転生愉悦部の徒然日記   作:零課

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良馬『これが品物になりますね。ロマニさん、冬利さん、咲さんと用意しましたし、メディアさん監修ですから効果はばっちりです』

華奈「ありがとうございます。次攻め込むのは都市。民間人への被害は少ないに限りますそれと・・・」

ネロ「・・・」

良馬『ああ、なるほど了解です。多めに用意しておきますので後で藤丸君にも渡しておきましょう。あのグレランでいいですか?』

華奈「予備弾薬は多めでお願いします」


愛すべき子供たち

 「異常・・・ですね」

 

「全くだよ・・・キリがない!」

 

 連合ローマの本拠地。その都市部に入り込んだカルデア、正統ローマの部隊を歓迎したのは、民間人すらも異常なほどの戦意と神祖をあがめながら武器を持ち、あるいは武器になりえるものをもって向かってくるという異常事態。

 

 誰もかれもがひるむことなく襲い掛かり、その勢いに正統ローマの兵士たちは愚か英霊ですら戸惑う程。

 

 「けがはさせないようにしてはいますが・・・」

 

 「まっこと面倒じゃのお! 民兵の面倒くささは本願寺だけで腹いっぱいじゃというに!」

 

 藤丸、信長、軍曹らはロックソルト弾で民兵を狙って無力化し、そこを華奈、ストーム1、アルトリアがリバースシューターの爆風で吹き飛ばす。更にはそこに深山、紫式部の術式で空間を引き延ばす。町を迷路のように仕立て上げて向かって来れないようにする。

 

 藤丸に至ってはフランスで使用したグレネードランチャーにカルデアの技術メンバー謹製の麻酔ガス弾を使ってまでの制圧。緑の煙がいくつも上がり、塩の煙が舞う戦場はけったいなものだろう。

 

 しかし、それでもなお都市に攻め込んでいるせいだろう。抑えども抑えども敵は群がり続け、その士気の高さ、最早呪詛のように神祖をあがめながら襲い掛かり、死んでいく様子には正統ローマ兵も怯え、あるいは神祖に歯向かうことをためらって逃げ出すものすらも出てくる始末。

 

 「あははっ! まるでゾンビね。今回は自己防衛ってことで遠慮はしないわよ!」

 

 「フッ・・・この程度、大したことないわね」

 

 それを抑えるため、止め切れずに肉薄する敵兵は反英霊、生前民間人に手をかけることをためらうことなく出来た二人、ジャンヌオルタ、エリザベートの二人が対処。

 

 統率自体は取れていない攻撃故に対処は出来ているためか行軍自体は順調であり、連合ローマの王宮も視野に入るほどになってきた。

 

 「・・・・・・・・・・・」

 

 この快進撃を一番喜び、はしゃぐはずの人物、ネロはそのことに対しても大きな反応を見せず、むしろ宮殿が見えてくるほどに表情が沈む。

 

 「まあ、自分のルーツ、その始まりの人が敵対しているとなれば揺らぎもしますか」

 

 文字通りローマそのものと言える男の敵対宣言。おそらく今こうして馬を進められているのは神祖が宮殿で待っているからこそというのもあるのだろう。

 

 「ネロ陛下。この戦い、降りたいですか?」

 

 ただまあ、そのまま足を進めるのは駄目だろう。そう判断した華奈はネロに並走し、優しく声をかける。

 

 「華奈・・・そうだな。正直、迷っている。あの大きな懐に、ローマそのものに身をゆだね、この戦いを終わらせるのも悪くはないと・・・私の戦いが間違っているとも・・・

 

 我がローマにとって神そのものに刃を向けたとしても、あの御仁は許されるであろうし、いっそ・・・」

 

 一層うなだれ、そのまま馬に倒れ込みそうなほどに気落ちを見せるネロ。これを間近で見ていた親衛隊も不安の色を見せ、ますます戦意が落ちるばかり。

 

 「そうですねえ。許されるでしょうし、繁栄は確定。神祖様の英知とカリスマ、そしてネロ陛下の代まで押し上げた技術や国の経験を活かし、ほかの皇帝と協力すればそれこそ数千年も続く国などできるでしょうね」

 

 「そうか・・・華奈から見てもそうみえ・・・」

 

 「でも、それをしたら残りのローマの市民の皆様がこんな風になりますが、いいのですか? 私はこうも意思の自由もない、盲目すぎる国民など一緒にいても楽しくないのですが」

 

 「そうよそうよ! ライブでこんな風に声援貰ってもね、死んだ顔で言われたってうれしくないのよ! 心からの笑顔で、一緒に笑ってこそでしょうが、アンタはそんなことも分からないくらい腑抜けたの!?」

 

 「!」

 

 華奈、エリザベートの言葉でハッと顔をあげて、一度押し寄せる敵の波を見る。誰もかれもが神祖を称え、あがめる。その熱はきっとネロが日ごろ聞く称える声よりも激しいもの。しかし、まるで顔に色もなく、喜悦もない。

 

 これが自分の愛したローマに広がる。それだけは嫌だ。笑顔のない、華のないローマは自分の求めるものではないはずだ。しかし、それでもあの神祖に歯向かうのが正しいのか。そう思い返してしまう。

 

 「きっと神祖様は陛下に思いっきりぶつかって欲しと思いますよ。愛するローマをわざわざ攻め立てて、自分から表に立たず回りくどい手段を選んだ。それはきっとネロ陛下の成長や、皇帝としての気概を見たいからだと思います。でないと、あの邂逅でもっとおいでとスカウトしていたでしょうし」

 

 「だいたいね! あのおっさんのローマがどうこう言うけど、今のローマはネロのローマでしょう? 後だしでギャーギャー言われる筋合いはないはず! むしろ倒して越えて見せなさい! 親を越えて歴代最高の万能の天才であるといつも通りのどや顔で言ってやればいいじゃないのよ」

 

 「そうか・・・ああ、そうであるな!」

 

 ロムルスが敵対しているのは事実。だが、同時にそのロムルスから連綿と続くローマを継承し、一人の皇帝の席を手にして自分がいるのも事実。その皇帝としての責を果たして民を愛し、愛されている花の皇帝。その民草を捨ててまで神祖に下る。皇帝を捨てることこそ神祖に、ロムルスに礼を欠くのではないだろうか。

 

 「余は今の皇帝! たとえ神祖であろうとも譲るつもりはない! むしろここで余が神祖を下せばその実力をもってよりローマを栄えさせて見せようぞ! すまぬな、華奈、エリザベート。遅れていた足を速める。もう怯まぬ、進み、神祖だけではない、すべてのローマの歴史を背負った余の強さを堂々とロムルスに見せつけてやろう!!」

 

 目には活気が宿り、声には覇気がこもる。ネロの復活。しかもその檄にはあのロムルスすらも越えて見せると豪語した。いつものネロだ。あの元気さが戻ってきてくれたと兵士たちも元気を取り戻し、進軍速度は早まる。

 

 「これでよし・・・後は・・・」

 

 目に見えてきた王宮。そこで感じる気配でひときわ強いものは二つ。一つはロムルス。もう一つの気配も分かるもの。しかし、だからこそ不気味に感じつつも華奈は深山を振るい、背後を狙う敵兵たちの動きを止めていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「来たか。愛しき子よ・・・誘いは不要か?」

 

 「来たぞ神祖ロムルス! 余は貴殿の誘いには乗らぬ! 貴殿から始まり・・・脈々と受け継がれたローマの民草や皇帝たち、臣下たちの想いを余は紡ぎ、背負い、こうしている! その想いをたとえ同じローマと言えど、神祖からの言葉と言えどはいそうですかと無下には出来ぬ!」

 

 ジャンヌオルタや紫式部ら英霊の半数近くとネロの兵士たちに足止めを頼み、ようやくたどり着いた連合ローマの王宮。玉座に鎮座していたが、腰を上げて嬉しそうに声をかけるロムルスに誘いを蹴飛ばし、啖呵を切るネロ。覇気にあふれ、剣を向けて吠える姿は様になり、その言葉をロムルスも一言一句聞き逃すまいと耳を傾ける。

 

 「そも、今のローマは余が統治し、愛するもの。たとえ神祖言えどもそこを侵されるのは出来ぬ! ゆえに現皇帝ネロ・クラウディスが告げる! 健国王ロムルス! 貴殿をここで討伐する!」

 

 「良かろう・・・これもまたローマ()であり、ローマ(勇気)であり愛しき子の示す道。それにローマ()もこれをもって応えよう」

 

 巨大な槍をゆっくりと構え、ネロに戦意を向けるロムルス。それだけで場の全員が思わずこわばるほどの威圧が向けられるも、ひるまずに戦意をたぎらせる。

 

 「うむ! ここでこの戦いを終わらせる! 藤丸、マシュ、クー・フーリン、ジークフリート、沖田よ! ともに戦うぞ!」

 

 その声を皮切りにネロ、藤丸、マシュと英霊たちの連合でロムルスと激突。この戦いを決するカギとなる戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 「やれやれ・・・あれだけの用意をしても切り抜けられる。結局、私が呼んだ英霊たちも使えず、神祖はあのありよう。私がこうして出向かんといけないとは、つくづく使えぬ使い魔どもだ」

 

 「いえいえ、皆凄まじい英傑、傑物ばかりでしたよ。一つ言うとしたらそちらはその英傑たちの心情や器を図り間違えた。それが原因では?」

 

 ネロ達とロムルスが激戦を繰り広げるの場所とは少し離れ、華奈、オルガマリーもまたもう一人玉座のそばにいた男、一度華奈が倒したはずのレフと対峙していた。

 

 冬木で対峙した時と同じ、もしくはそれ以上の怒りや侮蔑の感情を抑えることもなくこちらをにらみつけてくる。それにオルガマリーも一瞬怯むも、しっかりと足に力を入れて耐える。

 

 「レフ・・・やはり、敵なのね・・・私を今まで助けてくれたし、カルデアの発展に貢献してくれた貴方が・・・」

 

 「はっ・・・あんな無価値な組織の発展なんて吐き気を催したとも。しかし、そんなカスに縋りついて、誇りだの親が残したのだとギャアギャアわめいてコンプレックスとプライドで苦しんでいるのに少し甘い餌と声をかければ救いを得たと言わんばかりの姿が滑稽で仕方がなかったよ。それがつぶれ、私の仕掛けに気づくことなくつぶれるさまはそれは最高の見世物だった」

 

 「・・・・・・」

 

 オルガマリーとカルデアで過ごしたことを思い返しているのか、あごに手をやりこちらをじろじろと眺めるレフ。きっとその瞳の奥ではオルガマリーの今までの日々での懊悩を思い出し、そこから一喜一憂し、苦しむさまを思い返しているのだろう。

 

 「そして、結局は無価値なごみのまま死に絶え、情けない最後を見るはずだった・・・しかし、しかししかし!! 何故生き返っている!? なぜこうして肉体をもってレイシフト出来ている!? 私の計画は何もかもがご破算だ! まったくもって度し難い! 屑のくせにしぶといせいで二度も私が出向く羽目になったのだぞ!! 役立たずのくせに!」

 

 「いや、役立たずならレフ。貴方でしょう。あの状況で積みにできず、こうして私達は進めています。そして、またこうしてこの特異点にも王手を打つことが出来ている。正直な話、第二陣地での作戦がもう少し練り込まれていたら、あの谷でレオニダス王に増援があったら、危うい場面を見逃してこうなっている貴方こそ滑稽では?」

 

 「だまれ! あの程度の仕事も出来ぬ使い魔どものせいだ!! カナ、お前もオルガマリーも今度こそ殺してやる。何の慈悲も手も抜かずになぁ!!」

 

 大きく手を振り、殺意を強めていくレフ。以前よりも正体を抑える気がないのか、英霊ですらもひるむかもしれない威圧。並大抵の人間ならそれを見るだけでも足がすくんで動けない。

 

 ただ、その言葉を。確かな殺害宣言を受けてもオルガマリーの表情に、心情に変化はなく、一歩前に出ると頭を下げた。

 

 「ありがとう。レフ。今は敵だけど、そのチャンスを、土台をくれたからこそ私はこうしています。カルデアも、私も日々を助けてくれているから人類史の危機に立ち向かえています。だからこそ、まずは感謝を・・・」

 

 「・・・・・は? なんだそれは。感謝? 感謝だと? この状況がわかっているのかお前」

 

 状況が、目の前の女の言っていることが、行動が理解できないと動揺を見せるレフ。以前のオルガマリーならまた絶望し、泣いていただろう。もしくはなくこともできずに打ちひしがれていた。それが、まるで動じず心からの謝罪を、敵対者の自分に向けられている。訳が分からない。そんな感情がありありと浮かぶ。

 

 「ええ。確かに敵です。でも、ここまで進めたのは紛れもなく貴方の功績も大きい。だからこそ、今までのことに感謝を。そして・・・・・・その上で私は進みます。貴方の屍を越えてでも、カルデアの責務を、私の責務をこなします。ここで宣言しましょう。カルデアの所長として一個人、オルガマリー・アムニスフィアとして人類史を守るために、今ここで貴方を倒します。レフ・ライノール」

 

 「黙れ黙れ黙れエエェエェェッ! ああ、もういい。ここで全てひねりつぶしてくれる!」

 

 オルガマリーの宣言にいら立ちが最高潮になったレフが魔力弾を放つもそれをジャンヌに防がれて、その間にいつの間にやら取り出した聖杯を飲み喰らい、その後レフの肉体に大きな変化が表れていく。

 

 人の身体からボゴボゴと肉が膨らみ、すぐさま形を形成。それは一つの柱。そこに無数の目玉がついてぎょろぎょろとしきりに周りを見回す姿は醜悪極まりなく、感じる魔力もおぞましく、そしてふざけた出力を持っていることを感じさせる。

 

 『・・・』

 

 その魔力の性質の変化、いや本来の姿を見せていくレフを見つつ、ロマニはカルデアの計器からたたき出されるデータを見て悲しげに見つめる。華奈が持ってきたかつてのレフの遺体。そのデータと一致するたびに自分とごく一部だけが知りえる事実。そして思いたくはなかったレフとの敵対の事実に苦い表情を浮かべる。出来れば嘘であってほしかった。と内心思いつつ、そのデータを逐一精査していく。

 

 きっとこれは必要なものとなる。華奈の直感、行動はきっとこれもあることだと想定していたからだろう。だからこそあの時レフの遺体を持ってきてあらゆる情報を集めていた。そして、今は生きたレフ、いや「魔神」のデータが手に入る。それを見逃すほど愚鈍でもないとコンソールを叩く。

 

 「我が名はフラウロス! レフ・ライノール・フラウロス! 72柱の一柱! 貴様らここでまとめて焼却してくれる! 下らぬ塵どもがぁあ!!」

 

 完全に変貌を遂げ、魔眼から空間を爆砕させる攻撃を放つフラロウス。その一撃はショットガンの連射と聖剣の放った斬撃で防がれる。

 

 「塵だのカスだの使えないだの、自分の手落ちも挽回できぬ阿呆の戯言は聞き飽きました。もういいでしょう? さっさと聖杯寄越して消え失せなさい」

 

 「何というか、ここまで見下されるのはむしろ遠慮がなくなるからいいが・・・マスターを馬鹿にされるのは癪だな」

 

 明らかな怒りをはらんで華奈を守るように前に出るアルトリア、ストーム1。片や尊敬できる義理の姉を散々似罵倒され、しかもその相手は自分のしりぬぐいも満足にできていない。そんな輩に言われる筋合いはないと魔力を轟々と走らせる。片や自分のマスター、愉快で、いつも気づかいを忘れない軍人としても尊敬できる主が馬鹿にされているのだ、連射可能なショットガン、スバローショットのリロードを終え、銃口を向けた。

 

 「たかが肉柱ごときが姉上を馬鹿にするな!」

 

 「72柱だろうが百鬼夜行だろうがぶっ飛ばす!」

 

 その直後にフラウロスの放つ攻撃を皮切りにアルトリアとストーム1が駆けだして戦闘を開始。華奈も一歩下がって斬撃を飛ばし、石柱を生成して足場を提供していくなどのサポートを開始、自分の投入を控えての様子見をするつもりらしい。

 

 「マスター! 私がお守りします、ですから、どうぞ指示を!」

 

 「いい啖呵だった。マスター、後はあのけったいなナマモノを倒すだけだろう。72柱とくれば・・・ソロモン王を思い出すが、まあ、それさえもどうにかできる。少なくとも、私は今のマスターたちならできると信じている」

 

 「ええ! 行きましょう。それしか道がないのだもの! 進むって決めたもの! 力を貸して、ジャンヌ、エミヤ!」

 

 力強く頷いた後に二人も戦闘を開始。オルガマリーは即座に視覚共有と治癒の魔術を使用し始め、華奈よりも少し後ろに下がってより安全かつ全体を俯瞰できる位置で戦場を見回す。

 

 「ちときつい目つぶしだ! もらっとけ!」

 

 「強風も一緒にプレゼントです!」

 

 ストーム1の放つ連射式ショットガンと華奈の放つ無数の斬撃。特に巨大特攻、人外特攻を持つストーム1のショットガンの弾丸はフラウロスの攻撃も、その見た目に反した頑強な肉体を容赦なくぶち抜くほどで、華奈の斬撃もその弾丸を撃ち落とす攻撃を防ぐ潰れ役となっているので防ぎきれない。

 

 「・・・! ジャンヌ! その旗を思いっきり地面でしならせながら降りぬきなさい!」

 

 「はい!」

 

 「いい指示ですオルガマリー! やはりあなたは将才がありますね!!」

 

 オルガマリーの指示に従い、旗を思いきり振りかぶった後に地面にたたきつけながら降りぬこうとするジャンヌ。持ち前のパワーで勢いを殺さず、旗を大きくしならせながら前進。そこに魔力放出でアルトリアがかっとんできて旗を前に身体を回転。

 

 旗を足場に再び魔力放出。風王鉄槌を使用し、更にはしならせた旗の戻ろうとする反動とジャンヌの力も合わせた加速はフラウロスもとらえきれずに魔力乗せた刃に身体を大きく切り裂かれる。

 

 「ぐおぁっ!?」

 

 「そこっ!」

 

 斬撃、銃弾。更には魔力を纏わせた刃の連撃にその柱のような肉体は大きく傾きかける。それをさせないと治癒と再生を行おうとするもエミヤの矢が傷口に刺さり、更には爆破。

 

 その間に勢いを殺さずにUターンしてきたアルトリアと華奈の斬撃のサンドイッチを叩き込まれ、反撃も今度はストーム1の放つもう一つの武装、ゴリアス99に阻まれる。

 

 初手でいきなり大ダメージを負い、更には再生にリソースを回そうにも攻撃をしなければ押し込まれ、かといって半端な攻撃では止まらない。どちらかに力を大きく裂く、聖杯の出力があっても尚強烈すぎる攻撃の嵐にさらされるフラウロス。

 

 魔力を貯め、乾坤一擲の一撃を放とうとするもそれよりも華奈たちが動くのが早かった。

 

 「いくわよ! みんな!」

 

 「了解です。オルガマリー様!」

 

 オルガマリーの声を聞いてすぐさまオルガマリーのそばに立つ華奈。そして、二人の壁となるようにジャンヌが前に立ち宝具を解放。

 

 「我が神はここにありて!(リュミノジテ・エテルネッル)

 

 「壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

 「ダブル・・・カリバー!!!」

 

 「ちと火力不足だが、こいつでどうよ!!」

 

 ショットガン、二振りの聖剣から放たれる光の渦、そして強力な爆発。マスターたちはジャンヌが守ることで周りを気にしない三人の高火力、三方向から放たれる攻撃を対処しきれずにフラウロスは爆破。

 

 「ゴがぁっ!? ま、な・・・なぜだ・・・このちからがあっさりと・・・」

 

 肉柱のあった場所からはレフが人の姿で這いずって出てきており、身体のパーツが一部亡くなり、聖杯をもってしても回復もできていないことを見るだけでわかる。此方の勝利だと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 華奈たちがレフを下したときとほぼ同時、もう一つの戦いも終わろうとしていた。神祖ロムルスとネロ達の戦闘。はっきり言うとロムルスの圧倒的能力、経験、規格外さに翻弄され続けていた。

 

 ジークフリートの鎧すらも打ち砕く剛力、クー・フーリンの速度についていく速度、沖田の技量にも経験の引き出しを持ち出して翻弄されない。

 

 英霊故、力の一側面だけの出力とはいえ誰もかれもが名を馳せ、一神話の世界の武力で頂点たるクー・フーリンすらも、龍殺しを馳せたジークフリートも同時に相手取り、かつマシュやネロすらもあしらうその姿はまさに神祖、あのローマを作り上げた益荒男というにふさわしいもの。

 

 「これがローマそのもの! これが神祖! 流石はローマの祖。だがひかぬぞ!!」

 

 そんな圧倒的パワーにもネロはひるまず、むしろ神祖と戦えることが、神祖の動きを知ることが出来るたびに笑みを深め、体の負傷など知らぬとイキイキと立ち向かう。

 

 「・・・」

 

 ロムルスもそれを良しと受け止めるたびに笑みをどこか深め、まるで子の成長を見ることが出来ている親のような、柔らかな空気を出す。

 

 そのせいだろうか、藤丸やマシュ、クー・フーリンたちも交えた戦いであり、傷をいくつも負っていながらこの戦いは終始どこか穏やかな空気が漂い、そしてネロを守るために必然ダメージが重なり吹き飛ばされる英霊たちをロムルスは宝具の樹木で封じることでネロと神祖、二人のぶつかり合いになっていく。

 

 「これで決めて見せる! 余は神祖の開いたローマも、先代たちのローマも背負って先に進む! その道に神祖殿が立ち向かうのなら、それを砕いて見せつけるのだ! ローマは盤石であると! 神祖の作り上げたものを磨き上げ、新しいものを加えて輝いていると!!」

 

 気迫を込めたネロの接近から振るわれる打ち下ろし。それをロムルスは簡単に弾き、突きをネロに振るう。

 

 「ぐっ!? っ・・・のぉ!」

 

 それによって剣は右腕ごと吹き飛ばされ、ネロの左肩を先端が貫く。が、ネロの執念はそれをよしとはせず貫かれた左肩のほうの腕で槍先をつかみ、無理やりに体ごと捻じって右腕の剣でロムルスに一閃。

 

 今までのダメージに加えてこの攻撃がとどめとなったか。今までどんな攻撃にも屈せずに立ち続けたロムルスの膝はついに地面についた。

 

 「見事だ・・・愛しき子よ」

 

 「神祖・・・ロムルス! 貴殿の立ち振る舞い、心、確かに刻みました・・・!」

 

 どこまでも晴れやかな笑顔を見せるロムルス、その最後まで魅せるありかたに勝利の嬉しさと感動、色んな感情がごちゃ混ぜになったせいで涙を流すネロ。

 

 「忘れるなかれ。世界は・・・ローマは永遠であり、あり続けるべきである」

 

 「はい・・・! その言葉、生涯忘れませぬ!」

 

 ぽんぽん。とまるで泣いた子供をあやすようにネロの頭を軽くなでた後にロムルスは藤丸たちに向き直る。

 

 「まだ若いながら大望を望む子たちよ。ローマを忘れるな。ローマ(情熱)こそが人の持つ可能性であり、ローマ()を愛し、望んでこそ道は開ける。常に心にローマ(浪漫)を持ち続けるのだ・・・」

 

 そう言い残し、神祖、ロムルスも退去。神祖の存在がいなくなったことは外にも伝播し、常に響いていた戦闘音が消え、まるで時が止まったかのように静まり返る。

 

 連合ローマの皇帝ロムルスの敗北によってこの戦いは収束となるも、そこでまだカルデアの戦いは終わらず、とどめを刺す前にレフの持つ聖杯がレフの修復に使われるでもなく、新たな英霊を呼び出し始めたからだ。

 

 「連合ローマの皇帝たちの魂を使い・・・こいつでお前らを始末して見せる!」

 

 その聖杯の輝きはひときわ強く、そして、荒々しいまでの輝きをもってレフの成さんとすることのために活性化していた。

 




 ようやくレフとロムルスとの戦闘。いろいろ忙しくなったとはいえここまで長かったです。

 あのやばすぎる英霊は次回にて。華奈も頑張ります。

 少し駆け足気味な後半になりましたが今回はここまで。この駄作に次回もお付き合いくだされば幸いです。肌に合わなかった方々には申し訳ありませんでした。そして善き作品に出会えることを願います。

それでは皆様また次回まで、さようなら。さようなら。
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