転生愉悦部の徒然日記   作:零課

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雨が最近多くて嬉しいですが暑いのと雷が大変ですね。


ニトちゃん

 「くっ・・・なんだコレ? どういう集団なんだろう」

 

 

 「連携が凄まじいですし、うぐ!」

 

 

 「藤丸君下がって。エレナさん。翻弄をお願いします!」

 

 

 「よろしくてよ!」

 

 

 「いい技量。ですが速度が足りませんね」

 

 

 元さんにさげられつつも、とりあえずみんなを射線上に入れないようにしつつ、縛られた女性をあてないようにレイヴンを撃つけど、敵兵の中に英霊っぽそうなのに英霊より非力で、でもケルト兵よりは数段強い。まるで銀嶺隊の50人長が十人も混じっているようなもの。

 

 

 急に飛んでくる暗剣、ナイフを頼光さんが切り落とし、あるいは弓矢で迎撃して、マシュが守ってくれる中、エレナさんとダ・ヴィンチちゃんが魔力弾で対応。

 

 

 「射線のラインは整いましたわ。さあ、喰らいなさい!」

 

 

 「なっ!!? ぐっ!」

 

 

 「ぐほっ!?」

 

 

 「ぬがっ!!」

 

 

 「つぁっ! 私の仮面が!!」

 

 

 その間にアンさんが放つ銃弾の数々。なんでもプロフェッサーさんがアンさんに頼まれて用意した新型のスナイパーライフル。まるでハンドガンのように連射と、反動も少ないその弾丸の威力は高く。しかもあの骸骨の面の集団を跳弾であちこちを打ち据えて銃弾で峰打ちをするという神業を披露。

 

 

 「うふふ。マスケットよりもずっと扱いやすい。武器も新調できるのならしておくべきですわね♫」

 

 

 「はははは。この女性はこの天才がいただいたよ」

 

 

 銃身二キスをしてウィンクをするアンさんと、いつの間にか縛られた女性。褐色肌に薄紫。アメシスト? 色の髪の毛の方をこちらの方で確保。

 

 

 「な、い、いつの間に!?」

 

 

 「いやいや、ハサン!? 山の翁たちってことは山の民!?」

 

 

 「む・・・そこの二人マスターか! 一体私達の命を奪わずに邪魔をするとは何をしたいのだ!」

 

 

 それを気づくのと、僕も含めてあちら側の戦力は誰一人として殺していないのを見て黒い肌? に紫髪のハサンらしき女性が吠える。

 

 

 「私達はカルデアのもので、今のこの・・・エルサレムの状況を知りたくて。それと、誘拐はいけないことかと・・・」

 

 

 「そう言われて、目標の女王を奪った相手に言えるものか! まずい。スフィンクスにメジェドが来るぞ! 総員退却! 奪取した食料と水は落とすなよ!」

 

 

 「あ、ちょっ! ・・・・・・・対象、砂煙に紛れて逃げました・・・」

 

 

 「見事なまでの逃走術だったね・・・」

 

 

 マシュの言う通り文字通り砂隠れと言わんばかりにあっという間に逃げてしまうハサンたち。まいったなあ。大真面目にこっちは何がなんだかのこの状況だっていうのに。

 

 

 こうなると話が聞けそうなのはこの女性だけど・・・

 

 

 青い顔をして苦しそうにしているのをダ・ヴィンチちゃんが拘束と猿ぐつわを外してもらい体に外傷がないので毒かなとみんなで心配していると。

 

 

 「う・・・ウプっ・・・ふぁ、ファラオ・・・それ以上は飲めない・・・わ、わたしげんか・・・うぅお・・・」

 

 

 「・・・・・・・二日酔い。かな? 酒臭いし・・・」

 

 

 「華奈さんのお酒を飲みまくったあとのメアリーみたいになっていますわねえ。こういうときは冷たい水と、二日酔いの薬ですが・・・あります?」

 

 

 「流石に持ってきてないわよ・・・いちおう、アルコールを毒として抜く解毒の術式があるけど・・・効くかしら」

 

 

 持ち込んでいた冷たい水のボトルを用意して、エレナさんの方も魔術を使い少しこの女性のアルコールを抜く。

 

 

 「おーい? 起きているかい? 二日酔いなら、まずは水を飲むといいよ。飲める?」

 

 

 「あ、ありがとうございます。んぷ・・・・んむ・・・は、はぁ・・・少しはマシに・・・・・・・え」

 

 

 水を飲んで顔色が優れてくる女性の方。そしてアルコールをいくらか抜いたお陰か眼の前の僕らを見て硬直。

 

 

 (まずい・・・ですかね?)

 

 

 (多分。いやーもしかしてやっちゃったかなあこれ)

 

 

 「な、何者ですかあなた達! この無礼者! この私を、ファラオ・ニトクリスと知っての狼藉ですか!」

 

 

 「い、いえファラオ・ニトクリス。私達は貴女をさらっていた集団から救い出したもので」

 

 

 「ちょっ、あのニトクリスですって!? 大物じゃないの!」

 

 

 しょうがないけど、思い切り敵意を剥き出しにして飛び退くニトクリスと、その名前に驚くみんな、頭を下げる元さん。

 

 

 よほどすごいファラオなのかな? 僕はよくわからないけど。

 

 

 「あ、あのーその水も、酒を抜いたのも僕らの方で・・・」

 

 

 とりあえずレイヴンを下げてこっちも敵意がないことを示すんだけど、これも意味がない。

 

 

 「お、おのれ・・・! 私達が連日宴でオジマンディアス様からのお酒で二日酔いをしていたときにこ、こんなことを・・・う、うぷっ・・・!」

 

 

 「あーあー二日酔いのあとに急に動いたり叫んだりしたらそりゃこうなる。頭も痛いし気分も悪い子で。ちょっと吐いてくる? 私達は後ろ向いておくから」

 

 

 「なな・・・さ、更に私に恥辱を・・・! ぅう・・・」

 

 

 流石に二日酔いで寝起き、さらに水を飲んで少し膨れたお腹が揺れるせいで気分が悪い用でさっきより青い顔になって杖で体を支えつつ口を抑えるニトクリス。

 

 

 威厳がなあ・・・本当にファラオなの?

 

 

 「ニトクリス様! ご無事ですか!! それと、そこの一行は何者ですか!」

 

 

 そこにスフィンクスに乗って現れるこれまた美女。うーん・・・? この人もファラオ? 女性のファラオって僕クレオパトラ以外は知らないんだよねえ。

 

 

 「クレオパトラ、来てくれましたか! 助かります。 ぷふ・・・うぅ・・・そこの不敬者に罰を下すのに手を貸しなさい!」

 

 

 「う、了解しました・・・その、私もまだ酔いが抜けないですが・・・!」

 

 

 「えーと・・・クレオパトラ・・・世界三大美女の一人でファラオですね・・・なんか、二日酔いしているようですが・・・」

 

 

 「酒は飲んでも呑まれるな。ですねえ・・・はぁ。しかし、ここまで酔わせるとは、相当に酒豪の方につきあわされたのでしょうか?」

 

 

 「うーん。エジプトのお酒が気になりますわね」

 

 

 「あ、あのー・・・・・」

 

 

 なんか二人揃って青い顔をしつつ睨むも動けず、それをオロオロしながら見守るスフィンクスというとてもじゃないが血風吹きすさぶ戦いではなく吐瀉物がまず飛びそうな様子になるのか。と神獣と英霊二人を見ても思わずそう思ったけど、元さんが両手を上げて無抵抗を示しつつ前に出てくる。

 

 

 「その、私達はカルデアのものでして。華奈という銀髪の美女で私達の仲間を探しているんです。なにかお二人は知らないですか?」

 

 

 この発言に二人のファラオははっと顔を見合わせて、まるで酔いが抜けたようにシャッキリとしたと思えば、今度は逆にまた青い顔をする。

 

 

 (どどど、どうしましょうクレオパトラ! 銀狼殿の知り合いとなれば私達は丁重にもてなすべき方! それなのにこの対応をしてしまったとわかればオジマンディアス様に怒られます!)

 

 

 (お、落ち着いてくださいニトクリス様! 今からでも丁寧にもてなせばきっと・・・! そ、それにニトクリス様を誘拐しようとしていた奴らとは別の方です。私も追いかけていましたが別の方でしたし、その恩義の方で迎えれば・・・)

 

 

 (な、なるほど。で、ではとりあえずその方向でいきましょう・・・)

 

 

 「え、えー・・・銀狼殿は確かにここに来ていました。それと、こほん・・・水をくれたことに免じて聞きましょう。私を誘拐していたのは貴方たちではないのですか?」

 

 

 何やらしばらく小声で相談したあとに急に戦意を収めてくれる二人。そして、華奈さんがいたという情報に驚く。

 

 

 「はい! お母さんがいたんですか!? そ、それとそうですね。ニトクリスさんを誘拐していたのはハサンたちだと思います」

 

 

 「な、ご子女ですか!? あわわわ・・・・な、なんとファラオに報告すればいいか・・・なるほど。では、貴方達はたしかに私を助けてくれたと。それなら、先程の勘違いを詫びましょう。

 

 

 して、この砂の民の領地に来てくれて申し訳ないですが、華奈殿、もとい銀狼殿は数日前にここを出ていかれました。この特異点を見定めると言って今は私達も行方知れずで・・・」

 

 

 「その際にカルデアのことは聞いていますし、貴方方は大事なご客人。とりあえず、よければ我らがファラオに謁見の許可を願いますので、どうぞ」

 

 

 そう言って案内すると先ほどとは180°真逆の対応をしてくれる。華奈さんがいないのは残念だけど、かといってこれを断るのも失礼だし、何よりも分散行動をするにはここは謎が多すぎる。

 

 

 「華奈くんが無事だというのはわかったし、ひとまずはご厄介になるとしようか。色々と知りたいこと、この特異点を知らないといけないし」

 

 

 「はい・・・それに、母も心配ですがあえてここで待たないということは回復している。元気である証でしょう。便りがないのは元気の証といいますし。・・・・・・出来れば、一緒にいてほしいですけど」

 

 

 「まあ、無事なら何よりだしこの優しいファラオの方々と一緒にいたのなら回復もしているだろうしね。問題ないと思う。それはそうと、藤丸君。君の方はあまり前に出すぎないほうがいい」

 

 

 「え?」

 

 

 ファラオたちに先導されながら歩く中、急に元さんに注意をされた。

 

 

 「その武器は英霊にも通用するし軍団戦にも使える名銃。でもそれはあくまで護身用だし、マシュの支援、目くらまし程度のものに考えたほうがいいよ。僕らマスターが倒れてしまえば終わりなんだから万が一は抑えたほうがいい」

 

 

 「でも、華奈さんは戦うし、それに勇気を持って挑まないと」

 

 

 「華奈自身も英霊だし、しかも円卓最高の騎士ランスロット以上に強い、最強と言わしめた騎士だからね。君と同じマスターだけど、同じと思ったらだめ。勇気は素晴らしいけど、英霊たちの将は君だから無理はダメだよ」

 

 

 「はい。先輩の支援はたいへん助かっていますが、私は英霊の、ギャラハッドさんの力を借りているから前に出れます。先輩はそれもなく助けて、特異点に来てくれる。それだけですごい勇気ですし、できる限りアメリカのように前に出過ぎる機会も抑えつつ。

 

 

 あ、でも本当に支援は助かっていますから」

 

 

 うぅーん。そうかあ。そうなると、後方支援になるけども・・・M9レイヴンは支援するには有効射程距離が少ないしなあ。

 

 

 「はははは。まあ、藤丸。君は君なりに英霊たちとともに戦うために自分を生きるようにしつつ、支援できる方法を模索しよう。なあに、必要な道具があればこの天才が助けるとも!」

 

 

 「それでしたら、私の持つこの銃。スナイパーライフルとかどうでしょう? 確か、ハーキュリーを使用したとか。あ、それか近距離にも使えるKFF71S などは? 近距離なら貫通も使えますし敵の波をさばきつつ連射もできるかと」

 

 

 「ああー伊吹童子が『うーん。微妙ねえー』って言っていたやつ。でも小回りは効くし、下手に火力が高すぎても藤丸君の肩がぶっ壊れそうだし、そのくらいがいいのかも?」

 

 

 なるほど。狙撃支援で手数も安定した武器。この方が良いのかも知れない。ふーむ。二刀流もありだし、ちょっとカルデアに戻ったらストーム1さんとプロフェッサーさん。それと合流したら華奈さんにも相談しておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・・ふぅ・・・感謝します。エレナ。だいぶ楽になりましたよ」

 

 

 「よくってよ。しかし、サーヴァントでも酔っ払うほどのお酒って。それほどに大宴会と強い酒を飲まされていたの?」

 

 

 「ええ。私達のファラオ。オジマンディアス様の愛妻ネフェルタリ様の再会を祝して連日宴が続きまして。その際に神酒の類を飲んだのでいくら神の化身たるファラオでも流石に酔いが」

 

 

 歩きつつまだふらつく二人のファラオ・ニトクリス、クレオパトラ殿らをエレナさんと私の魔術で毒を抜いてしゃっきり復活。水とお菓子で回復したようで顔色ももとに戻ったようだ。

 

 

 「しかし、銀狼殿の家族とは。本当にあの方の関係者は礼節を極めているのですね。マシュもいい子ですし」

 

 

 「いえいえ。ファラオ・ニトクリス、クレオパトラに敬意を払うのは当然ですゆえに。それと、よければこのエルサレムのことについてよければお教えいただけないでしょうか。物資の中にある菓子類も献上しますゆえに」

 

 

 「ありがたいですが・・・私はこの砂漠の鏡番であり、ファラオに近づく不敬者を裁く門番。故に、すべてを知るあの方に聞くべきでしょう。銀狼殿の知り合いとなれば決して無下にはしないでしょう」

 

 

 「それに今はきっと銀狼殿の作った「ツケモノ」? を食べて楽しんでいるでしょうし、上機嫌ですわよ。健康にもいいと聞いてぜひぜひ商売にも使いたいので教えていただきたかったのですが・・・・ぬか床とは一体・・・?」

 

 

 漬物まで即席で作ったのか・・・麦糠にしたのかな? いや本当に行動力があるなあ・・・

 

 

 「ふーむ。まあ、それはきっとまた会えるでしょうしその際に聞けばきっと。華奈は円卓の騎士の中でも食文化にも貢献しているので。銀嶺隊といえばわかります?」

 

 

 「・・・あ。あの銀嶺隊ですか! 狼のマークがある。ああー・・・そういえば座にいるときに何度かスパの計画を考える際にサウナとか、色々意見案をもらったり見積もりを作ってもらったわ。あの何でも屋。円卓最強の騎士の部隊だったんですね・・・」

 

 

 クレオパトラさん。貴女も銀嶺隊は知っているのか。逆に華奈を知らないのは・・・まあ、建築やスパなどの経営は華奈は関わっていないと言うか、部下に任せているから代表をそっちで覚えていたのかも?

 

 

 しかし、やっぱりファラオたちには猛獣やスフィンクスが襲わないんだなあ。しつけが行き届いている?

 

 

 「さ、つきましたよ。ここが太陽神オジマンディアス様の神殿です!」

 

 

 そうこうしているうちに見えてきたまさしく豪華絢爛。ピラミッドと神殿を合わせたようなとんでもないものを見て思わず呆気にとられる。感じる魔力からして宝具だけど、その質と、輝きは華奈とマシュの宝具以上に濃密で濃い。

 

 

 「なんじゃこりゃあー!!」

 

 

 驚く藤丸くん。いやあーそうだよねえー私も呆気にとられるよこんなの。

 

 

 「流石、あまねく神殿すべてを自分のものと豪語した建築王。感じる神秘の力も威容もわかるというもの。ふふふ。さあ、どんな出会いがあるか楽しみだ」

 

 

 「はぁー・・・これがエジプトの王の住まい、神殿ですか・・・豪華絢爛。公家でも皇家出ないと考えもしないようなものです」

 

 

 「・・・文字通り全部がたからものですわねえ。思わず海賊の血が騒ぎますが、ちょっとこれは取れないかも?」

 

 

 アン。物騒な発言はやめてとチョップを入れつつニトクリスさんに案内されて神殿内部に。中はすごく涼しく快適で、別世界だと思えるほど。いや実際にそうなのだろう。

 

 

 「ファラオ・オジマンディアス様。王への謁見を求めるものが来ました。銀狼殿の関係者ということでして」

 

 

 そこには少し眠そうにしつつこちらに視線を向ける美丈夫。あれがオジマンディアス・・・英雄王に並び立てるであろう王の中の王。最強の一角。

 

 

 「・・・ほう。銀狼殿の関係者か。よく来た! カルデアのものよ」

 

 

 「それと、どうやら銀狼殿の御息女もいらっしゃるようでして。こちらのマシュ殿ですが・・・」

 

 

 「なんと。いつの間に娘まで作っていたのか! して、伴侶の夫はどこだ?」

 

 

 「あ、いえ。どちらかといえば養子に近い感じでして。マシュ・キリエライトです」

 

 

 何やらすっごいご機嫌で話しかけてくれる。何かあったのだろうか? 異邦の旅人に対しては嫌に・・・あー華奈のお陰かあ。

 

 

 「ふむ・・・良き目をしている。銀狼殿の娘。なら、母に負けぬよう励むがいい。あの戦士に追いつくのは大変であろうがな。

 

 

 さて。我が名はオジマンディアス。神であり太陽であり、地上を支配するファラオである。過去、現在共にそれは変わることがない。して、貴様らがカルデアの使者であり、5つの特異点を攻略したのは知っている。其の上で求める情報も聖杯と銀狼殿のことだろう。そのうち余から話せるのは聖杯のことだ」

 

 

 おお、既に聖杯のことも知っているし、カルデアのことも。エジソンといい、ある程度高位の英霊や何らかの製造技術に秀でている英霊なら私達の旅路を見ることができるのだろうか。何にせよ話が早い。

 

 

 取り出される聖杯を見て僕らは一同おお。と声を出す。ここまで早く特異点で聖杯を見るのは初めてじゃないかな? 

 

 

 「え。で、でも今まで聖杯を持っていたのは魔術王の方に手を貸した奴らだけど・・・」

 

 

 「誰が魔術王なぞに与するか。これは余がこの砂の聖地に降臨した際に十字軍から・・・・」

 

 

 聖杯を持ちつつ藤丸君の懸念に応えるオジマンディアス王。だけど、その合間に首が突然ずれた。まるできれいにくっついていたものがズルリとずれるように。その首をトントンとすぐに直すオジマンディアス王。いやいやいや!?

 

 

 「フォーーーーーゥ!!!?」

 

 

 「十字軍から没収したものだ。真の王たる余にふさわしいものとして。な」

 

 

 「あ、あのオジマンディアス王。それも驚きなのですが・・・!」

 

 

 「く、首がずれましてよ・・・?」

 

 

 僕らはみんなで頷く。それはそうだろう。流石に死んでいるのかなんかの逸話でないとこうしているのがありえないほどだし、首が切れても生きていたという逸話はない。

 

 

 ただそれを見てオジマンディアス王は少し苦々しい顔をして。

 

 

 「旅の疲れであろう。許す。そして聖杯を手に入れた余は・・・おっと」

 

 

 またもや首がずれ落ちるのを防いで下に戻していく。もはやコントだ。ろくろ首や酒呑童子と話しているような気分にすらなっていく。あちらは触れてほしくないようなので必死に視線をそらして見なかったふりをするけど、もはや何がなんだか。

 

 

 「まあ、とりあえずだが、結論から言おう。この聖杯はカルデアには渡さん。この聖杯は余のもとに愛妻ネフェルタリを届けた銀狼。華奈殿に下賜すると決めている。しかし、それには成すべきことを成してからである。

 

 

 そのうえで言おう。遅すぎるのだカルデアの者たちよ! 銀狼殿がいてこの遅さとは! この時代の人理はとっくに崩壊しておる!!」

 

 

 「なっ・・・! いや、王よ。崩壊しているとはどういうことです!!」

 

 

 「そ、そうです! それは一体どういう・・・」

 

 

 「言葉通りの意味よ。この時代は本来であれば聖地を奪い合う戦いがあった。一方は守り一方は攻める。二つの民族による絶対に相容れない殺し合い。その中で聖杯は奪い合い、手にした陣営によって聖地は魔神柱か、あるいはどこぞの英霊の馬鹿げた欲望の苗床になっていたであろうよ。

 

 

 ・・・銀狼殿や、その側を固める狼達に嵐の戦士殿がいてもっと早く来れていればな・・・」

 

 

 なるほど。おそらく十字軍から聖杯を奪い合う際にオジマンディアス王が見聞きした情報と情勢からそうなり得るということだったのか。崩壊する前のここの人理、特異点は。そして、早く来ていればというのは、華奈がゲーティアの瞳術で魂を鬼が島に幽閉された際に皆が作業が止まりアメリカの特異点の割り出しが遅くなっていた。

 

 

 そのツケがここに回ってきたというのか・・・ここの聖杯のことといい、大真面目に華奈に助けられつつも、僕らが甘えていた部分も如実に出てしまったのだろうか・・・

 

 

 「でもそうはならなかった。聖地争奪戦は起こらなかった。そういうことでいいかな?」

 

 

 「確かに・・・今太陽王が聖杯を十字軍から奪取した。そして眼の前にある。なら、王が十字軍を蹴散らして、もう片方の勢力が聖杯を持たないまま。オジマンディアス王が十字軍を蹴散らしたとなれば、もう片方は・・・?」

 

 

 「ほう。鋭いな。そこの二人。いずれ余の側室に加えるゆえに予定を開けておけ」

 

 

 「いやいや? 私は太陽王よりちょ~っと知性が上なだけさ」

 

 

 「ふふ。嬉しいですが私は粗忽者。それに、華奈が、娘がいますので・・・」

 

 

 気になるのはそこだ。オジマンディアス王のことだ。どうせ十字軍は完全崩壊したとしてもう一つの存在は、このエルサレムに住む存在はどうしたというのだろう?

 

 

 ネフェルタリ様がいるうえで側室を求めるあたり性豪だし、沢山の子供がいたのも納得だぁ。

 

 

 「ふはは。銀狼殿の母か。なるほどその美貌も似たというのは納得よ。なら側室はそこの知恵者だけだな。そして、話を戻すがたしかに2つの軍勢のうち1つは余が叩き潰した。そして残党も始末し、この特異点を特例の状況かつ、崩壊させた者は聖都の残骸。エルサレムの跡地に居を構えておる。

 

 

 通り名は獅子王。純白の獅子王などと謳ってなあ! カルデアのもの等よ。貴様らもわかっているだろうが既に崩壊している人理。特異点。そこに挑むには貴様らは矜持も覚悟も足りず、ましてや主力と離れている。

 

 

 故に、一度ここから出て見聞を広め、その残酷さ、過酷さを知りつつ銀狼殿と合流せよ。其の上でもう一度、どうしたいかを聞こうではないか。余の首を狙うか、協定を結び獅子王を狙うか。あるいは、それ以外の選択か」




 ニトクリスカワイソス。まあ、戦闘はしていないのでギリギリセーフ。


 謁見の際にネフェルタリがいなかったのは首切られていたオジマンディアスが流石に見せるわけにはいかないのでちょっと仕事と料理を作ってもらうよう頼んだ直後でした。多分見せたらSAN値直葬者ですよこんなの
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