転生愉悦部の徒然日記   作:零課

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 大詰めですなー


光の未来

 「何の冗談だ・・・何の冗談だオイコラぁ!!」

 

 

 「化けの皮が剥がれたか。これが芹沢の本性・・・」

 

 

 「何じゃ狼狽えよって。新撰組の局長が聞いて呆れるぜよ」

 

 

 「ああん! 人斬り風情の犬ころが! 国士の俺に口を利いてんじゃねえよ!!」

 

 

 「国士が人が人を滅ぼす怨恨の呪術に手を染めている時点で国士が聞いて呆れるよ」

 

 

 「全くです。お母さんは、円卓の騎士はそういうことはしなかったのに・・・!」

 

 

 芹沢の切り札であったであろう狗神を信長と卑弥呼の拳と炎で消滅させたという事実は芹沢の余裕と、皮肉屋な紳士ぶった仮面を剥がした。

 

 

 余裕なく眉間にシワを寄せて青筋浮かべている様はよく似合うなあとしかいえない。生前でも酒癖や素行が悪かったそうだけど、これがいつもかなあ。

 

 

 「もう止めましょう。芹沢さん。私達の負けです」

 

 

 「なにい? なんだと山南! もういっぺん言ってみろや!」

 

 

 「・・・・・・こんなやり方では国は救えない、作り変えられない。近藤さんも間違っていたけど、やはり我々も間違っていたのです。私達には・・・彼らのように助け合う事ができなかった」

 

 

 「山南・・・・」

 

 

 たしかにそうだろう。新選組は助け合うことが足りなかった。厳しすぎる規律で身内の方が怖く、派閥争いに明け暮れて身内を更に粛清。互いに寛容にできず、そしてそれを許すほどの余裕も考えもなかったからこそ、こうなった。

 

 

 「何を言い出すかと思えば・・・助け合うだぁ? だからてめえ等は駄目なんだよ! 徹頭徹尾仲良しこよしの田舎侍ごっこの集まり! その癖ろくに侍らしいこともできず志もねえからろくでなしのまま馬鹿やりまくった挙げ句粛清祭りで散り散りになったんだろうがよ!

 

 

 そのくせ誠の旗に新選組とは笑わせる!」

 

 

 「・・・・・・・そうです。だから新選組は終わってしまった。私が、私の勇気のなさが終わらせてしまった。あのとき、私は近藤さんには向かうべきだった」

 

 

 「はあ・・・そうか、助け合う。まあ、いい言葉じゃねえか。なら尽忠報国の新選組らしく助けてもらおうじゃねえか。山南。

 

 

 ・・・・お前の血でなあ!」

 

 

 そういって芹沢は刀を抜いて山南を切りつけてしまう。ドバッ。と血しぶきが降り注ぎあたりが赤に染まる。

 

 

 「芹沢っ・・・てめえ!」

 

 

 「いいんだ、土方くん。僕は近藤さんを信じてついて行ったのに、近藤くんを信じきれなかった。だから芹沢さんに付いていけば違う新選組の未来が見えると思っていた。だけど、芹沢さんも信じきれなかった。そう、私は親切者の山南ではない。ただの臆病者だったんだ・・・」

 

 

 なんか・・・シンパシーを感じるなあ・・・

 

 

 でも、新選組という歴史と政治の表舞台に出た以上、その中途半端さが今もこうして怨嗟の渦を回しているのはなんともはや・・・

 

 

 「・・・・・さぁ。この血を喰らえ、持っていけ! 足りないのなら俺の血も持っていきやがれ!」

 

 

 自分と山南の血を糧に狗神とは違う、なにか別の闇が出てくる。それは、タイプの違うものが出てくる。まだ隠し玉があるのか!?

 

 

 「憎し・・・! 憎し・・・! 邪馬台国! 我らまつろわぬ民の怨念を知れ・・・!!」

 

 

 「あ、あれは・・・!?」

 

 

 「そうだったのですね・・・貴方がその者に力を・・・」

 

 

 「我は・・・邪馬台国に滅ぼされし狗奴国の王! クコチヒコ!」

 

 

 闇が姿を持ち、色を持ち、そして芹沢に闇をまとわせて姿を変えさせていく。纏まった髪はバサリ通りて乱れていき、真っ赤な肌は赤鬼のよう。たくましい肉体はよりたくましく、気配も人のそれではない。

 

 

 そして背後には犬と骨の化け物が。でも狗神よりも禍々しく、そして不気味すぎるというか、そういうものが形を持ったとしかいえない。

 

 

 「かのものは狗奴国に仕えた呪術師。しかし、その手で狗奴国の王を殺し自ら王と称して邪馬台国をも奪おうとした男」

 

 

 「それがクコチヒコ・・・。呪術の果てに人の姿さえも捨てたってことか・・・!」

 

 

 「うはははははは! こいつはすげえぞ! 地の底からどんどん力が湧いてきやがる!」

 

 

 「この者を喰らい・・・貴様らを喰らい、邪馬台国を・・・すべてを喰らってくれる!」

 

 

 「おう俺の体だろうがなんだろうが構わねえ! 喰え喰え! 喰らい尽くせ!」

 

 

 もはや芹沢も呑まれている。けどそれをも気づいていないか・・・クコチヒコの闇が私達を包み、当たりは暗くなる。

 

 

 「っ・・・ここは・・・みんなは・・・」

 

 

 「ここはワレラまつろわぬ者たちが棲まう常闇の洞・・・ワレラはこの地の底の洞で神代の彼方より、幾限無く人の怨念を重ね、育んできた。この常闇の中では貴様らが連れてきた英霊もキサマを守ることは叶わぬわ・・・」

 

 

 「・・・それはどうかな?」

 

 

 なるほど。たしかに凄い話だ。神代から積み上げてきた怨念。それは深い闇だ。だけど。それは人の怨念、まつろわぬもの、魔。

 

 

 クコチヒコはそれを持てる狗奴国の手勢を用いてでも卑弥呼に負けた。そして、ここにもう一人闇を打ち払い、切り捨てる剣士がひとりここに来ているのを見落としているのだから。

 

 

 「んー・・・サービスですよ?」

 

 

 キン。と心地よい金属音が響いたと思った瞬間、闇が薄れていく。なんとなしに聞こえる声も、ああ、華奈。やっぱり君はわかるよね。

 

 

 「・・・? な、ワレラが闇が薄れて・・・? なんだ? なんだそれは? 光、光だと?」

 

 

 そして、その薄れた闇の中にいくつものまばゆくも、優しく明るい光が闇を照らしていく。

 

 

 「お待ちしていました。未来の君」

 

 

 「卑弥呼。でも、いや、君は・・・」

 

 

 卑弥呼が目の前に。だけど、卑弥呼だけど私と一緒にいたけども。彼女とはまた違う側面というか・・・?

 

 

 「はい。私の鏡は星辰を象り、久遠ノ彼方を映す鏡。あらゆる人の道行き、星星の彼方を映し、遙か未来を見通し、繋ぎ、引き寄せるあわせ鏡。私はかつて死を前にしてこの邪馬台国の苦難を予見し、ずっとここで国を救う方をお待ちしていたのです。

 

 

 まさか、この闇を切り捨てる焔のような、陽のような聖剣と剣技を使う方まで来るというのは予想外でしたけど嬉しい誤算です」

 

 

 「ヒミコ・・・! ヒミコだと・・・!? ば、馬鹿な・・・! キサマは確かにあの時ワレが呪い殺したはず!」

 

 

 動揺しながらも卑弥呼を殺そうと爪を突き立てていくクコチヒコだけどそれも卑弥呼の放つ結界で防がれて押し返されてしまう。

 

 

 「ええ。長く邪馬台国を治めた私は力を失い、やがてクコチヒコ。あなたの凶つ闇に飲み込まれてしまいました。そして私には見えていました。私の後継者の壱与もあなたの闇に呑まれる定めだと。

 

 

 ならば、私の鏡で遠い未来からこの国を救う人を呼び寄せんとずっと待っていたのです」

 

 

 「ではあのときの呪い殺されたキサマはずっと我の常闇に潜み時を伺っていたというのか!? 馬鹿な・・・!? この常闇の洞でたった一人。いつ来るかもわからんものを待ち続けていたというのか!?」

 

 

 「いいえ、一人ではありませんでした。名も形もなくしてしまった弟がずっと一緒にそばにいてくれたのですから」

 

 

 とはいえ、それは途方も無い話だ。あちらはひたすらに復讐のために相性の良い常闇の洞の中で過ごす。けれど卑弥呼は弟と一緒とはいえ、この気味の悪い、自分の死因となった呪術渦巻く中でこの精神性を保ちながらずっとずっと待っていた。

 

 

 本当にどれほどの強靭な精神をしているのか。クコチヒコと今ばかりは卑弥呼の精神力の強さ、私達をどれだけ信じてくれているかを感じてしまうというものだ。思わず胸が熱くなる気持ちになる。

 

 

 「キサマは、未来で英霊になることを見越して人のまま、いや、その魂はここにおいたまま未来で自分の写し身である英霊とその呼び込んだ戦士たちで殴り込めるようにしていたと!? あり得ぬ! 認めぬ!」

 

 

 「でも、それを成したからこその今があります。さあ、未来の私よ。今の私と未来の私の力を一つに!」

 

 

 闇がより晴れていき、そばにいた卑弥呼が出てくる。二人の、魂とはいえ生前の魂そのものの卑弥呼と英霊の卑弥呼。その二人が今同時に接していた。

 

 

 「え?! いやいやいや。私弟はいたけど私にそっくりの妹や姉はいなかったはずだけど!?」

 

 

 「あ、えーとね。この方卑弥呼御本人。ややこしいけどね」

 

 

 「ふふふ。私ながらよく英霊になれましたねこれは。まあ、とにかく私の手を取りなさい。今こそ邪馬台国の女王にして常世の裁定者。卑弥呼が皆を照らすのです」

 

 

 「・・・・・・・なるほどね。ええ。全てはこのときのために!!」

 

 

 私達と一緒にいた卑弥呼もこの意味を理解したかふたりとも手を握り、互いを光が包み、一人になったと思えばまばゆい光が更にましてあたりを照らして常闇の洞が暴かれていく。

 

 

 それは同時に闇に呑まれていたみんなも出てくるわけで。

 

 

 「うおっと。急に闇が晴れた。ほう? なるほどのお・・・ってええい! ひっつくでないわこの愚弟が! 本当に成長したと思えば変わらんな信勝!」

 

 

 「はい! 姉上の弟ですので!」

 

 

 「おい、どういうことだこれは・・・」

 

 

 「卑弥呼のお陰でクコチヒコの闇を晴らせたんだ。そして、華奈のおかげでね。みんな、もう一息頑張ろう」

 

 

 「この常闇に光が差すだと! あり得ぬ! アリえぬのだ! われらはまつろわぬ民のくこちひ・・・ぐはっあ!!?」

 

 

 癇癪を起こすクコチヒコに更に空から無数の飛ぶ斬撃がクコチヒコと芹沢に降り注ぐ。華奈の方も本当に余裕ができているのか、もしくは・・・凶つ神を介してその大本のクコチヒコに攻撃をしているのか?

 

 

 翁と毎日切り合いの修練をしているからメキメキと剣技をあげているのと、冥界の女神エレシュキガル相手にも通用するからなあ・・・何にせよありがたい支援。さっさと終わらせてしまおう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「常世の闇を祓い、真なる光を象れ『星辰久遠鏡』!!」

 

 

 卑弥呼の宝具が皆の連携でダメージを与えたクコチヒコにクリーンヒット。その強烈な光と邪気を払うその攻撃は、どんどんクコチヒコを消耗して、消滅させていく。

 

 

 「なんだ、これ、はぁああああああ・・・・・!!」

 

 

 「狗奴国のまつろわぬものの王クコチヒコ。貴方も、貴方の民も救えなかった私だけど・・・せめて光の道ゆきを貴方と貴方を取り巻くまつろわぬものの想念に・・・」

 

 

 「アァアアァアアアア・・・ヒカリ、こえが・・・ひか・・・ヒカリ・・・光か・・」

 

 

 クコチヒコも完全消滅。これで、すべて終わったのか・・・? あ、聖杯。これは確保しておかないと!

 

 

 「ふぅ・・・これで芹沢にも悪さはできないでしょ」

 

 

 「はい。この常闇に渦巻いていたものも光へと還りましたし、後は私達も戻るべきときですね。ふふふ」

 

 

 「ふぅ。わしもあの馬鹿どもを何回も殴ることができて満足じゃし、ぜひ頼むぞ女王卑弥呼」

 

 

 「ええ。改めて皆様に、この国を救ってくれた皆様に感謝を。そして、還りましょう。邪馬台国へ」

 

 

 クコチヒコの誘った常闇の洞から私達も脱出して、漸くここの騒ぎも一段落だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ・・・あー・・・すごい目にあった。多分神代の中でもすごい場所だったよね?」

 

 

 「恐らくね。多分地獄に近い。神代の中でもかなり異質な場所だっただろうし」

 

 

 「そんなことはどうでもええ。流石にわしも疲れたき。女王さん。旨い酒でも用意してもらえるやろ?」

 

 

 「ええ。ダーオカさんには私の神殿に秘蔵されたとびきりの神酒を振る舞いましょう」

 

 

 「ほう。神代の時代の飛び切りの神酒。そいつは楽しみ・・・ってダーオカはやめい!」

 

 

 「えー? かわいいのにー」

 

 

 無事に神殿に戻ることができたけどやっぱり早々に騒がしくワイワイガヤガヤ。うーん。みんなとは多くがこの特異点で知り合ったけど、馴染むのが早くて楽しいなあ。

 

 

 「・・・・」

 

 

 ただ、うん。まだやり残したことはあるね。少なくても、新選組は。

 

 

 「土方さん、回復はしておく。ことが済んだら。戻ってきてください」

 

 

 「おう・・・感謝する」

 

 

 「・・・マシュ。行こう」

 

 

 「え、あ・・・はい」

 

 

 みんなで沖田さんや、合流してきた斎藤に回復術式をかけておき、彼らがやり残したこと。芹沢鴨、そして山南の後始末。あれはきっと横槍無く新選組でケリをつけたいはず。

 

 

 私達は出ておくべきだ。あとは彼らの仕事。私達はそれが終わってから優しく迎えるだけだ。




 そういえば茶の湯バトル。あれは場合によってはニライカナイが出てきますが沖縄出身の金城哲夫さんがウルトラマンの基本設定を生んだ際にニライカナイのイメージもあるようなので、そこつながりで金城さんとか、円谷英二とかを呼べたりして。人の怨恨、呪いや欲望を対処するという意味じゃウルトラマンティガのほうかも
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