転生愉悦部の徒然日記 作:零課
アルトリア(槍)「何でしょうか、モルガン姉上」
モルガン「貴女は特異点でお姉様とベディヴィエールに聖槍ロンゴミニアドを砕かれていましたね」
アルトリア(槍)「はい・・・それ故に今はモルガン姉上に渡した、ベディヴィエールが命をとして還してくれたエクスカリバーだけで・・・」
モルガン「では、これを用意しておきます」(馬上槍を一つ取り出す)
アルトリア(槍)「なっ・・・!! ロンゴミニアド!? い、いえ・・・ですが微妙に違う・・・この感じ・・・まさか・・・」
モルガン「ええ。私の魔術で再現したロンゴミニアドの術式を銀嶺隊の鍛冶職人と妖精さんたちに作らせた槍に刻み込んだものです。今は渡せませんが、もし戦う機会が来た時、まだその聖剣を握る勇気がない時。
その時はこれを使えるようにしておきます。長く握り続けた槍の模造品とはいえ、扱いなれた武器の種類のほうが良いでしょう?」
アルトリア(槍)「そんな・・・そこまで私のために・・・」
モルガン「これは内緒だけど・・・華奈お姉様がこっそり頼んでいたのよ。いつか本気で貴女が立ち上がれるように、私達のアヴァロンで過ごせるときに十全の力を振るえるようにって。
アルトリア。だから今は自棄にならずに騎士たちと一緒にこのカルデアを守り、お姉様の許可が降りた時、改めてここで本気で今まで失っていた楽しい時間を取り返してきなさい。良いですね?」
アルトリア(槍)「はい・・・!」
「これは・・・! 私が生前では届かなかった・・・ファラオとしての、ホルスの化身としての姿・・・ああ・・・なんという・・・感謝します。マスター・・・貴方は、私にとって得難きマスターであり、同盟者です」
「いえいえ。これもダ・ヴィンチちゃんや華奈の助け、そしてカルデアという組織の努力とニトクリスさんの可能性の凄まじさゆえです。本当に、美しく、強くなって・・・」
華奈から聞いた業火、種火という英霊たちの霊基をより高みへ、あるいは強化することができる魔力、エーテルの結晶というものがダ・ヴィンチちゃんの工房で売られるようになり、早速それをニトクリスに使えば、その肢体は、美貌は、長い髪はより美しく。メリハリのあるグラマラスなボディー、身にまとう礼装も布面積が増え、彼女が思い描いていたものになったのだろう。
私にとっても眼福だけど、何より感極まると行った具合で笑顔を向けてくれるニトクリス。彼女のためになれたというのがとても嬉しい。
「ええ。これでメジェド様やスカラベ様たちと共に戦い、これから先も道を切り開けるでしょう。アンとメアリーの海賊たちにもこれで遅れを取らず、私が貴方の最優のサーヴァント、英霊ですね?」
「もちろん。ですが、彼女たちもまた貴方を見て女として、戦士として鍛えてくるでしょうし、ふふ。良き切磋琢磨できる戦士仲間、英霊の友達かと」
アンの方も漸くフォース・ブレードと刀の合わせで出来た専用の斬撃を飛ばせる巨大なカトラスと、アンと連携用に作ったスラグ弾を放てるトマホークと合わせた銃。それらを合わせたあの比翼の連携はニトクリスでも厳しいだろう。
「むぅ・・・海賊となど。と思いますが、信長も九鬼水軍、そしてドレイクもイギリスで軍として活躍したといいますし、たとえ海賊といえども、有用なら、鍛え会えるのなら彼女らとも連携を取るべきですかね?」
「ええ。天空の神。ホルスの化身であるニトクリスさんであれば海をゆく戦士たちにも協力者であれば慈悲と、そして寛容さを持つべきかと」
「ふむ。それもそうですね。今は我ら人類史を取り戻す戦士。彼女たちともいずれ話をしましょう。ただし、それはそれとしてです。元。我が同盟者」
生真面目な彼女だ。紫式部の図書館で歴史の書物でこのカルデアにいる英霊の皆のことを調べていたのでやはりというか、ある程度柔らかく、思い込みが強い部分を少し抑えて義理堅さ、お人好しのいい部分がでて英霊の皆を見てくれている。
少し短気なきらいがあったけど、これなら衝突も少なく済みそう。連携も考えた戦闘練習を。と思っていたら急にかしこまってきた。どうしたのだろう?
「貴女にはメディア、アンとメアリー、そしてエレナ。生身の人間ですが宮本武蔵という英霊級の女傑もいます。しかし、最優の英霊は、同盟者の最高の女は私。それをじっくりと、この姿に届かせてくれた貴方には今夜じっくりと教えましょう・・・・
あの奔放で色好きなアン、メアリーにはうまい具合に今夜部屋には来ないようにしておきなさい。では。わたしも一度今の力量を見るために少し運動してきます」
私の顎を掴んで見つめつつその胸を押し付けつつ明らかにそういう意図の言葉を話してから私のマイルームからでていくニトクリス。
やれやれ・・・どうにかしてバーの方で酒を飲んでもらうようにしてもらうかなあ。あそこあんまりゲームの音声以外ではしゃぎすぎるのは厳禁なんだけど・・・
「なるほど。どおりで彼が君たちカルデアの方に協力してくれているわけだ。そして、ロンドンでの魔術王への対処とアメリカでのプロパガンダでも協力したと」
「そういうことです。おじ様の策や頭脳。そして考えは非常に助かります」
「全く。何度もそう言っているだろう? だと言うのに君は早々にバリツを叩き込もうとして、お陰で腰が大変になりかけたんだからな! イケメンだからってやりすぎは駄目だぞ!」
カルデアの片隅にあるゲームバー。そこでは少しくたびれた様子のモリアーティ様にカクテルをもらい、ナッツをつまみつつホームズ様も酒を飲みつつ三人で一杯。
なんで犯罪界のナポレオンと言われるほどの存在が巨悪たる魔術王の方につかずにカルデア側についているのか心底不審がっていたホームズ様は昨日に早々に喧嘩を売るし、バーにも殴り込みそうだったので私が止めつつ説明。
人理焼却を成した巨悪の鼻を折る。その企みをひっくり返してしまうというのはきっと最高の企みであり、今は勝者であり正義を語れる魔術王に対しての悪になる。という説得を受け入れているというのを説明すれば漸く納得してくれた。いやーつかれました。
「しかし、それと同時にまさかのロマニの正体も知っていたからこそ私という探偵ではなく彼を呼んだと」
「ええ。貴方は謎を解き明かすもの。であり謎を解いた先への仮定なども考えてくれますが謎の解明に力を割く人種でしょう? それよりも計画を練り、策を弄し長い時間を待ち、機会をうかがえる人種。そういう意味でのモリアーティ様。計画を作るものとして相談にも色々助かったのですよ」
「ま、そういうことだね。君というヤク中探偵よりもダンディな私の頭脳を求めたのだよマイ・ガールは」
「ははははは。なるほどなるほど。おっとバリツが」
「ぐはぁ!? ちょっ、今カクテルの用意しているんだから暴力はダメ!」
気を抜けばすぐに拳や杖が飛んできますが、適時わたしも治療魔術をモリアーティ様にかけて治しつつ、カルアミルクをクピクピ。美味しい・・・あまーい、飲みやすいお酒が一番ですよええ。
「まあまあ。ただ、同時にここからは、そしてこれから先への備えのためにもホームズ様の頭脳と推理、観察眼も必要だと思ったので招いたのです。お二人の善悪、年齢、経験それぞれの視点からなる判断や意見はカルデアを助けます。
なので、出来れば喧嘩はやりすぎず。それと、モリアーティ様。スペシャルカクテルの方はどうです?」
「まあ、私としてもホームズでもここではお客だ。ゆっくり酒でも飲みつつ過ごしてくれれば言うことはないよ。そして、ああ、そのカクテルはもう少し後で出してあげるよ。マイ・ガール」
「ふむ・・・まあ、カルデアの頭脳、ご意見番としてマスターから任命された私をモリアーティがどうこうする訳もないか。何より不思議な縁での共同戦線。楽しもうではないか」
ふぅ・・・なんやかんや落ち着きそうで何よりですよ・・・そして、カクテル。ふふふ。何より。
「ではではその時は一杯くださいな」
「もちろん。私が最高のものをあげるとも。さ、おかわりのカルアミルクをどうぞ。レディ」
「ふふふ。感謝します。ホームズ様もどうです? 赤玉パンチという甘い美味しいシュワシュワワイン美味しいですよ?」
「ほう。では、それに合うのは何かね? マスター」
「それだとドライフルーツなどどうかね。君のマスターオルガマリーも好みだよ」
「ではそのセットを」
「お二人には今日は私がおごりますし、どうぞモリアーティ様も好きに飲んでください」
「おや、でもマイガールからのプレゼントは嬉しいけど、いいのかい?」
「ふふふ。いいですよ。おじ様の苦労に労いと感謝のために。バーの売上のためにも気楽に飲んでくださいな♪」
私の言葉になんかすっごくジーンときちゃっているモリアーティ様。そして自分も飲み始める頃にバーのドアが開く音。
「あら。華奈ちゃん奢ってくれるの? わたしもいいー?」
「あら。伊吹童子様。ええ。貴女もどうぞどうぞ。せっかくですしカクテルというおしゃれなものをどんどんと」
伊吹童子様がふらりとやってきて私のおごりと聞いて目をキラキラしている。おごりでいいよということで側に座るようにとぽんぽんと椅子を叩くとそこに座る。
「じゃあマスター、とりあえず色のきれいなカクテルをメニュー分作って頂戴♪ うふふ。捧げ物、プレゼントとして嬉しいのは何時ぶりかしら♡」
「おやおや、これは珍しいお客様だ。そしていいだろう。タワーができるほどに作ってやろうじゃないかね。その後でわたしもその飲みっぷりを見つつ飲んでやる」
ふふふ。仲良しですね。私の頭を腕で捕まえて絡めて胸に押し付けつつ駆けつけいっぱいのビールを飲みつつナッツをボリボリしてカクテルを待つ伊吹童子様。
この後ダル絡みして、酒を浴びるように飲みつつ、皆で飲んでいたらお会計が数百万QPに。おぉう・・・サバフェスでの売上の少し飛ぶとはさすが・・・まあ、伊吹様がすごく楽しんでいたのでいいですかぁ。
「ふむ・・・この礼装の強度なら大丈夫ですかね?」
「ええ。神代の時代、真エーテルの濃度、たとえ魔術工房の中でも問題ない。今の時代で作れる礼装でも最高峰の耐毒、神代の時代でも今の時代が動けるのに問題ない礼装でしょう」
フラム様とモルガン様とイグレーヌ様でアヴァロンでのテストも兼ねて作っていた藤丸様、元様の礼装を見て、ジークフリート様や玉藻様たちのテストも兼ねて問題なし。の太鼓判をいただけました。
「ふぅー・・・・良かったです・・・次の場所がまさか気温とかは問題ないですが、マナ、エーテルがやばい場所。偉大なりし英雄王の収めた城塞都市ウルクでしたからねえ」
「魔術師の私としても大変興味深く、華奈が尊敬するギルガメシュ王のいる場所・・・時代。いやあ、胸が踊りますよわたしも」
「ふふふ。ですね。どれほどの困難な場所かわかりませんが・・・暴れぬき、勝っていけるよう頑張ります」
カルデアの特異点を割り出すチームが見つけて私達に伝えてきた第七の特異点。古代バビロニア。英雄王が治めていた時代のウルク。
私にとってはまさしく聖地であり、そして、同時にとてつもない何かが待っているであろう場所。
だからこそ燃えてしまう部分もある。最高と最悪の詰め合わせセットでしょうけどね。
「後は、やっぱり物資は銀嶺隊の持ち込みに頼る部分が多そうね。神代の時代に、古代になればなるほどに観測とかも難しい。アルトリアたちの持ってきている機材でも神代の時代は慎重を期さないといけないほど」
「もちろん。神代はいわば魔獣や神々の存在や思考がルール。数秒後に別のなにかに塗り替えられかねないですしね。その中で環境で死なずにお二人の礼装作製ありがとうございました」
「メディアさんは元の礼装作製にかかっていましたし、ダ・ヴィンチちゃんと協力してよかった。ふふふ。武運をね。華奈」
フラム様に頬へのキスをもらい、わたしもお礼にとキスを返してから自室に戻っていく。良い成果でした。
フローレンス様の健康診断を受けて問題なし、刀もある。用意もできた。あとは待つだけです。・・・・・・・元様の部屋からすっごい嬌声が聞こえまくりましたが、特異点へ行く体力は残しておいてくださいよ皆さん。
次回はウルクへ。愉悦部員の華奈にとっては色々と感慨深い場所なので多分華奈こわれる。