転生愉悦部の徒然日記   作:零課

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 疲れた。






 華奈「マシュ。これを渡しておきます。マーリン。あとで元様と相談して、必要なら使いどきを間違えずに。ですよ?」


 マシュ「はい? え・・・こ、これを・・・良いのですか!?」


 マーリン「おやおや、また変わったものをいつの間に」


 華奈「ええ、使い道は恐らく賢王様と元様が示してくれるでしょう。そして、ふふふ。今までの旅路の成果の一つです。では、私はこれで」


迫真お使い部。初めてのお買い物

 「来たか雑種共」

 

 

 「はい。しかし、王からの直々の呼び出しとは・・・」

 

 

 「ええ。私達はまだ依頼を多くはこなしていないのですが・・・」

 

 

 「ふん。貴様らの存在が必要になったゆえよ。こうして呼び出される名誉は嵐の戦士たちと銀狼が引き寄せたもの。感謝しろ」

 

 

 いつも通り元気そうな賢王様。しかし、ストームチームと華奈さんが引き寄せたもの。となるとこの前の大暴走運動会のかんしゃく玉玉入れ大会くらいしか思い浮かばないが・・・?

 

 

 「三女神同盟の性質はある程度知れている。そして、そのうち二つの同行は現在知れている。ウル市、エリドゥ市を緑で覆った女神はいたずらに市民を手にかけず、そしてこのウルクへの侵攻もしない。銀狼との縁があるようだが、それを差し引いても顕示欲を示さず、必要なときに必要な札を使い無闇矢鱈に暴れない。完成度の高く冷静な女神よ。

 

 

 そして、もう一つ魔獣の女神はおそらく今日北壁に姿を表す。昨日のあの大暴れで魔獣共を散々に追い払ったのだ。今まで常に城壁の側で守る他なかった我らが魔獣で埋め尽くされた大地を取り戻す。その失われた尊厳を取り戻すために。な。で、まあ。そうなると現在の三女神同盟の中で一つ手を付けやすい女神がいる」

 

 

 「イシュタル神。ですか?」

 

 

 「そうだ雑種。絶賛今も自分の土地、都市を貶めている駄女神だが、此奴は三女神の中で唯一拠点が正確にわかり、かつウルクに自在に来れる存在。

 

 

 南の女神は動かず、北壁の魔獣の女神はまず銀狼と嵐の勇者たちを狙う。その間に一柱を攻略する。貴様らに女神イシュタルの攻略を命ずる」

 

 

 「「「「「!!!」」」」」

 

 

 皆が驚く。そうだろう。まさかの三女神。しかも地元の女神イシュタルを攻略するなんて。これには驚くけど、すぐに思考を巡らせてなるほどと笑みを浮かべていたのは元さんだった。

 

 

 「お待ち下さい王。女神イシュタル様を倒すというのですか? それは承伏出来ません。いかに被害を広げようともあの方はウルクの都市神。それに矛を向けるなど・・・」

 

 

 「じゃあ、倒さずに引き抜くというのはどうでしょう?」

 

 

 「ほう。なかなか鋭いな。雑種。名前をなんという」

 

 

 「元です。源 元」

 

 

 「覚えておこう。そしてシドゥリ。そういうことよ。そして、あやつはウルクを離れたとはいえこの都市を諦めきれておらなんだ。その証拠に今までの爆撃の対象。狙いは魔獣を狙っていた。

 

 

 三女神同盟と言いつつも、その実ウルクの守りをシていたというわけよ。難儀な女だ」

 

 

 まさかの情報と、そして攻略方法に僕らは呆気にとられるが、なるほど。三女神同盟としてこのウルクを攻めつつも、まだウルクへの愛は残っていたと。そこにつけ込んで引き抜く。

 

 

 「そして、我は面倒なのでな。引き抜いて仲間にした後の猛獣使いは元。貴様に任せよう。あやつの戦力は期待せぬが、やつの従属下にある神獣グガランナ。一瞬で都市を滅ぼす焦土兵器。あれが必要になる事態はかならず来る。そうなる前にここに引き入れ、銀狼のもとで管理させる。

 

 

 魔獣は愚か祭神、妖精、女神の血を引く魔女、魔の守護竜と心を通わせ、友に、仲間に、家族にしてきたアイツなら最強の神獣の真価を引き上げさせるのも可能と言える」

 

 

 「なるほどね。確かにヴォーティガーンやケルヌンノスとも仲良しになった華奈ならその神獣を早いうちから引き合わせて仲良くするのは良いアイデアだし、イシュタルを引き抜けば防衛戦力も潤沢。三女神同盟にも穴が開く。最高の一手じゃないか王様!」

 

 

 「・・・しかし、ギルガメッシュ王。貴方とイシュタルは何度も戦った間柄。仲間に引き入れたとして、大丈夫なのでしょうか?」

 

 

 「だからこそ元に手綱を引かせるのよ。我のもとに来るのは力の限り拒否するだろうが、こいつらなら問題なかろう。まあ、アイツを懐にいれる時点で蓋のしてない瓶を荷台に乗せるようなものだが・・・とりあえず、具体的な内容を教える。いいかお前ら。イシュタルはな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この後に、一通り話を聞いてその引き込みのための用意を済ませて僕らは出発。華奈さんからも使っていいよということで銀嶺隊の馬と猪を30頭ほど借りて荷車と僕らを乗せて進んでもらう。

 

 

 「ああ、そうだ皆。良ければだけど、今から行く目的地のエビフ山。そこに行く前に小休止の時間を一つ挟みたいんだ。マシュ。あれをだしてもらって良い?」

 

 

 「はい。元さん。これですね」

 

 

 そう言ってマシュは盾の裏から取り出すのは赤い液体がはいった小瓶。

 

 

 「む・・・魔性の、いえ、女神? の血・・・ですか?」

 

 

 「ええ。ニトクリスさん。これは英霊メドゥーサの血液。を加工したものです。お母さんが第三特異点オケアノスでヘラクレスを討伐する際にも利用したものでして」

 

 

 「っっ・・・マシュさん。それを・・・華奈さんはどうやって?」

 

 

 「お母さんに聞いたんですが、なんでも温泉で出会ったメドゥーサさんに大量の本とお酒と交換で献血を頼んだそうでして。良い時間だったと言っていましたよ?」

 

 

 思えば、アークにヘラクレスを触れさせず、魔獣の毒を用いる。その応用で対処するってあたりは本当に華奈さんの備えの考えがよくわかった経験だったなあ。

 

 

 アナちゃんはなにか不穏な空気を出していたけど、交渉したうえで手にしたものだとわかればほっと息を吐く。

 

 

 「なるほど。でも、これをどうするんです? イシュタルに使うとでも?」

 

 

 「いやいや。アナ。これは確かにメドゥーサの、あのあらゆる毒の生物を生み出したという伝承の毒性もある。が、華奈が出会ったメドゥーサは恐らく女神の顔がある状態だ。毒性もはっきり言ってある程度の毒耐性のある英霊には効果がないし、ましてや神霊のイシュタルには効かない」

 

 

 「ただ、その力を一つ引き出せるようにしているのでそれを使おうかなって。華奈も多分、いや、本来はこっちの使い方を想定していないだろうけど、確実さを求めてこっちに渡したのかも?」

 

 

 「?? 話が見えてきませんねえ・・・」

 

 

 ニトクリスさんもだけど、僕もわからない。多分話の中身というか、この血液を元にした液体? の真価はもう少し先になりそうだ。

 

 

 「ブモブモ」

 

 

 「ブルル」

 

 

 そうこうしていると、馬やイノシシたちが足を早めていき、その様子と反応を見ると魔獣たちが追いかけてきている。

 

 

 「元さん!」

 

 

 「うん! ニトクリス。三人でまずは狙撃で数を減らしていこう! アナちゃんは荷車を守りつつ無理はしないでね!」

 

 

 「・・・はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よーしよしよし・・・これで用意はできた。これで・・・ほんの少しまた確率が上がった。と思う・・・どうだろう?」

 

 

 「いやいや。これは面白いものを作ったと思うよ。現代でもお目にかかる機会はちょっと少ないかもね。さて・・・いざエビフ山に登山だ」

 

 

 「なるほど・・・これは確かに。同時に、銀狼殿ができる限り残していたのも納得です」

 

 

 元さんとマシュの言っていた用意も、マーリンの手助けもあって無事に完成し、エビフ山へと登っていく僕ら。

 

 

 道中の魔獣も最初に遠距離射撃とニトクリスの神々の使い魔での攻撃で数を減らしたり消耗したあとに攻撃という連携は通用していて、道中の妨害も難なく突破できた。

 

 

 「さて。ここからはいよいよ女神のお膝元。基本拠地と言ってもいい。魔獣はこないだろうが、イシュタルの護衛はいる。気をつけていこう」

 

 

 そして移動途中はマーリンからのこのエビフ山とイシュタルの神話。同時にイシュタルは戦いに関係する神性を持つ女神でもあること。

 

 

 この女神がいればウルクの民も活気づくし、今戦っているはずの華奈さん達が勝っても負けてもその加入は追い風となる。と説明してくれた。

 

 

 今起こっている戦いに女神たちの視線が釘付けになっている間にその一人が協力する姿勢を見せればなにかいい流れが起きるはず。

 

 

 道中襲ってきた嫌にセンスの悪い護衛らしき石像をしばき壊して、神殿についたんだけども・・・

 

 

 「・・・ひどい目に会いました。女神イシュタルの美的センスの壊滅的です・・・」

 

 

 「・・・ああ、ここまでひどいとはね。ほっておいても自滅するんじゃないのか彼女。モルガンやイグレーヌのほうが万倍もましな女神の一族とわかるよ」

 

 

 「皆さん・・・お気を確かに。あちらをご覧ください」

 

 

 ブリテン組が揃ってげんなりして、僕らも同じ。見たくないけど、見るしかないその神殿・・・

 

 

 金と白で彩られた神殿に、左右に鎮座する黄金の招き猫に犬っぽい何か。オジマンディアスの神殿の玉座の間は美しくきれいだったと言うのにこっちはとにかく壊滅的。俗っぽさがありすぎるものだった。

 

 

 「よし。皆帰ろう」

 

 

 「いや、うん。わたしもそう思いたいけど仕事だし、皆、もう少しだけ頑張ろう!!」

 

 

 「はぁ・・・わたしも帰りたいです同盟者」

 

 

 ニトクリスさんも同じ意見だけど、うん。元さんは引けないと言わんばかりに。多分半分やけくそ気味、残りは仕事。残った一部は多分イシュタルとまた会えるのを楽しみにしている気持ちで僕らを引っ張っていく。

 

 

 あーもー! 元さんが矢面に立って交渉してよね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「私の信者とはいえよくもまあそれ以外の奴らと一緒に堂々と正面から私の神殿に足を踏み入れたわね元」

 

 

 「申し訳ないですイシュタル様。ですが火急の用があって是非お話を・・・」

 

 

 「ん? んー・・・まあ、いいわ。信者からの火急のようとなればね。今行われている魔獣戦線のことで?」

 

 

 最初から戦闘態勢を整えていたイシュタルだけど、元さんが急いで五体投地をしたあとに声を出せばそこまでのことかとイシュタルも前のパピロンプレゼントのこともあってかすぐに戦意は消えてくれた。

 

 

 やっぱり魔獣戦線はそこまでの動きがあるのか。華奈さんのことが心配になるけど・・・

 

 

 「アンタのとこのあの銀髪の剣士、メッチャクチャね。パワーは女神に劣るのに、すっごい引っ掻き回しまくっていてやりたい放題よ?」

 

 

 「そ、それはなにより・・・そして、この戦いに更に勢いがほしいので是非イシュタル様のお力添えもいただければと・・・単刀直入にいえば、私達のもとに来てください!」

 

 

 どうやら華奈さんは色々どうにかして無事な様子なのと、まどろっこしい話はなしと言わんばかりにストレートに引き込みの交渉を開始。

 

 

 「はぁ? アンタの宝石はたしかに二つとも目を見張る物があったけど、あれだけじゃとても私が来るのは無理よ懐具合だって・・・」

 

 

 ここで、少し思い出すのは出発前の賢王様の話。

 

 

 

 

 『イシュタルはあれでもシュメルの女神の頂点に立つもの。イナンナとは「天の女主人」天空神アンの代理として天を治めた経験もある女神だ。力では決して屈せぬし、負けぬ。

 

 

 加えて下手に交渉の人間に天、太陽の加護を持つガウェインにアヤツに負けぬ美貌を持つ戦士の華奈、戦士の極地の一つストームチームを連れていけばエビフ山の例もある。追い詰めれば追い詰めるほど、下手に刺激するような要素を持つものであればなおさらに要らぬ根性をだして余計に難航する。それがヤツだ。

 

 

 だが、そんなイシュタルにも弱点がある。宝石の類よ。我は人類の宝すべてを収集するがあの女は宝石に目がなくてな。しかし愉快なことかつ重要なことだがあの女には黄金律というものが致命的に欠けている』

 

 

 「「ええ・・・・・」」

 

 

 まさかまさかの弱点。というか、うん。通りで元さんの持っていた宝石二つにもあの反応を見せるのかと合点がいく。それほどの宝石マニア。愛好家なんだ。

 

 

 『宝石を愛しておきながら宝石に縁が無い。今まではこのウルクの都市神に加えていくつもの女神の顔を持つゆえに人や神々から事あるごとに貢がせていたが、いまや都市神の立場を放り捨てての三女神同盟の一柱となっている。故に、人間も神々もヤツに宝を貢ぐものがいないのだ』

 

 

 「あのー・・・それは、なんというか・・・本末転倒では? この都市神であれば宝石も、聖杯も狙えたりしたはずなのにむしろ自分から遠ざかっているような」

 

 

 『だから言ったであろう。ヤツには黄金律が欠けており、宝石に縁が無いと』

 

 

 ファラオ。王様の視点でもそりゃあ自分を応援してくれる存在を手放しているんだし、しかもこの喋り用と、三女神同盟ができてこのウルクを攻めて半年。

 

 

 「もしかして、イシュタルって今は素寒貧の可能性も?」

 

 

 「まあ・・・ありえますね。私達と最初にあったときもなにか落とし物をしていたようですし」

 

 

 『そういうことよ。だから今懐も胸も寂しくなったあの女神を文字通り買収。競り落としてこい。元。貴様には我の宝物庫の宝石類三割を委ねる。このウルクの民としてありつつも異邦のものとしてこそできる難行。女神を競り落として我らがウルクの守りに加えてこい。

 

 

 さすれば貴様らの名前くらいは覚えて、使う価値があると認めようではないか』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ニトクリス。マシュ。お願いして良い?」

 

 

 「ええ。同じ天空の神としてもある女神イシュタル。我が化身。天空の神ホルスとしても約束します。この宝石は文字通り物が違う最高のもの」

 

 

 「はい。では。こちらを」

 

 

 ニトクリスさんとマシュの二人が荷車を馬たちと引いてきて中身を見せる。

 

 

 「な、なななな・・・何そのに台いっぱいのラピス・ラズリは!? 冠!? もしかして七石の冠もない!? しかも黄金の冠に、うそ! 七星剣まで!? これだけあれば魔術用の宝石にも困らない・・・え、嘘、くれるのこれを!? 神か!?」

 

 

 女神様から神様呼ばわりされるほどの宝石たち。というかしれっと中国の宝物もあるような気がするけど・・・まあ、いいのかなあ?

 

 

 「途中で嘘です。なんて言わないわよね? あとこれ、もちろん非課税で良いんでしょうね!?」

 

 

 ・・・むしろ税を課す側な気がするんだけどそこを気にするあたり何かあるのかな? 本当に妙なところで現代っぽいぞこの女神。

 

 

 「あわわ。目がくらくらしてきた。落ち着け私。落ち着けイシュタル!」

 

 

 「ええ。この荷台の宝石、宝物はすべて手付金。いわば女神イシュタルとの交渉につく際の手付金ということです。なのでこれは問題なくすべて差し上げます。そして、同盟者」

 

 

 「ニトクリスの言う通り、これはまずこの話を聞いてくれる手付金。そして」

 

 

 「その依頼内容。いや、女神である君に頼みたいのは頼れる戦力として、都市神として雇いたい。これはすべてのウルクの民の願いだそうだ。その証拠に、ギルガメッシュ王はバビロンの蔵を開放すると約束した」

 

 

 「それに比べれば小さなものですがカルデアからも私達の気持ちとして更に宝石を用意させていただきましたよ」

 

 

 そう。ギルガメッシュ王の方からだけではなく今回はカルデアの方からも追加の宝石を用意することが出来た。目を白黒させるイシュタルに元さんが柔和な笑顔を浮かべたままはっきりと伝える。

 

 

 「宝物庫の宝石類1割を献上、加えてカルデアからもこちらを差し上げたいと思います」

 

 

 そう言って荷車のもう一つを持ってきて覆いを外して見せていく中身

 

 

 「なん・・・だと・・・!? ほ、宝石サンゴ!? しかもこの美しさに大きさ、形状! お母様の海でもそうそう取れないほどのとんでもない一品! まるで一つの大杯のようなものまで!? うそ、元あんたこんなにやばいお金持ちだったの!!? ほ、宝石の花!? 花冠に、腕輪、そして・・・花束。す・・・すごすぎる・・・!!」

 

 

 まあ、これらはほぼ即席で用意したものではある。というのも、メドゥーサの逸話で首から切り落とされた血が大地に広がりその血から無数の毒虫や毒蛇が生まれたという話の他にその赤い血がサンゴになったという話。

 

 

 これが宝石珊瑚だったりとか言われるようで、華奈さんはそれをアンナさんに頼んで方向性を調整。その血液を大地に垂らせば宝石サンゴを生み出したり何かを媒介に宝石にできるようにしたようで、歩くたびに足元に花が乱れ咲くマーリンの生成? した花も道中で加工してから宝石に変化させることで数々の宝石の工芸品を用意したというわけだ。

 

 

 なのでどれも神代の魔力や美しさ、輝きを持つものになっているので宝石に目がない。つまり宝石眼が肥えているイシュタルにも認められる品々となったようだ。

 

 

 「フォウ、フォウ、ドフォーウ!!(ちょろいなこの女神!)」

 

 

 「フォウ。落ち着いて言いたいことはわかるけど、ここは静かに」

 

 

 「う、うーん・・・たしかにこれはすごいわ。でも、アンタたちカルデアの方はまあ、いいわ。だけどギルガメッシュの方よ。バビロンの宝物庫と言ってもあれでしょ? アイツが未来に向けて作っているやつ。完成すれば底なしだとかその時の人類の総資産が入っているとかいう触れ込みのあれ。

 

 

 それの1割? そんな量。ちょっと眉唾もの過ぎて信じられないっていうか」

 

 

 「じゃあ、2割5分では?」

 

 

 「まだ上がるの!? しかも2割5分ってつまりは25%!!?」

 

 

 「ええ。それに加えて、異邦の地カルデアのこの宝石の数々も一緒に」

 

 

 一気に2倍異常の値段をぶつけられてまたもや目ん玉が飛び出そうになるほどに驚くイシュタル。そして再度ちらつかせる海で取れる宝石と花の宝石の数々。

 

 

 「う、ぐ・・・で、でも私は女神イシュタル・・・そんな浅ましい条件で・・・」

 

 

 「そうですか・・・我々も用意できるものをこの戦時下の中で用意したつもりですが・・・手付金以外はマシュ、ニトクリス。全部荷台を下げて。残りは持ち帰りましょう。カルデアの宝石の一部はニトクリスに」

 

 

 「ええ。それに、華奈さんたちの勝報を聞いてこれを恩賞にあげるのもいいかと」

 

 

 そう言って荷車に布をかぶせて大事そうに神殿からだしていこうとすればイシュタルはいよいよ涙目に。

 

 

 「あ、止めて。それ止めて。そういうことしないで。悲しすぎて死にそうだから」

 

 

 「では、そろそろご決断を。女神イシュタル。ウルクの民の総意とカルデアの財貨を用いての願いと契約。いかがしますか」

 

 

 「それにですが女神イシュタル。貴方がたが人類を滅ぼせば今後の信者も、貴女の美しさや偉業を称える者がいなくなります。苦しい中でこそ与えられる助けや恩は大きなもの。

 

 

 こういうときにこそ助けての女神であり、その後称えられる神話の逸話に、都市神である貴女に来る捧げ物も、きっと長い目で見れば今私たちが持ってきている宝石を超えるほどに来るかも知れませんよ?」

 

 

 ニトクリスさんの最後の一押しがさくりとイシュタルの心に刺さったようで、頭を抱えてもんどり打ったあとに。

 

 

 「・・・・・・・・・」

 

 

 長考し始めた。いや、悩んでいるというのかな? 女神のプライドと、都市神として称えられながら宝石を受け取りつつ凱旋するか。

 

 

 チラッチラッと宝石を見つつも、どこか違う場所を見るのは多分北壁の魔獣戦線のほうだろう。

 

 

 実に二分間位の間考えた結果。

 

 

 「・・・よし! そういうことなら良しとしましょうか! 貴方の勝ちよ元。その条件であなたの味方になってあげる。なにせ今世界が七度滅ぶくらいには全力で葛藤したし、それくらい悩めばいいかなって」

 

 

 「有難うございます女神イシュタル!」

 

 

 「あ、イシュタルでいいわ。あれだけの宝石をくれて、多分本来はギルガメッシュだけの分をここまでくれたんだもの。ちゃんとその分は無礼を許してあげる」

 

 

 「ほっ・・・一山越えましたね。見事です同盟者。そしてお願いしますイシュタル神」

 

 

 「女神イシュタル・・・! では、ウルクのために戦ってくれるのですね!」

 

 

 「二人もイシュタルでいいわよニトクリス、マシュ。長い付き合いになりそうだし、ニトクリスの場合は私に近しい部分もあるしね? じゃ、元。まずは跪いて私の足の甲にキスをしてくれる?」

 

 

 無事に契約成立。そしてここまで心を許してくれるとなれば本当に頼もしい。三女神の一角が来てくれた。これは嬉しすぎる。

 

 

 のだけどいきなりの頼みごとに一同ポカン。

 

 

 「な、何故ですイシュタル?」

 

 

 「え? あー私一応神霊、神格だけどサーヴァントの術式がはいっていて。人間の味方をするのならちゃんと契約したいじゃない? ましてやウルクの宝物、宝石に負けない物を捧げ続けた男だもの。しっかりと。ね♪」

 

 

 「ははは・・・なるほどこれは大変な契約だ。覚悟を決めて、では・・・」

 

 

 「ま、待ちなさい同盟者にイシュタル! その契約はまだ私と同盟者でもしていないのでするのなら私と!」

 

 

 「おおっと修羅場になりそうだ。皆一度ここは神殿を出よう。あ、その前にしっかりと荷車は神殿の中に全部押し込んでね」

 

 

 とりあえず女、女神同士のいざこざはおいておいて、うん。せっかく運んできた宝石が壊れなければ良いなあとだけ思っておこう。




 華奈が魔獣戦線で戦っている合間のウルク。まあ、賢王が使える戦力で元気ならこのチャンスの間に遊ばせるわけはないよねえと。


 あとエビフ山に移動中に元が言っていた本来の使い方。は魔獣、毒虫を生み出す伝承の方を利用して魔獣戦線で魔獣の死骸も触媒にして強力な魔獣の軍をだして魔獣同士で戦わせるという考え方の方を指しています。
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