入学から2ヶ月がたち、席替えが行われた。俺の席は左側の1番後ろ。窓側の席になった。このクラスは4階にあり窓からの眺めも素晴らしい。
しかし、この学校は進学校だ。毎週の英単語テストが憂鬱でこの素晴らしい眺めで感傷に浸っている俺を現実に引き戻す。一問5点、100点満点の簡単なテスト。
だが、俺のご機嫌が保たれない直接の原因はそれではなかった。原因となっているのは俺の前のこいつだ。こいつは猿というより原始人だ。
「こいつ」の名前は松村という。こいつには人間的欠点がありすぎる。人的資源としてなら不純物であり、全体の歯車を錆びさせるダメなやつだ。具体的な罵倒が枯渇するなんて初めてだ。
具体的な話をしよう。しかし、松村と連呼して罵倒するのは流石に気がひけるのでここに限り、松村のことを「彼」としよう。
まず1つ目、「彼」はカンニングをする。毎週の英単語テストに限定せず古典単語テスト、熟語テストなど多岐にわたるテスト全てカンニングしている。「彼」のカンニング方法は別に机の引き出しにカンニングペーパーを忍ばせてるわけでは無い。「彼」はほぼ衆人環視(先生からは席が遠いので見えない)のもと、丸つけの際に赤ペンではなく消しゴムとシャーペンを装備する。成績に関わるので、俺の器量は小さいかもしれないが気に入らない。以来、丸つけするときは彼の手元を見るようになった。そこで気づいたのだが。彼は罰がつくのが嫌らしい。「彼」は授業中に出された全ての問題を自分の解答を消して正解を写し丸をつけていた。後日、「彼」の成績を見たところクラス内順位が下から三番目だった。
そして2つ目、「彼」は自分のプリントを1番下に入れる。さらに、俺の解答である程度すり合わせしているのだ。これ自体はなにも気にすること無いように見えるが、毎日不信感を持っているやつにやられると無性に腹が立つ。
3つ目、「彼」は貧乏ゆすりしている。黒板を見ると彼の足が見える。落ち着かない。
4つ目、「彼」は理解した難しい問題で質問を請い、答えられないと解説しだす。
「この問題難しいんだけど、どうやるの〜???」
「あー、それ俺も分からなかった!」
「この問題はこうやるんだよ!」
「は?」
となるのがいつものこと。
最後の5つ目は、彼は重度のコミュ症であり授業を聞いていないので、黙って後ろを申し訳なさそうに振り向いて俺のノートを見てくる。申し訳ないと思ってるのか、できないということの否定か知らないが短時間で何度も振り向いてくる。目障りだ。
あぁ、不幸だ。