転生愉悦部の徒然日記   作:零課

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~ストーム1の宝具、武器庫内部~

華奈「・・・ストームの装備ですが、一つこの編成で行ってほしいのですが」

ストーム1「ん? まぁ、メインはあれだから良いが、嫌に物騒だな。何を警戒している?」

アルトリア「ふぅむ・・・この兵器・・・良い火力もそうですが、魔力で扱えるのがありがたい。私の心臓ならほぼ無尽蔵で扱えるから弾切れの心配もないですし・・・? どうしましたかふたりとも」

華奈「ああ、アルトリア様もちょうどいいので。簡単に言えば対策の一つと、切り札の準備ですよ。今からの挑む特異点。決して敵は英霊だけではないですから」

ストーム1「理解した。そういうことね。じゃ、俺はその準備と・・・あれを持っていこう。少し席を外すぞ」

アルトリア「敵は英霊だけではない・・・そういうことですね? うぅむ。では、少し私も戦闘には遠距離用の武装も必要でしょうね。二人の中継ぎ、バックアップくらいが良いのでしょうか?」

華奈「ああ、ストーム。サバイバルキットも忘れないで。アルトリア様はそうですね。基本どこにでも駆けつけられる。くらいの気構えでいいと思いますよ。私達の切り札がどこへでも行ける。相手からすれば恐ろしいものです」

アルトリア「嬉しいですよぉ・・・では、私はこういう装備と・・・って二人の装備、一度切り替える時間が必要ですね。私の武装はフォロー重視でいいか・・・リバースシューターは今はいいとして・・・」




ブッコミ百年戦争オルレアン
フランス突入~ドラゴンの炙り寿司~


 あの愉快というか何というかへんてこな講義からはや数日。それぞれがそれぞれの鍛錬と業務をこなす傍ら。藤丸、華奈への招集がかかる。

 

 招集をわざわざ出すということの意味合いはふたりとも前もって知らされており、先にコフィンのある部屋に到達した藤丸の表情は引き締まったものであった。

 

 「やぁ。おはよう藤丸くん。よく眠れたかい?」

 

 「おはようございます先輩。私達が一番のようですね」

 

 それを出迎えるロマニとマシュ。ふたりとも顔色はよく、いつもどおりどこか落ち着く笑顔を向けてくれている。それに釣られてか藤丸も表情を崩し、はにかんで応える。

 

 「うん、元気だよ。おかげさまでよく眠れたし。俺たちが一番乗り? 華奈さんやアルトリアさん、ストーム1さんは?」

 

 ただ、こういうことならいの一番にいそうなもうひとりのマスターの華奈。生きた英雄であり、比較的あっさりとカルデアに馴染んで色んな意味でアーサー王のイメージを崩した犯人であり、アーサー王張本人。アルトリア。そして華奈が契約する英霊ストーム1。彼らの姿が見えず、キョロキョロと周辺を見回す。

 

 「ああ、彼らなら」

 

 「ついさっき連絡でもう少し準備が欲しいと連絡をしてきたわ。どうもストーム1との打ち合わせに時間がかかっているみたい」

 

 藤丸の疑問に答えたのはカルデア所長のオルガマリー。契約した英霊のエミヤは後ろでコンソールを叩いてなにかの準備をしているらしく、画面とにらめっこしながら隣りにいる良馬と話している様子。

 

 「まあまあ。いい女ってのは準備に時間がかかるものさ。マシュちゃんみたいにすぐさま動ける軽快な子も魅力的だがね」

 

 「おーマスター。遅れたな。悪い悪い。少しこっちも準備していてよ」

 

 藤丸たちのドアが開いてそこからストーム1、藤丸が契約している英霊のクー・フーリンが現れる。ふたりとも小さなバッグを手にしており、どこかで一服していたのか少しタバコと火薬臭い。

 

 「ストームさん。あれ? 華奈さんたちはまだ来ないんですか?」

 

 「あ、クー・フーリン。どこかでタバコ? 後その荷物は」

 

 「まーまー。取り敢えずもうじき来るだろ。あっちも少し色々あるようでな」

 

 「うーん。今回の特異点の説明をしたかったけど、二人が来てからだね。その間に準備を進めておこう。咲ちゃん。元君。準備はどう?」

 

 歴史にはそれなりに明るい華奈と1500年何やらぶっ飛んだ世界で過ごしていたらしいアルトリアなので簡単な説明だけで良いだろうとは思ったロマニだが、しっかりと説明はしておいたほうが良いだろうと端折ることはせずに今すぐにでもレイシフトが行えるようにしておく。

 

 「あ、問題ないです。フラムさんの方からも電力に関して問題がないと」

 

 「大丈夫ですね。ロマニさんの言う通りバイタルも問題なし。レイシフトも問題ないでしょう」

 

 「取りあえずは華奈さん達が来るだけですが・・・」

 

 「申し訳ありません。遅れました」

 

 「いやはや・・・武器の相性はついつい熱が入ってしまいます」

 

 ドタバタと駆け込んで入ってきたアルトリアと華奈。二人も準備を終えてきたのだろう。華奈の着ている服もいつものカルデア職員の服やゆったりとしたシャツではなく自衛官、軍人を思わせる服にコンバットブーツ。そして四本の刀。アルトリアもジャージ姿ではなく華奈と同様に軍服に身を包み、右手に小さな機械がついたリストバンドらしきものを巻いている。

 

 「来たようね。じゃ、ロマニ。説明を頼むわ」

 

 「了解しました。今から君たちに行ってもらう特異点はここ・・・フランス。時代1431年。百年戦争中の場所だね」

 

 オルガマリーの声でロマニもオペレーター専用の部屋に戻ってコンソールをいじり、移される半透明の地球儀からフランスの場所を映し出す。

 

 百年戦争と言えば藤丸にも聞き覚えのある戦争であり、かのジャンヌ・ダルクやジルドレ。童話にゲーム。キャラクターでも世界中に人気であり、有名なものだ。

 

 「正確にはフランス継承戦争という言い方が正しいでしょうね。この戦争は基本フランスの王家が断絶、その継承を狙ってフランスの王家、その親族。そしてそれにイギリスのフランス王族の血を引くものたちが戦ったものです」

 

 「それがおおよそ休戦などをはさみながら名が続いた戦争。それが百年戦争ですね。いやぁ。凄まじいですよねえ。フランスの土地に王権は魅力的でしょうけど何代世代が変わっているのか」

 

 オルガマリーの説明に付け足して苦笑する華奈。皮肉めいた言葉だが、まあ仕方ない。開戦の当事者すら生きていない戦争。これには流石に突っ込みたいところもあるのだろう。

 

 「そういうわけだから、この時代は休戦状態であっても特異点だ。どんな変化が起きているかわからないし、もしかしたら戦争をしているかもしれない。レイシフトには細心の注意を払うけど気をつけて欲しい。じゃ、レイシフトを始めるよ。皆コフィンに入って」

 

 ロマニの言葉とともにレイシフトのために改めて用意されたコフィンが開き、そこに皆が入っていく。これから改めて行われる人理修復の旅。あの百年戦争の時代のフランスに行く。あるものは興奮し、あるものは緊張し、あるものは別のことを考える様子。

 

 「コフィンセット完了。各メンバーのバイタル、及びコフィン異常無し」

 

 「アンサモンプログラムスタート」

 

 レイシフトのための準備が大詰めに入り、実行するための職員らに緊張が走る。決して正しい手順で踏まれたわけではない一度目のレイシフト。二度目の今回は準備も整備もイレギュラーも備えてきた。こうして実行できているのは確かだが、それでも少しの不安がよぎってくる。

 

 「まぁ、どうなることか。取りあえずは念話のラインが繋がっていることが心配ですがね」

 

 「これがレイシフト・・・一度目に比べたら楽でいいね」

 

 視線が狭まり、浮遊感がまとわりついてくる浮遊感。どこかに飛ばされていくような感覚。

 

 「オルガマリー・アムニスフィアがこれから指揮を取ります。一同、マスターと英霊のサポートに尽力を。マスターも生還と勝利を掴みなさい!」

 

 そんな中響くオルガマリーの号令。それに呼応してカルデアから怒号が響き、その直後

 

 「レイシフト・・・スタート!」

 

 レイシフトが始まり、コフィンに入ったマスターたちは飛ばされていく。混沌渦巻くであろうフランス、百年戦争地へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「っふあぁ・・・・・また離れ離れ・・・しかも通信なし」

 

 「幸いなのは、私達は離れていないことですか」

 

 「令呪で呼び寄せる必要も無いからな。藤丸くんにも教えたし、あっちもすぐに英霊を呼んで無事であると思うが」

 

 早速フランスに到達したアルトリア、華奈、ストーム1。藤丸らとははぐれてしまったが自分らは固まって無事であることを確認する。それぞれに持っている装備も武装も問題はなく、体の調子も不調はない。

 

 今の所の問題はレイシフトで自身らが降りた場所がカルデアとの連絡を取りづらい場所なのか通信ができず、そして自分らの後ろにある城であった。

 

 城は砲弾でも叩き込まれたかのように一部は破損しているが砲弾の痕跡はなし。砲弾も城壁に打ち込まれた形跡すら無くむしろ内から外に打ち込まれている程。そして城壁周辺の矢、投石の様子が少ない。

 

 (ふむ・・・アルトリア様、ストーム。普通の攻城戦があったようではないですね?)

 

 (ええ・・・雲車、攻城兵器の類、痕跡が一切ない。しかも多くの矢の刺さっている場所がいやに遠い。そのくせ城壁の周辺の死体は多い)

 

 (どうにも死体の損壊が酷いのと所々焼け焦げ方がおかしい。火矢、油がぶん投げられたにしては炭化が凄まじいな。俺らが冬木であったあの怪物らに襲われるのならこんなえぐれた傷は付かねえ。もっと大きなものに食べられたみたいで)

 

 三人の念話のラインが通っていることを確認しながら近くにあったまだ火種がくすぶっている城を見て調べ始める。攻城戦が行われたであろう城壁の上部の損傷があるが、その矢の刺さり具合のおかしさに堀に落ちている死体の傷つき具合に違和感を感じる。

 

 怪物の仕業、炎を使ったものと理解は出来る。そして空を飛ぶもの。

 

 (あの骸骨なら地面にも、近い場所にも矢が飛んできているでしょうしね。野戦があった割には城周辺の騎士の死体も散らばっていない。一方的ですから怪物。恐らくはワイバーンでしょうか。取り敢えずもう人の気配は無いですが、生き残りがいるかも知れませんし、これをした主犯の手がかりや役に立つ資材、魔術の助けになるものを探してきたいのですが)

 

 (賛成ですが・・・一応嫌な感じはしますので、私は外で待機しています。もしキャスターに念話のラインが切られたときのためにインカムもありますし、城を餌にした罠の可能性もあります。私なら魔力放出ですぐさま移動できますしね)

 

 (じゃあ、俺は霊体化していくか。そのほうが気軽に見回れるし、怪物共でも脳筋なら欺ける。マスターとも奇襲や挟み撃ちがしやすいからな)

 

 兎にも角にも特異点の状況整理のための情報がほしい。そしてこの城を足がかかりにできるかもしれない。敵襲も踏まえた上での対処を念話で打ち合わせ、華奈は自信の持ち込んできた大きなカバンを片手に最早死臭と黒煙がくすぶる廃城同然の城に華奈と霊体化したストーム1が踏み込む。

 

 「酷いですね・・・それに死体の損壊や荒れ具合」

 

 その中は女子供、年齢もお構いなしの虐殺が行われ、兵士も市民も全て等しく殺され、中には黒焦げになり、鎧や石壁が誘拐するほどの高熱で焼かれていた。更には死体のいくつかはパーツが無くなっていたり、不自然な方向と距離をおいて転がっている。統制の取れた軍隊というよりも蛮族や魔獣の襲撃という言葉が当てはまるであろう城内をゆっくりと回り、手を合わせて歩いていく。

 

 半周ほど城壁伝いに歩いていると突然殺気を感じて警戒のレベルを華奈もストーム1も上げる。空の一部がなにか空を飛ぶもので埋め尽くされ、その先頭には一人の女性が立っていた。漆黒を基調とした鎧とドレスを組み合わせた装備に身を包み、何やら竜の印をかたどった槍のようにも扱えるであろう旗。腰には一振りの剣。その肌は死人のように白く、髪もまた真っ白。目は澱んだ金色。何やら大きな憎悪と狂気を秘めているのは視線を感じるだけでも分かってしまう。

 

 その女性の周りを固める人も気配や装備ですぐさま英霊と理解していく。金髪蒼眼、派手なドレスのような装飾に帽子。一振りの細剣。女性のように美しい整った顔立ちであり、化粧の一つと着せ替えでもすればさぞや映えるだろう。しかしその気配は鋭く、名のある剣士であることがすぐに感じ取れた。

 

 アッシュブロンドの長髪に男性の色気が酷く漂う男。髭をそれなりに蓄え、目鼻はくっきりとした堀の深い顔。杭のような武器に黒で固めた衣服。しかしその容姿も色気も打ち消すほどに血の臭いに包まれているのがはっきりと感じ取れ、人というよりも人の器に怪物を無理やり押し込んで固めた何か。という感想がしっくりとくる。

 

 もうひとりの女性は妖艶な身体を露出した紐のようなドレスのような衣装に身を包み、顔半分を隠した仮面。悪魔やコウモリを思わせるような髪飾り。白のややウェーブのかかった髪は肩辺りまで伸ばしている。握りこぶしは愚か拳を握ることもできないと思うほどに伸びた爪。先端に翼をかたどったような杖を手にして此方を品定めするかのように眺めて笑みをこぼす。

 

 「あら? 変な気配を感じてみれば。こんな廃城にどうしたの? 貴女」

 

 (アルトリア様、一度隠れてくださいよ。ストーム、適当な援護射撃がしやすい場所に距離を取りつつ移動。情報を引き出せるかもと、迎撃の準備を)

 

 その英霊と距離が縮まったことで視界判別ができた空を飛ぶ何か。ワイバーンを従えた英霊の一団はあっという間に華奈の前に降り立ち、そのリーダー格であろう黒尽くめの女性が話しかけてくる。その間に華奈は念話でアルトリア達に指示を伝えて毅然とした態度を崩さずにしていく。

 

 「はい。少し流浪の身なのですが路銀と食料が尽きまして。この城で仕事が無いかと思って来てみればこの状態だったので生存者がいないか探し、あわよくばその方の護衛と食料を分けてもらえないかと思いまして」

 

 「ふぅん。この状況でね・・・嘘が下手ね。貴女は。今の状況でそんな甘い考えなんて通るわけ無いでしょう? それに、どうしてここにこんな気配・・・「英霊」がいるのかしらね? しかも受肉した」

 

 女性の返答に思考を巡らせていく。英霊のことには気づかれた。受肉して一人の人間でもある華奈に向けた言葉からも真名を見抜かれたか。となればそれを出来るクラス。彼女も英霊であろうし、ルーラークラスの英霊、もしくはそれが支配下にいる。

 

 『この状況』というワードとこの物々しい部隊。廃城に感情一つ向けていないことから加害者側。自分たちの予想と合致したワイバーン、怪物の出現。まず特異点の一因と考えて問題ない。

 

 そしてこの状況。霊体化したストーム1には注意がいっていないのか、華奈に意識がいってルーラで持っているであろう英霊を感知できるクラススキルも使用している様子はない。アルトリアは生きた人間だから持ち込んだ道具や経験でやり過ごせる。

 

 「あら、分かりますか? 実はいまさっきここに来たばかりで右も左も分からない。しかもこの惨状なので足を運んだのですよ。この状況は貴女様が作ったので?」

 

 「受肉した英霊ね・・・宝具、もしくは何かそれほどのアイテムでも使ったか・・・ん? ああ、そうよ? 良いでしょう? 私がかつて受けた裏切りを、この国のために尽くして相手を血の海に沈めた分を。全部返しているのよ。ここの奴らも皆殺したわ」

 

 あっけらかんと自分が犯人だと告げ、心底面白そうに、愉快そうに歪んだ笑みを浮かべる黒尽くめの女性。所々ににじむ怒り。そして裏切りというワード。フランスで女性。そして裏切りで有名な女性というヒントで華奈もようやく目の前の英霊であろう黒尽くめの女性の正体に至った。

 

 (ジャンヌ・ダルク・・・ですかね? だとしてまあ、この特異点はこの黒ジャンヌが起こしたものか共同犯。英霊も彼女含めて四騎・・・クラスの脅威も含めればもっと跳ね上がるでしょう。なら、此処で処理するのもいいですかね。カバンも重かったですし)

 

 もし正体の予想があたっているのなら知名度補正やクラスもあってかなりの難敵。華奈たちは英霊としての記録で特にこれといった弱点となりえるものが少ないのでいいが、問題は藤丸達。まだ未熟なマスターに英霊。クー・フーリンはゲッシュのこともあるので正面からぶつかれば危ないだろう。

 

 ふぅ。と華奈は息を一つ吐いて背負っていたカバンをおろす。

 

 「では、私もこれから同じ運命を辿らせるというわけでしょうか? どうにもスカウトという雰囲気ではないですものねえ」

 

 「ええ、貴女はどうにも嫌な感じがするのよねえ・・・私の気に触ったのよ。邪魔くさいと。こうして直々に手を下されるだけマシとは思わないかしら」

 

 殺気を露わにし始め、剣を抜いて距離を詰め始める黒尽くめの女性。カバンをおろしてことが諦めと取ったのか少しも警戒せずに近寄ってくる。

 

 他の面々も抑えていた殺気を出して威圧し始め、特に仮面の女性と杭のような武器を手にした男性に関しては獲物を見つけた肉食獣のように爛々と目を輝かせている程。

 

 (ストーム、一度城壁の上に待機。アルトリア様と私の方を俯瞰で見れるほど高い場所行ってください。アルトリア様。いいですか?)

 

 (何でしょうか? 姉上。何やらトカゲとハロウィーンの武装集団が来たようですが話は終わったので?)

 

 その状態でも念話で指示を出し、城の外で隠れて待機していたアルトリアにも指示を出す。怪物と武装集団あんな派手な登場では当然アルトリアの目にもとまり、一度駆けつけようとしたが華奈からも救援要請が来ないし直感でも『このほうが良い』と感じたので動かずにいた。

 

 膨れ上がる殺気とを感じて動こうとした矢先の華奈の念話と指示。これまたアルトリアは思いとどまって指示を聞こうと待つ。

 

 (敵でどうにも私達を害そうとしているみたいですね。私や城ごとエクスカリバーで薙ぎ払ってくれませんか? ストームはもう避難できていますので)

 

 (了解です。ついでにですが、トカゲも落としませんか? あれやアレも作れますし、他にも・・・)

 

 (ああ、いいですねえ。では、そのためにもまずは彼女らには退場願いましょうか)

 

 少しの食欲と思いつきでスイッチの入ったアルトリアは早速エクスカリバーを取り出して魔力を込め始める。その黄金の輝きはブリテンでの頃よりも光の密度や量は上回り、光の柱が突如天に登っているようだった。

 

 妖精郷に移住してからの訓練と農業。神秘の圧縮した空間に食事。そして宇宙での戦いの日々はアルトリアの戦いの技術、魔力の扱い方にも磨きをかけ、魔力放出一つとっても雲泥の差。

 

 食事の栄養関係と現在はアヴァロンもカルデアに預けているので止まっていた肉体の成長も起こり竜の心臓の勢いも増す。必然、聖剣に流し込まれる魔力のそれは凄まじいものとなって溢れかえり、神々しい光はワイバーンたちの目を眩ませる。

 

 「・・・・・・・はぁ!?」

 

 「これは・・・」

 

 「な、によ・・・これ・・・」

 

 「むぅ・・・!」

 

 その光は当然城内にいた面々にも映ることとなり、その光の柱、それが魔力の柱であり途方もない威力であることはすぐさま察した。

 

 「今夜はステーキでお願いしますよ・・・カリバーーーーーっ!!!」

 

 相手の動揺など全く知らずに華奈に食事のリクエストを言いながら聖剣を振るうアルトリア。その言葉とは裏腹に馬鹿げた威力は城壁をぶっ壊し、ワイバーンもいくらか巻き込みながら華奈達めがけて光が殺到する。

 

 「ポチッとな・・・っと」

 

 それを回避しようとする黒ジャンヌらであったがその意識がエクスカリバーに向いた一瞬に華奈も置いていた大きなカバンを取ること無く縮地ですぐさまエクスカリバーの射程圏外に逃れて持っていたスイッチを押す。

 

 華奈のカバンの中身は実はデータの収穫が終わったレフの死体であり、ここらへんで処分、ついでに攻撃手段の一つで使えないかと接着爆弾のC70爆弾をありったけ詰め込んだという何とも物騒かつろくでもない中身が詰まったカバンだった。

 

 それを意識が他所に行った彼女らの前で一気に起爆させてしまうのだからもうたまらない。英霊の準備した特大級の爆弾に追撃のエクスカリバー。人っ子一人死に絶えた廃城は吹き飛び、耳をつんざく爆音と衝撃が周囲に響き渡る。

 

 この大爆発の連撃にレフの死体も塵となって消え、もうかけらも見つけきれないほどにばらばらに処分される。

 

 「ぁ・・・」

 

 その二段攻撃に仮面の女性は消滅し、あの攻撃に巻き込まれて尚黒ジャンヌと性別不明の騎士と男性は爆風でエクスカリバーから逃れたかいくらかの損傷はあるものの完全には消滅とは言えなかった。

 

 「っぐ・・・ああもう何なのよ! いきなり光の柱に爆発!? あの女! 一体何をカバンに・・・!」

 

 「びっくり箱さ。驚いたろう?」

 

 悪態をつく黒ジャンヌらにエクスカリバーから逃れていたストーム1の攻撃が始まり、抱えていたバズーカ砲から青白い玉が発射される。

 

 「殺そうとしたのです。殺されもしますよ」

 

 華奈も縮地で移動した先から同じバズーカから青白い玉をいくつも撃ち始めていく。

 

 「! バーサーク・ランサー! バーサーク・セイバー! 私を守りなさい!」

 

 あの爆発をあっさり起こすほどの火力持つ女が、新たに参加した男が同じ光弾を撃ち始める。これもまたとてつもないものなのだろうと本能で理解した黒ジャンヌは二人を盾にして自身は逃げるためにワイバーンに飛び乗ろうとする。彼らもまた自身を盾にするが、直後にまた大きな爆発が起こり、黄金の光と轟々たる赤い爆発の次は青白い爆風が周囲の空を染めていく。

 

 華奈たちの今回用意した武器はA3プラズマボンバー。普通の実弾兵器ではなく爆発するプラズマ弾を撃つ一種の光学兵器じみたもの。一度打てばリロードはできないが爆破範囲と威力はかなりのもの。バーサーク・セイバー、ランサーは消耗した身体にその攻撃を雨あられと打ち込まれて消滅。黒ジャンヌも爆風に熱を再び浴びて吹っ飛ぶ。

 

 しかし幸いにもその爆風でワイバーンのもとにたどり着き、気力を振り絞って撤退の指示を飛ばしていく。

 

 「遠距離武器はないですし、縮地も地面の上でこそ・・・弾切れでもありますし」

 

 「喧嘩打った駄賃だけでも頂きましょう」

 

 「よおし。トンボ取りか七面鳥撃ちか。取り敢えず・・・トカゲ死すべきってな」

 

 華奈たちもA3プラズマボンバーを撃ち尽くし、三人はもう一つの武器へと切り替える。それは小型の携行型ミサイルランチャー。であり、一つ一つはいやに小さい。しかしそれを撃ち始めるとまるでミサイルが途切れること無くワイバーンの群れへと殺到し、ミサイルの弾幕が展開される。三人が撃っているミサイルランチャーMLRA―TFは威力自体は小さいがそれを一度に90発以上も撃ちまくれる連射型のミサイル兵器。

 

 それをアルトリアは自身の有り余る魔力ですぐさま装填して常に撃ちまくり、華奈とストーム1は自身の持っている魔獣、怪物の特攻スキルも乗せた上で放つので小型と言えども威力は侮れるものではなく、その手数も相まって一部の空を埋め尽くすほどいたワイバーンがポロポロと落ちては死んでいく。

 

 

 

 

 しばし止むことのないミサイルのシャワーが降り注いだ後、いくらかの取り逃がしはあったが8割以上のワイバーンを殲滅。英霊も三騎撃破。もう一騎もそれなりのダメージと大戦果。しかもワイバーンも多くを仕留めきれたので上々の滑り出しと言えるだろう。

 

 リーダー格らしい黒ジャンヌは逃したが、あれだけ叩いたからしばらくは戦力の増強や編成に力を入れるだろう。藤丸らの体制を整えるには恐らく十分。

 

 「・・・ちょうどいいので情報収集とついでに少し手を打ちましょうか。ストーム、追撃の準備を。アルトリア様。今晩食べられると分かったらステーキと寿司を作りましょうか。それと・・・鱗のスープも」

 

 武器をしまいこんで指を顎に当ててふむと考える華奈は今後の行動を決めたのかボソリと指示を出し、最後に一部瓦礫の山が出来た廃城の住人たちのために手を合わせて動き始めていく。




ストーム1「うっし。フリージャー(バイク)三台用意完了だ。で、ワイバーンはどうするんだ?」

華奈「こうするのですよ。アシェラッド、タルヴェラ」

アシェラッド「うーい」

タルヴェラ「はいはい。オジサンに何の用で? 大将」

華奈「このワイバーンたちの解体を。冷却用の水はアルトリア様が用意しました。通信が回復次第カルデアにさばいた肉に骨、皮、鱗。全て送りますよ。ついでにこの内容で情報を流してください。そうですね。カルデアには1200ちょいを呼びましたから、700でいいでしょう。肉の解体と情報の流布。これができれば終わりですよでは、お願いします」

タルヴェラ「やあ、懐かしいねえ。肉の解体だなんて。ドラゴンのソーセージは絶品だった」

アシェラッド「俺は皮のパリパリ揚げだな。冬に冷えたエールでいただくのが」

華奈「まだ呼んでいないメンバーを呼んで作業をさせます。警邏に狼やイノシシらもいますからすぐ分かるでしょう」

アルトリア「これだけあればバーベキューに鍋会・・・骨も出汁や肥料に・・・えへへ・・・」

ストーム1「おーい、かえってこーい」


~藤丸サイド~

藤丸「ここが・・・フランス。平和だね・・・」

マシュ「これが・・・緑に・・・空に・・・大地。初めて触れました・・・ん?」

クー・フーリン「どうしたマシュ。空を見て。んぁ? 何だありゃ?」

藤丸「空? 一体・・・」

(遠くで爆音の雨が聞こえる)

一同(((・・・・・・・・・・・・・・・あの光・・・絶対華奈(さん)達だ・・・・・)))

ロマニ『皆! 空の光輪もそうだけど華奈達と通信がつながらないんだ! 近くにいないかい!?』

藤丸「多分あっちの方向です・・・光の柱と大爆発とバトル漫画みたいな空中で青の爆発が起きました」

ロマニ『うぇ!? って・・・』

オルガマリー『魔力の痕跡を解析・・・ああ、うん・・・そうね・・・・・・・・・また何をしたのかしら。Aランク以上の宝具の使用になんかまたマシンガンみたいな・・・何をしているのかしら?』

ロマニ『と、取り敢えずそっちの方向に探索をかけるよ。有難う! 皆も気をつけてね。一応まだ距離はあるけどエネミー反応もある。今の爆音で殺気立つ可能性もあるから警戒は怠らないでくれ』

マシュ「了解です。しっかり先輩をお守りいたします」

藤丸「取り敢えずあの爆発の方向に行こうか。手がかりにはなるはずだし」




フランス突入と同時にボスにエンカウント。そして撃退。華奈は十中八九ジャンヌ・ダルク、もしくはそれに関連するものとジャンヌオルタを捉えていますが、信じ切っててはいません。やたらと女性の英霊が多いのでさらなるイレギュラーと思い込みを警戒してのことですが。

今回からストーム1もやりたい放題開始。何が酷いって。魔獣や怪物。おおよその人外はストーム1の特攻スキルに入ることと、メカも入ってしまう特攻範囲の多さ。人以外は多分全てが倍率ドン。

早速カルデアにワイバーンのお肉が輸入準備を開始。しばらくはお肉料理が続くでしょう。食糧問題もこれにて少しは軽減。

アルトリアが水の準備ができたのは湖の乙女から魔力を水に変換できるアイテムを貰っているからです。

地球防衛軍シリーズを知らない方のために武器解説も必要なのでしょうか?

最後にUA 64001件 しおり 162件 お気に入り 456件 いつも応援ありがとうございます。この駄文ですが、ゆったり見てくだされば幸いです。

それでは皆様また次回まで、さようなら。さようなら。
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