しっかりサタンも完成させますのでお許しください。
数百年前のことであった。
世界を絶望と恐怖に陥れた強大な力を持つ魔王がいた。
たった一人の魔王のために世界が滅ぼされそうになった時、偉大な武道家『無泰斗』により電子ジャーに封印され、世界には再び平和が戻った。
しかし、その平和も再び破られようとしていた。
3人の者達によって……。
底が見えない、まさに地獄まで続いているのではないかと見紛うほど深く、闇に包まれた崖のしたに3人の者たちがいた。
「ピラフ様見つけましたよ!」
戦闘型のロボットに乗り込んでいる、紫色の忍者服に身を包んでいる犬男が自分の主に報告をいれる。
「よくやったぞ、シュウ!これで世界は私のものだ。フハハハハハ」
この報告に気分をよくした、中華服を着込み、幼児と変わらない程の背丈をする、モンスターのような外見をする主のピラフは高笑いをする。
「やりましたねピラフ様。では飛行船に帰還いたしましょう」
となりにいる紅一点、戦闘服に身を包んだ女性マイがそろそろ帰還しましょうと提案する。
この主人は笑いだすとなかなか止まらないということを熟知していたからだ。
「そうだな。では帰還したらすぐにでも封印を解くぞ!!」
「はい、ピラフ様」
三人は崖を乗り込んでいるロボットで崖を登り飛行船に帰還していった。
ピラフ達3人の前には、御飯を炊く電子ジャーが置かれている。
ただし、この電子ジャーは普通のものではない。
かなりの厚みをもった重厚なもので、蓋には古くはなっているが『魔王封印』と書かれた札が貼られている。
その威圧感に少し気後れするピラフであったが、今まで邪魔され続けてきた、世界制服が目の前にまで迫っていると、自分を勇気付け、遂に電子ジャーの封印の札に手をかけ剥がした。
「よし、札は剥がした。では蓋を開くぞ…」
シュウとマイは何も言葉を発することはなく、固唾を飲んで主の行動を見守った。
「開くぞ、開くぞ、本当に開くぞ~」
「早く開いてください」
言うだけで行動に移さない主にシュウとマイが早く開けるように促す。
「う、うむ」
ピラフがその電子ジャーを開ける。
開かれた電子ジャーの中から白い煙が吹き出し、その煙に大きな影が写し出される。
辺りの煙が晴れると、そこには、体長二メートルを遥かに越えるであろうほどの体躯を持ち、大きく胸が開いた青いスーツを着込み、白いマントをはためかす男が立っていた。
「魔、魔王様が復活したぞ~。魔王様、私が貴方の封印を解いたものです」
ピラフは怯えながらも魔王に向かって発言する。
「おぉ、貴方が私の封印を解いてくれたのですかぁ、感謝感激ですぅ」
声はかなり渋く、普通に話せばかなりの威圧感があるはずである。
しかしこの魔王は、違った。体をくねらせながら、かなり違和感を持つしゃべり方をしたのだ。
「あ、あの、あなた様はピッコロ大魔王様ですよね?」
かなりの違和感を感じたピラフは尋ねる。
「私ですかぁ、私はダーブラと言いますぅ。確かに昔は魔王と呼ばれてました、恥ずかしい」
赤く上気した顔を両手で覆い恥ずかしがる本大魔王。
「おい、コイツ大丈夫なのか?」
「大魔王ではあるようですから」
「もう話を進めちゃいましょうピラフ様」
ピラフとマイとシュウが後ろを向いてヒソヒソと話し合いをする。
結論として、変な所には目を瞑り、早く願いを言おうということになった。
「あ、あの、魔王様。早く世界制服をしませんか」
「なんだと!!」
「!!!」
「世界制服だとーーー!!!」
飛行船の中に怒号が走り、それと同時にダーブラを中心として突風が巻き起こる。
「うわ~、飛ばされる~。なんなんだあ?」
物に掴まりながらパニックになる3人。
「はっ、ごめんなさあい。はしたない真似をしちゃって。でもいきなり世界制服なんて悪いことを言い出すから怒れちゃって」
あまりの変わりように茫然とする3人。
しかし、このままでは話は進まないので、意を決してピラフは質問をしてみる。
「えっ、魔王様は昔世界制服をしようとしたと昔話に語り継がれていますが」
「ええ、昔はそうでしたぁ。でもあの電子ジャーの中の暗闇で今までのことを考えていたら、悪いことをしてきたなぁって反省したんですぅ。だから封印が解かれたら、良いことをしよう。愛の大切さや平和の大切さを説こうと思ったんですぅ」
まさかの魔王らしからぬ発言に口を大きく広げて驚きのあまり立ち尽くす3人。
そんな3人には構わず、ダーブラは歩みよる、人から見れば恐ろしい笑顔で。
「愛と平和の大事さを知らんお前達にはこのダーブラ様がその身に大切さを教え込んでくれるわ!!」
「ギャーーー!!!」
3人の悲鳴が辺りに響き渡った。
ダーブラの説教はその後ネチネチと半日に渡って行われたという。
愛に、平和に目覚めた本暗黒魔界の魔王ダーブラ。
この一筋縄ではいかない世界を導いていけるのか。
次回は時がたってラディッツ襲来編に飛びます。
大好きなピッコロを消してしまったのはかなり悔やまれますが、完全体セルに迫る力を持つダーブラが捨てゴマというのは悲しかったので考えた物語です。
ゲームでも良いダーブラがブウを倒すという話もありましたが。