転生愉悦部の徒然日記 作:零課
スカーレット「はい」
華奈「アルトリア様とストームに連絡です。今日はお疲れ様。私のほうは銀嶺側の奪取した最奥の城で休みますと。それと、銀嶺にも多くが負傷しましたので明日は銀嶺隊も少し休んでもらうことを・・・それと、貴女も休んで。ボロボロだし」
スカーレット「了解した。ですがねえさ・・・華奈隊長も本当にすぐ休むように。何回か落石に変なあたり方していたか・・・ましたから。では」
(移動)
ロマニ『これで完治。と・・・この乱戦の中で前線に出て無事、本当に強運なのもあるんだろうけど、こちらから見ていてわかる。動きがよくなっているよ藤丸君』
藤丸「清姫やみんなのおかげですよ。特に清姫は炎で常に多くを倒していましたし、銀嶺の250人将? の二人は常に一番危ない場所で盾となっていましたし」
ブーディカ(青髪の女の子、途中でなんか変な戦い方や武器が変だった気がするけど気のせいかしらね??)
清姫「うふふ。ますたあが大きなけがをしなくてよかったです。この清姫全身全霊で戦ったかいが・・・」
ブーディカ「あ、そうだ。信長とかも今後方の制圧した城を改造した休憩所兼野戦病院で休んでいるみたい。ご飯もたくさんあるし、イベントがあるようだし、行ってみたら? どの道もう夕暮れ前。これ以上軍を動かすこともネロはしないだろうしねー」
マシュ「おや、今日の戦いであれ以上の増援が出なかったのも信長さんたちのおかげですし、お礼を言いつつ私たちも休みに行きます?」
藤丸「んー・・・」
ジークフリート「どうした?」
藤丸「いや、嫌な予感がして」
エリザベート「私の歌を聞けー!!!」
沖田「華奈さんに代わって前線支えたのにこの扱いはあんまり・・・コフッ!」
クー・フーリン「うぉあぁあああぁぁああ!! 頭が割れるぅう!!」
ヤマジ「アッーーー!!」
ジャンヌ「・・・」
(立ったまま気絶)
紫式部(耳専装着済み)「これでも頭がキンキンします・・・これ、が死屍累々というやつですか・・・」
信長「人間・・・五十年・・・・」
ネロ「なんと! この短時間で皆にここまでの反応をさせるとはやるな! 余も交じるぞ!」
ジャンヌオルタ「やめなさいよこのお馬鹿ども!」
軍曹「くそ・・・これがネロ陛下とエリザベートの真の武器か」
ストーム1「違う違う。それはそれとして、そろそろやめさせないと死者が出るな」
アルトリア「ふふふ・・・そう、これは事故・・・暴走した二人を抑え込んだ際の弾みで起きた事故ですむのです・・・」
(聖剣を構えながら)
オルガマリー「もうどうにでもなーれ」
「押せぇ!!」
後詰に残していたローマの誇る精兵の突撃。鍛え抜かれた肉体、それを包む鎧に剣や槍、盾の重量を乗せた人間が多数集まって行う突撃。その衝撃、練度もあって繰り出されるそれはたとえ大型の肉食獣でも身体を吹き飛ばされるであろうもの。それを一斉に何百名も行う衝突を繰り返す。何度も。
「フンヌゥッ! この程度へでもないわあ!!」
しかし、その何度も行われる肉の波を押し返す連合ローマの一部隊。たった300名。それでネロの正統ローマ兵数万の軍の攻撃を凌いでいた。弓矢、投石。投槍。突撃。全てを複合した息もつかせぬ波状攻撃も通じず、手詰まりの状態と化していた。
「この谷を越えれば敵の首都なのだが・・・くそっ」
ネロも思わず悪態をつく。第二の防衛陣地を越えた最後にある、まるで敵の最後の壁と言わんばかりにそびえたつ険しすぎる山。その間にある狭い谷間。少数でしか進めないこの場所に敷き詰めた兵士が精鋭だというのは嫌でも感じられた。しかし、集団戦と密集陣形の練度ならローマの十八番。それゆえに押し切ることが出来るかと思ったゆえに客将の力を借りずに第三、ひいては敵首都に切り込む際にと残していた無傷の精鋭部隊をぶつけたが結果は御覧の通り。
まるで一歩も進めず、谷の中は愚かその入り口に入ることすら許されない。まるで谷におろされた巨大な城門。特にその先頭で指揮を取る兜で顔を隠した大男。あの男がまずい。彼の声一つであの300名は奮い立ってこちらを怯ませるような声を上げ、重装盾兵であろうと貫いてくる攻撃を平然と出す。大男自身の武力も相当なもので、常に多くを屠り、そして守りを意識した戦いを崩さない。何度も挑発や罠を用意しても引っかからないのがその証拠。
嫌な相手だ。ああも固くては先に進めず、挑発にも応じるような甘い連中ではない。坑道、大樹の城の背後の抜け道も探しているのだがそれも見つからず、今は目の前の敵を砕いてしか敵本拠地に進めない。
「・・・客将たちはどうしておる?」
「ハッ! 藤丸様、オルガマリー様両名は後方でほかの客将たちと待機。ブーディカ様、呂布様、スパルタクス様、荊軻様は大樹の城および行動にいる残存兵の調査。華奈様は先日銀嶺の奪取した城の一つで療養中。ストーム1様もそこに詰めているそうです。アルトリア様、軍曹様は一緒に第二陣地の残りの拠点を制圧中です」
藤丸たちは谷を制圧した後の先陣を任せるため。荊軻たちはあの敵の軍師の用意していた坑道がまだ敵に利用されていないか。ひいてはそれを逆に領して攻めの足掛かりに使えないかの模索と思わぬ反撃を貰わないための調査。アルトリアたちは少数でも問題ないほどの勘の鋭さとあの火力を出せるアルトリア、経験豊富、多数相手にも切り抜けられる目をもつ軍曹で抜け道を探すためのスカウト。
華奈は昨日敵の本陣に百五十騎で切込みをかけて敵の軍師と本陣を丸ごとつぶす大立ち回りをしたせいで疲労と怪我のために部隊ともども休養。ストーム1はその穴を埋めるための護衛。
「むぐ・・・華奈、ストーム1、軍曹を呼べ! 今は一刻も惜しい、この谷を突破するために一つ頼もう。正直な話、休んでは欲しいがな」
その中からだれをチョイスするか。少しの逡巡の後にネロが選んだのは華奈、そしてストーム1と軍曹だった。わずかな予感ととっかかりから敵の策を見抜いた戦術眼とふざけた武威を見せた華奈、見たこともない武器をいくつも見せ、城一つも吹き飛ばす火力を見せたというストーム1、そして1万の軍を相手に一歩も引かずにほかの兵士たちを鼓舞しながら生き抜いた軍曹。
華奈は前線は少し駄目だろうが、この状況を打破できる作戦を。ストーム1、軍曹には目の前の敵の撃破。そしてその後の切込み。適役ではあるが、同時にここまで客将に頼りきりというのも申し訳ないとネロも思ってしまう。しかし、同時にこれが必要なものであるのなら仕方ないと思考を割り切って伝令に伝える。
「ハッ! ではそのように」
その後、しばらくして頭や体の節々に包帯を巻いた華奈、フェンサーの武装で来たストーム1、タマモキャットにじゃれつかれていたか肉球の跡をほほにつけた軍曹が到着し、戦況を眺めていった。
「ん・・・・・・・・ストーム。武装はこんな感じで。軍曹様は攻め込む際の先鋒を。ゴム弾は用意しておきます。後は、ジャンヌオルタ様を呼べばいいでしょう。通達を」
「俺が行こう。あの子ならおそらくは喜んでいくだろうからな」
戦場を少し見るやストーム1にすぐさま武装を書いたメモを渡す華奈。軍曹は即座に自身が使いっ走りに。
「しっかし、狭い場所で大軍相手にこの守り、そんで武装・・・間違いなく、あのスパルタだよなあ」
『あの守りの強さに、出ている敵兵のほとんどは弱いけど英霊の反応だ。おそらくは宝具・・・そしてまあ、そう思うよねえ』
「違いないですね・・・ウェイバー様の作戦でしょうけど、本気であの人は策を練ったようですねえ。本当に適材適所です。場所もしっかりと用意していますし」
まったくもってあの軍師の作戦は退去しても残り続けている。大樹の城や行動の抜け道は全く見つからないし、谷も険しすぎてバゼラートなどを使わないと越えられないほど。英霊たちを少しづつ送り込んで突破口をこじ開けるのも手なのだが、ローマにも花を持たせなければいけない。そうでないと手柄をよそ物ばかりがもらい、もらえないローマの兵士たちの不満がたまる可能性があるから。
そうなると必然首都へ向かう足並みもそろわなくなりかねない。それよりは英霊は英霊でぶつかり、兵士には兵士に仕事を与えて互いに功を積んだほうがいいというもの。
「華奈よ。あの相手があのスパルタというのなら、かの逸話の戦いよりも倒すのが難しい相手となる。出来るか?」
「おそらくは。そのためにもネロ陛下たちには少し弓兵を多めに配置してくれたら嬉しいです」
「うむ! それとすぐに突撃できるように手配しておこう。あ奴らを倒した後は谷の道の確保。そこは余たちが受け持つ」
いううが早いかすぐさま兵士たちの用意、配置換えを決行し、待機を指示。それに即座に動きを変えて陣の変更もすぐできるあたりその技量がうかがえるが、同時にそれを押し返す敵の部隊が末恐ろしく思う。
「よいしょっと・・・うっしマスター。準備万端。いつでも行けるぞ」
「来たわよ。あの最強の300名相手に私を呼ぶとは良い判断じゃない。で? その様子だと貴女は出ないようですが、どう動くのです?」
「やれやれ・・・聞くやすぐにこれだ。防衛線でうっぷんが溜まっていたか?」
考えていた作戦を見直ししていると準備をそろえたストーム1の後にすぐに来たジャンヌオルタと軍曹。兵士たちも自分ら客将の動きを今か今かと見ており、同時に期待されているのも分かる。自分たちが次はどう動くのか、どうあの鉄壁を突破するのかと。
「では、ストーム。あの大将格の足止め、あわよくば倒してください。軍曹様、ジャンヌオルタ様は突撃してある程度前線を揺らしてください。その後に私も一手を打ちます・・・頼みましたよ」
「はいよっと・・・ま、マスターは大船に乗ったつもりでその気を見ているといい・・・ふっ!」
ブースターを活かし、あっという間に敵目掛けて鉄の塊となって高速移動していくストーム1。その速度にローマ兵、そして敵も驚くが、すぐさま敵兵は再度密集陣形、ファランクスを練り直す。その指示を出す並々ならぬ気配を持つ大将と思われる男。皆が皆彫刻のような筋骨隆々。その中でもひときわ鍛え抜かれ、戦闘のために作られた一種の芸術品ともいえる男に巨大な盾とツインスピアをもって激突した。
「ぬぅうぅうあぉおおお!!? 貴様・・・その武装でその動き、名のある武将と見える! 我が名はレオニダス! 義も無き戦いに組することに呆れていたがこれは僥倖! 一勝負願いたい!!」
「こちらからお願いしようじゃないのスパルタの王様よ! ここじゃあちっと狭い、だから、いったん広いところでやろうぜ!!」
その激突にレオニダスは受け止めはするがあとずさり、周りの兵士の陣形を少し乱してしまう。しかし戦象でないと突破できないとも言われるほどの強固さを誇る密集陣形、しかもあのスパルタの組み上げる陣形を確かに一人で揺らしたストーム1 文字通り人間大の武装した鉄の塊が空飛ぶほどの速度で激突して尚受け止め切るレオニダス。この最初の激突だけでも周りは圧倒されるほどの迫力。
ギャリガリと盾をぶつけあい、ブースターとパワードスケルトンを鍛え抜かれ、重武装でも騎兵相手に追いつくほどの脚力、身体の力で抑え込んでいたレオニダスだったが突如一寸ストーム1が距離を取り武装を変更。二振りの巨大なハンマー。それを体ごとたたきつけた瞬間、そのハンマーを受け止めたレオニダスの盾を起点に爆発が起きた。
『なあああっ!? な、なんだこれ!? 一瞬だけどとんでもない魔力値が出たぞ!! ってかあのスパルタの陣形をあの数秒で崩したんだけど!?』
「そりゃあ、ボルケーンハンマーですからねえ。あれ、普通にもらえば多分英霊でも一発で吹き飛びますよ」
「ぬっ・・・ぐぅう! まだまだあ!!」
チャージ次第で爆発を起こし、少しの範囲ながらふざけた威力を何度も打ち付けるハンマー。ボルケーンハンマー。その威力、爆発にレオニダスも吹き飛ばされて谷から引きずり出され、そこに追撃でツインスピアを発射しながら接近するストーム1。しかしそこはスパルタの王。爆発の瞬間に身を浮かせたかさほど衝撃を喰らった様子もなく、飛んで来た二つの槍を盾と槍で叩き落として迎撃を開始。異常なほどの巨大な金属音と爆発の怒る戦闘が開始。
「なっ! 王を守れ!」
当然、この動きにはレオニダスの供周りをしていた兵士たちも動く。かつてのテルモピュライの戦いでもレオニダス王は討ち取られ、その遺骸をめぐる戦いもあった。再びそれを再現するな。王を死なせるなと兵士たちも谷を出てまで救援をしようとする。
「あら、陣形が乱れているわよ。しつけができてないわねえ!!」
「その筋肉だろうとブレイザーなら通る・・・やらせてもらおう!」
救援のために部隊を出す。一瞬でもその動きをしてしまえば密集陣形は乱れる。そこに飛び込んでいく二つの影。ジャンヌオルタ、そして軍曹の二人がスパルタの軍にぶつかり、戦闘を開始。
EDFが侵略者、プライマーと戦うための組織ではあるのだがそれ以前はその過剰ともいえる武装を世界各地の紛争、テロ鎮圧に向けていた組織。軍曹も無論その経験はあり、多少のためらいは生じるがそれをおくびにも出さずに引き金を引く。放たれるのは当然ブレイザーのエネルギー。スパルタ兵を次から次へと焼き払い、既に接触をし始めているジャンヌオルタの支援に徹する。
「さあ、この数で私をどうにかできるかしら!? はっ!」
ジャンヌオルタの振るう剣、旗、そして蹴り。その一発一発がスパルタの兵を圧倒し、蹂躙し、陣形を押し込む。まだまだ動きの粗さも目立つ、歴戦の武官というわけでもない。しかし、その振るわれる一撃が重い。
特殊な生まれをした英霊のジャンヌオルタ。そのクラスやありようを形にしたステータスなのか筋力、敏捷ともに最高ランクのA。武人として名を馳せた英霊以上のステータスを誇る。細身の女故の軽さ、攻撃は練り上げられた武でなかろうともその速度でつたなさや軽さを補い、力の入れ方の未熟さは剛力で補う。
更には追い打ちと言わんばかりに業火の付与した攻撃に軍曹のいぶし銀の援護は敵の密集陣形での守りをわずかにでも穴をあけ、そこをジャンヌオルタが突き崩していく。
「ちっ・・・・ならば陣地変更! 包み込め!」
真正面からのぶつかり合いは不利、そして手数が借りないと判断したスパルタの兵たちはすぐさま布陣を変更。ある程度押し込まれていることを逆手に利用。ジャンヌオルタを包み込むように円陣を組み上げ、更には軍曹の攻撃を止めるために兵を一部ネロ達のほうに向けて壁とする。
力をぶつけあう、押し合う戦いでジャンヌオルタ一人ならまだしも、祖のぶつかり合いに差し込まれる軍曹の援護が至極面倒。まずはジャンヌオルタを包囲し、四方八方からの槍衾で始末。その後に軍曹に対しては槍を投げ、その間に切り込んで対処。その後に改めてレオニダスと相対しているあの奇妙な全身鎧の男を対処。そうすればどうにかなるだろう。
少なくとも主と同じ英霊らしき女は負傷している様子。生身の人間ながら英霊にも渡り合う現ローマ皇帝も強いではあるが目の前で剣戟と炎をまき散らす女のような速度と馬力もないようだし、レーザーを撃ちまくりながら援護をする男のような経験を積んでいるわけでもない。
そう一瞬でも考えてしまったのがスパルタ兵の時間を華奈は見逃さず地面に刀を一振り突き刺す。
「石牢処刑」
地面に突き刺した深山。その持ち得る力は局地的ながらの地形操作。華奈の持つ四振りの聖剣、魔剣の中でも一番軍用の幅が拾い物。ジャンヌオルタを囲む円陣を崩し、まるでジャンヌオルタを中心に石壁が地面から生えてスパルタ兵を分断。谷の地形をごく一部ながら大きく変えてしまう。
「あーらら。お仲間は分断。いくら固い陣形を組めても、さすがに土くれとは出来ないわよねえ・・・?」
旗を地面に突き刺し、剣を構えてにやりと笑うジャンヌオルタ。スパルタの誇る密集陣形。それは縦も横も互いに一つの塊となり、壁となり、意識を一つにすること。それが強さの源。たった2,3列しか組めず、縦の幅もない。そんな狭すぎる状況では逆に個が強く動きやすくなるというもの。
「せいぜい生き延びてみなさい!」
いうが早いか剣を振るい、剛力を俊足を目の前の敵に容赦なく振るい叩き物していくジャンヌオルタ。一人、また一人とかつての竜の魔女の剣に、拳に、蹴りに倒れていき、数を確実に減らしていく。
「狭い場所での戦闘はなれている。人を撃つことにはためらうが・・・手を抜くことこそが失礼。全力で行かせてもらう!」
軍曹もまたブレイザーをもってスパルタ兵をブレイザーで狙い撃ち、時には不意を突き、時には身を隠して思わぬ場所からの一撃。伊達に洞窟の中で巨大生物と戦闘を繰り広げ、巨大なエイリアンたちと市街戦を繰り広げていたわけではない。テロ組織との経験も相まって七面鳥を撃っているかのようにサクサクと敵を狩る。
「ひとつ・・・ふたつっと・・・ふむ。少し移動を・・・」
華奈は自身の身軽さ、深山で自身が形成した壁の場所を把握したうえで桜花を使い壁越しにスパルタ兵を刺突。斬撃を飛ばして背中を切るなどの暗殺者じみた動きを活用。深山の地形操作の範囲を絞ることで壁の再生や自身は労せずに壁の向こう側に身を隠すのでスパルタ兵も追撃をできず。壁をよじ登ったり、壊そうとしようものなら土の拳が飛んできて対処される。屈強無比なスパルタ兵、その中でも伝説を残した300の兵士たちは三人の英霊たちに前に徐々に数を減らし、最後は討ち果たされた。
「あっちはもう済んだか、しっかし、本当にタフだな。こうも連撃を防がれるとは・・・・っと!」
「武器を動かすのは骨と筋肉! その動きを錬磨しつくし、可能性を考慮しながら計算すればたとえ未来の武装が相手であろうと負ける道理はないのです! ヌゥェエリリャア!!」
谷から少し離れた場所で繰り広げられるフェンサーにクラスチェンジしたストーム1とレオニダスの戦闘は互いに激しくぶつかり合い、ストーム1が有利に事を進めるも、油断は許されない状況だった。
ツインスピアのブースターとスーツのブースターを組み合わせた盾と槍を組み合わせた突撃も踏ん張られ、ボルケーンハンマーの連撃も初檄を受け流し、あるいは踏ん張らずにその衝撃で後方に吹き飛びその後の連撃をやり過ごされる。
「楽しそうだなあ、王様よ。義のなき戦いに呆れていたんじゃないのか?」
「それは心からそう思っています。しかし、あの方のためにもと守ってみれば気骨のある戦士たちと真正面からの血が沸き、肉が踊るような戦いができていること、それはとても心地よいことです。守るべきもののないつまらない戦いから解放されると! その機会をくれ、なおかつ今の皇帝も一目見ることが出来た。これだけでも有り余る報酬というものでしょう!」
接近戦でもストーム1の放つ大火力の攻撃の隙間を縫ってレオニダスは槍の突きを二発、三発と叩き込んでストーム1の盾を押し返す。押せば引き、合間を縫って逆に押し返す。剛柔入り混じる盾と槍の組み合わせで武装、火力の差を埋める戦いにストーム1も少しばかり厄介だと鎧の下で顔をしかめてしまう。
(ツインスピアでの突撃でも踏ん張られてペースを乱されかねないし、ボルケーンハンマーは振りかぶる合間を狙われる。敵の呼吸を見ながら戦う経験を積んだせいだろうな。守りを維持するための呼吸の取り方が抜群にうまい・・・うーん。よし)
このままではらちが明かない。そう判断したストーム1は少しだけ戦い方をチェンジ。一度距離を取り直し、ツインスピアを構え、背中のブースターを再度加速できるように調整。
「む・・・」
相手の空気が変わったことを即座に理解したレオニダスも盾を構えて腰を少し落とし、槍を持つ手を強く引き絞り、ストーム1の接近に合わせて即座に打ち抜けるようにしておく。
「そんなら、こっちも思いきり心からぶつかってくれることに感謝と敬意を。ま、ずは・・・!」
ブースターを思いきりふかし、あたりの砂埃を吹き飛ばしながら爆走するストーム1。レオニダスをツインスピアの射程にギリギリ入ったことを目測で確認し、即座にツインスピアを発射。二つの巨大な槍が放たれ、レオニダスの足元を目掛けて飛んでいく。
「甘い!」
一撃で戦車や巨大生物、果てには戦車や巨人のようなエイリアンすらも一撃で穿つ二つの槍すらもレオニダスはとらえており、今まで同様に払い落とし、あるいは盾で受け流す。そこからストーム1は一度方向転換。盾の死角に常に回るように動いてはレオニダスを中心に円を描くように動き、ツインスピアを何度も何度も放つ。
「ぬんっ! 盾の可動範囲、動かしづらい部分に逃げるつもりですか!! その程度想定済み!」
レオニダスもそこは問題ないとストーム1の動きに合わせて身体を動かしてスピアを防ぎ、受け止めていく。数十発ほどスピアを放ったところで今度はストーム1がボルケーンハンマーを両手に持って突撃。思いきり振りかぶり、腰に力を入れる。
「ツインスピアでも、ボルケーンハンマーでもダメなら、こいつはどうよ!?」
爆発がレオニダスにぎりぎり当たるかどうかの手前で下からの打ち上げ気味に振るいあげるボルケーンハンマーの一撃。それはレオニダスの防御を吹き飛ばすのではなく、地面から大量の土くれ、そして先ほど散々あたりに散らしておいて地面に転がっているツインスピアの槍。これを爆発の衝撃でまるで散弾銃のようにぶっ放し、盾でも槍でも防げない手数と質量をぶつけていく。
「グァッ!? なんのぉお!」
「もう一発! そらそら! 爆発するダンスを味わってもらおうか!!」
そこから次の一撃を振るい、もう一撃、もう一撃とブーストをしながら地面の槍と土くれをぶちまけ、距離をつめてからは身体を大きく回しながらまるで踊るような動きで何度も何度も爆発攻撃を叩き込んでいく。もとよりストーム1の持つ武装の中でもトップランクの突破力と突進力。そこにツインスピアの槍も所かまわずと吹き飛ばすのだ。
とにかく足止めをメインに考えた攻撃故に吹き飛ばされるスピアもどこに飛んでくるのかまるで見当がつかず、対処が遅れればその間にボルケーンハンマーの一撃、そして爆発にレオニダスの身体は振り回され、防げずに肌は焼け、切り傷が至る所につけられていく。
「ッ! そこだ!」
「しまっ・・・! ぐぉああああああ!!!」
その攻撃のさなか、ボルケーンハンマーでレオニダスの盾を内から外に吹き飛ばし、今までまるで殻にこもったかのような鉄壁さを誇るレオニダスの防御の要、盾のガードを外し肉体をストーム1の前に晒す。その一瞬を見逃さずにツインスピアのブーストも活かした加速で即座に突っ込みツインスピアを発射。その攻撃はレオニダスの岩のような胸筋、腹筋を見事に貫き、致命傷を与える。
「ふぅー・・・まさか、ここまで固いとは・・・ブラストホールかジャックハンマーでも用意するべきだったかね。ま、いいバトルだったよ。今度はアリーナとかでやろうやきっと満席になるぜ?」
「フッ・・・背後を突かれるわけでもなく。数の差も逆に少ない中での敗北・・・いやはや、完敗です。しかし、気持ちの良い負けでした。ええ、いいでしょう。今度は思いっきり、しがらみのない中で・・・」
仮面の下から見える穏やかな瞳を見せてレオニダスも退去。ようやく一息。としようと思ったが即座にツインスピアと盾を構え、谷を見る。
感じたのは強大な気配。そしてそれ以上に感じる、英雄王にも劣らないであろう覇気。
「・・・隠し玉はまだありますってことか?」
「よくぞここまで来た・・・我が愛しき子・・・ネロよ。小さき体、細き腕にもかかわらずこれほどのものを抱える勇を振るい、支えたものだ」
「っ・・・貴方だけは・・・どこかで、違うと・・・違うのだと信じていたかったです・・・」
『な、なんだいこの包み込むような威圧感と・・・霊基のすさまじさ・・・!』
「・・・! わがままですが、手負いの身には過分すぎる戦力でしょうかね・・・」
ストーム1がレオニダスを下したのとほぼ同時刻。伏兵などもないことを調べ終わったことで改めて谷へ軍を進めるネロ。そこに立ちはだかった一人の男。その男にネロ、正統ローマ兵の全て、そして、カルデアの面々も圧倒されていた。
巌のごときたくましく、大きな身体。その肉、身体のパーツ一つ一つからあふれんばかりのエネルギーがみなぎっており、それを包む黒と金を基調とした装い、兜と真紅のマントを身にまとう。手に持つ真紅の異形の槍もまた並大抵の武具では足元にも及ばないものだとわかる。
何もかもが規格外。果たしてここでぶつかって勝ち目があるのか。一目見るだけでもそう思わせるものを纏った英霊に華奈、軍曹、ジャンヌオルタだけは臨戦態勢を取るも、残りのメンバーは戦意を失っている状況であり、男の言動全てに目を奪われていた。
「
「健国王ロムルス!! 貴方までもが・・・なんで! なぜなのだ!! なぜ立ちはだかってーーーー!!」
慈愛にあふれた包まれるような声に飲まれまいと、この状況に怒りと動揺をぶつけるようにネロが吠える。健国王ロムルス。ローマ建国の祖にして神の血を引いた傑物中の傑物。ネロが愛し、慈しみ、守り抜いてきた国を生み出した、一番刃を向けてはいけないべき存在の対立を察した分その取り乱しようはひどく、一瞬で焦燥した顔になり、滝のように汗を流している様が悲痛すぎるもの。
「ーー・・・ローマがローマを試そうとした。とだけ言っておこうか」
立ち去ろうとしたロムルスは最後にネロに一つだけつぶやいてから即座に離脱。谷を制圧し、敵の最後の都市に攻め入ることが可能となった。
だというのに前線は士気が上がることはなく、静かな夜を迎えたのちに、朝が開けることとなった。この特異点の、ローマ同士の戦いの決着をつけることとなる朝が。
今回は皆様大好きレオニダス王とストーム1の激突。あのどこか気力を無理やりにでも引きずり出してくる熱血さと価値観を必要以上に押し付けすぎない分別や理解。本当、いい王様ですよね。
スパルタ兵。なんと重装歩兵なのに騎兵相手に走って追いついたとかふざけたエピソードに事欠かない化け物ぶり。本当にこの兵士が数万もいたら一撃粉砕の大鉞になるのでしょうねえ。
今回のストーム1の武装、一つはツインスピア。二つの槍を同時に発射する武器であり、発射時にブーストで前に出ながら打ち出すので扱いにはやや癖があるものの二本同時発射なのであたり幅はそれなりに広く、ある程度動きの速い相手にも対応は可能。
ボルケーンハンマーは皆さん大好きフェンサーの武器の一つ。武器のチャージ段階で爆発を引き起こし、敵の攻撃もなかなかの割合でダメージカット。爆発と一撃の威力の高さを連続で引き起こすいわゆる「ボルケンダンス」はフェンサーに触れた人はやったことがあると思うロマンな戦法。ちなみに味方を巻き込んで被害を出すのもご愛敬。使用の際はいろいろ気を使う場面もあるかも?
建国の祖ロムルス登場。この人のエピソードでぶっ飛びすぎなのはローマ建国直後のサビニの女の略奪結婚。
建国直後に上も下も男だらけで薔薇の園が開きそうだが子は残せなくね? すぐに国が消えかねないんじゃないかと周辺に女性の方と婚姻させてくださいと頼むも「誰が新しい勢力に手を貸すか」と拒否されてしまい一手を考案。
お祭りを開いて周辺の勢力を招いてある程度祭りが盛り上がったあたりで女性を片っ端から誘拐。ついでに女性には「俺の子を産んでくれ!」と猛烈アタックしたとかなんとか。
それに激おこした周辺勢力はローマに戦争を吹っ掛けるのだが、さらわれた女性たちが「今更来て今度は私たちを未亡人にする気か!」と戦争をやめさせたそうな。結構な期間の戦争だったのかその間にローマの男たちと子供ができていた状況だからこその判断とはいえ、母は強し。でしょうか。
次回は決戦に物語が動きます。
それでは皆様また次回まで、さようなら。さようなら。