「……では話すぞ」
上城は勇人達に自身が『改造人間』になった経緯について俯きながら説明し始めた
1年位前 上城の世界の大本営 横須賀鎮守府の『ある部屋』にて……
「………うっ………此所は………ッ!?」
Pi……Pi……
(痛ッ!?……音から察するに心肺計測装置に点滴……つまり医務室か……それにしては全面マジックミラー張りに監視カメラ……ッ!?)
「なっ………なんじゃこりゃーー!!!」
上城が『あの事件』の後、何処かの部屋のベッドで横になっていて、壁のガラスに写っている自分自身の姿を見て絶叫した
その姿は左腕は欠損し、全身至る所にチューブやケーブル、計測装置等がつけられて、身動きが取れない様に輸送用の固定ベルトでベッドごと固定されてた
上城は今現在の自身の痛々しい姿に動揺しつつも、嫌な予感を感じ取り、脱出を試みようと自身の身体に刺さっているチューブやケーブルを残った右手で掴み、そして……
(チッ!何か嫌な予感がするから、取り合えず脱出するか!!叫んでいる場合じゃねぇ!!右腕は取り出せるか……よっ!ふん!!)
スポッ……
ズボッ……ズボッ………
「イ"ッ!?痛ぇぇぇ!イタタタタタ!んにゃろう……スゥー………ウォォォリャャャャ!!!」
ズボッ……
ズボッ……
ガシャーン!!
「はぁ……はぁ……」
(あ"ー痛かった……さて後はベルトを……クソッ!?溶接されてる!!ってか此所は何処だ!!一体どうなってんだ!?)
……痛みに耐えながらチューブやケーブルを強引に抜き取ったのだ
だが、ベルトだけは留め具の所に溶接されていて外す事が出来ず、彼自身もまた今の状況に頭が追い付いていないのか少し錯乱した状態で叫び始めた
「クソッ!?此所は何処だ!!一体どうなってんだ!?」
上城はマジックミラー越しから見ているであろう白い軍服を着た短髪の醜男に怒鳴り付けると醜男は彼の秘書艦であろう艦娘『金剛』を連れ、上城が哀れもない姿になった状態で目覚めた事に嘲笑いながら入り、見下しながら上城に言った
「お!?どうやら目覚めた様だな♪良い様だな……不良品風情が……」
「ッ!?貴方は……」
「アァ?他の鎮守府の『金剛』に……この豚みたいな野郎は誰だ?金剛のペットか?」
「「ッ!?」」
上城は醜男の見下した発言に苛ついたのか、醜男に対して今にも中指を立てるかの様な喧嘩口調で言い返すと醜男は上城の発言に相当、頭に来たのか、先程までの勝ち誇った笑みから一転し、鬼の様な形相になりながら上城に近付き……
「貴様ァ!!」
ドゴッ!!
「イ"ッ!?」
ドゴッ!!
ドゴッ!!
ブチッ!
「クッ!ウグッ!チッ!!」
……身動きの取れない上城に向けて自身の怒りをぶつけるかの様に蹴り飛ばし始めたのだ
醜男は上城の発言に相当頭に来たのか、身動きが取れない上城の無き左腕の傷口に塩を塗るかの様に踏み弄り、蹴りや殴ると言った『重体の上城本人』にとって『拷問』染みた『非道極まりない行為』を行い、怒鳴り散らしながら金剛に言った
「誰が豚だ!!貴様みたいな『海軍曹長』……訓練生の分際で『海軍少佐』である僕に対する口答えはなんだ!!金剛!お前もやれ!」
「What!?何故デスカ!?彼はRookiesを救ったHeroデスヨ!!」
金剛は醜男の命令を拒絶し、醜男に反論すると、醜男は金剛の発言に少し苛つき、金剛を脅すかの様に『とんでもない発言』をした
その『発言』とは……
「ほぅ……『佐世保鎮守府 総司令官』としての権限を使って妹達を『解体』されたいのか?それとも『輪姦』されたいのか?」
「ッ!?」
……そう、この男は当時の自身の立場であり、後に上城が醜男の後釜として職に着く立場『佐世保鎮守府 総司令官』という立場を乱用し、金剛の妹である『比叡』『榛名』そして『霧島』を解体又は慰め者として扱う事を金剛に散らしかせたのだ
金剛は自身の妹達が人質にされている事に悔しそうに歯軋りをし、大本営襲撃事件を終結させた功績者である上城に申し訳無さそうに近付き、そして………
「……understand……sorry……Mr.上城……恨まないで下サイ……ヤッ!」
ドゴッ!!
「グァァ!!こ……金剛……テメェ……」
……人質にされた妹達を守る為に醜男と同じように上城に危害を加え始めたのだ
醜男は金剛の行動に更に『自身の加虐心』と『上城の恨み』が膨れ上がり、金剛と共に上城に危害を加え始めた
「オラァ!オラオラオラァ!!」
「I'm sorry……I'm sorry……」
ドゴッ!!
グチャ!!
ドゴッ!!
グチャ!!
「グァァァァァァァ!!!」
醜男は上城に怨みや憎悪を込めて、そして秘書艦の金剛は醜男に人質を取られて悔しいのか涙を流し、上城に謝りながら蹴っていた
そして醜男は殴り疲れたのか、少し息を荒くしながら上城に怒鳴り付けた
「口の聞き方には気を付けろよな『親の七光りの糞餓鬼』ガァァァァ!このまま殺してやらぁ!!」
「ッ!?テメェ……」
醜男は上城が強引に抜き取ったケーブルを拾い、そのまま上城の首に巻き付け、絞め殺そうとした途端、軍服を着た老人が部屋に入り、醜男を止めるかの様に怒鳴り付けた
「待ちなさい!彼には利用価値がある!無暗に傷をつけるな!!それに此処は関係者以外『立入禁止』だ!関係無い者は今すぐ退出せよ!!」
老人は醜男に怒鳴り付けると、醜男は上城を睨み付け、気分を害したのか舌打ちをし、酷い罪悪感に見舞われ今にも泣き出しそうな金剛と共に『元帥と言われている老人』の指示に従った
「……チッ!分かりました元帥……命拾いしたな……行くぞ金剛!!」
「分かりました………Mr.上城……本当にごめんなさい……本当は『こんな事』はしたくありませんでしたが妹達を守る為に……貴方に対して……失礼シマース……」
二人は老人の指示に従い、部屋から退出すると、上城は『老人の正体』を知っているのか、憎悪を込めながら睨み付けると共に今現在、自身が居る部屋の『正体』が分かり、全ての状況を完全に把握したのか、内心焦りながら結論付けた
そう、この『老人』と『部屋』の正体、そして『今の上城の立場』は……
(……チッ!このジジイ……確か『艦奴派』として有名な『高町充』元帥……ってことは此所は『本部の実験室』で再起不能の俺を『実験台』に!?チッ……不味いな……)
……そう、部屋の正体は『実験室』であり、老人の正体は艦娘を道具として扱う連中『艦奴派』の派閥に入っている海軍元帥であり上城が助けた同期『高町玲奈』の祖父『高町 充』そして上城の立場は『ラット』……言わば『実験台』として扱われていたのだ
「ふん……無様じゃな!吹雪は轟沈するわ、三笠を再起不能になるわで……まぁ艦娘なんて『換え』が効くから『どうでもいい』んだが……まぁそれに片腕を、たかが『雑魚の駆逐艦』に食い千切られるとはな……」
元帥は上城を見下し、ゴミを見る様な口調で呟くと、上城は先程の暴行による痛みが引いてないのか顔を歪ませながら元帥を罵った
「……たかが『そんな事』を言いに来たのか?糞ジジイ……後、これ以上、三笠と吹雪や艦娘達を侮辱するな……鎮守府ではなく戦死した仲間がいる天国に着任する羽目になるぞ!!ハゲ!」
上城は先程の暴行が原因で包帯で巻かれた傷口から血が滲み出し、痛みに耐えながら元帥を罵ると元帥は上城の超人的な強い精神力に呆れ返りながら言った
「ふん!孫から聞いてた以上に荒れくれ者じゃな……世界規模の財閥『上城財閥』そして世界中の裏社会を統括する『極道』の家系『神城会 』の会長を兼任している財閥長の『孫』いや次期会長でもあり次期財閥長の『双子の兄』らしいっちゃらしいが……」
「三流映画に出てくる小物の悪党の次はストーカー趣味のジジイか……いけ好かねぇ野郎だぜ……」
上城は元帥の言葉に唾を吐き捨てるかの様に悪態を吐くと元帥は上城の悪態を認めるかの様に笑いながら答えた
「フォッフォッフォッ♪大物や小物は別にして悪党に関しては人の事は言えないぞ♪若いの♪」
「チッ!」
「まぁ今回は若造を、からかいに来たのではない……ん?来たか……」
元帥は笑いながら言うと元帥の秘書艦『艦娘 神通』と、あの事件の時に俺を脱出に誘った女……玲奈と、その秘書艦『艦娘 漣』と一馬と車椅子に乗った朱里そして車椅子を押している藤田が入り、上城の事が心配なのか血相を変えたり、俯きながら聞いた
「勇人!?大丈夫か!?」
「ッ!?……ごめんなさい勇人……私の油断で……」
「勇人さん……私のせいで……」
「ッ!?これは酷いです…………玲奈さん!彼は……」
「うわ……ものの見事に片腕が無くなっていますね………ってかご主人様……この人が……」
「うん……この人が私達を助けてくれた同期……仲間の上城君……いえ上城『中尉』よ……」
玲奈は俯きながら自身の秘書艦である漣に上城の事を『仲間』として紹介すると、上城は玲奈の言葉に怒りが込み上り、玲奈を罵りながら彼女の発言を訂正した
「フン……何が『同期』でもあり『仲間』だぁ?俺はお前も含め『第一研修部隊の連中』に『仲間意識』を持った覚えなんて無ぇよ!勝手にお前らと同じ腐った上官に対して『身体を売ったり』して媚びを売ったり、俺を教官の命令で『教育』という名の『リンチ』や脱出の際、我先に脱出ボートに乗り、更には艦娘を見捨てる様に教育された『逃げる事でしか脳が無い腐った連中』と一緒にするな!分かったんなら、さっさと消えろ!娼婦風情が!目障りだ!!」
「ッ!?………そうだよね……そう言われても仕方ないよね……私達は……」
上城は玲奈達の行いを『猿』や『娼婦』等、人格を完全に無視した言葉で罵ると、玲奈は上城の発言が精神的に相当効いたのか、崩れる様に座り込み、泣き出すと漣と神通は上城の言葉にドン引きしつつも、玲奈を含め当時の上城が所属していた研修部隊『第一研修部隊』の悪行を知り、玲奈に対して汚物を見る様な軽蔑した目になり、漣は上城と同じく玲奈を罵った
「うわ………口悪スギィ!!DQN丸出し……というか『ぼのたん』を男性化した人ですな……ってか、ご主人様、こんな最低な事をやってたのですね!!見損ないました!!」
「……」
「分かっているのなら言わせんな!糞アマが……後、ジジイ……中尉ってどういう事だ?俺の階級は『曹長』だった筈だが……」
上城は玲奈が当時の上城の階級が上がっていた事に首を傾げ、玲奈の発言に相当怒っているのか、ドスの効いた殺意丸出しの強い声で質問すると元帥は先程までの笑みから一転、神妙な表情になり、今にも暴れだしそうな上城を宥めながら言った
「まぁまぁ……君に対しては謝罪するし感謝するわい……玲奈には、たっぷりと『説教』せにゃならんからのぉ……まぁ階級が上がった事に関しては『あの事件』に対する『特別報酬みたいな物』じゃ……後、君には『ある問題』があるんじゃ……しかも命に関わる事じゃ……だから落ち着いて聞いて欲しいんじゃ……」
「ハァ………フゥ………んで、その『命に関わる事』とは一体………」
上城は自身の怒りを落ち着かせる為に深呼吸をし、元帥に聞くと元帥は孫の所業を謝罪し、それと同時に助けてくれた御礼を言い何故階級が上がった訳を答えると上城に『命に関わる、ある問題』が発生している事を一馬と朱里が伝えた
「……深海棲艦しか持っていない成分……『Dーcell』が勇人の体内に入っていたんだ……しかも尋常じゃない位の量がな……」
「しかもそれは……艦娘なら抵抗……というより浸食されない身体になっているけど『人間』が極めて少量の深海棲艦の血や体液に浴びたり、触れると人間はD-cellの抵抗が無いから拒絶反応を起こし……最悪……というより『99%の確率』に死ぬわ……」
「……泣けるぜ………ん?」
そう上城はヲ級の血を浴びたせいで深海棲艦しか持っていないウイルス『D-cell』に感染していたのだ
だが上城は朱里の説明に対して『矛盾』が生じ、その『矛盾』を朱里に問い掛けた
それは……
「……ちょっと待て、そのD-cellは少ない量で感染すると拒絶反応を起こすのに俺は『洒落にならない位の量』を浴びたのにも関わらず『拒絶反応』すら起こして無いんだが……」
……そう、上城は深海棲艦しか持っていないウイルス『D-cell』に感染したのにも関わらず『拒絶反応』すら起こしていなかったんだ
朱里は上城の矛盾点の指摘に少し思考を巡らせ、結論が纏まったのか、俯きながら答えた
「これは私の仮説だが……脳内麻薬『エンドルフィン』から変化した物質『カテコールアミン』……別名アドレナリンがD-cellと混ざり合い、麻酔の一種『スポヨフミン』『ヒョスチアミン』が大量に発生し、噛み千切れた時や千切れた後の『痛み』を軽減……いや『無効果』してくれたんだ……だが『D-cell』は何かと厄介でね……勝手に増殖するのよ……自発的に……しかもアドレナリンが噴出すると『噴出する量』に合わせて増殖する……つまり勇人の身体は……」
「………」
朱里は当時の上城の状態を受け入れたくないのか、悔しそうに黙ったが、上城は医師免許を所持する位の知能そして知識を持っていた為、朱里が『言いたくない言葉』を察した
そう、自分は『何時拒絶反応を起こし、死んでも可笑しく無い』状態だと言うことを……
(……ッ!?一体どうすれば……『俺』としてはD-cellごと受け入れば良いが『身体』が拒絶されているのか……)
上城は内心焦りながら拒絶反応を起こさない方法を考えていると漣は呟きながら考えてた
だが、それは上城がウイルスによる拒絶反応を無くす治療法が彼の頭脳の中で理論上『可能』な内容であり、日本軍の規律を完全に背く『非常識極まり無い内容』だった
それは……
「ん~そのD-cellを身体に馴染ませる方法は無いのかな……『皮膚』とかに………」
「ッ!?漣!今何て言った!?」
「え!?えーっと……皮膚等の体にウイルスを馴染ませて……」
「それだ!!」
「……ウェッ?何か思い付いたのですか?」
「ああ……身体が拒絶反応を起こさない為の『方法』が思い付いた……元帥、今すぐ彫り師を呼んで深海棲艦の血を使って俺の背中を『彫って』くれないか?」
「「「「!?」」」」
……そう、深海棲艦の血を使い、上城の背中に『刺青』を入れる事で深海棲艦の血を自身の身体に馴染ませ、拒絶反応を無くす治療法だったのだ
元帥は上城の案に納得し、彼の軍人としての非常識極まり無い内容に少し戸惑いを見せながら呟いた
「……フム、成る程、そういう事か………」
「……内容がよく理解出来てませんが背中を『掘る』って……腐女子が喜びそうな言葉ですね♪『嫌いじゃないわ』♪」
漣は上城の『彫る』という語弊のある発言に自身のオタク心に火が付いたのか、少し鼻息を荒くしながら言うと、上城は苦笑しながら漣に優しく一喝を入れた
「……漣、同性愛的な意味で『掘る』ことじゃねぇぞ……後、どこぞの『ルナドー〇ンドネタ』は古いぞ……」
「仰る通りだわ~♪ってか上城中尉も『サブカル』も分かるなんて……馬が合いますなぁ~♪」
漣は上城の一喝に微笑みながら言うと、上城は漣に笑みを見せ、すぐに神妙な表情になりながも無視し、元帥達に自身の治療法を簡潔に答えた
「……んで背中に彫ってD-cellを身体に馴染ませて拒絶反応を起こさない様にするんだ」
「「「「……成程、それなら拒絶反応が起きないな」」」」
「………スルーしないで下さい……落ち込みますよ……」
漣は上城に無視された事に不貞腐れながら落ち込むと上城は先程までの神妙な表情から一転し、陽気な笑みを溢しながら自身の右手を漣の頭に乗せ、撫でながら言った
「バーカ!お前が落ち込んでどうする♪漣のお蔭で『拒絶反応を起こさない方法』が思い付いたんだ……むしろ感謝している位だ♪ありがとう♪」
ワシャワシャ……
「ん~♪こういう御礼も『嫌いじゃないわ』♪」
「フン♪」
「……羨ましい」
漣は上城に頭を撫でられ、誉められた事に満足し、飼い主に懐く子犬の様に満面な笑みを溢しながら言い、神通は撫でられている漣に羨ましそう呟くと元帥は『もう1つの問題』が残っている事を上城達に言った
その『もう1つの問題』とは……
「だが『この方法』なら拒絶反応は起こさないが『浸食』は止まらないぞ……中尉」
「「「ッ!?」」」
そう、刺青を掘ったとしても『侵食』は止まらない事だった
だが上城は元帥の勿体振った言い方に何か感づいたのか、少し苛つきながら質問を問い掛けた
「……おいジジイ、この素振りだと既に解決策が出ているのか?」
上城は元帥の考えを察し、既に解決策が出ている事について聞くと、元帥は神妙な表情になりながら上城を試すかの様に聞いた
「……ああ、昔ある実験で浸食を止める事に成功した者が居たんだが……『当時の被験者』と同じ実験をしてみないか?」
「「「「実験?」」」」
上城達は元帥の『実験』という発言に首を傾げながら聞き返すと、元帥は上城に『とある質問』を問い掛けた
「ああ……中尉、君は『近代化改修』って知っておるか?」
上城は元帥の意味深な質問に疑問を持ちながら答えた
「ん?ああ……確か艦娘同士を融合させて雷装等の威力を底上げする作業だな……勿論、融合の素材にされた艦娘は艤装を装着する事が出来なくなり『一般の女性』になるんだろ?何故そんな事を……ッ!?まさか……」
上城は元帥の『意味深な質問』もとい『侵食を阻止する為の治療法』が分かり、元帥に聞くと元帥の代わりに一馬が答えた
その『治療法』とは……
「そうだ……勇人の身体に艦娘の身体を融合……いや移植するんだ」
……そう、上城の身体に艦娘の身体を移植……つまり、ミカサが言っていた『人類兵器化計画』と同じ原理を用いて上城の身体を艦娘に近い身体に改造する事だった
藤田は一馬が発言した『治療法』を聞き、血相を変えながら我先に立候補した
「なら私の身体を使って下さい!私はもう『死人』扱いなので!そして勇人さんを『こんな身体』にさせた『お詫び』として……」
藤田が実験の素材として立候補したが元帥は頭を横に振り答えた
「まぁ艦娘の身体を使う事に関しては正解っちゃあ正解だが……じゃが使うのは『赤城の身体』では無いんじゃ……使うのは……」
元帥は俯きながら藤田に説明し、とある艦娘が上城の実験の素材になった事を上城達に伝えるのを躊躇うと、その艦娘は元帥の考えを察し、小さく呟いた
その『艦娘』とは……
「……私か」
「「!?」」
……そう『戦艦 敷島型四番艦 三笠』こと朱里が上城の実験の素材として挙がっていたのだ
元帥の発言を察した朱里が言うと一馬は元帥の胸倉を掴み上城と共に声を荒げながら言った
「おいジジイ!!一体どういう事だ!!何故三笠を使うんだ!!」
「元帥!!これはどういう事ですか!いくら三笠が再起不能だからって!」
「ちょ!?待つのじゃ!親子揃って冷静にならんか!!」
元帥は二人の気迫に圧されながらも説得しようとすると朱里は二人に一喝し、自ら『この実験』に志願した理由を答えた
「落ち着いて一馬に勇人、この『実験』には私自ら志願したのよ!しかも勇人だけではなく私にもメリットがあるのよ!」
朱里が二人を宥めると元帥は胸ぐらを掴まれている為、少し息苦しそうに実験の素材として使う際の『朱里と上城に対しての利点』と被験者である『上城に対しての代償』を事細かに教えた
その『利点』と『代償』とは……
「そうじゃ!この実験は普通の近代化改修とは訳が違うのじゃ!1つは中尉の身体に三笠と融合する事で再起不能になった三笠を上城中尉の『超人的な自然治癒力で回復させる事が出来る事』!!2つ目は回復させた三笠にも『人間と同じ様に自然治癒力が生まれる事』!そして3つ目は上城中尉を擬似的に艤装を解体すると『完全に回復した三笠を復活出来る事』じゃ!!ただし、中尉は人間としては無く『半艦息』として一生を過ごす羽目になる事と、三笠を分離しても人間に戻れない欠点があるけどな……まぁ『無くなった片腕』は三笠と融合している間は『再生される事』じゃな……」
……そう、朱里に対しての利点とは被験者である上城と融合する事により、上城の超人的な自然治癒力で回復し、更に艦船に有って艦娘には無い力『自然治癒力』が備われた状態で復活出来る事と、上城に対しての利点は『半艦息』言わば『男性版の艦娘と人間のハーフ』になり、深海棲艦に対抗出来る力が手に入り、朱里と融合している間は損失した左腕が再生される事だったのだ
そして上城に対しての代償は、ただ1つ……『半艦息として人生を全うする事』つまり『人間を辞める事』だったのだ
上城は元帥の長い説明を自身の事を『鎮守府の設備』に喩えながら簡潔に纏めた
「つまり俺自身が三笠専用の最高級の設備が揃った『入渠室』になり、三笠は完全回復させ俺は人間を辞める代わりに深海棲艦に対抗出来る力とD-cellに対する抵抗が出来る身体が手に入り、融合している間は左腕が再生される……という訳か?」
上城は元帥の言葉を纏めると元帥は感心し、笑いながら言った
「フォッフォッフォッ♪流石は『戦場の龍』と恐れられた上城元帥と『戦場の母』と慕われた三笠の子供じゃ♪玲奈とは違い、頭の回転が相当早いのぉ♪その通りじゃ!」
「良いのか?本当に……」
一馬は元帥の胸倉を離し、上城と朱里に心配した様子で聞いた
「私は大丈夫よ♪ちょっとばかし『長い休暇』を貰うだけだから♪勇人は?」
朱里は前向きに考えているのか笑いながら承諾し上城に聞くと上城は先程の説明を後ろ向きに捉えていたのか、俯きながら聞いた
「……さっきの説明を悪く言うと三笠の命を使って治療するんだろ?」
「ええ……そうだけど……それがどうかしたの?」
朱里は上城の俯いた表情に心配した表情で聞くと、上城は俯きながら朱里に『とある発言』をした
それは……
「三笠は怖くは無いのか?血の繋がりの無い他人……こんな俺に命を捧げるなんて……イカれているぞ」
「ッ!?」
……そう、朱里のプライド……否、彼女の『母親としての気持ち』を認めようとせず、挙げ句の果てには自分自身の『命』を軽視したのだ
朱里は上城の発言に相当ショックだったのか、少し涙目になりながら、上城に近付き、そして……
バチーン!!
「ッ!?……何しやがる!!」
……上城の発言を訂正させるかの様に強く重い右手を彼の左頬にビンタしたのだ
上城は朱里にビンタされた事に一瞬、狼狽えたが朱里にビンタした理由を聞くと朱里は『ある思い』を彼に吐き出す様に泣きながら答えた
そう……
「お前は何を言ってるんだ!確かに私とお前は血が繋がって無い……だけど私は産みの母親に裏切られ、育児放棄された勇人や『蘭花や勇次、沙耶に蘭』の事を自分の子供当然に……いや『私が産んだ可愛い息子や娘達』だと思って必死に育てた!だが勇人は私は母親として認めず、そして誰にも頼らず、そればかりか私だけではなく艦娘や弟たちの面倒を見たり、荒れてはいたが、弟や妹達、そして艦娘達を守る為に周りから傷つけられながらも自分の力で生き、私の事を母親として認めなかった勇人が『あの事件』でお前が初めて私の事を『母さん』と呼んでくれて嬉しかったんだ!!だから母親が息子の為に……命をかけて治すのは当たり前よ!!それに私の命をアンタに『捧げる』のではなく『預ける』んだよ!!だから……」
……朱里は上城に『感謝』すると共に、自身の『後悔』である『母として息子に何も出来なかった悔しさ』が入り交じった様に泣きながら言ったのだ
そして朱里は上城に抱き着き、懇願するかの様に泣きながら自身の思いをぶつけた
「……もう……私や兄弟姉妹、みんなのせいで勇人を傷つけたくないの……お願いだから貴方の口から『そんな事』を言わないで……」
「……」
上城は朱里の本心を聞き、先程の発言を猛省するかの様に黙り混み、朱里の本心に答えるかの様に強く重い口調で朱里に懇願した
それは……
「……分かった、そこまで言うのなら俺も息子として三笠……いや『母さん』の命を『預かる』……だから母さんの力を分けてくれないか?」
「ッ!?勇人!……分かったわ!私も可愛い息子の為に艦娘の力、分けて……いや思う存分使って!!そして『これだけ』は約束して!『この力』で深海棲艦を倒すだけではなく艦娘を守る『盾』として……そして艦娘を助けてくれる『特効薬』になって欲しいの!それだけは約束して!」
「勿論!そのつもりだ!」
……そう、上城は朱里の為に『移植治療』を受け、息子としての『最初の我儘』を母親に懇願したのだ
朱里は上城の『最初の我儘』である『艦娘の力が欲しい事』を嬉びながら承諾すると元帥は二人の様子を伺いながら聞いた
「結論は出たかな?」
元帥は若干涙目になりながらも二人に聞くと二人は決意のある強い口調で答えた
「「勿論!この治療、受けさせて貰います!!」」
「分かった!それじゃ準備に取り掛かるか……えーっと……これを……こうして……」
元帥は外に待機しているであろう軍医達にスマホで連絡を入れようとすると上城は『ある疑問』が湧いて来たのか、連絡を入れようとする元帥を止めるかの様に質問をした
「待った!ちなみに背中の刺青の模様は?そして何故俺達にそこまでして助け船を出すんだ?後、赤城の処遇は?」
上城はスマホに悪戦苦闘している元帥に『刺青の模様』と『藤田の処遇』そして上城が唯一納得出来ない内容である『上城に助け船を出した事』について聞くと、元帥は仙人みたいな愉快な笑い声を発し、上城の質問の全てを簡潔に答えた
「フォッフォッフォッ♪刺青の模様は父親の異名にあやかって『和彫の応龍』にするつもりじゃ♪それに中尉は『儂の孫を助けてくれた御礼』じゃ♪まぁ此所で死なれちゃあ儂の『趣味』が無くなるからな♪ちなみに赤城の『処罰』は中尉の初期艦……いや『専属の秘書艦』として処置しておいたから安心せぇ♪」
「ケッ!最後まで気に食わないジジイだぜ……宜しくな赤城」
上城は元帥の答えに少し微笑みながら悪態を吐き、自身の右手を藤田に差し出すと、藤田は自身の処罰を甘んじて受けるかの様に上城の右手を掴み、神妙な表情で上城に宣言した
「はい!この赤城、全身全霊をかけて勇人さん……いえ『提督』をお助けします!!深海棲艦上がりである私ですが宜しくお願い致します!」
「ああ!頼むぜ!それとジジイ……いや元帥」
「「元帥……」」
「ん?何じゃ三人共?儂が与えた処遇に不満でも?」
元帥は上城と朱里そして藤田の言葉に微笑みながら質問をすると、三人は元帥に向かって……
「「「本当にありがとうございます!」」」
……頭を下げ、今回の功績者である元帥に礼を言ったのだ
元帥は藤田と朱里は兎も角、普段ヤクザ染みた立ち振舞いを見せていた上城が敬語を使って礼を言った事に驚き、恥ずかしそうに外に待機しているであろう軍医達を大声で呼んだ
「ウォッ!!中尉が敬語を!!なんか背中が痒いわい!!さっさと行かんかい!」
外に待機していた軍医達は元帥の言葉を待っていたかの様に雪崩の様に部屋に入ってきて朱里と上城は軍医達に運ばれ、部屋を後にした
そして上城は軍医達に運ばれながらも尚、頭を下げ続けた
そう……母親と元帥に感謝の意を伝えるかの様に……
そして数日後……
「……終わりましたよ中尉、艤装を展開し、出撃をして下さい」
「……分かった」
(……母さん)
軍医の1人が朱里との融合を終えた事をベットに寝ている上城に伝えると、上城は自身のベットとは違う『何もない普通のベット』に目をやり、そのベットには嘗て朱里が使っていたベットだと直感で分かり、今の自分自身が人間ではなく『半艦息』になっている事に内心、不安になっていると、融合に成功したのであろう朱里の声が上城に優しく背中を押すかの様に幻影が現れ、微笑みながら彼に優しく言った
………大丈夫、貴方なら出来るわ……だって貴方は私の自慢の息子よ………
(……分かった)
上城は自身が作り出した幻影なのか、はたまた融合した際の朱里の意識が彼の中に残っていたのかは不明だが朱里の励ましの言葉に気が楽になり、覚悟を決め自身の『半艦息としての船名』を高々に、そして産声を上げるかの様に宣言した
そう、それこそが………
「………艤装展開!『金剛型特殊戦艦 零番艦 三笠』……今から出撃を行う!!!行くぞぉ!!!」
………『最強の龍』が誕生した瞬間でもあった