転生愉悦部の徒然日記 作:零課
華奈「うぁ”-・・・ぼーっとしてきました・・・久しぶりですねえ・・・ぬるぬるした中でこんな感覚・・・」
アルトリア「姉上!? それ失血でいろいろやばくなってきているだけですから! そんなまどろんだような表情でリラックスしないでください!」
華奈「すいません・・・でも、痛みもまだ麻痺した状態で意外と血で温かく・・・・」
アンナ「なんでこう、変な部分は天然というかなんというか・・・銀嶺隊は絶対華奈が変人だからああも変わり種がそろうのよ」
(治療魔術を行使)
オルガマリー「これが銀嶺の・・・円卓の一人かぁ・・・ってそんなんじゃないわ! 私も手伝うから! なによこれ!? 華奈を中心に血だまりが広がっているんだけど!!」
良馬『あーそりゃあ、結構負傷箇所多いですよ。此方で観測した分全部で30か所切り傷や裂傷があります』
華奈「どおりで、ふぅ・・・ぐっ・・・ん。回復しましたよ。よいしょっと・・・・・さ、帰る用意です」
沖田「ほっ・・・うわぁ・・・ゾンビみたいですよ・・・」
「・・・まこと見事であったぞ華奈よ! その剣術、人の強さを見せつけた姿! 余も感服である。その褒美をもって直属の護衛部隊にも・・・」
アルテラと華奈の激闘。それを見ていたネロは先ほどまで血の海でなんかリラックスしていたけどようやく回復した華奈を見て称賛と勧誘を開始。きっと彼女にはカルデアの面々を加えたローマの復興と輝かしい未来をいつも通りの自分勝手ぶりを発揮して思い描いているのだろう。
しかしまあ、聖杯を手にし、最後のイレギュラーたるアルテラも倒した。特異点の攻略はすでに終わっており、必然役割を果たしたカルデアのメンバーは退去が始まる。
「嬉しい申し出ですが、ネロ陛下。それはかなわぬようです」
「む? 何故だ。貴殿らほどのものなら・・・な!? 足から透けていくぞ!? どうなっているのだおぬしら!!」
「陛下、私達もまた彼らを倒すために現れた存在、聖杯を手にし、目的を果たした今もうここにはいられないのです」
どうにか残れてもそもそもの特異点たるここが修正されるので意味がなく、きっとネロも歴史の修正力で忘れてしまうだろう。それに下手に居座りすぎてもどんなイレギュラーが残るかもわからない。結局は帰る以外の選択肢はカルデアにはなかった。
「そんな・・・嫌だぞ! これほどの武功、成果をあげたそなたたちに何も与えてはいない! 報酬を与えてやれていないではないか! 寂しいぞ! 論功行賞ではそれぞれの活躍を高らかに余が皆に伝えたかったというのに!!!」
涙を流しながら身振り手振りでどうにかできないかと考えながら動き回るネロ。本当にその奔放さや正直さ、明るさがあったからこそこの特異点はここまで押し込まれても尚持ちこたえ、カルデアと戦えた。そう確信できるものをまた見せていく。
「ならよ。それを物語として紡いでくれればいい。詩人あたりでも捕まえてこんなすげえ奴がいた。それを面白おかしくおとぎ話のようにな」
「いいわね。ローマをさっそうと救った勇者たち! あっはは! 私が勇者とかちゃんちゃらおかしいけど、それも悪くはないか、皮肉が効いてて」
「そうですね。私たちを覚えていてくれて、それでも足りないのならそうすればよろしいかと。神様が遣わした戦士たち。面白いかもですよ? ネロ陛下」
思い思いにわいわいとネロに笑いかけ、茶々を入れたりもする面々。それを見てネロもニパッ。と華のような笑顔を見せて答える。
「・・・そうだな! それがいい! 別れとなれどもこの出会いは消えぬものよ! 紡ぎ、次代につなげていく。それが貴殿らの報酬として与える。それでよいな?」
「ええ、それに、報酬なら私もローマで魔術の研鑽や様々物を見れました。それだけでも・・・」
「・・・・・・・・・・あ”! 銀嶺隊! 全員集合!!!!」
徐々に透けていくカルデアのメンバー。これに対してネロも笑顔で送り出そうとしていく中、何かを思い出したか顔面蒼白になる華奈。先ほどまで失血でやばい具合になりかけていた分そりゃあ死人のようなもの。
号令で即座に集合する銀嶺隊。戦が終わった、特異点も攻略。だというのに、何か忘れていたか? そんな疑問符を皆が浮かべるメンバーに華奈が告げたひと言。
「急いでローマでもらった物資を、主に衣類を回収しますよ! 予備含めて結構な量を置いてきちゃいました!」
これで先ほどまでの空気が完全に吹き飛んでしまった。
「・・・っはははは! おいおいマスターあの変態着せ替え大会をしたのにそいつはきつくねえか?」
「いえ、私はどちらかと言えば見学や観戦・・・ってそうじゃないです! 少し行ってきます!!」
言うが早いか即座に銀嶺隊を一度特異点で呼んだ分を回収。その後は縮地でいなくなり、数十秒後には何やら疲れ切った顔で戻ってくる。
「はひゅー・・・はふぅ・・・な、なんだか・・・先ほどの戦いより疲れた気が・・・・」
「お疲れ様です。姉上・・・なんだか締まらないですねえ」
「ある意味、俺たちらしいがな」
「ふむ・・・そうであるな! 余とも大概な出会いであったしそのほうがいいか! ドタバタ結構。賑やかさこそローマの花よな!」
この間にも既に退去はほぼ終わりかけており、身体もほぼ透けていく。もう少しでこことは完全にお別れ。だというのにしんみりした空気はなく、また明日にでも出会えそうな気楽さ。
「ええ、その賑やかさでまたローマをにぎわせてくださいね?」
「もちろんだ! では、さらばだ勇者たちよ! ローマは、余はこの出会いを忘れはせんぞ!!」
その言葉を最後にカルデアのメンバーは完全にローマから帰還。特異点攻略を完了した。
レイシフト用のコフィンが開き、藤丸の視界に飛び込んだのはまだ数回しか見ていないが見慣れつつあるカルデアの天井。そしてコフィンの数々。
「戻れたんだ・・・」
あの血風吹きすさび、ひどい匂いや音の漂う戦場からの生還。最後の大英雄たちとの連戦。それからも帰還できた。嬉しいはずなのだが、それに永く浸っていたせいだろうか、逆にカルデアに戻れたか不安になる。
「お疲れ様です。先輩」
「みんな無事に帰還できている。と・・・ふぅ。これで肩の荷が一つ降りた気分だ」
「おいおい、ドクターの仕事はここからだろう? レイシフト後の体調管理、観察が待っているぞ☆」
そんな自分を出迎えに来てくれるマシュやカルデアの皆。それを見てようやくここに帰ってこれたんだと再確認できた。あの戦いを潜り抜けられたと。
「なんだか・・・ものすごくいろいろ勉強になったわね・・・はぁ・・・しかしまあ、魔術の情報一つだけでも時計塔でやばいことになりそうだわ」
オルガマリーもコフィンから抜け出して背伸びをしつつ、同時にローマで学んでいた魔術、頭に叩き込んでいたものを咀嚼しなおしてみて苦笑いしてしまう。2000年前のあのローマの中枢、最高レベルの魔術の知識。下手すればこれだけでも封印指定になりかねない。まあ、たとえこの戦いが終わった後にそうなるつもりは毛頭ないが。
あの帝国を支えた皇帝たちの力に意地、それに惹かれた人たちの底力。武将が英霊に足りえる理由。学べたものは本当に大きいと何度思い返しても素晴らしいもの。レフには複雑だが、一度死んでからできているこの経験を思うと今更ながらに感謝が新たに出るのだから不思議なものだ。
「そうだろうねえ。実際、こちらか見るだけでも貴重な情報が鈴なり。しかもそれをすべて吸収したんだろう? うまい具合にこちらでもごまかせるようにしておくよ」
「ありがと。ダ・ヴィンチちゃん」
「気にしないで。今回はいろいろと大変だったし、移動距離も何もかもがフランス以上だった。みんなゆっくり休んで心身休めつつ頭の中を整理してほしいな」
「ですね。私もゆっくりしたいですよ。ふわぁー・・・・・」
華奈も銀嶺隊を早速発動させつつも少数のみにして持ち込んできた物資をさっそく搬入。華奈も先ほどの回復で傷も癒え、いつも通りの優しい笑顔を向けている。
「華奈さんもありがとうございました。あの時のハグや言葉で気持ちを切り替えられましたし」
「え? ハグ? 先輩、何していたんですか?」
「うふふ。ちょっと背中を押しただけですよ。それでは私は失礼」
少しふくれっ面のマシュのほほを華奈が優しくなでた後に一番先に退出。他の英霊たちも徐々にマイルームや思い思い場所に移動していく。
「やれやれ。相変わらず無茶をしましたね。華奈」
一人のんびり、だれもついていないまま自分の部屋に移動している華奈のそばに立つフラム。さりげなく腰に手を回し、支えるように側を歩く。
「まあ、っふふ。私も武人だっということで♪」
「いいですよ。華奈が無理するときは勝ち目があるときですし」
「よくご存じで・・・何か飲みます?」
そうこうしているうちについたマイルーム。部屋に入り、ドアをロックした後で華奈もがくりと倒れ、床に転がる。
「いりませんよ。それよりも貴女の治療です。・・・魔力も枯渇。魔力回路も久しぶりの大規模な使用で焼け突きやひびが多数。いきなり3000騎の部隊召喚にテンペストなどの連続使用。そしてこれらを数日間以上も維持・・・まったく」
「でも、必要でしたから・・・診てもらえます?」
「ええ・・・・・・しっかりばっちり治しつつおしおきもします。魔力供給もですから味わってくださいよ?」
少し怒りを含ませた語気のまま華奈を抱きかかえ、ベッドに寝かせた後に上着を脱がしていくフラム。英霊の魔力回路の損傷と回復。カルデアでもトップランクの魔術師かつ華奈をよく理解しているゆえの治療。
なにせ霊基にも少しの損傷と魔術は何を使用しても激痛が走る。よくもまあ涼しい顔をしていられるものだと言えるものだった。フラムも内心心配でたまらなく、同時にその分癒せることもうれしく思う。
実はこっそりとロマニからも許可は取っているしストーム1とアルトリアも華奈の消耗具合を理解しているか近寄る気配もない。他の英霊たちが来ないのもそれに続いているのだろう。
「ありがとう・・・じゃあ、私の身体・・・お願いしますねフラム様」
「もちろん♪ うふふ・・・」
それからは個人的な治療を開始。防音設備もばっちりゆえに外からは何も聞こえず、ゆっくりと時間だけが過ぎていくことに。
今回のローマ編は思った以上にキャラを出しすぎてうまく私も表現しきれていませんでしたね。反省。次回からはうまく制御できるよう気を付けていきます。
そしていよいよ年明けも近づいてまいりました。いろいろ大変なことが起きた年ですが来年は皆様にとってもいい年でありますよう願うばかりです。
ここからしばらくは休息回。また感覚を戻せるよう頑張ります。
それでは皆様また次回まで、さようなら。さようなら。