転生愉悦部の徒然日記 作:零課
(布に包んだものを放り投げる)
キャスニキ「お? どれどれ・・・・ほほう。美女からの贈り物たぁこのふざけた戦争に参加したかいがあるってものだな。サンキュ。活用させてもらう」
華奈「それは何より・・・・・おお、あそこですか? いいところですがねえ」
ストーム1「ちょっとしたハイキングにお参りにも良いかもしれないが・・・今は肝試しか?」
藤丸「おばけよりもおっかないものが出そうだけどね」
元「はは、違いない。英雄のおばけと戦うのだから次元が違う。気をつけていこうか」
仮眠を終えてこの特異点の元凶の排除、及びその解決に乗り出したカルデア一行。しばらくの移動をした後に大聖杯があるという場所、その洞窟の入口に到着した。
「ここからは栗毛で行くのは危険ですね。栗毛、伏せなさい」
華奈の指示を聞いてゆっくり伏せの姿勢を取り、オルガマリー、藤丸、元が降りやすいようにする。そして三人が降りるのを確認すると光の粒となって消え、その粒は華奈の中に入ってくる。
「お疲れ様です。栗毛。改めて・・・入り組んでいますねえ・・・中々に深いのですか? キャスター様」
「ああ、それもあるが、入り組んでいてなあ。迷わないようにしなきゃ駄目なんだわ。そのために俺が案内をするけどよ」
『実際に、奥から溢れている魔力の濃度の濃ゆさは正に聖杯と呼ぶだけのものはあります。間違いないでしょう』
この先に大聖杯があり、これを収集。もしくは呼び出されていた英霊への魔力供給のバックアップをカット。それをすれば「一応」この聖杯戦争は終わる。怪物を呼び出した影響はいつまで残るかは不明だが、少なくとも英霊は長く顕現ができなくなるはず。
「では、面倒臭いのでちゃちゃっと行きましょうか」
言うが早いか華奈は即座にバズーカゴリアス99を洞窟の入口に向け、引き金に手をかける。
「また派手な作業だねえ。ま、その方が良いか」
かんしゃく玉を手に持って肩を回し始めるストーム1。それに一同の空気が凍りつく。このトンデモコンビ、なにか馬鹿をやらかそうとしている。と。
「何をしようとしているのよ! まさか爆破でもする気!?」
「勿論です。本拠に防備も罠も構えない人が何処にいますか。罠をあらかた爆破して、敵が巻き込まれたら幸い。そうでなくても守りを決め込んだ相手を引きずり出すことが出来ればこれまた幸い」
「そもそも聖杯戦争で必須の大聖杯を守るだろうから無事だろうしな。相手にとっても大切なものならここをぶっ壊しても守りきるだろうよ」
色々と過程をすっ飛ばした強硬手段を準備し始めている華奈、ストーム1に元、マシュ、藤丸も加わって止めようとした辺りで二人の意識は外に向け、即座に拘束を振り切って洞窟ではなく虚空に攻撃を始める。するとそこに飛んできていた何かとぶつかり、爆発が発生。衝撃と爆音が一同の鼓膜と肌に伝わる。
「ずいぶんと手荒な侵入者だ。それが出来るほどあいにくと器用なものではないのだがね」
待ち伏せていたのか、それとも偶然か黒い靄に包まれているが、弓を持った男性の英霊が洞窟とは真逆の方向から歩いてきており、少しの距離をおいて立ち止まり、虚空から新たな矢を出してつがえていく。
「アーチャーのサーヴァント・・・・!」
「出やがったな聖剣の信奉者。良いのかよこんなところで道草食っていてよ。崇拝するべき対象のセイバーまでまっすぐだぜ?」
「勝手に信者扱いされるのも勘弁して欲しい。それに言うまでもない。閉所で動きが制限される中でこんな火器をバカスカぶっ放す英霊が二騎、それに君のような狂犬にあのメディア。私はわからないがこれまた英霊が一騎。洞窟内部で戦ってもキャスタークラスの英霊に罠をかけられて絡め取られておしまい。そうだろう?」
仕方ないだろう。と表情はよくわからないが肩をすくめてニヒルに笑っているであろうアーチャーのシャドウサーヴァント。しかし、弓矢は手放さず、視線は常に全員を油断なく観察して隙を狙う。
「まあ、冬木といえば坊やもそうだけど、またいるなんてね。本当に縁なのか呪いなのか調べたいくらいだわ」
何度も英霊の座に刻まれた情報で知り得た知り合いに、これまた出会った場所で会う。ここまでくればもう何らかの因果関係があるのかといいたいくらいのことに呆れた声色で言ってしまう。
「さてと。この方がいないのであれば少なくとも罠があっても増えはしない可能性が高いでしょう。どうぞ皆様お先に。ここは私が食い止めますので」
「そういうこった。ま、俺達が洞窟で暴れるのはあんまり向いていないしな~」
「ヘッ、そうさせてもらうか。じゃあそいつは任せた。今の俺は少し相手するのが面倒臭いからな。それに減らず口を叩かれるのも嫌なんでね」
言うが早いか洞窟内部に入っていくキャスター。それに続く形で元、メディア、オルガマリーと入っていく。
「華奈さん、ストーム1さん。お願いします!」
「ちゃんと無事でいてくださいね!」
マシュと藤丸は激励を送った後に先行した面々に追いつくために駆け出し、徐々に洞窟から響く音が小さくなり、聞こえなくなった辺りで炎と煙の暴れる音、遠くには怪物が歩く足音だけが響くようになった。
「ずいぶんとあっさりなんですね。不躾な客をセイバーに送ってもいいのですか? 言わゆる門番でしょう? アーチャー様」
「たしかにそうだろうな。後でお叱りとありがたいお言葉でもいただくかもしれないが、あの数で攻められては私も務めを果たしきれないのでね。それよりは分断したほうがいいだろう? 戦術の一つさ。それに、君たちほどの英霊を拘束誘引できたことは大きい」
「逆にこっちも作戦成功だがな。セイバーとアーチャーの連携なんざ勘弁だ。それに、あっちはベテランがいるから、まあ問題ないだろうよ」
空気が張り詰め、それぞれが獲物を持ち始める。華奈はアサルトライフルをストーム1に投げ渡し、深山と秋水を構える。アーチャーも弓を一度しまい、双剣に持ち替えて構えを取る。ストーム1も渡されたアサルトライフルを軽く見てから問題ないと判断して構え直す。
一瞬の静寂の後に三者は動き、攻防が開始される。アーチャーは牽制の剣をいくつかストーム1に投げ、すぐさま出していた双剣を持ち直して上段からの打ち下ろしで華奈に斬りかかっていく。
「っ・・・!」
それに対応して華奈も右手に秋水、左手に構えた深山で秋水を十字に構えて打ち下ろしを受け止め、深山を横にずらして勢いをいなして身体の体制を崩すように狙い、すぐさまその僅かな隙間に突きこむように深山で左腕を切り落とそうと狙うがアーチャーは双剣を手放して軽くなった左腕をすぐさま引き、その左手に手放した双剣と同じものを瞬時に持ち、受け止める。
反動で距離を取りながら今度は弓を手に持ち出現させた矢をつがえ、華奈に矢をいくつも放つ。出現させた矢をいくつか放った直後に体勢を変え、双剣でストーム1の放つ銃弾を受け止め、合間を縫って反撃の刀を投げつけ、その攻撃のリズムが乱れた瞬間を縫って離脱。
「まだまだっ!」
その足場を狙いストーム1のAF99がアーチャーの足場を撃ち抜くがそれでもさほど姿勢は揺らがず、それどころか華奈も追随して放った蹴鞠、そのままストーム1が撃っていた銃弾すべてを三枚の光の盾が花弁の一部のように開いて防ぎ切る。
「シッ・・・・・・!」
その盾の光、銃弾と飛んできた刀を防いだ反動で光った一瞬の隙間を縫って華奈は側面に回り込んで右からの袈裟懸けで突っ込むがそれも予想済みとドリルのような矢でいなしていく。
刀の動きのそれでもなく、西洋の剣術でもない、どちらかと言えば現代のナイフでの格闘術を思い起こすような細かな動きで決して大きく動かず、最小限の、無理に拮抗しない動きを心がけて華奈の剣戟をしのぐ。
「っち・・・・・! やはり二対一、それもこれでは埒が明かないな・・・!」
「こっちのセリフですよ・・・はぁ、本当に戦上手ですこと」
アーチャーはそうぼやくもそれは華奈も同じでストーム1の援護射撃を狙おうにもそれはわざと華奈をその射線上に巻き込みやすいように仕向け、剣さばきも守ることを重視、しかも剣を弾いても壊してもすぐさまマジシャンもびっくりな速さで手元に出しては凌ぐので無理ならわざと剣を捨てて手の負担やしびれをなくすように努め、壊してもその一瞬の油断を狙ってはナイフや刀が飛んでくる。
筋力、速力、下地自体は華奈が全て勝っている。それはストーム1も同じ。けれど、その下地が勝っている、数が勝っている点を利用してとことんまで優位性を埋めていく。
数が優ればその数を盾にして味方の攻撃を鈍らせ、自身は敵の数を遮蔽物にして攻撃の起点を読みづらくさせる。無論、押しているのは華奈たちだろう。けれど、押しきれない、一手がさせないような状況を作り続けることで均衡をどうにか保っている。
「まったくこんな的あて、ボーイスカウトは愚かFPSだって無いだろうなあ。せいぜいが人質取ったちゃちな強盗の狙撃ミッションくらいだぜ」
しかし、その思惑に乗り続けるほど華奈もストーム1も馬鹿ではない。華奈自身も十年前の経験からその戦い方を身体に思い起こさせ、太刀筋を読み取りはじめ、ストーム1もアーチャーが移動を始める。華奈との距離を取る瞬間とその予測点を撃ち始めるようになっていく。
火力、制圧面ならかんしゃく玉があっただろうが、それでは標的のアーチャーと距離が近い華奈にも当たりかねないし、先程の攻撃で華奈の蹴鞠も弾かれた。その時に二人は「あれは盾か結界。それも飛び道具に強いかもしれない」と考えて出来る限りは盾を出せない、出しても無駄になるようなタイミングを交互に生み出して攻撃のチャンスを作り出すことに作戦変更。
「ふぅ・・・全く、まさかここまで数が揃った相手にマスターまで英霊という異常すぎる状況になるとは思わなかったよ」
追い詰められてなおもその余裕は崩さず、武器を矢と弓に変えて華奈への防戦を試み始める。
弦を切られぬように、それこそ最低限の防御だけに弓を使い、身体を斬られようとも弓を刀代わりに扱い、矢はナイフ代わりに補助、距離を取ればすぐさまストーム1に放つ。
「ぬおっ! なんだこりゃあ!」
当然迎撃するがそれだけでは撃ち落とせずに延々と追ってくる。まるで猟犬のようにしつこくキリがない。
それで少なからず攻撃の手が緩んだことで幾分か余裕が生まれたアーチャーは投げる刀、剣を投げまくっていく。それは刺さって足場を剣山に変えていく。
ストーム1には逃げ場、足場を徐々に封じられて更には今はわけの分からぬ剣に追いかけられている。それでもまだ剣を投げ続けている。ストーム1の脅威がいくらか薄れた時なら次は華奈を封じるための策を講じてもいいはず、それをしないのなら・・・
「っ・・・・・・・! ストーム、離れなさい!」
その思惑が全てわかった瞬間華奈が叫ぶが少しばかり遅かった。自身らの飛び退く、移動するであろう場所に投げられた刀剣、華奈はアーチャーに、ストーム1はホーミングしてくる剣に拘束されている。両者ともに移動が少しばかり遅れてしまう。
アーチャーは大太刀を持ち出して華奈を無理矢理に押し込んだ後、小さく唱える。
直後に刀剣のすべてから起こる大爆発。華奈、ストーム1を捉えた衝撃と爆熱は周辺の空気も地面も震わせ、大音量は一瞬無音に聞こえ、すぐさまつんざくような波が鼓膜を破ろうと押し寄せてつんざく。
「・・・・・・・・」
煙が立ち込め、残ったのは百メートルはあろうかという大きなクレーター。ふたりともしっかり刀剣の、矢の範囲内で捉えた。消耗も大きいだろうがスキルの単独行動でまだ行動はできる。何よりもこれだけの損害であの二騎にダメージを与えたであろうことが何よりも大きな収穫だ。
「いない・・・消失・・・ではないにしても、ここから退散したか・・・?」
渦巻いていた煙が晴れ、そこには華奈の姿も武器もな、ストーム1もいない。少なくとも消耗したであろうし、洞窟に入ったのなら反射音が聞こえてくるはず。退けた。と考えてもいいのではないだろうか。ならば今すぐに洞窟に入り、先に行ったキャスターらをセイバーと挟み撃ちで仕留める。もう魔力の乱用と無茶な使用でボロボロでも出来ることがあると足を向けた瞬間
「ヒュウ! こんな爆発を起こすたあね。全く剣の大花火なんて本当にアーチャーなのかい?」
上空から聞こえてくるあの何処か軽い声。その声色には全く消耗の様子は見られない。何の宝具を使ったのか? あの爆発を逃れる機動力は一見無かったはずだ。アーチャーのクラスに見えたが別のクラスに見せかけていたのか? 声の聞こえる方向に視線を向けようとしたが
「残心を乱しましたね?」
背中にかかる少しの衝撃と胸から生える一本の刀。つい先程戦った剣を使う英霊。華奈がいつの間にか背後に移動しており、意識がストーム1に向いた一瞬で距離を詰め、胸を貫いていた。
「くそっ・・・見誤ったというのか・・・情けないな・・・」
「仕方ないでしょう。彼は何もかもが滅茶苦茶です。それに私もついさっきまでまんまと引っかかってしまいましたしね」
そういい切ると刀を横に払い、身体を二つに切り落としてアーチャーにとどめを刺す。二つに別れた身体の消失を見届け、刀に付いた泥と血肉も霊子に変わるのを確認してから秋水を鞘に収める。
「はぁ~すっげえなあ。あんな多芸なやつが本当にアーチャーなのかい? 俺にはライダー、そうじゃなきゃ天才マジシャンに見えたがねえ。見学料、チップを渡したかったくらいさ」
「なら今度あったときにでも銃の一つでも渡しては? 最高のチップでしょう? 足りないなら、貴方の起こした小さな手品でも見せたら如何ですか」
上空から降りてくる、何時も通りの姿のストーム1。軽口を叩いてのんびりと歩み寄って来る姿はいつもどおりのものだった。
「で? バーサーカーは動く気配は? どうせ調べているのでしょう?」
「無いな。が・・・油断はできないな。合流をするほうがいいだろうよ。行くか」
相対した脅威を取り払った二人は先に移動した一向に追いつくために洞窟の中に移動を開始。この先で待っている大聖杯、そこで座して待つセイバーと戦うために。
オルガマリー「なっ! 何の爆発よ!!?」
ロマニ『アーチャーと華奈の戦闘で起きた爆発だ! 一応反応は無事みたいだけど・・・』
良馬『問題は、損傷の度合いですね。バイタルも問題はないですが、再チェックします』
元「問題はないさ。華奈はこの聖杯戦争を一度体験している。万が一に備えたものくらいいくらでもあるはずだよ」
キャスニキ「信頼しているねえ。まー確かにそう簡単にゃくたばるたまじゃないようだしな。こっちも楽に行けていいもんだ」
藤丸「いやいやいや! 大変ですよ!」
メディア「なんやかんや怪物を配置しているなんてあの坊やも相変わらずねえ!罠はたしかに無いけど警備はいるじゃないの!」
マシュ「・・・取り敢えず、私達も早く進みましょう! この異変を何とかするためにも、それに・・・大丈夫な気がするんです。華奈さんは」
オルガマリー「あの爆発で無事なのがおかしいわよ! 英霊でも英霊同士の攻撃は効くのよ! それであんな爆発・・・これ以上責任が増えるなんてなったら・・・」
マシュ「でも、カルデアの観測では無事なんですよね? それなら大丈夫なはずです。後、たしかに私の方の考えは当てずっぽうの感覚かもしれませんが、それでも何故か強く信じられるんです。『問題はない』と・・・なんだか上手く言えませんが」
藤丸「信じよう。そして、僕たちも早く大聖杯に」
キャスニキ「そろそろだ。ここからは広いから安心しな」
今回は難産でした・・・エミヤの戦い方に何処までズレがないかが不安でしょうがなかったです。ちゃんと書けていればいいのですが。
エミヤの恐ろしいことは手数、手段がとにかく豊富であり、強力なものも多い。それのせいで真名も分かりづらければそもそもが未来の英霊なのでわかりようがない。クレバーで様々な手段を講じれる柔軟さ。本当に大物ぐらいが可能で厄介な敵ですよね。
華奈は縮地で爆発から離脱。ストームは持っている宝具の一つで切り抜けました。後華奈の反応が遅れたのは自身が参加した聖杯戦争ではソロモンと組んで有無を言わさずに封殺したからです。
次回は大聖杯に先行したメンバーのお話。ちゃんと書けるようにがんばります。
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