転生愉悦部の徒然日記 作:零課
ジークフリート「ああ、問題はない。しかしまあ、これで大丈夫とはな」
(華奈の礼装を装備中)
華奈「そりゃあ、一応神代、その時代の妖精のものですし。アタランテ様、ストーム。そっちは?」
ストーム1「お色直しはバッチリよん。取り敢えず、これなら軍団戦も問題ないだろ。アタランテにも渡してきた」
アタランテ「ああ、今左翼と右翼も回した。それと、私のわがままを聞いてくれてありがとう。失礼するぞ」
華奈「問題ないです。藤丸様? そっちはどうでしょうか」
~左翼、藤丸サイド~
藤丸「こちら藤丸。問題はないです。それと、本当に良いのですか? 英霊の半数近くをこっちにくれても」
華奈(通信機)「大丈夫です。それよりも、そっちは英霊が多い分、銀嶺隊と防御陣地は殆ど無いです。はっきり言うと昨日よりも大変ですよ? いいですか?」
マシュ「私がその分先輩をお守りします! 華奈さんもそんな中で舞台を回してくれて本当に感謝します。タレットガンも本当にありがたいです」
クー・フーリン「軍団戦も問題ねえさ。大将首は任せるが、もたつくなよ? 俺が貰うかもしれねしよ」
マリー「ウフフ。私の馬車で藤丸くんを守るから大丈夫よ! サンソンもアマデウスもいるし、怪我しても治しちゃうから」
サンソン「名誉挽回、しかもマスターの護衛を承ったのです。必ずや守り抜いてみせます!」
アマデウス「堅苦しいなあ。気軽に行こう。どうせ大将同士の戦いはあっちで、こっちはあくまで壁さ。ほら、昨日のワインの残りだ。そこらの絞りカスのものじゃなくて上物だぞ? いっぱいやらないか」
清姫「あら、流石にそれは駄目ですよ? 今は我慢、勝利の美酒のほうがもっと美味しくなりませんこと?」
藤丸「みたいです。勝てますし、こっちも大丈夫です!」
華奈(通信機)「了解です。では、武運を。それと、合図をしたらそのグレランを前に、そうですね。取り敢えず200メートル先に打ってください。最低でも2発。いいですね?」
藤丸「はい!」
華奈(通信機)「では、通信終了です。」
~中央~
華奈「今度は右翼ですね。ジャンヌ様、一言いいですか?」
ジャンヌ「ふえ? わたしですか?」
華奈「ええ、だって、またオルレアンを、今度はもっと大勢でもっとやばい敵とぶつかるのですもの。励ましてあげましょう?」
ジャンヌ「あ・・・はい! 勿論です! では、通信機を借りますね? えっと・・・スイッチは・・・」
華奈「あ、こうしてですね。ここのボタンを押している間は声が届きますよ。はい、どうぞ」
~右翼、ジルドレ、フランスサイド~
ジル・ド・レエ(セイバー)「むぅ・・・こうしてみると、改めて異様、そしておぞましいものよ・・・! 銀嶺と、そしてジャンヌに多くの方がいるとは言えこれは・・・」
ジャンヌ(通信機)「皆さん、聞こえますか?」
フランス兵一同「「!? おお・・・ジャンヌだ! ジャンヌの声が!?」」
ジャンヌ(通信機)「私達は、かつてのフランスの窮地を救い、そのために激戦をしました・・・その直後に私の側面かもしれない、竜の魔女と戦い、更にはこんな怪物の軍勢と戦うことになったこと、不手際、私の至らなさのせいでしょう。申し訳ありません・・・」
ジル・ド・レエ(セイバー)「・・・何を・・・何を言いますか! アレは国が、王が貴女を見捨てたから! それに、私が動けなかったからこそ! 皆で貴女がああならないように守り、国を救った恩に報いるために必死になれば防げたかもしれなかった! それを怠ったから・・・私達は・・・本来は一緒に戦うことなど・・・」
ジャンヌ(通信機)「でも、それでも嬉しいのです。苦楽をともにしたみなさんと一緒に戦えること、国のために旗を持ち、奉公できることが。この窮地に私がこれたことは、きっと神がもう一度チャンスをくれたのかもしれないです。・・・その、もう一度一緒に戦ってくれませんか? もう一度、今度はもっとすごい勝利をしませんか?
もう私は倒れません、負けません。みなさんがもう一度私を信じてくれたから、国を守ろうとしているのですから、私はくじけません! 勝ちましょう! もう一度オルレアンを開放するのです!」
ジル・ド・レエ(セイバー)「・・・そうだ! もう一度我らのオルレアンを奪還するのだ! 銀嶺やアーサー王にも負けないほどの戦いぶりを見せるぞ皆のもの! あんな不気味ででかいだけのケダモノに負ければ一族全ての恥になると思え! 引き下がるな! 逃げるな! 騎士の魂を見せつけるのだ!」
一同「「オォオオォオオオ!!!!」」
ゲオルギウス「士気は十分。防衛陣地、銀嶺の補填もある・・ふむ、これならワイバーンにも引けは取らないでしょう。それと・・・このグレラン? を撃てば良いのでしたか。なんだか変わったものですねえ」
エリザベート「これだけの大勢の奴らを私のファンにできるかもしれないのねえ・・・! 大チャンスだわ! 踊りを仕込んだり、ヲタ芸を疲労したりくれたり、連携の取れた素晴らしいステージに! アイドルの底力を見せつけるチャンスよ! あんな気持ち悪いものなんてすぐにちょんケチョンしてやるわ!」
~中央~
ジャンヌ「ここまで聞こえてくる声・・・すごい・・・嬉しいです」
アルトリア「貴女もいい仲間に恵まれましたね。さて、旗を掲げてもらっていいですか? これがないと作戦は始まりませんし、アレを見れば皆の士気もさらに上がるでしょう」
ジャンヌ「あ、はい。これで私達の場所を教えるんですよね?」
アルトリア「ええ。まあ、あちらは理解できるそうですが、視覚的な意味でも挑発しようかと」
ジャンヌ「では・・・よいしょ」
(旗を高らかに掲げる)
~ジャンヌオルタサイド~
ジャンヌオルタ「ここに私はいるとでも言いたいのかしら・・・? それに、あの馬鹿剣士の姿も・・・良いでしょう、乗ってあげますよ! 中央が突出している上に目障りなやつに大将首もいる! ファヴニールで蹂躙して左右を食い散らかしてやればいいわ! 真ん中抜いて挟み込めば今度はフランス軍から潰せる! その後でもうひとりのマスターを殺ればいい!!」
ジル・ド・レエ(キャスター)「逃げずに、ここで待ち構えていたのが匹夫の勇だと思い知らせたげますよぉおおお!!!」
~カルデア~
ロマニ「始まった! 敵はまっすぐ突貫! 華奈の方にめがけて一直線だ!」
オルガマリー「まあ、わざと前に出ている上に数も少なめ・・・大将格、目の敵がいれば正解よね・・・ここを叩けば士気、指示のメンバーは潰れるし、戦力ダウンも大きいし」
ダ・ヴィンチちゃん「まあ、そこは想定しているからだろうさ。余裕みたいだしね~」
ロマニ「?? どういうこと?」
ダ・ヴィンチちゃん「いやね。シチューを貰った後、元からこんなのを貰ってさ」
(手紙)「ダ・ヴィンチ様には面白いものが見れますよ。あ、画面から離れてみてくださいね
華奈より」
ダ・ヴィンチちゃん「だってさ。ほら、彼女はこういう嘘はつかないし、この天才が楽しめるものだろう? 後で映像で見るのもいいかもだが、皆のリアクション込みでどんなものか見たくなってね」
ロマニ「・・・・・・・・・うん、僕たちの緊張が馬鹿らしいものになりそうなのは想像がつくよ。もしくは、ベクトルが変わるか」
オルガマリー「画面から離れてって・・・テレビゲームやアニメの注意書きじゃあないんだから・・・」
「■■■■!!!!!!」
「エクスカリバー!!」
始まったオルレアン解放軍と竜の魔女の軍団の総ぶつかり。黒の鱗に身を包み、ギラつく瞳を走らせては灼熱のブレスを数十メートルはあろう巨体から放つ邪竜、ファヴニール。その炎を打ち消さんと魔力を惜しみなく放出して解き放つアルトリアの攻撃が初激となり、以降は防衛陣地を組み合わせた解放軍の守り、怪物ゆえの膂力、俊敏さ、数で押しつぶし、殺し尽くさんとする竜の魔女の軍団。
ワイバーン、海魔、リビングデッド。どれもが自身の力を惜しむこと無く活かし、人を喰らわんと殺到する。
「大砲撃てえ!! その後はすぐに再度装填! 重装歩兵は前に! ロングボウは重装歩兵の上空を守れ! クロスボウは敵陣の中央を射って流れを切れ!」
「魔猪部隊は大砲を後方まで牽引。魔狼部隊は矢玉の補充。投石部隊はひたすらに投げまくれ。魔術チームはワイバーンを寄せ付けるな。そこだけに集中すれば後はこちらの部隊の強みが生きる」
それに対し、各部隊も奮戦し、軍ならではの連携、統率という形で集団の強みで立ちはだかる。なだらかな坂を使った逆落とし、沼地、防御柵での足止め、そこに重装歩兵で敵を押し留めて遠距離攻撃ができる部隊で数を減らす。
大砲は装填に時間が掛かるがそこを銀嶺の魔獣部隊で補い、ワイバーンらも魔術に長けた部隊で僅かな穴も埋めていく。
「クー・フーリンは目の前のワイバーンを潰して! 清姫は右サイドの敵を潰す! マリーは少しだけ前に出て! 馬車に付けたタレットガンを起動! マシュはその護衛に、アタランテも支援をお願い。っと! 本当に反動が軽いや。この銃」
藤丸たちも負けてはおらず英霊の強み、個性を生かして数が少ない分その移動範囲の広さを生かして縦横無尽に暴れ回る。クー・フーリンで敵の崩しやすいところを潰し、清姫は接近する敵を焼き払う。マリー、サンソン、アマデウスは潰されて広がった隙間を機動力を活かして広げ、マシュはそこに入り込んで傷口を埋めさせず、マリーを護衛。アタランテはその楔役のマシュをサポート。
藤丸自身も危険があるが、二度目ともあって慣れたか少しだけ余裕をもって対処し、銃の反動も慣れたか敵を牽制しながら自身も傷がないように立ち回る。
「シャァアッ! ふぅ・・・数は多いですが、前線でみなさんが暴れるのであちらに集中していますね。でも、この数を一気にどうにかできるという華奈さんの考えはどういうものでしょう? 私の温存でますたぁと一緒にいることができるのはいいですが・・・」
ちらりと藤丸の腰に下げているグレネードランチャーを見てつぶやく清姫。弾薬も数発と少なく、扱い慣れていないとも聞いている。それを必殺の作戦と言い切る華奈を疑う訳がないが、目の前で繰り広げられる激戦、その相手の物量に理解が及ばないと思ってしまう。
「まあ・・・俺もわからないけど、きっと何かあるんだと思う。ストーム1さんも、また違った姿になっていたし。あれが切り札? なのかも」
銃弾を打ち切ってリロードする藤丸も分かっていないとつぶやきつつ、なんとなくその切り札に予想を付ける。昨晩もごつい近未来的重装歩兵、もといどこかのアメコミのパワードスーツのような姿に変わったかと思えば早朝は違う姿に。それが勝利の切り札なのだろうと。
「ああ、おそらくはそうだろうな。カナも言っていたが、あいつ・・・あのストーム1? は怪物退治の英霊なのだろう? 姿を変えたことやこれといい、前もって予想していたのだろう。あの光る筒とか準備が良すぎる」
アタランテの言葉と同時に持ってきていた大きな筒が開き、黄色い光が周辺にいる藤丸、マシュたちに伸びていく。すると、藤丸自身は分からなかったが戦闘をしていたマシュたちはすぐにその変化に気づく。
「あれ・・・? 手応えが軽く・・・・ではなく、衝撃や痛みが軽くなっています!」
「おうおう。炎すらもさして痛くもねえや。むしろサウナの気分になるくらいぬるいねえ。ほれ、もっと強く来いや。これくらいじゃあ薄皮一枚も焼けないだろうよ」
筋力ではなく自身の武装、防具、肉体が相手の攻撃に対して強い耐性、防御力を持つようになり、敵の数によって防げなくいくつか仕方なく貰うようなかすり傷や大きな一撃すらも軽いものになっていた。前線で大盾を振るうマシュ、動き回って敵とぶつかり続けるクー・フーリンらにはその効果はひときわ大きく、反撃に使える時間、意識を向けられるようになり結果的には攻撃力の向上につながった。
次から次へと敵は無残な肉塊になり、それでも衰えない敵の勢いに負けじと英霊達も喰らいつき、一層戦場激しさをます。
『おそらくはストーム1の道具・・・アタランテの持ってきていたあの光る筒? アンテナ? の効果だろうね。藤丸君、マシュ、みんな。敵も本格的に・・・ジル・ド・レエはあの怪物を、ジャンヌオルタは邪竜ファヴニールを使ってきた。それに対してストーム1も今宝具を使った。反撃に移るようだ』
『それで・・・華奈の合図はそれが動き始めたときなんだけど。その・・・映像はつなぐわ。その時にそのグレポンを使って殲滅。後、注意なんだけどその弾を撃った後は少なくとも数百メートルは離れるべきみたい』
カルデアからも通信が繋がり、改めて合図の準備と近況報告を伝えてくれるロマニとオルガマリー。ただ、どこか歯切れが悪いと言うか緊迫感がどこか抜けている。遠目からでも見えるほどの巨体と威容を見せる邪竜に触手の怪物。確かにこちらにも感じるほどの熱と炎を吹き出し、こちらの怪物の軍団の地響きとは別の振動が伝わる。
これほどの相手を真っ向から、一番少ない中央でどう受け止めるというのか。アルトリアの宝具も邪竜のブレスと相殺となり、ストーム1の装備も昨日とは違うどころか銃器もなかった。華奈も武装は変えるつもりもなく、数名の英霊と僅かな銀嶺の仲間だけ。
「あの炎でジャンヌも華奈さんも焼かれていないかしら・・・心配だわ」
『じゃあ、通信をつなげるね』
カルデアの通信映像が繋げられ、藤丸の目の前に映し出される中央での戦闘。その映像は藤丸の予想を裏切り、そしてロマンに火をつけた。
「これで・・・これで今度こそあんたらを焼き尽くして、フランスを殺し尽くせるわ!! 邪魔すぎるし目障りだったのよ! 白い私も、ブリテンの英霊も! 私の邪魔をするな! 裏切られた復讐を果たすまでこの炎はやまないわよ!!!」
「ジャンヌ、貴女はなぜ立ちはだかるのです! こんな豚どもと一緒に守る価値のない、裏切られた国の民草を守って何になるというのですか! なにも価値はない! むしろ英雄すらもたやすく見捨てる腐った性根、それを守れという神すらも汚らわしい恨んでもおかしくはないはず! 立ちはだかるというのなら、そこの畜生もろとも潰し尽くしましょうぞ!!」
憤怒の炎と形相をほとばしらせ、触手の怪物、邪竜に指示を出して眼の前の敵、ジャンヌ・ダルク、華奈、アルトリアに攻撃を仕掛けていくジル・ド・レエとジャンヌオルタ。ジャンヌ・オルタ自身の放つ炎に怪物たちの巨体を活かした質量攻撃 、それに指示を与えるジル・ド・レエ。
「おっと、おお・・・巨人との戦いを思い出しますね」
「っと、やれやれ・・・こんな大きさではなかったですがね。大丈夫ですか? ジャンヌ」
「は、はい! ですが、お二人は大丈夫でしょうか!? あの方もいない・・・っぶ! ひ、ひひゃが・・・・」
それをひらりひらりと闘牛の攻撃をいなすように避けていく華奈とジャンヌを抱えたまま魔力放出で地面を滑るように避けていくアルトリア、そしてそのスピードの中で喋ったせいで舌を噛むジャンヌ。怪物の攻撃を逃げ回るだけで防戦一方。初激以降はアルトリアもエクスカリバーを放つことはなく、華奈もゴリアス99を牽制程度でしか使わないこともあって傍目からは一方的に追い詰める、嬲っているような光景にも見えないこともなく、これに気分を良くしたかジャンヌオルタは高らかに笑う。
「あっははははは!!! 踊れ、踊り狂え! 昨日の消耗が回復しなかったのかしら!? 余裕なその面をそのまま焼き尽くしてあげるわ! 私の復讐の悲願を邪魔したあんたらには塵芥にするだけじゃ収まらないわよ! ファヴニール! 全てを、コイツラの魂までも焼き払いなさい!」
邪竜の口に再び熱気で周辺の景色が揺らめくほどの熱、炎が集まる。再び放つ灼熱のブレス。更にはジャンヌオルタ自身も炎をたけらせ、漆黒の槍にまとわていく。そして互いの炎をひとまとめにして一気にうち放つ。人を害する怪物の中でも指折りの大物、邪竜ファヴニール。自身を裏切ったものをすべて許さないと燃え続ける復讐の聖女ジャンヌオルタ。二人の放つ煉獄すら生ぬるいと思えるような業火の波。
「ほら、今ですよジャンヌ。貴女の守りが、反撃の狼煙です」
「・・・・はい! 宝具開帳!」
そのタイミングに待ってましたと言わんばかりにアルトリアはジャンヌをおろし、ジャンヌもまた旗を掲げる。その旗は聖なる旗。それを掲げれば味方は奮い立ち、奇跡とも言える大勝を手にもした。
「
掲げた旗から放たれる神々しい光。旗から一定の距離を天使の祝福によって守護するものとなり、ジャンヌ・ダルクの規格外の対魔力を物理的な防御力としても行使。並大抵の英霊は愚か大英雄でもたやすくは砕けない鉄壁の守り。
それでも尚復讐の炎、あらゆるものを殺し尽くす獄炎のブレスには押され気味になるが、それすでに織り込み済み。サポートのために華奈の深山を突き刺して炎の勢いをそらす石壁を作り上げ、更には陽炎の力で邪を払う力でジャンヌ自身に襲い来る炎を和らげていく。更にはストーム1の用意していた、中央、左翼、右翼に配置していた筒が開き、守り、防具の強さをますガードポストが開いてアンテナ状になったかと思うと華奈たちに光を飛ばし、さらなる守りの布陣を整える。
時間にして十数秒、それでも永遠に思えるほどの時間を感じ、炎が目の前を見えなくなった後にジャンヌの目の前に映る景色は自身、華奈達の周辺以外は全て炎で焼け焦げて灰と焦土と化した地面、そしてこの攻撃に耐え抜いたジャンヌに怒り狂い、表情を歪ませるジャンヌオルタとなぜ耐えられたのか分からないといった表情のファヴニールだった。
旗を見るといくらかのダメージはあるものの、その美しさ、旗印はしっかりと残り、小さく息を吐く。
「はぁああ!!? 何であれを耐えるのよ! あんたみたいな田舎女がどうして!? 英霊としての馬力もないくせに! どうして、どうして!!!!」
「約束しましたから。もう一度オルレアンを開放すると・・・・・そして、もう倒れないと。それに、私だけではないです。神と、神が与えてくれた運命で来てくれた皆がいるから、助けてくれるから私は立っているのです」
開戦前に飛ばした自分なりの、拙い激。でもそれは自分の正直な思いであり、願い。その姿勢を、心を理解できず、理解もしたくないと憤るジャンヌオルタ。そして、どこまでもまっすぐで気高く、優しいそのあり方に一瞬目を奪われるジル・ド・レエ。
「ッッッ!!??!?~~~~~~~~~~!??!?」
そのあり方に目を奪われて忘れていた。もうひとりの戦力。怪物殺しの、ある意味では一番不明で、不気味な英霊、ストーム1の存在を。
気がつけば、地面かに転がる発煙筒。空にはなにかの輸送機が2機。どちらも特大のコンテナを積んでおり、それが発煙筒の上、ジャンヌの眼の前で投下された。どちらも脆くなった石壁をぶち壊し、灰を、焦土と化した土を巻き上げて地面につく。
「!?」
「なっ・・・!」
土煙が収まり、コンテナのロックが外れて中身が、シルエットが徐々に露わになるにつれて距離をとっていたアルトリア、華奈、そしてストーム1以外の全員が引きつった表情を、もしくは驚愕の表情を浮かべる。
「今度はこっちのターンだ。逃げられると思うなよ?」
一つは二足歩行型ロボット。丸底の足に腰に当たる部分は何らかの箱? がセットされ、頭部に当たる部分は顔もなく、両端には砲台が付いていた。その大きさたるや四階建ての建物よりも遥かに大きく、鋼の身体がまだ炎残る地面の上に堂々と佇む。
もう一つは戦車。しかし、その大きさと砲台、何もかもが規格外で陸上戦艦と言ってもおかしくないほどの威容を見せて威圧してくる。その主砲のデカさは城を壊すための特大サイズの大砲にも匹敵し、こちらを撃ち殺さんと睨みつけてくる。副砲ですらも並のものではなく、とことん火力、破壊力に特化した怪物。
決戦兵器プロテウス、巨大戦車タイタン。怪獣サイズの相手だろうともひるむこと無く立ちはだかる2つの兵器の登場に皆が視線を向け、そしてそれを用意したストーム1を見る。ストーム1はいつものレンジャーでもなく、昨日見せたフェンサーでもなく、レンジャーに近い格好。だが、フルフェイスのマスクに背中には巨大な通信機器らしきもの、アンテナを乗せたものを背負い、ゆうゆうと歩いてきた後にすぐさまプロテウスに乗り、銀嶺のメンバーもすぐさま砲台、中央に乗り、タイタンにもまた用意していた銀嶺のメンバーが乗り込む。エンジンが掛かり、現代でも見ることはないであろう馬鹿げたロマン兵器の塊が動き出し、邪竜、怪物の群れに、復讐者たちに向かって歩を進めていく。
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「あっははははは!!! っははははっははあっはあっっは!!あ・・・ひぃ・・・ひぃ、ヒィ・・・・なんだこりゃ! こんな兵器があったんだね! 戦車に二足歩行兵器!!! ああ、これはイイ! こんなおもしろ兵器を見せられるなんて! 帰ってきたらすぐさま解体したりして仕組みを勉強したい!! 華奈、ストーム1め、こんな隠し玉があったなんてフェンサーといい、しっかりと問い詰めなきゃ!」
「・・・・・・・うん、なんだろうこの特撮見てる気分。怪物がもう悪の戦闘員にしか見えなくなってきた。しかし、あのガードポスト、守りの全体補助だなんてこれは凄い・・・カルデアにも配置できないかな?」
「あ、あんな乗り物を・・・複数? しかもあの守りの宝具とか、昨日の槍とか・・・彼自身のスキルを考慮しても・・・とんでもないジョーカーね。クラスチェンジに武器の譲渡でも異常なのに。本当に凄まじい英霊・・・私も、理解しなくちゃ」
「おぉ・・・・華奈さんこれを持ってきたか。うん、そりゃああのゲームしているなら考えるだろうけども・・・あ、合図だけど藤丸くん理解できているかな?」
「あ、姐さん・・・・うん、もうなにするかわかったなあ・・・アルトリアさんも」
「かっこいい・・・・・・・」
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『藤丸君! 合図だ! そのグレランを敵の方に打ち込んで!』
巨大戦車と二足歩行決戦兵器が巨大な竜と触手の怪物に立ちはだかり、敵の群れの中に進んでいくという特撮映画、ロボットアニメじみた光景を映像越しとは言え見せられ、すっかり男の子回路前回の藤丸のほうにロマニからの声が飛び、しばし見とれていた藤丸も我に返る。
「りょ、了解です。マシュ、クー・フーリン下がって!」
「はい!」
「問題ねえマスター!」
最前線にいた二人が戻ったことを確認し、すぐさま背中に下げていたグレランを手にし、敵の中央にめがけて打ち込む。赤い煙を巻き上げながら発射した弾丸は着弾してもパン! と小さな爆発をしただけ。大爆発、もしくは毒ガスを考えていた藤丸は煙が風に流される様子を呆然と眺め、風に煙が全て流され切る前にもう一つ変化が起き始めた。
我先に我先にとワイバーンが着弾地点に殺到し始め、まるで母豚に群がる子豚のように、あるいは砂糖菓子に群がる蟻のように互いに押し退けあい、押しつぶし、爪や牙で傷つくことすらも厭わず殺到している。
『うひゃあ!? なんだこれ! さっきまでいたワイバーンたちが回れ右して着弾地点に向かっていったぞ!?』
他の戦場でも同様の変化が起きているようで遠目からも空に散っていたワイバーンが一箇所に集まり、ここを含めて3つの地点に黒い肉の渦が出来上がっていた。きっと空からこの光景を見れば黒い雲がキレイに分かれていく光景が見えていることだろう。
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「久々だったけど、あれだけの量があれば作れるものね。メディアさんの助けもあって一番の出来かも」
「ふふふ・・・ワイバーンのフェロモンや糞尿に血。集めるためのものを凝縮し、そういう概念を活かした魔術を仕込んだワイバーンホイホイ。さすがはアンナ。いい仕事するじゃないの」
「海魔は宝具みたいだし用意は難しかったけど、ここまでできれば問題はないね」
「ええ。後は華奈様達の攻撃であの怪物たちを倒すだけ。ストーム1様のあのメカとジークフリート様の攻撃でもう決まるでしょうね」
「うっわ・・・少し気持ち悪いわね・・・道具の素材と考えればお金の山なんでしょうけど」
「現代の魔術師の私達からすれば文字通り金の延べ棒が集まっているような状況です。いくつかはご飯になるんでしょうけど」
「あ、それなら今度は炊き込みご飯にするとか言っていたわね」
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「こ・・・・これは・・・! これほどとは! 砲兵! 全砲門をあのワイバーンの群れに放て! 一匹も生かして帰すな! ここで叩くのだ! うてぇええい!!!」
ワイバーンの戦力が減り、一気に楽にあった戦場の変化を動揺しながらも逃すはずがなく、ジル・ド・レエ元帥はすぐさま指示を飛ばし、先程まで自分らを食い殺そうとしていた怪物を殺せる千載一遇のチャンスを手にするために吠えるように指示を飛ばす。
「了解! 一斉射! ってえぇ!!」
それにすぐさま応えるはフランスの軍の中でも指折りの勇猛な砲兵隊。鉄くずやワイバーンの牙を詰め込んだ散弾、ぶどう弾でワイバーンに絶え間なく砲撃を続け、砲身にヒビが入ろうとも決して引くことはなくワイバーンだけに攻撃を打ち込む。
それをモロに受けてワイバーンはみるみる数を減らし、それと同時に兵士の声と砲声が戦場に響き渡る。海魔はまだ残っていたが怪物の戦力を半分、それも砲兵の一部隊で対処して抜群の効率で屠っている。危険であるのは確かだが、空中からの強襲ではなく白兵戦で対処できる分兵士との相性も悪くはない。
むしろ防衛陣地や高まる士気の効果もあって守りの姿勢は変わらないが決して心は折れることはなく、敵を殺さんと吠え立てて武器を振るう兵士が増えていくばかり。
「根性見せていいじゃないの子豚共! ほらほらほらぁ~~! ライブも戦争も燃え上がってこそよ! 次のナンバーいくわよ!」
「今こそ反撃の時! さあ、竜も恐れるものではなく倒せるものなのです! 皆で竜殺しになりましょう!」
そしてそんな兵士たちの戦う姿に指揮官、前線を支える英霊達も振るいたち、薄い部分や敵を効率よく刈り殺せるように動き続けていく。
「何なのよこの化物は!! ファヴニール、焼き尽くせ!」
眼の前にゆっくり、ゆっくりと歩を進めてくるプロテウスとタイタン。巨大な鉄の塊がジリジリと迫りくる様にファヴニールに指示を飛ばして迎撃を試みるジャンヌオルタ。しかし、その程度の、一度の炎程度で壊れるようなやわな作りをしている乗り物ではなく、EDF謹製、異星人との戦争でも戦えるその頑強さを遺憾なく発揮し、一部の装甲を溶かされようとも問題なく動き続ける。
「よし。砲撃開始、敵の動きを止めることこそ肝要と捉えろ!」
ストーム1の無線機で指示を飛ばし、いよいよ2つの兵器の砲が火を噴く。タイタンの主砲から放たれる自身の体すらも後退させる反動で放たれるレクイエム砲で超巨大海魔の身体を吹き飛ばし、副砲から放たれる巨大な砲弾が触手を引きちぎり、こちらを締め上げ、引きちぎろうとするそのうねるムチを次から次へと穿ち、切断していく。
プロテウスもそれに負けじと2つの腕のように付いている砲塔から砲撃を開始し、ファヴニールの翼と顔を重点的に、間断なく撃ちまくる。たとえ鎧のような鱗や皮を持っているファヴニールであってもストーム1の特攻スキルが突き刺さり、衝撃と連射に炎を吐けどもさほど動けず、互いに真正面からの殴り合いを強制される。
それを邪魔しようとジャンヌオルタもワイバーンや海魔に指示を飛ばすがワイバーンは強力な餌につられて動けず、海魔は来ても腰の部分にあるミサイルがいくつも飛び交って海魔を爆散。ジャンヌオルタの用意した切り札は2つともストーム1の用意した兵器に完全に押し込められる形になった。
「っち・・・! ダメージは食らっているのならいずれ壊せるんでしょう!? やってやるわよ!」
しかし、ジャンヌオルタもプロテウスやタイタンの消耗具合に目をつけ、同時にファヴニールの様子を見て時間さえかければこの2つも破壊できると思考を切り替える。今すぐに壊せるわけではなさそうだが、ダメージレースならこちらの方に今のところは軍配が上がっている。変な黄色い筒の防御加護で先程は白いジャンヌは完全に攻撃を防がれたが、この2つのメカは攻撃型の宝具、ないし防御は装甲に頼る部分が大きいのだろう。
なら焦ることはない。物量作戦はまだ終わっていない。少なくとも、中央のジャンヌオルタにジル・ド・レエ。二人の持つ聖杯に魔術の本で怪物を召喚できる限り増援は呼び出すことができ、変な薬に惑わされるワイバーンではなく海魔を呼び出して白兵戦で押しつぶせばいい。
そうだ、互いに主力を押し留めているのだ、そしてその切り札の切り合いはこちらが勝っているのだ。焦ることはない。丁寧に、念入りに目の前のゲテモノ兵器を鉄くずに変えてしまえばそれであのへんてこな軽口男を潰して怪物を塵芥に屠る敵の戦力を減らせるのだから。
「ッハハハハハハハ!! なぁあんだ! 大したことはないのね。ただデカイだけの鉄くずじゃないの! そこら辺のカノン砲がまだましよ。そのままあんたらの棺桶にしてあげるわ!」
「押し返せてはいるがそれだけ! 所詮は我らの復讐を止めるにはそれだけじゃ足りないのですよ! いえ、幾千の武器であろうとも、炎であろうとも止められないのです!」
気勢を上げ、ますます炎の勢いを増す邪竜の炎の渦はもはや質量を持った壁とも思えるほどで、タイタン、プロテウスの装甲を溶かしていく。
砲塔を冷却するためのシステムは用をなさずに赤くなり、関節部分は溶けた金属が絡まるせいで動きが鈍る。ギギギ・・・・と嫌な音を上げ、無理に動かそうとするせいで装甲やパーツが歪み、ひしゃげている。
しかし、それでも進み続けるタイタンとプロテウス。一見無理な進軍だが、その実効果はあった。炎や怪物の大部分を真っ向から引受け、対処しつつ進み続けるお蔭で白いジャンヌへの被害は大変軽いもの、それこそガードポストの保護効果だけで対処できるほどに。
そして、その余裕から残しておいた銀嶺隊の兵士に渡しておいた武器をその兵士は何の焦りもなくタイタンとプロテウスに構え、弾丸を発射した。
「援護が来たか! よし、進軍を継続! 全部気合と一緒に敵に撃ち尽くすまで撃ちまくれ!!」
緑の粉塵の大爆発が起こり、その爆風たるや炎すらも押し返し、2つのメカのシルエットすらも隠してしまう。数度の緑の爆発が起こり、その直後に煙の中を現れるは装甲の融解、砲塔の冷却すらも済ませて完全に復活をしたタイタンとプロテウス。
リバースシューターの爆煙、そしてそのナノマシンで修復を終えて一直線に突き進み、ひたすらにファヴニール、大海魔に肉薄して抑え込むための砲撃を叩き込み続ける。その砲撃を持ち前の再生力で耐える大海魔、装甲で耐え抜くファヴニール。しかし、その邪竜ファヴニールから余裕の色が消える。
「あぁあああ~~~!!! どこまでしぶといのよ・・・・・? どうしたのよファヴニール? 何を怯え・・・・」
「・・・・・ここまでやつを押さえつけ、俺の接近を可能にさせるとは・・・本当に何もかもがハチャメチャな戦士たちだ」
指輪を外し、英霊としての気配を露わにしてゆうゆうと剣をファヴニールに構える精悍な男性。軽めの鎧に長い髪、そして、鋭い眼光に戦意を乗せて真っ直ぐに、怯みもせずに邪竜を見据える。
「な・・・何よあんた」
「分かっているだろうな。逃げられん、そして火を吐いても無駄だ。お前の悪行はこれ以上はできん・・・」
その仕草一つ一つに、歩み、距離を縮める度に邪竜は動揺し、怯える。かつて自身を殺した英雄が来た。天敵が、最悪の敵が。逃げたい。逃げて、殺すにしても機をうかがうか自身の頭の上で檄を飛ばす主に手を貸してもらって貰うべきだ。そう考える。
だが、それもできない。空に逃げるための翼は砲撃で動けなくなっている。炎を吐くための口にも同じ。地面を蹴るための足はミサイルで足場を崩されて今すぐには動けない。主も、動揺しているのと何度も撃たれている砲撃の衝撃で自由が効かないのか動けていない。そして、何よりもあの英雄が今すぐにでも自身を殺せる距離にまで近づいてきている。
「俺がこの場所に呼ばれた役割を果たすために、お前に民草を殺させないために。この機会と、暖かな食事をくれた恩に報いるために・・・今一度倒れてもらう・・・・・ファヴニール!!」
剣を構え直し、柄の宝玉に溜め込まれた神代の魔力を放出して剣気と共ににまとわせる。すると、そのただでさえ巨大な長剣にはその数倍の蒼い光の柱がほとばしり、赤と黒と緑に染まった戦場を蒼く照らし出す。
「ジャンヌ! お・・・・・さい・・・は・・・・その・・・・・・え・・・・れ・・く・・・」
魔力の爆風と砲撃の嵐で叫ぶジル・ド・レエの声もまともに通らない。ファヴニールの様子と英霊の関係にようやく察することが出来たジャンヌオルタも指示を飛ばすもすでに手遅れ。わざわざ接近し、執拗なまでに攻撃をし続けて視界と耳を集中させ、さらにはこちらの攻撃と緑の爆煙で何度も意識をそこに向けられることで接近をまんまと許してしまった。魔力の放出は臨界点に達し、ジークフリートはその竜を殺す技、宝具を開放して上段から振り抜く。
「
放たれた剣気と神代の魔力、新エーテルの一撃はファヴニールの胸のど真ん中に命中。タイタン、プロテウスの砲撃の雨あられにもダメージを与えることが叶わなかった鱗も皮も全て切り裂いて砕け散り、その巨体を支える筋肉を、骨を外気にさらして血の噴水を吹き出させる。
「■■■■■!!?!?!!!?」
心臓を切られてなおも苦しさでもがき、生き抜こうと暴れるファヴニール。その竜種としてのふざけた生命力と生きようともがく生存本能はすぐさま力尽きてもおかしくない体に活力を与え、飛び立とうと羽を必死に羽ばたかせようとし
「ゲームセット・・・これでおしまいだ」
ストーム1の搭乗していたプロテウスの2つの砲門が一気に頭部を打ちのめし、ミサイルの雨をファヴニールに叩きつけて動きを鈍らせる。それを見逃すほどジークフリートも馬鹿ではなく即座にファヴニールに肉薄、足から駆け上がって首に近づき、一閃。
巨大な邪竜の首は綺麗に転げ落ち、ズゥウン・・・・と地面に落ち、しばらくした後完全に光を失い、息絶えた。
「・・・大将の方も、上手く行ったようだな」
「は・・・? え、あ・・・ジル・・・え、じ、る・・・・・・・?」
ファヴニールが倒れ、自身も地面に落ちたジャンヌオルタもすぐに身を起こし、プロテウスの運転を止めて降りるストーム1に殺意を向けるも、こちらのことなど我関せず。そして自身の感じる気配、その中で自身の一番近くにいたはずの相手、そしてあの威圧感を放っていた大海魔の存在の消失。ストーム1の視線の先にはタイタンに乗っていた、そう思っていたはずの二人の女性が立っており、ジル・ド・レエが持っていた聖杯を手にしていた。
宝具の所有者の消失。宝具の損壊、更には魔力の源泉の所有者変更。これにより、周辺に地面を埋め尽くすほどいた海魔も動きが鈍り、消えうせていく。残りのワイバーンも一塊になっていたせいですぐさま対処されていく。
「ミッション完了。これで特異点は直に解決でしょうけども」
「まだ、彼女をどうにかしなければいけませんね」
それは、ジークフリートがファヴニールに宝具を放つ少し前
「何だ、あの怯えようは・・・まさか、まさか・・・・!」
大海魔の攻撃ではファヴニールの炎に自身の触手も焼きかねないと判断し、タイタンの相手のみに集中していたジル・ド・レエ。しかし、一度緑の爆風で炎を攻撃も弾き飛ばされ、少しの間の隙間が入ったその瞬間、現れた存在。そしてそれに異様なまでの反応を示すファヴニール。
クー・フーリンにも、アタランテにも古代の大英雄たちにも何ら反応を返すことのなかったあの邪竜が怯えている。眼の前の鉄の怪物たちにすらも少し面食らっただけですぐに反撃を開始していた。そうなれば本能的な恐怖、もしくは、かつて邪竜を下した英傑、天敵の存在。
そうでなければ物量戦でそれこそ英霊の存在は必要な駒。一人でも欲しい存在をここまで隠す必要はない。
(こちらがあちらの動きを監視できるように・・・あちらも何らかの手段でこちらの手段を察知して・・・・もしくは読まれていた! あの馬鹿コンビのメチャクチャな戦い方と、戦略的価値を含めてまんまと意識を釘付けにされすぎた・・・・!)
ワイバーンに海魔という怪物を、竜を屠る上で強力なジョーカーをあえて隠し、全力を最大限暴れられる距離で振るう。そして、あの化物2つを維持させる保険も使いつつ、確実に、投入できる最高火力で屠る。そのためにもわざわざ派手な手段を用い、何度も視界を塞ぐ真似をし、攻撃が通らず、足止めがせいぜいという不利な状況も少し「演出」してみせた。
「ジャンヌ! お逃げください! あれは危険です! ここで投入されたということは相手の切り札です!!」
おそらく邪竜は倒される。そして、その次はこちら。再生力で対処してはいたが、あの戦車の火力に加えて二足歩行のヘンテコ兵器の砲弾とミサイルの攻撃まで加わればこちらの大海魔もなにも出来ないままにミンチにされるのがオチだ。よしんば物量で張り合えてもあちらにも回復手段はある。殴り合うのはあちら側からすればむしろ望むところだろう。
他の戦場でもこちらが不利に動いている。だからこそここで確実に勝ちを拾えるようにしたはずなのだが、そうでは無かったようだ。
まだ勝ちの可能性はあるかもしれない。ただ、それを拾うには今はここを離脱する必要がある。相手の次の手が打たれる前に。
「お逃げください! ジャンヌ! お逃げください! それはいけない! その英霊は天敵! その英霊はおそら・・・・く・・・?」
「遅い、そして、意識を簡単に移しすぎです」
全力で声を出すジル・ド・レエ。しかし、それも砲撃と爆音に遮られ、満足に届かない。宝具の解放までされ、大海魔を壁にしようと魔力を流し、指示を飛ばそうとしたが、果たしてその本を握っていた手は切り落とされ、本は目の前で剣に突き刺され、魔力で消し飛ばされた。
「私達がタイタン、プロテウスに乗っていると思っていましたか?」
銀の髪の女性、憎き女がジル・ド・レエの両腕を両手に持つ脇差で切り落とし、更には金糸の髪の女性が背後から右に持つ聖剣でジル・ド・レエの首を横薙ぎに斬りとばす、そして念入りに心臓の部分にもう一振りの聖剣を華奈と共に突き刺し、完全に霊核を破壊。復讐に燃える堕ちた英雄は。二度目の生を手にしても尚道半ばに潰えた。
「聖杯確保完了。ふぅ・・・アルトリア様、大丈夫ですか?」
「問題ないです。大成功でしたね。ジェット突入作戦」
聖杯を確保し、敵の片方を倒した二人は魔力も宝具の持ち主も消えた大海魔の消滅から逃げるようにその消えかけている肉塊を足場に降りていく。
今回の作戦もシンプルなもの。ひたすらに派手な手を打ち続け、隙を見計らって敵の片方を確実に倒すというもの。タイタンとプロテウスという巨大な乗り物で目を引き、その火力と頑強さで目を引いている間にアルトリアと華奈は一度縮地と魔力放出で戦線から一時離脱。ファヴニール自身の放つ炎と敵の群れ、白いジャンヌにタイタン、プロテウスを操る目の敵のストーム1に視界も意識も持って行かせ、聴覚は爆音と炎、更にはこの数の行軍で地響きや音も相当なもの。女二人が離脱するのは訳もない。
そして、ワイバーン対策の戦況の変化、リバースシューターの爆風と視界妨害、そして回復する乗り物の仕切り直し、その中から出てくるまだ隠していた戦力に意識を引かせる。そうしている間に今度はアルトリアの聖剣2つからの魔力放出でのジェット噴射で一気に距離を詰め、怪物の上にいるうちのどちらか、今回は司令塔であろうジル・ド・レエを狙い成功。
ひたすらに派手に戦い、順番に用意しておいたカードを切る。それに気を取られたうちに敵の大将の虚を突いて本陣に接近。そして首を取る。戦術としては初歩的なもののいくつかを組み合わせたもの。しかし、その組み合わせがこの戦場と敵将に噛み合ったことで効果は絶大。
「ミッション完了。これで特異点も直に解決でしょうけども」
「まだ、彼女をどうにかしなければいけませんね」
戦場の趨勢はほぼ完全に決した。しかし、大将格はまだ残っている。竜の魔女。この戦いを、特異点を引き起こした元凶の一人。彼女を完全に討ち果たさなければいけない。
ジル・ド・レエを討ち果たし、聖杯を確保した後であってもアルトリアと華奈の目には緩み、油断は一切なく、剣を抜いたままジリジリと距離を詰めていく。
遠くからはもう周辺の敵を鎮圧したのか藤丸達の声も聞こえ、こちらに近づいてきているようだ。このフランスでの最後の戦いが終わろうとしていた。
~???~
???「うっはははははははは!!! なにあれ! 何じゃあれ! 鋼鉄のからくりに回復する緑の爆煙!? 炎も鞭打も意に介さずに進み続けるとかマジ欲しいんですけど! しかもその後からのロマン全開の真っ向の殴り合いじゃなくて伏兵に不意打ちとか、いろいろと期待を裏切っていって面白すぎるじゃろ!」
???「しかも、その不意打ちもお見事。剣の腕もそうですが、相当に修羅場なれしているようですね。まあ、英霊ですから当然でしょうが。一緒に仕事ができたら楽しいでしょうね」
???「あの最新式の銃に美味しい料理に狼すらも軍隊規模で従える。兵士の戦いぶりも悪くはない。ふぅむ・・・・よし! 決めた! ワシ、あそこに行く!! ワシの物語第・・・・何部じゃ? 分からんが、とにかくあそこに行くんじゃ! そうと決まれば土産じゃ土産! 仮にも働きに行くんじゃし! あ、感状って必要かのお?」
???「え? は? ちょっ! ちょっと待ってくださいよ! いきなり過ぎませんか!? しかも感状とか貴女送る身分でしょう!?」
今回でファヴニール退場。そしてジークフリート大手柄。ジル・ド・レエも退場です。
フェロモンなどの成分を使った特性のワイバーンホイホイ。そしてそこに英霊や砲兵の火力を一気に叩き込んでぶっ飛ばそう作戦。ブリテン時代に戦い続け、そして自身の部隊にもワイバーンがいた魔術師、アンナと天才若奥様メディアの二人だからこそ出来た代物と言ってもいいのでしょうか。
タイタン、プロテウスは共にEDFシリーズでは大型の頼れる兵器、そしてネタ方面でもプレイヤーに愛されている兵器ではないかと思っています。
巨大戦車マウスよりも巨大であろうタイタン。EDFシリーズでも歩兵の壁役、相手を押し込む火力役として登場しています。デカさには皆興奮する部分があるかも。
プロテウスは4人乗りの決戦兵器。シリーズでも切り札のような扱いで登場するステージもあります。そして、実際に使いこなせば本当に強いです。敵の巨大兵器同士の殴り合いも普通にできちゃうほどには。
そして、ストーム1の3つ目の姿。エアレイダー。いわば戦場の指揮官、司令役とも言えるタイプの兵種で衛星兵器や空爆、砲撃の要請、味方を助ける防護壁や今回のガードポストのような攻撃力や防御力を上げる変わった装置を使用できます。
他にもレンジャー以上に多種多様な乗り物を戦場に送ってもらうように要請できるので色んな意味で味方との連携が取りやすい兵科かもしれません。
後2話くらいでフランスは終了。になるかもです。ペースが遅い上に駄文ですが、これからもどうかよろしくおねがいします。
それでは皆様また次回まで、さようなら。さようなら。