転生愉悦部の徒然日記   作:零課

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 こうして書いていて思う。FGOのシナリオの内容の分厚さよ。本当に愛と情熱の塊ですよねえ。本編もイベントも。


 華奈「ほほう。大変ですねえ貴方も」


 ドゥムジ「でしょう? なので良ければこれをお届けできれば。私、もう退去しちゃいそうで」


 華奈「了解です。じゃあ、あのお方も誘ってと・・・あ、これどうぞー」


 ドゥムジ「おお、なんとみずみずしいマンゴー、そしてお水。感謝します。ではでは」


もどきの正体

 「ちょっとー!? 元、流石に試練のためとはいえ、そこのニトクリスがいるんだから私を立てたっていいじゃない! 流石に泣くわよ!?」

 

 

 「す、すいません。それでも急いで賢王様を救わないといけないので・・・」

 

 

 「お嬢さんも仕事と思って耐える他ないだろう。お陰で第4の門も楽に行けた」

 

 

 冥界下り、7つの門の試練はなんというか、どっちの女神でしょう。という感じのもので明確にエレシュキガルを立てれば試練が楽になる。というものだったので明確に甘えさせてもらうことに。

 

 

 まあ、どんなにあちらを立てようともイシュタルは魔力をそがれるので今は本当に小さくなっているけども。

 

 

 「しかしー・・・俺の部下が持っていたフィギュアだったか。位のサイズになるとはなあ。粘土で型を取れば楽に量産できそうだ。女神の人形」

 

 

 「何を言っているのよストーム3! 私のこの体を泥で覆うなんてことしたら全身八つ裂きにするわよ!!」

 

 

 「ふむ。いえ、女神イシュタル。当世では泥パックなる美容の手段もありますし、このウルクの泥、もとい粘土に練り込めば神々でも効果があるのでは?」

 

 

 「!!! なるほど。よし、許すわ! 急いで地上に戻った後は全身泥パックしつつの型採り。これで私の彫像を売れば私の信者からも更に財と信仰をいただけるし!」

 

 

 そしてこの会話の中でもだが、ストーム3、ニトクリス・オルタは戦力が低下していない。そこが幸いだ。

 

 

 「全く、女神自ら商売とはな。信者のニーズに答えていけば極東の狐のように雑貨屋になりかねんぞ? まあ、それで過労死したところで笑ってやるがな!」

 

 

 不意に聞こえてくるこの声、元気そうなそれは、私達が探していた相手。

 

 

 「? 何だそのサイズ! 小さくなっているではないか!! ふはははは! なるほどこれは彫像のサイズだしちょうどよいな! はっははははは!! それでは余計なお荷物が増えて冥界下りさぞ進退窮まったであろうな元! そしてよく任をこなした!

 

 

 ふははははははははは! そこのファラオにストーム3も出迎えご苦労! しかし、同時にこの冥界の一見さんがこうも揃い済みとは。寒さに怯えている頃であろう? 冥界に詳しい我の案内は必要か?」

 

 

 「賢王様! はい。是非ご同行を願えれば幸いです。そして、エレシュキガルに囚われていたのでは?」

 

 

 賢王様が岩陰からニュぅと出てきて私達に再会の挨拶と案内を申し出てくれたので有り難く快諾。

 

 

 ただ、こちらの見立てだとガルラ霊に引き寄せられたのでてっきり槍檻に囚われていたと思っていたので少し予想外だ。

 

 

 「フッ。冥界なぞ我の庭よ。何度も足を運んでいるからな。まさかの女神とキングゥ撃退方法に笑い死にしてガルラ霊共が来る前に岩陰に隠れて気配遮断EX。思い出し笑いをこらえつつ完璧に奴らの目から逃れた後にどうしたものかと思案していたときに貴様らが現れた。それだけのことよ!」

 

 

 「それはそれは・・・では、どうか案内をお願いします。わたしも今は冥界の女王。霊に遅れは取りません」

 

 

 「流石だなあ。王様よ。それじゃあ、ガイドを頼む代わりに俺が盾になる」

 

 

 「はぁー・・・超元気じゃないの。なんか助けに来たのが馬鹿らしくなってきたわ」

 

 

 「冥界でもお元気そうで何よりですし、いやあありがたい」

 

 

 なんというか、うん。結果的には華奈と賢王二人で自爆をしたようなもので、その被害が今も尾を引いているらしいのはおいておくしかない。というか責めないでくれるのが助かる。身内の暴走じみた勝利での結果だし。

 

 

 「そっちこそな。元。見事イシュタル引き抜きの任務に加えて即座に冥界まで来る。目で見えていたが良い勢いだ。

 

 

 銀狼のあの戦いぶりも・・・クックク・・・み、見事であったぞ。ブフォ! 今回は報告を粘土板で済まさず魔術で見ていた我の落ち度もあるゆえ不問にし、功績を持って許す。して。ニトクリスだったか・・・? 貴様、その姿と魔力の質。なるほど。我の後とはいえ近い時代のファラオ。その神性も合点がいく」

 

 

 「ええ。クラスチェンジ礼装で無理矢理に。ただ・・・この霊基は強力ですが、いわば冥界の神罰執行者が常にいるようなもの。この冥界でなければ人理定礎に影響もあったでしょう。

 

 

 代わりにサーヴァントとして二度目の生を持ちつつも、天と冥界の神性を武器に振る舞えるのでエレシュキガルの法律にも対抗できています」

 

 

 「ふむ。元以外の藤丸とマシュの生者か、銀狼と嵐の勇者の可能性も捨てきれなかったがそれなら貴様らが適役であろうな。この冥界において無敵であるエレシュキガル。しかしそれと同質の存在かつ神罰、つまりは刃の部分を強くしたのであれば太刀打ちはできよう。やるではないか」

 

 

 初対面はその圧倒的王の器と覇気、そして真意を見抜けなかったことで落ち込んでいたニトクリスもこの評価と笑顔をもらって嬉しそうに頬を緩める。王として最古にして最強の王からの評価、そしてその王の生きた時代の神話の女神と太刀打ちできるとなれば自信もつくはず。

 

 

 この後、また門をくぐり、イシュタルがもはやカードゲームの大きめのカードサイズになったところで賢王様がカメラを所望したのでストーム3が撮影をしてとで騒ぎがあったけど割愛。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「遺体が消えていた?」

 

 

 「ああ。貴様らが来る間の時間を使いエルキドゥの遺体のある墓所を見に行ったが、消えていた。神々の生み出した兵器。地上で墓を作るわけにもいかぬのでな。エレシュキガルのいる冥界に埋葬したのだが、なかった」

 

 

 「うーわ。まじでアイツ再起動しているのね。でも、同時におかしいわ。神々によって魂を砕かれたエルキドゥが復活するなんて。肉体は聖杯や女神の権能で作り出せるかもだけど、魂がないもの」

 

 

 冥界の門をくぐる合間、互いの情報交換をしつつふと気になった賢王様が言っていた「キングゥ」なるもの。それはあのエルキドゥのまがい物と捉えているものが名乗ったことのある名前だそうで、その真偽を確かめる意味でも賢王様も冥界に来てしまったのならと調べたら、肉体がないこと。

 

 

 「しかし、そうなればまず王様と同格の戦士の。友の肉体が、兵器ってのは肉体だけ見れば正解か・・・英霊として呼べばあの強さはどうしてもサーヴァントシステムでは規格外すぎてスケールダウンするってことだし、納得はいくがなあ」

 

 

 「多分、何かが憑依、魂をそれが補うことで再起動をしたのかも。だから肉体はエルキドゥでも、行動原理はウルクを滅ぼそうと動いているとか」

 

 

 「! 納得は行きます・・・が、死者の肉体、たとえそれが神々に生み出された兵器であってもそれを安らかに鎮め復活の時をまたずに他者が弄ぶのは許されざること。同盟者。賢王」

 

 

 「うむ。肉体が何であれ、あやつはエルキドゥではなくキングゥとして捉えて良い。北壁は銀狼に任せるつもりだし、戻り次第アイツにはもう容赦なくたたけと伝えておこう。・・・映像記録の方と粘土板でその記録は残すとして、な」

 

 

 「金ピカ。下手するともう一回死ぬんじゃないの? 私とグガランナでも出来なかったことをその銀狼? はしているんだけど。一度の戦いで性能はエルキドゥと同じ兵器を撃退してあんたを殺すって」

 

 

 それはそう。だけどまあ、この激務が終わってから疲労を抜いてみるとか英霊の座に登録された後とかこの特異点が終わってから見るんだろうなあ・・・そうなると、うん。絶対にまたあのハジケモードを使うだろうね。華奈は。

 

 

 「ふはははは! しかもこの我が満足して笑いまくった挙げ句にな! 大戦果をあげつつこのやり方は流石に予想できなかったというものよ! 故に後で褒美はたんまり取らせる」

 

 

 「しっかりと用意をした結果その武器で味方が死ぬって流れ弾みたいなものだが、まあ、あれはいい酒の肴だ。第三段を期待したくなる。

 

 

 そして・・・ようやく着いたが・・・・第七の門を超えて着いた先は荒野・・・ここが、神殿なのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふふん。どう? これが私の真の姿! 冥界の女主人エレシュキガルよ!」

 

 

 「おいおい。えらいべっぴんさんが。イシュタル様の姉妹みたいな子が来たなあ。とても伝承で伝え聞く蛆や腐敗にまみれた女神とは真逆だぞ?」

 

 

 「ええ。とても美しく愛らしい。冥界に咲いた赤と金の花ですね」

 

 

 「美しい・・・可愛いねえ。エレシュキガル」

 

 

 神殿に現れたエレシュキガルは最初からその姿を見せてくれて、伝承で聞く死と蛆とカビと汚れの集合体と言わしめる姿とは無縁。金髪ツインテール。黒のハイレグ衣装に身を包んだ美少女の姿がそこにはあった。

 

 

 これには皆エレシュキガルの伝承を一応覚えているのもあって称賛の嵐。そしてエレシュキガルも頬を赤くしている始末だ。

 

 

 「そ、そう? ふふふ。ええ。褒め称えるのだわ! で、でも・・・流石にちょっと褒め過ぎと言うか、あ、ありがたいのは事実よ!?」

 

 

 「ふはははははははははははは!! 自ら姿を表して褒められなれてないのは滑稽よ!! まったく冥界の女神も愉快になりおって。ただまあ、前より話しやすくなったとはいえ、貴様のやらかした罪はとても重い。

 

 

 クタ市の都市神でありながら三女神同盟に与したこと。その罪は他の女神共と比べても。だ。その上で問おう。貴様は何故三女神同盟に加担した! シュメルの民、シュメルの文化を守ることを否定したか!」

 

 

 「何を問うかと思えば! 見損なうなウルク王! 我が責務、我が役割は変わらない! 私はエレシュキガル! 冥界を任されたものだ! すべての人間、すべての魂を冥界に納めるのが我が存在意義にして運命! それを全力で行うことに、何の後悔も自責もない!

 

 

 阻むというのであれば貴様こそ我が神権で滅びるといい!」

 

 

 仲良く話していたけど、賢王様との言葉で空気が変わる。そう、彼女を認めさせるか倒さないといけない。そして三女神同盟の真の一角である以上何らかの手段でウルクへの攻撃から手を引いてもらわないといけないのだ。

 

 

 「ほう。見事な口上だ。であれば、もはや貴様の罪は問うまい! ただその首を差し出すがいい! 敗北を以って貴様の過ちを断罪する!」

 

 

 「望むところよ。全員私の槍で串刺しにしてあげる・・・・・・でも、1つだけ質問をさせて。ストーム3、ニトクリス。そして・・・元。

 

 

 私は気の遠くなる時間、ここで死者の魂を管理してきた。自分の楽しみも、喜びも、悲しみも、友人も、なにもないまま自由に天を翔ける半身を眺めてきた。その私に罪を問うというの? 今更、魂を集めるのは間違っていると指差すの?

 

 

 ずっと一人でこの仕事をこなしてきた私の努力を、誰も褒めてはくれないの?」

 

 

 きっとこの言葉はエレシュキガルの一番の思い、叫びだろう。だからこそ、嘘偽りなく。

 

 

 「エレシュキガルは悪くない。むしろ頑張りすぎているからこそこうなったんだろう」

 

 

 「まーそういうことだ。やり直すためにも、ここで一度頭を冷やしてもらおうか。お嬢さん」

 

 

 「ええ。冥界を管理するにしても一人に押し付けるのはやりすぎですし、こなしてきたとは敬意を。しかし、だからといってここで闘うのは止めないですが」

 

 

 「そうよね! 貴方達ならわかってくれると思っていた! ふ。ふふ・・・あははははははは!! それならもう私に怖いものはない! 私は間違っていなかった! ここにいる貴方達が、人間が、王が賛同してくれるのなら私は正義だもの!」

 

 

 そう言ってエレシュキガルは巨大で、おぞましい。恐らく伝承の方の恐怖を再現した姿になっていく。

 

 

 「さぁて。女神の槍と、元死神の槍、どっちが鋭いか、試させてもらおう・・・!」

 

 

 「どんどんこの場がエレシュキガルの方に有利に動いていますね・・・同盟者。一気に片を付けますよ。いいですね」

 

 

 「もちろんだ。ニトクリスの立場がどうにか同等の内に急いでかたをつけるぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「きゃひんっ!!?」

 

 

 意気込んで勝負に挑んだものの、令呪を速攻で一画切ってニトクリスに後押しの力と、ストーム3も同じく人間であれば気が狂いそうな50年以上も戦い続けた記憶を英霊化したせいで持っている故の経験と武装。

 

 

 そして賢王様と私の支援射撃。それは冥界では無敵というエレシュキガルの力をニトクリスが抑え込んで本来の神格の出力に抑えて有り余る力量での攻撃であっという間に決着が着いてしまった。

 

 

 ・・・・・あの口上の後だとちょっと申し訳なくなるな。いや、短期決戦が正しいんだけどね。

 

 

 「お、元のサイズに戻った。ナイスよ元。完全にこっちの勝利だわ!」

 

 

 「我の戒めも解かれた。これで今すぐウルクに帰らねばいけないが・・・この顛末。まだ後が残っているようだ。元。片をつけてこい」

 

 

 「ええ・・後は私の首を刈り取る作業があるわ。さ、始末なさい。元」

 

 

 「いいえ。それはしない。嘘をついているしね。エレシュキガルは」

 

 

 「な、なにを・・・私は三女神同盟の一柱としてこのメソポタミアすべての人間を殺すつもりだった。この冥界に魂を集めて支配者になるつもりだったのよ」

 

 

 「そう見えるけど、でもそんなことを考える人があそこまで優しい顔や笑顔を見せないと思うよ?」

 

 

 「わ、わたしは・・・い、いいから首を切り落としなさい・・・」

 

 

 エレシュキガルは顔を赤くして、違うといいながらその長い髪を前に流して後ろから首を切りやすいようにしていくけど、無理やり嘘をついているのかやっぱり涙が・・・

 

 

 「あらあら。ねぎの汁が目に入っちゃいましたねー♪」

 

 

 その横でいつの間にか来ていたエプロン姿の華奈が玉ねぎと長ねぎを刻んでいた。なんで!?

 

 

 「ちょっ! 銀狼!? なんでここに!?」

 

 

 「ダイレクトネギパック!」

 

 

 そしてその玉ねぎを切った半分づつをエレシュキガルの目にぺたりとつけて、すぐさま刻んだ長ねぎを紙パックでエレシュキガルの顔に貼り付ける追い打ち。

 

 

 「フハハハハハハハハハハハハハ!!! ははははははははは!! め、冥界の女主人にこれをするか! 恐れ知らず過ぎるぞ銀狼! いつの間に来ていた!!」

 

 

 「にゃわぁあああああああああああ~~!!!!? あぁああ~~!! 染みる染みるぅう!! 涙が止まらないのだわぁアアア!!」

 

 

 「愚かな・・・己の体を蝕むものにも気づけず、そこ止まりとはな。エレシュキガル」

 

 

 急な華奈の出現と奇行。それによる顔中ネギ類まみれにされて涙を流して悶絶するエレシュキガルに爆笑と驚きが入り交じる中、急に響く声。

 

 

 一閃。いや、二振りの刃がエレシュキガルの体を切り裂いた。

 

 

 「・・・う、そ・・・わた、し・・・」

 

 

 体を十字に四分割されて倒れるエレシュキガル。そこには包丁を握る華奈と、杖を持つ深く外套を被った老人が。

 

 

 「未熟。あまりにも未熟。冥界の女主人であれば気づくべき場所、意地を張る場所を間違えるべきではないというのに」

 

 

 「まあ、しょうがなし。今はそれほどにすごい状況ですし」

 

 

 「なっ! 華奈! なんでエレシュキガルを! それにその老人は!?」

 

 

 「エレシュキガル・・・銀狼! そして貴様はなにを!」

 

 

 イシュタルが急いで矢を放つけども、それをひょいと躱してしまう二人。そしてやれやれと言わんばかりに大きなため息をつく華奈。

 

 

 「・・・落ち着け、よく見るがいい。私と銀狼が切ったものは命にあらず。あの者の同盟の契り」

 

 

 「そして、エレシュキガル様の権能を封じつつ、影でこういう好機を狙っていた不埒ものですよ。では、賢王様も皆も後で会いましょう」

 

 

 華奈は縮地ですぐに消え去るが、その言葉を表すようにエレシュキガルは何事もなかったようにガバリと起き上がる。体も無事だ。

 

 

 「って驚いたー! 私今十字に切られていなかった!? 神話的に! ってあれ? 目がしみてない。あの野菜もないのだわ!?」

 

 

 「ぐぉぉおぉおおおお!! なんだ、なんだこれは! 染みる! ぐぉおぉおおおおああ!!」

 

 

 そしてネギの顔面パックも取れていたと思えば、闇の霧が纏う亡霊のような存在の見えない顔に張り付いていて苦しそうにもがいていた。

 

 

 「ほう・・・ネルガル。その怨霊。悪意か。尊大なアヤツの中のかすかな残り物。それと同盟とは、三女神同盟のことか? 老人よ。銀狼はこの際聞かぬ。死人でもなく、今の絶技は銀狼の剣技も超えたもの。我でもない。カルデアでもない。魔術王でもない。貴様。誰に呼ばれたものだ?」

 

 

 「さて。埒が明かぬ、銀狼との縁あって冥界の針を進めただけ。そこの悪意の残り香を斬り剥がしたのは銀狼よ。同じ境界のよしみだ。エレシュキガル。お前は真実を隠し虚言を弄した。それを恥と捕らえるのなら、その虚言の意思が、魂の管理を任された女神としての人への愛を捻じ曲げかねないものを増長させていたのにも始末をしたいと思うのなら、はっきりと真実を語ると良い。

 

 

 そこのお前の影に隠れていたものを仕留めた後にでもな」

 

 

 「確かに・・・これは・・・ネルガルの、私にくれた太陽の権能! 命を照らし育てる輝きの槍! 思えばそうだわ。これを使えないのは不思議だったけど、三女神同盟のことで考える余裕がなかった。けど、納得がいった。

 

 

 ええ。しっかりとこの悪意を焼き払い、その上で再度話しを。そして、ネルガルの悪意! その残り香の亡霊よ! 貴方の、ネルガルへの敬意を表してこう名付けましょう! 冥界の陽! 発熱神殿キガル・メスラムタエアと!」

 

 

 エレシュキガルの槍が灼熱に輝き、さっきまで凍えるような冷気が支配する冥界に温かい光と熱が伝わり始めていく。彼女も冥界と天の日差しを持つ、ニトクリスにも近しい部分があるのだ。

 

 

 「くそぉ・・・くそぉ! 貴様の、エレシュキガルの冥界を良くしようと、人への愛を持つのがおかしいのだ! 冥界は、恐ろしく、冷たく、残酷でないとならぬ!」

 

 

 「何を言う! 冥界は霊の癒しの場であり裁きの場でもあろう! しかしそれはあくまで一側面でありその冥府の国の在り方の多様は神々が作るもの! 怨霊風情が冥界の主の意思に介在して喰らおうとは不遜にもほどがある! その感情だけに支配された残滓が語るものではない!」

 

 

 「そうよ。貴方の考えも確かよ。だけど、私は私なりの・・・ああ、もう。そうよ! 人を好きだからこそ、三女神同盟に入って人を守ろうとしたの! 死を怖いと思わずに私の冥界に行けると考えて死を受け入れた人たちを守ろうとしたのよ!

 

 

 でも、冷たく静かで、痛いだけじゃなくて暖かい場所も、きれいな輝きも欲しかった。だから、ウルクの大杯でここをより良いものにしようとして、守ろうとして私は・・・!!」

 

 

 「やっぱり。優しくて考えが深いんだね。じゃあ、一緒にウルクを守っていこう。私達と一緒に」

 

 

 「おーそうしろ、ストーム1はお嬢さん以上に敵から見れば恐ろしい死神だろう。賭けてみて損はないぜ? むぅん!」

 

 

 ストーム3がネルガルの攻撃を食い止め、押し返しながらスピアの一撃で吹っ飛ばす。

 

 

 エレシュキガルの不器用だけど彼女なりの人への愛と対応に皆がニッコリとしていく。ネルガルの悪意の影響がなくなったか。あるいは嘘をついたとしてもこの場ではろくなことにならないと白状するべきだと考えたかは不明だが、本音を聞けてよかった。

 

 

 「では、悪霊退治。いや、違うな忘れ物を浄化して本題に戻るとしよう。どうやら面白いものが待っているようだしな」

 

 

 「わかったわ。この熱で、冥界の寒さに慣れた貴方を焼き尽くしてあげるわ!」

 

 

 「ネルガル。神である貴方の残滓ですが、その行いは神代であっても許されることなし。神罰を受けるがいい!」

 

 

 ニトクリスとエレシュキガルから放たれる冥府の裁きの光と太陽の、青と赤の光の海。

 

 

 「か・・・がぁ・・・あ・・・・!!」

 

 

 なにせ冥界の女主人二人分の。本来の権能を取り戻したエレシュキガルの火力は土台神の意志の残滓程度では塵も残らず消え去っていく。

 

 

 「ふぅ・・・ふ・・・はぁ・・・貴方達に負けただけではなく、私の中に潜んでいたものを見つけ出して仕留め、権能まで戻してくれた・・・嬉しいけど・・・女神の面目丸つぶれなのだわ・・・あれだけ被害もだしたっていうのに・・・」

 

 

 無事に勝利を手にした。とはいえ、エレシュキガルの言うことも最も。三女神同盟としての行い、被害の方も・・・

 

 

 「何を言うか。この戦いが始まって衰弱死したものは遺体は残らず保管済み。貴様が槍檻から出せばひょっこり生き返るであろうよ」

 

 

 「ホントに!?」

 

 

 「当然だ。クタ市で500人。ウルク市で150人。会わせて650人。この程度ジグラットの地下を開放すればこの5倍は収容できる! この程度の被害など、ゴルゴーンのだした被害のうち3日分にも満たぬわ!」

 

 

 まさかのエレシュキガルが魂を開放すれば被害はその人間が働けなかった時間以外はチャラという結末に。これにはエレシュキガルも頭を抱えてうずくまる。うぅーん・・・実質時間以外は人的被害はゼロとは・・・

 

 

 「うそっ!? それはそれでショック! 私かつてないほどにやる気出したのにー!!」

 

 

 「やり方が本気になりきれていなかったのだろう。最後通告は任せたぞ。元」

 

 

 「一緒に、ゴルゴーンを倒すために協力してほしい。エレシュキガル。キミの力が必要だ」

 

 

 「うぅううう・・・そ、そんなふうに見つめないで・・・わ、わかったわ! 三女神同盟の繋がりもあのおじいさんと銀狼が切り裂いたようだし、女神として、せせせせ、責任を取ってみせるわ!」

 

 

 無事にエレシュキガルを仲間にできて手を握って感謝を伝える。彼女もすっごい頬を赤くしながら握り返してくれてこっちも嬉しくなる。

 

 

 「やーれやれ・・・色男だねえ。お。おいお嬢さん。銀狼からも贈り物があるようだぞ」

 

 

 ストーム3がこっちに茶々を入れつつ、華奈のいた場所に何かを見つけたようで持ってきた。

 

 

 「これは・・・さっきの玉ねぎの球根と、ネギの球根? そして花の種?」

 

 

 「え・・・でも、冥界じゃあ花は・・・」

 

 

 「でも、その太陽の、緑を、大地の命を育む権能があれば変わるかも知れませんよ。それにたしか・・・」

 

 

 「玉ねぎの花言葉は 不死 と 永遠 長ネギの花言葉は 笑顔 微笑み 愛嬌 くじけない心 不死と永遠の花言葉の玉ねぎを成長させればきっとそれはこの冥界でも白い花を咲かせて、ネギたちからきっと変わるかもというエールかもな」

 

 

 さっきのネギ。そんな意味もあって華奈は使ったのか・・・? うーん・・・長年家族をしているけど、本当に真意がわからないけど、いいものを用意してくれるんだよなあ華奈は。

 

 

 「不死、永遠・・・この冥界でもあり続けるかも知れない花・・・うん。やってみるのだわ! それにこの玉ねぎもスゴイ魔力を感じるし、挑戦してみる!」

 

 

 「ええ。それを成すために、まずはゴルゴーンを討ちましょう」

 

 

 「まだ食い下がるようであれば、きっと説得にさっきの銀狼と嵐の勇者という滅茶苦茶な奴らをけしかけるつもりだったのだ。ちょうどよかろう」

 

 

 「う、ええ・・・流石にわたしも冥界にいたのをあのおじいさんと一緒に察知できなかった、あのゴルゴーンとキングゥをボコボコにしたアイツは・・・あれ? あのおじいさんは?」

 

 

 そういえば、いなくなっていた。いつの間に?

 

 

 「ふむ・・・まあ、エレシュキガルの三女神同盟の契約も切り捨てたようですし、悪い人ではないでしょう。同盟者。そして、エレシュキガル。わたしもまた同じ冥界の神アヌビスの神性が強いですが元はホルス。天空の神の化身であり、ファラオ。良ければ、わたしと友だちになってくれませんか?」

 

 

 「え!? あ、あー・・・い、いいのだわ・・・? 私、本来は内気で陰気な女なのよ・・・」

 

 

 「でも、優しくて肝もある女です。私は好きですよ。そういう必要なときには気丈に振る舞い勇気のある人」

 

 

 「! そ、それなら・・・ぜひ、お友だちからお願いしたいわ!」

 

 

 そういって二人で仲良く握手を交わして僕らも冥界からの出国許可が降りた。これで無事に賢王救出と、思わぬ形でのエレシュキガルの強化も果たして仲間入り。万々歳だ。






 華奈「感謝します。ドゥムジ様の神性や、命の水で復活と強化をしたエレシュキガル様とあの野菜の種に球根。冥界の癒やしが増えるといいのですが」


 初代翁「構わぬ。しかし、だいぶん巫山戯た力を手にした・・・いや、目覚めさせたものだな? もう一つも含め。これからどうする。銀狼」


 華奈「変わりません。皆でこの特異点を攻略していく。そして魔術王へと挑む。それだけです」(お茶とお菓子を渡す)


 初代翁「受け取ろう。感謝する。ふむ・・・よかろう。同じ境界のよしみの女神にもわたしも手を貸せたことの礼も含めて必要であれば再び貴様のもので刃を振るうとしよう。では」


 華奈「ええ。お疲れさまでした翁様。ふぅー・・・明日は玉ねぎたっぷり味噌汁にしましょうかね?」





 ニトクリス・オルタのバレンタインかわいいですよね。


 元を退けたとしても後詰が強いと言うよりも嫌すぎる華奈とストーム1コンビ。ハジケと対応力はぴかいちなので。後はまあ、存在自体がルール、法則な神霊にギャグで対応しつつも概念勝負を上回ったりダメージカットしてくるハジケはいろいろな意味で相性が良すぎる。
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