転生愉悦部の徒然日記 作:零課
嵐の勇者(ヒーロー)?
俺は、今でも目の前の景色が信じられずにいた。カルデアについてすぐの大爆発。何もかもが壊れて燃える惨状。それから突然どこかに飛ばされたかと思えばカルデアと同じ、それ以上かもしれない燃え盛る町に飛ばされた。
何もかもが燃え、命の気配など何処にもない。化物共が闊歩している地獄と呼ぶにふさわしい光景。
「ハァッ!」
そんな最中に自分を先輩と呼んでくれた女の子、マシュはついさっきまで瀕死の重傷だったはずなのにいつの間にか鎧と水着を足して割った黒と紫を基調した変わった装備と巨大な十字架型の盾を振るって自分たちを襲う怪物を粉砕し。
「メディアさん、空中からの魔力弾で敵の足止めを。その間にマシュに一呼吸つかせます」
「了解。護衛用の竜牙兵は置いておくから必要ならそれも使いなさい」
カルデアのスタッフだという元さん。そして彼が召喚したというサーヴァント? のメディアさんはマシュや俺を後方からの魔力弾とかいうエネルギー弾と骸骨によく似た兵隊を作り出してカバーするなどサポートして戦況を優位に進めてくれる。
「マシュ! その骸骨で最後だ。落ち着いて仕留めて!」
「了解しました! やああぁぁっ!!」
渾身のシールドバッシュで骸骨は砕け散り、周辺には敵はいなくなった。翼を作って? 空を飛んでいたメディアさんも敵がいないことを確認し終えたのか地面に降り、ふぅ。と息を吐いて杖をしまう。
そして最初この周辺の敵に襲われていた女の人に皆で近づく。
「戦闘、終了しました。お怪我はありませんか?所長」
マシュが声をかけたことで振り向いたその女性の身なり、顔を見て思い出す。自分が所属した組織カルデアの所長、オルガマリー・アムニスフィアだということを。多少すすや埃で汚れてはいるが怪我はなく無事なようだ。
「あら。この子がマスターの組織のトップ? ずいぶんと可愛らしい子だこと。ふふ・・・お嬢様って感じね」
「・・・着せ替えの依頼はご自身でお願いしますよ。メディアさん」
「あら、マスターも協力してくださいな。主なら多少の融通を聞くのも努めでしてよ?」
元さん達は元さんたちで何やら話し合っている模様。少しろくでもないような話だった気がするが気にしないことにした。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・どういう事?」
オルガマリー所長は俺たち四人を見やり、安堵の表情を一瞬だけ見せたかと思いきやすぐさま怪訝な表情に変わり、マシュを見て、視線を変えて俺を睨んで言葉をこぼす。
元さんがマスターになっていることなのだろうかと一同首を傾げたがマシュがその呟きに理由がわかったのかすぐに理由を補足し始める。
「所長?・・・・・・・・・・・・ああ、私の状況ですね?信じ難い事だとは思いますが、実は────」
「サーヴァントとの融合、デミ・サーヴァントでしょ。そんなの見ればわかるわよ」
そんな事は知っていると切り捨てるオルガマリー。その後に表情を激高させ
「私が訊きたいのは、どうして今になって成功したのかって話よ!! いえ、それ以上に貴方!この私の演説に遅刻した挙句居眠りなんて事をした一般人!!」
「!?」
「始まった・・・・・」
「中々に気難しいのかしらね? ま、マスターから聞いた情報だけでも色々世紀末だしね。パニック状態なのかしら」
まさかの自分への飛び火。いや、此方を睨んでいたから予想はついたがここまで怒るとは。元さんもマシュもこのことはいつものことなのか驚くこと無く遠巻きに見ている。
居眠りについてはあんな滅茶苦茶な場所からナンたらダイブとかで疲労があったのをもう一人いた男性から聞いているから加減しても良かったのに・・・それでも何とか参加した自分を寧ろ労って欲しい。
「なんでマスターになっているの!?サーヴァントと契約できるのは一流の魔術師だけ! アンタなんかがマスターになんてなれるハズないじゃない!! 元は召喚課の講師だしマスターの適性も高いから良しとしてもアンタはありえない!! ありえないはずなのよ! この子にいったいどんな乱暴を働いて言いなりにしたの!?」
まさかのマシュとの契約? に怒っていた模様。と言われましても・・・一応は弓道部に入っていたり、それなりに筋トレはしていたけど、平凡な俺がそんな事ができるものか。
「そんな事言われても・・・・・・・・」
それにこの極限状況に息をつかせぬ間もない襲撃や混乱。錯乱でもしなければ殴りかかったり彼女を盾にはしない。それをするよりは逃げたほうが良いかもしれない。マシュの戦闘力の向上に元さんがいなければこうは落ち着いていられない
「それは誤解です所長。強引に契約を結んだのは、むしろ私の方です」
「なんですって?」
俺を犯人だと決めつけていた所長に異を唱えてかばってくれるマシュ。有難う。本当に。
と、いいますか確かにマシュは美人でかわいいし、優しい子だけどもあんな化物骸骨を軽々と粉砕するマシュに乱暴なんて逆に俺がミンチになりそうだよなあ・・・・・・・・くわばらくわばら・・・・・
「そこら辺はこっちからも説明しようかと思っている。良いですか? 所長、マシュ」
「はい。此方からもお願いします。では、私と元さんで経緯を説明します。その方がお互いの状況把握にも繋がるでしょう」
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「おや、懐かしい顔。十年ぶりでしょうか? 良ければこの場所を貸してくださいな」
「────っ!!」
「交渉失敗。じゃ、荒事と洒落込みましょうか」
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「・・・・・フン、まあいいでしょう。状況は理解しました」
カルデアでの出来事から自分たちがどうやって合流できたかの経緯。そして自分たちがどうやってこの町・・・冬木へレイシフト出来たかをマシュと元さん。俺はその時の補足を付け足しながら一通り報告を終えた。
どうも腑に落ちないがしょうがないと言った表情で何かを考え込んだ後、オルガマリー所長は此方に向き直る。
「藤丸 立香。緊急事態ということで、あなたとキリエライトの契約を認めます。そして源 元も緊急措置ですがメディアとの契約を続行。その上でここからは私の指示に従ってもらいます。・・・・・・・まずはベースキャンプの作成ね」
「了解しました」
「ハイハイ。了解しましたわ。で、陣地作成ね。忙しいこと」
「有難うございます。それと・・・・・ベースキャンプ?」
一応は俺とマシュの契約を認めてもらった所で新たな単語が飛んできた。ベースキャンプ? 基地でも作成するつもりなのだろうか。
そんな俺の考えを見抜いたか所長は一つ息を吐き、しょうがないと説明をしてくれる。何やかんや気を回してくれる辺り悪い人でないのかもしれない。いきなり怒られたりビンタされたのはどうかと思うが。
「はぁ・・・いい? 私達はこの過酷な環境でふらついて体力も時間も消耗する訳にはいかないの。それにカルデアが爆発したでしょう? 何にせよ私達は一応の物資と情報が必要。だから霊脈のターミナル、魔力が収束する場所を探すのよ」
「??? その、魔力でどうするんですか?」
「そこを起点に魔力を介してカルデアと通信、連絡を取るのよ。その方が確実だし、色々私達にも特があるのよ」
「そうだね。今は「携帯の電波が届きやすい場所」と考えてくれたら良い。ほら、電波が良ければ連絡も出来るし、GPSで住所も分かるからすぐにものを送れるだろう?」
二人の説明で一応は納得がいく。確かに訳も分からぬうちに燃える死の町に放り込まれた。しかもその出発となった場所も何らかの爆発で大惨事。情報、互いの確認をしっかりとできるメリットは大きい。
「それで・・・この街の霊脈の場合は・・・・・」
「このポイントです、所長。レイポイントは所長の足元だと報告します」
「うぇっ!?あ・・・・・そ、そうね、そうみたいね。わ、わかってる、わかってたわよ!?そんなコト!」
自身の足元だと気づかずに慌てふためき、ごまかすように声を荒げるオルガマリー。
大丈夫なのだろうかこの所長は・・・・・・・何というか、優秀なのは確かのだろうが何処か抜けている・・・ポンコツな香りが・・・あまり深くは関わっていない自分でも何となく感じる。こんな強い当たり方、ごますりなどの取り巻きはいるけど、友人、気を置けない近しい存在はいない。いても勝手に依存しているんだろうなあと。寂しがり屋だけど上手く行けない状況なのだろう。
もし、もしここから帰れたら少しづつ歩み寄ってみるのも良いかもしれない。それでも駄目なら諦める他無いが。
「マシュ、貴方の盾をここに置きなさい。宝具を触媒にして召喚サークルを設置するから。メディアはそれを補助する術式を刻んで」
「はあ!? 何で貴方が仕切っているのロマニ!? レフは? レフは何処? レフを出しなさい!」
『うひゃあぁあ!? しょ、所長、生きてらしていたんですか!? あの爆発の中で!? しかも無傷!? どんだけ!?』
召喚サークルを設置した後に景色が変わったかと思いきや、眼の前で繰り広げられるのは此方に連絡をしてくれたロマニとまた声を荒げるオルガマリーのやり取りだった。何度も声を荒げるわ表情をコロコロ変えるわよくもまあ疲れないものだと内心感心してしまう。
「どういう意味ですかっ! いいからレフは何処!? 医療セクションのトップがなぜその席にいるの!?」
『・・・なぜ、と言われるとボクも困る。自分でもこんな役目は向いていないと自覚しているし。でも他に人材がいないんですよ、オルガマリー』
「っ・・・! それは一体・・・」
『そこからは私が説明します。ロマニさん。いいですね・・・?』
『・・・頼むよ、良馬くん』
空間ディスプレイ? とでも言うべきだろうか。そこにロマニ以外にも人物が映り込み、思いつめた表情で語り始める。
『現在、生き残ったカルデアの正規スタッフはせいぜいが七十名。それも半数以上は何らかの傷を追っていたりで咲に頼んで治療魔術を施しているのが現状です。ロマニさんを作戦指揮に立たせたのはロマニさん以上の階級を持つ生存者がいない。古参がいないから私が引っ張ってきたからです』
『それになんだけど・・・レフ教授は管制室でレイシフトの指揮を取っていた。あの爆発の中心にいた以上、生存は絶望的だ』
「そんな──────レフ、が・・・・・? いえ、それより待って、待ちなさい、待ってよね、生き残ったのが七十人前後? じゃあマスター適正者は? コフィンはどうなったの!?」
悲痛な声を張り上げてそこにはいないロマニと良馬さんに食って掛かるオルガマリー。聞くだけでも悲惨な状況だ。それに・・・思い出した、自分と話していたあの帽子をかぶっていた独特な雰囲気の男性。レフさんも・・・あんまりにもあんまりな状況だ。この報告にはマシュも元さんも顔を青ざめ、あるいはしかめて沈痛な面持ちになっている。
『47人、全員が危篤状態です。医療器具も予備はありますが、人手、その環境が今は全くありません。爆発でその施設も瓦礫に埋もれています。ボクの部下・・・医療セクションの面々もほとんどが爆発で死亡・・・今からフラムや他のセクションの魔術に秀でた面々で頑張ったとしても良くて十名。全員は────』
「ふざけないで、すぐに凍結保存に移行しなさい! 蘇生方法は後回し、死なせないのが最優先よ!」
『ん・・・了解しました。すぐ実行します』
『ああ! そうか、コフィンにはその機能がありました! 至急手配します!』
その言葉に二人はすぐさま動き、向こう側で電話、だろうか。それですぐさま幾つかの言葉をかわしてロマニは一度席を外した。
「・・・・・驚きました。凍結保存を本人の許諾なく行うのは犯罪行為です。なのに即座に英断するとは。所長として責任を負うことより、人命を優先したのですね。」
人命を尊ぶその判断に素晴らしい。とマシュが表情を緩ませるがすぐさま所長の怒声を浴びせられ、驚く表情に変わる。
「バカ言わないで! 死んでさえいなければ後でいくらもでも弁明できるからに決まっているでしょう!? だいたい47人分の命なんて私に背負えるハズがないじゃない・・・! 死なないでよ、頼むから・・・! ああもう、こんな時レフがいてくれたら・・・・・!」
またヒステリーを引き起こし、不安に駆られた目になり、蹲って頭を抱える。この街にいるだけでも精神負担が大きいだろうに更にカルデアの惨状。トップである彼女にのしかかってくる責任、この先の不安。如何程のものだろう。呼吸が乱れ、顔がみるみる青ざめていく。
「しょ、所長・・・どうか落ち着いて・・・大丈夫です、その、何かと言えるわけではないですがきっと大丈夫です・・・・」
所長に寄り添い、背中を擦って慰めようとするマシュ。彼女もその負担の重さを一端でも分かっているのだろう。不安の色が見えるがそれでもなお優しく慰める。
「・・・悪いけど、良馬さん。現在のカルデアの状況はどうしている? それと、あるのなら薬品のたぐいが欲しい。所長の精神安定剤をメディアさんに作ってもらいたくて」
『そうですね。それも準備させます。それと、今の状況は爆発のせいで館内浄化装置も上手くいっておらず、冬利さんが消火作業と職員の避難誘導。咲さんは急遽用意した避難場所で職員の手当と名簿チェック。フラムさんはカルデアスや発電所の修理、予備の配置に奔走しています。予備のお陰でどうにかカルデアは動かせていますが、それも綱渡り、薄氷の上を歩いているようなものです』
「あんまりにもひどい状況ねえ。あなた達、どれだけ恨みを買っているのよ? 神や悪魔になんか変なちょっかいでもしたのかしら?」
その後は細かな状況報告を行い、度々ヒステリーを起こす所長にメディアが調合した精神安定剤を飲んで再開。となった。
『・・・・・報告は以上です』
『現在、カルデアの機能は七割を失っています。更にはその残った三割も維持する人員も怪我人が多数という状況です。出来ることは限りがあります。なので、此方の判断で残ったメンバーはレイシフトの修理、カルデアス、シバの現状維持に割いています・・・あ、すいません、ヘルプが来たので私は抜けますね。お願いします、ロマニさん』
『あ、お願いね。・・・・というわけでこの状況を察した、若しくは感知できた外部との連絡が回復次第補給を要請、それを元にカルデア全体の立て直し・・・・・といったところですね』
漸く互いの情報整理が終わり、改めて現状維持の確認。そして今後の方針を打ち合わせる。ひどい状況なのには変わりないが、何とかなっていること、メディアさんから貰った精神安定剤のお陰だろうか。さっきよりも落ち着いた状況でオルガマリーも聞いている。
「結構よ。その方針を維持してください。ロマニ・アーキマン、写見 良馬。納得はいかないけども私が戻るまでカルデアを任せます。ロマニがリーダー、良馬が補佐でレイシフトの修理を優先で行いながらカルデアを維持すること。さっき抜けた良馬にも伝えなさい。」
組織の長らしい、厳格に溢れた振る舞い、声でしっかりと指示を伝える所長。その言葉にディズプレイの向こう側でしっかりとうなずく両名。ここだけ見ればしっかりとした人なんだがと心の中で藤丸は思ってしまう。
「それと・・・・・・私たちはこの特異点Fの調査を続けます」
『うぇ!!? 所長!?そんな爆心地みたいな現場で怖くないんですかッ!?チキンなのに!! さっきも狼狽えていたのに大丈夫なんですか!!?』
「煩いっ! なんでこう一言多いのよ貴方は!! っ・・・・・・今すぐ戻りたいのは山々よ。けど、レイシフトの修理が終わるまでは時間がかかるのでしょう? それにカルデアを爆破したテロの首謀者もまだいるかもわからない状況じゃない。なら、この街の現在の状況は低級な怪物のみ、護衛にデミ・サーヴァント化のマシュ、それにあの最高峰の魔女メディアがいる。今の所ここのほうが安全です」
少し顔お青ざめながらも現在のカルデアの状況、そして自身らの本来の目的を述べ、仕方ないという次善策。今この場を守れる最高戦力の二人を見て少しだけ表情を和らげていく。
「現場スタッフも一人はまだ未熟ですがもう一人は英霊をよく知っているスタッフ。ならこの特異点の異常事態の発生原因、そして第二陣を送り込む際に適したポイントを発見に留めます。細かな解析や原因排除はカルデアの復興後。ロマニ、それにキミもそれでいいわね?」
俺に視線を向け、「どうするの?」という視線を投げかけるオルガマリー。マシュのマスターである以上主導権、もしくは一応の同意を求めているのだろうが、自分にはまだカルデアの状況で何が出来るか、ここで何をしていいのかわからない。ただ、下手な単独行動は避けるべきだと考え・・・
「それでお願いします」
同意で返した。まずは生き残ること、その上でここを知ることに動く。深入りは無用というのは最もだし、こんなハチャメチャな場所をもう一度訪れるのならそれの備えをしたいのも分かるというものだ。
「というわけよ。カルデアは任せたわよ。ロマニ」
『了解です、健闘を祈ります所長・・・・・・・・・・あれ?』
「???」
「まだ、何かあるのかしら」
「なにか抜け落ちていることがありましたか? ドクター」
いよいよ調査の開始。となる所でロマニが訝しんだような声を出し、首をかしげる。何かが足りないと言う視線を向けて。
『調査員はマシュ、藤丸くん、元さんだけなのかい? ・・・・・・・・所長合わせて四人だけなんですか?』
「そうよ。もっといるなら説明しているはずでしょう。何をいっているのかしら」
『────そ、そんな・・・・・』
これ以上はいないと断言する所長の返答に憔悴した表情になって肩を落とすロマニ。声も先程よりも焦りと不安の色が混じっている。
「どうかしましたか? ドクター」
『彼女・・・船坂 華奈はいないのですか?』
「は?」
「ええ?」
「なっ・・・?」
マシュ、所長、元さんは驚きと困惑の声を漏らすが、俺とメディアさんは同じことを考えていた。
「「誰?」」
場所は変わって崩壊寸前の武家屋敷。そこの大きな庭では華奈と女性・・・の形をした影が戦闘を繰り広げていた。
どうにか屋敷の体裁を保っている屋敷の土壁に女性の形をした影は刀で腹部を刺されて縫い付けられ、朧気に見えるボディコンで包んだ見事な肢体は既に左手を失い、裂傷を幾つも刻まれている。
武器であろう鎖の付いた杭のような短剣も片方は砕かれ、鎖も粉々に粉砕。誰が見ても追い詰められ、敗北寸前な状況だ。
それを冷ややかな視線で見つめる華奈は銀と木で作られた鎧に身にを包み四本ある刀の内陽炎を右手に持ち、影を観察している。
その態度が気に食わないと憤ったか、隙だと思ったか足元に転がっていた砕けた鎖を蹴り上げ華奈の目元に飛ばし、無理矢理に縫い付けている刀を外した後、姿勢を低くして突撃を敢行するが。
「甘い」
顔を少し動かして鎖を避け、同じ様に姿勢を低くしてすり抜けざまに陽炎を首に一閃。影は慣性で数メートル動いた後によたよたと動き、完全に糸の切れた人形のように地面に倒れ伏し、華奈の目の前にゴトリと斬り飛ばした首が転がり、少しの間をおいて霧散した。
「制圧完了。ま、二度目の戦闘で手の内も知っている上に相手はランクダウン。楽なものでしたね。周辺の化物も狩り尽くしましたし、始めましょう・・・・・」
改めて周辺確認をした後に鎧の胸のあたりを弄り、元、ダ・ヴィンチちゃんから貰ったアクセサリー型簡易召喚の道具を取り出す。
「今はいいとして、仮にも特異点。何が起こるかわからない。私も英霊を呼んでおきましょう。合流はそれからですね」
地面に置き、魔力を流し込んでスイッチを入れる。朧気な光が輝きだしたのを確認して詠唱を始める。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が義母イグレーヌ・ペンドラゴン。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ────────」
魔力と詠唱。そしてアクセサリーを起点に魔力が渦巻き、魔力は収縮して三本の円環にまとまり始める。
そんな最中、華奈はふと思った。縁、ランダム召喚を今行っているわけだが、一体誰が呼ばれるのだろうか? と。自身の生まれ、この場所の日本に縁のある英霊だろうか。それとも自身の長くいた部員時代に関わった英霊、ブリテンの誰かかだろうか。
「――――告げる 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に、 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ 誓いを此処に 我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 」
魔力は増大し、その大量の魔力の渦で視界の一部は塞がれていく。けれど、悪くない。これなら問題がないはずだ。
(ブリテンならアルトリア様達は妖精郷でしょうから物語の創作、逸話の塊。私の知る方ではないでしょうね。そうなら、ベディヴィエール様、ランスロット様、トリスタン様、ペリノア様の誰かでしょうか・・・?)
「汝三大の言霊を纏う七天 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――」
魔力が広まり、一部を遮っていた視界は完全に光で此方の視界を覆い尽くす。
光が消える辺りで召喚は完了。一体誰が来るのだろうか。最悪自分自身がそもそも英霊なので戦力に数えずに戦うことも考えるが。
そうこう考えるうちに光は止み。アクセサリーのあった場所には一人の人間が立っていた。
「召喚に応じて参上した。エクストラクラス・ガンナーの英霊」
その人はまるで特撮世界、B級映画、SFの世界から抜け出てきたようなコンバットスーツは赤や黄色を基調としており、頭部を覆うヘルメットもまた何処かSFチックな作りだ。手にはアサルトライフルを持っている。
「名前は・・・あったような気がするが、なかった気もする。たくさんの名前で呼ばれていたような・・・・パッとしない」
その人物を華奈は知っている。物語の世界、その主役。その功績たるや神代の英雄にも引けを取らないであろう怪物。
「だがまあ、皆は俺を必ずこの名前で呼んでいた。だからマスターもそう呼んでくれたら幸いだ」
難攻不落の拠点をぶっ壊し、敵の切り札を粉砕。怪物を幾多も屠り、神すらも殺してみせた。人形決戦兵器。
「ストーム1とな」
最高の怪物退治の専門家が華奈の前に現れた。
漸く来てくれました華奈の相棒となる第二のオリジナル英霊。「THE 地球防衛軍」シリーズの主人公、人形汎用決戦兵器ストーム1
怪獣殺すわ敵の移動要塞、巣穴、陣地を一人でぶっ壊し、巨大昆虫型生物を全滅。そのあまりの強さに仲間のはずのEDFからも人外扱いされたり、何で生きてんだみたい言われ方をしたり、仲間からも死神だと言われたりと色々凄まじい扱いをされる主人公。ついでに言うとある意味便利屋扱い。
最新作ではとうとう神様レベルに進化したペプシマンみたいな宇宙人をぶっ殺す偉業を達成。FGOに実装されたら特攻スキルのオンパレードでしょうね。後はガッツ持ち。
取り敢えず武器などもちょこちょこ必要であれば説明もやっていきます。
後、自己投影がしやすい、ある程度のキャラ崩壊もキャラ崩壊にならないので私は好き勝手に動かしますのでご了承願います。
最後にUA 44624件 しおり 130件 お気に入り 358件 応援有難うございます!
それでは皆様また次回まで、さようなら。さようなら。