転生愉悦部の徒然日記 作:零課
~華奈たち~
華奈「今回の勲功一番はジャンヌオルタ様、二番に藤丸様とストーム様ですね。何か欲しいものはありますか? あ、さすが武田。金が多いですね」
(ハチたちを砦の監視に残してみんなで武田の物資漁り)
アルトリア「今回は私の出番もなかったですね。おお、酒もちらほら、行商隊で買ったものですか。いい香り」
魔人アーチャー「これなら残りの奴らにもいろいろ褒美の色を付けられるのお。うっはっは! やはり勝利後のお宝漁りはたまらん!」
ジャンヌオルタ「あれだけ用意されては応えないとさすがにバカでしょう? ですがまあ・・・そうですね。今はおいしい食事でも。甘いものでもできませんか?」
藤丸「あ、賛成・・・ついでにお茶も」
ストーム1「お、ほれこれなめな。飴ちゃん。それと水な。マシュちゃんも飲んでおくといい、英霊の力があるとはいえ熱かったろ?」
マシュ「あ、ありがとうございます。あの大爆発にさすがに汗をかいてしまいました」
ロマニ『そりゃあ、ともに高火力の宝具を組み合わせた一種の対軍宝だもの。相性も良かったみたいだし熱波だけでも危険なのは納得だ。バイタルは正常だけどあの組み合わせはマスターの備えができてからだね』
華奈「おかげであの数を一網打尽、おかげでまた食料に銭がたくさんですよ。ふむ・・・小豆に米・・・もち米もありますし、ちょうどいいです。汁粉でも作りましょう。しぶーいお茶でもつけて」
アルトリア「汁粉ですか! 大きなおもちも是非!」
ロマニ『また僕たちの分も頂戴。話を聞いていたら小腹がすいてきちゃった』
ストーム1「この数ならカルデアの銀嶺や英霊に配ってもおつりが来そうだなあ。しばらく小豆フェアでも開けそうだ」
ジャンヌオルタ「確か日本の甘味でしたか? 私の口に合えばいいけど」
桜セイバー「はぁ・・・今回も活躍なし、私いい所見せられてないですよ」
上杉アルトリア「私のライバル武田はあなた方が倒したのですか・・・その兵糧は私が狙っていたもの! 寄越しなさい!」
オルガマリー『アルトリアが二人!? っていうかまたアーサー王が!!』
アルトリア「なあに私の顔で山賊まがいのこと言ってんですか恥晒しいぃいぃいいっ!!?」
藤丸「自分との対決?」
華奈「いえ、別人でいいのでは? アルトリア様本人と後世の作品のアルトリア様ですし、そっくりな別人で。あ、始まった」
「私が食べるはずだった食料を渡しなさい!」
「誰が渡すものですか誰が! いきなり出てきて食料奪おうとする奴、そして私たちの甘いおやつを寄越すものですか!!」
いきなり始まる同じ聖剣使い同士、同じ顔が違う衣装に身を包んで戦っている異色すぎる対決。ヒロインXことアルトリア・ペンドラゴンご本人と上杉アルトリアことアルトリア・ペンドラゴン。互いに食料を狙い、ヒロインXのセイバー、しいて言えば自分と同じ、そっくりな顔の相手をぶっ殺そうとする殺意の入り混じった戦い。
レベルの高いシュールでカオスな戦いは黄金の光と爆風で巻き上がる砂塵に覆われて大変激しいものとなり、ちびノブたちも巻き込まれないように距離を取って一騎打ちを見守る形となる。
「やれやれ・・・確かに食糧、資金難は織田家以外ではよく聞きますけども・・・奴隷売買とかも基本やっていた地域も多いらしいですしね・・・あ、少し甘味がないですね」
「ぶっちゃけ、織田の立ち回りと経済政策の当たり具合、規模がすさまじすぎるんじゃないか? よし、いいもち米だ。正月に使いたいくらいだなあ」
『こっちはなんだか正月みたいな空気と様子だけどさあ、いいの!? アルトリアさんだけに戦闘任せきっちゃって! あのアーサー王だよ!? しかも名将の上杉謙信まで入っているらしいじゃないか』
一方でこちらは岩を切り崩してかまどにしてから寸胴鍋で汁粉を用意する華奈にもち米と臼をつかって餅つきを開始しているストーム1。となりの戦場からごみが飛んでこないように紫式部とメディアの防壁を用意して完全に打ち上げムード状態。
さすがにロマニもツッコミを入れ、マシュたちもいつでも入れるようにしてはいるものの、ここで一番戦闘経験が豊富であろう二人の空気と様子にどうしたらいいものかと戦場と華奈たちを交互に見ておろおろしている始末。
「ロマニさんもお気になさらず! このセイバーキラーの私にかかればこの私程度など瞬殺! 何使おうが無駄無駄無駄無駄!」
「というわけですし、まあ気楽にしましょう。さてと・・・はーい、二列に並んでくださーい。飲み物は藤丸様のところから取ること。喧嘩したら餅抜きにしますからね」
「甘い香り・・・いいじゃない。お箸も練習したし、ゆっくり食べてこの勝負を眺めましょう」
完全に何かのイベント同然、むしろこのアルトリア同士の一騎打ちをイベント扱いしている節すらあるカルデア陣営。ちびノブたちもしっかりと並んで汁粉と飲み物をもらい、近くの地面にむしろ、ゴザを敷いて見学する。ジャンヌオルタは箸を少し自慢げに使い、香りと味を堪能。
「くっ・・・! この甘い匂いでお腹が・・・おのれ空腹を誘って力を抜けさせるとは何たる作戦!」
「それでつられる作品の私・・・ええい! ささっと倒してこの気持ちをお餅と一緒に飲み込んで切り替えましょう」
その香りにつられる二人のアルトリアの叫びと止まない剣戟を響かせながら青空の下に炊煙と粉塵が巻き上がっていく。
「・・・平和ですねえ・・・お、お餅おいしい。いい出来です」
「ぁあ・・・この甘さがいい・・・染みるなあ・・・」
「ふぅ・・・所詮作品の世界で終わった私と、妖精郷と宇宙で鍛えていた私では経験も違うのですよ!」
「うふふ。お疲れ様でしたアルトリア様。今回はアルトリア様が勲功一番。さて・・・何を用意しましょうか?」
結局、一騎打ちは妖精郷と宇宙をまたにかける生活を1500年近く農業しつつ激闘、修練を繰り広げたアルトリア本人に軍配が上がり、見事なまでの圧勝劇で勝利。お汁粉の鍋を心底羨ましそうな目で見ながら退去していった上杉アルトリアに容赦なくエクスカリバーをぶっ放してすがすがしい笑顔のアルトリアの頭を撫でながら手にした物資とアルトリアの笑顔を優しい笑顔で眺める華奈。
「うぅう・・・本当に、本当に活躍の場がない。アーチャーのほうはしっかり活躍しているのに・・・いくら何でも最強の私がこうなんて変ですよー!」
「うっははは! まあ、わし普通に大将としての経験も多いからネ! 人斬りサークルの行ってきた作戦とは規模の違う作戦から小規模作戦もやった経験が違うんじゃよ!」
これとは対照的にこれまで大きな功績がなく、むしろ吐血やらで倒れて看病される記憶しかなく落ち込んでいる桜セイバーに魔人アーチャーは容赦なく煽ってくる。自身は作戦立案に砦建設の指示を出したりと功績や結果を出しているゆえに桜セイバーも殴り返しはするものの表情は晴れず、落ち込んだまま。
「むぅう・・・覚えていなさいよアーチャー・・・」
『まあまあ、焦ったって敵は出ないわよ・・・で、華奈。移動するのはいいけど、どうするの?』
「町に行って情報を集めようかと。あの砦に籠るのもいいですが、聖杯がどこかに固定されている可能性も捨てきれないので」
一行は砦を抜けて一路街を目指して移動中。新たに仲間になったちびノブたちと今川戦以降仲間になったちびノブを残して聖杯の探索に移動。一時拠点は出来ているし、情報収集のための行商隊はいるのでこちらからも移動してこのいろいろとなじみ始めているが、ちょっとした特異点。聖杯や何らかのリソースでできている場所なら、人、何らかの情報や特徴のある場所を探すのが手の一つだ。
「さすがにここで商人になっても聖杯を見つけられるかはわかりませんしね。・・・・・ん?」
ずっとここで籠って相手を待つよりも情報収集をしたいと思っていた藤丸も賛成し、一部を除いて意気揚々と出発しようと思っていた矢先に何か音を聞き取る藤丸。
「・・・足音・・・軽装ですね。鎧の音がしません」
「・・・・・えー・・・クー・フーリンが走ってきているぞ。おーい、双子っていたっけ? クー・フーリン」
『いや、いねえいねえ。多分ここの聖杯に召喚された俺だろ。気にせずぶっ飛ばしとけ』
その音から相手の武装度合いを感じ取る華奈。ハーキュリーのスコープでストーム1が音の方向を見てみれば朱槍を構えてちびノブと一緒に走ってくるクー・フーリン。カルデアのほうにいるクー・フーリンに連絡を取ればジャージ姿で鍬をもって応え、カルデアのクー・フーリンの暴走ではないことと、吹っ飛ばしてよしのお墨付きをもらい戦闘態勢を整えていく一行。
「はっ! 最近ここらで暴れているのはお前らか! 俺らも少しここらを手にしようとしてから邪魔なんだよ! ってことで心臓置いてけやあぁあああっ!!?」
「むん」
「っしょ」
ぎらついた瞳とそれ以上に赤く燃え上がっていそうな闘志を見せつけて駆けてくる青の槍兵の部隊。前もって察知できていたので特に気にすることもなく華奈は桜花を抜いて斬撃を二つ飛ばしてクー・フーリンの両腕を狙うかのように飛ばし、ストーム1は逆にクー・フーリンの心臓めがけてハーキュリーをぶっ放す。
「っとと! いきなりかよ!!?」
「いきなりわしらの心臓狙うような奴には容赦はせん! ちびノブらはわしが受け持つ! 華奈先輩、サポート頼む!」
「了解です。この数なら対処もたやすい。マシュ様、いつもトレーニングしている相手です。落ち着けば大丈夫です。藤丸様、ストームの近くに。桜セイバー様とジャンヌオルタ様はマシュ様と一緒にぶつかってくださいませ。ストーム。藤丸様を護衛しつつ私とマシュ様を気まぐれサポート。アルトリア様はストームと一緒に動いてください。良馬様」
『今のところ後続の部隊の気配なし。そのままぶつかって問題ないです』
いきなりの攻撃にたじろぐクー・フーリンをしり目にそのすきを利用してマシュ、ジャンヌオルタ桜セイバーが前衛に立ち、ストーム1、アルトリア、藤丸は後で銃を構えてバックアップ。その左右を魔人アーチャーと華奈が左右を固めつつ銃と刀で固める。
「心臓をもらうのはそちらだけではないですよ! あなたの首で私も勲功一番、アーチャーたちに負けるのは嫌ですから!」
「ふん、数もせいぜいが3000程度。一気に叩き潰してあげるわ」
「そう簡単に行くと思うなよ。行くぜ野郎ども!」
しかしクー・フーリンもすぐさま部隊の突撃態勢を整え、再度攻撃を再開。平地での戦端が開かれた。
「ちっ・・・英霊の数も少しばかり報告よりも多いが、連携もできていやがる・・・おい、撤退だ! これ以上は無駄死に。さっさと逃げるぞ!」
戦いが始まってしばらく。数の有利を活かして包囲を行おうとしたクー・フーリンの部隊と、前線と後衛を分けつつどちらもサポートする組み合わせがうまく機能してくれたおかげで数の不利を質で補い戦えていたカルデア側。
しかし、数がじりじりと減らされることでこれを長く続けては不利と判断したかクー・フーリンが撤退の合図を出し、クー・フーリン軍は一同撤退。
「おや・・・?」
「撤退・・・ですか」
「あ、待ちなさい! 戦いを挑んでおいて逃げるなんて、首置いていきなさい!」
撤退していく部隊にいの一番に追撃を仕掛けていく桜セイバーにジャンヌオルタ。
「あ、ちょっ! マシュ、一応は追いかけよう」
「はい。華奈さん。大丈夫ですか?」
「敵の後続が来たらすぐに撤退を。それと、カルデアからの英霊を呼び出すことも視野に入れてください。・・・・・きな臭い」
マシュと藤丸も先行した二人の後を追いかけることになり、華奈もゴーサインを出したことで二人のすぐに走り出す。一方で華奈はなにかを感じ取ったことで追撃には移らず何かを考え、アルトリアも直感で策の臭いを感じ取り、ストーム1も自分の今までの、数百もの戦場を渡り歩いた経験できな臭く感じたかあたりを警戒。
魔人アーチャーも三人の様子にノリの良さで動くことはせず、首をかしげる。
「どうしたんじゃ? 三人して難しい顔して」
「いえ、クー・フーリン様に武将の因子が混じったあの方が、何らかの勝機もなく、備えもなくぶつかりますかねえと。個人としてならまだしも、軍人、将官として何の備えもなしに撤退というのもきな臭い」
「それに、報告と言っていたので私たちの情報もある。英霊の数の質も、数に至ってはあのナマモノたちも拠点に置いてきたのに計算違いと言っていた。おかしいのです・・・」
「拠点にも敵の気配にのろしも上がっていないし。あれじゃねえか? 逃げた先で包囲戦をかますとか。ほれ、日本の武将で有名なのがいただろ? 島津」
その答えに納得がいった魔人アーチャーも頷き、武将の表情に切り替わり、鋭い目つきで一同が走っていった先を見ていく。
「確かに小さいが兵を隠すのにうってつけな場所もいくつかあるし・・・ふぅむ。マシュにジャンヌオルタがいるなら持ちはするじゃろうが・・・わしらまで行くのは得策ではないのお」
「ですのでまあ、私たちは片翼をつぶして、そのうえで戦うのがいいでしょう。黒介、マチコ。敵のにおいをかぎつつ先攻を。私も栗毛に乗っていきますから、皆様は私の後ろからどうぞ」
「俺もいくぜ。ガンナーの目と、スコープで先導役もやろう。マシュちゃんたちが少し不安だしな」
作戦は決定し、栗毛と黒介、マチコの機動力と足、ストーム1の目で伏兵を叩くために先頭を征き、それに続く形で走る一行。
「若さっていいですねえ・・・あの一直線さは羨ましいです」
「勇と武は十分。後は知、経験を積めば化けるでしょうね。あの桜セイバーも・・・私が斬りづらくなるので嫌ですが」
「あーあ・・・素直に追ってきたのか・・・」
砂浜が見えるまで逃げ、海が見えたあたりで足を止めるクー・フーリン。ひたすらにしんがりを続けながら戦い続け、マシュたちを止めつつでの戦いであったがここに至るまで援軍は来ず、ちびノブらも削られた。
「もう逃げ場はありません。さあ、覚悟してくださいよ。私がその首をもらい受けます」
「貴女じゃ難しいわよ。この大英雄。倒すのなら徹底的に焼き尽くすくらいじゃないとねえ?」
気炎を上げ、功争いを楽しむ桜セイバーにジャンヌオルタ。その二人にどうにか追いついてきた藤丸、マシュ。藤丸に至ってはトレーニングしているとはいえ数キロを走り切り、途中途中で出会うちびノブらへのけん制のために銃を撃つせいで弾丸は使い果たし、息も絶え絶え。
マスターの消耗はさておいて戦闘できる英霊二騎にマシュと英霊の数はこちらが上であり、経験もある。海に逃げようにもその間に背を討たれる。カルデア側からすればまさに追い込んだ形だが、クー・フーリンの余裕は崩れない。
「首をもらうのは・・・俺らだよ」
その言葉を合図に一斉に降り注ぐ弓矢、砲撃、炮烙玉の雨のような爆撃。
「くっ・・・! 先輩、私の後ろに! 桜セイバーさんとジャンヌオルタさんも・・・きゃっ!?」
「ちっ! 伏兵!? この程度の爆撃くらい私の炎で、さっさとそこの貧弱剣士でもかばってなさい!」
「誰が貧弱ですか! あ、火薬の粉末と砂・・けほっごほ・・むせ・・・ごふぅ!」
地面が揺れ、炮烙玉の破片が砂や土と一緒に飛び散り、煙が舞う混乱にマシュは盾で藤丸をかばい、ジャンヌオルタは炎と旗を柔軟に動かして迎撃。桜セイバーはこの煙っぽさでむせて血反吐をそのまま吐いてダウン。マシュが盾の後ろにかばうことでどうにか無事に守り切る。
「さすがに疑うとは思ったが、こうも引っかかってくれるたあな。あのヘルメット兄ちゃんに先導してもらえりゃあな」
「まあ、追撃戦は被害を狙えるからな。怪しくとも欲、賭けに出たいのも心理だろうさ」
爆撃が止み、しばらくして出てくるはアーチャー、エミヤ。そして煙が晴れるとあたりをちびノブらが包囲し、火縄銃を構えている状態。
「ちがいねえ。しかし・・・キャスターは?」
その一角。この戦いを画策していたキャスターの部隊が出てこない。打ち合わせの折には戦国の中でも指折りの謀将の因子を組み込まれ、本人も優秀な術者。タイミングを逃すなんてありえない。
「むう・・・確かに。彼女の分の部隊の爆撃は少な・・・っ!」
警戒しつつもあたりを見回すとエミヤとクー・フーリンの二人のいた場所にバズーカと短槍が飛んでいき、二人はよけるも後ろのちびノブを吹き飛ばし、穿ちぬく。それを皮切りにその方向から矢と炮烙玉がエミヤたちめがけて降り注ぐ。
「やれやれ・・・やっぱり釣り野伏でしたか・・・と、なればクー・フーリン様が島津の因子でしょうか?」
「しっかしメディアの嬢ちゃんが毛利ねえ。名前もなんか変わっていたし、すごい場所だなここ」
そこから現れるは華奈、ストーム1、魔人アーチャー、アルトリア、そして毛利の因子を組み込まれたメディア。包囲の一角は半壊状態となり、また互いに相対する状態に戻されてしまう
「なっ・・・! おい裏切ったのかキャスター!」
「いきなりド級の魔獣にセイバー二騎、それにガンナー? とか無理よ無理! だから降伏してあなた方と戦うわ。悪く思わないでね?」
「まあ、毛利だ。うまく立ち回ることもさすがとしか言えないが・・・これでは互角どころか英霊の数では不利だな」
不意を突かれてまともに戦えずに降伏を選んだメディア。この状況でも勝てる算段を組み立て始めるエミヤ。
「げほっ・・・さすがにこの爆撃は応えます・・・・・」
「まだいけるけど・・・はあ・・・だらしないわね。救援されるなんて・・・まあ、見捨てられて負ける、捕虜となるよりはましと思いましょう」
「毛利・・・? 島、津?」
マシュ、桜セイバーは消耗。ジャンヌオルタも同じような状況。問題は全く消耗がないうえに遠距離戦ができるストーム1、そして全く自分の正体を隠す気がない魔人アーチャー。銃撃戦に持ち込めばこちらが不利。近接線に関しても円卓きっての変わり種にアーサー王。先に罠にはめることができたメンバーを討ち取るかと一応の目算をつける。
「ん・・・・ああ、そうです。クー・フーリン様はおそらく島津。メディア様は毛利。エミヤ様は今回はどのような武将の因子を」
「長宗我部だ・・・このような召喚は少し乗り気ではなかったがね・・・」
「長宗我部・・・土佐・・・の・・・! う、ぁ・・・」
桜セイバーの様子に華奈も少し思いついたように目の色を変え、、英霊の因子を聞く。それに対してエミヤも自身にあてはめられた英霊の因子を素直に話す。その会話の中に入るワード。島津、毛利、長宗我部。戦国時代を超えた後、薩摩、長州、土佐とそれぞれの藩になる場所を治める武将の名前。
桜セイバーの生涯の中で何度も倒したいと考えるほどの相手。地面に突っ伏していたはずの桜セイバーは刀を杖に立ち上がり、異様なまでのぎらついた、殺気に濡れた瞳を見せる。
「うぅおぉぉおぉおおぉおおおおお!!!!」
一気に魔力を放出し、袴とブーツの装いから黒のマフラー、白の短めの和装。黒の足袋とハイソックスを足したようなものを身にまとい、羽織をその上から着こむ。その装いに藤丸は思わず目が点になってしまう。何よりも羽織っている羽織り。この羽織は日本に住むものなら知る人は多く、むしろ知らない人が少ないだろう。
誠の文字を背負い、武士として戦い続けた組織。新選組。その中にあって天才剣士と謳われた剣豪。
「ああ、やはりそうでしたか。新選組隊長の一人にして天才剣士、沖田総司様。ふふ、太刀筋にあの刀。さて、あの剣捌きをさばけるのでしょうか?」
「あ、華奈先輩に解説の役取られた!? わしショック!」
「まあまあ、マスターと俺は気づいていたし、それよか抑え役頑張ろうぜ」
「島津も土佐も倒して見せます! 今までの分、百倍返しいい!!!!」
沖田総司の本領発揮に嬉しそうにつぶやく華奈に解説のタイミングを奪われた魔人アーチャー。魔神アーチャーの肩を叩いてハーキュリーを構えるストーム1。今までの弱弱しさが嘘のように気迫十分。荒々しくエミヤ、クー・フーリンに突っ込んでいく沖田。
「いや、俺島津の役だけど島津はよく知らな・・・!」
「このためにしゃべらせたか!? くそっ・・・なんだこの速さは!?」
こうして砂浜で始まる新選組隊長沖田総司による八つ当たりと生前の恨みも込めての激戦は始まった・・・
しばらくして
「あ、そうです。メディア様は私たちに降伏して裏切りませんでしたし、このままゆっくり退去でいいですか?」
「お願いするわ・・・今回の聖杯も、どうにも一度壊れて直ったけど、なんかいろいろなものが混じった・・・キメラ? フランケンシュタインのような物みたいだし、このへんてこな役も終わりたいもの」
「さようですか。あ、ではこれを」
沖田総司の大活躍、もとい大暴走の裏でメディアは手を貸してくれたお礼ということで痛い目に合わずに退去したいかという質問に重い溜息を吐きながら答えるメディア。聖杯もゲテモノ。役はよくわからない極東の武将をあてはめられる。訳も分からなければ利もない。痛い目を見ずに帰れるのならと要求を快諾。華奈も包囲されないで藤丸らを助けることができたのでとお礼の品を退去の前に持たせようとする。
「まずはそっちから! 『無明三段突き』!!!」
「うぉ!? なんだこのけ・・・ぐほぉぁあ!?」
一方で砂浜では沖田総司の必殺の宝具、全く同じ個所、同じ時に同時に差し込まれる三段の突き。事象崩壊を起こすほどの剣技を受けたクー・フーリンは胸に大穴をあけて退去。
「では、これを。時短料理レシピと、その解説書。あとは・・・はい。包丁セットです。手作りですがどうぞ。えい」
「まあ・・・これは・・・ふむふむ・・・洋食に、日本でも出てくるようなご飯・・・包丁も素晴らしいわ。ありがとう。いいお土産ね。あ、契約を切ったのね。じゃ、これでさようなら。カルデアの私にもよければ料理を教えて頂戴ね?」
その間にも華奈はお土産にと取り寄せておいた人理焼却が起きる前に買っていたレシピ本、ケースに入れた手作り包丁のセット一式をメディアに渡してこの特異点との契約を切り捨ててメディアの退去を開始させる。
メディアもこのわけのわからない特異点にお土産をもって穏やかに帰れることに笑顔で喜んで光の粒になって退去完了。
「これでとどめぇ!!」
「いつのまに後ろ・・・がはぁ!」
沖田も縮地でエミヤの背後に回って袈裟懸けでバッサリと霊核を切り捨てられて退去。これで島津、毛利、長宗我部の武将たちもここに倒れた。
「はぁ・・・はぁ・・・イェーイ! 沖田さん大勝利~!! 華奈さん! 藤丸君、みんな見てくれましたか!? これで今回は私が勲功一ば・・・・こっふ・・・!!」
そのうちの二人の武将を打ち倒した沖田は息を切らし、汗を流しながらも満面の笑顔でピースサインをして少しの間喜んだあとに盛大に吐血。もう一度砂浜に突っ伏す羽目に。
「ああ・・・こうなりますかあ・・・治療と魔力の準備ですね。えーと、専用の礼装と体力回復、増加のアクセサリーは・・・」
「・・・苛烈で短すぎる生きざまだぁ・・・」
「まさしく新選組らしくないか?」
盛大に地面にぶっ倒れた沖田の治療のために自身の宝具も含めての治療の用を始める華奈。有名な新選組、その戦いぶりとエンジンが切れた時のつぶれ具合に驚く藤丸とある意味感心するストーム1。ともあれ無事に戦いを乗り切り、小休止に入るカルデア一行であった。
~木陰~
沖田「ん・・・あれ・・・ここは・・・? あ、華奈さん!?」
(頭に氷嚢乗っけられた状態)
華奈「おはようございます沖田様。砂浜ではお体に障るでしょうし、少し移動させてもらいました。大活躍、お疲れ様でした。調子は大丈夫ですか?」
(治療を終え、沖田を膝枕しながら見守っていた)
沖田「あ、はい。むしろ魔力が以前よりみなぎっていて・・・調子はもう少しだけ休めば治るかと」
華奈「それは結構です。褒美なんですが、近くの町で何か欲しいものを用意しようと思うのですが、何がいいですか?」
沖田「うーん・・・じゃあ、私も甘いものと・・・華奈さんのご飯が欲しいです。みんな食べているのでしょう? 華奈さんから甘い香りがしますし」
華奈「ええ、少しの時間を使ってパパっと。では、私たちももう少ししてから食べに行きましょう沖田様の分もしっかり用意していますので」
沖田「ええ・・・ありがとうございます」
~臨時休憩所~
魔人アーチャー「しかし、人斬りも真名を明かしたかー、わしもいよいよ話す時かのお! 皆にも伝えよう! わしの真名は第六点魔王 織田信長じゃあ!」
(水あめを堪能中)
ストーム1「知ってるよ」
信長「ええ!?」
ストーム1「いや、その刀に帽子? 兜? の家紋とか隠す気ないだろ。俺でもわかるって本当にゆるいなあ」
信長「ぐぬぬ・・・」
藤丸「沖田総司に織田信長まで女性・・・うん、ありえるかあ。アーサー王だって女性だったし」
マシュ「なんだか麻痺しちゃいそうですね・・・あ、甘い・・・疲れた体にしみわたります」
アルトリア「あー・・・私は男性として公ではふるまっていましたしね。男性として伝わるのはまあうまくいったということにしましょう・・・・・・それにしても、あの沖田とやら・・・すさまじい剣の腕。どうしたものでしょうか・・・」
ダ・ヴィンチちゃん『やあ、休憩中悪いけど、町までのルートで比較的安全な確率が高いものが出たから一応伝えるよ。あ、ロマニとオルガマリーはさっきもらった甘味を配りつつ休憩に入るみたいだから』
マシュ「了解です。早くこの特異点を解決しないと・・・」
ジャンヌオルタ「釣り野伏か・・・今度調べてみましょうか・・・くっ・・・この飴が伸びて・・・おいしいけど落ちないように食べるのが少し手間・・・」
栗毛、黒介、マチコ「♪」
(野菜ジュースをもらった)
九州のやべーやつ代表の島津。島津四兄弟全員がそれぞれに得意な分野が化け物クラスで優秀という本当にすごすぎる兄弟。彼らが率いる軍に耐えきる大友、その配下の立花、高橋らも本当にすごい武将ばかり。
釣り野伏の大変なところは囮担当の将兵も敵に怪しまれないように適度に戦い、一番危険な撤退戦をこなしつつ目的地にうまく誘い込む。これをミスは許されない一発勝負の殺し合いの場で冷静にこなさないといけない。しかも後衛は後衛で釣り野伏に適した場所にうまく隠れないといけない。
これを素晴らしい完成度で作り上げ、島津お得意の戦法だと知って尚も引っかかるほどに仕上げたのは本当にどうなっているのやら。
後、野戦で十倍の敵、しかも指揮官レベルを多数討ち取った戦いもあったりと、島津は本当に野戦でのぶつかり合いはすさまじいの一言。
沖田さん、ジャンヌオルタは若くして亡くなったので向こう見ずというか勢いがある感じにしました。そういう戦法が得意な方でもありますし。
沖田さんも覚醒してもう少しでこの特異点もおしまい。ただし、次回が本当におっかない相手。私で表現しきれるかどうか不安ですが、この駄文にお付き合いいただければ幸いです。
それでは皆様また次回まで、さようなら。さようなら。