転生愉悦部の徒然日記   作:零課

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 さーてキャメロットもクライマックスー


ろくでなし共しばき隊

 「ハァッ!!」

 

 

 「ふん。やはり獅子王の子飼いの騎士であればこの程度か」

 

 

 「ぐ、ぐぅっ!?」

 

 

 始まった決闘の最初の勝負。ガウェインとオジマンディアス王。その戦いは、下馬評通りで、驚いているのはカルデアの皆さんくらい。いくらギフト持ちの円卓の騎士とはいえ、聖杯を持ち、愛妻と私、アーラシュ様もいる精神バフマシマシのオジマンディアス様にはあしらわれています。

 

 

 あ、聖杯はちなみに使わないでこの状況ですね。流石、平行世界では英霊三騎を相手に短剣で対処できると豪語した英傑。すこし私が情報を与えればこのとおりですか。

 

 

 「如何な剛力といえど、技の「おこり」を押さえれば大したことはない。そして、良き振りをするが、刺突も、踏み込みも甘いわ!」

 

 

 「ぬぐっ!」

 

 

 オジマンディアス様の用意した杖。自分の背丈より少し長いくらいの、2メートル位のその杖でガラティーンを振り切る前にその大剣の根元辺りに突きを入れて力を出し切る前に抑え、そのまま二撃目を放って鎧に突きを入れて吹き飛ばす。

 

 

 かといって刺突をしようにもこの大剣では突きの軌道も読みやすくそれを横に避けて杖で足払いをして剣事蹴り飛ばしてしまう。

 

 

 ガウェイン。いえ、こちらの方のガウェイン様も剛剣の方に行ったので技術を教えましたが、一応私で柔剣の対処も教えたりしましたのに・・・いえ、この場合はそれを持ってもオジマンディアス王の戦技がすごいと言うべきですか。

 

 

 本人も何人もの力自慢でないと弦を張ることさえ出来ないという大弓を軽々と引くという怪力ですし、何より、ガウェインのギフトすらも徐々に力が弱まってきている。オジマンディアス王がギフトの日差しを制御しつつあるのかも?

 

 

 「ふぅ・・・くっ・・・! 私の力が・・・弱まって・・・? オジマンディアス。何をした!」

 

 

 「何を? 貴様が勝手に使っている太陽の動き。それを弱めただけよ。余は太陽王にて太陽神ラーの化身オジマンディアス! 太陽の加護を受けるだけの騎士が太陽まで自由にするとは増長も甚だしいのでそれをすこし身の程に合わせつあるだけ。

 

 

 どうした? 銀狼殿を守るというのならギフトなしでも、そういう状況でも踏ん張ってこそであろう。それとも、余の加護がなければその立派な剣を振るう勇気もわかぬか」

 

 

 ガァン! と特に強い振り下ろしをガウェインが受け止めるけども力が弱まっているせいで受け止めるか重苦しいものであり、押し返そうとすればその力を利用してくるりと杖を回して下からの突き上げがガウェインの顎を跳ね上げてしまう。

 

 

 「うぐっぉお・・・! ぐ・・ぐ・・・く!」

 

 

 なんともまあ、メチャクチャな道理ですが実際にオジマンディアス様の言葉通りにガウェインの力は弱まっている。日差しの方にも、陰りが見えてきて、時間も実際に日中だと言うのに、その加護が奪われつつあるような。

 

 

 いえ・・・ああーなるほど。太陽の動き、日差しの方。戦いの中で見えなかったですが、巨大な砂塵。これが太陽の光を覆いつつある。オジマンディアス様の領域、砂漠の入口からしばらくあるあの砂嵐。多分上空のみ一時的に領地の、砂漠の砂嵐の気候を召喚してあれで加護を封じつつあると。

 

 

 領地を呼び出せるオジマンディアス様ならではの豪快な手段でガウェインの加護を封じているとは。

 

 

 「全く、情けない弟よ」

 

 

 「誰が弟ですか!」

 

 

 「貴様だ太陽の騎士。その加護を。余の加護を受けるものなら弟よ。民草を導けず、師匠と再び轡を並べることもなく、主へ諫言も言えず。貴様の目指した騎士は犬のようにへりくだるか。そうではないだろう! 銀狼殿は! 狼のように賢く、仲間を導き、時には貴様の王にも諫言を言うことも、意見を言うことも厭わぬ女傑のはず!

 

 

 それが王の血を引き、聖剣の姉妹剣を持ちながらこの体たらく! これが騎士か!! 貴様の師匠が体現する戦士か! もうよいわ! これ以上は興ざめだ。一番やりの努めも果たしたしな」

 

 

 オジマンディアス王ももうこれ以上はする気がないということで魔力を高めて宝具を放つ構えに。一瞬だけ私を見ましたが問題ないと頷く。

 

 

 一度殺すか、痛めつけてやらないとこの馬鹿弟子の性根を叩き直すのは出来ないでしょう。思い切ってやってくださいませ。それくらいしないとこの子は倒れないくらい頑丈ですし。

 

 

 「光輝の大複合神殿(ラムセウム・ティンティリス)!!」

 

 

 「ぐっ・・・くぅううう・・・・! まだ、まだぁ・・・! 私は、モードレッドに、ガヘリス、ガレスのために、母上のためにも・・・ぬぉぉおおお!!」

 

 

 必死に空から降ってきたピラミッドを受け止めて踏ん張るガウェイン。歯が砕ける音に骨がきしむ様子がわかりますが・・・だからといって、聖罰はきっとその皆様も望んでいないですよ・・・道を間違えています。

 

 

 「ほほう。やるではないか。だが、余の、太陽の拳にも耐えきれるかなぁ!? フハハハハハハハハ!!! 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァアアアアアア!!!!」

 

 

 オジマンディアス様も色々と鬱憤が溜まっていたのかどこぞのスタンド使いの吸血鬼のようにピラミッドの上からラッシュを叩き込んで宝具の小さなピラミッドを破壊しながら豪快に高笑い。

 

 

 あまりに豪快、メチャクチャな戦い方と宝具の組み合わせに私達も唖然からの大笑い。

 

 

 ガウェインは手足がグシャグシャに折れ曲がり、血を吐きながら気絶していますが生きてはいますね。・・・バカ弟子ですが、教え子がこうしてぼろぼろになるのは悲しいですね・・・でも、私が選んだ策での結果。悔いはない。

 

 

 「まずは一勝。ありがとうございますオジマンディアス様。幸先の良い勝利です」

 

 

 「当然であろう! 余がいる限り負けはない! で、銀狼殿。そいつも連れて行くのか?」

 

 

 「ええ。お仕置きのために」

 

 

 「まあ・・・その、華奈さん。その・・・縛りが破廉恥な・・・」

 

 

 気絶しているガウェインの手足の骨折と割けた肉を治療魔術を使える礼装で治してから全身を亀甲縛りで縛り上げてソリにのせていく。

 

 

 勝つつもりですし、この後のためにもこの馬鹿弟子に特大級のものを見せてあげましょう。

 

 

 とりあえず城門も閉まっていないので無事に中に入城。次の相手は誰か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「華奈殿・・・」

 

 

 「次はランスロットと。ふむ」

 

 

 聖都に入れば次にいるのはランスロット。悲痛な顔でこちらを見ていますが、そちらも選んだ道。カルデアと喧嘩をする以上。剣を交え、切り合いをするのはわかっていたはずです。

 

 

 「ランスロット卿・・・お母さん。次は私が・・・」

 

 

 「いいえ、この方に戦う相手は既に決まっています」

 

 

 「では、私です?」

 

 

 いやいや、ベディヴィエール様も違いますよ。その方は・・・既にそこにいる。

 

 

 「頼みましたよ。翁様。円卓最高の騎士と謳われた騎士です」

 

 

 「承った。湖の騎士か。覚悟するとよい」

 

 

 私の側にいつの間にか。というよりは気配を消していただけの初代翁様が気配遮断を終わらせる。というよりはただ意識させるために出てくれた。

 

 

 「なっ・・・! 山の翁・・・だと! しかし、その姿、武器で暗殺者とは・・・! そしてなんという・・・!!」

 

 

 流石、ひと目見ただけでその強さの一端を見抜きますか。

 

 

 「キングハサンさん!」

 

 

 「この方が魔術師が言っていた初代山の翁・・・! なんという威容。そして、死の気配!! 華奈殿が手も足も出なかったというのも納得する・・・!」

 

 

 「ふむ・・・初代翁か。なるほど。暗殺者の語源。そして死を司る存在と言っても過言ではないな・・・」

 

 

 ああ、うん。オジマンディアス様。絶対貴方様の首をズンバラリしたのはこの方ですが今は聞かないでください。下手に見抜いたことをいえば多分もう一度切り落とそうか? なんて言い放ったらやばいので。多分初代翁様的にも首をたしかに切って死ななかったのはオジマンディアス様だけですし。

 

 

 「人理焼却を成した魔術王へ挑む銀狼の覚悟と武威に応じ此度剣を握る。神になりつつある獅子王への諫言も出来ず、ただただ不満を抱えながら従うだけの騎士よ。忠義という名の怠惰に浸った欺瞞ごと終わらせてくれよう」

 

 

 「っ・・・いや、こういうことを想定したこともあっての決闘! 獅子王の騎士、ランスロット。参る!!」

 

 

 ランスロットの表情が初代翁様の言葉で苦悶に曇ると言うか、図星を疲れ様な顔に・・・もしかして、表向きは獅子王に仕えるを選んで、うまい具合に裏切ってなんとかするとか、もしくは何も出来ないから仕えているとかそんな感じのことを考えていたとか?

 

 

 でも、決闘のこの日までに何も出来ていないから初代翁様はそう言ったと・・・・・生前でも裏でアルトリア様を裏切っていたけどここでも同じことをしようとしていたと・・・はぁー・・・変わりませんねえこの人も良くも悪くも。

 

 

 こんな形で始まる切り合い。ですが。私を子供扱いしている初代翁様。ランスロットが相手になるわけもなく。

 

 

 「軽い」

 

 

 「グッ、っ・・・うぐぉおおおおおお!!!?」

 

 

 剣をぶつけて弾き返し、そこから目が光ったと思えばランスロットを青い炎が包みこんで襲いかかり焼いていく。

 

 

 「あが、カ・・・・うっ・・・おぉ!」

 

 

 全身を焼かれながらも尚挑みかかるランスロット。剣が輝き、宝具を開帳しようとしているようですが、既にそこには初代翁様はいない。

 

 

 「哀れ。仮初の忠義に宿る輝きなどない」

 

 

 後ろに移動していた初代翁様によって急に持ち出してきた大盾で後頭部をガァんと殴って気絶させることでこの決闘も終了。豪快すぎる当身ですが、まあ・・・首を取らなかっただけ良しとしましょう。

 

 

 「銀狼。此奴にも罰を与えるのだろう。死は救いになりかねないのであろうと考えたゆえに、後は任せる」

 

 

 そう言ってフッと霧のように、あるいは最初からそこにいなかったようにいなくなる初代翁様。多分どこかで見ているんでしょうけど、いやはや冠位の資格を持つものはとんでもないですねえ。

 

 

 初代翁様の慈悲に感謝しつつ甘える形でランスロットも一応の治療をしてから亀甲縛りと猿轡をしてソリに投げ込む。ウチの部隊のオカマたちが騒いでいる声が聞こえるが気にしない。いや・・・このまま投げ込むのもアリ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ああ、あの二人がこうもやられるとは。私は悲しい・・・これでは、私の手間が増えますね。華奈殿、そして・・・ベディヴィエールを殺さないようにしつつ戦うのは骨が折れる」

 

 

 「トリスタン。よく言いますね」

 

 

 聖都の中央にそびえる巨大な城。そこの入口で待ち構えているのはトリスタン。やはりというか、言葉は穏やかですが感じる気配が穏やかじゃない。

 

 

 ギフトのせいでしょうか・・・残酷な気配を感じるんですよね・・・円卓の中でも慈悲深い面がよく見えた人だったのに。

 

 

 まったく・・・あの愚妹、どういうギフトを与えたのかこってり聞かないと。

 

 

 「さて。とはいえこれは我が王が認めた決闘。さぁ。私と戦う戦士は誰ですか?」

 

 

 「オレと」

 

 

 「私が相手になりましょう」

 

 

 トリスタンと戦うのはアーラシュ様と頼光様。アーチャーの中では文句なしの一級品の大英雄と、その技量と武芸百般はあらゆる状況で鈍ることはない戦士。この二人ならある意味円卓の騎士の中でも特異な攻撃手段のトリスタンにも行けるでしょう。

 

 

 「ふむ。何方もかなりの武人。相手にとって不足なし。では、始めましょう」

 

 

 勝負が始まり、その弓の弦が鳴らされると音の刃が飛び、頼光とアーラシュに向かうも、それはアーラシュは音の刃のゆらぎを見切って避け、頼光様も魔力をまとった刀で弾く。

 

 

 「ほう・・・」

 

 

 反撃の二人で放つ矢の雨はまさしく豪雨と言っていいほどでトリスタンもフェイルノートをかき鳴らして音の刃を複数発射して矢を切り落とすもさばききれずに回避行動を取って矢の攻撃をしのぎつつ数秒間フェイルノートを鳴らしてあっちも連続攻撃。

 

 

 「ハァッ!!」

 

 

 「むん!」

 

 

 「ッ!」

 

 

 見えないはずの、いえ、かすかに空気のゆらぎは見えるかもな程度の、刃を出す以上ほんの僅かなその変化を逃さずに雷状の魔力をまとった刀で攻撃を叩き落としてしまう頼光様。そして、アーラシュ様も矢じりをナイフ代わりにして音の刃を叩き落とし、体捌きを持って回避の連続。

 

 

 「せぇい!」

 

 

 「お返しだ!」

 

 

 「グッ! 見切れるとは・・・音の刃を!」

 

 

 「目の良さには自信があるんでな。音のかすかなゆらめきを捉えられるんだよ」

 

 

 「初代翁殿と華奈さんの戦いで似たような技を見ていましたのでね。対処を学んでいるのです」

 

 

 「流石勇者殿と銀狼殿の母だな!」

 

 

 いやいやいや・・・目の良さと耳の良さもあるんでしょうけどそれを即座に対処できるアーラシュ様と、私と初代翁様の戦いで飛ぶ斬撃の応酬を見せましたけど、それで応用で音の刃もとは・・・大英雄の武の天賦の器は違いますねえ。

 

 

 「では・・・こちらも出し惜しみはなしです!」

 

 

 「最初からそうしろってんだ! こっちは必死だぜ!」

 

 

 「ですが、いずれにしろ獅子王への道は通してもらいましょう!!」

 

 

 トリスタンも本気で激しい攻撃の波を放ちますが、そのギフト持ちの重い一撃を二人は連携と手数を持って対応。特にアーラシュ様の攻撃の重さはギフト持ちトリスタンの攻撃に対抗できるうえに、そこを近距離で刀で戦え、矢での支援もできる頼光様の支援がアーラシュ様の攻撃の手を緩めさせないように立ち回るのが上手い。

 

 

 即席のコンビだと言うのに、かなりの連携を見せていくゆえにトリスタンもジリジリと追い詰められていく。

 

 

 ときに矢の雨が。ときに突貫してくる剣士と剛弓をさばきながらの対処。しかもその剣士は相手が格上、鬼という怪力を誇る種族や牛鬼などの妖怪天魔と戦い慣れている頼光様。ギフトの加護による力の上乗せなどもすぐに対応してしまい、手札の多さと雷撃で逆にトリスタンの攻撃を封殺。

 

 

 「捉えたっ!!」

 

 

 「そらぁあ!」

 

 

 「ぐ、く・・・・・か、な・・どの・・・」

 

 

 最後は頼光様が刀でフェイルノートを真っ二つに叩き切り、アーラシュ様が矢で両手のひらを打ち抜き、最後に二人で前後からボディブローと当身のコンボで気絶させる形で勝利。

 

 

 最後に私を見て手を伸ばそうと見えましたが・・・戦いを選んだ以上。まあしょうがないことです。

 

 

 ここの戦闘も無事勝利。多少手傷を負った二人ですが、それでも無事そうで何より。

 

 

 「うふふ。華奈さん。無事にトリスタンを捕らえました。彼も捕縛を?」

 

 

 「ええ。ただ、この方の場合は指が動けば危険なので、両手を合わせて指を絡ませてから、ギッチギチにテープとワイヤーで縛ってと・・・亀甲縛りからのエビゾリで・・・よし」

 

 

 三人目のバカ騎士も捕獲成功。さぁ、ソリにしまっちゃおうね~していよいよ聖都の、獅子王が待つ城の中にいざ鎌倉。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「兄上も、トリスタン卿も、ランスロット卿・・・はまあ、いいが、ここまで通されて尚被害はない。さすが先生とその側を固める戦士たち・・・・・」

 

 

 「ふん。そこは王たる余はよく知っている。そして貴様も同様ではないのか? 鉄の騎士、アグラヴェインよ」

 

 

 「・・・ああ。そして、それでも私は、私達は先生を守るために、ここにいてもらうためにも諦めきれない・・・! 非道な行いをしているのは十も承知。それでも、我らの大恩人を守るための最善を成すためにも・・・王のためにも引き下がれない」

 

 

 「アグラヴェインさん・・・! その思いは正しいでしょう。でも、お母さんの話と、まだ別の道もあるはずです!」

 

 

 城内の中層にある広間。そこで漆黒の鎧とやや長めのショートソードを構えて戦闘態勢を整えるアグラヴェイン。そこに立ちはだかるのはマシュ。そしてマスターの藤丸様。

 

 

 「華奈さんとじっくり話すという選択肢はないの?」

 

 

 「ギャラハッド・・・いや、マシュといったか。そしてそのマスター。貴様は失ったことや、その後の悲劇を、その重みを味わったことがないから言えるのだろう。私も、先生は無敵だと思っていたさ。今も尊敬してやまない偉大な騎士だ。

 

 

 人理というあまりに大きなものを、マスター。君の家族も、日常も失っている中で言うべきことではないかもしれない。しかし、側にいて、常に私達を優しく包んでいた月光のような方を失った重みを知っているか。それをもう味わいたくない。故に、愚かな行動であろうが止まれない。先生の養子であれど・・・今の時代の弟子であれど、引き下がれないのだ!」

 

 

 「アグラヴェインさん・・・! なら・・・押し通ります! 何方の意見も譲れないのならぶつかりあって決める! それがオークニー流の会議でしたものね!」

 

 

 悲痛で、まるで小さい頃に珍しく見せた泣き顔を思い出させる顔で剣を構えてマシュとぶつかり合うアグラヴェイン。

 

 

 ・・・・

 

 

 「・・・・・・アグラヴェイン卿の言うことは本当です。私達はアーサー王を私達を照らし輝き、導く太陽なら華奈殿は私達を涼風で癒やし、優しい光で包んで夜道も迷わず歩ける助けをしてくれる月だと思っていました。

 

 

 王の金の輝きと聖剣の光。華奈殿の銀の軍が牙となり敵を穿つ様。それは、私達の希望でした」

 

 

 「それが片方欠けてしまい、すべての歯車が狂ってしまった・・・」

 

 

 「太陽と月。騎士王と銀狼。なるほど・・・今までの騎士たちの行動にも、そこまでになって求めるのはわかった気がします。騎士としての光が騎士王なら、一個人としての時間を、余裕をくれたのは華奈さん・・・と」

 

 

 ギフト持ち、しかも恐らく鉄と言わしめるほどの正確無比な剣術の型を戦場でも使うほどの反復練習と実践の鬼であり守りの達人のアグラヴェイン。その剣技の中に私の使う受け流しや体捌きの技術を体得している。

 

 

 力ではない。鋭い硬さと、柔らかいしなり。まるで先端に刃物をつけたムチのような攻撃。

 

 

 マシュもギャラハッドの記憶と、私達のシゴキもあってこういう動きは対処できてはいるけども、派手さがない分、逆にマシュも攻撃が通らず攻めあぐねてしまっている状態。

 

 

 藤丸様のレイヴンでの援護射撃も目くらましにしかならず、いやむしろその回避の際に距離を取りつつ壁際に追い詰められないように円を描くように移動するので捕まえられないだけだ。

 

 

 「負けるわけには行かない! ここで一人でも・・・! 王のために、そして、先生のためにも・・・!」

 

 

 「先生のために先生のためにって! それでお母さんを怒らせて、手間を取らせてしまってまるで助けになっていないじゃないですか! なんで最初から協力しないのですか!」

 

 

 段々と感情をむき出しにしてぶつかり合いが激しくなる二人。マシュ様を盾ごと押し返す剣圧と、盾を蹴り飛ばして上空からの追撃か回避に使う技術をフル活用して弾丸を避けつつマシュに何度も苛烈に、たとえ盾が砕けなくても。砕ける代物でないと知っていても叩きつけていくアグラヴェインに、マシュも盾を剥がそうと、どかして剣を滑り込ませる動きへの対応をこなしつつ面白い戦い方を。いや強引と言うべき動きもする。

 

 

 十字架と円卓を合わせたようなその大盾の一部を持って体でぶん回してハンマー代わりにして殴りかかったり、いつもなら絶対にしないであろう足を高くあげてヒール部分でアグラヴェインの篭手を蹴り上げて攻撃を回避などなど。

 

 

 剣技のレベルも盾の扱いも奔放かつ高い技術なのだけども・・・

 

 

 「ふー・・・・まるで・・・子ども同士の喧嘩を見ている気分です・・・・・もう・・・決闘だと言うのに」

 

 

 「先生なら魔術王へ挑むのを止めない! それではいけないのだ! あの完璧な計画をする様な怪物に先生をこれ以上進ませては! 何故わからないのだマシュ!」

 

 

 「わからないです! そこまでわかるアグラヴェイン卿たちと、こんな力を渡せる獅子王に、皆がいれば違う未来が見えるはずなのに!」

 

 

 「もう、この人を傷つけさせる。死の危険を与えないためだ! そのための獅子王の聖槍なのだ!」

 

 

 「なら、なんでこんな顔をして剣を振るうんですか! 本当は、期待しているくせに! 頼りたいくせに!」

 

 

 子どものような口喧嘩をしながらの盾と剣のぶつかり合いに、藤丸様のレイヴンの射撃も徐々にあたり鎧が砕けていくけどそれでもアグラヴェインは防御をできず、いや、しなくなっている。

 

 

 「みんな、ブリテンでの恩があるからって助けたいと言っているけど、結局お母さんの戦いを、どういう策を持っているかどこか気になっているのに! 獅子王と、いえ、アーサー王とお母さんの二人の協力を見たいはずなのに幽閉こそが一番だと自分に言い聞かせて!

 

 

 もう一度くらい、一緒に戦うとか、話し合いをするくらいしましょうよ! この、不器用な騎士たちが!!」

 

 

 「ッッッ!!! う・・・く・・・」

 

 

 マシュの気合のシールドバッシュと藤丸様の礼装での筋力強化支援での一撃がアグラヴェインにクリーンヒットして気絶。

 

 

 「ふー・・・・ふー・・・はぁ・・・は、円卓の騎士・・・アグラヴェイン卿・・・気絶しました。私達の、勝利です。先輩。お母さん・・・」

 

 

 「お疲れ様ですお二人共」

 

 

 「ここまで派手な兄妹喧嘩か? はすこし見たことがないなあ! わははは。まあ、兄ちゃんである分色々悩んだんだろ。それを吐き出せた分、少しは良いガス抜きになったと思うぜ。マシュ。藤丸」

 

 

 「全く歪んだ忠誠心と独善は何時の世も問題になるものだな。それが円卓になればこうなるとは。銀狼殿も人気者と見える」

 

 

 「からかわないでくださいよーオジマンディアス様。でも、これで獅子王の騎士を全員倒しました。もう後は・・・この元凶をしばくだけ。皆様の戦いに恥じない成果を見せます」

 

 

 気絶して尚眉間にしわ寄せて・・・いつも色々と考えている子でしたけど、全くもう。お仕置きのあとは好きなご飯を作りましょう。まあ、今は暴れさせないために亀甲縛りと猿轡はしますけど。

 

 

 そしてソリに乗せて、いざ玉座の間に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「我が騎士たちをすべて退けてきたか・・・」

 

 

 玉座の間に座る獅子王。いえ、あれが聖槍を握り続けた並行世界のアルトリアですか・・・

 

 

 「姉上なら、きっと、超えてくるだろうと考えていましたが、やはりされると違いますね」

 

 

 「こうして敵として、ぶつかり合う相手として会うのは二度目になりますね。アルトリア」

 

 

 「・・・・・・ええ。そして・・その大盾の娘と・・・そこの騎士は・・・?」




 まあ、そうなるよねって。
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