転生愉悦部の徒然日記 作:零課
「ほほう。それでお栄様はそこから体が固くなってしまったと」
「おうさ。しかもそこからなんか撮影会とやらで撮影しまくってなあ。どーにか逃げ出せたが、そこからは華奈に拾われてどうにかって感じよ」
お栄様が動けなくなった状態を解除できる薬をモルガン様に用意してもらい、漸く一息つけたので事情を聞けばどうにもふと裏路地から声をかけられ、そこに意識を向けたら体が固くなって動けなくなる。
しかも意識はあった状態だったけどそこもご丁寧に認識阻害をその際に発動している間に撮影をした。・・・え?
「えーと。お栄様を襲うとか、攫うとか、そういうのはしていないのですよね?」
「おう。たしかに視線の方はそんな気配を感じたが・・・とと様を見てから断念したって感じよ。ったく。せっかくのるるハワでのサバフェスってのに。ひどい目にあったもんでい。
しかし、華奈には感謝している。お陰であのメイヴって言う女狐にうちのサークルの枠をとられた代わりにアンタほどの大規模サークルで大分スペースをいただけるってもんだから万事塞翁が馬だねぇ」
「うふふふ。あなた達は私の師匠でもあり大事な友だちですからね。良かったです」
「お、おう・・・その・・・ありが・・・わひゃっ!? なんでいとと様!! 色気づくなだぁ!? とと様だって何度か華奈に絵のモデルを頼んだときはそりゃあ鼻の下伸ばして・・・あぶち!」
お栄様にお茶を渡しつつ話を聞くと、ふーむ・・・お栄様もフォーリナー。ある外なる神の存在の力を持つものですし、そこら辺に感づいて下手にこれ以上暴れるのを止めた。と見るべきですね。
目の前で父娘漫才を見つつ案外これは面倒な案件だと思いつつ、一応これを共有しておくべきですねと端末でメールを送信。
まったく・・・ルルハワで何日も前から現場入りして準備を整えて後は1週間、みんなで日替わりでバカンスをしつつ過ごす予定が台無しです。
アルトリア様たちにも予定をキャンセルしてもらっていますし、後で埋め合わせ考えないと・・・?
「む。お栄様。この部屋で休んでいてくださいね。何やら騒ぎのようです」
「お? おう? 気をつけてなー!」
「・・・あ。ふたりとも・・・おめでとうございます。ですね♡」
「はひっ♡ んおっぉぉお♡ ひっ、こんな、ずっと硬いままの、バキバキなのどうなっているのぉ♡ ウルクにも、こんなのいなかった・・あ”あ”あ”っっ♡」
「ん♡ ふはぁ・・・マスターったら。もう、原稿を藤丸君たちに任せっぱなしで、うん♡ 少し一緒に行ってもいいんじゃないの? はぁ・・・♡」
「もう少し、ね? こんなに最高の二人と味わえるのは早々ないし・・・ふふ・・・ほらほら、イシュタルも腰が勝手に動いているよ?」
「座長さん! フォーリナーはんのう・・・っっ!?♡ あ、あえーと・・・そ、そのぉ・・・」
既に気絶しているエレシュキガルを休ませてエレナとイシュタルを愛していたら飛び込んできたメイド服姿のアビー。
思わず驚くけど、フォーリナー反応ということにすぐに思考を切り替える。すぐに服を整えて戦闘態勢に。拗ねるイシュタルもごめんね。後でまた再開しよう?
「えーと・・・アビーもその服装は後で聞くとして、それは本当?」
「ええ。ワイキキストリート? のほうで騒ぎが起きて、動けない人たちがたくさん出てきているの。それで、調べたらフォーリナー反応が」
「なるほど。よし。アビー。行ける?」
華奈の連絡からの情報も合致している部分があるし、恐らく目当てのフォーリナーだろう。汗の匂いは制汗スプレーでごまかしてと・・・・よし。
「もちろん。座長さんもすぐに。鍵で近くの空間をあけるから着いてきて」
「ちょっと待ちなさい。私も行くわ。せっかく元との時間を邪魔されたのだもの・・・ギッタギタにして、ぶちのめした後にバカンスをこの時間の数倍はもらわないと割に合わないわ!!」
ガクガクと腰を震わせながら水着姿にチェンジして、付いてくる気満々なイシュタル。うん。遠距離砲撃でなら良いかなあ・・・? 魔力供給もしているわけだし。
「じゃあ行こう。うまく行けば一気に王手だ!」
「じゃ、女神様も一緒に。あ、それと後で私も仲間に入れてね? 座長さん♡」
「邪んぬは無理しないで! エミヤ。強化するわよ! ああ、もう。藤丸とマシュはどうしたってのよ! ふたりとも夜食を食べに行ってから戻ってこないし。もー!」
「あちらも害獣か鶏にでも捕まっているのだろうさ! くそっ。やりづらいな・・・!」
「所長。エミヤ、BBちゃんに牛若丸もおまたせ。大丈夫!?」
アビーの空間を開く鍵で疑似どこでもドアでワイキキストリートに出ると黒い靄を放つフォーリナー? の前に出てアビーの触手で距離を取らせる。
むぅ・・・シャドウサーヴァントよりも濃い黒い靄。なんとなーく一部見える輪郭から細身の男性か女性・・・? 自信はないけどそれくらいか?
「ありがたいわ元。こいつがそこかしこで周りの人間を動かさないようにしちゃっていて。なんかこう・・・石にしたみたいで。妙に静かになったから気になってきてみればこの有り様よ!」
「ふぅ・・・ふ・・なるほど。何かの神性持ちらしいけど・・・私達の時間を邪魔した報い! その正体もろともさらしたうえでぶっ飛ばす!」
「ーーー!!」
イシュタルの放つ魔力波を避けるフォーリナー。そこにアビーが空間からタコの触手で追撃を繰り広げて行くもそれも軽快な動きで避けてしまう。
「おお。元さん助かります。今牛若丸さんと一緒に固まっちゃった人たちを避難させている合間なのでもう少し時間を稼いでくださいね? 流石にこの数はちょっと予想外でして!」
「あちらも気遣って余波を与えないようにしてくれていますが、それでもこちらも捕らえないといけない以上。戦わないとなのでもどかしいですね!」
あちらも石にはするけど、その人達を気遣う? うーんそこも北斎と同じ。害を与える。というかなにか襲うけどそれ以上はしない? どういうことだ?
「何にせよ捕まえてここで被害を抑えて後は邪んぬの同人誌作成とバカンスを味わうのよ! エミヤ。弓で支援に回るわよ! 邪んぬもなんか撃てる黒炎で疑似アーチャーしなさい!」
「承った。併せてくれ邪んぬ」
「ええ。これも良い息抜きと思うほかないわね!」
せかせかと人々を避難させているBBと牛若丸。そしてジリジリとワイキキストリートから追い出すように、海辺に追い込むように動かないと・・・
「そこっ!」
「ナイスよ元! セイヤッ!」
「えぇーい!」
ライサンダーZFでフォーリナーの回避先を予想しての偏差撃ち。からのイシュタルが即席で分身して三方向からの飛び蹴り。それは腕と甲殻のような盾? で凌がれるもアビーもまさかの大きな鍵をまるでどこぞのキーブレードみたいに振り下ろして奥に押し込む。
更にそこにエミヤの矢と邪んぬの黒炎が追撃をする。がそれをなにか巨大な蟹のようなハサミで撃ち落とす。むぅ・・・硬い。
「はいはーい。一度避難はこちらが受け持つので、どうぞ思い切り」
聞き慣れたその声が聞こえればすぐに地面が波打ってそこから石の柱がフォーリナーをふっとばし、無数の斬撃の雨が甲殻の盾を砕けずとも海へと押し返していく。
「華奈。来てくれたのね! 藤丸たちは知らない?」
「あー・・・うん。少しあっちでも害獣に絡まれたようでして。一応問題なさそうだったのでこっちの救援に来ました。BB様。思い切り暴れていいですよ」
銀嶺隊の魔獣担架とリヤカー部隊が固まった人たちを運んでいってあっという間に人影もなくなるワイキキストリートとそこから海に繋がる道が空いていく。さすが、こういう人海戦術での避難はすごく助かる。
「ナイスアシストです華奈さん! ではではーこのルルハワの守護者としてこれ以上の狼藉は認可できません。私も奥の手。変身しちゃいます。はぁっ!」
華奈の後方支援でBBちゃんも戦えるようになって早々にすぐに変身といい、火柱がBBちゃんの周りを取り囲み、そこから炎が弾けて出てきたのは褐色肌にこれまた水着とそういうパンクな? 衣装に着替えたBBちゃんが。
「アーーローーハーー!! 装いも新たにパンク・コケティッシュ・ワイルドに! 我こそはハワイ島の女神ペレの神核をインストールしたNewBBちゃん。そう。BBペレ。なのでしたー!!」
「ペレ! ハワイの女神ね。具体的にいえばハワイ版イシュタル!」
「なるほどよく分かった!」
綺麗でもあるしいつものBBちゃんとは別の魅力もあるけど、それはそれとして相当なトラブルメイカーってわけね。なるほどこれは相性がいいのかも?
「ちょっとどういうことよ元!」
「さあ、その正体は少し気になりますがそれよりも貴女には国外退去してもらいましょうか?」
よし。土着の女神の加護はありがたい。ここで押し切れるか・・・?
「逃げられたわね・・・見切りが良いことだわ・・・」
「ふぅ。でもこれで一件落着、ですね! 皆さんありがとうございましたー☆」
「アンタの加勢のお陰だけどね。で、本当に女神ペレの力を持っているの?」
「はい。それはもう。ハワイにおける火山の女神。聖なる土地のペレ・・・ペレホヌアヌア。あるいは土地を食らうペレ。ペレアイホメア」
ふむ・・・確か、ハワイのガイドブックにもかいていたし、うん。なるほど納得。恐らく何かのきっかけに出会ったのかな?
「一ヶ月前今年のサバフェスはハワイで開こう。と、現地視察にやってきたわたしは女神ペレと意気投合。諸事情あってとても弱っていたペレからその神核をコピー、インストールさせてもらったのです。お陰でBBちゃんは夢の褐色美女に!
そこからハワイ島の管理権限も譲り受けたわたしは特異点ルルハワを作り出し、観光客のみなさんもサーヴァントのみなさんも別け隔てなく楽しめるサバフェスを開催するのでした!」
「なるほど・・・本当にセラフのときから優しいいい子だね。BBは」
「凄いのだわ! 神様の力でこんな大きなお祭りを開くなんて、素敵だもの!」
キラキラと目を光らせるアビーと、私もセラフでのアレコレを聞いているのでなるほど根っこはいい子だし、こういう祭り、催しでは無粋をしないのがよく分かる。藤丸はいい子と仲良くなれたものだなあ。
「ありがとうございますアビーさん! あ、それと女神ペレというのはですね?」
「いいわよ。だいたい知っているから。しかしまあ、ポリアフの方でくるかと思ったけど、まあそれなら今回のように運営なるのも納得よ」
「おや、雪の女神ポリアフの事もご存知なのですね。さては勉強してきたな? このこのー! そのまま今回のお礼をしたいのですが、戦闘での余波であれた場所の修繕とスタンしちゃった皆さんの治療があるので私はこのあたりで!
サバフェスまで後二日。皆さんの成果を楽しみにしていますね?」
「BB様ー治療薬の用意と、病院への連絡、即席の治療施設の用意ができたのでそちらで手当をしましょう」
「はーい。さすが銀嶺隊。動きの速さは一級品ですね!」
舌出しウィンクをして爽やかに去っていくBBちゃんとニコニコと手を振ってついていく華奈。あ、もうそんな時間かあ・・・
「う・・・せっかく忘れていたのに・・・現実に引き戻していきやがったわねあの女・・・」
「まあまあ、ホテルに戻ったら私も手伝いますよ。墨を使ったベタ塗りであればもう一人前ですので」
「その前に夕食にしましょう。魔力も体力も使ったのだし回復とリズムを整えるのは大事よ。はぁー・・・元。資料集めと、あのフォーリナーの調査頼んだわ」
「うむ。それがいいだろう。まずはリフレッシュする時間を置いて自分のペースを掴んでいく。それが一番だろう邪んぬ」
「オルタでいいわよオルタで・・・みんなもよろしく。はぁー・・・しっかし・・・マスターちゃんとマシュはいないし、良いプロアシの華奈もいないのは少し怖いわね・・・まあ、やりますかあ」
「私の方も戻りつつ少し探してみるよ。イシュタル。アビー。もう少しだけお願いね?」
「分かったわよ。はぁあー・・・これは・・・思いっきりまた出してもらうわよ? 明日の海賊コンビの分まで搾り取ってやるんだから♡」
「私こそ、座長さん、御主人様のお情けをたっぷりともらいます。今のアビーは悪いメイドさんだからそれはもうたくさん・・・♡」
あ、あはは・・・少し白い目で見られている気がするけど、ちゃんと仕事はするからね? だから所長も気にしないでほしい。作業も後で手を貸すから。
「おはようみんな。ごめんね。こっちもこっちで戦闘があって」
「おはようございます。ほふわぁ・・・皆さんは・・・フォーリナーを見つけたんですよね?」
「おはよう。ええ。とはいっても正体はまだわからずに逃げられたし、逆にBBのやつがサバフェスの運営をできる、その権限の理由がわかったくらいよ」
朝、原稿を書いている中でシャワーを浴びて出てきた藤丸と別室から来たマシュ。ふたりとも、目に少しくまがあるし、疲労もある。
そして互いに意識をしながら顔を赤くしながらも申し訳無さそうにこっちに謝るのは・・・まあ・・・あっちも戦闘があったのは華奈の証言からも本当なのでしょうね。とりあえずBBペレの方について話しておく。
「なるほど・・・じゃあ、今回は大分有利にことが進めるかもね。僕も原稿を手伝う。元さんと華奈さん。BBちゃんがいればすぐ見つかるかな?」
「そうですね・・・その、できればサバフェスと、ええ。取材の方にぜひぜひ集中したいですし!」
互いに視線をそらして意識しないようにしながら原稿に向かう二人。もとより結構こっちに手を貸してもらっているけど・・・なんというか・・・
「ねえ、アンタたち。もしかして、付き合い始めたの?」
「「!!」」
「いやいやいや、そんなことは」
「は、はい! 無いですよそんなこと!」
ダウト。もうその身振り手振りがアウトだってーの。
「はぁー・・・嘘いいなさい。清姫でなくてもわかるくらいに顔真っ赤にして・・・後でその話はじっくり聞かせてもらうとして・・・取り敢えず今日は原稿を手伝いなさい。後サバフェスまで2日。今日で仕上げて、明日は余裕を持つわよ。最終チェックのために」
ああ・・・もやもやするしムカムカする・・・私ものほうがマスターちゃんを・・・あのたくましい肉体に、銃火器を使いこなして支援する・・・でもどうしようもなく前任で優しくて・・・ハッ! いけない、いけないわ・・・今は現行を仕上げること第一。
「あ、三人とも既に作業しているのね。一階のレストランが開いたようだからそろそろ朝食に行くわよ」
「ですね。今日はどんな物が食べられるか!」
「分かったわよ。今日で仕上げないと。ふぅー・・・」
後でたっぷりと問い詰めるからね。ふたりとも・・・
「ケルトヘッド射撃場にようこそ新米共! 私はスカサハ。今日一日お前たちに射撃をレクチャーする教官だ。ここではサー・スカサハと呼べ。いいな!」
「イェッサー! スカサハ!」
「「イェッサー!」」
今日は射撃場ツアーへの参加。今日の原稿の手伝いは夕方に手伝うことにしてひとまず今まで行っていなかった場所への調査と、銃火器の狙撃練習ということで来てみればスカサハが教官役のツアーをしており、私も専用の銃を持ってアンメア二人と一緒に来てみた。
「よし! いい返事だ! しかし、まず謝罪をしよう。本来ここで教官をする予定だった大尉たちは野生の鶏とアンモナイトに襲われて怪我。そしてストーム教官はガラじゃないということで拒否された。私は武人ではあるが銃の専門家という意味では彼らに劣る。
故に、彼らの上質なレクチャーを期待していた君たちには済まないと思う。さて、そのまま次はこの誓約書にサインせよ」
大尉。うん。あの人せっかくのバカンスと娯楽の銃を扱える時間と思えばこれとは。本当にお疲れ様です。
そしてサインをする。まあ、銃を扱う。となれば事故の可能性も、危険性もすごく高い。それに関して自己責任などの確認と誓約だろう。これは大事なことなので私もサイン。
「よし。で早速始めよう! いいか。ここではなまじゆるいツアーでも、観光気分も許さん。三時間で貴様らを一人前に仕立て上げる! それがこのEDF&ケルトの射撃場に来てくれた、料金を払ってくれたこのスカサハのプライドである!
ここで鍛えた腕前でいずれ起こり得る未来。隕石落下による世紀末化、ウイルスによるゾンビ感染・・・そして怪獣襲来によるサバイバル生活などの有事に備える際の技術を磨く!」
「思ったより本格的ですわね。そういうのもいいですね。ふふふ。チームメイトですもの♡」
「僕は軍人時代を思い出すけど・・・まあ、好きな人といっしょにする訓練もいいものだし、今日は海賊ではなく軍人としての頃でいこう」
基本肝が据わっているアンに、軍人時代を思い出してまあこういうのもいいかとはにかむメアリー。私も実際に助かる。こういう射撃練習をしつつ過ごすのもだが、どうにもフォーリナーはいい被写体を欲しがっている。この二人に周りにいるツアー客、そしてスカサハという美しく強い戦士たちがいればうまい具合に撒き餌となってくれるかもしれない。
失礼かもだが、昨晩のことと華奈の情報を聞くとまあ、仕事しつつ練習して備えきれるのはいいことだと思っておく。
「では早速グッズを配る。帽子、耳栓、アイガード。特に耳栓とアイガードは外すな。外せば殺す。帽子は日差しよけなので好きにしろ」
「うふふ♡ どうかしら。似合っているかしらマスター♡」
「ふふふ。クールに見えるかな? こういうのもいいね。普段と視界の色が違うのは戸惑うけど」
ふたりともベタベタしないで・・・その、いい匂いと柔らかくて素敵で・・・その、やばい。スカサハに怒られちゃうから!
「まま、まってまって。今は流石に少し抑えて。ね?」
「元の言うとおりだ。下手に周りにも邪魔をすれば槍が飛んでくると思え。そして元、アン、メアリー曹長たちは・・・ふっ。スペシャル・コマンダーコース。しかもEDF仕様か。良い心構えだ。では、そのライサンダーZFも使用許可を出すが、それ以外にもKFF71Sも持っていくといい」
そう言ってもう一丁ライフルと弾丸の入った箱と未装填のマガジンを差し出すスカサハ。おおーこれも一応いいものだよね。他のライフルが壊れなだけで。
「あら。プラネット・スーパーカノンは無いのです?」
「普通の人間にあれを貸し出すのは流石にこの私でも憚られる。というか華奈に釘を差されてな・・・『ストームチームですらしっかり構えないと撃てないものを普通に出すのはちょっと』というわけで、貸し出せるのはライサンダーZFくらいだが、まあそれで問題はなかろう」
「アン。感覚麻痺しているけどライサンダー自体も普通に一撃でEDF製以外の戦車の装甲をぶち抜く威力と反動だからね? 英霊でもキャスターとか銃の扱いに慣れていない人には大変だよあれ」
「そういうことだ。流石に新兵に最上級の武器をやるほど私も甘くはないということだ」
華奈が言わなければ出していたんだろうな。という言葉は心に抑えておくとして、射撃場のエリアに移動。ハンドガン、突撃銃、狙撃銃。クレーン射撃と色々なエリアが分かれていて私達が行く場所は最上位の難しい、いわゆる上級者向けの場所。
「さて、的は50ヤード先に設定した。的のサイズは40センチ。これより大きな的、近いレンジを私は許容しない」
「え、あの・・・的が小さくて見えづらいのですが・・・?」
「何を言う。コレくらい狙撃兵、支援をするのであれば当たり前。一人前の兵士、よりさらなる状況に対応していくのであれば的を動かしてもいいくらいだ。さあ、キャンセルは許さん! 無理という泣き言もだ! 一発外すたびに私のイライラゲージも溜まりそこの三人にどんな宝具が飛んでくるかもわからんぞ。
キリキリ撃て! 射撃の感覚を体に叩き込みその技を磨いてみせろ!」
「「「コレ本当にツアーなのー!!?」」」
最早訓練だよ! 大尉が軍曹のときよりも大分厳しいぞコレ!?
「い、意外と当たりませんわ・・・! ここまで外すなんて・・・!」
「むぅ・・・的が小さくなるだけでここまでなんて・・・数百メートルの距離でも相手を打ち抜けたのに・・・」
始まった射撃練習だが、距離自体は短い。だと言うのに的が小さく、変なプレッシャーがあるだけで的を外してしまう。用意してもらった複数の的に5発中3発の命中。1発はすれすれにどうにかあたった程度。残りはハズレと今までのシミュレーションでの訓練とはものが違う。
アンはどうにか当てているが必中とはいえず、メアリーに関してもそれくらいの射撃成果で案外扱いが難しいようだ。
「ふむ。まず、距離は問題ない。しかし的が小さい。というのは目標を捉えづらくなるからな。今まで貴様らは特異点でも、そしてアンとメアリーに関してもぶつかる相手は基本人。そして乱戦や戦場、敵から向かってくるという都合上基本的を捉えやすかった。
アンの方は乱戦の中でも手早い照準と射撃の判断に秀でているが精密な狙撃の経験はないだろう。銃の威力も相まってどこかに当たればそれで致命傷になり得る武器を使っていたのだ。さもありなん」
スカサハの分析を聞いてなるほどと思う。たしかにラフムも人より大きく、祝聖騎士、魔獣、亡霊武者なども大きく、そして襲ってくるから距離は近づくし、とにかく当てて動きを鈍らせるだけでも良かった。私自身の経験も性格に隙間を縫うような狙撃。と言われるとそれは少ない。
「だからこそ、貴様ら三人は引き金を引く際にガク引き(引き金を引く時にぶれていること)をしているのだろうな。そんな現場あがりのひよっこ共に日本の自衛隊、そしてEDF日本支部のありがたい言葉を教えよう。耳をかっぽじって聞け。
『暗夜に霜の降る如く』という言葉がある。引き金を引くときはそれくらいにそっと引け。という意味だな。それを意識して撃て。そうすれば次は動く的を狙うクレー射撃方式だ。そら、あそこにいるやつを見るといい」
そう言ってスカサハの指差す先では栗色の長い髪を揺らしつつスナイパーライフルを持ってコース内を走りあちこちから飛ぶ週刊誌サイズの的を数十メートル先から即座に次々と撃ち落としていく。走り、的を見つければ即座に一瞬、ほんの一瞬の停止で即射撃、命中という神業を披露している。
コレには周りの英霊やお客さんも歓声が上がり、遠目でもわかるスタイルの良さと美貌、技術もあって大盛りあがりだ。
「凄いですわ・・・私も船上での乱戦はコレくらい出来ますが、最早接敵した船の指揮官を乗り込む前に狙撃するようなことをゆうゆうと何度も」
「いやはや、圧巻だね。精密射撃と常に動き続けられる体力と技術。相当に鍛え上げられている。どこかの軍人なのかな?」
一通り射撃の的をうち尽くし、全弾命中という凄まじい成果を見せて拍手に驚きつつ手を振る美女は屋根の下に戻り、こちらにニッコリと微笑んだ。
「あんたらもここに来ていたんだね。ふふふ。デートも程々にしないと所長に怒られるわよー?」
「え?」
「ああ、この姿はあんまり見せていないよね。私。ストーム1よ」
「は・・・ええ・・・!?」
驚きだ。そして納得もする。ストーム1もここに来ていて射撃練習に勤しんでいたのか、それとも調査も兼ねて。なのだろうか?
しかしレンジャーではなくペイルウイングの、女性の姿で来るというのはまた珍しい。
「まあ、男性の時も精悍な顔つきでしたけど女性のときは女神のようですのね。うふふふ。ストーム1はどうしてここに?」
「ん? せっかくのバカンスでもあるし、こういうときは女性の方が華奈も気楽だし一緒に遊べるってことでこうしているのと、変装も幅広くできるからかな。フォーリナーの調査も兼ねてきているのよ一応」
「なるほどね。実際、男性よりも女性の方が男装に服装の幅も広いから色々とあちこち回っても気づかれないと。そしてその美貌もこのハワイの日差しの強さ、サングラスや帽子を変えれば雰囲気も違うと」
「そういうこと。銀嶺隊の隠密部隊、密偵たちからの入れ知恵だけど案外楽しいわよ? こういう機会ってなかなかないしね~」
ニコニコと微笑むが、うん。ストーム1とプロフェッサーの場合、そういう事を考える余裕もない戦いを数十年以上続けているストーム1が主軸の部分だし、その中で不穏要素はあれどもこうしてバカンスと気楽に銃を扱えるというのは本当に今までなかっただろうなあ・・・
「私はまたゆっくり。今度は狙撃練習に行くからまたね。そろそろまた射撃を始めないと教官殿に怒られるかもだし。じゃねー」
そう言ってプラネット・スーパーカノンを担いでどこかに行くストーム1。うん。気をつけてね。
「おお、来たか嵐の勇者殿。さあ、このファラオと射撃勝負と洒落込もうではないか。負けたほうが昼食を奢ってもらうという約束でなあ」
「もちろん! 私が負けたらネフェルタリさんの分もバッチリ・・・お? その白い弓はおニューなの?」
「うむ。銀嶺領で購入した剛弓にヴォーティガーンに自身の髭や鱗を素材に使いより強くした白竜の剛弓。これならば1キロ先の狙撃も容易いものよ!」
「ほほう。そいつは滾るわねえ~・・・じゃあ、本気でやろうか!」
何やらあっちでは凄い勝負と、先程の射撃音がかき消されるほどの弓とアンチマテリアルライフルの射撃音が響き、またもや注目を集めることに。いや、弓の使用もOKなのかここ・・・??
「ここの鶏・・・どうやって発生しているんだろう・・・?」
「ある意味それが特異点の特徴でしょうか・・・?」
「ボクとしては海側から出てきたアンモナイトにも驚くね。いや美味しいんだけどねあれのバターと香草焼き」
射撃ツアーが終わり、硝煙の匂いに刺激された野生のでかい鶏と、怪鳥とアンモナイトを撃退してどうにかホテルに戻る。
その肉もちゃんとギルミートにその場で買い取ってもらって一応ツアーの出費を埋めて有り余るほどになったのはいいけど、ホント予想以上に疲れ続けた半日としかいえなかった。
「マスター!」
上空から聞こえる声。だけどその声に聞き覚えはない。どこから聞こえるのかわからず周辺を見るも、まだわからない。
「マスター! ああ、漸く見つけたよ僕の恋人!」
その次の瞬間には急に長い白髪と、カルデアの英霊に負けず劣らずの美貌の持ち主、そして小柄な美少女が満面の笑顔で私に抱きついてきた。
「マスター!? 一体誰ですのそこの少女! マスターから離れなさい!」
「わぶおっ!? き、君は一体・・・!?」
「え? 忘れたのー? 僕はメリュジーヌ。君の恋人の最強のドラゴンさ!」
何やら、急にとんでもない話になった。どうしよう・・・華奈に相談しよう・・・後所長。
ここまでヒントを出せば多分気づく人はすぐ気づくかも?
女性のときのストーム1の外見は小説版 地球防衛軍 ラムダチームの戦い に登場するウイングダイバーの青羽 香苗 で胸を大きくした感じ。シンプルに美人かつナイスバディ。
メリュジーヌは元を恋人認定。未来から「境界を超える冠位の竜」としての力で飛んできました。ランサーとルーラーのダブルクラス。人理くんに頼まれて()このクラス枠に収まりましたとさ。