全ての修行がチートレベルのものです…
二人のサイヤ人が地球に来襲するまでに残り2日となっていた。
ダーブラ戦隊はまさに壮絶な修行に身を置いていた。
「行くぞ兄ちゃん!」
「来いカカロット!!」
轟音が大地を揺らし、拳と拳とが触れ合うだけで、衝撃波が吹き荒れ、大地に小惑星が落ちたかのようなクレーターが作り上げられていた。
悟空は16号に何度もお花畑を見せられ、サイヤ人のチート的な特性(死の縁から蘇ることで戦闘力が数倍にはねあがる)で大幅に戦闘力を上げていた。
それを見たラディッツはプライドをかなぐり捨て、悟空に何度も死の縁に追い込まれるような実践的な修行をしてくれるように頼み、実現した修行であった。
ラディッツと悟空の間には超えられない程の力の差がついていた。
しかし、この数週間でラディッツは、悟空が16号にされたように五度ほど死の縁に立たされたことで、悟空と同等程度の力を身につけ、今や互角に拳を交え、兄弟で切磋琢磨していた。
そこから約二キロほど離れた地点では、ダーブラと亀仙人、ヤムチャ、クリリンがドクターゲロ、そしてブルマの父ブリーフ博士立ち会いのもと、修行をしていた。
「いくわよぉ~みんなぁ~、準備はいいかしらぁ~」
遥か上空から間の抜けた声で確かめの質問をダーブラがしている。
その表情は、柔和で、とても修行をしているようには、思えないものである。
「こちらは大丈夫じゃ。ブリーフよそちらはどうじゃ?」
「こちらもOKだよー」
ゲロとブリーフは共に視線を交わし、頷きあった。
ゲロと16号を仲間にし、ダーブラはカプセルコーポレーションに帰還した後に、ゲロをブリーフ博士に会わせていた。
最初は、非人道的改な研究者であったゲロに、難色を示し、心を開かなかったブリーフ博士ではあったが、改心した様子を日々見ていくなかで、ゲロを認めていった。
お互いが世界でも屈指の研究者であったために、最終的に意気投合し、今や悟空たちとは違い、知識面でゲロとブリーフ博士は共に技術を高めあっていた。
二人の逸材がであったことで、世界の技術は飛躍的に進歩していた。
「わしらも準備は万端じゃ!」
亀仙人がヤムチャとクリリンに視線を送り、確認した後に答える。
亀仙人とヤムチャ、クリリンは、見慣れない大型の機械を背負っている。
それこそが、地球人の壁を遥かに超えるための、重要な一ピースであり、またゲロとブリーフが共に作り上げた、最高傑作であった。
「わかったわぁ~。いくわよぉ~」
ダーブラは皆の声を聞くと、腕を天高く突き上げ、エネルギー弾を作り上げる。
ただし、それは間の抜けた声とは正反対の緊迫したものである。
直径は約100メートルにも迫るもので、膨大なエネルギーの塊のために、辺りがかげろうがたつかのように、揺らめいている。
ダーブラにとってはほんの僅かの、微々たる『気』ではあるが、地球は愚か、太陽さえも破壊できるんじゃね?というほどの力の集約である。
「みんなぁ~、私の愛を受け止めてねぇ~。ふんだらあっっ!!」
ダーブラはエネルギー弾を降り下ろした。
ゆっくりと、ゆっくりとエネルギー弾は降りていく。
雲を散り散りにし、大気を揺るがしながら。
「皆、心を一つに受けてめるんじゃ!!」
「はい、老師様!!」
亀仙人の声を受け、ヤムチャ、クリリンも巨大なエネルギー弾に、赤いぼたんのようなものがついた手袋をはめた手を向ける。
三人の表情には一片の緩みも、恐怖さえもない。
目の前にとてつもないエネルギー弾が迫っていてもだ。
三人をエネルギー弾が押し潰そうとした正にその時だった。
巨大なエネルギー弾が少しずつ、少しずつ、萎み始める。
ゆっくりと、ゆっくりとだが、萎み、ついにはエネルギー弾は消滅した。
「気を緩めるな!ここからが本番じゃ!」
ゲロの叱咤の声が飛び、ブリーフが何かのぼたんを押すと同時に、亀仙人、ヤムチャ、クリリンの体に莫大なエネルギーが流れ込んだ。
三人は苦悶の表情を浮かべ、亀仙人、クリリンは膝をつき、ヤムチャは倒れ悶えなどしていたが、数分の後に、そのエネルギーは体に馴染み。
亀仙人、クリリン、ヤムチャはとてつもない飛躍を成し遂げた。
これはどういうことかというと、ゲロは以前から相手の『気』を吸収し、自分の戦闘力を上げる装置を発明していた。
ただ、それには一つ欠点があった。
体を機械化しなくてはならないという。
ゲロはそれを生身の人間に施すことはできなかった。
しかし、そこにブリーフとブルマという二人が揃い、外付けの機械に一端『気』を貯め、次にその『気』を人間に与え、力を上げるという装置を作り出したのである。
サイヤ人とは違い、地球人には限界があるために考案された戦闘力アップの方法である。
「みんなぁやったわね」
上空から降り立ったダーブラが皆に労いの言葉をかける。
「死んだ御飯が見えたわい」
「綺麗なお花畑を見ましたよ」
「死ぬかと思った…」
三人ともそうは言うが、成し遂げたという満足感が顔に現れていた。
「ゲロちゃんも、ブリーフちゃんもありがとね」
「いえ、わしもダーブラ戦隊の参謀という大役を任せられた身、その上そのような温かい御言葉、恐悦至極にございます」
「わしもこの研究は楽しめたからそれで満足だよ」
言葉に違いはあれど、研究者二人にもまた別の満足感が漂っていた。
「じゃあ、みんな集合よ!」
ダーブラ声を上げた瞬間、離れた所で修行していた悟空やラディッツも含め、皆が集まる。
「みんなはこの一ヶ月で力をつけたわぁ。でもね、明後日来るラディちゃんの友達は遥かに強いわ。無理せずに戦いましょ。それじゃあ明日は休息日にまわして、明後日の朝八時にまたここに集合よ!」
「おう(はい)!」
ダーブラ以外の面々は大幅な戦闘力を成し遂げた。
迫り来るサイヤ人の野望を阻み、改心させることはできるのか?