転生愉悦部の徒然日記   作:零課

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 ここらへんの住民の穏やかさは本当に戦国の時代を知らない人のほうが増えているんだなって感じでほっこりしましたね。英霊剣豪さえいなければのほほんとしていけそう


城下町にて

 「うーん。ここでは怪異の噂というか、襲撃はないのかな?」

 

 

 「田舎の村山では起きるけど、ここではおきない・・・にしたって、噂に聞き耳立て無いのは本当にこの地代というか。戦国の世なら危険な噂一つを早く知ることが大事でしたし」

 

 

 「もしくは、徐々に都会に向かってきているのやもしれないな」

 

 

 「英霊剣豪に怪異の騒動もここ最近起きたものかもしれない。ということですね?」

 

 

 着きました土気城。とその城下町。そこで早速僕らは聞き込みをしてみたんだけど、帰ってきた答えはなんというか他人事かつ、要領を得ないものばかりで空振りに終わることに。

 

 

 徳川家光は確か三代目徳川家将軍だし、その次代となると戦ごとも島原の乱くらいで、本当に平和な世の中だとわかるけど、平和故に怪異や英霊剣豪の情報が拾えないとは思わぬ問題だなあ。

 

 

 「まあ、騒ぎが起きていないのはいいことだしひとまずここで色々と賃金を用立ててしまおう。寝泊まりもだし、食事の方もどうにかしないと」

 

 

 「そうじゃなあ。儂も刀は置いてきちまったし、身銭も流石にこの面子を何日も養い切れるほど銭はねえ。おまえさんら。あてはあるのか?」

 

 

 「あ、それなら一応」

 

 

 情報が探しきれなかったけどそれはそれとして休めそうな町というのはいい話でここに腰を据えるとして、村正さんも言うようにお金の問題。ここをどうするかと聞かれたけど、そこは僕と元さんは用意していたので懐からゴソゴソと取り出してみせるのは銀貨に金貨。

 

 

 「ほほう。見事な大ぶりの金貨に銀貨。こいつはすごい。どこで用意していたのだ?」

 

 

 「特異点で前に買い物をしていたことが有るので、一応最低限は持っておくようにってマスターのみんなで銀嶺隊の領地で精製している硬貨を持ってきているんです」

 

 

 「わぁ。きんきらのきれいな丸い小判だ。うふふ。綺麗だねー」

 

 

 「ちゃんと純銀、純金でできている硬貨。あ、ウルクでの銀も混じっているのね。コレくらいならゆうに一月二月はここで過ごせそうじゃないの?」

 

 

 「おやおや。たいそう羽振りのよろしいことで。よければ、私にもその話を聞かせてはくださいませんこと?」

 

 

 ふと後ろから響く柔らかい声。そこに振り向くと、玉藻の前がいた。

 

 

 「こんにちは皆様。そちらも今しがたここについたのです? 実は私も半年前から江戸からここに来たものでして。わたしはおたま。芸妓でございますわ。

 

 

 皆様羽振りの良さそうな装いについつい興味を惹かれてよってみれば懐もあたたかそうと来たので。よければ私のお店に来ていただけるかなーと思いまして。おほほ」

 

 

 「た、玉藻?」

 

 

 「ええ。わたくしおたまでございますわ。どこかで知り合いましたか? わたくし、とんと記憶にございませんで」

 

 

 「先輩、おそらく私達のイメージや特異点の形に玉藻さんの外見が着いているだけで別人と思ってよろしいかと」

 

 

 「そ、そうかあ。いやあごめんなさい。知り合いによくにた人がいたものでついつい」

 

 

 「うふふ。気にせずに」

 

 

 「あ、それじゃあおたまさん。私達は確かに別のところから来たのはいいんだけど、実はここで使える銭がなくて。今持っているのはコレなんだけど、両替とかしてくれる場所を知っていないかな?」

 

 

 元さんがうまい具合にフォローしてくれて前に出て、金貨と銀貨をそれぞれ見せる。するとおたまさんは尻尾をびぃんと跳ね上げさせつつ思わず眼が見開く。いや、普通の芸妓ではないよねやっぱり?

 

 

 「お、おぉお・・・外国の、南蛮の硬貨にしかもこの出来と重さ・・・! ええ、コレなら両替所でも十分に銭を確保できるでしょう。良ければご案内しますわ。

 

 

 ここ下総、土気城は天下の将軍家の血筋松平様が治める土地。第二の江戸と呼ばれるほど栄えていれば施設も多い。しっかりと両替をしてくださるでしょう」

 

 

 「うんうん。これならうどんもお団子も食べ放題ね! いやーちょうどいいし。ちょっとおたまさんのところでごはんを食べに行ってもいいんじゃないの?」

 

 

 「うむ。拙僧のような英霊はまだしも、生身の皆は食事をせねば大変だ。心身充実してこそあのような怪異にも立ち向かえるというものよ。

 

 

 おたま殿。良ければ早速両替所に案内を・・・」

 

 

 「あの・・・もし、よろしいでしょうか。そこのお方」

 

 

 「ん? 私?」

 

 

 今度は別方向から翌聞き覚えのある声を聞いて振り返ると、清姫がおもそうな着物を着けて僕らを見ていた。

 

 

 「いえ、その、貴女ではなくそちらの異国の装いをしている殿方です」

 

 

 「僕? 清姫もどうかしたの?」

 

 

 「まあ。初めてあったのに私の名前を。ええ。ええ。清姫です。そして・・・うふふふ。コレはきっと運命なのでしょう。私を城の外に連れ出してくれる方をお待ちしていましたがこの胸の高鳴り、ときめき。嘘ではないはず。

 

 

 好きです! そこのお方。どうか私とこれからも末永く!」

 

 

 「わぁ」

 

 

 「なんと」

 

 

 なんだろう。すっごく大変なことを言われた気がしたけど、清姫の顔と声で言われているのも相まっていつもどおりの反応が出てしまう。

 

 

 「ちょっ、お姫様!? せ、先輩に向かっていきなりすごい告白を!?」

 

 

 「いやいや!? この往来で何をのたまっているんですかね!?」

 

 

 「姫様、清姫様! お城を抜け出したかと思えばこんなことを言うなどいけませぬ!」

 

 

 「お城を抜け出した?」

 

 

 清姫姫? まさかの自分で城を抜け出していた。いや元気だなあー。運命の人がいなくても問題なさそうなほどには。

 

 

 「ぬ、ぬう。そうだ。こちらも思わず口走ってしまったがそのとおりだ! とはいえ土下座などは控えていただくが。このお方をどなたと心得る! 松平下総守が御息女、清姫様であるぞ!」

 

 

 「改めまして。お初お目にかかります。清姫です。運命のお方も、そこの皆様もどうかお知りおきを」

 

 

 え。まさかのお姫様なのかあ清姫。一応頭は下げておくけどなんだろうなあ。ほんとカルデアでの日常にしか思えないぞお?

 

 

 「清姫さまですってー!?」

 

 

 女三人揃えばなんとやら。このまますごく姦しい勢いのままにドタバタと騒ぎが起きて、なんとか収めるまで一苦労だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いやはや、藤丸は女難の相でもでているのかねえ」

 

 

 「あはははは。元も人のこといえないんじゃないの?」

 

 

 清姫様とおたまさんとマシュの戦い? は一段落を収めてとりあえず村正さん等はおたまさんの住まう宿。その空き部屋を借りに。私達は両替を終えてもう一回りと歩くことに。

 

 

 なんやかんや。何かあるかもしれないということで。

 

 

 「まあ、そうかもしれないけども。ふふ。武蔵ちゃんもすごくきれいだし、色々大変そうだけど?」

 

 

 「え? いやー私なんかはあんまり。基本切合立会が多いし」

 

 

 「いやいや。私は気が多いからね。武蔵ちゃんのような美女。すごく魅力的だって感じているけど?」

 

 

 「あー・・・えっと。い、いやいや! そこはまた今度に! たしかに大奥とかハーレムとか、そういうのは知っていますけど、私はもう少し早いと言うか!

 

 

 ・・・・・む? 人影? あれ? 倒れていない?」

 

 

 顔を真赤にしてワタワタしている武蔵ちゃんを見て微笑んでいたらなにか行倒れの人が裏路地に見えた。

 

 

 第二の江戸と言われるほどの町でまさかの行倒れ? と思い言ってみればそこには赤毛の美少年が倒れていた。反応からして。英霊・・・?

 

 

 「おーい。大丈夫かい?」

 

 

 「む・・・く・・・」

 

 

 『魔力不足が原因だろう。元、武蔵。一度宿の方に戻って食事で魔力補給と、話を聞くほかないだろう。毒の方はないから安心してほしい』

 

 

 「わかりましたロマニ。武蔵ちゃん。情報収集は後にしよう」

 

 

 「もちろん。英霊となればもしかしたら英霊剣豪の被害者かもしれないですし」

 

 

 となればまずは連れて行くほかないだろう。拐かしと言われそうだけど、けが人と言っておいてとりあえず宿に。

 

 

 武器や感じからして、忍びの人だろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いやはや、まさかこんな形でまた再会するとは思いませんでしたねえ。しかもまあ更に赤毛の少年まで連れて。賑やかなものですよ全く」

 

 

 「そのとおりだわい。まあ、金子は包んで置いておくし、よければしばらく厄介になっていいかの。おたまとやら」

 

 

 「はぁー・・・ま、ちゃんとここの宿の宿泊分の金子は渡してくれましたし、私自身金子は問題ないのでそれくらいなら。コレも徳を積む一環と考えましょう」

 

 

 「ははは。それはいいことだ。御仏も喜ばれるであろう。感謝しきりだおたま殿」

 

 

 「宝蔵院殿に言われるのならその甲斐がありますわ」

 

 

 急に元さんと武蔵ちゃんが人を連れてきたと思えば、なんでもその人は英霊。しかもあの名高い風魔小太郎というのだから驚きだ。

 

 

 今は食事を取らせて別室で休ませているけど、深手はなさそうだったし。治療をしたけど体力が消耗したか、それ以外のなにかだろうか?

 

 

 なにはともあれ、少し話してみればこちらの味方になってくれそうだったし回復した後に仲良くできれば嬉しいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・む?」

 

 

 「あ、起きた?」

 

 

 「でも、ちょうどいいかもしれないね。多分、出番だ」

 

 

 夜。炎の中に佇む人を見た夢の後に目を覚ますと、そこにはすでに元さんと武蔵ちゃんが。

 

 

 出番。というと・・・英霊剣豪だろうか?

 

 

 「市中には出ないはずなのに・・・攻めてきた? のですかね?」

 

 

 「もしくは、いよいよここまで攻め入る用意ができたか。ね。なんにせよ。ここで始末しないと被害が出る」

 

 

 「お待たせしました皆さん。胤瞬さんと村正さんにもここの守りを頼んでおいたので、問題なく行けると思います」

 

 

 「マシュ。了解。それじゃあ、僕らも動こう」

 

 

 「うん。あ、ただ銃は音が響くから、今回はできる限り最後の手段にしよう」

 

 

 「わかりました元さん。じゃあ、ガンドでいくしかないけど、一応備えにレイヴンは持っておいて」

 

 

 コソコソと元さん、武蔵ちゃん、マシュ、僕で窓から降りて妖気? の感じる気配に向かって歩いていけば大量の妖怪、怪異の類が群れをなしていた。

 

 

 「これは・・・流石に倒さないと大変ですね・・・」

 

 

 「うん・・・マシュ、武蔵ちゃん。いける?」

 

 

 「もちろん。天下泰平の世の中にこんな怪異の騒ぎで血なまぐさい戦いの気配と被害を民草に与えるわけには行かないもの。さあ、行きましょうマシュちゃん」

 

 

 「はい。敵の撃滅。承りました!」

 

 

 英霊剣豪はいるのか、いるとしたら元さんが考えた対策でうまく対応できるかもしれないし、今はチャンスかも。




 何で金貨や銀貨なのか。というと江戸時代でも小判や銀貨の製造は行われていて、その金や銀の加工前の状態のものを口やおしりに隠してしまい持ち逃げされないように検査するほどの管理状況でした。浮世絵などでも褌姿の男衆が侍さんたちの用意した棒の上をまたがせる絵などがありますがまさしくそれ。


 で、藤丸たちが硬貨、通貨になる前の金銀を持っていたらどこかの場所から持ち逃げしたかと疑われるのを防ぐ意味でもこんかいはこうしましたとさ。この時代ならギリギリ商人の方、その血筋や縁者なら種子島や交易で手にした硬貨などを持っていても怪しくはないですしね。


 後はぐだぐだ特異点での経験が活きました
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