転生愉悦部の徒然日記   作:零課

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華奈「さて・・・ロマニ様! 良馬様! 通信、通じているでしょう!?」

ロマニ『なっ!? か、華奈!!? 無事だったんだね!? そ、それと後ろの方はキミが呼んだ英霊かい?』

ストーム1「なんだあ? えらくなよっちい奴が出たなあ。ろくでなし、腑抜けに感じるんだが、こいつが指揮官なのか? 「流れ弾」を貰いそうだ」

ロマニ『いきなり酷すぎないかい!!? そんなに初見で罵倒される要素あったの今の反応で!』

良馬『まあまあ、あちらもなにか理由があるのでしょう。それと・・・現代の英霊・・・? でも、こんな派手な服装の英霊なんて・・・失礼ですが名前は? ああ、私は良馬。彼・・・ロマニさんのサポートをしています』


ストーム1「ストーム1、クラス・ガンナーの英霊だ。それと、マスターが話がしたいそうだが」

華奈「お二方。取り敢えずなんですが私は所長様たちと合流します。それにあたって先に連絡を入れてほしいのですが」

ロマニ『え、ああ・・・華奈、りょうか・・・・その姿は・・・・・分かった。すぐに伝えるから』

良馬『では早速・・・! 緊急事態! ただいまマシュ達は交戦中! 反応は・・・弱いが・・・英霊!?』

ロマニ「!!?」

華奈「急ぎましょうか。通信終了。栗毛、聞きましたね? 急ぎますよ」

栗毛「ヒヒーン!!」



爆炎上げて

 「マズハ一人・・・」

 

 「マシュっ!」

 

 「ッ! 危ないっ!!」

 

 かすかに聞こえた声、風切り音に反応してマシュが盾を構えると金属音と飛び散る衝突物の正体。数本の短剣が地面に落ちるのと同時にその方向を見ると、そこには人が一人、いや二人立っていた。

 

 一人は腰布以外はさほど装備をつけていないが、顔面に付けた髑髏の面。右腕は布でぐるぐる巻きにしている異形の風貌。もう一人は鎧を着込み、頭を布で覆っている。薙刀を手にしてこちらを殺さんと殺気を放っている。両者ともに黒い影のように黒く、靄のようなものを纏っている。

 

 「所長、先輩。私の後ろに・・・!」

 

 前面に出て皆を庇うように出るマシュと魔法陣を展開して迎撃体制を整えるメディア。先程の短剣の狙い。オルガマリーや藤丸、元と戦えない。この場では弱いものをまっさきに狙ってきた。得体の知れない、油断も出来ない相手。それが二体もいることにマシュは少なからず焦りを覚え、微かに体が強ばってしまう。

 

 「マシュ、有難う!」

 

 「は、はいっ! 先輩も先程の声、ナイスでした!」

 

 藤丸からのお礼で笑みを返し、少しだけ緊張がほぐれる。が、そんな事は知ったことではないと再び振るわれる短剣。メディアの障壁で弾くも、一体いつ振るわれたのか、これだけの速度を放ちながら風切り音を聞き取るのもマシュやメディアくらいの静かさ。相手の気味の悪い姿と重なり一層不気味さが増すばかり。

 

 「なっ・・・! なんで・・・何で英霊、サーヴァントがここにいるのよ!!」

 

 「えっ!?」

 

 オルガマリーの怒りと動揺の籠もった声に藤丸は思わずマシュやメディア、そして敵を見る。こちらのサーヴァントと呼ばれる存在とあちらの姿が違いすぎる。あんな黒い姿で靄で輪郭がはっきり見えない。そんなおばけのようなものなのだろうか。恐ろしいものなのかと考えてしまう。

 

 「この街は冬木・・・つまりは・・・聖杯戦争なのかもしれないね・・・」

 

 少しばかり青ざめた顔になっている元はこの状況にすぐさま理解してつぶやく。英霊という超常の存在が少なくとも二騎もいるという状況にこの街で行われたこと。それも魔術師の関連となるとそれしか無い。

 

 『そ、そうか! 確かに冬木ではかつて聖杯戦争が行われた! ここが特異点になるほどの異常事態となればそれしか無い!』

 

 いつの間にやら通信をつないでいたロマニが叫びながら映像を出して今行われているこの異常事態、そして所長の疑問に答える。

 

 かつて華奈も参加していたという聖杯戦争。それが何らかの・・・

 

 『本来ならこの土地に集ったマスターたちに呼び出され、揃った七騎で互いに殺し合う聖杯戦争の何かが狂い始めた! マスターがいなくても短時間なら単独で存在できる英霊もいるし、この異常な状況、マスターを持たない英霊もいておかしくはないのかもしれない! そして・・・このバトルロワイヤルの形式上・・・敵は英霊と、そのマスターだ!!!』

 

 つまりは、形の変えた争いが今もここでは行われている。そして、カルデアの面々はその争いの中に巻き込まれ、敵と認定されたということだと一同が理解する。

 

 「つまり・・・あのサーヴァントは私を狙って?」

 

 「おそらくはそうでしょう。所長をマスターと考えて攻撃。そうでなくとも英霊を倒すよりも弱い私達のほうが遥かに楽でいい」

 

 「う、嘘でしょ・・・私・・・あんな、あんな化物に狙われているの・・・!?」

 

 英霊の力量の一端は目の前で見ている。それが、自分を狙っている。それも二騎も。今まで蹴散らしてきた怪物とはものが違う殺気を向けられてオルガマリーは恐慌状態に陥り、力なくヘタれてしまう。

 

 「所長、しっかり!」

 

 「ああ、もうマスター! あなた達ももう一騎の存在を忘れていないかしら!?」

 

 オルガマリーに駆け寄って何とか起こそうとしている藤丸と、もう一騎のサーヴァントに攻撃を仕掛けていたメディアが皆に短剣を飛ばしたサーヴァントとは別のサーヴァントの存在を注意する。

 

 魔法陣を空中に幾つも展開して魔力弾の雨を打ち付けるメディアだが、相手も必要最低限の動作と薙刀を使って撃ち落とす。足止めは愚かハリネズミ、消し飛ばすつもりの攻撃を幾つも放っているのに相手はそういった戦いに慣れているのか多少後退させたり、動きは止めることは出来るがそれでも尚ジリジリと距離を詰められていく。

 

 竜牙兵を攻撃の手段にしても無駄だと判断したメディアはその兵たちを元らの防備に割り振り、死角からの攻撃の壁に専念させていく。

 

 「マシュ、だったかしら? 私が支援するからささっとその大きな盾でどっちか殴り飛ばしなさい!」

 

 「は、はい! 了解しました! マシュ・キリエライト敵性サーヴァントの撃破に移ります。マスター、指示を!」

 

 「よし、アイツラをやっつけるぞ!」

 

 藤丸も自身に活を入れるように声を上げてマシュに指示を出そうとするが、上手くいかない。ランサーはメディアが足止めを図っている。なら、何処からともなく攻撃してくるアサシンを叩こうと考えたが、相手が捉えきれない事に焦りを覚える。

 

 瓦礫のある、市街地だったところの端で戦い始めたこともあるだろうが、相手のアサシンが勝負を急がないことも藤丸たちを焦らせる一因だった。

 

 僅かな影、瓦礫、物陰に身を潜ませては移動していき、時折マシュ、藤丸らをランダムに狙って短剣を何処からともなく投げてくる。反応できるのは攻撃の時に感じる殺気、短剣の風切り音くらいでそれを防いでも既にそこにはいない。

 

 「なっ、くううっ! 相手を捕捉できなければ攻撃ができない・・・一体どうすれば・・・」

 

 相手の狡猾な、正面からぶつからない攻撃にマシュも焦る。正面からぶつかればせめて攻撃できるチャンスがあるかもしれない。けど、相手は常に姿を見せないように気配を消して動き回り遠巻きに短剣を投げてくるのみ。しかもそれが正確無比、人間ならまず死亡。デミ・サーヴァントの自分でももらうのは避けるべき攻撃を四方八方から投げられ、それをさばくことに意識を取られる。

 

 メディアに制圧してもらうとも考えたが、あちらももう一騎の英霊の相手をしている上に徐々に此方を支援できるように動きを誘導しようとしたり、竜牙兵を重ねて防壁にして射線を塞いだりと既に手一杯。それをあちらも理解しているのだろうか、髑髏の仮面の英霊は遠巻きにマスターやマシュを釘付けに、意識を向けさせて消耗を狙い、薙刀を持った英霊はメディアの攻撃をしのぎながら一気呵成に詰める機会を伺っている。嫌な状況だ。

 

 『緊急連絡! 緊急連絡です! アサシンと、及びランサーのクラスと見受けられるサーヴァントとの戦闘中ですが所長、大丈夫ですか!?』

 

 「なによ! こんな自体に何が起こるわけ!? もっと状況悪化の報せじゃないでしょうね!!」

 

 『華奈さんが自身で召喚した英霊と共にこの場に合流してくるそうです!』

 

 『あ、ああ! そうだった! すっかりこの状況に呑まれていたよ!! 華奈がもうすぐそこに合流する。増援が来るんですよ!』

 

 このまま膠着、消耗戦になるかと思っていた一同に降って湧いた朗報。真綿で首を絞められるような息苦しい戦況になるだろうという予測を塗り替えるほどの情報に希望が生まれる。

 

 「そ、そうなの・・・! 華奈が・・・? 私・・・あのサーヴァントに殺されなくて済むの・・・・・・?」

 

 『間違いなく戦況は此方に動きます! ただ、あ、今連絡が! 「後十秒後に今の位置から後ろに下がって欲しい」だそうです』

 

 「聞いた!? 今すぐ下がって! 何するかわからないけど、急ぐわよ!」

 

 ロマニの指示にすぐさま一同後ろに下がりはじめ、その間にも藤丸らを囲んだ防御態勢を立て直し始める。これを相手が揺らいだと一気に王手をかけようと迫りくる英霊、藤丸らの間に割いるように爆発のつぶてが降り注ぐ。

 

 「!?」

 

 「グウッ!?」

 

 規模は小さな爆発だが、それが波のように幾つも、絶え間なく降り注ぎ、更には間を置いて火砲が正確無比にランサーのサーヴァントを狙い撃ち、その爆炎と小さな爆発で揺れる瓦礫に足を取られて思うように動けない。

 

 「小癪ナ!!」

 

 だが、それはアサシンのサーヴァントには関係ない。弾幕、爆炎があろうともその射程外に逃げればいいだけ。自身は決して近距離だけしか戦闘手段が無いわけではなく、この闇雲に降り注ぐ爆発で出来る煙と舞い上がる砂塵に姿を隠せばいいだけ。アサシンのサーヴァントは攻撃の手を一度止めて距離を取る。

 

 「凄い! 爆発の雨だ!」

 

 「はぁ・・・助かった。これで仕切り直しが出来る・・・」

 

 「全く! 最初から合流していればこんな事にはならなくて済んだのに! 事が済んだら・・・・って・・・へ?」

 

 「? 所長、どうし・・・・」

 

 アサシンのサーヴァントからの攻撃が止み、ランサーのサーヴァントは今も続いている攻撃に足止めを食らっている。その攻撃が増援のものであると分かり安堵し、攻撃が来た方向に目を向けたオルガマリー、マシュ、そしてつられてその方向を見た一同は思わず硬直してしまう。

 

 「投擲騎兵なんて聞いたことが無いぞマスター!」

 

 「良いではないですか面白くて! もう少しあっちへの援護をお願いしますよ!」

 

 そこらの馬の二、三倍の大きさの馬が此方目指して爆走し、その馬に跨がり、現代の服ではなく銀の鎧姿に身を包み、左腕で手綱を握り、右腕でバズーカをぶっ放す華奈。その後ろに同乗している何処かの特撮作品から抜け出てきたような戦士はその格好で銃を握るのではなく小さく色とりどりなつぶてを握りしめてひたすらに投げまくる。

 

 何もかもがアンバランス、ズレまくっている二人と一頭の援軍がひたすらに火器、爆発物を撃ちまくりながら走りくるその光景たるや先程までの戦闘の緊張が何処かに行きそうになるほど。しかもその威力が割と馬鹿にできない威力なのも尚その状況のシュールさを増す。

 

 「ストーム! さっき見えたガイコツまじん、又はホラーマンを盾を持った女の子と一緒に倒しなさい! ヒントは「逆に考えるんだ、見えなくたっていいさ」です!」

 

 「了解! マスターは!? ってあの薙刀野郎か」

 

 「その通り!」

 

 マシュたちの少し前で栗毛の向きを華奈が変更してランサーの方向に一気に向きを変える。その際の勢いを利用してストーム1は栗毛からジャンプ。マシュのすぐとなりに降り立ち、相変わらず礫を投げまくってアサシンのサーヴァントを牽制していく。

 

 「あんたらがカルデア、のマスターと英霊で良いんだな? 俺はストーム1。ストームって呼んでくれ。勝手ながら助太刀させてもらう」

 

 「あ、ああ、はい! 私はカルデアのデミ・サーヴァントのマシュ・キリエライトです。よろしくお願いします」

 

 「マシュのマスターをしている藤丸 立香です」

 

 「マスターの元。メディアさんのマスターを一応やっています」

 

 「・・・メディアよ。クラスはキャスター」

 

 「カルデアの所長、オルガマリー・アムニスフィアです。貴方が華奈の召喚した英霊なのですか?」

 

 増援の加勢、攻撃で一時的ではあるが余裕ができた一同はストーム1に挨拶をし、同時に観察する。近代どころか現代の服装。けれど武器は今もなお投げまくっている何か。現代の兵器を持っていそうな身なりでまさかの投擲兵という事に疑問や怪しさを隠せない。

 

 「ああ、そうさ。エクストラクラスのガンナーで呼ばれた。それで何だが俺はマスターからさっきあんたらに攻撃していた黒いホラーマンを倒しに来たんだが、そのままイケるかい? マシュちゃんよ。あ、それとだが、メディアさんはマスターの援護をしてやってほしい。こっちはもう問題ないからな」

 

 「はい! 攻撃はまだ一撃も直撃はなし! 体力も問題ありません!」

 

 「ふーん? さっき話していたヒントと、今もしている攻撃。策があるわけね。マスター、竜牙兵の護衛と強化を解くわよ。ランサーの方を打ちのめすわ!」

 

 すぐさまストームの声に反応して盾を持ち上げ、心も体も問題ないと声を上げるマシュ。そして二正面の状態を手早く終わらせることに専念すべきだと考えてランサーの方に今までマスターの防備やアサシンへのサポートに向けていた分の魔力をすべて攻撃に回し、更に威力と手数を増した魔力弾のシャワーを降らせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「栗毛!」

 

 ストームと離れた栗毛と華奈は正に人馬一体とも言えるほどの馬術の冴えを見せてランサーのサーヴァントに攻撃を振るう。

 

 騎馬した状態故に馬の足から生まれる勢いに重さを乗せた刀の一撃は止の薙刀を一々吹き飛ばしてはその間に数度の切り傷を与える時間を作り、乗馬している華奈の視点から見える薙刀の攻撃を栗毛に指示を与えて的確に避け、一呼吸置けるだけの距離を取る。

 

 攻撃に回れば華奈達が力でも速度でも上回り、防御でも剣戟を交える前にすぐさま離脱。死角を突くことも出来ない。

 

 そんな思わぬ厄介な増援に意識を向けた。傾けすぎてしまった。華奈達に殺気を向けていたランサーのサーヴァントの側頭部に魔力弾が命中。意識の外から飛ばされた一撃にたじろぐ間もなく殺到する魔力の奔流に切り払い、回避する間もなく呑まれていき、魔力弾の嵐がやんだ頃にはぼやけた輪郭ながらも分かるほどに精悍な肉体は穴だらけになり、立っている、動けるのがおかしいほど穴だらけになっていた。

 

 「・・・! ッ・・・・・!!」

 

 それでもまだ殺気を撒き散らし、動こうとするランサーのサーヴァントは背後から接近していた華奈に袈裟懸けに切られ、漸く消滅をする。

 

 「ふぅ。有難うございます。メディア様」

 

「こっちは楽ができて何よりよ。で? あれはどうするのかしら。少し骨よあれは」

 

 魔法陣、術で捉えようにもそれに対する手段も知っているのか、片手間とは言えメディアの罠にすらかからなかったアサシン。今もストームがひたすらに手投げ型拡散爆弾を投げているが捕まっていない。むしろ自分たちの視界が悪くなるばかり。あの英霊をどう捉えるのか。闇雲に突っ込んでも意味がない。そう考えるメディアとは逆に華奈はどうということはないという表情のままで

 

 「問題ないです。アレは自身の知恵と強みでやられます」

 

 不敵に笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さーて、おいちち・・・おしりが四つに割れちまうかと・・・」

 

 「あ、あの・・・ストームさん。大丈夫なのでしょうか? 攻撃は凄いですが・・・その、相手のアサシンはダメージを受けていないようですし、ストームさんもダメージが・・・」

 

 一方でアサシンを受け持っていたストーム1、マシュの方は新たな戦力の増加となるも特にどうにかなるわけではなく、ストーム1の投げる爆弾で相手を牽制は出来ているがその爆炎で視界が塞がれ、防御への反応が遅れることもあるせいで相手はむしろ好機と短剣を投げまくる始末。

 

 先程も死角から投げられたナイフがストームの尻に刺さり、オルガマリーの治療魔術で治すという状況。むしろ悪化しているようにも見える状況だ。

 

 「なんなのよぉ・・・せっかく来た加勢も役立たずじゃないの! アンタ、一体さっきから化かすか爆弾放り投げて何がしたいのよ。埃っぽいったらありゃしないわ!」

 

 「目にゴミが・・・・」

 

 倒壊した建物、そこにあった埃やゴミ、建物の塵、更には炎で乾燥して飛び散りやすい状況。そこにストーム1の投げる爆弾で細かくされ、舞い上がる塵はもはやストームたちの周辺で局地的な霧、ちょっとした砂嵐の規模になっている程。

 

 視界は狭まり、相手は隠れるタイミングや場所が増える。それでも尚ストームは爆弾を投げ続け、周辺全てに埃が舞い上がりきったところで手を止める。

 

 「マシュちゃん。あんたらはアイツの姿を見ようとしすぎた。今から一つだけ俺の言うことを聞いてくれ」

 

 「! ・・・了解しました。私は何をすればいいですか?」

 

 そこからストーム1はマシュに近寄り爆弾を投げた後に小声で何かをつぶやいた。

 

 「・・・・・・・・・・・そこっ!」

 

 その直後に埃の舞い上がる場所、その中で「何故かきれいな空間」にめがけてマシュは走りより、その巨大な盾を下からかち上げる。

 

 「ギィッ!??」

 

 「このチャンス。モノにします!」

 

 そこにいたアサシンのサーヴァントの顎を捉えて砕き、追い打ちでシールドバッシュを見舞い、ひるんだ隙を狙うように左から盾の打ち付けで右腕を砕く。更には折れたアサシンの右腕を掴んで即座に上空に投げ飛ばす。

 

 身動きの効かない、奥の手も射程範囲外の上空に飛ばされたアサシンが最後に目にしたものは 

 

「じゃ、またなアサシンさんよ。ケツのナイフマッサージ代だ。受け取って座に帰んな」

 

 ストーム1が放った色とりどりの小さな爆弾の雨、そしてそれが自身にぶつかることで巻き起こる爆発の花だった。

 

 「こんな砂、埃に塵。音も立てず砂埃も立てずに英霊や藤丸らの視界から逃れる。いくら英霊になるレベルの武術の達人でも限度がある。なら、魔術を使っている。若しくは移動しながら「何らかの手段で移動先のそれらを払って」けむりを立てないようにしている」

 

 「なら、いっそ砂煙だらけにしてキレイな場所を見つけてそこに攻撃を絞る。ってこと?」

 

 塵になって消えていくアサシンの完全消滅を確認して一仕事したと息を吐き、華奈から教えてもらっていたヒントを確認していると目をこすりながら藤丸が今までのストーム1の行為をつなぎ合わせながら聞いてくる。勿論それは大正解であり、すぐにこの答えに至った藤丸に関心を寄せる。

 

 「ああ、アサシンの気配遮断だと本当に気配も場所も。高ランクになると視界に捉えているはずなのに察知できなかったりする。けど、魔術や手段は見える。俺らに投げてきた武器とかな。なら、本体を狙うよりもそれを目印にしたほうが良いだろう? 百点だ藤丸くん。後でマスターから飴玉でも貰ったら良い」

 

 「その前に水がほしいなあ・・・」

 

 ポンポンと頭をなでて褒めるストーム1に今までの緊張状態が解けて喉の渇きを実感する藤丸。なんやかんや良い精神していると表情が緩み、ストーム1は藤丸の頭においていた手を少し荒っぽく動かしてワシャワシャと乱暴に撫で回した。




無事に合流完了。そして早速二騎の英霊撃破。ストーム1が投げていた武器は皆様おなじみかんしゃく玉。ネタのガチ武器というEDFおなじみの爆弾。EDFではかんしゃく玉投げ日本代表や妖精までいるのだから愛され具合、汎用性が凄い。

ストーム1が藤丸の発言に笑ったのはまだ余裕があることからです。有望な卵を見つけたという感じでしょうか。

取りあえずはまた改めて自己紹介。華奈も英霊だと分かってしまいましたしね。

最後にUA 47640件 しおり 132件 お気に入り 369件 有難うございます!

それでは皆様また次回まで、さようなら。さようなら。

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