転生愉悦部の徒然日記 作:零課
「テニール。進路は大丈夫ですか?」
「大丈夫でさ大将。小さい船ながら帆が風をしっかりつかめるし、手入れもしている。中々場数を踏んだ連中の船だったようで」
交渉の結果晴れて海での足を手に入れた私達カルデア一行。海賊たちとうちの水運部隊たちで操船してゆっくりと島に移動しています。
「ふふふ・・・こいつらもなかなかいい男じゃねーの潮風に煽られてぼろの見えるワイルドな服と筋肉。それとブツの形がまたそそるぜ・・・!」
「俺たち騎士団は清潔第一だから服も裁縫していたがなるほど・・・長期航海をする船乗りはこうなるのか・・・ご親切に商船や客船を装うために香水やそれ専用のものもある。これはいいねえ・・・」
「ひっ・・・ひぇええ!? い、命は助かったが別のもの失いかねええぞ!? そ、そこの嬢ちゃんらに兄さん助けてくれえぇええ!!」
「俺は何時でも構わねえぜ! さあヤるならやろうじゃないの!」
後ろでは先ほど物理的交渉ついでに私たちをおもちゃや商品にしようと勇んでいた海賊の皆さんとうちのヤマジをはじめとしたガチムチホモ軍団で交友を深め合うという、陸の軍人と海の男たちによる楽し気なるひと時がそこかしこで繰り広げられ、私の呼び出しもないのに振り切って出てきた女騎士の一部の方はしきりにこの光景をスケッチしたり映像に収めている。
まあ、ある意味いつも通りな光景ですので気にせず航海日誌や走り書きのメモなどの情報を見つつゆっくり船旅バカンス中。後ろで雄たけびも叫びも上がりましたので盛り上がっているようです。
「ふぅ・・・日差しと潮風が心地よいですね」
『いやいやいやいやいやいやいや!? 何いきなりいろいろとえぐい展開になっているの!? 藤丸君のバイタルがいろんな意味で乱高下しているんだけど大丈夫かい!?』
「怖い・・・海賊も銀嶺も怖い・・・」
「なんじゃ衆道くらい。男も女も抱いて一人前じゃろうが! 藤丸も交じればよかろう。その後にわしが慰めてやる」
「何言っているんですか馬鹿ノブ!! 今の時代の男の子には刺激が強いですし、普通にご法度でしょう!」
「いや、あっちから襲ってきたんだし自業自得でしょ。マスター一応金や生姜とか見せて客船として頼んできたのにああなっちゃあねえ。しかも一部の海賊たちガチホモいるから割と楽しそうよ?」
ストーム1の言う通り私たちはワイバーンから降りて交渉を持ちかけましたがそれを蹴り飛ばして襲ってきたのはあちら。そして、そういうことを考えるやつらには基本的に容赦をしないのが銀嶺と私。むしろすぐさま海水で洗ってからハチたちの餌にしなかっただけ優しいというもの。
航海術はテニールたちが盗めそうですし同じ阿保から奪うか、船がつかえなくなった同業者として動くかも考えておきましょう。
ちなみに、マシュ様は無意識ながら藤丸様をかばいつつ後ろのハッテンな光景にフリーズ。アルトリア様は「やっぱり銀嶺隊だなあ・・・」といろんなことを思い出しながらうちの部隊と一緒にラム肉のベーコンをほおばっていたりしています。
『それはそうだけどさ! うちの観測員の何割か吐いたりしていたりなんだかもうしっちゃかめっちゃかなんだけど!? とりあえず、ある程度制圧が済んだらストップだ! 観測のためにこの阿鼻叫喚を一応は見続けないといけないんだからさあ!』
『史記でもいわゆるおホモだちの話はあるし、美少年を侍らせる話はあるが・・・さすがに私でもきついな・・・』
やっぱり現代と昔ではここら辺の倫理観は違いますねえ。秀吉太閤殿下なんて男を抱かないことを部下に心配されたりしていたというのに。何でしたら立花宗重とか誾千代ともそれ以外とも子がいないことでソッチ専門といわれていたりもしたのですが。
『いやー最初から飛ばしているねえ。あ、このプレイ面白そう。で、華奈。この後はどうするの?』
「そうですねえ。船倉にいいものがあったのでそれを利用しつつ情報収集。で、船乗りの中で有名な英霊の方々と協力を取り付けたり生前の方と話をしてみるように動こうかと」
「ふむ。姉上の持っている歴史本で予習はしましたが・・・軍関係ならネルソンやペリー、ドレイク。冒険者や海賊そこら辺ならマゼランやコロンブス、バーソロミューあたりでしょうか。ネルソンあたりだと助かりますが」
アルトリア様もここに来る前に予習をしてきているので問題なし。ただ、コロンブスとかそこら辺には会いたくないです。いろいろ功罪大きすぎるのと私たちを商品扱いするかもですしねえ。割と諦めずに。後聖杯を奪いに来るでしょうから。
「ですね。英国の英霊ならアルトリア様の名前も活きますし、カルデアの名前も役立つかもですから」
「そのためには・・・ん。島が見えてきた。もうすぐ到着するから用意を。後、先客たちがわりといて暴れそうだからマスターの部隊も戦闘準備を」
「ふう。このくそみそな様子も見ものじゃったが、どれ。略奪の時間じゃのお」
「できれば戦いたくないですよ今は・・・あちらが負けた後がどうなるかなんというか明確に見えてしまいましたし」
いつの間にやら上空で見張りをしていたストームの報告で上陸できる島を見つけたことやまたひと騒ぎありそうとのことなので戦闘準備に戻る銀嶺隊と信長様、沖田様。敵がどう動くかわからないのでレギアたちを前もって上空に飛ばして上空からの支援攻撃をできるようにして準備よし。
さてさて。現地調達のお時間です。話せれば商売と交渉を。出来なければ以下略。
「へ、へい・・・案内しやす・・・姉御の・・・フランシス・ドレイクの根城に」
「当たりですね」
「いやーこれは幸先がいい。それと、海賊たちは力量を読むことは苦手なのでしょうか?」
『あ、姐さんたちが魅力的過ぎるんじゃないかなあ・・・あと、良馬と冬利がダウンしちゃったから、私がサポートするね?』
この後いわゆる海賊島に上陸した私たちは前もって手にしていた情報と航海日誌やメモ。索敵でそこら辺の海賊たちをぶっ飛ばして物資を強奪。ここらへんは昔取った杵柄なので楽々でしたし、その際に武具や食料、水などを多く手にできたので最初にこちらを襲ってきた海賊たちに船賃として渡しておく。
そんなこんなしつつ船の補修資材や金品、海賊や商船問わず求めそうなものを用意していたらまた眼帯と赤いバンダナが特徴的ななかなか面白そうな海賊が部下を引き連れてきたので彼以外を気絶させてお話したところ出てきた名前がまさかのフランシス・ドレイクという大当たり。
「ありがとうございますサキ様。しかしまあ、彼に出会えるのは幸先がいい。商人、冒険家、軍人、海賊どの方向から見ても最高レベルの人材です」
当時一流国であり海軍国として名を馳せていたスペインの艦隊を破り、世界一周を果たし、更には海賊としての資産も当時のイギリスの国庫の数倍の資金を持っていたりとで兎にも角にも破天荒かつとんでもないことで有名な人物。
騎士としての経験もあるのである程度は話や利害関係も通るでしょうし助かります。
「後は、どうなるか。ぶつかるのなら容赦なく。それ以外ならこちらも持っている商品で取りき引きが出来ますから」
「一応、私たちも確保した船がありますが長距離後悔ともなればやはりプロが欲しいですからね。沖田さんも流石に経験がないですし、ノブも海戦経験はあるけど」
「そうじゃのーそれに大海原の潮の引きの強さを知らんしな。華奈先輩のワイバーンやストーム先輩、アルトリア先輩の武装で空はどうにかなるとはいえおんぶや抱っこの状態で戦うのはのー」
沖田様や信長様が話しているように私達だけでもやりようはありますがやはりプロがいるほうがいい。それにレギアたちはブレスで対応できますがストームは重量の関係で誰かを背負いながらの飛行は長くできず、アルトリア様も武装がつかえないのがデメリット。そうなるとやっぱり船という足と暴れられる土台が欲しいというもの。
「なんだか物騒な会話をしている気がするが・・・そら、つきやしたよ。姉御―!」
ある程度移動して森の中を歩いていましたが出口に出た後に海賊が叫ぶ。同時にかすかに感じていた酒の香りと肉の匂い。そして人の匂い。ここに海賊、少なくとも何らかの集団がいるのは確か。強い気配もしますし、これは当たりですかねえ。
「客です! なんでも姉御と話をしたいとか!」
「なんだい・・・気持ちよく酒かっ喰らっているってのに。海賊かい?」
「いえ! 何というか・・・商人と武芸者といえばいいんでしょうかねえ?」
「商人? 武芸者?」
「足を必要としていてそのための取引をしたいとか!!」
海賊の頭領らしき人が応えていますが、声と匂いが・・・女。まあ、私は何度か英霊の集まりで出会っていますが皆さん訝しんでいますよ。
「ふぅん・・・ま、いい時間つぶしだし、気にはなるねえ・・・通しな!」
「よし。お嬢さんら。大丈夫そうだ。通って下せえ」
許可が下りたのでアジトを通り、迎えてくれた人にはさすがに皆さん驚いていました。
「あんたらが客かい? このろくでなしどもに何を売りつけに来たんだ? 異国の品? 武器弾薬? 保存食? 水かい?」
顔に傷を走らているがそれでもわかるほどの美貌。快活で豪快な雰囲気を持つ女性で豪快に胸元を開けた海賊服に包んだ肢体は女性として羨ましいほどの豊満かつくびれのあるライン。
「あ、貴女がフランシス・ドレイクですか?」
「? それ以外のだれに見えるってんだこんないい女捕まえてさ」
「もう酒が回っているようですね姉御」
「あっははは! ボンベは後で樽詰めて大砲な!」
星を切り開いて人類の大きなターニングポイントを作り上げた偉大な星の開拓者。フランシス・ドレイクその人だった。
「お初目にかかります。フランシス・ドレイク様。私達はカルデアという場所から来たものです。とりあえず、目的は今起きている異常事態の解決のための足としてあなた方を頼りに来ました。報酬としては船の補修のための木材、備品各種、食料品、武器、火薬。医薬品、財宝を用意しました」
「話が早いし、羽振りのいい依頼者は嫌いじゃない。が・・・そうだねえ・・・あんた、私から一つ聞いていいかい? 銀髪銀鎧の姉ちゃんよ」
面倒くさく理屈を並べるよりも手早く用件を伝えようとしたら私を指さしてきましたドレイク様。同時に眼光を鋭くしていますがはてさて?
「ええ。どうぞ私に応えられる範囲であれば」
「その狼が彫り込まれた鎧に、4本の変わった剣。そしてその美貌・・・まさかとは思うが、あんた・・・銀狼騎士カナ・フナサカか?」
「ふむ・・・ええ。それについてはその通りと答えましょう。しかし、私の事をすぐに受け入れるとは。やはりドレイク様もここの異常さに気づいているのですね?」
「やっぱりね・・・あの国の連中の腕自慢や騎士連中ならだれでも知っている英雄だよあんた。そうだねえ・・・とりあえず、かの英雄様と出会えたんだ。少し酌でも付き合いな。その間に色々教えてやるよ」
どこからともなくラム酒と肉の山を持ってくるドレイク様。どうにもあちらもこの異常事態を知っている人間と少し話したかったようで。それと、まさか私の名前が生きるとは思いませんでした。日ノ本の英霊に未来の英霊、そしてアルトリア様は武装ではわからず、で私の場合は鎧は珍しいでしょうけどもすぐ見抜かれるとは思いませんでしたから。
とりあえず、軽い情報収集も兼ねたちょっとした酒盛りを開始。少しだけ飲んでみましたが、久しぶりのラム酒もいいものですね。
「なるほど。つまり、聖杯の確保と、同時にポセイドンを蹴散らしたと・・・さすが、英傑ですね」
「なんてことないさね。気に入らないから吹っ飛ばしただけさ」
話を聞いてみてみればまさかのポセイドンがこの特異点に出現したのにもかかわらずドレイク様はそれを気に入らないからとぶっ飛ばして退散させたあげくに聖杯を奪取。その際にこの異常さに気づき、下手に動いても意味がないということで船を海賊島に停泊させて聖杯で出した食品の数々で酒盛りをしていたそうな。
さすがに神殺しをしたり地球を覆う兵器を壊したり皇帝都市をぶっ潰したりしたストーム1もこの無鉄砲さと型破り具合には驚いており、ほかのメンバーも唖然としていますよ。
ちなみにそれを聞いたうちの部隊はドレイク様の海賊たちと仲良くなり一緒に酒盛り、一部はレスリング♂を始めていました。
「で、どうなんじゃ? 一応、木材やら海賊が欲しいもの、船乗りならば必要なものも多いとは思うのじゃが」
「ああ、それに天文に関わる連中に加えてかの英雄の軍を乗せてこの変な海を解決するんだろう? 最高にわくわくする話だし、報酬も悪くねえ、そして更なるお宝も狙えるかもと来たもんだ!! 乗らない話はないねえ!」
「では、やってくれますか」
「もちろんだ! こんな楽しい商売話はない。いいかお前ら! 今からこの連中は私らの船の大事な客だ! あほな子とした奴はその場で撃ち殺すか海に捨てると思いな!! このイカれた海を攻略する頼もしい戦力であり羽振りのいい雇い主と一緒にまた海に出るぞ! いいね!?」
「「「「「もちろんですぜ姉御ぉ!!!」」」」」
「なら、船を再度点検してから出港準備! たらふく飲み食いしたんだ、さっさと働きなあ!」
ドレイク様の号令でてきぱきと働いていく部下の皆さん。切り替えの早さもそうですがその仕事の丁寧さは私たち軍関係から見てみごとの一言。
これは大当たり。本当に幸先のいいスタートを切れたと嬉しい限りです。
「では、前払いとして船の関連の備品や木材を渡しておきましょう。此方はこちらで医療の心得や狙撃手としてのメンバーがいます。戦力と後方支援として動きますがよろしいですね?」
「いいのかい? あんたらは客だよ?」
「客だからこそ大事な航海の準備は怠るべきではないですからね。それに、用意の大切さは分かっているつもりです。一応、騎士ですよ? 私」
「あっははは! 出資者なんてけち臭かったりうるさい連中ばかりだがこれはいいね! 人手が増える分だけ船の修繕やメンテナンスにも時間をかけられるってもんだ。よっしゃ。積み荷の運搬と、同業者からの襲撃を警戒してくれ。その後に船を出す」
その後はてきぱきとみんなで分担作業をしたうえで船の準備を整え、一部のうちの部隊はまたカルデアに戻ってもらって少数で出発。
道中、幽霊船だか海賊船が襲って来ましたがストームのサンダーボウであっさり撃退。海賊からも姐さんといわれて面倒くさそうにしているストームが新鮮で思わずクスリと来ちゃいました。
大航海時代。調べると軍も民間も海賊も大概な世界。気軽に調べるとえぐい話多めなので注意ですねこれ。
海の男は女だけじゃなくて男にも羊さんにも飢えているんだよね。しょうがないね。
史実でぶっ飛んでいるドレイク船長。イギリスを一級の国に押し上げた一人ですし本当に怪物としか言えません。
それでは皆様また次回まで、さようなら。さようなら。