転生愉悦部の徒然日記 作:零課
「おぉお・・・何て美しい・・・派手、荘厳ではないが、牧歌的で、のどかで、でも活気がある」
「これが円卓の狼騎士の領地。ブリテンを支えた産業、穀倉地域・・・」
『おそらくこのアメリカの中では一番豊かで、一番平和な場所だろうねえ。しっかり戦闘経験も積んでいる堅牢な城砦都市であり豊かな農地。銀嶺隊の家族と領民が住まう安住の場所だ』
私たちが展開した銀嶺隊と私の領地に驚く皆さん。そして千数百年ぶりの懐かしい故郷の顕現に感動する皆さんとで反応は様々。
「これが華奈の、いえ、マシュとの第四宝具。すごいわね・・・固有結界とは違うけど、規模も何もかもが桁違い・・・」
「わぁー・・・のどかだぁ」
「ふふふ。ボケっとしている場合じゃないですよ。皆さん! 今日は銀嶺隊と、新しい仲間の出会いや再開を祝して宴をしましょう! 明日から大忙しで動く分、今のうちに飲んで騒いでください! 酒蔵も食糧庫も全部開いていきますよ。
銀嶺隊婦人会に少年隊も動いて動いて!」
でもせっかくなので気合と景気づけも兼ねてうちの領地の食料を開放してレジスタンスへの食糧と酒を振る舞い宴を簡単に開きましょう。今から夜ですし、夜戦をするには危険ですからねえ。領地の皆さんは大喜びで、レジスタンス、カルデアの皆さんも喜んでそのまま宴にしゃれ込みました。
「お姉様。そう言えばこちらのラーマ君でしたっけ?」
「余に何か?」
「かの朱槍の呪い以外にも魔獣というか、何かの呪いもあったりとでこの人、生前に何やらかしたんです?」
「あー・・・ラーマ様が現在求めているシータ様に関してのものですが・・・」
宴を一通り楽しみ、夜に私の館。モルガン様達には民宿というか、リゾートスパ? な場所で夜風に当たっているとふとモルガン様が酒を飲んでいたラーマ様を連れてきて私に聞いてくる。流石にモルガン様は気づきますかあ。
ただまあ、この内容は正直な話、私達的には少し嫌な話なんですよねえ。
「よい。余はハヌマーンや猿の軍団を率いて戦いをしていたが、その猿同士の争いで味方のスグリーバを救うために敵対していた猿、バーリを騙し討ちしたのだ。
その際に、そのバーリの妻の猿に呪いをかけられたのだ。余はたとえシータを取り戻したとしても喜びを分かち合うことはない。とな。そしてそれはそうなった。魔王ラーヴァナを倒した後も不貞を疑い、追放してしまったのだ・・・」
「なるほど。国王なのでしょうがないですが、正直そこまで愛した妻をそうやってしがらみや風評で捨てるとは馬鹿々々しい。呪いといいますが、貴方の弱さもあるのでは?」
「うぐっ・・・その通りだ・・・そしてその呪いは今もあり、決して聖杯戦争で余が呼ばれればシータは呼ばれず、シータが呼ばれれば余は呼ばれぬように英霊の座を同じにしておきながら会えないようにしている。ただ、今回のような状況ならもしかしたらと思い・・・」
「まあ、モルガン様の言うことは確かですよねえ。神々も不貞はなく純潔だって一度しっかり証明したのに結局は追放しているので・・・で、その呪いがどうしましたか?」
モルガン様もあわや純潔を奪われて好き放題されかけた経験があるので、そこを必死に助けてくれる存在が風評に囚われて追い出しましたとか王族ゆえの辛さは分かりますがそれならそもそも来ないほうがと思うのも。
「ふぅー・・・まあ、その前にラーマ君。貴方はもうシータちゃんを疑うことなく愛したいの?」
「もちろんだ! そのためなら余は何を捨てても構わない!」
「よろしい。お姉様。ラーマ君の別離の呪いレベルなら私サクッと解呪できるのですが、綺麗に切り離してちょっと使い道を考えているので、よければ手伝ってもらっていいです?」
「ああーなるほど。ええ。いいですよ。じゃあ、早速しましょうか。酒も飲んでいないので酔いもないですし」
妻を思う旦那としての覚悟を見てモルガン様もにこりと微笑んで呪いの解除と何やら考えている様子。まあ、どうせ面白いことを考えたりレジスタンス、アメリカのためになることでしょうし私も手間が省けて有難いので桜花を抜いて手のひらを切って血を桜花に吸わせる。
「なっ!? で、出来るのか!? 座にあるほどの呪いだぞ!」
「もちろん。あのろくでなしと一緒にいざという時はお姉様を英霊の座からアヴァロンに保護できるようにしっかりと理解も術式も組んでいますので。これくらいは軽いことです」
「全く、本当に私の妹は頼もしい限り・・・・で!」
神代の猿。しかも神々を従えさせる魔王に戦える猿の軍団の敵対者の妻。中々に重い呪いなので概念を切るための切れ味をあげるために桜花に血を吸わせてあげた切れ味でラーマ様の中にある呪いの一つに狙いを定めて振るう。
キィン。と心地よいととともに、斬れた。確かな手ごたえを感じます。成功ですね。
「・・・捉えました。ほほう。これは中々。ですが、逆恨みの呪いを延々吐き出すものなんてくだらない・・・ふぅ・・・解除も完了です」
ラーマ様からあふれたどす黒い猿叫をするもやを結界で捉え、即座に光で包んだと思えばそのもやは完全に消え去り、代りに小さな光が。
「あ・・・・な・・・な、ない・・・? ない!? ないぞ! 余の中に感じる呪いが! か、完全に消したのか・・・・・本当に・・・感謝するぞモルガン殿! 華奈殿!」
そして自分の中の呪いも理解していたラーマ様もその呪いが完全に消えたことを理解してすごく驚いた後に頭を下げる。まあ、あの時代、神話の武装の数々でも取り除けず、神仙、神々も解けない呪いでしたしねえ。そりゃあそうなりますか。
「お姉様の陽炎で呪いを抑え、桜花の切れ味と剣技、それがあってのことです。出ないと解呪に一日はいただいていましたよ。
で、この呪いはシータちゃんにもあるのでしょう? それならちょうどいいので、ラーマ君のこの呪いを解除した後に残るラーマ君の魔力の残滓。これを利用してシータちゃんがこの特異点にいるかも探知しておきましょう。そのために一日ほど時間をいただきますが、お姉様。大丈夫で?」
「構いません。私がカルデアの皆さんとレジスタンスの方に入っておくのと銀嶺隊の警備も私の直下兵最強の10騎をつけておきます。一日あればインド最強格の英霊とモルガン様も動ける。有難いです」
二人に関わる呪いゆえにそれを解除した後に関わる因果を逆探知してしまうということですかあ。ここらへんは呪術、呪詛返しのそれの応用でしょうけど本当に多芸ですねえ。
で、まあ目の前で一気に問題が解決していく、シータ様の場所までわかるかもとなってラーマ様はもう何が何やらで目が点状態。
んーまあ、神代の天才魔術師かつ半神霊が本気を出したらこうなるってことで納得してもらいつつ、とりあえず元気を養ってということでまだ外で続いている宴会にラーマ様を放り投げておきました。
ふわぁ・・・私の方は・・・眠いですし・・・モルガン様と一緒に添い寝しましょうかねえ。凄くせがまれていますし。
「ぎゃーーっ!!!」
んお・・・シーマ様の悲鳴・・・相変わらず早いですねえ・・・多分、クラークのグラサン外した素顔見て驚きましたか。毎日見ているはずなのに、寝起きはやっぱ不意打ちですか?
「ほふ・・・お姉様・・・おはようございます・・・ん・・・」
「おはようございますモルガン様」
「わ”ーーっっ!!!」
あ、今度はクラークの悲鳴。自分の顔を鏡で見て驚きましたかあ。はぁー・・・1500年ぶりに聞く悲鳴の目覚まし&スヌーズ。んーっ・・・すっごく懐かしいですが相変わらず目が覚める。
「ワフ」
「あーおいでーハチ、花子~」
そして扉を開けて入ってくる狼に猪。みんな優しくじゃれついて顔を舐めたりしていると完全に頭しゃっきり。モルガン様はもう一度寝そうなくらいに幸せな顔をしています。
「よーし。私はみんなのご飯を作りますから、皆は朝の運動。栗毛もつれていくように。今日はワイバーンの刺身と燻製ですよ~」
みんな眼を輝かせてすぐに屋敷を出ていき栗毛の馬房を開けて早速庭で引き運動。
「うふふふ・・・ああー・・・幸せ・・・じゃあ、お姉様。私も料理を手伝いますね。レジスタンスの戦士たちへの炊き出しや、婦人会の皆さんともおしゃべりしたいですし」
「お仕事はしてくださいよ~私は仕込みは手伝いますがその後すぐ栗毛たちの手入れをしてから前線に行くので」
一緒に顔を洗い、着替えてから階段を下りて厨房のかまどに火をつけて、食糧庫とアメリカに来て以降仕留めては解体していたワイバーンや食べられる魔獣たちの肉、骨を仕込んでから調理を開始。
肉が焼ける、骨が煮込まれる匂いにつられてやってくる狼やイノシシたちにも食事を振る舞っていると二人の声が。
「んあぁー・・・おはよぉ・・・先生・・・ははうぇ~・・・・ふほわ・・・」
「おはようございます・・・二人とも、早いですねえ~・・・」
「おはようございますモードレッド様、アルトリア様。ほらほら二人も顔を洗って着替えて。モードレッド様は運送。アルトリア様は全線で警備と戦いをするんですから。美味しいごはん作りますからね~」
「おはようございますモードレッド、アルトリア。ここは安らぐのは分かりますが、気合を入れて。ふふふ」
あー懐かしいこの空気、やり取り。いいですねえ・・・
「さて、作戦会議。もとい戦略会議となるが・・・いやはや、レジスタンス兵の方も問題を抱えていたとはのお」
「全く。わからんものだなあ実際に関わらないと」
信長やコ―ウェン。うちのマスターらを除いた面々で北アメリカ大陸。の今いる場所、特異点のある場所の地図を広げてレジスタンス、アメリカ、ケルト軍。で線引きしてから見ているが、コ―ウェンから聞かされる情報は意外なものだった。
「いやはや、意外というかもしれないがね。そうなんだ。我がレジスタンス軍は守ることに関しては気合もあり、強いのだが、攻め込むことを恐れている。気概がないんだ」
「正直な話、防御陣地と防御有利の法則を働かせて戦っているが、どうにも相手の陣地に踏み込むことを恐れている。ただ、それ以外にも原因はある・・・」
「まあ、わかるわい。レジスタンス軍の領地は7割ほどがケルト軍の領地とぶつかっておらず常に兵力優位と防御陣地、要塞を用いて守れば負けることがない。加えてエジソン王がケルト軍を押し返す。殲滅するとノリノリ。こっちは守って耐えればいずれエジソン王が何とかしてくれるだろうと。
だから食料、物資支援でアメリカを支援しつつも同じ敵を持ちつつも前に出ない。他力本願な部分が出ていると・・・」
「まあ、ケルト兵のあの荒々しさ、どう猛さに恐怖を感じてトラウマになったんだろうな。あれが同じ人なのか。って」
実際、EDFでも恐怖やトラウマで勇敢だった戦士がおびえたり、使い物にならなかったり、心折れる瞬間を何度も戦場で見てきた。それも怪物相手。ワイバーンや魔獣ならまだわかるが同じ人の形。過去の時代の戦士たちだ。いくら強かろうと技術や武器の違いでどうにかなると思いきや銃弾の雨あられにひるまず突っ込んでとんでもない速度と力と耐久力を誇る。
同じ人間で、戦士としての格の違いを感じてしまいこうなるのも正直分からんでもない。
「そう。物資に守り、戦力も申し分なく用意はしている。だけど攻め込む気概がなければ君たち戦力を無事に敵の首魁に送り込む。安全にこの広い大陸を深入りするための支えが出来ないと思っているのだよ。
華奈君の方は3日あればとりあえず練兵をできると言っていただ、私のような老骨に少し理解が及ばず。わかるかね?」
「ほう・・・三日で練兵を・・・のう」
攻める気力のない他力本願がほとんどの兵士たちを三日で戦うようにする・・・か・・・いや、どうするんだ・・・? 信長はしばらく考えているが俺には頓珍漢だ。
「いや、なるほどのぉ。恐らくじゃがそれは出来る。ただ、それをするとなると恐らく対魔獣、ワイバーン用の武器も必要になる。ショットガン。散弾迫撃砲などの発注をするべきじゃな。
それと、高台となる小城、もしくは簡単な傾斜を持つ場所を作りたい。あーそれと、ちょっと思いついた作戦があるから、華奈先輩とちょっと相談しておかないといけないのお」
「何を思いついたんだ? 信長」
「にひひ。恐らく、これからを踏まえた作戦と華奈先輩が欲しがるであろう物じゃよ」
「うぉっほっほっほ。流石華奈君が褒めちぎる名将信長君だねえ。ならそのための物資の用意と宣伝は任せてくれたまえ。そしてストーム1君。君は超熟練の現場兵士と聞いている。君の視点から防御陣地の意見と、部隊編成についての相談をしていきたい」
お、俺もいいのかあ。なんか士官は愚か将軍に直々に意見するって改めてすごい出世した気分だなあ。現場だと好き放題していた俺だけど、それでよければ。だなあ。
「あ、じゃあまず俺の意見だけど・・・」
「えーそれでは皆さん。今日から工場長になりましたオルガマリー・アムニスフィアです。これからの仕事はまた違う弾丸、武器を作ることになりますが不慣れな仕事になるので緊張と焦りは持たないように。じっくりと。でも確実にいいものを作るよう。
なにより怪我、事故をせずに仕事を終えて家族や友達を出迎え出来るように。では、よろしくお願いします」
「「「「よろしくお願いします!」」」」
はぁー・・・アメリカの特異点攻略に来たはずなのにまさかの弾薬、銃器の生産工場長になるとは。ローマの時は文官をしていたけど、なんというか、裏方ばかりね。せっかくレイシフトできるようになったってのに。
まあ、腐らずに行きましょう。実際、複製魔術を使えるエミヤなら武器の弾薬も銃器も増やせるし、私もモルガンさんやイグレーヌさんからもらった複製魔術を使える礼装を借りられて増やせるし。
「えーと・・・スレイド、レイヴン、ショットガンあたりと・・・散弾迫撃砲。スナイパーライフルはハーキュリーと。ふむふむ。じゃあラインはまずはスレイドからいって散弾迫撃砲は最後ね。
とにかく今はレジスタンスの正規兵と訓練中の志願兵たちにも渡せるようにしないと・・・でも、無理はしすぎずにしないといけない。効率とシフト表を・・・」
あ、これ・・・組織の運用方法よね。うーん。なら、無理しないように、女性の皆さんだしこうして・・・で、火薬生産工場からの用意できるのは・・・む、出来ればより良い質を確保してほしいけど・・
「ふむ。まず優先を決めて、その上で最初は余裕を持たせていくのか。悪くはないと思うぞ」
「エミヤ。ええ。無理を強引にやらせてはエジソン王と同じ。それに、工場とはいえ、多分、数だけを優先したら駄目な気がするのよ・・・」
「それはなぜだい?」
「これなんだけど・・・」
エミヤが工場長室に紅茶とクッキーを持ってきてくれたので疑問に答えるようにロビンフッドが持ってきてくれていたアメリカの機械兵の設計図、その銃器、兵士が使う銃火器のデータを見せる。
「このスペックはいいけど、それでも数を用意していかないとケルト兵を押しとどめられず、レジスタンスも防御陣地と将軍の戦術があれば被害なく守り通すのはたやすい。それでいてすぐ作れるわ。でも、私たちは攻めていかないといけない。そして、そのスペックも私たちが作る武器と比べれば雲泥の差」
まあそれも当然よね。なにせ像のサイズもある怪物や空を飛ぶ巨大な円盤や兵器を破壊できる武器。人類最新鋭のエイリアンに対抗できるEDFの兵器。型落ちと言えども比べるのもおこがましい。これより型を落として簡単なものを作れば数倍の速度で作れる。
でもあえてこれを選んだ・・・ということは
「多分、華奈や信長たちの考えは数で戦うけど、数の用意の仕方を相手に合わせないと思うの。軍の総数という意味での数の勝負ではなく質の数で勝負。英霊の数だけじゃなくて質の高い部隊達を用意してその連携で戦う。それをしたいと思うの」
正直な話ここまでアメリカで過ごして感じた違和感はケルト軍が本腰を入れていないということ。英霊二騎を華奈たちと討ち取って尚本気で対処する動きがない。焦りを感じないのだ。ということはまだあちらには余裕があり、更なる戦力があるか、クー・フーリンとメイヴはその二騎を失っても気にしないほど強いということ。
もしくはさらに数を用意することが可能なのだろう。それなのに数で対抗しても相手の隠し玉、次なる策があればそれで終わる。
メイヴやクー・フーリンは私達が対処する。だけどその邪魔をさせないための戦力、奥地に踏み込むための部隊を用意しないとその作戦も、備えもできやしない。
だからその備えの一歩として質の高い兵器を製造する工場。そして組織を回す経験のある私が・・・あ。華奈はだから私をここに。
「私も同じ意見だオルガマリー。私達は出来る限りあの戦士たちを支えて戦いに行く。しかし、特異点は何があってもおかしくない。そのための備えの大事さは英霊以外にも現場にあるものを利用するのも必要だ。特に君は苦労を経験している。だから華奈も任せたのだろうさ」
「ええ。そうね。それとだけどエミヤ。私、どういう武器が自衛用、支援にいいかしら?」
「む。マスター。君も武器を持つのかい?」
「ええ。支援ならこれに魔力を乗せていくのがいいでしょう?」
なんとなく意図がわかれば気合も入ってくる。私達が特異点攻略に必要な武器弾薬。用意してやろうじゃない。後ついでに自分の武器も。
それと、うーん。この武器の技術や完成品をエジソン王らに販売や、うまい具合に交渉材料にできればレジスタンスとの合同作戦にも乗り気になりそうだし、ちょっと考えておくべきかしら?
『所長。ノリノリだねえ。いいことだよ』
「ま、乗せられた形だけどね。あ、ロマニ。華奈とストームに私の武器に関して後で相談する時間確保するように伝えなさい」
「いい? まず、この銃火器は連射が出来る。反動はすごく少ないけど、連続で何度も弾丸を打つから跳ね上がる銃身を抑えながら撃つように。じゃあ、まずは単発で撃つようにセットして、的を狙って。発射!」
「よーしいいぞ! マスケット銃になれている分反動は問題なさそうだな。もう少し的を撃っていこう。さあ、構え!」
「な、なんて撃ちやすいんだ・・・しかも狙い通りに当たった!」
「こんな銃を持っているのか。しかも藤丸曹長はこれの名銃を当てられるほどとは!」
「流石です先輩!」
華奈さんはレジスタンス全域に僕らの加勢のニュースと食料配達、炊き出しの用意に領地をフル回転させて、前線勤務。所長は元気に工場勤務で銃火器の生産。ジャック将軍は現場で防衛そして僕らは英霊の一部を連れて訓練をしていく。
僕は銃の扱いにカルデアで大尉たちに教えてもらっているので射撃練習や銃の取り扱い、マガジンの交換や、諸々を大尉と一緒にレジスタンスの兵士の皆さんに教えている。なので僕より年上の皆が先輩、上司と慕うのでとりあえずロット王に曹長の階級をもらっちゃった。勲章まで。マシュはすごく目をキラキラさせていたし、フォウ君にはからかうように頬をムニムニされたけど、素直にうれしい。
王様から、しかも華奈さんが仕えた王様にもらえるなんてなあー
「じゃあ、次はここをこうして・・・じゃ、次は連射で撃ってもらう。ただし、銃の連射が不慣れなので、この鉄板を置いて人数は半分にして撃つようにしていくよ。大尉さん。大丈夫?」
「ここの兵士の筋力なら大丈夫と思いたいが、まあ、不慣れは怖いものだ。そうしよう。おい、防弾板を持ってこい!」
「はいよ」
大尉の部下の皆さんが次の練習を用意してから射撃練習を。マシュも新しい武器を考えつつ、僕と一緒に射撃練習。マシュはなんか、ショットガン? の方が気になるらしい。
「そら! いいか! まずお前さんらの強みは弓矢以上の速度で弾丸を打てること。それを意識しろ! まず相手の初動を殺せ。敵兵が如何にすごもうとこっちの方が先に殺す手段を使えるんだ!」
「どんなに強烈な初太刀も当たらなければ意味がないです。私の上司の近藤さんも島津の一撃は避けることを心掛けよと言っていました。そして複数人で当たるようにと。どんなに強い兵士も数という暴力は立ち向かえるものになりえます。
加えて、戦争というのは距離のある武器を競い開発する側面もあります。そう言う意味では貴方たちは負ける要素は少ない。後は立ち向かう勇気です。まあ、沖田さんならその不利も楽勝で勝ちますが、その沖田さんが味方なので尚更にみんな負けることはないです!」
「そういうことよ。さあ、行くわよ。突撃!」
あっちはあっちでケルト、サムライ、聖女? によるケルト兵対策の練兵講義と練習。ダンカンさんの部隊をケルト兵に。クー・フーリン、沖田さん。ジャンヌオルタがその部隊長役になって対処法を懇切丁寧に教えてからの分かれてケルト兵になり切って突撃。
「皆さん防御形態! いいですか! 敵の手が届くより早く、長く私たちは攻撃が出来ます。その優位性と、攻撃に参加できる人数を活かせば手数は数倍! ・・・よく狙い・・・撃て!!」
一方で防御側はジャンヌが指揮を執って守備部隊の隊長として前線で旗を振るいその身体を活かして豪快にみんなを勇気づけている。ジャンヌの指揮通りに膝立ち、前に立つもの、その兵士たちの頭上を守るために盾やショットガンを構えて飛んでくる弓矢に対処。銃撃部隊は新型火薬。というよりは現代基準の弾薬を用いたゆえのもので煙も少なく連射も可能。木製の弾丸がいくつも飛んではケルト軍役の前列がアウト判定をもらう。
そして近づけばすぐに撤退して防御陣地へさらに誘導しつつ砲弾の雨を降らすとこの動きをチームを入れかえ、場所を少し変えて練習に励む姿がよく見えた。
「じゃあ、簡単にできる罠。ブービートラップってやつだな。これはマスケット銃を用いたものだが、二段構えになっている。まずはこのワイヤーに引っかかってしまえばワイヤーが引き金を引いて弾丸がズドン。で、発砲時の熱で銃床に仕込んでいる爆薬に導火線がついてさらに爆発するタイプのものだな」
「へぇーこういうやり方もあるんだ。一度で二度おいしい。数でひしめくケルト軍ならどっかで引っかかれば被害は増えそう」
「ふーむ。そうなると、今武器を刷新している最中。古い銃の方は銃床に古い火薬、爆薬をつめて在庫処理を兼ねて作る感じがいいだろう。しかし、このやり方だと市街地とかでないと使えないのでは?」
「いやいや。そこは森の狩人。知恵の見せどころですわ。荒れ地でもちらほら見える岩などに隠して、火薬も地面に仕込んで地雷にしてしまえばいいってこと。それに、ちょいと改良もすれば自動防御射撃陣地もできるんですわ」
あっちではロビンフッドがビリー、ジェロニモなどの現場で英霊を探すメンバーと工兵部隊にゲリラ戦術や罠のノウハウを教えている。流石というべきかアメリカに合わせた武器と道具に合わせた備えに皆興味深げにメモを取ったり話を聞いている。
「じゃあ次に自動防御射撃陣地ですが、こいつはさっきの銃のブービートラップの応用で、銃の引き金を引くためのワイヤーとスイッチ。これを押すのはこいつらだ」
「えーと。引き金につながっているワイヤーの先にある大きなスプーン? みたいなところの斜め上に大量の泥団子があるね」
「そ、で、ここの蓋で泥団子を転がせないようにしているんだけど、このふたを外せば・・・」
「おお、泥団子が一つ一つゆっくりと落ちて、スプーンに入って自動で発砲。しかもスプーンから泥団子は転がり落ちて元に戻るからまた新しい泥団子を受け止めて発砲したぞ!」
「華奈さんから聞いたシシオドシ? ってやつの構造を使ってできるやつですわ。これをいくつも用意して即席の陣地にでも置いて、弾丸は自動装てんできるあの銃火器で使えれば守りにおいてはケルト軍以上の球数で攻撃出るのと、避難して人のいない町に前もって仕込んでおけばその発砲音で陽動にもできるんでさっきのブービートラップとも組み合わせられるんですわ」
「うぅむ。見事としか言えない。この引き出しの多さが二人でケルト軍を倒し続けられる一助となったのか・・・ところでその泥団子はどうやって集めたのだ?」
「レジスタンス領地の子どもたちに頼んでおいた。1個ごとにお菓子や小銭を報酬にってことで小遣い稼ぎとか家の助けに小さい子もできるようにって昨晩オレが華奈さんに相談したらあっという間に広めてついでに草案も出してくれたんすよ」
思わず僕も驚くほどの仕掛け。いや、仕掛けはシンプルだし、でも防御陣地や隠れやすいゴーストタウン、廃墟ならぱっと見はばれずに人数をごまかして戦える。いろんな場面に応用できる手段。これにはみんながロビンフッドに歓声を上げて拍手を送る。本人は謙遜しているけど、本当にすごい作戦だ。
「藤丸君。交代の時間だ。次の兵士たちにも射撃訓練を行おう。マシュ君も、頼んだぞ」
「はい!」
「もちろんです。ケルト軍も押し返してしまえるようみんなで鍛えていきましょう!」
僕とマシュ、大尉、部下の皆さんと気合を入れ直し、新たにやってくる射撃訓練に来たレジスタンス兵を出迎える。僕の今までの経験が、アメリカの皆に、特異点攻略に役立てますように。そう願いつつ僕も腕を磨いて、皆で学んで練習に励む一日を送った。
モルガンでもちょっとクー・フーリンの呪いは解除できない様子。ほぼほぼ確定して決まっている状態を抑え込んでいるのが異常でラーマには少し驚いている。でもそれはそれとして姉妹でなら猿の呪い一つくらいは楽勝。