転生愉悦部の徒然日記   作:零課

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進んだ時間、変わった国。そして漸く出てくるあのお方。


ロット王「何が始まるんです?」華奈「大惨事大戦だ」

∞月8日

 

 数年の努力が実り、漸く養蜂事業が安定して供給出来るレベルに乗り出し始めました。毎日。合う花を探し、天敵への対策諸々・・・・苦節8年。遠心分離機や小屋のノウハウをようやく確立して日が浅いので、今はまだ私達生産者や豪商、上流階級のみの高級品ですが、広がれば民草全ての方にも美味しい蜂蜜が・・・・! これは頑張らなければいけません。

 

 銀嶺の皆様もこの数年ですっかり半農半兵士の部隊に心身仕上がってしまい、寂れた村を見つければ立て直し、悪さする輩は蛮族だろうが貴族だろうが地の果てまで、行く前に捕まえて張り倒す。私達騎士団に魔獣の狼に猪、黒王号張りに大きい馬に追われたらそりゃあ恐ろしいでしょうね。

 

 普段はのんびり純朴、いざとなれば鬼神の部隊として色んな練度を上げています。騎士団の中にけが人、家族の中に病人が入れば直ぐに薬草や蜂蜜、多めに作った料理を回すようにしていることから多くの方が入団したがるのですが・・・どうにも訓練や日常化している魔獣、蛮族との殺し合いについて行けないのか、死んでしまう、心が折れる人が多い。

 

 ただ、それでは勿体無いので、アンナ様、ダンカンからみて裏方で働けそうな、交渉や商才、隠密などの一芸を持つ、若しくは磨けそうな人材をジャック将軍に回しています。何となくですが前世も含めて多くの人材を見てきたせいか、それなりには分かるので受け皿になっているジャック将軍も人材の卵の増員は助かっているみたいです。ようやく後進の育成ができてきましたし、国の土壌も潤っている。軍事は少し余裕がある。後はリソースを上手く利用できるようになればこの国はもっと良くなる。少なくとも、ガウェイン様達が大人になる頃に、いい状態で渡せれば幸せです。

 

 

 

 

=月ー日

 

 養蜂技術の安定から数年。技術が高まり、安定した供給から値下げにも成功して久しいここ最近、ウーサー王の後継者を名乗る新勢力が出始めたらしく、しばしば噂に上がりました。名はアーサー。選定の剣を抜いた選ばれし王だとか、若い少年だとか。

 

 いよいよアーサー王、アルトリア様が動き始めましたか。

 

 もう少し情報を仕入れたところ、目的はブリテンの復興。この目的を聞いた時は正気かと思わず心の中で思いました。衰退する国というのは時流のタイミングが悪かったり、上手く立ち回ってもそれ以上の勢力に滅ぼされたり、奸臣や逆臣の謀反と様々です。

 

 しかし、ウーサー王は自身の病だけならまだしもイグレーヌ様への不義の件やモルガン様とロット王の婚姻の件も完全にこなせていない準備のなさ。しかも崩壊直前には忠臣なぞいなく、金と女を求めたケダモノばかり。それも謎の騎士の助力で鏖殺。再興するということはこれらの負債も背負うということ。いっそ新たな旗を掲げたほうが余程楽というものを・・・・

 

 この話をフォウ様の前で話したら牙を見せて毛を逆立てたので、ああ、やっぱりマーリンが動いてもいるんだなあと。何時此方へ矛が向くか向くか分かりませんが、対策はしておきましょうか。取り敢えず現場に張り付く騎士の皆様と打ち合わせをば

 

 因みに既に此方の偵察のためか送られる使い魔の頻度も増えてきており、見つけ次第私達が潰しますが、何故千里眼持ちの彼が使い魔を送るのかと長年疑問に思っていたところ、モルガン様やイグレーヌ様が千里眼をシャットアウトしていたとか。

 このせいでオークニーの情報が入らないから仕方なく使い魔をということらしいです。

 

 これは有り難いです。もし本気で戦うなら、情報の有無は大きいですから。

 

 

 

 

G月I日

 

 改めて部隊の人数を再確認することに。何せ蛮族だけではなくアルトリア様の勢力ともぶつかるかもしれないのですから、どれ位の戦力を用意できるか知るべきでしょう。

 

 というわけで確認開始。

 

 まず部隊長の私に副官がヤマジ、ダンカン、アンナの3名。 人間の部隊は300名 動物は馬の栗毛 魔狼はハチ達の大家族が・・・170頭 黒介ら魔猪は40頭

 

 合わせて頭数は515

 

 中々の人数。コレを細分化して暴れるのが良いでしょうが、せっかくの魔獣が多いこの部隊。少し違う暴れ方もいいでしょう。

 

 皆様も危機感、または戦の気配を感じているのか訓練も熱の入り方が凄まじいものでした。一体どうなるのか・・・

 

軍議を開いてアルトリア様を仮想敵としての軍議を開いてもいいかもしれません。ま、私は端でたまに意見を出すだけですが。

 

 

 

 

??月( ̄ー ̄)日

 

 今日は私、ジャック将軍、モルガン様、イグレーヌ様、ロット王、国防の要害を担う将軍数名。そして財務と食料関係の大臣を呼び極秘会議を開始。お題目は当然アルトリア様に関するものだ。

 

 仮想的ではあるものの、現在最も活発な上に、此方を狙う理由もあるので即座に招集。取り敢えず今までの行動を洗い出して精査。目的を見ることにしました。

 

 まずは目的はブリテンの復興にこの島、周辺のものも含めて全ての統一。そして、今はそのために行動中。中々の勢いのようです。

 

 そしてその軍の動きは自身の足場固めに弱い諸侯を優先して狙っているが、今ひとつ気になる点がある。少しばかり遠出をしたり、嫌にルートが変な時があるのだ。その理由についてはイグレーヌ様が感づき、憶測ですがと付け足して「私やウーサーの親族の逃げた先や旧ブリテンの旧臣達のいるところではないか」とのこと。その理由としては自身の後継者としての正当性に揺らぎが生じる可能性を摘むためであり、恐らく変なルートはそのために動いたものではないかとのこと。

 

 確かに国の末期には逃げ出す家臣も多かったみたいですが・・・何故お二人に手を下さなかったのかという疑問も出てくる。今、お二人がアルトリア様はペンドラゴンの後継者ではないと言えば生じる揺らぎは少なくない上に、戦おうにも私はマーリンには敵わない。後継者の立場を確実にするためならあの夜に加勢してしまえば一息だった筈なのに・・・

 

 これについてもイグレーヌ様は自分の体の衰弱具合に上手く家臣をけしかければ魔術も不十分なモルガン様は少しの抵抗は出来るとも、長くは続かずに終わることや、そもそもイグレーヌ様を連れているから取れる手段も少ないだろうと見越してのことではないかと推測を出してくれた。

 

 目の前でイグレーヌ様を庇い拘束されていたモルガン様を見ているだけにこれは嫌というほど分かり、もしあのままならマーリンの思う通りに二人は最悪の結末を迎えて、イグレーヌ様は犯された負担と病で死んで、モルガン様も生きていたとしてもきっと今のアルトリア様の行動を良しとせずに活動していたかもしれません。

 

 そしてマーリンのこと。魔女や悪魔憑き、洗脳されていると嘯き遠慮なく倒しにかかるでしょう。赤子を改造して王としての教育しかせずにその肉親は放置どころかケダモノをけしかけるような人物だ。そもそもが信用も信頼もできない。

 

 つまりは、私の乱入がマーリンの計画を狂わせ、人種や縮地などのこの時代、この島にないような存在に技が彼の手を鈍らせた。ということなのでしょうか。

 

 嬉しいですがそれはそれ。この推測が間違いないなら此方にも矛が向くのは確実で、今の軍の動きを推算して、アクシデントや休息を考えても近いうちには来るだろうとのこと。

 

 はっきり言って戦えば勝てるか? 言われたら3:7で此方が負けるでしょう。此方の強みは食料などの物資に育ってきた後進達の若い方々ですが、なにせあちらは国の復興を掲げた錦の旗に集った者達。基本国防に重きをおいていた此方とは違い魔獣に蛮族だけではなく、国を攻めるという多くの荒波に練磨されてきた経験。数は見る限り此方が多いですが、質ですぐに返されるだけ。

 

 将の質も段違い。前世の部員としての記憶を手繰っても私の知る世界ではこの島の惨状を10年も耐え抜いた常勝不敗の騎士王アルトリア様。その騎士王の師であり世界最高峰の魔術師のマーリン。アルトリア様を超える武技の持ち主であり、軍略にも明るいランスロット卿。この三名が入るだけでまず此方の対抗できるかと言われれば難しい。

 

 となれば狙うは兵の疲労、士気をついたものになる。どんなに素晴らしい将でも一度折れた士気を回復させるには少しの時間、若しくはその場を熱狂させる檄が必要だろう。その全てが将に魅入っている間に此方が一手を打てれば軍を見出せる可能性は出てくるはず。コレを引き出すには諸侯での戦が長引き、疲労した時に迎撃して上手く情報を流布させることが必須。これは諸侯の粘りを期待しつつ私達の防御網の構築になるでしょう。地形の細かい把握を銀嶺の動物たちに依頼せねば。手当にソーセージを追加で満足してくれますかね?

 

 取り敢えず銀嶺は何時も通りに奇襲、機動力、魔獣の部隊を活かした戦場の鳥となり目となり暴れること。ジャック将軍は私達が暴れられる下地の準備と最前線での盾になること。私達を第一の部隊にすることがこの場の皆様の最善策になりました。他の将軍たちは要害を固めつつ、可能な限りジャック将軍に兵を回すように王から命令。将軍たちは私にも兵を回そうかと提案してくれましたが、断ることに。

 

 申し訳ないのは本当ですが、私達の戦法は正直騎士道の欠片もないものですし、機動力、魔獣と足並みを合わせての戦い方のせいでとにかく忙しない。お陰で私達の部隊の皆んなの騎乗技術が上がる上がる。下手な騎馬民族よりも動きのキレが良いのではと思うほどに。・・・・・・話がそれました。とにかく機動重視の戦法故に恐らく急ごしらえの増援は寧ろ枷になるので辞退。

 

 毎日蛮族や幻想種、魔獣、たまに来るオーガや巨人族の騒ぎに即座に駆けつけるために鍛えられた機動力。現場で鍬振るいながら過ごした故の力ですね。

 

 最後にアルトリア様の来るタイミングは如何なるものか。ここを大きいものと捉えているか。また、兵の士気の回復と国費の消耗のおおよその推察も大臣や諜報部に依頼して解散。

 

 さて・・・此方も練兵に戦への前準備と罠の案を纏めるために銀嶺でも会議を始めましょう。アルトリア様の軍だろうと、ここを荒らし、モルガン様達を亡き者にすると言うなら、その考えを砕き散るまで暴れなければいけない。それこそ完膚なきまでに。

 

 

 

(´・ω・`)月(´Д`)ハァ…日

 

 いよいよアルトリア様の動きが激しく、その勢いは破竹の勢い、電光石火の早業と言えましょう。

兵士も王宮もアルトリア様の軍の話題でもちきり状態。貴族たちは度々私達に付近に軍は来ていないかと情報を催促することも多く、少々国全体が騒々しい状態です。

 

 それも仕方がなく、私達の調べた情報や最近この国のパイプで蜂蜜を仕入れている商人様の情報を精査した結果、近隣付近で次の標的は私達の可能性が大きいと推測された。そして、誰の口から漏れたか同じ結論に行き着いたか、こうして様々な噂が噂を呼び、誰もが心配になっている。といったところ。

 

 また、軍の情報も士気も最高潮であることに兵糧の量を見ても此方を完全に攻め落とす腹づもりでしょう。相手からしてみれば食文化が花開き始めた豊かな農業国。しかもアルトリア様の縁者もいるとなればマーリンも是が非でも攻め落としてここらで地盤を固めたいのでしょう。モルガン様、イグレーヌ様がいなくてもここは今となってはブリテン有数の食料生産地ですし。

 

 幕末も江戸のお偉いさんは黒船やら海外の毛唐がどうだのと騒いでいましたし、失礼を承知で何でしょうか。妙に親近感も感じるのは。

 

 早速緊急招集。会議を開いて最終確認。侵入するであろう場所はどうにも平野・・・と言っても山に森、湿地などの入り組んだ複雑な地形。戦の玄人が好むような場所で、そこに布陣するだろうとのこと。一度そこで拠点を作って侵攻をといったところでしょうか。

 

 ふむ・・・私達が動くにはもってこいですが・・・他の部隊の動きがどうなるか・・・視界が遮断されたりすることも考えられる以上、マーリンの千里眼が厄介この上ない。一応考えというかバクチみたいな策はありますが・・・・・うぅむ・・・

 

 と考えていると皆様の視線が私に向いており、どうしましたかと聞くと私の考えを教えてほしいとのこと。軍才がないのはジャック将軍もこの前話したモルガン様にロット王も知っているはずなのだが、それでもいいから話してほしいだとか、今はどんな意見もヒントになるかもしれないと言われてしまい、話すことに・・・本当に絵空事ですよ?

 

 

 

 

(´;ω;`)月ω日

 

 いよいよアルトリア様が此方の領地に足を踏み入れた。軍を率いていることからここも攻め落とすのだろう。

 

 戦う準備も出来てはいますが、その前に交渉の使者も出してみないかという話になり、私が使者に志願。理由としては使者を、女をむやみに斬り殺すのならアルトリア様の軍の風紀や気品が問われますし、今後にも響く。もう一つは仮にも500以上の(動物含む)部隊長を使者に出すのですからその話の真剣さも伝わるというもの。

 

 皆様難色を示しましたが、認めてくれたので早速使者としての準備を開始。警戒心を出させないために武器は一切持たずに侍女の格好に着替えて程よい馬を一頭お借りしてアルトリア様のところへ馬を飛ばしました。誰か共回りを着けたらという声もありましたが、余計に警戒するだけと念を押しておきました。

 

 出来れば戦うことがなければいいのですが・・・・・・

 

 

 

 

 そんな甘い考えはもろくも崩れてしまいました。

 

 使者として出向いて和睦、停戦への願いを出しましたがあちらは拒否。同盟なども上げましたが、統一を掲げる以上引く気は無いようで恭順、若しくは降伏しか受け入れないと強情です。

 その理由はロット王に嫁いだ姉のモルガン様が魔女でアルトリア様を憎み、殺すために王を傀儡にしているだとか、最近新たな宮廷魔術師とそれに仕える魔獣使いの剣士が不気味な術で国を栄えさせていて、その叛意、敵対の相手を潰す他ないと息巻いていました。

 

 

・・・・・・・・・・・・・? どういうことでしょうか? まるで意味がわかりません。

 

 

 モルガン様は自身の保身からの婚約とは言え、今では仲睦まじい夫婦ですし、魔術師として力を上げたのはイグレーヌ様。剣士は恐らく私で不気味な術とは肥溜めや農業政策のことでしょうか? 出来る限り宗教関係や魔術は使わないようにしましたが、こう広まっているとは・・・

 

 しかもマーリンが途中から出てきて私を件の剣士だと言いふらして周りの空気がより剣呑に。今にでも斬りかかりそうな周りの兵士にアルトリア様も表情が険しくなり。私を追い出す始末。交渉は受け付けずに。この国は魔女と魔獣が住む国であり、滅ぼさなければ此方の敵になると言って引かない。使者だから私は斬らないそうですが戦場では必ず倒してみせるとも。

 

 ・・・・・・・分かってはいましたが、こうも辛辣とは。気が重いです・・・・・

 

 仕方がないので結果を伝え、迎撃戦の準備を頼み、私も戦支度を。作戦は私のもので行くそうです。大博打ですが、決まったのは仕方なし。この戦いで大いに暴れて、アルトリア様ともう一度交渉の席に立ち、モルガン様やイグレーヌ様を会わせるために・・・頑張らなければ。

 

 

 




 今回は相当アルトリアが短絡的に、過激派に書いていますが、侵略される側だとアーサー王の手腕は恐怖でしかないと思うんですよね。アルトリアファンの皆様申し訳ありません。

そして、魔女や魔獣を使う剣士、肌の色も違う女が出たら悪魔や何かとも思うかと考え、もう一つは相手サイドから見た魔獣を扱うことの危険度もあってアルトリアはマーリンからの情報を差し引いても危険視しています。

 魔獣を従えて自分を憎むものがいて、戦力は日増しに増えていき、国力も馬鹿にできない。どちらも危険視している。そんな状況。

 今更ですがジャック将軍もオリジナルです。現場で常に自由に動ける以上ある程度は華奈を認めている理解者がいたほうがいいですよねと思い出しました。モデルと言うか立ち位置は「キングダム」の「壁将軍」。あの生真面目さとシッカリと仕事を頑張る優等生タイプ。主人公信のお兄さんみたいな存在。ああいうキャラは大好きです。

 この作品は決していい作品かと言われたらそうでもなく、内輪ネタも多いのも自覚しています。だけどこの作品を評価してくださる方に、感想をくれる方。お気に入り登録してくれる方。嬉しい限りです。

 このハーメルンという多くの作品が出ている中でこの作品を見つけ、見てくれたのは光栄です。ですが、万人向けではないのは百も承知。合わない方にはまた良き作品に出会えることを心から願います。

そして・・・UA 5,256件 しおり 13件 お気に入り 81人

この駄文を見てくれて、お気に入りにしてくれて、感謝します!!

また次回もお願いします。
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