ダーブラの前に、ラディッツ、悟空、クリリン、亀仙人が整列している。
「おい悟空なんで俺たちがこんなことを」
「クリちゃん私語は慎みなさあい!!」
かなり疲れた顔でどうしてこうなったと辟易した感じで悟空に愚痴を溢すクリリンに、ダーブラからの叱責が飛ぶ。
「へいへい」
「クリリン貴様ダーブラ様に対してその無礼許さんぞ!」
クリリンの態度に憤怒するラディッツ。
ラディッツは既にダーブラ信者になっていた。
「いいのよぉラディちゃん。隊長としての私に威厳がないからクリちゃんにもバカにされちゃうのぉ」
ダーブラはそういうとヨヨヨと泣き始める。
「ダーブラ様…。クッ今回だけはダーブラ様に免じて許してやる」
「いいわぁラディちゃん。許すのもまた愛のなせるわざよぉ」
泣き止んだダーブラはラディッツを讃える。
「ダーブラ様」
「ラディちゃん」
二人で抱き合い大声で泣き始めた。
(もう嫌だ)
(おもしれえ)
(早く帰ってえっ〇な本読みたいのお)
二人の茶番のような姿を前にクリリンは疲れた顔で、悟空は楽しそうに、亀仙人はボケッと心の中で呟いていた。
「仕切り直しよぉ。ダーブラ戦隊。整列。番号!!」
ダーブラが番号を問う。
「一」
キレのある声でラディッツが続く。
「えっオラか。二」
戸惑いながらも悟空もそれにならう。
「えー俺もやるのかよ」
文句を垂れ流し番号を言わないクリリン。
その時であった。
「上官の言うことを聞けない悪い子は鉄拳制裁よぉ。歯ぁ食い縛れや!どぅおりゃあぁ!!!」
クリリンの顔面にダーブラの鉄拳が食い込む。
そしてぶっ飛んだ。雲を切り裂きながら。
そして数秒後飛んでいった反対側からクリリンが戻ってきてバウンドした。
「あらぁ少し力入っちゃったわぁ、テヘッ」
舌を出して頭を軽く叩くダーブラ。まさに地獄絵図だ。まあいい、反省するダーブラを他所に悟空と亀仙人はクリリンに駆け寄る。
「ダーブラ、てえへんだ、クリリンがピクピクして死にかけてんぞ!」
「大丈夫かクリリン」
悟空はダーブラにクリリンの状態について述べる。
亀仙人は心配そうにクリリンの頬をペチペチと叩いている。
「んもうしょうがないわねぇ。悟空ちゃんクリちゃんに仙豆あげちゃってぇ」
ダーブラが悟空に指示を出す。
「ああ分かった。食えクリリン」
亀仙人が口をおもいっきり開き、悟空が仙豆を押し込む。
ゴクッと呑み込む音がするとクリリンが何もなかったように起き上がった。
「はあ、なんか果てしなく長い道ととんでもなくデカイ鬼のようなおっさんが見えたぞ」
今死にかけて見た光景を述べるクリリン。
「んもう、弱いわねぇ。やっぱり強くなんなくちゃいけないわねぇ」
こうなったのには理由がある。
それはラディッツが改心し、少し経った後のことである。
◇◆◇◆◇◆
「ラディッツなにがあった返事をしろ」
ラディッツが乗ってきて悟飯を閉じ込めていたポッドから通信が入る。
「ア、アレハ。ベジータトナッパカ」
ラディッツはポッドに向かい通信をし始めた。
「コチララディッツダ」
「おお、ラディッツか。少ししゃべり方は変だが町がいねえな。もうカカロットとかいう奴を見つけて地球を制服したか」
通信先から入る問いかけに対してラディッツは憤怒の表情で怒気を撒き散らしながら怒鳴り散らす。
「チキュウヲセイフクダト。バカヲイウナ。ソンナヒドイコトデキルカ!」
「おい、ラディッツてめえそれは俺に対していってんのか。弱虫ラディッツが言うようになったじゃねえか。クイッで絞めんぞ!!」
通信先の会話相手怒りで我を忘れたように怒鳴り返してきた。
「アアソウダ、モンクガアルナラココマデコイ、クソヤロウガ!」
ラディッツも応戦する。
「てめえ、一年後を楽しみにしてやがれ!」
それだけ通信から声がすると通信は切れた。
ということで一年後にサイヤ人が地球に来襲することが決まってしまったのだ。
地球にとっては災難であるが、ダーブラはラディッツの進化を喜び、また悪人を改心させられると喜び勇んでいた。
◆◇◆◇◆◇
「いい皆ぁ。悪人を改心させるためにはかなりの戦闘力が必要なのよぉ。悪の心が強ければ強いほどにねぇ。そうするとぉ、あなたたちは弱すぎるわぁ。多分戦闘力1キリもないんじゃないかしらぁ」
「1キリ?」
聞いたことがない言葉に皆は疑問符を浮かべ、代表して悟空がダーブラに尋ねる。
「1キリは戦闘力の単位よぉ。まあラディちゃんの仲間が来るまでに最低でも10キリ位の力は欲しいわねぇ、本当だったら1000と言いたいぐらいだけどぉ」
そうダーブラが言うと、マントを投げ捨て
「かかってこいや!!実践で強くなるぞおおぉ!!」
いつものおねぇ言葉は消えドスの効いた声で修行始まりの号砲を鳴らした。
悟空、ラディッツ、クリリン、亀仙人に地獄のような修行の日々が始まる。
注:因みに1キリは戦闘力5万にあたるらしいです。