転生愉悦部の徒然日記   作:零課

67 / 146
アルトリア「あれ・・・あれ・・・っ・・・?」

華奈「ん? どうしましたか?」
(地球防衛軍シリーズプレイ中)

オルガマリー「あ、いまよ! ここで空爆を指示すれば・・・やった!」

紫式部「あわわわっ!? ふぇ、フェンサーの操作難しい・・・」

沖田「あ、紫式部さんが爆撃に巻き込まれてやられちゃいました」

ジャンヌ「エアレイダーも面白そうですね。華奈さんが使うレンジャーでの狙撃、対空特化も面白そうですが」

アルトリア「どうしましょう・・・うーん・・・一度家に帰るか・・・」

華奈「ほえ? それほどですか? 何があったのですか?」
(ステージクリア後にジャンヌにコントローラーを渡す)

アルトリア「実は・・・」


~図書館~

ストーム1「よーし。今日はリボルバータイプの拳銃の分解清掃。藤丸は前が5分くらいだったか。次の目標は4分30秒を目指していこう」

藤丸「お願いします」

信長「おお、火縄銃よりは細かいが簡単なものじゃ。どれ、わしと競争するぞ藤丸!」

クー・フーリン「お、よし。賭けるか。俺、信長に昼飯のおかず一つ」

ジークフリート「・・・じゃあ、俺は藤丸に先ほど収穫できた二十日大根を二つ賭けよう。すきにもらっていいと言っていたしな」


~図書館~

ヤマジ「というわけで、これが要塞のもたらす利点と、立てる場所についての選別のコツだな。第一次世界大戦で野砲、大砲の発展で要塞の価値は崩れたとされるが、その第一次大戦のヴェルダンで再度評価されたりとするあたり、いかに守る施設を用意することの大切さがわかるというものだ」

ジャンヌオルタ「ふぅん・・・要塞の価値がなくなる・・・大砲の登場って本当に画期的だったのね」

ヤマジ「今でも有効ではあるだろうが、火器、武器の真価の前では少し難しい部分もあるからな。ま、砦などの施設を活かした戦いの大変さと便利さは信長と大将がよく理解している。暇な時に聞けばいい」

ジャンヌオルタ「・・・考えておくわ。それじゃ」


~治療室~

マシュ「・・・本当ですか?」

咲「う、うん。マシュの寿命、今は倍以上の40歳まで伸びているよ。あと、英霊の力を行使した後の肉体の疲労度合いも少しづつ軽くなってる」

フラム「このままいけばあとひと月でも過ぎるころには負担の軽減もあってより寿命を延ばせるわ。神代の英霊の英知と武装の結晶。現代科学の粋を尽くせばこうもできるのね」

マシュ「夢のようです! 長生きできるだけじゃなくて、英霊の力もより使えるようになるなんて」

フラム「けど、油断は禁物。今から特異点攻略だし、少しでも疲労が残るのを感じたら言ってちょうだい。薬や治療魔術の用意とかできるし」

咲「その時には大変な状態かもだしね。マシュは、我慢しちゃうから」

~ダ・ヴィンチちゃんのアトリエ~

ダ・ヴィンチちゃん「というわけでね。もろい、極小の特異点からならいくらかの魔力リソースを手にすることが出来るようになったよ。アルトリアの持つ宇宙航行技術の一部も応用できたし、これならカルデアのシバのレベルも高くできる」

ロマニ「ふむふむ・・・これ、本当かい!? リソースも今のカルデアに英霊をもう数騎呼んでも維持できそうだし、演算技術も40%上昇!?」

ダ・ヴィンチちゃん「しかも、だ。演算技術はまだグレードをあげられるけど、今はこちらのシステムを理解したいとのことでお試しの軽め物で。と来た。妖精郷という神代の時代が続く場所で、他の宇宙、技術を吸収しているから、ある意味カルデアの先輩みたいなものなのかもね」

ロマニ「そういえば、トウモロコシを出荷した帰りだったっけ。ここに来たの。親御さん、甥っ子(ガヴェイン達)や姪っ子(ガレス達)に連絡入れたのかな? いや、ここまで時間すぎていて今更な疑問だけど」

ダ・ヴィンチちゃん「大丈夫みたい。むしろ姉のモルガンから『お姉さまの手伝い頑張っちゃいなさい。今から畑も休ませるし、気にせずに』ってメール来たんだって。しかも魔力リソースたっぷりの宝石付きで」

ロマニ「本当は今すぐに本人も来たいだろうに。いいお姉さんだね」


ハジケ戦争 チート国家ローマ
ローマへお買い物。お目当ては布


 「今回の特異点ローマでは下着も用意しましょう。皆様の服も一緒に」 

 

 特異点出発前のミーティングで出た一見ふざけた発言。それは、思わぬ一言から始まった目的だった。

 

 

 

 

 

 「ぶ、ブラがきついです・・・」

 

 「・・・え? あー・・・そうでした。あれが今治療用のポッドにありますから」

 

 ゲームをワイワイみんなで集まって楽しんでいる中、アルトリアのふとした発言。ブリテン時代からうら若い乙女の肉体を英霊でもないのに1500年以上維持できていたのはモルガンらのような神霊の側面でもなく、竜の因子でもなければ聖剣エクスカリバーの鞘、アヴァロンの効果によるもの。

 

 持ち主の傷をいやして老化を停滞させる不老不死と無限の治癒力をもたらす最大級の盾とも扱えるであろう鞘を常に肌身離さず持っていたアルトリア。しかし、このカルデアにてマシュの延命治療。英霊の力を振るえるようにするための体質改善のためにと治療用ポッドに組み込んでしばらく経つ。

 

 数時間、数十分ならまだしも数日、数週間ともなればアルトリアの肉体は止まっていた成長を再開し、必然その成長に下着が追い付かないということだった。

 

 「では、下着を用意・・・出来ないんでしたっけ。確か、大爆発とか何とかで」

 

 「ええ・・・私も確認はしたけど、衣服の予備ももうほとんどないし、男物ばっかりで」

 

 ならばと思考を練るも壁にぶち当たる紫式部と、もうカルデアには衣類の予備もあらかた先の爆破テロで燃え尽き、職員らもどうにか残ってた2,3着の服と下着を使いまわして生活している始末。かくいうオルガマリーも今着けている服、基礼装も聖杯で一緒についてきたがこれ以外は簡素なシャツとスカートくらい。

 

 「さすがに他の職員に貸してくれと頼んではあちらも大変でしょうし、私のものはいくらか予備がありますが・・・ひゃっ!」

 

 「やめてください。姉上と私の格差を改めて思い知っていろいろ追い打ちをもらいそうです・・・こうして抱きしめる分にはいいのに・・・うぅ」

 

 華奈の下着を借りようにも、少女の肉体が成長を始めたばかりのアルトリアと、成熟し、見事な肢体を持つ華奈ではサイズも合わないどころかむしろ付けたほうが邪魔なレベル。少し涙目になりながらアルトリアは華奈の胸を両手でむんずとつかみ、右ほほをくっつけて息を吐く。

 

 「ん~・・・と、なれば現地での調達。前回のように特異点での回収や、資材をもとに作るべきでしょうか? 聖杯は使用は基本厳禁ですし」

 

 「華奈さんの部隊は確か衣服、装備に関して明るい部隊がいるとか。それで安全な場所で皆様の衣服や下着を用意できればいいのでしょうけども・・・」

 

 「ん・・くっ・・・じゃ、そうしましょうか」

 

 「「「「え?」」」」

 

 少しほほを赤らめた華奈の発言に一同目を向け、そして疑問の声が上がる。

 

 

 

 

 「結局。勝負は流れてしまったな」

 

 「まさかのアナウンスで中止はしょうがねえよ。特異点に行けるそうだし、今度は首取り勝負でもするか?」

 

 「完成はしたしいいんじゃないかな。それと、物騒な勝負はやめてね?」

 

 「いいじゃないか。そういうもののふがいてこそ戦は成り立つものじゃ。ストーム1も用意しに戻ったし、楽しみじゃよう~♪」

 

 特異点観測、およびレイシフトの準備ができたということで解体清掃の練習は途中で切り上げてブリーフィングルームに移動してきたジークフリート、クー・フーリン、藤丸、信長。信長は勝負の決着こそつかなかったがストーム1から借りたMA9スレイドをほおずりして微笑む。

 

 藤丸は二丁の拳銃を腰に差し、予備の弾薬をチェックし、礼装の中、胸の内ポケットの中に忍ばせておく。

 

 

 「お、お待たせしました。マシュ・キリエライト。いつでも特異点に行けます!」

 

 そこに盾を構え、戦闘態勢を整えたマシュもイキイキとブリーフィングルームに入ってくる。しっかりと休養を取り、そしてこれからのことが明るくなるような話を聞いたせいかいつもよりも笑顔が明るく、皆に頭を下げていく。

 

 「おっ、嬢ちゃん。もう準備できているのか。張り切っているな」

 

 「マシュもやる気満々。藤丸も安心して構えていられるのお」

 

 「うん。すごく頼もしいよ。マシュがいるなら安心だし」

 

 信長らもマシュの笑顔につられてからからと笑い、藤丸も柔和な笑顔でマシュに微笑みかける。その笑顔にマシュはほほが赤くなっていき、少しドギマギとした様子を見せ、なにやら甘い空気が二人の間に渦巻く。

 

 「・・・これが、青春という奴だろうか?」

 

 「おそらくは。お待たせしました。準備できましたよ」

 

 「おまたせー。お、マスターもちょうど今か。奇遇だな」

 

 若い二人の様子に静かに笑うジークフリートに応えながら華奈、ストーム1。そして沖田、アルトリア、ジャンヌ、オルガマリー、紫式部もぞろぞろとブリーフィングルームに入り、華奈は早速お茶を人数分用意。

 

 「特異点、でしたか。次はどこでしたか」

 

 ジャンヌオルタとロマニ、ダ・ヴィンチちゃんカルデアのも入ってくることでメンバーはそろい、各々が席に座り出されたお茶をすすりながらロマニの声に意識を向ける。

 

 「さて、早速だが、今から向かう特異点の時代、場所は紀元1世紀。ローマになる」

 

 「カルデアの観測精度も少し上がってね。どうにも今回は戦争中のローマに入ることとなるかもだが、戦、荒事ならむしろ君たちの得意分野だし、将帥の加勢はうまくいけば現地の力を借りることも可能かもしれない」

 

 「うまくいくかは別として、可能性の一つとして考えておいて損はなさそうですね」

 

 明かされる特異点。ローマ。これには一同声を上げ、同時に少し浮足立つものも出てくる。全ての道はローマに通ず。とまで言われるほどの高い文化を持ち、水道整備、清潔への理解。石を使った建築物は数千年たってもなお形を残すほどの強度、完成度を誇る。

 

 美食については自身で調味料を作り、染織物などできらびやかな服飾もある。後世の国もローマの子孫、後継者と自負する国がいくつも出てくることを考えれば誰もが憧れ、追い付こうとしたのも納得の国だ。

 

 「それで、今回も藤丸君、華奈で出発。また現れた異常を排除していってくれたら」

 

 「あ、それなんですが、実は二つほど私からの提案があるのですが」

 

 「ん? 華奈からの提案? まあ、いいけど。どんなものだい」

 

 「今回の特異点ローマでは下着も用意しましょう。皆様の服の予備も含めて」

 

 この発言に何名かは茶を吹き出して机や床を汚し、あるいはむせる。思考が追い付かずに固まるものと様々。サキに話を聞いていたメンバーはこめかみを抑えるオルガマリー以外は皆の反応に「やっぱりか」と言いたげな表情を浮かべ、ロマニは驚きで目を見開き、ダ・ヴィンチちゃんは大爆笑。

 

 何が起こるかわからず、イレギュラーだらけの特異点でのまさかの服飾の用意という提案はさすがに予想外だった様子。

 

 いろいろと緊張感が吹き飛んでしまうことに。

 

 「いやいやいや! なんでそこで下着!? 僕たち買い出しに行くわけじゃないんだよ!?」

 

 「お、なら俺はアロハシャツとか欲しいな。通気性のいい奴」

 

 「あっはっははははは!! アハハハハハ!!! で、り、理由は何だい・・・? ひぃ・・ひぃ・・・腹が痛い」

 

 「いえ、例の爆破テロで皆様の服や礼装もあらかた燃えちゃったでしょう? 洗濯や浄化の術式などで対処しているのですがやはり幾分かの余裕は欲しいですし、この際職員の安全対策のための礼装なども用意できればと。この前のちびノブ襲撃事件もあったでしょう?」

 

 つい先日に起きた思わぬ特異点攻略。そしてカルデアへの侵入者。とっさに銀嶺隊が対処できたからいいものの、やはりカルデア職員の最低限の備えも欲しいという考えがある。対策は講じたとはいえ、緊急時に備えたいと思うのは人情というもの。

 

 「あれに備えられる礼装と、新しい服で気持ちの余裕と清潔の維持。服の用意に関してはアンナ様、ダンカンの部隊を用意します。ブリテン、オークニーの中でも指折りの魔術師がいる部隊に最前線で暴れまわるせいで服の補修とか慣れている部隊。礼装も、服もいいものを用意できますよ」

 

 「姉上の部隊は鎧も礼装も道具も自給自足でしたから、品質はいいものができると思いますよ」

 

 アーサー王の太鼓判つき。しかも神代の魔術師がこさえてくれる礼装に服。ともあればカルデア職員の反対も起きず、ロマニたちも安全性の考慮から頷く。

 

 (この経験と下地をもとに藤丸君の礼装も用意できそうだし、何着か同じもの、少し指向性を変えたものを用意してもらえば楽に礼装を量産できちゃうなー♪ いい提案、アイデアをくれたね)

 

 「で、もう一つは何ですか? 確か、もう一つ提案があるとか言っていたじゃない。ろくでもない提案なのはおおよそわかりますが」

 

 礼装の下地をもとに専用の装備を考えていくダ・ヴィンチちゃんとは別にもう一つの華奈の提案を聞いてくるジャンヌオルタ。相変わらずふざけた提案だが面白いという目を見せながら次のアイデアはどんなヘンテコなのかと聞きたいのか、少し食い気味だ。

 

 「ああ、もう一つは、もし私たちが時の権力者と協力するのであれば、オルガマリー様もレイシフトして長として交渉。できればそのまま当時の魔術の知識や為政者の姿を肌で感じ、学べないかと。ぶっちゃけ、オルガマリー様の参加と、戦力の補強を兼ねた勉強会です」

 

「わ、私も・・・!? た、確かに今はエミヤとジャンヌがいるけども・・・」

 

 「ふぅむ。2000年くらい前の魔術、それもローマと一緒に消えた魔術か・・・俺はあまり詳しくないが、それって結構貴重なものじゃないか?」

 

 再びあの過酷すぎる特異点にいかないかという誘いに驚き、どうしたものかと考えるオルガマリー。行きたくないというのが本音。一度死んだ上に、自身はカルデアの長。華奈、藤丸らに万が一があった時の備えという意味でもここに残るのがいいとは思う。

 

 けど、同時に命の恩人である上に信頼できる武官の華奈の提案、ストーム1の言うように魔術師としては2000年前ほどの世界の魔術を知る機会。魅力的な話に自分も英霊を2騎契約している。前とは自分含めて動ける状況である部分もある。

 

 (実際に英霊の力を使える私と英霊たちの戦力の追加でローマの攻略を早くできるかもだし、魔術師としては最高すぎる勉強の機会。怖いのは確かだけど・・・)

 

 「・・・わかりました。今回は私も必要であればレイシフトします」

 

 勇気を振り絞り、自身も今回必要であればレイシフトをすると決めたオルガマリー。手は震えているし、冷や汗も流している。けど、目は強い光をともして嘘ではないとわかるほど。

 

 前までのヒステリックかつ余裕もないオルガマリーを知っていたカルデアの面々からすれば改めて彼女の成長に驚きと喜びの声が上がるも

 

 「ただし・・・! 銀嶺隊は最低でも200はカルデアに残すこと。アルトリアと紫式部を必要であれば私の護衛につけて。まだ私も怖い部分はあるの・・・いい?」

 

 オルガマリーの声で遮られ、しっかりと自身を守るように念を押す。それでもオルガマリーの加勢はうれしいものであり、またそこかしこで嬉しそうな声が上がる。

 

 「ふむ。カルデアの所長ですから妥当ですね。姉上。私は問題ないです」

 

 「私も。むしろ一緒にローマの勉強ができるかもなんて素敵なお話。喜んでお受けします!」

 

 「了解です。ではアルトリア様と香子様を護衛に。銀嶺隊は人を多めに残しておきます。私たちがレイシフト中でもカルデアの生活を維持できるようにはしないといけませんものね」

 

 アルトリア、紫式部の了承をいただき華奈のほうも確認するように応える。その声を聞くやヤマジたちはすぐに部隊からそれぞれ掃除や雑事を担当している兵士たちに声をかけて当番の割り振りを開始。

 

 「よし。じゃあ、早速ローマにきみたちを送り込もう。目標は特異点の修正、聖杯確保と、下着、服飾の用意。シバの演算システムやモロモロも向上しているから私としてはローマの書物も写しを用意してほしいな!」

 

 「・・・なんだか余計なものが入った気もするけど・・・今回は所長の出る可能性も含めてカルデアの総力をあげた特異点攻略。何が起こるかもわからないしみんな気合を入れてほしい。レオナルドも言っていたけどカルデアのシステムもレベルアップしたからいろいろ補助の幅も広がるとは思う。安心して戦ってきてほしい」

 

 「ローマへの出立を許可します。華奈、藤丸。英霊のみんな。勝利をつかんで無事に帰還すること。そして、必要であれば私を呼ぶこと。このオルガマリー・アムニスフィアが命じます。・・・頼んだわよ!」

 

 華奈、藤丸の二人を先頭に契約している英霊。アルトリアたちが次々とコフィンに入り込んでいき、レイシフトは開始される。

 

 「・・・だいぶ成長したね。オルガマリー。前だったら駄々こねて絶対レイシフトなんてしなかったと思うよ」

 

 「そ、そんなことは・・・! あったかもですが・・・でも、藤丸に華奈の姿見ていると、なんかこう・・・負けてられない。って思うのよ・・・それにそれが最善手なら使わないで負けるのは嫌。使える手は使うべきだし・・・私だって、マスターとして頑張りたいもの」

 

 気恥ずかしさをごまかすように髪の毛を指先でくるくると巻いてみたりいじるオルガマリーとそれをほほえましいものを見るように眺めるロマニ。少し前なら絶対に見せない、ありえない様子と成長からくる思い切りの良さと吹っ切れた様子は以前の常に何かを抱えながら怯え、苦しんでいるオルガマリーよりもはるかに輝いているように見え、これからの見通しも不安極まる戦いに少しだけ希望が見えた気分になってしまう。

 

 「まあ、オルガマリーが呼ばれるかはわからないし、今はゆっくり気構えておこう。どうせ華奈たちはあそこでもふざけたことをするだろうから笑える余裕くらいは持っておこうぜ? さて・・・あの人数が一気に人のいる場所に現れては大変だし・・・着地する場所は・・・ここでいいか」

 

 コーヒーをすすりつつもコンソールをふざけた速度で叩いてレイシフトの動作を続けるダ・ヴィンチちゃん。おおよその観測では今回も国が存在し戦争状態。下手な刺激は避けようと適当なポイントへの場所を接続開始。幾分かの気持ちの整理のためにあえて人のいない場所を決定して決定のキーを押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ・・・ピクニックにでも行きたいです」

 

 「それ、もう目的地じゃないのか? ここ」

 

 レイシフトを無事に終え、到着したはなだらかな丘陵地。足元でそよ風に揺れる柔らかな草の感触に見晴らしの良い景色。さわやかな青空。そして堂々と空に浮かぶ謎の光輪。

 

 何もない状況ならちょっとした休息地、光輪を眺めつつご飯を食べてもいいかもしれない。けど、ここは特異点。油断できる状況でもなく華奈は早速花子と黒介で索敵を行い、ストーム1はフリージャーの要請を行いつつドゥンケルのスコープで周辺を見渡す。

 

 「うわっ!? 清姫!? いつの間に」

 

 「最初からおりましたよ。作戦には口出しはせずに記録していました。ふふ・・・私はますたぁのおそばに常にいますもの。あの有名なローマへの出立。お供いたします」

 

 「清姫さんがいるのは頼もしいですが、さすがにべったりくっつきすぎでは! ほら、拳銃が危ないですよ」

 

 「どっちの拳銃じゃろうな? ふぅむ・・・スレイド。取り回しはよいな。スコープはないが・・・アーチャーのわしなら裸眼でも行けるか」

 

 「いちゃつくのはいいが、落ち着いてからにしなー。さて、俺も少し様子を見てくる。ジャンヌオルタ、信長。そこの三人を頼む」

 

 いつの間にやら来ていた清姫が藤丸に抱き着いてほおずりし、それにほほを膨らまして抗議するマシュ。ジャンヌオルタはその光景に半ば呆れ、信長は借りた銃の取り回しと射程。どう使っていこうかの再確認。

 

 クー・フーリンはカラカラ笑いつつもあたりへの索敵へと走り始め、安全確保と周辺状況のゲットへと務める。

 

 「・・・というわけで、私と紫式部が護衛についた際は沖田が姉上のそばに。ジークフリートは姉上と藤丸君のサポートについてください。貴方なら安定感がありますし姉上にはストーム1がいますから視界も盾も用意できます。なら、連携を強めようかと」

 

 「どうかお願いいたします。私は荒事はまだ慣れていませんので・・・お二人に最前線をお願いします」

 

 「はい! 沖田さんが矛というわけですね。アルトリアさんの分まで働いちゃいます!」

 

 「ふむ・・・確かに。俺の鎧ならマシュほどではないが守りにはなるし、何かあった時に俺が動くと決めておけば指示も早いしな。了解した」

 

 油断なく周辺を見回しながらも華奈の代わりに自分らの動きの打ち合わせをしていくアルトリア。

 

 すでに何らかの戦いの気配は感じ取っているが、それは少し離れた場所。再確認と簡単な決め事をしてからのほうがこちらが生き残りやすいし、一度カルデアからの通信が来てからのほうがいい。あちらのバックアップや後方からの視点での状況整理、意見を聞けるほうが思考の硬直もなく柔軟な策を打てるというもの。

 

 索敵も既にしているのならこちらはその後のことを考えておく。

 

 『よし、みんな離れてはいないようだね。無事にレイシフトも完了。紀元1世紀のローマ・・・の少し離れた場所にきみたちはいる。此方からの観測では特に危険な場所もないはずだけど、どうだい?』

 

 少しの間をおいてロマニの声が響き、通信が入ったことを確認する。

 

 「特に問題ないです。が・・・花子と黒介の様子を見るに、少し離れた場所で戦が起こっているようですね。私もかすかに血の匂いを感じます」

 

 『ええ、少し離れた場所で、市街地の近くでしょうか・・・? で軍団同士のぶつかり合いが始まっています。どうにも都市を守っているほうが劣勢。当時のローマの都市、首都を考えれば劣勢なほうが正常なローマだと思われますが・・・』

 

 「後は現場の判断でというわけですね。了解です。すぐに向かいます。ストーム、足は用意できましたか?」

 

 索敵も周辺は問題なし。ただ、少し先で早速今回の特異点のゆがみを知ることが出来るかもしれない戦場があることを確認。華奈もそれを聞くとストーム1に視線を移し、動く旨を声に乗せておく。

 

 「ばっちりだぜ。とりあえずはフリージャー3セット。俺はその後軽量アーマーに着替えたから走って移動できる」

 

 「私も・・・今回は騎馬にしましょうか。軍馬をとりあえず数頭。アルトリア様に沖田様。ジークフリート様など騎乗スキル持ち、もしくは慣れている方はお乗りください。慣れていない方は慣れている方の背中か、前に座ってください。香子様は・・・栗毛に乗りましょうか。私の背中につかまってください」

 

 黒介と花子を一度戻らせ、今度は軍馬を数頭呼び出して一同の足を用意していく華奈。自身は栗毛に紫式部を乗せ、自分も騎馬してしっかりと腰に手を回させる。

 

 「よっしゃ。じゃあ出発だ。俺が後ろを守るからみんな気にせず進んでくれ」

 

 「あ、私も馬の使い方がわかる・・・というか懐かしい・・・? 先輩、私につかまってください」

 

 「あ、うん・・・じゃあ、失礼するね」

 

 「むぅ・・・わたくしが馬を扱えたら・・・」

 

 「へいへい。今度練習してから誘えばいいさ。ほれ、仲良く乗ってろ。俺がリードしてやるから」

 

 「素直な馬ね・・・相当に戦い抜いたのでしょうけど」

 

 「おーいい目をしている。わしの愛馬にしたいくらいじゃ。さ、出発じゃあ!」

 

 ワイワイガヤガヤと会話の途切れない一行を華奈とアルトリアが先導。ストーム1がしんがりを務める形で近場の戦場に向かって出発開始。ローマで特異点修復とついでに礼装やら衣服モロモロを手にするために動き始めていく。




???「兵士たちよ今は耐えるのだ! ここを落とされたら都市部や兵糧庫周辺まで一直線! 耐え凌ぎ、援軍が穴を塞いで補強するまで今しばらく踏ん張るのだ! あの都を敵に渡してはならんぞ」


~~

???「■■■!!!!!」

???「くそったれえ!! お前のせいで夢にも骸骨が出るせいで不眠症がひどくなったじゃねえか!」

???「頭を冷やせ! 出すぎだぞ!」

???「この場を数日耐え凌いでいるだけでも奇跡だ・・・! しかし・・・キリがないですね・・・!」

???「いくら怪物駆除になれた俺らでもこの数をこれ以上は・・・!」






はい、ローマ編始まります。今回は目指せ軍紀もの風です。

ちなみにヒロインXのトウモロコシ農家的な扱いは公式でそんなんだとか。

礼装の用意と爆破テロで衣服の予備やら吹っ飛んだのでローマの布やら素材使って用意しようぜなノリで目的追加。原因の一つはアルトリアのアヴァロン貸し出しによるヒロインXからXXへの変化の可能性によるもの。

今回は銀嶺隊も表に多く出て暴れまわらせる予定です。主にヤマジとダンカンはレスリング的な意味でも弾けてもらおうかなあと。

皆様大好きなあの元気な皇帝陛下は次回ご出演予定。しばらくお待ちくだされば幸いです。

それでは皆様また次回まで、さようなら。さようなら。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。