転生愉悦部の徒然日記 作:零課
「ほっ・・・・こんなところでいいかな?」
「わっせわっせ。矢板も用意できたわよ~」
「えいさ!」
稲や水をより良く、そして効率的に、そして働かざる者食うべからず。ということで信勝くんの指示通りに堤防と水路。そして水を入れる前の土に藤丸は雷撃魔術を畑に叩き込み、私の方は炭を焼いていた。
落雷のあった土地は豊かな土壌になるというのは万国でも言われていることだけどその正体は雷という超高温の衝撃が落ちることで地面に窒素が生成。その窒素が植物の良い栄養なので肥料になるということ。
エレナは堤防の資材をドローンで石を運ばせて、卑弥呼は矢板を木槌で打ち込んでいく。
「ふーむ。炭や雷を利用してより豊かできれいな水を。ね。そういう使い方があるとは・・・」
「お母さんがブリテン中でしていた方法ですね。私達の地域ではすぐに生水を飲める地域はほぼなかったので、こういう形で浄水、井戸に入れたり、毎年の豊作をできるようにしていたのです」
「堤防とかもマシュがすぐに理解して動いてくれたし、なるほど。姉上が認めるだけの器はあるんだなお前たちの最強のマスターとやらは」
「はい! 自慢のお母さんです。そういえば・・・信長さんはどこに言ったのでしょうねえ・・・」
「ふっ! まあ、ここに関しては斎藤さんとかに探ってもらう他無いです。それにまあ、あのノッブ。どーせ生きていてどっかで甘味食べているんじゃないです?」
木材を刀でスパスパと切り分けて木材を運んでいく沖田さん。病弱という致命的弱点も消えてイキイキと動き回る様子は微笑ましい。
「まーそうだろう! 心配だが姉上の心配など余計なこと。ただまあ、本当にここの奴らやり方が古いからなあ・・・水の引き方とか、治水技術もお粗末なものだよ」
「あなた達の時代からで見ても最低1300年以上前の時代の人にそれは流石に酷よ信勝くん。あなた達に聖杯の知識無しでスマホを作れとか、鉄筋コンクリの最新ダムをつくれとか無理でしょ?」
うぐっ。と詰まり、でも信長ならとまあ事あるたびに信長を引き合いに出す信勝くん。いやーそれはないんじゃないかなあ。信長も華奈からプラネット・ブレイザーとかプラネット・キャノンを貰ったときは大歓喜しつつも整備に苦労していたし。
まあ、とりあえずこの時代の人間でもできる技術を使いつつ、水もきれいに治水も大事。働いていきましょう。
「あ、卑弥呼殿に皆さん。ちょうどよかった。斎藤くんからの情報が来たからぜひ話をしたいのですがいいですか?」
「もちろん。みんな、泥と汗を拭いて戻ろう」
山南さんがやってきて私達を呼ぶ。と、なれば次の話が来たか。よし。行こうか。
「あいたたた・・・やー助かった・・・君たち本当にありがとう」
「はー・・・ひどい目にあったき・・・」
埴輪の方を今回は脆かったので。おそらく英霊二騎と、なにか凄い大蛇? 龍? を抑え込むリソースのせいで一つ一つの埴輪が脆かったのでライサンダーZFでヒビを入れてマシュがシールドバッシュの連携ですぐに壊せた。
そしてでてきたのは白いスーツと帽子に刀を履いた優しそうな男性。そして、ギラギラと目を光らせる。剣呑な空気をはらむ黒髪を少しボサボサにした侍がいる。
「え、えーと。私達はカルデアのもので、マシュ・キリエライト。こちらはマスターの藤丸先輩と元さん。そしてエレナさんに、卑弥呼さん。沖田さんです」
「あ、自己紹介ありがとう。僕は坂本龍馬。こっちは岡田以蔵くん。僕はまだしも、以蔵くんとお竜さんはすごく頼りになる人だよ」
「いやいやいや! 思い切り殺す気だったじゃろがいきさんら! いくら助かったとはいえのお! まったく竜馬おまんも相変わらず甘い!」
「まあまあ、とにかくこちらはこれ以上戦う気がないのでえーとそこの以蔵さんもどうか剣を収めて。どういう状況なのかはこっちも教えますし。ね?」
とりあえず、木苺とか、美味しい樹の実を確保しておいたのでそれを渡して頭を下げる。いやはや・・・幕末の有名人がまたいるとは・・・本当にすごい人たちが埴輪になっているって・・・あ、じゃない。収納されているなんてなあ。
「ふん・・・まあいいきに。しかし、あの沖田総司のぉ。カルデアというのはなんとなしに知っているが・・・まあ、そうじゃな。わしらをこんな目に合わせた馬鹿を斬り殺したいし、ついていくわ」
「僕もだねいやあ。しかし、あの新選組の沖田総司、山南敬助、斎藤一と出会えるとは」
「いやいやいや。こっちも同じことよ? まさかのあの土佐の岡田以蔵に坂本龍馬って。ってか、そこのお竜さん? といい色々やばくないか?」
「ふふふ。とりあえず積もる話はこっちで・・・?」
ふむふむ・・・うーん・・・
「元さん。藤丸さん。どうしたんです?」
「あ、いえいえ、周辺の足場を見ていたんですが、イノシシやヤマドリの痕跡があるので・・・いいご飯にできないかなーと。ふーむ・・・卑弥呼、沖田さん。ちょっと一緒に捕まえにいかない? それと、いいものも用意するから」
銀嶺隊に散々サバイバル技術を鍛え込まれたおかげで身についてきたものだけど、今は稲も弱っている状態だし収穫の復活も神代の時代とはいえ心配。この時代だし急によそ者数人の食事の用意も大変だろうしねえ。
「あー・・・それなら、是非お願いしていいかな? 悪いけどお竜さんのご機嫌も治したいし」
「一瞬でもリョーマのことを忘れるなんて・・・」
龍馬さんの指差す方角で体育座りしてズーンと落ち込んでいるお竜さん。うん・・・あのお竜さんが龍だったのもまあ置いておくとして、そうね。お肉をガッツリと食べさせたほうがいいかも。
「そうですね。それに動いた分お腹が空いた気がしますし、私の方も手を貸します。華奈さんのお陰で解体技術と狩猟のノウハウも身に着いていますし」
「一君も護衛をお願いしていいかな? 神代の時代、交配した集落とはいえどこに何があるかわからないし。念の為に」
「わかりましたよ先生。そんじゃ、とりあえず荷物持ちと護衛と洒落込みますかあ」
うんうん。いいものがたくさん手に入ると思うんだよね。バビロニアではあんまりできなかった食材捜索。頑張ろう。
「ほぉ・・・これは染みますなあ・・・お茶といいましたか。素晴らしい」
「うんうん! お水がすっごく美味しくなった!」
以蔵と龍馬さん等がいた神殿の集落周辺に生えていたクマザサで作った笹の葉茶。すぐに作れるし簡単。しかも神代の時代となれば栄養も味もいい。
「いやー猪肉にヒヨドリ美味しいですね! ご飯が進みます!」
「自家製醤油と山芋のとろろ丼といっしょに食べると合いますねこれは。ふむ。これが銀嶺隊の醤油・・・いやなんでイギリスの騎士が醤油と味噌を?」
「うーん酒が欲しくなるのぉ・・・おい元。おまん酒も作れんかや?」
「私が作りましょうか? 米酒になるかしらねえこれだと」
無事にイノシシ2頭、ヒヨドリ20羽。大量のクマザサ、自然薯をゲットしての凱旋して、解体からの料理で舌鼓を打ちつつの靄の除去祝い。
「カヤの実も美味しいね。お菓子みたい」
「ピスタチオに近いでしょうか。先輩。私が剥くのでどうぞたくさん食べてくださいね」
「というか僕ら生身の人間組はちゃんと食べないと駄目だよ」
カヤの実は種子を炒って種の中身を食べる。渋みの少しある木の実。ただ、そこそこいけるし虫下しの効果があるので基本こういうサバイバルや現地で食事をする際には食べておいて損はない。
魔力供給に食事からもできるからってことで木の実図鑑、食べられる食材サバイバル本を読んで実践していた甲斐がある。
「しかし、改めて沖田くんや僕らをこうやって埴輪にして神殿を守らせて邪馬台国を弱らせようとしているのは誰なんだろうねえ」
「ふむ・・・まあ、やはりそういうことをする。となれば恨みだったりするものでしょうか。邪馬台国の宝を狙う。とかではないのはあの新選組もどきたちで感じましたし」
「恨みねえ。まあ、あたしの時代は確かにそう言うので戦争とか多かったけど。んー・・・でもなー・・・基本ご飯とか、領地狙いだったし・・・」
「姉上の代は確かに揉めすぎましたが、かといって国の土台ごと弱らせる。しかも田畑の根幹や水まで汚す相手はいなかったので・・・候補は多かれど、絞れないと言ったところが本音でしょうか」
なるほど。まあ、確かにあの時代の領土戦争とか、そういうのを考えると卑弥呼の時代でそこまでのことをして侵略をする奴らがいるか? と言われると思いつかないか。
あと、新選組もどきもいるのがノイズなのか正解なのかわからないんだよねえ。あれが敵の本命の部下なのか、ただの使い捨ての手駒の部下なのかとかも。今回も多くの英霊と怪異渦巻く状態とはいえ、流石に海外では邪馬台国時代の日本なんてドマイナーだろうし。
「ふー・・・そげなこと、敵を切り捨てて先に進めばええ。それよりもじゃ、改めて聞きたいが、おまんら新選組の斎藤に山南やったか?」
「ええ。お二人もこの邪馬台国を守りつつ私達に協力をしてくれているのです」
「実際、あなた達が封じられていた神殿の場所も探っていたのが二人だし」
「ほぉ・・・協力ねえ? しかし山南いうたら新選組の裏切り者やあなかったかいのう? 身内切りばかりに奔走していた奴らの協力とは、いつ寝首かかれてもおかしくないぞ」
「・・・・!」
「こいつは参ったな。それを言われると私は返す言葉がない」
あ・・・あー・・・地雷だよねえそこら辺は・・・いや本当に・・・あえて触れないでいたけど、うん。本人等も既に終わったこと、生前の話とはいえそりゃあ出されていい話でもない。
「いやいや山南先生。そいつに言われるいわれはないですよ。土佐勤王党の裏切り者といやあかの泣き味噌岡田さんですし?」
「なんじゃと・・・?」
「あら。気に触っちゃった? でも事実でしょ? ちょっとした拷問で情報ペラペラ喋って仲間を売った岡田以蔵さんでしょ。あんた」
「ちょっと。いきなりなんで煽り合いになるのよ」
「・・・おい、おまん表出えや」
「へえ? 一端に喧嘩売ろうっての? 岡田以蔵。いや、無宿の鉄蔵くんよ」
互いに刀に手をかけて斬り合おうとしている。一触即発だ。
「はーい、喧嘩はそこまで!」
その喧嘩腰を砕いたのは卑弥呼で、その馬鹿力を使って二人の頭にげんこつとボディブローを振る舞ってねじ伏せた。ふたりとも何も言えずに突っ伏して白目をむいている。うわぁ・・・英霊ですら一発でこれかあ。
「まったく。せっかくの美味しいご飯が台無しになるじゃないの。しばらくそこで反省していなさい!」
「全くだ。馬鹿のダーオカなんてすぐに潰してご飯を食べるべき。おいリョーマ。そのイノシシの脳みそ焼きくれ」
「はいはい。しかし、これでひとまず今は収まったけど起きたらまた再発しないかな?」
「ほっほっほ。大丈夫ですぞ。姉上に殴られると不思議と争う気が霧散しますからな。大丈夫でしょう」
まさしく邪気、そういう感情さえも祓う拳。かあ。うーむ。鬼道という術。多分説明も難しいのだろうけど卑弥呼の場合はそれを気軽に感覚的に扱えるからって部分もあるのかなあ。何にせよ、ここで切合をして戦力が減るのも嫌だったし助かった。
とりあえず、ご飯はまた海からも用意して、塩と、銀嶺隊直伝の魔術でサクッと醤油と味噌作成魔術で調味料を用意しよう。
あ、魚醤もいいかな? お好み焼きとか、焼き物に合うし。
華奈の新選組の評価としては「一個人としては好きな人、頼れる人が多いけど、信長様の言う通り弱小人斬りサークルの身内ゲバ祭り。正直組織としての協力は・・・」って感じです。伊藤さんのことといい、大勢に変化を与えたわけではないので。
銀嶺隊も基本そういうドロドロがないギャグ集団だったのも相まってますますええ・・・となっています。あと資金繰りをできずに商家から借金して踏み倒したり御用改といいながらそこら辺の金持ちから金を揺すったりとかもしていたりなのもますますアウト。でも基本沖田や土方などあの時代を必死に生きた人たちは嫌いにはならない。