綺麗になった魔王様   作:寅好き

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愛と正義の公務員

「イーヤーダー!オレは女の子が好きなんだー!!」

飛空挺の轟音より大きな心の叫びが広い天空にこだまする。

 それはピラフの飛空挺の内部での話。

「この子やるわ…あの子以来の強敵ね……」

「まさかダーブラ様が…」

「よく分かるぞ。ヤムチャよ」

鎖で縛られたヤムチャの隣で、ヤムチャを改心させるべく、道徳を説いていたダーブラは息を切らせ激しく肩を上下させながら、呟き、ラディッツはそのダーブラが苦戦している様を驚愕の眼差しで見つめ、亀仙人は感動していた。

 ヤムチャはその鋼のような(女好きの)精神で、ダーブラの拷問のような説得を耐えきったのだ。

「いや、オレが女の子が好きなだけで改心と戦隊入りを拒否している訳じゃないんだ」

ヤムチャは一転真剣な表情に変わり話し出す。

「オレはアルバイトだが野球選手だ。もしアルバイトを辞めてしまったら無一文になっちまう。だから戦隊入りを拒否しているんだ」

そう、ヤムチャが言うことは大きな問題であった。

 ここに集う仲間達は、無職ばかりだった…

 悟空は義父の牛魔王の支援と、自然豊かなパオズ山のお陰で生活はなんとか成り立ってはいるが、無職。

 亀仙人、クリリンは多分海の恩恵で生活はしているがこれまた悟空と同様無職。

 ラディッツは以前は『宇宙の帝王フリーザ不動産』で悪どい地あげをしていたが、ダーブラのお陰で改心し退社し、無職に。

 ということで皆無職ではあるが、なんとか生活はしていた。

 しかし、ヤムチャは居候とはいえ、住んでいるのは都、働かなくては生きてはいけないのだ。

「なあんだ。そんなことだったの」

ダーブラはあっけらかんとした表情で言いきる。

「大丈夫よぉ。給料は出るわぁ。しかも皆公務員になるのよお!!せ·か·い·公務員に」

 皆の時が止まった。

 どこからどう見ても趣味で正義の味方兼おネエをしているダーブラから、給料や、あまつさえ公務員という言葉が出たのだ。驚かないほうがどうかしている。

「それは一体どういうことだ?」

「あれは約半年ほど前かしら―――

◇◆◇◆◇◆

 封印から解かれてからというもの、連日のように、ダーブラは人知れず犯罪を正し、悪人を愛の力と時々愛の鞭で公正させてきた。

 そして、その日も一般人には見えない程の速さで飛行し、見回りをしていた。

 麗らかな日を浴び、和やかな一時が流れる昼下がりの時であった。

 ダーブラの悪人センサーが反応したのだ。

「前方200キロメートル先から、悪人とその悪人に苦しめられている人の気を感じるわあ!急がなくっちゃ」

ダーブラはスピードをあげ、現場に向かう。

 ダーブラのスピードから巻き起こる衝撃波が、建物のガラスを粉々に砕いたり、車が吹き飛ばされ大破したり、女性のスカートが捲れようと、悪を見つけたダーブラにはそれしか目を向けれなくなっているので、事件が起こるたびに、事件以上の被害があったのだが、まあダーブラは知るよしもなかった。

「まあ!」

 ダーブラが現場上空で見たものは今まで見てきた犯罪よりも、格段に酷いものであった。

 大破し、黒い煙をあげるリムジン。

 脇にはアスファルトの地面にまるで生えているかのように鋭角に突き刺さった石柱。

 辺りには軍服を着て銃を持った兵士らしき男達が倒れている。

 残念ながら皆こめかみを何かで突かれ亡くなっている。

 その中心に、二人の男が。

 一人はものが良さそうなオーダーメイドの背広を着ている犬型の人間が。

 そしてその犬を威圧するかのように立つ男は、みつあみの髪、チャイナ服のような服、その服には『KILL YOU』と物騒なことが書かれている。

そして際立つのは体の半分が機械であるということだ。

 二人を見た瞬間ダーブラはどちらが悪人かすぐに分かった。(まあ一目見れば誰でも分かるが)

「ワンちゃんがいじめられてるわぁ。助けなくっちゃあ」

魔王様は少しずれてはいるが、正義感は本物だった。

「やめなさあい。ワンちゃんをいじめらるのは」

二人を分断するかのように中間に降り立つダーブラ。

「空から人が……」

「それは鶴仙流舞空術か!なぜ使える!」

二人は理由は違うが、驚きは同じだった。

「意味分からないことはどうでもいいわぁ。あなたなんでこのワンちゃんをいじめるのよぉ?」

「意味が分からない!まあいい。私は世界一の殺し屋桃白白。この男の命をある者から一億ゼニーで殺してくれと依頼された仕事でな。邪魔をするならお前も死んでもらうぞ」

「こ、こ、殺し屋ですってええぇぇぇええ!!」

ダーブラの怒号が響き渡る。

と同時に大気が、地面が、建物が鳴動する。

 ダーブラの体を中心の空気が陽炎のように揺らめき、衝撃波が巻き起こる。

「なんて、なんて酷いことを。人の命をお金で……人の命をなんだと思っているんだあああぁぁぁ!!いくわよおおぉ愛の鉄拳!」

大木のように鍛え上げられた豪腕がタオパイパイの眼前で止まる。

 しかし、拳の衝撃波が桁外れであり、タオパイパイは吹き飛び、建物を何棟も突き破っていった。

「君はいったい!!」

「私は愛と正義のダーブラよぉ。大丈夫ワンちゃん?」

「ああ大丈夫だ。だが私を守ろうとして皆は……」

「もうちょっと早くついていたらよかったのにぃ。でもあなたは救えてよかったわぁ。じゃあね」

「待ってくれ」

というやり取りの後、ダーブラはワンちゃん、もとい国王に命の恩人としてキングキャッスルに歓迎され、その強さ、正義感に感動した国王に、特命の防衛隊に任命されたのだ。

 この地球を地球人の善人を悪人や宇宙人から護るという特命を受けた公務員にダーブラはなったのだった。

◇◆◇◆◇◆

「ということでぇ。愛と正義のダーブラ戦隊はぁ公務員なのよぉ。命懸けの仕事だからぁ、お給料も高めよぉ」

驚愕の真実と共に、悟空、ラディッツ、亀仙人、クリリン、ヤムチャは『愛と正義のダーブラ戦隊』という名の公務員になったのだった。

おまけ

「まさかダーブラがタオパイパイを倒しちまったとはなあ。オラびっくりしたぞ!」

「天下一武道会で天津飯に倒された後もまだ殺し屋をやっていたとはのお」

しみじみと亀仙人も呟く。

「で、その後タオパイパイはどうしたんだ?」

「あのあとつかまえてぇ、監禁して説得したんだけどぉ……ヤムちゃんみたいに改心しなかったからあ。反省部屋に封印しちゃった。テヘ」

「反省部屋?」

皆が首を傾げる。

「私がぁ封印されて更正したぁ、電子ジャーの中よぉ」

「で、電子ジャーじゃと!!」

亀仙人が驚愕の表情に染まる。

「まさかお主は……魔王ダーブラ!!」

 

 




おまけといいながら、次回はおまけから話は続きます。
 明日のドラゴンボール神と神が楽しみでしょうがない今です。
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