取り戻せる。そう言う勝利を与えたいんだ」
「ふーむ・・・なるほど。つまりはアメリカ国民をケルト軍相手に機械兵や英霊に頼り切らず自分も銃を持って前に出て押し返す気概を持つ様に練兵しろと? その上で暴れて来いと」
「そういうことだ。それに現実的な話この広い大陸で敵と戦う以上人手は欲しい。勇気ある歩みと古代の戦士に負けない積み重ねをしているんだって見せていくことがカギだと思うんだ」
なるほど。軍の数を増やし、質を増やすことでケルト軍を押し返す意味でも、英霊たちに甘え寄りかかるのではなく自分らでも勇気を持つように。ですか。
「それは私としては受けたいですし、一度オルガマリー様にも話を聞いてもらいましょう。その上でいいのなら、武蔵様、李書文様の相手もしつつ兵士の練兵もケルト軍相手に突撃乱射出来るくらいには鍛えます」
さてさて。一応聖杯のあれこれも聞いておくのとかもありますが、細かい話はカルデアのもう一つのグループが戻ってから。そこでの談義の上で、どう動いていくかを決めましょうか。
愉快な仲間たち勢ぞろい。オークニーでの仲間と達人と剣豪参戦。大分人数がすごいことになっていますねレジスタンス軍。