転生愉悦部の徒然日記 作:零課
モリアーティ『まーそうね。それなら問題ない。ただ、あのバイコーン? とか、油まみれの黒いやつ? とかの一部の大型魔獣。あれには伍ではなく集で火力を集中したり、EDFの兵器が必要だろうね』
華奈「ふむ。軍人とも交友のあったそちらの意見は安心できますし、感謝します。孔明さまの方もどうでしょうか。防御陣地のそれとない宣伝とうちの布教は」
孔明『問題はない。流石物量で質と量を両立しているケルト軍に対応していた国だ。少し守りの陣地のヒントを教えるだけであっという間に対応して守りを安定化している。そして宣伝の効果はそっちがわかっているだろうに』
華奈「ええ。新たな移民がたくさんで今は漁師も猟師も農民も工場の働き手もいい感じです。では、出来ればプロフェッサー様にもよろしくお伝えくだされば」
「先輩! 戦闘音です!」
「急ごう。多分ジェロニモたちが教えてくれた英霊たちかもしれないし!」
華奈さんたちが仕込みをしているさなか、エリザとほかの次なる英霊の情報をもとに歩いていれば聞こえてくる激しい剣戟の音。
セイバー同士の戦いなのだろうか? 何度も英霊たちとシミュレーションにいっていたり訓練を積んでいた故か音だけでどんな武具がぶつかり合っているか少しわかるようになってきていた。
みんなで足を速めていって街に行けば、そこでは激しい剣戟が。
「ぬっ、ぐぅ! 何という剛力! 先ほどの言葉嘘ではないようだな!」
「はっはは! こちらこそ侮っていた。自由かつ重たい剣戟。舞を見るようですさまじい!」
そこには半裸で筋骨隆々。短い髪と胸の傷が特徴的で、ドリル・・・? のような巨大な剣を豪快に振るう快活そうな男と、白い衣装に身を包んではいるけどお世話になった女性。ネロ陛下がそこにはいた。
「ロビン!」
「分かってら!」
ただ、再会をすぐに懐かしむ余裕はないようで僕とロビンフッド。もといロビンで弾丸と矢を打ち込んであの男に防御をさせて先頭に割って入る。
「おお、エリザベートに顔のない王。そしてふむ? どこか懐かしい感じの顔ぶれだな! とにかく感謝しよう。この騎士と戦うのもよいが、余はそれよりも別のことを早くしたかったのだ!」
「ネロ陛下。お久しぶりです!」
「ネロさん。この戦い、協力させてください」
「おお、よいぞ。とはいえ、数で有利を得ても油断する出ない。この男。騎士。フェルグスと言ったな。余に会う前に既に5騎以上は英霊を屠ってきたという戦士。かなりの名うての戦士だったのだろう」
フェルグス。その名前は確かクー・フーリンから聞いている。確か、クー・フーリンの友にして養父。しかも魔剣だか聖剣を持つケルトでも高名かつ武勇を広めた快男児。ネロ陛下も強い方だとは思うが戦士としての格と練度が違う。むしろ良く持ってくれた方なのではないだろうか。
「おいおい。これ、敵さんの方でも最高幹部レベルだろ。こんなのが出向いてくるって」
「これも余の魅力ゆえよな! 魅力ゆえに暗殺、声をかけられるのは慣れておる!」
「ふむ。この数ではいささか無謀か。では、此方も遠慮なく女王の力を借りるとしよう。出てこい! 誇り高き戦士たちよ!」
確かにケルト軍でも人望も武勇も高いこの戦士を討ち取りつつネロ陛下を味方に引き込めれば最高だ。大きく特異点攻略の一歩となる。だけど、あちらもさすがに単身で殴りこんできたわけではないようで、フェルグスの一声で彼の後ろが人の波で埋め尽くされるほどに兵士たちが出てきた。
「英霊の数では此方が絶望的だが、単純な数では此方が上回った。それなりには拮抗できるだろう。これも戦。やらせてもらうぞ」
「うわぁー・・・早撃ちしたとしてもリロード間に合うかな?」
「うぅむ・・・数が多い・・・」
「マスターちゃんは背後に気をつけつつさがって。支援は無理せずでいいわ。兎にも角にも、あっちの動きを潰せるいいチャンス。暴れるわよ!」
「ジャンヌオルタさんの言う通りです! 先輩、前に出過ぎずにお願いします!」
ジャンヌオルタの言葉が戦闘の口火を切り、再度激しい戦い。軍団戦が幕を開けていった。
「くっ・・・! 本当に、数が多い・・・! エリザ。下がって!」
「ッ! サンキュー小鹿! まったく! キリがないわ! もう数十人は串刺しにしているってのに!」
「ふぅむ。その銃。なるほどこれが前線にあれば我が女王の兵士たちも手を焼くというもの。だが、その戦い方は些か特性を乱用しすぎじゃないか?」
「こっちに集中、しなさいよ!」
「ウム! 余を見ずにマスター? と銃を見よって! 確かにあれは欲しい武器だが!」
ジャンヌオルタとネロ陛下の二人の剛力と赤と白い炎でフェルグスと戦いつつ、僕らはケルト兵らを相手するのだけど、街中の戦闘というのもあって相手が一気に攻めてこれない。弓矢なども咆哮が絞られるからマシュも僕も守りやカバーをしやすく、英霊の皆も対処は楽。
だけど、その数ゆえに攻撃の波は常に途切れず、倒しても倒してもキリがない。
僕はレイヴンで建物の、この時代の薄い木造の壁からケルト兵を撃ちぬいて不意打ちと援護をするけど小さな弾丸ゆえに距離で威力の減衰が激しいレイヴン。加えて壁からの不意打ちを意識している兵士が対処をして、かなり強い兵士たちの様で今までのように簡単に倒せないことも増えてきた。
「距離と壁は如何なる武器でも多くは勢いを失うというもの。加えてこの兵士たちも精鋭の部類だ。カルデアのマスターよ。そしてそこの盾の少女よ。戦うというのなら武器の利点を、おのが立ち振る舞いを考える時間を持て。
さすれば、より良い動きが出来るであろう。よっ!!」
「んぐっ・・・! つ・・・の・・・!」
「ふぐ! いやはや、騎士であり勇者であるか! 血がたぎると同時に恐ろしいの!」
思いきり剣を振り抜きジャンヌオルタとネロ陛下を同時にふっ飛ばすフェルグス。旗で受け止めるも押し込まれた際に自分の籠手か旗を頬にぶつかって口の中を切ったらしいジャンヌオルタと手がしびれてしまって少し下がるネロ陛下。
筋力はジャンヌオルタもAランクとカルデアの中でも最高峰の筋力。だというのにこれを抑え込みながら英霊二人をふっ飛ばす。多分戦闘経験と得物の重さの差だろうけど、いずれにしても英霊二騎を同時に相手どれるのが凄まじい。
「フェルグスさんでしたっけ。なぜ私達に助言を? 敵でしょう? はあぁっ!!」
「くっ! よい重さだ! ムン! 敵であろうと、困難に挑む若き勇者には。よい相手には認めるのが戦士、騎士の流儀。俺の流儀よ。まあ、それはそれとして殺すが、な!」
「つっ!」
マシュのシールドバッシュも受け止めてから足蹴りからの蹴り飛ばした足をそのまま前に踏み込んでの剣での振り下ろしで確実にふっ飛ばしていく。
「む! よき矢だが、甘い。狙撃に意識をしておけば早々当たらんぞ」
「おいおい不意打ちも想定内ですかい。全く厄介なもんだ光の御子の養父ってのは!」
背後から心臓を狙ったであろうロビンの姿を消しての狙撃もすぐに体をひねり避けてしまう。全く持って隙がない。それでいて戦士たちの流れも途切れやしない。どうしたものか・・・いや、力や狙撃が無理。要はそれらをしないでいい手段があれば何か・・・
それなら・・・これを試すほかないのかも?
「ビリー! ジェロニモ! 一緒に手を貸して! そして、ジェロニモには雷を呼べないかな!」
「お? 何か思いついた? いいよ!」
「ふむ。サンダーバードは無理だが、雷の精くらいであればどうにかしよう」
「ジャンヌオルタ、マシュ。二人は思いきりぶつかって」
「分かったわ! マシュ!」
「はい! オルタさん!」
まずマシュとジャンヌオルタが二人とも武器屋パワーを活かしてフェルグスに再度アタック。パワーもだけど旗と大盾。その武器で遮蔽物。目くらましになってもらう。
「いくよ。攻撃開始!」
「それじゃ、早撃ちの技術をご覧あれ。
「そら、食らうがいい!」
そこから二人に合図を送って離れてもらい、ほぼ同時に僕がレイヴンを。ビリーは宝具の、どうやら自分の早撃ちの技術を宝具に昇華したもの? の早撃ちでの攻撃。そこにシャーマンであるジェロニモが呼んだ雷の精の雷を含んだ幕をフェルグスと僕らの間に置くことで弾丸に雷を纏わせていく。
パワーも不意打ちも駄目なら僕のケルト兵にも通用する弾丸の雨と、そこにビリー・ザ・キッドの驚異的早撃ちの技術を絡めたもので勝負。
「ぬぐっ・・・! ぐぅうう!! こ、これは・・・・!」
「これで幕引きよ。フェルグス!!」
弾丸の雨と早撃ちはいくつか撃ち落されるもそれでも武器に当たった時点で雷撃がフェルグスの身体を襲い、弾丸が身体を貫く。いくら屈強な戦士と言えども動きの止まるその時間に大きく飛び上がったネロ陛下の乾坤一擲の振り下ろしがフェルグスの身体を袈裟懸けに切り裂いた。
僕らの勝利。ほぼほぼ数が減りつつあったケルト兵もこの衝撃に気を取られている間にエリザやロビンが刈り取ってくれてどうにか全滅をさせることが成功。
「フッ・・・見事な連携だ・・・若き戦士よ。しかし・・・今生の世では今度こそあの女王と対等に付き合いたかったが・・・ままならぬものよな」
ほぼほぼ退去が始まっているフェルグスだけど、剣を杖代わりに地面に突き立て、倒れずに僕らを見回している。
「しかしまあ・・・それでもかまわぬか。こんなところで死ぬのも勿体ないが、女王以外にも美き女が多い。いずれまた会える機会があるとわかるだけよしとするか。・・・クハハハ!」
最後の最後まで豪快に笑って退去していくフェルグス。何というか、敵だけど気持ちのいい。豪快な戦士だったという印象だ。
「・・・ケルトの戦士であるが美を愛で、敵であれど勇者をたたえるか。フェルグスと言う男見る目があるではないか!」
「んまぁ・・・半分は見境がないとも言えそうだけどな・・・で? 皇帝陛下に置かれましてはこの無人の町で何をしていたんで?」
「貴様には分からぬか? ・・・・・まあ、無理もないか」
ネロ陛下もフェルグスを称えつつも、ロビンは何で無人の町にいるのかと質問。なんとなく予想はというかオチは分かる気がするけど、確かに愛されたがり、派手好きのネロ陛下がレジスタンスやエジソン王の場所にいないのかは不思議だ。
あそこで自分のファンでも作ってしまいそうなものだというのに。
「ふふふ。私には分かるわ。分かってしまったわ! 芸術と美を愛する女ならではの計画ね! そしてここアメリカで召喚されたのも何かの縁! 決着をつけるわよセイバー!」
「おお。余のクセッ毛に反応があるかと思えば貴様か魔性の歌姫エリザベートよ! 貴様になら明かさねばなるまい。いや、聞いてもらうべきだな。聞くがいい。余の深淵にして遠大な計画をな!」
エリザが反応して、ネロ陛下もライバル? みたいな感じで反応と、うん。なんというか数時間前に感じたものが。これがデジャヴ?
「・・・・・何となーく想像はついているけどな。どうぞ。皇帝陛下」
「うむ。では答えよう! 予はここに究極の幻想都市。すなわち・・・娯楽の殿堂! 万客集う音高きハリウッドを! 築く、つもりなのだ!」
「な、なんだってーー!!」
「いや、そこまで反応する?」
まあ、陛下はこういうのを好みそうだし。
「うむ。気持ちの良いリアクション感謝である! 貴様、一流のマスターと見た!」
「くっ・・・アメリカ二大拠点の一つを抑えているなんて・・・あ、一つはアタシがゲットしたけど。やっぱりセイバー・・・あなたと私は友という絆で結ばれているみたいね・・・!」
「ライバルというやつだな! ドル友である!」
「・・・・・・・予想通りでしたね先輩」
「英霊で、皇帝と貴族がアイドルやらドル友ねえ・・・ほんと、自由人ばかりなのかしら英霊って」
半分呆れているマシュとジャンヌオルタのつぶやきに僕も同意。いや本当にこの状況下でこれをしようとするネロ陛下の胆力というか行動力は驚きだ。
「あはは。英霊って面白いねージェロニモさん」
「ローマ帝国が衰退した理由をなんとなく理解できた気がするな。私は」
思い思いの反応を返す中、英霊同士の交流を温めつつ、同時にネロ陛下を引き込むために言葉をかける。
「ネロ陛下。でもその計画。多分今のままだと成功しません」
「はい。私も先輩と同意見です」
「むむむ? 余の計画に瑕疵があると?」
「えーと・・・今この国は戦乱真っ只中。先程のフェルグスもこの大陸を荒らすケルト軍の長の一人です。国が荒れて戦争にどちらも全力を傾けているのでとてもですがスタッフや観客を招くことは不可能かと思います!」
マシュの熱い言葉にはっとなるネロ陛下。先程まで戦闘をしていたのですぐに分かったのだろう。この言葉の意味が。
「なのでまずはこの戦乱を収めてからその計画にかかるべきかと。ちょうどレジスタンス領地にはお母さん・・・もとい、円卓の騎士華奈さんと銀嶺隊もいますから」
「「何だと!?」」
声をハモらせて驚くエリザとネロ陛下。え。そこまで華奈さんって有名なの?
「おぉおお!! あの華奈、銀嶺隊か! サバフェスで映像作品やミュージカル、ドラマにダンス。MVもお手の物。イベントも作り上げるなんでもスタッフ! ここに来ているとは! こうしてはいられない! 早速この大地に平安をもたらしたあとに華奈殿に余のスタッフとして任命するぞ!」
「あ、ちょっと待ちなさいよセイバー! 先に子鹿たちの仲間になったのはアタシ! こっちの方にも人材を回してもらうわよ!」
なんか・・・英霊の界隈でも何でも屋と言うか、サブカル関連で有名なんだって改めて思い知らされるのと同時に・・・
「マシュ。いつの間にか華奈さんに仕事回しそうだけど大丈夫かな?」
「・・・・・・・あ。え、えっと・・・後でお母さんには謝っておきます・・・」
うん。自分で言いだしたことだし今更止められないよね。僕からも言っておこう。あと手伝いをして負担を減らすようにしないと・・・
「あの戯けと馬鹿女の企みを砕かんとする戦士たちか。良ければ儂も加えてはくれないか? 星見の者等よ」
「あ、はいもしもし。銀嶺隊です。出前の方はしょうしょう・・・あー藤丸様。おお、無事に英霊と合流。・・・・・・はい!? フェルグスを討ち取ったし、しかもスカサハも仲間になった!? おお~しかも英霊の方はエリザ様とネロ様ですか。
いやはや。ここアメリカに来て一番の大手柄ですねえ。今晩は好きなものを作って上げますよ。ふふふ。では、帰還をお待ちしています。どうか無事に・・・ええ。はい。はい」
いやはや、まさかまさかの勝報に驚くほかない。あの勇士フェルグス。ケルトを相手にするのならまず障壁としてぶつかるであろう難敵を討ち果たし、クー・フーリンの師匠。影の国の女王が仲間になるとは・・・・・
いやはや、一つでも値千金。いや、三つなので三千金の価値ある報告ですよこれは。
「いやあーさすがは藤丸くんとマシュちゃんたち! ふふふ。君の愛娘と弟子は素晴らしい!」
「ロット様。感謝します。あ、エジソン王との会談はいかがでしたか?」
「面倒だったが無事にあちらが折れてくれてね。明日の夕刻にこちらで会談をすることになった。ここに来るということ。つまりは・・・」
「こちらにイニシアチブを譲る形を選んだと言っていい。英霊の数と質あるアメリカの戦士たちを求めた形にしたと」
コーウェン将軍。さすがですねえ。数をこれで引き込めればいいですが。まずケルト軍の王の師匠が来てくれているというのはありがたい。
でもまあ・・・あの人のエピソードを考えると。認めさせる。私達と行動をともにしてもらうためにも、私も武勇を示す必要がありそうですね。ストームにも連絡しておきましょう。
次回は影の国の女王と銀狼、嵐の勇者の邂逅。そして会談。