転生愉悦部の徒然日記 作:零課
(´・ω・`)月&日
森暮らしを始め一週間程が過ぎました。イグレーヌ様も元気になり、モルガン様も魔術の修行と元気になられました。実は私が縮地でお二人をロット王のもとへ送る案もありましたが、二人共「今は少しだけ静かに過ごして考えたい」とのことでここでの静養を希望したわけですが、お二人とも、この環境のせいなのでしょうか、それとも元の素養でしょうか。凄まじいまでの魔術の腕を見せ、襲撃に来た巨人族、オーガの群れをあっという間に全滅させていました。
・・・これ、私の護衛は必要なのでしょうか? 栗毛やハチ、花子(狼の兄妹)も怯えて尻尾を丸めていますし。
気にはなりますが、下手に詮索するのも失礼ですし、忘れることにしました。
話題変更
王族のお二人にも私の料理は大絶賛で口が汚れるのも厭わず食事に食らいつき、おかわりを何度も要求。イグレーヌ様はまだまだ完全復活とはいかないので我慢してもらいましたが、モルガン様は食べる食べる。育ち盛りなのに加え、魔術の修行も始めたせいでしょうか。そこらの男の子よりもよく食べる。
年相応の笑顔で笑いかけてくれることは本当に嬉しく、美人なのも相まって絵になります。そして是非とも料理を教えてほしいとのことで晩ごはんの仕込みを手伝ってもらいました。誰かと一緒に作る料理なんて何時振りでしょうか。宿では忙しすぎて女将様も主様も接客を頼みましたし、他は一人で作って食べるか店屋物。ついつい作りすぎたので明日の分と分けていたら扉を叩く音が。
モルガン様に魔術で確認してもらうと害は無いとのことで開けると一頭のうり坊が。体毛は黒く、大人しいが、見せる牙は鋭く立派で、この子も魔獣の子なのだと理解した。
けれど敵意はないですし、こちらに好意的ですので飼うことに。名前は・・・・・・黒介にしましょう。お二人からはネーミングセンスを疑われましたが、日本人の名は少し変なのでしょうか?
/月✓日
森暮らしを始め二週間が過ぎました。イグレーヌ様も完全回復。モルガン様もとても喜ばれていました。そして、いよいよロット王のもとに行くことになるのですが、その前に世話になった妖精の皆様にお別れの挨拶を済ませ、小屋を好きに使っていいよと教えました。王族のお二方も短い間ですが過ごした小屋から離れるのは寂しいのか少し悲しそうに見つめていました。妖精の皆様からは餞別の品として薬各種となにやら魔術礼装を渡してくれたので小物入れに大切に収納しておくことに。
身辺整理を済ませていざ出発。というときに、モルガン様から「お姉さまと呼ばせてください」といきなりの発言。固まっている私に「なんでも私に助けられ、生活するうちに姉のように思えて仕方がなく、それを今回打ち明けた」とイグレーヌ様はおっしゃりました。実は私が外での仕事をしているうちに相談していたようで、決意は硬いのでしょう。まるで引く気配がないです。というよりも予定していたのでしょう。イグレーヌ様が凄く楽しそうな笑顔で私の反応を見ては目を細めているのですから。
不安と期待を溜め込んだ目で訴えてくる目には耐えきれず、そう呼ぶのは認める事に。ただし、あくまで私的な間だけであり、公的、家臣の間では控えるように念を押しておいた。今から嫁ぐ先にぽっと出の別人種の小娘が迎え入れる后に姉さま呼ばわりされては余計な騒ぎと諍いの火種を呼ぶだろう。ゴマをする輩も確実に。
なのでお二人を助けた騎士は私の上司で私はお二人の世話を任された侍女であり、ただの使用人。と扱うことにしてもらうことにした。もし必要なら捨て子で魔獣と関わる事が上手いということにして貰うことにしました。手紙を届ける際に鎧で変装していたこともあり、それなりの説得力は持てそうです。
そしていよいよ森を出てオークニー領へ。
道中、賊や魔獣も当然襲いかかってきましたが、栗毛やハチ、花子、黒介の動物戦隊に屠られ、私自身も刀を振るいこっそり用意しておいた(ここに来る際に持ってきたものは小屋の材料に)お二人が乗るための馬車へは近づけないように戦った。それに、モルガン様にイグレーヌ様も相当な魔術を披露して襲い来る相手を蹴散らしていたためにかなり派手な旅路となったこともここに記しておきます。
(゚∀゚)月%日
オークニー領へ無事に到着。ロット王も快く出迎えてくれて私の心配の半分は消し飛びました。
イグレーヌ様の同居も快諾。これでお二人の身はとりあえず大丈夫でしょう。
と、言いますかロット王。豊かな金髪を後ろにかき分け、一部を垂らし、この時代にしては珍しくヒゲを全て剃り、ダンディズム溢れるナイスミドルでした。・・・・・・・ぶっちゃけた話マジッ○総帥そのものな外見に話し方、雰囲気までそのものな茶目っ気溢れる王。それがロット王でした。モルガン様も想像以上の男性に安堵の息を吐いており、イグレーヌ様も心から嬉しそうに笑っていました。
お二人の話が終わり、そのまま後は婚儀の件になると思いきや助けられた経緯の話に移り、騎士の部下(という設定の)の私にも話が振られることに。想定はしていたので幾らかまた聞きしたようにぼかしながら話し、森での生活も騎士に上手く手配してもらって生活できたと話したところ、周りの家臣たちは納得しましたが、ロット王は「それほどの騎士の部下なら手ほどきも受けているはずだし、一つ試合でもどうだろうか」と試合の話を出してきた。周りも面白い催しになると騒いでいる。負けてもちゃんと取り立てるし、女の子だから負けても仕方ないと言ってくれますが、流石に安々と負けるのは面白くないですし、侍女として居る以上、お二人の護衛としての力量も見ているのでしょう。
試合の形式は互いに練習用の武具で勝ち抜き戦。10人と連戦で戦う事になりました。
結果は瞬殺。あちらも私を慮っての人選でしょうが、弱すぎるあまりについつい先手を打ち続けたら終ってしまいました。その結果に火が付いたのかその場にいた領内でも高名な騎士の方々が勝負を名乗り出て二回戦20人組手が開始。腕利きもいましたがこれも完封。流石にやりすぎたかと思い観戦席を見るとモルガン様ははしゃぎたいのを抑えながら笑顔で応え、ロット王に至っては大爆笑していました。「思わぬ拾い物だ!!」と会場全てに響くくらいの大声で叫んでいました。
その結果私は侍女ではなく騎士として取り立てられそうになりましたが謹んで辞退させて頂き、イグレーヌ様の侍女という立場に収まることになった。下手に権力を得てはしがらみが増えるのも確かなので元より不要。それに、騎士という面倒くさいしきたりや矜持に付き合うのは兎も角、掲げる側は性に合わない。ただし、必要ならモルガン様の侍女としても動くことも頼まれました。これは元より頼むつもりでしたので有り難く受けることにしました。婚儀に関しては色々城や街に慣れてほしいこと、準備諸々あるだろうと一ヶ月ほど後に行われることに。これからが楽しみです。そう言えば栗毛達の住処はどうしましょうか。
∽月(´・ω:;.:...日
モルガン様の結婚式が今日行われました。絶世の美女であったモルガン様でしたが、花嫁衣装や化粧が魅力をより引き立て、正しく会場の花として衆目の目を引き付けていました。
私自身は女給の姿で皆様への食事の用意に走り回り、ひたすらに料理を作っていました。料理の香りによだれを我慢し、食べた時の皆様の反応は一生忘れられないでしょう。
調理も一段落して披露宴に呼ばれた時は満面の笑みを浮かべるロット王とモルガン様ご夫妻の姿が輝いて見えました。
御目出度う御座います。モルガン様。どうかその幸せが長く長く続きますように。
ロット王はモルガン、イグレーヌの幸せのためにマジック総帥になってもらいました。あの愉快で有能、底の見えたり見えなかったりするナイスミドルなおじさんは大好きです。次回からより面白く出来たらと思います。