元魔王ダーブラが復活してから早くも数年経った。
地球の平和も脅かされることもなく、地球人は平和な世の中を謳歌していた。
しかし、この世界には平和という言葉などほぼないと言っても過言ではない。
そして、実際問題平和な日常が壊されることとなる。たった一人の宇宙からの来訪者により…。
宇宙からの来訪者戦闘民族サイヤ人の生き残りラディッツ。
わずかな生き残りのサイヤ人の内の一人であり、地球育ちのサイヤ人悟空の兄である。
そのラディッツが悟空を仲間に入れるべく地球にやって来たのだ。
しかしながら、悟空は残虐なサイヤ人の仲間になることに承諾せず、そのために悟飯を人質にとられることとなった。
話はその悟飯を取り返すべく、悟空、クリリン、亀仙人がラディッツと戦いを始めたところから始まる。
「コイツ強すぎる…まったく動きが見えない」
「ワシらとは次元が違うのう」
クリリンと亀仙人が苦痛の表情を浮かべて呟く。
「クッソー、悟飯を返せ!!」
悟空もクリリンと亀仙人と同様にボロボロになりながらもラディッツに大声で叫ぶ。
「最後の通告だ。地球人の死体を百人分用意してこい!!そうすれば勘弁してやる。まずはそこの二人を殺してもらうとするか」
「人を殺すですってぇ!」
ラディッツの言葉を文字通りの地獄耳で聞き取る者がいた。
「いけない。私が何とかしてみせるわ!」
聞いていた者はそう言うと、目的地まで数千キロある道のりを一瞬で移動した。
「物騒なことが聞こえたけれど何が起こってるの?」
悟空とラディッツの間に突如現れたダーブラは悟空に問いかける。
「どうする悟空」
突如現れた乱入者に戸惑いを見せるクリリン。
それも当然であろう。
巨体で、恐ろしい形相をした男が渋い声でお姉言葉を操っているのだ。
怪しく思わないほうがおかしい。
しかし、悟空は純粋であり、ダーブラの気から悪いやつではないと判断を下し、説明をしだした。
自分の息子が人質に取られたこと、返して欲しければ、地球人の百人の死体を集めることを。
黙って聞いていたダーブラの顔が青ざめる。
「なんて恐ろしいことをいうの。恐れちゃダメよダーブラ。こんな悪人こそ私がまっとうの道に導いてあげなくちゃ」
そう言うとダーブラはラディッツに歩みよる。
「なんだこのでかいのは」
少しずつ内股で近寄ってくるダーブラに困惑を見せ後退りをするラディッツ。
しかしラディッツも戦闘民族の端くれだ。と気を入れ直しスカウターを起動させる。
ボンッという音と共に爆発するスカウター。
「ど、ど、ど、どういうことだ!戦闘力
が50万を超えただと…」
呆気にとられるラディッツの眼前にダーブラがたっている。
「私が愛と平和の大切さを教えてあげるわ」
そうビシッとダーブラは宣言すると、愛と平和はどうだこうだと懇切丁寧にまた熱心に説得しだした。
(恐れるな。俺は誇り高き戦闘民族サイヤ人なんだぞ!!)
そう覚悟を決めラディッツはダーブラに襲い掛かった。
豪雨のように降り続ける拳、止めどなく放たれる気功波や気弾、しかし、そんなことをつゆとも気にせずに愛と平和についてウットリとして話続けるダーブラ。
全くびくともせずに、傷すらついていない。
「このバケモンがー!!」
さらに攻撃を激化させるラディッツ。
その時だった。
「人の」
それまで動かなかったダーブラが左足を一歩前に出す。
「話を」
右手を付きだしラディッツの顔面を掴む。
「黙って」
そのままラディッツを持ち上げ
「聞いてよぉ」
降り下ろす。
とてつもない爆音と地響きが収まると、犬神家も真っ青の胸まで埋もれ足だけが天をむくオブジェが作られた。
「イヤァ、はしたないことしちょったわ」
ダーブラは自分の頭をコツンと叩きながらそう言うと。
「こんな状態だけど大丈夫よね。授業は寝ていても頭に入る人もいるし。あれどこまで話したか忘れちゃったわぁ。おバカさんね。キャッ。また最初から話してあげなくちゃ」
そう自分に言い聞かせるように呟くとラディッツを地面から引っこ抜き、目を回した状態のラディッツの耳元でこんこんと愛と平和について囁き始めた。
そんなことが約10時間続き悟空達が眠り深い眠りに落ちそうになった時に終わった。
「アイトヘイワハダイジデス」
目の焦点は定まらず、死んだ魚の目のように色が失せた瞳をしたラディッツが戦闘民族とは思えない言葉を発していた。
となりでダーブラが嬉しそうにウンウンと頷いている。
ダーブラがなんと戦闘民族サイヤ人のラディッツを洗の…ごほん、説得して改心させた。