転生愉悦部の徒然日記   作:零課

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華奈「着きましたね。南蛮街・・・? 大友宗麟の時代にある町でそんなものがありましたが、それのイメージでしょうか?」
(メンバーの周囲を動きながら警戒しつつ、周りを軽く見まわす)

ストーム1「お、あのナマモノ以外の人もそれなりにいる。なにか情報がないか調べられるな。一度散開するか?」

華奈「いいですね。行商隊、今までの戦いで手にした財物にお金もあります。情報ついでにお買い物タイムと行きましょう。では、お小遣いを配りますよー」

沖田「華奈さん! 沖田さんはいくらもらえるのでしょうか!?」

信長「あ、わしももらうぞ! 直接首は上げてないが戦の指導に用意と裏方はしているから一番もらうぞ! 功績一番は蕭何ともいうしの! そこの人斬りよりはたくさんあるはずじゃろ? さあさあ」

藤丸「と、とりあえずは情報収集だよね」

マシュ「はい! ここまでしっかりした町、それになんだか周りの空気も違う気がします。物見遊山しつつ、情報を探るのもいいかと思います」

ジャンヌオルタ「勝利の後の休息と準備といったところかしら。ふふ、いいですね。こういうのもまあ」

アルトリア「私はどうにも嫌な予感もしますが・・・まあ、気のせいだということで。お小遣いはどうなりますか?」

華奈「一人当たり250万QP それにいままでの功績や、働きに応じて配ります。さ、並んでくださいな」

一同「「はーい」」
(お金の入ったきんちゃく袋をもらう)


~しばらくして・・・華奈・沖田サイド~

華奈「では、基本4人一組、または二人一組で行動開始。二時間後にここに集合して情報収集とすり合わせ、何も収穫がなければまた移動しましょう。はい解散」

ストーム1「アルトリア、いい茶屋と宝石屋があった。見に行かねえか?」

アルトリア「私は姉上に聞いた団子屋も・・・宝石は私の魔力の余剰分をため込むのにもよさそうですね・・・(それに姉上にもプレゼントしたいですし・・・)行きましょう。ストーム。姉上、そこの吐血剣士、私たちは一度ここではなれます。では、後で」

ストーム1「じゃ、行ってくるぜ。戦場暮らしの野郎だが、いいお茶は用意してくるわ」(何かを華奈に投げ渡してアルトリアとふらふらと移動)

華奈「ええ、行ってらっしゃいませ。では沖田様。私と一緒に行きましょうか? 何かリクエストがあればいいのですが」

沖田「うーん・・・では、私はカステラ屋さんに行ってみたいです! 大奥や将軍様も食べていたという甘味、ぜひゆっくりと食べてみたかったんですよ!」

華奈「あらあら・・・ふふ、では行きましょう。いいお店かの香りはハチに任せましょう。甘味好きですので、きっとかぎ分けるはずですから。ハチ、お願いね?」 

ハチ「わふ~」
(しっぽをぶんぶん回してゆっくり華奈、沖田の隣を歩きつつ鼻を鳴らす)

華奈「さて、物見遊山ついでに、皆様のお土産でも一つ・・・(良馬様、ロマニ様。少し頼みたいことが)」
(沖田に聞こえないように通信機を起動して連絡を入れる)

沖田「はい。私もカルデアの皆様に迷惑を掛けましたし、遅まきながらに菓子折りでも探してみようかと・・・(不思議な人です。戦いの時は今の表情の中にすごい剣気、武の臭いはするのに、今はまるで別人。同じ表情の中に別人が住んでいるみたい・・・でも、落ち着くなあ・・・)」

華奈「ああ、ふふ、では私も一緒に買いましょう。ここまで一緒に戦ってくれていますもの」


~アルトリア・ストーム1サイド~

アルトリア「ふぅむ・・・これもいい宝石です・・・しかし、加工のレベルがいろいろとすさまじすぎる・・・うぅ・・・どれを選べば・・・」

ストーム1「おばちゃーん、団子6個とお茶二つ。あ、冷たいやつねー」

アルトリア「あ、これは純度が高い。でも、魔力の保存量ならこれのほうが、いやしかし・・・」

ストーム1「意外だなあ。アーサー王がここまで宝石に詳しいとは。おれは武器関連とか以外はあまり詳しくないものとばかり」

アルトリア「姉上・・・モルガン姉上と、母上、ガレスが魔術師なので、付き合ううちに少し詳しくなりまして。それに、農閑期は暇つぶしに本を読んだりするのである程度は・・・え、割引? うーん・・・では、このネックレスと、腕輪を・・・うぐっ」

ストーム1「後は、王様時代にいろいろ見るうちに目も肥えたとかかね。あ、じゃあ俺の分も。ほれ」
(自身のきんちゃく袋を渡す)

アルトリア「い、いいのですか? あの、半分以上入っているような・・・?」

ストーム1「いいのいいの。マスターの妹で、戦友だ。気になるのなら、今まで助けてくれて礼ってことで一つ」

アルトリア「では、お言葉に甘えて。店主! そのネックレスと腕輪を一つ!」

ストーム1「おーいい趣味だな。これはマスターも・・・」

アルトリア「? ストーム、いったいどうし・・・!」


~藤丸・マシュサイド~

藤丸「じゃあ、ひもくじでも・・・一等? 特大金平糖の詰め合わせ・・・? うわっ! こぶし大のものが特大サイズの瓶一杯・・・」

マシュ「さすがです先輩! 私もおいしい果実をもらえましたし、なかなか買い物というのも楽しいですね!」

ロマニ『ほかのみんなもだけど完全エンジョイしているなあ・・・って藤丸君!? それ、相当な魔力リソースになるよ!??』

オルガマリー『しかもマシュのその果実も相当な魔力リソース・・・いえ、霊薬に使えるレベルよ・・・ただの商品でこれ、魔力のたまり場みたいなものがあるのかしら?』

藤丸「もしくは、聖杯を持っている誰かがこの街を作ったとか・・・? でも、怪しいうわさは・・・うーん・・・あ、派手な人が一人いたとかなんとか」

マシュ「では、その人の影響でしょうか? 日本の英霊でもお金持ち、羽振りの良い方の因子と組み合わさったとか」

ダ・ヴィンチちゃん『ありえない話ではないね。この茶器たちもすごい出来だし、この周辺は魔力リソース、上質な礼装になりえる道具がわんさか。そういう英霊がいてもおかしくはないさ。というか楽しそうだなあ皆! こんな面白い場所に街で好き放題だなんて!』

藤丸「お土産は買って来ますから」

ダ・ヴィンチちゃん「そう? じゃあ、楽しみにしているね~♪」


~ジャンヌオルタ・信長サイド~

信長「いやあ、甘味に織物、いろいろあるのお! 煙草も上物じゃし、うっはは! ここの町は誰もが欲しがるじゃろうよ!」

ジャンヌオルタ「そうねえ・・・大阪らしいけどここ、こんな街なのかしら? ま、こんなへんてこな世界だしどうでもいいけど」
(雑談しながら散歩中)

信長「大阪ぁ? いやいや、こんな南蛮風な街じゃったかの・・・あ、すまん、オルタ、少しトイレ行ってくる!」
(小走りで移動)

ジャンヌオルタ「あ、ちょっ!? はぁ・・・・・・まあ、いいですかこのあたりの場所で・・・マスターと、マシュにでも何か買いましょう。あの子たち、今回はさほど動けていませんもの、ここは一番大戦果を挙げた私が懐の広いところを見せませんとねえ・・・・・?」

~しばらくして~

信長「いやあーすまんすまん! 遅れた。じゃ、買い物に行くか」

オルタ「遅いわよ・・・その重そうな兜? でも落ちて洗うのに手間取りましたか? ほら、近くの土産屋があるし、そこにでも行きましょう」

信長「うむ、華奈先輩への情報土産ついでに少しくらいは目を外してもいいじゃろ!」

オルタ「貴女はいつも外しているような気がするわよ戦国の風雲児さん」

信長「生前大変な仕事たくさんしたのでこれくらいいいですぅ~! お? なんじゃ、何やらいさかいの声が聞こえるが・・・?」

オルタ「はぁ・・・行きましょう。なにかすごいでかい声聞こえるし・・・」



Q 「あなたの好きな人は?」 A アルトリア「ノーコメントで」

 「フハハハハハ! まさか、まさかここで出会えるとはなセイバー! このいびつな世界に呼ばれて無聊を慰めるのにも飽きていたが、来たかいがあったというものよ。肌をさらした変わった衣装だがそれもいい。あの嵐の勇者はどかしたし我の腕の中に来るがよい!」

 

 「何言ってんですか貴方は! 最強のセイバーなのは確かです私はアルトリアです! 確かにいつもの鎧姿よりは露出度多いかもですがおしゃれですおしゃれ! なんでここまで来てコスモギルガメスに求婚されなきゃいけないのですかもぉお!!」

 

 ぎゃあぎゃあとあたりに響き渡る喧噪。これに一度散開してすぐのカルデアメンバーの前で繰り広げられるのはアルトリアがなにやら全身黄金の鎧に身を包み、金の髪を後ろに流し、鋭い赤い瞳が特徴的な美丈夫が言い合っている様子。

 

 少し視線を移せば不意打ちでも喰らったのかストーム1が腰から上を地面に埋められているという珍妙な光景が起こっており、どうにも男の口ぶりからすると彼が吹き飛ばしたらしい。

 

 『あ・・・』

 

 「あっ・・・・」

 

 その男の顔に即座に反応してしまうロマニと華奈。二人はそれぞれにこの男と少なからずかかわりがあり、そして同時に特異点で出会うにはあまりにも危険すぎる英霊。纏っているその覇気、風格は王の中でも別格。霊基からして英霊になるほどのものでも複数人分の量を持ち、魂の強さは計り知れない。

 

 「え、英雄王!? そしてストーム、大丈夫ですか!?」

 

 最古の王にしてすべての原点を手にする最高の王。英雄王ギルガメッシュがアルトリアを口説いているというこの状況に華奈は驚きつつもストーム1を地面から引き抜き、同時に一同に驚きと戦慄が走る。

 

 「前が見えねえ・・・いきなり目の前にハンマーが来て・・・ありがとマスター」

 

 「む、我とセイバーの時間の邪魔を・・・誰かと思えば銀狼ではないか。久しいな。お前もここに呼ばれてきたのか」

 

 「あの方の攻撃を顔面で受けてぴんぴんしているのはあなたくらいでしょうねえ。そしてお久しぶりです英雄王。呼ばれたといいますか、騒ぎに巻き込まれまして」

 

 引き抜けば顔面が放送事故状態のストーム1の顔に速攻で紙袋をかぶせ、治療用の礼装で治療を施していき、その間にも自分のことに気づいた英雄王に頭を下げ、苦笑を浮かべてしまう。

 

 『え? ちょっ、英雄王!? なんでそんな大物が! そして何で華奈は知り合いなのよ! 貴女関係しているのはオークニー、ブリテン、そして日本でしょう!?』

 

 「姉上! 知り合いなのですかこの金ぴか! なんだかすごくなれないというか、ここまで同じ顔でこうも同じ対応をされると恐ろしいのですけど!!」

 

 「ええ、まあ王の愉悦部なるもののかかわりで少し。しかし英雄王。貴方様はいったいどのような用向きで、そして此度はどのような名を?」

 

 紫式部ともつながりがあるのはまあいいとしても、まさかのメソポタミア、あの神代の時代真っ盛りのなかでまさしく大暴れした大英雄とも知り合いと英霊の座はいったいどうなっているのかと猛烈に突っ込みたくなる一同だがそこを抑え、華奈の疑問に対する英雄王の返答を待つ。

 

 今まで弁慶、おそらくは牛若丸、アーラシュから始まってなにかと高名な英霊がぽこじゃか出ては何らかの日本の武将の役にあてはめられている。そうなると呼ばれたと言っていたこの王はどのような役を貰った、もとい聖杯にぶち込まれたのか。視線が集まる中、英雄王は軽く息を吐いてよく通る声をあげた。

 

「セイバーの義理の姉、銀狼に聞かれたのならば答えよう! わが名は黄金の国ZIPANGの主にして人類中世の英雄王、豊臣ギル吉!! 黄金と言わず、茶器と言わずこの世のすべての財は我のものだぎゃ!!」

 

 「ッ・・・・!! そ、そうです・・・か・・・相も変わらずまぶしく、壮健で何よりです・・・」

 

 「ま、混ざりほうだいだあ・・・」

 

 『うぁわ・・・もうどうにもならないレベルで混ざりほうだい・・・なんだろうね今の英雄王は』

 

 このハチャメチャな混ざり具合、そしてなぜか日にいまごろ当たって盛大に周囲に黄金の光をまき散らす英雄王。華奈はまさかの様子に必死に笑いをこらえ、藤丸はまさかの秀吉とギルガメッシュの悪魔合体に呆然。ロマニはこのあしゅら男爵のような英雄王をどう判断したものかと頭を抱えそうになる始末。

 

 「我がまぶしいのは仕方のないことよ銀狼。我は最高の芸術なのだからな! そして勘違いもするな。この程度の泥やら杯一つで俺の存在は塵一つ動かん。リップサービスというやつだ。此度は別件ついでに、目の前の要件で来たものでな」

 

 「別件? ふぅむ・・・となれば聖杯でしょうか?」

 

 「その通り。我のものを勝手に使うのみならずあのような珍妙なものを混ぜ込んだ犯人を討とうとしてな。そして、ここに来てようやく出会えた我が妃、セイバー! お前だ! さあ、我のところへ来い」

 

 「お断りです。誰が王の妃になってまた面倒な政治闘争に首を突っ込むものですか! 今は気楽な農家でセイバーハンター、そして姉上たちとこの特異点を解決している最中なんですう!」

 

 どうにも聖杯の管理、異物を投げ込んだ犯人の退治と、相当に惚れ込んでいるであろう。アルトリアへの求婚。アルトリア自体は本気の目で嫌がるもそれを全くに気にせず。満面の笑みで両手を広げてアルトリアを迎え入れる姿勢を見せる。

 

 「ふはははは! 照れ屋さんめ、式は盛大に上げるし、政治闘争など我のもとではないも同然!! この世のすべての悦楽を約束しよう。見てみろ! お前の姉も喜んでいるではないか」

 

 「はぁあ・・・・・アルトリア様がとうとう殿方と結婚ですか・・・感慨深いものですよ。ヤマジ、ご祝儀いくら包めばいいでしょうかね?」

 

 『そうだなあ。身内な上でもとは一国の王に、あの英雄王だろ? うーん・・・大将の出せる分くらいでどうだ? それと金塊とか大将が作った刀剣やら貴金属の加工品とか』

 

 「それくらいですか・・・私の貯金、かなり減りそうですが、せっかくですが盛大に・・・場所は先ほどの海か、ここの町で一番いい場所を」

 

 「あ、姉上・・・? 嘘ですよね!? 私無理やり結婚とか趣味じゃないですから!! というか助けてください! 冗談抜きで私この男と結婚するつもりないですからね!?」

 

 さすがに半泣きになって華奈に縋りつくアルトリア。確かにブリテンで妖精郷に行く際に男を見つけるとは言ったが、さすがにこの男とは結婚するつもりはさらさらない。

 

 華奈もそれは理解し、冗談だと苦笑してアルトリアの頭を撫で、英雄王の前に壁になるように立つ。

 

 「英雄王、アルトリア様も今回はノリ気ではない様子。申し訳ありませんが、今回は縁がなかったということで・・・」

 

 「それで我が引き下がるか! この機を逃すほど我は愚鈍でもないしはいそうですかと終わるほどセイバーを軽くは見ておらぬ! 銀狼であろうと立ちはだかるのなら粉砕するぞ!」

 

 深紅の瞳に戦意をたぎらせ、自身の背後にいくつかの黄金の波紋を浮かばせて臨戦態勢を整える英雄王。気合は十分なもので、藤丸、マシュも少しばかり気圧されるが、しっかりと構える。

 

 「では、私たちを倒したらアルトリア様を娶るなり好きにしてください。代わりに、私たちが勝ったら無理やり縁談をしようとしたのです。何か一つ私が欲しいものをくれますか?」

 

 「よかろう。銀狼、セイバーの姉となれば我の義姉となるのだ。これくらいの話なら聞いてやろうではないか。今に限っては殺しあう相手だがな」 

 

 まさかのアルトリアを賭けの対象にした戦いが決定し姉からの条件付きの許可にも快諾する英雄王。負けなど一切考えていない余裕。そして、今いるメンバー全員を相手にしても負けないという自尊がありありと見えるほど。

 

 「英雄王が相手なら、俺も行こう。さすがにこの規格外には二人だけじゃあな。信長もいいかい?」

 

 「かまわん! なんだか猿の気配がするし、こやつならわしならむしろ相性は悪くないしネ!」

 

 そして、この最古の大英雄に戦いを挑むべく華奈たちに加勢するのは顔面放送事故状態から復活したおそらくは最新の人類の救世主ストーム1、日ノ本の風雲児にして魔王の名を冠する信長。

 

 華奈、アルトリア、ストーム1、信長。4名がそれぞれに武器を構え、黄金の波紋、英雄王の動き一つに気を張り詰め、同時に身体に闘気を走らせていく。

 

 「マシュ様、ジャンヌオルタ様と一緒に藤丸様を守ってくださいませ。ジャンヌオルタ様と沖田様も今は守りを・・・流れ弾、巻き添えを喰らえばそれだけで死にかねませんので」

 

 「はっ! 我に混ざりこんだ雑種のもと主に銀狼、そして嵐の勇者が相手になるか。そしてセイバーも。妃を迎え入れる前にいい運動、初夜の前の柔軟くらいにはなろうさ。さあ、砕け散れ!」

 

 いうが早いかいくつかの黄金の波紋から放たれる様々な武具。おおざっぱな狙いで飛んでくるゆえに躱せないわけではないが、その速度、そして着弾時にその恐ろしさが目の当たりとなる。

 

 「なっ・・・!!」

 

 地面を吹き飛ばす剣はどこかで見たことがあるようなもの。建物をいくつも壊しぬいたハンマーは巨人が使うような巨大なもの。ミサイルのように地面にクレーターを作ったのは矛。

 

 「どれも・・・ただの武器・・・名刀とか、業物なんてものじゃない!?」

 

 「沖田さんもちょっとここじゃないと見たことがないような業物ばかり・・・! で、でもこれを打ったから次は華奈さんたちが・・・」

 

 その着弾したどれもが英霊になって見れるようなもの、宝具レベルのものばかり。これを射出されてはなるほど、巻き込まれたり流れ弾一つでお陀仏だってあり得る。ただ、それもしのいだ。なら今度は近接戦を得意とする華奈たちが有利だろう。そう考えていたが。

 

 「そら、次だ!」

 

 沖田、ジャンヌオルタの予想は悪い形で裏切られ、次の弾丸代わりに射出される武具が出てくる。それも先ほど飛ばしていた武器と変わらぬ、やもすればそれ以上の業物・・・いや、宝具。

 

 「くっ! この質量を弾丸にするだけでもきついのに、これですものねえ!」

 

 「ああ、もう相変わらずの大富豪スタイルな戦い! すごく羨ましいですが同時にもったいないと思います!」

 

 それを受け流す華奈に足からの魔力放出で避け切るアルトリア。自由自在に宙を飛ぶせいで町中に弾丸、もとい宝具が雨あられと飛び交い、華奈が受け流すせいであちこちにクレーターが出来上がる。

 

 下手な大砲よりも重い武具、しかもそれすべてが宝具。この勢いを継続してもなお尽きる様子、むしろ勢いをセーブしている様子さえ見える英雄王の余裕の表情。特に不慣れといった気配も見せないことから理解してしまう。これが英雄王の戦い方。この尽きることのない宝具レベルの武具を弾丸にして戦う。贅沢極まりなく、同時に相手すれば極悪ともいえる手段。

 

 「おっと・・・! すげえなあ。弾薬食料も苦しいときすらあった俺からすれば羨ましい限りだ」

 

 「この財一つあれば軍を2回、3回動かしてもおつりがくるじゃろうなあ・・・ま、これならむしろいい。行くぞストーム! 華奈先輩、アルトリア先輩! わしに合わせてくれ!」

 

 しかし、その強さや威力をひっくり返せるジョーカーもいるのが現在のカルデア。信長の声をスイッチに華奈が信長、アルトリアがストーム1のそばにつくようにし、二人一組のペアを作る。

 

 「ふん、何をするかは知らんがこれでもその余裕面ができるか見せてもらおう!」

 

 これにいち早く反応して黄金の波紋を一層増やす英雄王。もはや英雄王の背後の空間そのものが黄金の波そのものになるほどであり、視界を埋め尽くすほどの数々の武具。中には朱槍もあれば聖剣も存在し、まさしく古今東西のすべての武器が所狭しと敷き詰められて銃口を向ける姿は普通であればいっそあきらめから笑いが出てくるほどであろう。

 

 「英雄王。たしかにこれは強烈じゃ。きついじゃろうなあ・・・じゃが、わしはこんな状況を何度も切り抜けてきた天魔織田信長! あまりなめるでないぞ!」

 

 「うっし・・・チャージおっけい。これならいける。英雄王相手となれば、これを使わざるを得ないよなあ」

 

 「さてと、では、行きましょうか。このメンバーなら対応もできるでしょうし」

 

 「コスモギルガメスであろうがなかろうが、無理やりな求婚する男はお断りです!」

 

 放たれてくる無数の死の豪雨。これに対処すべくまず信長の奥の手を一つ開放。無数の火縄銃を信長の背後に出現させ、銃口を一斉に英雄王を中心に広く向ける。織田信長の有名な戦いの一つ。騎馬戦術が今なお有効だった時代にそれを得手とする戦国最強と名高い武田に壊滅的な被害を与えて趨勢を決定した。新しい戦術を確立させた逸話の再現。

 

 「これがわしの三千世界(さんだんうち)じゃあ!! 武具兵装、すべて打ち崩してくれる。うっははははは!!!」

 

 無数の弾丸はあたりの視界を遮るほどの煙をあげながら鉛玉を発射し、英雄王の武具とぶつかり合い、一部は押し勝ち、一部は押し負ける。しかし、それでも火縄銃という大口径から放たれる銃弾の威力に、信長の持つスキル、『天下布武・革新』による付与で神性、神秘の高い相手により威力を増加させた結果があの英雄王の攻撃と渡り合うほどの威力を見せ、一時的に拮抗を見せる。

 

 日輪の子である秀吉の因子に加えて更には最古の英雄にして神の血を持つギルガメッシュには力の落ちた信長でもこの威力を見せ、秀吉の因子からいくらかの情報はあったが、予想外の反撃に顔をしかめる英雄王。彼も負けじと数を増やすが。

 

 「アルトリア様、いいですか?」

 

 「もちろんです。この機を逃すほどにぶってはいません」

 

 二人の女性騎士が左右から無数の斬撃を飛ばし、この銃撃戦で押し負けそうな場所をフォロー、ところどころ視界を遮るように武器の軌道をそらしては射出する宝具の邪魔になるように動かしておく。

 

 その後は信長の銃撃で折り重なった武具はそのまま壁となって英雄王の攻撃の幅を狭め、その分を信長も他の制圧、英雄王への射撃数を増やす。

 

 「おのれ雑種!! このようなぁ!!」

 

 「おい、守りはしっかりしないといけないぜ?」

 

 射出する宝具の数を増やして押し勝とうとする英雄王の湯だった頭に響く男の声。信長から少し離れた場所からストーム1も弾丸を発射。ショットガンタイプの銃だったようで一発で無数の弾丸が英雄王めがけて襲い掛かりっていくが英雄王もとっさに盾を射出、自身の前に展開して防いで見せる。が、その弾丸ははじかれるわけでもなければそのまま盾に張り付き、しばらくしたのち。

 

 「!!?」

 

 爆発して、盾を砕いて見せた。ストーム1の打った武器はバスターショット。着弾後にしばらくの間をおいて弾丸が爆発する特殊なショットガン。その威力たるやもとから一撃で象だろうと巨人サイズのエイリアンだろうと吹き飛ばす上にかつて世界各地の神話のモチーフとなったエイリアンをぶっ殺した逸話から手にしている神性特攻も刺さるせいで英雄王の態勢をぐらつかせるほど。

 

 「よっしゃ撃て撃て!」

 

 「ほーれほれ! 神性を二重に持っている己を呪うんじゃなあ!!!!」

 

 神秘が強ければ強いほどに刺さる信長のスキルにさらにもう一人の英霊の分まで上乗せ。ストーム1も対人どころか怪物殺しを目的に練磨され続けた武装に神性特攻の倍率追加。この二人の容赦ない制圧射撃は英雄王の武装を押しつぶし、盾を砕き、増えた宝具すらもアルトリアと華奈のバックアップもあって何もできないようにさせる。

 

 「おのれおのれおのれぇえええ!!!」

 

 「慢心はするもんじゃないネ! とどめじゃあ!」

 

 「特大級のこれで昇天させてやるぜ!」

 

 終わりの見えないような銃撃もバスターショットで盾、周辺の武具を砕いた後に信長の持つ火縄銃に魔力を集中させて一気に放つ。スキルをすべて乗っけた一撃とストーム1が持っていたもう一つの武装。ノヴァバスターによる強烈な一撃は英雄王の身体に風穴を開けて吹き飛ばす。

 

 「くそっ・・・このようなあ・・・・!」

 

 「慢心しているうち、速攻戦じゃないと二人を狙われますからね。ストーム、信長様も感じてくれていたようで助かりましたよ」

 

 「油断、慢心して私たちにあたるような殿方はおよびじゃないです。出直してください」

 

 ふぅ。と息を吐いた直後にどっと滝のような汗を流す華奈。冷や汗ながらも余裕の表情を見せて勝ち誇り、同時にどこか安心した表情のアルトリア。

 

 「さてと・・・英雄王。私との賭けの内容ですが・・・・・・・・・・・・・・・というわけでお願いします」

 

 「ふっ・・・相も変わらず、世話焼きなことだ・・・よかろう・・・我との賭けに勝ったのだ・・・これくらいの安物でよければくれてやるわ。中に混ざった雑種もうるさいのでな」

 

 もうすぐ退去しようとしている英雄王秀吉に近寄り、なにやら欲しいものを話す華奈。これを聞いた英雄王もなにやら3つの小さな小瓶を華奈に渡していく。

 

 「ふぅ・・・よかった・・・これがあるのは本当に助かります」

 

 「今回はこれで引いてやる! だが、我は諦めんぞ!! いつか婚儀を上げて我のものにしてやる! 待っていろセイバー!! あ、そうだ銀狼。ウルクの民も募集し・・・-」

 

 最後までアルトリアを求める一途な思いと、何か華奈に頼もうとして帰っていくどこかぐだぐだな豊臣ギルガメッシュ。彼が退去した後には一つの茶釜が転がり落ち、かすかな輝きを放つ。

 

 『あ、華奈! それが聖杯だ! 茶釜に変質していたのか・・・これを回収すればこの特異点も解決。無事に帰れるよ』

 

 「よかったです・・・今の戦闘といい、色んな意味で疲れていましたから・・・・・」

 

 「い、生きた心地がしなかった・・・」

 

 ロマニの声で目的の聖杯を手にすることができたことで緊張の糸が切れたせいでへなへなと地面に座り込むマシュと藤丸。先ほどまで英雄王たちの攻撃で死なないように耐えていた反動と、やたら爆発だらけの特異点に長時間いたせいだろうか。どこか煤けた雰囲気すらもうかが分かるほど。

 

 変なナマモノが闊歩し英霊にほかの歴史の人物の因子が混ざるという訳の分からない特異点に加えて最後は英霊ですらもらえば一撃必殺もあり得る流れ弾が飛び交う戦場に放り投げられたストレスは大きかったのだろう。基本務めて元気であろうとするマシュも疲労の色がありありと浮かび盾を下ろすほど。さすがに誰もそれに関してツッコミは入れることなくむしろお疲れ様と優しい視線を投げて休んでおいてとジェスチャーする。

 

 「さすがに疲れたのかの。ま、これを手にすれば終わりじゃし大丈夫だいじょーぶ・・・・・・これで総てわしの思うまま・・・」

 

 「・・・ノブ?」

 

 茶釜型聖杯を回収しようとする信長。なにやら不穏な空気をはらんだ信長に嫌な予感を感じた沖田が刀を抜こうとする前に。

 

 「当て身」

 

 「ゴハッ!!?」

 

 肘で思いきり首、後頭部あたりを狙った華奈の豪快な当て身をもろにもらい、グギリ。と嫌な音を立てて信長は気絶。地面に倒れる羽目になった。

 

 「え、あ、華奈さん!?」

 

 「あ、姉上? 一体・・・!!?」

 

 「ああ、大丈夫です。死んではいませんよ。それと、もうすぐ来るはずですから」

 

 突然の意味不明な華奈の行動に驚く一同。そして、茶釜を回収してマシュのシールドの裏に収納しておくと、何か笛を一つ吹き。

 

 「さてと。これでちょっとしたものが見れますよ」

 

 信長を簀巻きにしつつまたよくわからないこと言いだした。




ストーム1「おい、どういうことだ? なんでさっきまで一緒に戦っていた戦友を今倒すんだよ。誤射とか、そういうわけでもないし」

華奈「ですから、もうじきわかりますよ。ほら」

信長「いやー助かった助かった! あのままじゃわし、トイレで生き埋めになっていて死んでいたかも」

ハチ「わう・・・」
(信長を乗せて華奈たちに歩いてくる)

華奈除いた一同「「「!!!!??」」」

華奈「ロマニ様、良馬様。説明してもよろしいですか?」

ロマニ『ああ、うん。いいよ。聖杯も回収したし、特異点の崩壊も徐々に始まっている。いつでも戻れるようにはしておくから』

良馬『ええ、データもいつでも出せます。一応カルデアのほうのナマモノたちも退去していっていますから、必要であればそちらに英霊たちを送れるようにもしておきますので』


~~

???「--------」

???「くそっキリがねえ!」

???「弱音を吐くな! 撃ち続けろ!!」

???「長篠の合戦を見せてやる!」




もし今のタイミングでぐだぐだ本能寺が実装されていたら秀吉と混ざるのはオジマンディアスだったのでしょうか。どっちにしても濃いうえに面白いのでいいかもと思ってしまいますが。

今回ストーム1が使用した兵器はバスターショット。EDF5から登場した特殊ショットガン。着弾後にしばらくして爆発を起こす超火力兵器。射程圏内に入ればたいていの敵はこれで瞬殺レベルですから恐ろしい。もう一つのノヴァバスターは一発限りのリロード不可能な光の弾を発射。一発が大体数万(威力の高いライサンダー、ほかスナイパーライフルでも5000後半から10000中間程度)のバ火力。厄介な敵を確実に倒す際に使うケースがほとんど。

英雄王もすごく男らしく、一途ですよね。ずっと一人の女性を恋焦がれて思うのですからかっこいいです。まあ、アルトリア、もといヒロインXは切り捨てると心に決めているようですが。コスモギルガメスを。

次回でぐだぐだ本能寺も終了。小休止を挟んでローマに突撃。多分碌な目にあいません。敵も味方も。

それでは皆様また次回まで、さようなら。さようなら。
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