転生愉悦部の徒然日記   作:零課

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ジャンヌオルタ「ふん。大したことないわね。死霊も数だけじゃね。兵士のほうがまだ固かったわよ」

ジャンヌ「お疲れ様。オルタ。ふふ、頼もしい妹のようです」

ジャンヌオルタ「・・・・・・ねえ、マスター。私の耳がおかしくなったかもだわ。いま、訳の分からない言葉を聞いた気がするわ」

藤丸「オルタが妹みたいってしっかり言ってたよ」

マシュ「なるほど。ジャンヌさんがしっかり者な長女、ジャンヌオルタさんが元気な次女。という感じでしょうか?」

ジャンヌオルタ「ああああ!! 言わないで! 聞いただけで吐き気がするわ! こいつが姉とか何の冗談よ!!?」

ジャンヌ「えー・・・? いいと思いませんか? 私が守りで支えてオルタが前で頑張る。連携もそうですが姉妹同士のコンビネーションみたいで素敵・・・」

オルガマリー「はいはい。ストップストップ。火山を溶岩以外で燃え上がらせるのはこれ以上はやめましょう。サークルが壊されたら大変だわ」

アルトリア「そうですよ二人とも。その色を塗り替えただけの鏡合わせのような漫才は後でもできますから帰りましょう。でないとカリバーでもろとも吹っ飛ばしますよ?」

紫式部「そ、それにですが華奈様も布やら礼装の用意ができたみたいで。皆様が帰ってきたらすぐに用意していくと言っていました。先に戻りませんか?」

ジャンヌオルタ「あーそういえば言っていたわね。ローマの目的の一つは達成したと・・・・いいわよ。帰りましょう。そこの聖女様の妹にされる前に私も退散して部屋着の一つでもねだっていたほうが建設的よ。じゃ、マスター先帰るから」

ジャンヌ「あ、オルタ! 一人では危険ですよ。私も・・・」

ジャンヌオルタ「ついてくんなー!」

エミヤ「やれやれ・・・マスター私たちも帰ろう。マスターの礼装に部屋着、精神的な意味でも服は必要なもの。採寸を早めにして休もう。私たちの戦いぶりからネロ陛下、ローマの信を貰えた。また動くときは派手に動くと思われる」

オルガマリー「わかっているわよ。じゃあ、戻るわよ皆。場所は野営地の一つを借りたみたいだからそこに行くわよ。あ、一応野営地と言っても最前線からは離れているから」

藤丸「了解です。服か・・・そういえば、持ってきた服、半分燃えちゃったしなあ・・・」

マシュ「休息時も制服と私服ではリラックス効果の差やそれによる肉体の休息の度合いも違うといいますし、これで職員、先輩も落ち着いて休めることになりますね」

藤丸「うーん。そうかもね。基本制服を着回ししていたし、じゃ、行こうか」

マシュ「はい!」


~カルデア~

咲「よし、これで姐さんに頼まれた女性職員の仕立てに必要な情報はばっちり・・・基礎もこれでいいし、えっと・・・」

冬利「野郎たちの分も良し。最近は土いじりもする人が多いし、ここらで用意しないとなー」

良馬「私も楽しんでいますがどうしてもツナギ、ジャージみたいなのが欲しくなりますからねえ。船坂さんもいい素材を手にしたそうですし、古い肌着や私服はしっかりと洗って少し休ませておきたいですよ」

冬利「お、おつかれー。元はどうしたよ?」

良馬「道具をあさっていたメディアさんに捕まってレイシフトの部屋に行っていましたが」

咲「わ、私とフラムも採寸されていたけど、ローマでも自分でやるみたい・・・」

良馬「・・・無事だといいですが」




メディア「さあマスター! 魔女で道具作成の技能の活かしどころよ! レイシフトしてパパっと移動! そしてじっくりねっぷり彼女たちの身を守るもの、生活に必要な衣装を作る準備するわよ! ハリー! ハリー! ハリー!」

元「ぐぇ・・・・ま、待ってくださいまだ準備が・・・!」

メディア「そんなもの魔術部分は私が起動させるから早く! 一秒でも早く準備をして、製作の時間に回したいのよ」

元「華奈に頼まれたものがあるのでそれを持ってきたいのです」

メディア「?」



仕立てのお時間です

 「清姫様、椅子の数は・・・ええ。それで十分。後は待合室に薄めたワインでも置いておいてリラックスできるようにしましょう」

 

 「はい。華奈さん。でも、お酒は大丈夫なのでしょうか?」

 

 「大丈夫ですよ。飲料水替わり、甘い葡萄でのワインですし4,5杯飲んでも酔わないでしょう」

 

 無事にエトナ火山の攻略を終えた藤丸たち、英霊たち、銀嶺のカルデアで雑用をしている兵士たちの礼装、私服を用意するために借りた小さな野営地の一つ。採寸するための場所の用意をしていると清姫も協力を申し出て華奈、女性騎士たちと一緒にいすを並べ、飲み物や軽食を用意したりと和やかな時間を過ごしていた。

 

 「しかしまあ、藤丸様についていくかと思っていたらまさかここの手伝いとは。よかったのですか?」

 

 「もちろんますたあに付いていきたかったですし、死霊からお守りもしたいと思いましたが、あの戦力であればきっと問題はなし。ならもう一つの準備をしてすぐに次の行動に移れるようにするのも女の務めかと思いましたし。その、血がついた服はしっかり洗ったりしたほうがいいかなと。汚い衣装に身を包んだますたあも素敵ですが、きれいなほうがきっといいかもと」

 

 「ええ、それにじっくり汚れを抜いておかないと後で洗っても落ちなかったりしますしね」

 

 てっきりいつの間にやら背後にいたりと思っていたが清姫もあの戦のあとで血や土のついた藤丸の服を見て予備の服、鎧代わりの礼装の一つでも用意してやる事が献身と捉えたか。てきぱきとこなしていく。

 

 元がいいとこのお嬢様。服への関心、清めの概念もある日ノ本の英霊の観点からもあるのだろうが、理解が早い。鼻歌交じりにワイン樽を転がして机の上に置き、グラスを置いて準備していく様子をしり目に華奈もカルデアに送る布、サンプル用のものと分けておき、霊薬、小道具、宝石も箱に詰める。

 

 「そういえばストーム1、軍曹さん・・・? はどこでしょうか?」

 

 「ああ、彼らは男性用の部屋を用意していますよ。よし、鉛のグラスはないですね・・・・・」

 

 「あ、私もそっち・・・」

 

 「だめですよ。ほかの方もいますし、清姫様も簡単な服を用意するために採寸するのですから」

 

 男女別になっていると聞いて即座に男性用の部屋に駆け込もうとする清姫の首をつかんで抑える華奈。おそらくだがどこかに隠れて藤丸の身体を眺めるか、自分が採寸すると乱入するのがオチ。とりあえずは何が起こるかわからない(銀嶺の変人どもが)上にマシュやほかの女性陣までも乱入して騒ぎが起こるのも面白いかもだが藤丸の礼装の草案にも時間を使いたい。

 

 「お、用意できているようじゃな。ご苦労ご苦労」

 

 「あら、信長様お疲れ様です。前線は大丈夫でしたか?」

 

 まだ逃げようとしている清姫に意識を向けながらこまごまとした用意をしていたところ物見遊山ついでに前線視察をしていた信長が戻り、なにやら果実を片手に笑っていた。

 

 「わしは大丈夫じゃが、男専用の場所がなにやら野太い叫び声が聞こえたが大丈夫か? しかもどたばたとやかましかったし」

 

 「ああ、レスリングでもしているのではないですか? うちの部隊では所かまわず誰かが汗を流していましたし」

 

 確かに耳をすませば「フンオオォオ!」「アッー!」などなど聞こえ、それを制圧しようと軍曹とストーム1が暴れている様子が聞き取れるが仕事が終わっての小休止だと割り切って無視。分けてくれた果実をナイフでカットして道具を再点検。

 

 「戻りました。華奈様もお疲れ様です」

 

 紫式部の声に気づいて視線を移せばエトナ火山に出かけていたメンバー、ふらふらしていたメンバーも戻ってきており、待合室の椅子に腰かけて皆一息つく。彼女らをねぎらうために冷えたワイン、ぶどうジュースを渡してまわり、自身も茶をすする。タイミングも良く、外から聞こえる男女の声。

 

 「皆様お疲れ様です。いやはや、ちょうどいいですね」

 

 「あら、みんな揃っているのね?」

 

 「わ、私は男部屋に行ってきます・・・」

 

 裁縫道具にスケッチブック、カメラを抱えたメディアとそれに引きずられる形で到着した元。華奈にアヴァロンを渡してから男部屋に移動し、直後におかまたちの黄色い歓声が響き渡る。

 

 「私たちの部屋着も作ってくれるなんて魔術師様も働き者ね? せっかくだから水着とかもあつらえてくれないかしら」

 

 「水着・・・サバフェスを思い出しちゃいますね。確か次回の開催地はアメリカでしたっけ」

 

 「アメリカですか。ふぅむ。いくつか私有地や所有している物件はありますが、咲、冬利様と後で確認しましょうか」

 

 「私にしてみればこっちのほうが本命よ・・・カルデア職員の分は終わらせたからここで手に入った布や道具で作るだけだし。その活力をもらうために・・・」

 

 道具を確認し終わった後に魔術を展開。部屋の鍵を閉め、幾重にも結界を展開。華奈たちが外に出られないように準備されたものはぱっと見でもかなり強固なものだと理解できるほど。

 

 「さあ、かわいい皆の採寸の時間よ!! その柔肌を晒して、計らせてもらうわ!」

 

 「へ、変態だぁあ!!」

 

 「あらー・・・まあ、そうなりますよねえ」

 

 「姉上!? 自分は狙われないからってその反応はどうなのですか!? エクス・・・って魔力が集中できない!?」

 

 アルトリアたちはそのメディアの気迫に何か感じ取って脱出をしようとするもすでにこの場所はメディアの工房、テリトリーの中。アルトリアのエクスカリバー対策もするほどの入念な用意。これからもどれほど楽しみだったのかがわかるというもの。

 

 「大丈夫よ。優ししくするから。さあ一人ひとり始めていきましょうか。何なら一斉でもいいわよ」

 

 竜牙兵を展開して道具を持たせ、採寸、その体系、肌に合った草案を見つつ、ギラギラと目を光らせながらじりじりと距離を詰める姿はメディア自身が美女であることもあって迫力のあるもの。手際の良さや術式の高さはまさしく天才、世界でも指折りの実力を持つ魔女なのだが、その使い方があれ過ぎることもあって残念、もしくは危険人物にしか見えないありさま。

 

 「さあ、着せ替えと資料集めの時間よおぉおおお!!」

 

 「「い~~や~~~~~~ああああ!!??」」

 

 一部の女性をしり目に始まる大魔女の採寸と着せ替え大会。カルデアからの映像記録は華奈がバッサリと切り捨てたので映像記録が残らなかったことが幸いだろうか。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「BOY♂NEXT♂DOOR」(訳 藤丸君、ドアをくぐるといい)

 

 「い、行きたくない・・・」

 

 「ぬっふっふ(^ω^)」

 

 「お、そうそう。センスいいじゃねえか。個人的には緑を基調とした花柄のアロハと、青のアロワナとかの魚をイメージしたシャツをだな」

 

 「むぅ・・・幻覚の応用でシャツのようなものもあるのか・・・では、それとツナギ、後はそうだな。簡単なシャツをいくつか」

 

 「渋いねえ・・・全くオタク渋いぜ」

 

 「あんらぁー私の好みだわぁ。ネネ、どう? ワインで一杯やりましょ」

 

 「アイスワインしかなかったけど、いいかな?」

 

 「い、いや・・・遠慮させてもらうよ」

 

 「だ、誰か助けてくれ・・・」

 

 「・・・おい、ストーム1。ここはいつから変人たちの巣窟となった?」

 

 「マスターが来た時点でかねえ。あ、俺にもワイン一つ」

 

 

────────────────────────

 

 

 「し、師匠に汚されたわ・・・」

 

「仕立てというのは・・・ここまで過激なものなのでしょうか・・・・?」

 

 「いやはや、壮絶としか言えませんでしたねえ・・・お疲れ様でした。皆様」

 

 かれこれ数十分。魔女の大暴走であれこれ身体をチェックされ、幻覚魔術の応用で疑似的な着せ替え祭りから解放されてグロッキーな女性陣。予想外のメディアのハッスルぶりに流石に華奈も驚きつつ皆に水を配り、装いを正していく。

 

 一方でメディアは銀嶺隊内でカルデアの警備、雑務にいる男性、女性騎士のメンバーの採寸をとんでもない速度で行い、いつの間にやら覚えたか電子端末にデータと写真をバリバリと入力し、作業用と私服用と細かにフォルダ分けまでする始末。

 

 「ふぅ・・・至福の時間だったわ。じゃあ、私はもう帰ることにしましょう。マスターもあの男地獄で参っているでしょうし。あ、華奈。あの中に入るのは私にはきついから誰かに頼んでつまみ出しておいて。それとアルトリア。はい。これ。サイズも成長するだろうということで予備もあるわ」

 

 ようやくやることを全てやったと判断したか立ち上がりながらメディアは端末や宝石、道具諸々を片付けていき、最後にアルトリアに少し大きい中身の入った紙袋を渡す。

 

 「感想聞かせてくれるとありがたいわ。次回作の参考になるから。じゃ、特異点攻略頑張ってね。華奈。助かったわ。いい場所を設けてくれて。さーて、今頃銀嶺のおかまどもに接近されているマスターはと・・・」

 

「あ、ありがとうございます・・・おお・・・」

 

 紙袋の中身を見てその作りに感心するアルトアリアをよそに別の部屋から魔力弾の雨の音と野太い悲鳴がしばらく響いていき、何かを引きずる音が部屋の外から聞こえ、その後に二人分の気配が消えた。

 

 「何名か後で治療魔術をしましょうか。やれやれ。相変わらず自由ですねえ」

 

 「服を作るというのはとても大変なことなのですね」

 

 「いや、わしも言うが絶対ないからな? あんなハッスル仕立て見たことないわ。大変さのベクトルが迷子状態じゃ」

 

 そうこう言いながらも身を起こし、装いを正したり休憩用に用意されていた食べ物などをつまみ始める一同。

 

 「おーい。華奈や藤丸らはいるか?」

 

 「はーい。あ、荊軻様。どうなさいましたか?」

 

 華奈が出迎えるのは白を基調とした着物のような衣装に身を包み、鋭い翠色の瞳。黒の髪を後ろにまとめた女性。どこかひょうひょうとしたような空気を感じる人だが、同時にどこか凄みを感じもする。

 

 そして女性の名前に皆が注目する。中国史の中でも指折りの知名度を誇る暗殺者。短剣とこの身一つでかの覇者、始皇帝に立ち向かった刺客。傍若無人の語源にもなった人。

 

 「え、あの荊軻!? あ・・・でも確かにカエサルさんを倒したときに後ろの守りを任せた客将に白い衣装の人がいるなーとは思いましたが・・・」

 

 「おや? 失敗した私ごときにそこまで注目しちゃうとはね。まあいいさ。マシュ。でよかったかな。この前の戦いお見事だったよ。華奈。用意は出来ていることと、もう二人が話がしたいってさ。流石に円卓の狼と騎士王。彼女も反応しちゃってもしょうがない。前線の視察ついでに挨拶をしっかりやるということでどうだい?」

 

 「私とアルトリア様・・・あーなるほど。あのお方に目を付けられるとは嬉しいですねえ。あ、これ頼まれていたものと、私の用意したものですが、使えそうですか」

 

 「ん・・・あれ、姉上。出かけるのですか? なら私も」

 

 クスリとほほ笑んでマシュに微笑みつつも荊軻は華奈から幾つかの道具や羊皮紙、布を受け取り。前線の野営地の場所を一つ教える。アルトリアは早速紙袋の中身を着けたようで着心地をチェックしつつ聖剣を担いですぐに動けるようにしていく。

 

 「ええ、客将の方としっかりとあいさつしに行く感じでしょうか。私とアルトリア様、藤丸様、オルガマリー様、ストーム、マシュ様。軍曹様。これくらいでいいでしょうかね。ほかの皆様は休憩を。では、行きましょうか」

 

 「私は私で別用をしてくる。じゃあみんなまた今度。おかげで皇帝を五人暗殺成功出来て大分仕事ができているし、お礼ということで個人的にいい酒でも振る舞わせてくれ」

 

 気配遮断を使用して早速移動し始めた荊軻を見えないまま見送りつつ、華奈とアルトリアは男の仕立て部屋に移動して少しのドタバタの後ストーム1と軍曹、少し疲れていた藤丸を引きずり出しておき、マシュたちも武装のチェック。アヴァロンをマシュの盾の裏に付けてから野営地に移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やっほー。この前の大立ち回りお疲れ様。私たちもだいぶ苦戦していたから本当に助かったよー♪」

 

 前線、敵の砦や旗の数もうっすらと見え隠れするほどの距離に構える野営地に着た藤丸らを出迎えたのは燃えるような赤髪を短いながらも後ろにまとめ、薄い翠と青の入った瞳。白を基調とした胸を幾分か晒す衣装に茶色の腰当らしきものに赤のスカート。左手には丸盾。右手には長剣を持っている。華奈よりも大きな長身とその見事なスタイルとにこやかな笑顔と雰囲気が合わさり健康的な色気を持つ女性。

 

 ローマの暴走に被害を受け、反乱を起こして大国に牙をむいた女王。ブーディカ直々の出迎えを藤丸らは受けることになる。

 

 「いやはや。まさか勝利の女王からのお誘いを貰えるとは、光栄ですねえ」

 

 「私もです。彼女の名前はブリテン、いえあの島に住むものであればだれもが一度は聞くでしょうから」

 

 彼女の生きた時代よりも数百年後とはいえ大国に立ち向かった勇士。勝利の女王というビッグネームは当然アルトリアたちの間でも語り継がれていたものであり、その人物と出会えたということが嬉しいものであり、同時にローマを心底憎んでいそうなものなブーディカがこうして客将でいることに違和感を覚える。

 

 「あ、君が藤丸君にマシュちゃんだね? 若いのにこうしてこんな戦いでも最前線で頑張っていて偉い偉い。お姉さんも頑張らないとね。オルガマリーちゃんもその若さで宮廷魔術師に総督とお疲れ様。無理してない?」

 

 そんな円卓組の心情はつゆ知らず、ブーディカは早速マシュ、藤丸、オルガマリーを次々とハグして頭を撫で、包容力あふれる笑顔で微笑みかけていく。

 

 「わぶっ・・・! ま、また・・・」

 

 「あ、ありがとうございま・・・先輩、誰かにハグされたのですか?」

 

 「大丈ぅぶっ。女王陛下自らこうまでして大丈夫でしょうか?」

 

 「? 気にしないでいいわよ。今はローマの一将官だもん。あ、でもこの前総督に私もなったからむしろオルガマリーちゃんとは同僚か。今度一緒に食事でもする?」

 

 フットワークの軽さと包容力。大人の女性の色気に三人が圧倒されているとブーディカの視線は華奈とアルトリアに向けられ、ひときわ目を輝かせ、駆け寄ってきて二人の間に入って抱き着いてくる。

 

 「待っていたよ~! 騎士王に銀狼! あの大国、大陸からの戦いに勝ち逃げしちゃうなんて羨ましいやら私の時代に一緒に戦いたかったよ。円卓や銀嶺は中級指揮官も多いし。なんてね」

 

 「わふっ・・・勝利の女王にそういわれるのは光栄ですよ。っふふ。素敵な歓迎。ありがとうございます。ブーディカ様」

 

 「みゅぶふっ!? や、柔らかい・・・うぅ。私のも幾分成長したのに、遠い・・・っは。失礼。そうですね。叶わぬことですが、代わりにこうして今からでも馬を並べて戦えるのは騎士として、兵士として誇りです。今回の誘いもありがとうございます。ブーディカ」

 

 なにやら柔らかさを感じつつも女性として張り合うものまだ届かぬことに敗北感を感じるアルトリアも復活してブーディカのハグを受け入れ、こちらからも抱きしめ返して嬉しそうにほほ笑む。理由はあまりいものとは言えないが周辺の部族、氏族をまとめて23万人という大軍を集めることが出来る手腕を持つ戦闘女王と戦えるのは同じ島の出身としてはうれしいこと。

 

 華奈も銀嶺の、仲間たちの評価をされたりとで思わずうれしくなってほにゃりと緩んだ笑顔で笑い返す。そんな金と赤と銀の美女の団欒に一同ほっこりしていたが、それは一人の筋肉に遮られることに。

 

 「おお、同盟者よ。見事な圧政者への対処、手腕。良きものだ。これからもその愛をもって圧政者に反逆し続けようではないかね?」

 

 その男は2メートルを超える巨漢。体には拘束具をいくつも身にまとい、腰にはパンツと腰当くらい。もはやこれが自身の服ともいわんばかりに意に介していない。それを無言で受け入れそうな、ほとんどの人が受け入れるであろう程のたくましい筋肉もりもりマッチョマンぶり。少し力を入れれば拘束具も悲鳴をあげそうなほどだ。

 

 金髪の髪に蒼の瞳。美丈夫、なかなかのいい男ぶりを感じる顔つきだが、なによりもその表情は笑顔が強力接着剤でくっつけられている。溶接されているのかと思うほどに張り付いており、どこか不穏、不気味さも感じられる。腰に下げた剣からセイバーあたりかとも考えはするが、皆がこの言動からもバーサーカーとあたりをつけてしまう。

 

 「あ、そっちはスパルタクス。私がブレーキ役をしながら前線で活躍。してもらっているよ。この前は私がいなかったけど、無事に敵地にそのまま吶喊し続けなくてよかった」

 

 「あのスパルタクスか。確か、奴隷戦争とかで大いに暴れまわった戦士だっけ。英霊だから仕方ないが、本当にビッグネームがゴロゴロ出てくるなあ。サイン色紙何枚用意しておけばいいんだろうな?」

 

 「それこそ大きな本棚一つ分くらいは必要では? ああ、スパルタクス様もありがとうございます。ええ、これからもどうかよろしくお願いします」

 

 中華屈指の知名度の暗殺者に勝利の女王、続けて反乱を起こした中でも有数の戦士。しかも苦境を何度も跳ね返して抗い続けた前線においては最も頼もしい戦士。

 

 フランスやぐだぐだな世界でも味わったが、それでもこうも大物が出て来ほうだいな状況にストーム1は苦笑し、華奈もブーディカに抱きしめられながらも片手を出してひらひらと振って応える。

 

 「・・・・・・! 嵐の戦士よ。君はとても、とてもすさまじいまでの圧政者と戦った経験がありそうだと見えるが、どうかね?」

 

 「おう? まあ、圧政者と言えばまあ。そうだろうなあ。地球そのものを侵略しようとしたり交渉も通じない奴らだったし」

 

 「ははははははは!!! 素晴らしい! その圧政者に立ち向かい続けた気力、手腕。どれも素晴らしいものだ。私よりもはるか先から来たであろう反逆者であり友よ。私と一つ愛をぶつけあってくれはしないか? その手腕、気概を学び、よりこれからの圧政者との戦いに備えたいのだ」

 

 清々しすぎる笑顔のまま剣を抜き、戦闘態勢を取るスパルタクス。ストーム1も一度はあっけにとられつつも戦闘態勢を取り、生半可な戦術じゃ無理だと宝具を解放。フェンサーにチェンジして真っ向からぶつかり合う体制を整えてシールドを構えておく。

 

 「ええー・・・? いきなり戦闘? マシュ。藤丸。下がるわよ。絶対これ派手なものになるし」

 

 「あーごめんね。客将が新しく来たと聞いたときに腕前を見てみたいと話していたからスイッチ入っているみたい。ほら、ストーム1? でいいんだっけ。彼もまたとんでもない経歴みたいだからなおさら。ね」

 

 「俺がオルガマリーたちを守ろう。ストーム1、思いっきり暴れてこい」

 

 「派手な歓迎会ですねえ。ちょうどいいので余興の一つにでもしますか?」

 

 「「いきなり過ぎません!?」」

 

 「姉上。観戦の準備はばっちりです」

 

 もう疲れていたのか焦ることもなくすぐにマシュと藤丸を呼んで後ろに下がるオルガマリーとそれらの護衛を買って出る軍曹。まあいいかと気にしない華奈に驚く藤丸とマシュ。一興だろうと椅子を用意しているアルトリア。勝利の女王の元気かつ穏やかな歓迎の次に不屈の闘士からのとにかく派手な歓迎と一勝負。いつの間にやら周辺の兵士も集まっており、兵士間の間で賭けも始まっている始末。

 

 「さあ友よ! 思いきり行こうではないか!!」

 

 「くっそ、超人レスラーみたいな身体しやがって! 遠慮なく行かせてもらうぞ!!」

 

 それから始まる特大サイズの肉戦車と鋼鉄の装甲車の派手な激突は夕方まで続き、その後は戦いの衝撃で出来たクレーターに水道を引いて整備して公衆浴場とし、皆で湯を楽しんだとか。

 

 ちなみにスパルタクスは痛くストーム1を気に入り、そのせいで第二のブレーキ役としてブーディカに誘われ、華奈とブーディカの料理対決が行われてアルトリア審査員がほかの審査員のものまで食べそうになったりと戦の激しさとは別のにぎやかさがしばし野営地に響いた。




前回の更新から大幅に遅れて申し訳ありません。リアルの事情が忙しく、なかなかに手を付けられない状況でした。それでも待ってくださった皆様本当にありがとうございます。よければ今後ものこの駄文にお付き合いくだされば幸いです。合わなかった方にはどうか素晴らしい作品との出会いを願います。

そしてUA10万越えありがとうございます! まさかここまで来るとは思いませんでした! 改めて有難うございます!


藤丸君の礼装生産の下準備はこれで完了。使えるようになるのはしばらく後です。


ブーディカの受けた仕打ちは夫の王様の死から代役として王位に就くも同盟を組んでいたローマ、ローマの担当をしていた総督が暴走。

ちなみにローマは史実ではブリテン島へ支配の確立、進出の足掛かりとしてブーディカたちの国と同盟を組んでいたので国力の差はあれど一応は同じ立場のはずの同盟国、その女王や娘たち相手にあの仕打ちをしています。しかも娘は奴隷として連れ去ったりやりたい放題。

ブーディカの国もローマの法律で領地を取りあげてローマの属州にしたりとどちらが蛮族なのやら。

ブーディカの声に最終的に23万近い数が動いたのも納得です。なにせ同盟国の緊急の対処すら許さず、国のトップ直々の言葉すらも知ったことかと国王の一族すらも辱めて奴隷とすらしてしまう。周辺も危機感を覚えて結託しても仕方のないことです。


荊軻はともかく上司と同僚に恵まれていないとしか言えません。始皇帝を討つために首を差し出した将軍も歯噛みしていると思います。個人的にはこの荊軻の始皇帝暗殺計画は史実での始皇帝御つきの医者のエピソードも好きです。始皇帝の人間らしい部分も見え隠れしたりで。

個人的には逸話やら胆力という意味では同じ時代から藺相如、おそらく春秋戦国でも最強格の白起将軍がFGOで実装されたら興味深いです。

「完璧」「怒髪天を衝く」「刎頸の交わり」などなどの故事成語の語源を生み出したとんでも人物。始皇帝のおじいちゃんを何度も相手して一杯食わせたりと傑物な藺相如。

史記を軽く見るだけでも将軍としての功績で合計でおおよそ84万人を討ち取ったりした白起。盛っている言われていますがそれでも功績はとんでもないもの。どちらも出てきたら一癖も二癖もありそうな傑物ですよね。


しばらくはこのようなのんびりしたノリを行くと思いますがどうかよろしくお願いします。

それでは皆様また次回まで、さようなら。さようなら。
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