転生愉悦部の徒然日記 作:零課
(*´ω`*)月(*´Д`)日
お風呂づくりに取り掛かることにしましたが、取り敢えずコンセプトを決めなければいけません。ダンカンと銀嶺の新入りの子たちも呼んで話した結果「小型であること」「出来る限り省エネ、低コスト」「長持ち」とまあ普遍的ながら難しいものがあがりました。
私としてはドラム缶風呂、五右衛門風呂がいいですが、水の乏しい場所や川などの水源が遠い場所ではそれは贅沢になるのでどうしたものか・・・少ない水で汗を流して、身体もポカポカ・・・あ!
フィンランド発祥のサウナ。これなら蒸し風呂で少ない水で大丈夫ですし、熱源も家庭調理の窯の中に石を入れておいて回収すれば使えますし、薪の消費にもならないでしょう。五右衛門風呂は・・・あの焼けた石をブチ込んだ湯船に入っては火傷ですし、かと言ってその間待ってあの熱さを失うのは・・・
取り敢えず先に作れそうな蒸し風呂を作るために銀嶺の拠点、そこの誰も使っていない空き部屋を使わせてもらい改造開始。床から引っ剥がして湿気や耐久に優れた改造に熱気を残しつつ少しづつ換気ができるような工夫も凝らす。部下の一人が使用していた部屋も使っていいと申し出があったので早速破壊して場所を繋げ、その後にまた仕切りを設ける。脱衣所と体の汗を流す為の水瓶を置く場所です。そしてそれぞれに熱くなりすぎて火傷しないように石の床や壁に木の板を貼り付けてタオルも置く。これで火傷はしないでしょう。
途中から騒ぎを聞きつけたヤマジと散歩していたロット元国王、そして私に商談を持ってきた商人様も加わり大騒ぎ。ダンカンはその間に漁師の技術と私の知っている桶の作り方を曖昧ながら教えて大きな桶を作成してもらっています。
やはりと言いますか、お風呂を作るというと皆様は少し不思議がりましたが、すぐに納得して笑いました「ああ、また何か閃いたか」と。もう皆様その受け入れ方なんですね・・・何か変人扱いされているような・・・・・
準備していたら半ばですがもう夜になりましたので工事の音を出して近所迷惑にもなる訳にはいかない。一度中断して明日に備えることに。早くお風呂に入りたいです・・・
(._.)月(^^)/~~~日
本日私とガウェイン様にアルトリア様からの手紙が届き、開いてみると近々ブリテンの近衛騎士団を改めて完成させたいのだが、その部隊の中に銀嶺の一部を組み込みたいので渡してほしいとのこと。待遇も申し分ないですし、同盟国の軍の一部を抱え込んで近衛の一部に入れるという行動を迷いなく取れる辺り信頼している事と、此方とブリテンの結束力の証として見せたいのでしょう。ブリテンも殆ど島を統一しつつありますし、改めて武威を見せつける思惑もあるのでしょうけど。
ガウェイン様も私もこれには賛成なので銀嶺の皆様に話したところ、人間からは50人程、魔獣たちからは魔狼が20頭魔猪が5頭と中々の数に。アーサー王に惚れ込んだ方から同盟の結束を強めることが出来るのならと志願するものと様々。魔獣たちは何となく。だそうな。獣故に自由ですね。今回は助かりましたが。
早速出立の準備をして志願した部隊はブリテンに向けて出発。家族などは後を追ってブリテンに送るとして、早く到達して部隊の連携などの打ち合わせをするべきでしょうと皆様本当に慌ただしく行ってしまいました。ブリテンとはよく連携して戦いますからすぐに会えますが、少しばかり寂しいですね・・・
家族には私から説明に向かいましたが、やれ栄達しただの、私の部隊に入った以上これくらいでは驚かないだの、腹抱えて爆笑するものだのと様々。勿論怒るものや慌てふためくものもいましたが、事情を丁寧に説明して納得してもらい、今回出ていく皆様の家族には私から特別手当と移動用の路銀。また彼らのもとに行く場合は銀嶺が護衛をを出して行くことを約束しておきました。
これに関してはガウェイン様に有給休暇も頼むことを考えなければ・・・
最近ガウェイン様はモルガン様から島の管理者の権限を受け取り、幻想種、魔獣、巨人族などの言うなれば神代の時代から人の世界に移りゆく者たちを妖精郷に送るために時間を見つけては出かけて走り回る日々。当然何があるかわからないので護衛に私をガウェイン様やモルガン様たちから頼まれて同行。
中々に忙しくも政務の息抜きになっているのかガウェイン様は大変元気に仕事をこなしていくので交渉も捗りますし、上手くいかなくて襲いかかる魔獣や巨人族でも悠々と無力化して妖精郷に強制移動。私はその無力化の手伝いと魔獣の翻訳の翻訳をしています。
どうしても泥やホコリ、血糊にまみれて終わるので、加護があっても精神的な疲労が拭えません。まだお風呂も完成していませんし・・・明日は休みですからそこで終わらせませんと・・・
♨月(⌒▽⌒)日
作業も大詰めに入り、実験、初風呂の披露会に向けて私、ダンカン、ヤマジ、モルガン様の皆で木材に石、道具を用意して浴場作成。他の皆様は他の仕事があったために参加できず。少し悔しそうな顔をしていました。
夕暮れになるはじめる頃にサウナルーム、五右衛門風呂の両方が完成。風呂桶も水を試しに入れても漏れが出ませんし、問題はなさそうです。今晩のご飯の為に使用した竈から焼けた石をサウナルームの水桶に投入開始。
途端に水が蒸発して蒸気が吹き出て部屋一面を熱気と蒸気で満たしていく。先に試験で試すことにしたヤマジは最初は驚きましたが、蒸気の熱と流れ出る汗に心地よさを感じ始めたか動揺も無くなり、サウナを堪能し始めています。あ、因みにちゃんとタオルは腰に巻いてもらっていますからね? 暫くして垢を落とすための荒縄と、フィンランドでは白樺や木の枝(葉っぱつき、神話や精霊の宿るものはなし)で体を叩いて新陳代謝を活性化させているそうなので渡しておき、私自身はもう一つの五右衛門風呂のある部屋に。
木製の桶にまず石で出来た専用の下敷きを置いて、水を満たす、そこに焼けた石を入れて、さらに上から木と石を組み合わせた中蓋を置いて石で火傷しないようにすれば準備万端。モルガン様も一番風呂に入ると感嘆の声を上げて湯に浸かり、気持ちよさそうにお風呂を楽しんでいます。早速私もタオル一枚になって湯船に身を沈めることに。さて・・・?
・・・・・・・っはぁああぁぁぁあ~~~~♡
ああ・・・癒やされます・・・この少し熱いくらいの温度がまた心地いいんですよねえ・・・ダンカンが気を利かせて一人なら少しくつろげるくらいの大きさにしていますし、二人でも少し大きくするだけで十分にくつろげるでしょう。これを元に改良したり地域、村に合わせたサイズにすればいいでしょう。道具も桶、石底、中蓋と多くないですし、加工方法のノウハウも教え込めば・・・
そんな事を考えながら夢見心地な気分になっていると何やら邪な視線が・・・出歯亀ですか? 立て掛けていた「陽炎」を用いて飛龍閃で刀をその視線のもとに飛ばすと手応えあり。即座に風呂を上がり、濡れたままですが着替えて出歯亀を捕まえようとしたら・・・目を回しているガウェイン様と転がっている「陽炎」が・・・なにをしているのですか国王陛下・・・
意識がしっかりしたところで問いただせばモルガン様から話を聞いたので是非とも見に行きたいと覗きを敢行したとかなんとか・・・
私だけではなく実の母も入っているのに覗こうとしないでくださいよ・・・いくら姿が若いままとは言え、私ももう40過ぎにもなるのに・・・もっとこううら若い乙女との恋とか・・・色々あるでしょう・・・?
罰としてサウナで枝でしばきあっているヤマジ達の半ばハッテン場となっているサウナ室に入れておいて湯船に浸かり直します。これは少し大きい桶を作って各村に配れば衛生対策になりますかね?
(^_^;)月¥日
いよいよ数日後にアルトリア様の新たに結成する近衛兵団の結成式が近づいてきました。私も一応関わっているので騎士の装備で行こうかと思いましたら礼服にしてほしいとアルトリア様からの通達。
これには流石に困りました。最近は貯金も始めていますし、今回の出費も問題はないのですが正直どのような礼服で行けば良いのかまるで見当がつきません。かと言ってモルガン様達の服を借りるわけにも・・・ああ、鉄火場と畑にばかりいた弊害がこんな形で出るなんて・・・!
これに飛びついたのがイグレーヌ様にモルガン様、ガレス様達の女性陣。皆様思い思いの礼服やドレスを持って包囲しつつにじり寄ってきます。あ、これ着せ替え人形にされちゃうパターンですね。逃げ出すことも出来ましたけど、この騒ぎで礼服が汚れたり破れるのは駄目ですし、長引いては結成式にも遅れるかも・・・はぁ・・・・自分の怠慢が恨めしい・・・
逃げ出すことを諦めて仕方なくお三方のきせかえ人形に甘んじることにしました。もう、奇天烈なものじゃなければいいですよもう・・・・・取り敢えず結成式ではどうやら自分も催しを行うかもしれないそうなので、ドレスですが、ある程度は動きやすいように外からは分からないように細工を施しておき、騎士の装備も改めて細かく掃除。化粧の練習もすることになりましたし大変でした。
後半は何処から出てきたかガヘリス様にガウェイン様がコスプレ用の衣装を持ち込んできたのでそこで結局逃走開始。なんで猫だの狼の付け耳にメイド衣装・・・それもミニスカートの物を・・・
後日調べたところ銀嶺の魔狼隊に憧れた子どもたちの遊びが生んだものだそうです。実際に狼になりきる儀式はありましたけども、まさかこうなりますか? 日本の暴走具合が混じり始めていませんか・・・ハロウィンには狼男の衣装も出てきそうですね。メイド服の謎は未だに解けませんが。
(*^^*)日〓日
本日アルトリア様の新たな近衛騎士団の結成式とお披露目会。私達もブリテンに趣きその大規模な催しに参加しましたが。流石イギリスほぼ全てを統一したアルトリア様の執り行う式典だけあってすごい賑わい。目玉の近衛騎士団も代表のランスロット様を含めて皆精兵揃い。銀嶺でも半数以上の被害と指揮官クラスの大半はやられることを覚悟しなければ挑むことも許されないでしょう。
ガウェイン様にモルガン様達もその力量に一目置いていました。
その中に入っている銀嶺が入っていることに諸侯が驚いてもいましたが正直今更な気も。わざと驚かすためにアルトリア様は伝えていないとかあるのでしょうか?
一応は式典も無事に終わり、来賓との会食になるのですが、その際にランスロット、ベディヴィエール様からは銀嶺の参加にブリテンでの教導、農業の実践などの事で礼を言われ、トリスタン様からは口説かれ、ペリノア様からは料理を作ってくれとねだられる。
お願いですから皆様一斉に話さないでくださいよ・・・聖徳太子じゃないんですから。それとトリスタン様。しれっと口説いていますけど、周りの婦人方の目が怖いですから止めてください。いや本当あなた自身色男なのですからね?
そうこうやり取りを続けていると司会進行役をしていたベディヴィエール様に呼ばれ、壇上に。アルトリアが認めた剣士でブリテンとオークニーの同盟の立役者として紹介されて軽い挨拶と演武を披露。多少余計な情報が入ってもいましたが無事終了。だったら良かったのですが、さらなる催しがあると言われて壇上にブリテンの近衛騎士団が数名上がってきて此方に臨戦態勢を取ります。更には少し離れた場所には人形の的らしきものも複数に散らされています。
何のことかわからない私にベディヴィエールは「今からカナにこの選りすぐりの騎士と戦ってもらいながら離れた標的を壊してもらいます」と中々に大変な催しの内容が出されました。こんなメチャクチャな内容はアルトリア様なら出さないですし・・・犯人は
視線をアルトリア様たちの席に移すと申し訳なさそうに顔を青くしているアルトリア様とほくそ笑んでいるマーリン。やはりあのお方ですか。後で話をしてもらうことを条件にこの演武を開始。ドレスで少し動きづらかったですが騎士を皆軽くあしらい、受け流しながら武器を奪って「蹴鞠」の要領で的を穿ち抜いていき、終了。最後はやけくそで同時に4つを破壊したりとマーリンを驚かせる技を見せました。せめてこれくらいの茶目っ気はいいですよね? しかし慣れない衣装に少し激しく動きましたらから化粧が崩れていないか心配ですね。薄めにしてはおきましたけど・・・
その後は大歓声と諸侯からやれ仕官の話やら縁談やらを持ちかけられて食事もおちおち楽しめない状況に。一応今回の宴の関係者ですし、同盟もありますので勝手に飛び出して泥を塗る訳にはいかない。なんとか断りながら対応して宴を終わらた夜更けに漸く互いに来賓、家臣から開放されたアルトリア様にマーリンと対面。
申し訳ないと頭を下げるアルトリア様をなだめすかした後にマーリンと一対一で対面。今までの行為と何を目指しているのかを問いただすことに。正直アルトリア様を助けたいのか何尚かわからない部分や不可解なものもありますからね。
結果は人自体は好きで人の織りなす物語が大好き。そして『ハッピーエンド』『人が織りなす美しいものが見たい』というのが目標みたいですが・・・あれですよねえ。夢魔の血が入っていることや千里眼の超越した能力で正直価値観がズレにズレていて仕方がない。軽く会話するだけでもこれが分かってしまう。
それに『ハッピーエンド』も物語全体のことであり、個人の幸福については度外視、若しくは部品の一部扱いですし明確なものも言い切れていない。これってもしかしてアルトリア様の描く物語の悲劇というピースの一つ、又は成長の糧としてモルガン様達を切りましたか? 『数々の苦難を乗り越えたアーサー王の描く王としての立派な姿』のために。『今のところは悲劇を回避して手を取り合うことの出来た家族の感動の物語』にでも仕立てるために友好的なのかとも勘繰れますよもう・・・
このロクでなしに任せては悲劇やアルトリア様が壊れるかもしれないですし、モルガン様とも相談しなければ・・・そもそも人の感情が理解できない輩が師となり、多感な時期の子供に王として、戦士としての教育しかしていない、この二人が人の集団の頂点である王とその参謀な時点で『ハッピーエンド』を紡げるかなんて無理だろう。それこそ機械の王様、装置の王様の完成。
そしてその感情を理解できずに失敗する場面が必ず出てしまう。・・・はぁ・・・私もアルトリア様を考えるならブリテンに関わる機会を増やさなければならないのかもしれないですね。少なくとも摩耗していくアルトリア様をモルガン様たちは望まないでしょうし。
(゚∀゚)月(゜o゜;日
あの後モルガン様にガウェイン様と相談した結果、私は一週間の内2,3日はブリテンで教導任務や警邏を行う事、残りはオークニーで過ごす。そして私が望んだ時にアルトリア様は週に1,2日ほどオークニーで休んでもらう事を条件に飲んでくれるならブリテンでも技を教えるし、哨戒もすると伝えました。
マーリンと話している間、アルトリア様の会話でまさか今まで不休で働いているとは。一部は私が起こしたものもあるでしょうけど、落ち着いても尚そのペースは崩さなかったとのことですからこれは異常としか言えません。王が休めなければ家臣も休めませんし、誰かに気づかれたらそれこそこれで皆様が申し訳と責任感で働き続けて過労でバタバタ・・・というのも冗談で済まされません。あの会食の場にいた家臣の中にも心酔、盲信しているのも何名かいたのはすぐに分かりましたし。
私やガウェイン様で交代でブリテンを手伝い、休日は私達の場所で色々最近ゆるすぎるオークニーで安らいでもらいたいです。お風呂も銀嶺の拠点と王城を中心に広まり始めていますし、商人様に販売許可を渡す前にお風呂でくつろげるでしょうからね。
色々悩みましたがアルトリア様もこの条件を飲んで幕臣に伝えました。その際に礼を言いに来たケイ様にも来てほしいと伝えて細かい帳尻合わせですぐには出来ないので取り敢えずはオークニーへ帰還。疲れました。
一旦モルガン様とは別れて銀嶺の拠点に帰るとなにやら見事な美しい白髪の大層な巨漢の老人が拠点に来ており、少しここで住みたいものだから色々教えてほしいとのこと。
まあ、身なりもそこら辺の老人ですし、覇気も何も無いですが・・・嫌に目の奥が猛っていると言いますか・・・品定めしているるようにも見えるんですよねえ・・・モルガン様にこっそり伝令を走らせてヤマジたちにも連絡を出していると私に老人は折角銀嶺の将に会えたからお話がしたいと言われ、断る気もないので席に座ると、腕につけていた飾りを外して、隠していたのであろう覇気と鋭い相貌を表に出しながら自己紹介をはじめました。
名はヴォーティガーン。今回は銀嶺とその隊長。つまりは私を見定めに来たのだとか。そして、見事に眼鏡にかなったために勧誘したいとのこと。
色々理解が追いつかない銀嶺の部下を抑え、モルガン様も察してくれたのか人払い、遮音の結界を即座に何重にも張り巡らせてくれました。これで心置きなく会話ができるので理由を聞いたところ。自分はかつてブリテンにいた白い竜の代弁者。赤き竜が人の守護者ならば白き竜は動物、いうなれば去りゆく者たちの守護者でサクソン人を戦力にあちこちで戦火と混乱をばら撒くのは『この島から人を駆逐して神秘を守り抜いていくため』だそうです。
国の基盤たる民草に対しても容赦が一切なかったのはそのためでしたか。元より残すつもりもないと。そもそも害虫扱いで神秘を蝕む人間自体が邪魔である・・・ですか。
その後はこの国を結界や術式を使って神秘を維持した上で回帰を目指し、諸国には殺したこの島の諸侯王侯貴族から奪い取った金品で黙らせている間にその準備を終わらせる。とのこと。
私達に目をつけた理由は魔狼たちや魔猪、幻想種、かつての高みから追い落とされたものたちの認識を改めさせていたりと去りゆくもの、貶められたものたちに寄り添う者達という神秘の濃ゆい時代にいたはずの稀有な存在、そして怪物じみた私の剣技に目をつけたそうです。
私達を襲わない代わりに手を貸してもらい、最後は島から無事に出して手を出さない、報酬はいくらでも用意するという条件で来ました。
失礼な。空位には至りましたがまだ道半ば。それに私以上の剣の腕は絶対にいます。私などまだ半端者なババアですよ。それに忙しいですが、今の生活も満たされたもの。そう言うと呆れ返った顔になりますが、こればかりは本心ですからねえ。
話を戻してこの島自体が地球の神秘のツボやへそみたいなものでここを活用すれば世界を如何様にも変えられる。それがヴォーティガーン様の考えたような世界にでも。
卑王として憎まれているかの王としての姿は私には映らずにひたすらにこの島に生きる幻想種への熱すぎる思いが燃えたぎる一人の男として彼の言葉は届けられていく。
それは形さえ違えどこの島を憂い嘆き、奮戦する。アルトリア様とは真逆だが、根っこは同じ『王』であり『志』を持つものなのでしょう。
世界が変わろうとしてもそれで消えていくものが無情にも消え去ることは我慢できない。それを理解できずに消えゆく隣人に何の憐憫も抱かない人が憎くてたまらない。何もかもを食いつぶして忘れていく事が嘆かわしい。
彼の叫びが、憤りが響くたびに前世の記憶がよみがえる。教科書にはかつての公害や人間の傲慢で壊されていく自然に生物の写真。無いはずの物質に素材。利便のため、カネに目がくらんで対策もせずに垂れ流される毒に変わり果てる生き物、そして苦しむ人間。
それを風刺した絵に映画、記録映像。勢いはなくなれど以前変わらずあらゆる物を糧に、貪欲に貪る人間・・・そしてそれを助けるために生み出していく科学の数々・・・そも、世界はどうあれ『魔術』を見放すだろう。人が、世界がそれを望むからこの時代はともかく時代が進めば『神秘』も『魔術』もオカルトに定義され、『科学』が信じられてもてはやされる。
『科学』は証明できれば誰もが扱えて、安全で、普及しやすい。『神秘』や『魔術』は不透明で、難解で、恐ろしい。その癖に誰にも普及はできずに捉え方で幾らでも血を流せる。例えヴォーティガーン様の目論見が成功しても、時が移ろえば人類は必ずこの島を襲い、そして制覇するだろう。
科学の力で何もかもを覆し、そして、この島に生きる生物は見世物や剥製、愛玩動物になって死ぬよりも酷いことになるものも出る。必ずだ。
それほどに人は業深く、欲深い。だからこそこの星のあらゆる場所で生き抜いて繁栄したのだ。
私は彼の誘いを断りました。先の展望がないこともそうですが『私にも守るべきもの、愛するがある』それだけは決して譲るつもりはない。彼の思想上、そこもぶつかるのは必定だったからだ。私が、人であり、人を愛する故に・・・・・・・・
私は『この島の去りゆく者達のために尽力はしましょう。その上で貴方と戦う』そう告げて互いに酒を酌み交わし、彼は『貴女と逢えてよかった』と残して去っていきました。
もし・・・もし世界がもう少しだけ神秘に包まれていたら、神代の終わりが遅かったのなら、彼とアルトリア様は手を取り合い、共存の道を歩めたのだろうか? 切羽詰まることなくマーリンやモルガン様とも協力して穏やかな島でいられたのか?
どうしようもなく情けなく、いじらしく、寂しく、虚しくもそう思いながら去りゆくヴォーティガーン様の背を見送りました。
益々ブリテンとの関わりを増すオークニー、華奈。そしてヴォーティガーン登場。彼の化身と言われたりする白き竜。もし華奈がもう数十年早くブリテンにいたら華奈が白き竜の代弁者になっていたかも?
特撮が好きなのですが、ウルトラマンティガのガゾートにゴジラでのヘドラ等、人間の及ぼす影響の恐ろしさを表現する作品のインパクトは凄まじいです。これだけでも人間の恐ろしさが分かると思います。
華奈が誘いを断ったのはたとえ少数だけ生きてもそこからすぐに増えたり、幻想種との諍いが起こることを考えたからこその部分もあります。ヴォーティガーンの目論見を達成するには「人」は排除するべき要素と考えているから。殺さなかったのは彼の志を無粋な真似で始末をつけたくなかったという部分があります。
さて・・・ここまで皆様に見ていただいたわけですが、今回友人に華奈の立ち絵を描いてもらいました。なのでここで見てもらいたいと思います。
【挿絵表示】
ここまで綺麗に描いてくれて感謝ばかりです。衣装は私の原画からそのままです。下手に負担を与えたくなかったものでして。どうかこれからもこの物語を、華奈をお願いします。
最後にUA 12230件 しおり 34件 お気に入り 140件 有難うございます。では、皆様またお会いしましょう。さようなら。さようなら。