転生愉悦部の徒然日記 作:零課
アルトリア「城の規模から考えてもその作戦はいい嫌がらせになるでしょう。ただしその作戦の肝は周辺の戦力をいかにうまく刈り取ることか。にかかっています。そのためのサポートをブルージャケット、軍曹・・・じゃなくてストーム2、エミヤ、ストーム1に任せることになるでしょう」
エミヤ「了解した。ただし、その際はストーム1のサポート、そして情報が欲しいところ。マスターも総督の立場からできる限り物資や兵士たちの状況を調べてほしい。城攻めは攻める側は準備と兵数がものをいう」
ダンカン「あ、それなら僕らの兵士たちが治療とかリハビリしているけど、復帰できる兵士は多そう。アンナもいま必要な用意ができているみたいだし、行けるんじゃないかな。輸送ならこちらの魔獣たちでやればいいし」
~ローマ・兵士療養所~
銀嶺隊モブ1「ヒャッハー! 傷口は消毒だあ~!!」
銀嶺隊モブ2「ダメダメダメダメ! 諦めたら! そこで諦めたら戦友が悲しむよ! ネバーギブアップ! 俺と一緒にリハビリとそれ以外の筋トレを始めよう! さあまずは壁にもたれての空気椅子から!」
銀嶺モブ3「あぁ・・・次はスクワットだ」
銀嶺モブ4「やはり技術の積み重ねで出来たこの赤、赤チンこそ最高ですぞー」
銀嶺モブ5「赤は黙りやがれですぅ! 薬草、漢方、生薬・・・歴史と伝統の深さの緑だって最高なのです!」
クラーク「ここで汗水一つ流すたびに戦場で自身が流す血が少なると思いなさい! そしてそれは味方の助けになるとも肝に銘じること! さあ、勇猛な兵は一度の怪我でつぶれることはないはずです。立ちなさい!」
ローマ兵「「「「はい! 兄貴!!!」」」」
スパルタクス「うむ。良き兵士たちである」
クー・フーリン「じゃ、俺もルーンで少し治療の手伝いでもしてやろうかなっと・・・」
~ローマ・兵糧集積所~
ジャンヌ「えっと・・・ここからここ・・・ま、で・・・?」
信長「ええい。わしに見せい。兵糧のここからここまではガリア。その後ろは銀嶺がいる場所に。武具は多めにガリアに送っておくように。それと宝石は別でわしらの狼にもっていくように。数一つ違ったらその部隊ごと首を切ると思え」
ブーディカ「ごめんね。あの小競り合いから兵士たちが不安がらないように多めに予備の武器が欲しくてこんな注文しちゃって」
ジャンヌ「いえ、やはり備えはあってこそ。代わりにこちらは大量の弓矢と兵糧を貰えていますからお相子です」
信長「銀嶺の魔獣たちの士気を上げるために多めに肉を用意させてもらったからなあ。干物好きだったりウナギのかば焼きが好きとかわしらよりもグルメだぞあの狼たち、あ、睨まないで狼さん。え? 干し肉? ありがとう・・・・・?」
ブーディカ「ボードゲーム。軍略もできる子もいるのよねえ・・・あの魔獣たち。ハチと栗毛? はそこらの将官より強いし・・・いったいどういう教育したのか気になるけど。でも、城攻めの用意にはまた別の手段を用意するみたいだけど、どうするの? 工兵を多めに用意はしたけど」
ジャンヌ「もう少し調査してからわかるとオルタは言っていたのですが・・・」
信長「なんだかサルと似たようなにおいを一部感じるが、いい策だとは思う。ひとまずはわしらは前線の兵を確実に食い破るための準備を進めよう」
~前線~
ストーム1「・・・兵の動きは・・・と・・・」
軍曹「やはりああいう動きか。まるで網だな」
沖田「やれやれ。これは本当にうまくできていますね。やっぱりここも左右を抑えておかないと突破もできて最低限。出来て・・・3陣まででしょうか」
ストーム1「まあ、おぼろげに見える奥の砦まで行ければいいほうだろう。間違いなくローマの兵はそこですりつぶされておしまい。広域攻撃も一点集中攻撃も想定しているって信長とアルトリアが言っていたが素人でもわかる。面倒すぎる陣形を奥の谷あたりまですべて使って用意している」
清姫「あの一帯そのものが巨大な堅城そのものと・・・どれほど知恵者、もしくは百戦錬磨の強者が用意したのでしょうか?」
沖田「そこまでは何とも・・・私だと北条の小田原城、大阪城を思い出しちゃいます」
軍曹「ああ、確かに。俺としてはベース228の奪還、マザーシップへの突入時を思い出す・・・お? 清姫ちゃん。お仕事終わったのかい」
清姫「ええ、本日の民の鎮撫。および周辺情報の収集は終わりました。それと荊軻さんの情報も届いたのですが、どうにも変わった話がありまして・・・」
ストーム1「? どうにも、敵の動きというノリではなさそうだな」
清姫「はい。何と言いましょうか。後で皆様の前で言いますね?」
弓矢、兵糧、油などを用意して前線に送り込む日々、兵士たちの横を通り過ぎて再びネロの宮殿に集まったカルデア一行。前線に張り付いていたメンバーまでも集めて緊急会議を開始。そこで
「余は神に会いに行くぞ!」
「「「ちょっと何言ってるかわからないですね」」」
というやり取りが行われた。
「清姫たちが集めた情報であったのだ! 小さき島で古き神を見た。とな。しかも荊軻の情報でもそれはある。流言飛語と言えばそれまでだが、うまくいけばローマにとっても大きな後押しになるし、それほどの存在がどういう動きをするかも理解しておいたほうがいいだろう? 何よりも余が見たいのだしな!」
「あ、あの・・・ネロ陛下が見たいのは理解しましたが・・・ローマの後押しになるとは・・・?」
相変わらずの自分大好きぶり、そしてローマの後押しになる。という発言にマシュとオルガマリー、ストーム1,2、ジャンヌたちは理解ができず首をかしげる。もし神が仲間になるならまだしも、皇帝直々に敵か味方かもわからない相手がいる場所に乗り込むというのは危険すぎるのもあるからなおさら。
「・・・・・・・ああ。祝福ですか?」
「その通り! 神からのおめぼしで我がローマを祝福する言葉や勝利に関する言葉を貰えれば今の休養と合わせて士気は爆発、どんな布陣でも布を剣で切り裂くように引き裂いていくであろう!! 神からの言葉を預かり、それを伝えるのもまた皇帝、ひいては為政者の役目の一つよ」
「まあ、いいことじゃねえの? 俺は構わねえよ」
「ですがまあ、それだけではないでしょう? ネロ陛下」
華奈の言葉で一同が納得し、更にはネロはあの城塞地帯を完全に砕くためにさらなる一押しを用意しようとしていること、そして新しく現れたどっちつかずの相手を見極めようとしている。それは素晴らしいことだが、アルトリアの言葉でネロも一瞬表情が沈む。
「む・・・その通りだ。実際、今でこそ反撃の兆しも見え、失地回復もできた。だが、その敵対している連合ローマの武将・・・もとい皇帝、その配下たちと正直な話、神の加護でも早々できないであろう軍が相手だ。その軍の事や樹木の要塞や野営地に砦。皆勝ってみせると意気込んでいるが内心どこかで不安を覚えているだろう」
「ですが祝福を、神の言葉でローマを後押しする言葉がくればこちらも神の後ろ盾を得たようなもの。しかも皇帝陛下が直々にもらい、それを裏付ける将がいればますますその重みは増して今後の士気向上、連合ローマが何を言おうがこれを突き付けてやれると」
「まさしく! どうであろう? 情報の真偽の確認ともしかすれば戦力拡充、神託での後押しももらえる。嘘ならそれはそれであちらの流言飛語とわかる分無駄ではない。一挙両得ですごいであろう? ほめるがよいぞ」
その直後からの満面の笑みで胸に手をあてて相変わらずの元気ぶりを見せるネロ。実際、軍を動かしての城塞地帯への殴り込みにはもう少し時間が欲しかったところだしその間に当たれば儲けものな噂の一つを調べに行くのもいいかもしれない。
「ふふ、ええ。よいお考えかと。では、その間は前線と中軍に多めに兵を配置してネロ陛下たちが動けるようにしておきたいかと。私は残りますね?」
「なぜだ? 華奈ほどの将が来れば心強いし、兵たちも余の直属兵を凌ぐほどではないか」
「姉上の軍は野戦、砦などでの戦いでは無双しますが、海戦、海での戦いや攻城戦は苦手ですからね・・・多分、そちらの兵士たちのほうが何倍も働きますよ」
「う・・・そ、そうです。どうしても魔獣が多いうえに戦場がそちらの経験ばかりでしたので・・・一応、水夫ならテニール他数十名はいますが、水運、兵士の輸送などが主でしたからねえ。経験がどうしたって足りないのです」
汗を流しながら申し訳なさそうに頭を下げる華奈。魔獣の比率が多いうえにオークニーの水軍はコーウェン将軍やジャック将軍に任せていたことでそちらの経験は浅い。あれ以上軍を細分化させることが出来ないことや水兵の育成にも時間がかかりすぎることもあって断念したことをいまさらながら残念だと思ってしまう。
「ふぅむ・・・なら、藤丸を連れて行こう! 船を調達して急ぎ出立する。それと神なら捧げもの、土産の一つでも用意せねば礼を欠くな。これらも用意した上で出かけるぞ! 華奈、オルガマリーは港までの護衛と諸々の用意をするように!」
「「了解しました」」
こうして小さき島に出かけるための用意が急ピッチで進められることとなり、藤丸、マシュ、清姫、ストーム1が選抜。ネロ陛下には30名ほどの兵士を護衛としてつけ、中型の船を一隻用意。神への捧げるものは華奈が用意したものを運び込み、ネロの操舵の元船は海を走っていった。
「さあついたぞ小さき島! 久方ぶりに舵を切ったがいい風をつかめていい動きができた! いい船旅であった!!」
「は、はい・・・そうです・・ね・・・今ほど三半規管も強くて助かったと思ったことはありません」
「き、きつ・・・い」
「はぁ・・・これは本当にすさまじい」
ネロが舵を操った結果。中型の船だというのにまるで暴れ馬のように海を右に左に爆走。風が若干強いことで揺れた波をも利用しての派手な船の動きは質の悪いアトラクション、はなから人を酔わせるためだけに要されたような動きそのもの。
ネロ以外のほぼ全員がノックアウト状態。敵に察知されないようにと一隻、中型の船で来たのが裏目に出たか護衛する兵士はみな動けずに半数近くが海に魚のえさをまいている始末。
護衛で来ていた藤丸。万が一の時はネロを抱えて空を移動するつもりでペイルウィングにクラスチェンジしていたストーム1。空中で自由自在に飛び回る彼女ですらあきれているのだからその船の運転の粗さがどれほどだったかがわかるものだ。
「さてと・・・マスターから用意してもらったけど・・・これを渡しておきましょ」
兎にも角にも、女神のいる島、そうでなくてもいまは怪物とか悪霊が湧き出るような状況。船酔いで動けずに死亡。藤丸も護衛なのに動けないでは意味がないのでストーム1は華奈から渡されたオレンジジュースとレモンのミックスジュースを兵士たちや藤丸たちに渡し、自身は酔ってはいないが一口。
藤丸も飲み始め、うちわであおいでやると青ざめた表情が少し落ち着き、気力が戻ってきている。柑橘系は船酔いをいくら軽くすると聞いたが、あながち間違いんではなさそうだ。
『ふむ。これで少しすれば皆元気になるだろう。バイタルを見ても藤丸君はいくらか回復しているんが・・・おや、誰か来たみたいだよ?』
「ふふふ・・・これはこれは。サーヴァントなのが残念ですが、飛び切りの勇者と、生身で駆けだしながら素養のありそうな子・・・中々見ない組み合わせね?」
ロマニの声の直後に新たにこの場に現れた声の主は紫色の美しい髪のツインテールに美しい容貌。白を基調とし、フリルのついた緩やかな衣装を身に着け、こちらを見定めるようにじっくりと見つめている。その表情はどこか惹かれるもの、美しさにあふれてはいるがストーム1、そしてマシュは自身の中の英霊のせいかなんとなく察する。「ろくでもないたぐいの思考を持っているな」と。
そんな考えを知ってか知らずかその女性はストーム1と藤丸を特に面白そうに見つめ、左手で口元を隠して笑う。
「私が勇者ねえ・・・ま、いいわ。とりあえずは失礼。私はストーム1。この島に神がいるということで出向いた一人よ。そちらがその神様ということでいいかしらね?」
「あら、礼儀もあるのね。私は女神。名をステンノといいますわ。ゴルゴンの三姉妹が一柱。何のせいでしょうかこの島に召喚されていたサーヴァント? の一人ですがそれでも女神。で、私に用があるということは祝福などでしょうか?」
「うむ! 余はローマ皇帝のネロ・クラウディスである! さすがは女神、思わず閨に招きたいほどの美しさよのお!! で、だ。ステンノよ。余が望むのは我が正当ローマを後押しする声を祝福として授けてはもらえないかということだ。捧げものとして果実や宝物も用意してあるが、どうだ? もしローマに来てともに戦うのであればより多くの宝物もささげるのだが」
藤丸とマシュが持ってきた宝物やローマで用意出来うる最上級の果実をステンノに見せて祝福を授かろうとネロも話を持ち掛けていく。が、ステンノはそれを一瞥してから一つ息を吐く。
「私を閨にだなんて。豪胆さもそうだけど、すごくまぶしいのね。でもごめんなさい。皇帝陛下。私には戦う力はないの。宝物を惜しみなくささげて私にくれるのは嬉しいけど、それはきっと無駄よ? でも、ここまでの捧げものに出向く勇者たちへの答えがそれだけではあんまりよねえ・・・」
『すごい魔力や神性を観測できるんだけどなあ・・・戦えないなん・・あー・・・神様だもんなあ。いろんなありかたや力、役割があるということか。華奈やヤマジも言っていたっけ。力自体の在り方も様々だって』
「そのとおりです。そしていい声ですね。響きもいい・・・手に届く範囲なら・・・・・・っふふ・・・すぐにどうにかできたのですが」
ステンノの言葉に背をゾワリと寒気が走るロマニ。画面越し、届かないと知ってなお感じるこの感覚やプレッシャー。なるほどこれがステンノがもつ神様としての在り方なのかなと感じ、下手な発言は出来ないと気を再度引き締める。
「で、なんでしたか・・・ああ、そうそう。ご褒美。前ならストーム1? あたりにでも妹をけしかけたのだけど・・・」
「・・・けしかけた?」
(マスターがいればすぐに抑え込むか、うまく対処できるかねえ。確か三度戦っているわけだし)
「こほん。ふふ。ではそうですね。まずはその捧げもののご褒美として海岸沿いにある洞窟にこの時代にはない宝物を入れてあるの。それをまずはあげましょう。その宝物を手にして戻ってきたときにそちらが欲しがっていた祝福・・・そちらの皇帝陛下の国を応援する言葉を与えましょう。それはここまでやってきたことに対するご褒美。どうかしら? これほどの褒美。めったにしないのですが」
その直後の物騒な。そしてゴルゴン三姉妹の妹で武闘派ともなれば十中八九メドゥーサをぶつけるという発言を受け流し、改めてネロ達が求めていた本題に移る。女神からもらえる二つの祝福。流石にこれにはネロも浮足立ち、表情が輝く。
「宝物なら何でも嬉しいもの。ステンノは相当に気前の良い女神なのだな!」
「最初の褒美には嘘の香りがしますが・・・もう半分は本当・・・ますたあ。この話、少し気を付けたほうがいいと思いますが」
「もう、そこのお嬢様は嘘といいますが、洞窟は本当にありますし、そもそも女神が捧げものに対しての対価を与えないのであれば価値は落ちてすぐに信仰も寂れて力を失うわ。下手な嘘をつくことによるリスクはこちらも大きいの。それに、ストーム1どころかそこの盾の子にだって私は負けるほど弱いのよ?」
ここまでじっと話を聞いていた清姫はいぶかしんだ顔でこの話をけることを申し出たが、ステンノはすぐさま反論。
「とりあえずは行ってみようよ。いざという時はクー・フーリンやジャンヌオルタも令呪を使って呼べるし」
「そういうのであれば・・・」
「いざとなれば私が藤丸を抱えて離脱もできるからまあ、気楽にいこ」
清姫の不安は持ちながらもここでステンノの機嫌を損ねて祝福を貰えないのも意味がないので前向きに考えることで先へと進むネロと藤丸ら一行。その背中を女神が心底性悪な笑顔を浮かべているとも知らず。
「海辺の洞窟だから覚悟はしていたけど・・・」
「じめじめして気持ちが悪い! 皇帝にこのような場所を歩かせるほどの宝なのだろうな・・・」
意気揚々。とは言えないが目的のために気合を持って入った洞窟の内部。海の近くにあるので潮風で湿気はある上に出口がない、もしくはあっても小さいものなのか風が通っている感覚はなく、湿気が停滞して体にまとわりついて仕方ない。
(それにしても・・・・・・・うーん・・・?)
そしてそれとは別にストーム1が感じる違和感はやたらと地面が綺麗であることに目を向ける。巨大生物の巣窟に突撃した時も生物の糞尿や痕跡、えさの残骸などを見つけてきた。
巨大生物はいないが洞窟であればこうもりや小さな動物、虫などの糞尿などでできる土くれなどがあるものだが、足に感じるのは風で運ばれたらしき海からの砂の感触と石の固い感触がほとんど。土くれや残骸も新しいものはない。乾燥していたりでそれなりの時間がたっている。
神様の存在で洞窟の生物が退去したとかならともかく、自身の勘で感じるものはそれとは違うと告げてくるばかり。
「・・・清姫は藤丸のそばにいて。皇帝陛下もそばに。マシュは皇帝陛下と藤丸を守るように」
「ストーム1さん・・・?」
『・・・あー・・・うん。ストーム1の言うとおりだ。みんな。あの女神からの罠です。見事なまでに包囲されている。入口すらも』
ストーム1の行動の直後に聞こえてくるロマニの通信。それをさらに裏付けるようにあたりから聞こえてくる、冬木で嫌というほど聞いた武器が鳴る音に骨の足音。スケルトンの武装した大軍があたりを囲み、所狭しと瞳どころか顔の肉も無い顔をカタカタと揺らしながら殺意を乗せて歩いて包囲を狭めてくる。
「はぁ・・・!?」
「確かにこの数は・・・少し変です!」
「なるほどね・・・あの美貌と魅了する力でホイホイついてきた男をからかう、もしくは何らかの場所に差し向けて後ろで指さして笑うタイプか・・・はぁ・・・一点突破するわよ。清姫は横穴に炎を流し込んで伏兵を倒して。回り込まれていたりこの数を隠せる当たり多分隠し穴、横穴の部類はあるから。ネロ陛下と藤丸は武器をむやみと振るわないこと。狭い場所でその大剣と銃弾は邪魔になるし、慣れていないと逆に怪我するから」
しょうがないと重い溜息をつきつつも即座に指示を飛ばしておき、手元には何らかの巨大な兵器を手にして戦闘態勢を整えるストーム1。何度も味わった地底での包囲、本部がわざと誘導したのかといいたいような状況に比べれば天と地ほどのもの。一気に突破して清姫の嘘ではないと感じた『宝』とやらを頂戴して帰るほかないだろうと気持ちを切り替えていく。
「ええ、もちろんです! ますたあは私がお守りします。ストーム1さんのその武器は?」
「洞窟とか、多勢を相手するための武器かな。マシュは反射に気を付けてね!」
元からステンノを警戒していた清姫は迷うことなく口や扇に炎を纏わせて臨戦態勢を整える。ストーム1も取り出した武器のトリガーを引いて攻撃を開始。今回の武器、サンダーボウ30は引き金を引くたびに30本もの雷の弾丸が発射され、地面に当たれば這うように動いて前へと進み、敵にあたっても反射して不規則な角度からの追撃が起こり前線の骸骨兵をあっという間に砕き、射程範囲内まで暴れまわっていく。
「おお!? なんだその武器は! まるでゼウスの雷霆のようではないか! ストーム1よ、そのような武装もあるとは、ぜひとも余に譲ってくれないか!!?」
「いやいや、これ・・・というかペイルウィングの武器はエネルギーコアとサイキックの素質がないと使えないから陛下には難しいわよ?」
「す、すごい・・・! 骸骨兵がみるみると減っていって・・・これなら前進でき・・・? 何でしょうか・・・この香りは・・・?」
確実に前へと進みつつも武器に興味津々なネロ、打ち漏らし、横穴へと炎でけん制している清姫、雷の反射に気を配りつつ藤丸らを守るマシュ。しかし、そこで何やら異臭を感じ一瞬顔をしかめ、あたりを見回す。
「ん? マシュさんどうか・・・ますたあ?」
「あ、あっは・・・あはははっははははははっははははははははははは!!!! はははははははははあ!!」
「ふ、ふふはははははっはは!! せ、世界が回って見えるぞ! おぉおー辺りには素晴らしき美食だらけ。紫ミミズまであるとは豪華で結構! うむ、ここで宴と行こうではないか。ハラキリ岩もあることだしのお」
清姫も異変に気付いて藤丸を見れば藤丸どころかネロ陛下も何やら様子がおかしく、しきりにわらい倒し、さらには何やら別世界が見えている様子。
「え!? ちょっ、先輩!? せんぱーい!!」
「なんじゃこりゃあ!? やばいわね。藤丸とネロ陛下がアヒャってトリップしている!」
『あーもしもし? 多分だけど、清姫ちゃんの炎とストーム1の雷撃でどうやら洞窟内部に自生していたキノコを焼いちゃってみたいなんだよねえ。あの女神さまやこの怪物たちの神秘や神気を浴びたせいか二人がアヒャっちゃうレベルのものになっているみたい』
ダ・ヴィンチからの言葉と視線を一瞬見回せば確かに一部何かが焼け焦げているものと異臭を感じる方向も合致。英霊にはさすがに効かなかったが英霊に近しい実力やマシュの英霊の加護があっても生身の人間であるネロと藤丸はばっちり聞いてしまったご様子。
「おほほほほ。これだけ歯ごたえがありそうな食事、久しぶりだわー」
「あ、ヤマジさん。訓練の時間ですか? え、やらないか?」
何やら宴会場とカルデアを見ている二人の様子は全く止まる様子がなく、むしろふらふらと骸骨兵目掛けて歩いていく始末。
「二人とも、ストップ、ストップ! さすがにそこは危険すぎます! カルデアのほうから何かできませんか!?」
『いまこっちでも観測してはいるんだけど、どうにも強烈すぎてね。ロマニも頭を抱えているんだ。華奈にも相談しているんだけど・・・お、連絡が来たね。ローマに攻め入った際に手にした薬の材料を強くしたものだって。今解毒の薬をカルデアに送ってもらうからそっちに転送するよ。ストーム1。受け取って』
清姫が二人をがっちり抑えつつ、何やら「この画面を閉じるんだ!」とかなんとか叫んでいる様子に困惑しつつも藤丸の肉体を味わい、マシュは骸骨兵に意識を向けていいのか清姫たちに意識を向けていいのかと迷いながら戦闘中。ストーム1は壁の反射を利用しての広域攻撃でマシュに骸骨兵の増援が届かないように後ろの相手も対処していたところ手元に2本の小さな便を渡される。
『これを水で思いきり薄めてうがいをさせた後におちょこ一杯分飲ませればいいらしい。それと一部を鼻から嗅がせれば尚更いいらしいけど・・・どう?』
「あの二人の暴れ方が少し難しいかな。原液ままではだめ?」
『一応は可能らしいけど、お勧めしないかな~ローマがエジプトの地域当たりから仕入れていた蒸留酒の技術から作った薬草酒らしいんだけど、アルコール度数88 飲めば一発でのどが焼けるしその後も戦力になるかは怪しい』
「あー・・・うん、ネロ陛下はともかく藤丸は薄めてうがいとか、少しづつじゃないとだめだね。一応は薬だが未成年・・あっ!?」
仕方ない。と一応は腰にぶら下げていた水筒を取り出そうとしたところを薬草酒の瓶をネロ達に取り上げられてしまう。
「おおーよさそうなものではないか。余に献上することを許すぞ。ほれ、そこの楽しそうなやつも飲むがいい。どれ・・・」
「あ、どうも。まずは運動前の水分補給・・・・」
「「ゲボァ!!」」
そのまま瓶のふたを外し、中身を思いきり飲み干すネロに運動前のドリンクや水に見えていた藤丸も中身を飲み干し、当然アルコール度数の強さと薬草臭さ、あくの強い味のせいで盛大に噴き出す。
「あっ!?」
そのままふらついた挙句マシュの盾に頭をぶつけて目を回した二人はそのまま動かなくなる。様子を見れば一気に酒を飲んだことと精神状態で酔いがすぐに回ったか、ほろ酔い状態で緩んだ表情で気絶している二人を見てほう。と皆が胸をなでおろす。
「・・・えーと、ロマニ。バイタルはどう?」
『えーと、うん。酔っている状態だけどさっきのアヒャっている状態はどうにかできているよ。今はほろ酔いで揺蕩っているような状況。目が覚めれば無事なはずだからそのまま進んでほしい。その間にさっきの毒の解毒するための魔術も用意しておくから』
「了解。一応後でマスターに予備でも用意してもらって再度飲ませるかな。薬草酒だし、節度さえ守れば藤丸にもいい薬でしょ」
なんやかんやこのぐだぐだなアヒャったメンツを酔っ払いに変えてからというものストーム1の制圧力と清姫のフォロー、マシュの守りをうまく活かしてもともとが弱い骸骨兵を鎧袖一触の勢いで砕いて進み、最奥まで進むことが出来た。
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「ふぅ・・・・とりあえずローマでの収集の経験が活きるとは思いませんでした」
「万事塞翁が馬だねえ。大将。あ、そうそう。魔術部隊に必要な道具はそろった。ネロ陛下たちが帰って、言葉を伝えて、休んでからだと・・・明日がいいかなあ」
「そうですか。了解です。タルヴェラ、ムール貝の酒蒸しと魚の白身ステーキ、野菜サラダ。エールも味を良くしておいたので皆で食べてください。明日は走りますよ」
「りょ~かい。じゃ、おじさんは休むけど、大将もはやくやすみなよー」
「やれやれ・・・まだまだ未熟ですねえ。私も・・・おや、通信? ほうほう・・・ああ、それなら蛇のほうは残しておいてください。酒に漬ければ蛇酒になりますので。お肉は癖が強いですがその分うま味も強いので煮つけや汁物、カレーなどにすれば美味しいですし、牛乳とパインなどに漬けて臭み抜きと柔らかくすればそれはもう極上の・・・」
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「ふぅー・・・的が大きくて助かったわ」
「一瞬でしたね・・・ドクターは強敵だと騒いでいましたが」
「よかったではないですか。ますたあたちや皆さんが傷つかないのであればそれがベストです」
その後たどり着いた奥の宝箱を守るようにいたキメラ。ストーム1の用意した大型専用の武装、レーザーの槍を発射するドラグーンランスを即座にぶっぱなし、その威力と持ち前の怪物、大型に対する特攻スキル。2バーストですぐさま獅子と山羊の頭をぶち抜き、蛇はすぐさま口環をしてから切り倒し、止血をしてから袋に詰める。
「女神はこれが宝だと言いくるめるつもりだろうが、いやあ、極上の肉に爪や牙が装飾、武器に使えれば毛皮も防具に使用可能。文字通り極上のお宝。マスターもブリテンでも倒したものには名誉と武装の強化による今後の活躍、最高の食材で精力をつけられると言っていたし」
「うぉ・・・おお・・・? ここ・・・は洞窟の奥か? そして・・・なんだこの怪物は・・・!」
「あ、起きたね。陛下。これがお宝。神代の怪物、キメラだってさ。お肉がすごくおいしくなるってマスターが言っていたわ」
さすがにキメラの雄たけびとその直後のドラグーンランスの射撃音で目を覚ましたネロ。流石にこの怪物は戦場でもそうは見なかったか驚き、直後に顔を輝かす。
「これほどの怪物を討伐とは、ますますいいではないか! なんだかヘロヘロではあるが、これもまたいい土産になるというもの。マスターとなれば華奈か? 調理できるのであればそちらに肉を任せるが」
血抜きをして冷却のための氷柱をカルデアから送ってもらって腹に埋め込むストーム1に早速キメラの使い方を任せ、それ以外に何かないかと探し始めるネロ。少し気を失っているような状況でいたせいかいくらか回復しているらしく、ヘロヘロだと言っておきながらもせわしなくあたりを見回している。
「あ、そういえばモツはどうするのですか? 私がその場で焼いてもいいのですが」
「またあっちでウィンナーやらモツの汁物でも作るってさ。だから帰りはフェンサーで私が運んでいくわあのパワードスーツならこれくらいの獣なら2,3頭は軽い軽い」
その後はキメラをクラスチェンジしたストーム1が運んで洞窟を速攻で脱出。キメラを食べることが出来てえありがとうという反応とまさかの食材扱いに思わぬ驚いて目を見開くステンノ反応やまたまた出会えたエリザベートにタマモキャットと名乗る珍獣らしきサーヴァントでありながら神霊の側面も持っているらしいナマモノ英霊とも仲良くなり、最後にはステンノの
「今正当ローマには各地からの兵士が集い反撃の機は熟す。蛮勇をそれ以上の武で制し、薔薇の皇帝のもとに帝国は前の姿になる」
という祝福、もといお告げのようなものをしっかりともらいローマに戻る。ちなみに、念のためと華奈が寄越していた水夫たちのお土産の果実酒にステンノは喜び、水夫たちの制止を振り切ってネロが再び夜に差し掛かる海に船を走らせたせいで再び大半が魚のえさを海に吐き出したりと、結局最後まで締まらない旅路であった。
「ふむふむ・・・なるほど。それは面白そうであるな。キメラにゲイザーにドラゴンにタコとかキャットもドン引きな食材ですら扱おうという胆力とエロさ。ご主人になるかもしれぬ。同行させてもらうワン」
「え、銀嶺も来てるの? じゃ、行こうかしらねえ。あの美味しいご飯もあるし、まさかの生ネロを見れたし、ローマでのライブとか最高じゃない」
「生ネロとはなんだ? 美少女の也でなければ不敬罪で切り伏せるところだが」
「えっと・・・何と言いましょうか・・・」
『よし、もう少しで港に着くぞ、頑張れ藤丸君!』
「う”ぉろろろおろろおろろろろろろろ・・・・・・」
今回は女神様ステンノの登場。何というかいいキャラしていますよね。そしてタマモキャットに爆笑した人も多いのではないでしょうか。個人的には放浪関白殿がいたらタマモキャットを溺愛するか、愛人としそうだなあと思ってしまいました。
神霊が1,2人いて神代の獣、それ以外の怪物もいたらキノコも影響してこれくらいにはなりそうかなと。自然界の毒ってすごいものが多いですし。
キメラは食材。ゲイザーですら食べてしまう円卓の騎士がいますし、これくらいはしちゃうよなあと。この後即座に牛乳の樽に肉を突っ込み、たれの樽にはあばらと肉を着けた状態でカットして漬け込むことになりました。
ようやく忙しい時期を抜けたのでできる限り早く筆を走らせるように頑張ります。
まだまだ暑い時期ですが皆様もどうかお気をつけお過ごしを。そして、読んでくださりありがとうございました。
それでは皆様また次回まで、さようなら。さようなら。