そして現在 勇人の世界の佐世保鎮守府にて……
「……という訳だ、これが俺が『改造人間』になった経緯であり、俺の世界の『特別防衛機密の内容』だ……分かって貰えたか?」
上城は俯きながら自身が『半艦息』になった経緯を説明し終えると友伽里、勇人そして三笠は朱里の『母としての覚悟』と上城の『新兵時代の境遇』を知り、俯きながら経緯の感想を述べた。
「………お互いを助ける為に……三笠様が言っていた『非人道的な実験』を受けていたなんて……」
「……ええ、息子である博霊さんを救う為に朱里は『己の肉体』を……母である朱里さんを救う為に自身が『艦船』……いえ『艦息』に……」
「……しかも上城殿は我と同じ『三笠』に……」
三人は俯きながら言うと、上城は俯いている三人を見て、先程までの重々しい空気を変えるかの様にタバコを口に咥え、ラフな口調で三人に言った。
「そんなに落ち込むなよ……現に母さんは復活しているし、俺だって死んでねぇよ……三笠、紫そして母さん、火を貸してくれ……ジッポがガス欠なんだ」
「……上城殿、此処は禁煙だ……吸いたいのなら元の世界に行ってくれぬか?」
「……我慢しなさい、馬鹿息子」
「……二人と同意見だわ、私みたいに禁煙したらどうなの?」
「……世知辛い世の中だぜ……あ!?そうだ勇人、お前に言っておきたい事があるんだ」
「ん?どうしたんだい?」
上城はW三笠と紫に一喝され残念そうに咥えたタバコを箱に戻し、何かを思い出したかの様に呆気ない声を発し、勇人に『ある事』について言った。
その『ある事』とは……
「言うのを忘れてたが……金輪際『自分が此処の指揮官』と名乗らない方が良いぞ……この世界の『最高機密』……『特別防衛機密』に引っ掛かるぞ」
「ッ!?今さら遅いわよ!馬鹿息子!此方は完全に名乗ってしまったわよ!!」
「悪い……俺とした事が……」
「「ッ!?何故『その事』を貴方達が……」」
「え!?たった『それだけ』で……何でですか?」
……そう、この世界の『最高機密』である『自身が指揮官と名乗る事』である。
勇人は上城の忠告に自身が嘗て居た世界では『最高機密』に指定されていなかったのか、当時の感覚のまま名乗っていた事に少し青ざめ、三笠と友伽里は上城が『その事』を知っていた事に驚愕すると紫は勇人に何故『自身が指揮官と名乗る事を禁止する』理由を簡潔に答えた。
「……それは『セイレーンから指揮官の命を守る』為に、この世界は『自身を名乗る事』を禁止したのよ……まぁ貴方の場合は『例外』として免除されるが……私達側の勇人は……この世界の『機密漏洩』を行った事により、三笠達に処刑されないといけないのよ」
「「……」」
「ッ!?そんな……僕じゃなくて博霊さんが……」
「……デスヨネー……ってか、この世界の連中が物理的に俺を殺せると思うか?」
上城は紫の物騒な発言に他人事の様に呆れながら言うと、紫もまた「うん、それはまず有り得ないわ」と呆れながら納得すると、三笠は上城を処刑するのを嫌がるかの様に俯きながら聞いた
「……今の素振りだと『指揮官が嘗て居た世界』と『上城殿の世界』は『最高機密取扱規則』……上城殿の言葉を借りるなら『特別防衛機密取扱規則』の内容に『指揮官の名を公表を禁ずる』という言葉が入っていないのか?」
三笠はW勇人の素振りを見て、彼方の世界の特別防衛機密に関する事を上城、朱里そして紫に聞くと、三人を代表として朱里が三笠の質問に答えた。
「……ええ、私達の場合は基本的に公表しているのよ」
「な……なんだと!?」
「ッ!?何故、公表するの!?彼方のセイレーン……『深海棲艦』に狙われる事を承知の上で!?正気じゃないわよ!!」
友伽里と三笠は朱里の言葉に『自身の感覚』と『彼方の感覚』がズレている事に驚きながら朱里を問い詰めると朱里は友伽里の言葉に少し呆れながら答えた。
「……彼方の勇人が元居た世界の事情は知らないが、私達の場合は逆に公表する事によって深海棲艦からの侵略を防ぐ『抑止力』になるからよ……逆に聞くが三笠に友伽里……もし『指揮官の名前等の個人情報が公表されている状態』で貴女が私達の世界の佐世保鎮守府に出撃をする時、真っ先に誰を仕留める?」
「……それは敵将であり佐世保鎮守府『総司令官』である上城殿を……」
「まぁ、普通はそうなるわね……」
三笠と友伽里は朱里の質問に然も当たり前に答えると、朱里は三笠の言葉を待っていたかの様に微笑みながら『ある事』を二人に聞いた。
その『ある事』とは……
「……では、再度聞くが……三笠達……いや、この世界の艦船達の力を以てもしても馬鹿息子を殺せるか?」
「「ッ!?」」
……そう、この世界の『艦娘達』いや『艦船達』の力で上城を倒せるか否かを聞いてきたのだ。
二人は朱里の質問に上城の力を間近に見ていたのか、恐怖による身震いを発し、顔面蒼白になりながら答えた。
「む……無理よ、私達『重桜』……いや『重桜』とドイツ国籍の艦船の艦隊『鉄血』の連合艦隊『レッドアクシズ』と他国の連合艦隊『アズールレーン』の二つの力を以てしても『圧倒的な力を持った博霊さん』を殺せない……むしろ『本気になった博霊さん達によって全滅される』……ッ!?」
「……成程、そういう事か……上城殿みたいに化け物並に矢鱈強過ぎる指揮官が多数在籍しているから敵に公表する事によって、相手は矢鱈強過ぎる敵将による全滅……いや皆殺しにされるのを恐れ、迂闊に侵略出来ない……という訳だな」
三笠は朱里の説明に顔面蒼白になりながらも納得すると朱里は微笑みながら「その通り♪」と答えると友伽里は少し戸惑いながら言った。
「つ……つまり、貴女達の世界は深海棲艦や敵国に対抗できる力を見せ付ける事により自国を防衛していた……という訳ね……だけど、貴方が矢鱈強いとは言え……貴方の処罰は変わらないわよ」
友伽里は朱里の説明を簡潔に纏め、上城を脅す様に神妙な表情で警告を発すると、上城は友伽里の脅しに乗ったのか、友伽里の言葉に訂正を入れるかの様に呆れながら言った。
だが、その『発言』が顔面蒼白になり怯えている三笠達に止めを刺す事になった……
それは………
「『見せ付け』というよりかは『敵国に対しての脅し』として……だけどな。現に俺の所の佐世保鎮守府には、俺みたいな矢鱈と強い連中が居るだけではなく『枯葉剤が入った弾道ミサイル』や近未来の武器『超重力砲』そして先程見せた『原爆を模した化学兵器』等、この世界の日本国憲法だけではなく『北大西洋条約』やら『国際法』が禁止されている兵器を大量に所持してんだ……勿論、それらは俺の所での全ての条約に則り、核兵器以外の大量破壊兵器の所有を許可及び認可されているから問題無いが……」
「「……あの馬鹿、友伽里の挑発に乗って……仕方ないわね……」」
「………え?」
「成程ね………ん!?」
「……な!?た……大量破壊兵器が……上城殿の鎮守府に所持しているだど!?」
……そう、北大西洋条約やら国際法等で禁止されている『大量破壊兵器』を上城側の佐世保鎮守府に所持していたのだ。
三笠達は上城の爆弾発言に面を喰らい、驚愕を隠せない表情のまま上城に言うと上城は三人に忠告するかの様に三人を真っ直ぐ見据えながら言った。
「ああ、これも敵国や深海棲艦に対しての『抑止力』として所有を許可して貰ったんだ……」
「はぁ!?いくら彼方の世界の国連や日本が許可したって、これは過剰防衛よ!!イカれているわよ!!『超重力砲』というのは分からないが『枯葉材』やら『催涙弾』って……貴方、敵国や深海棲艦だけではなく自分の世界を壊すつもり!?」
友伽里は上城側の佐世保鎮守府に大量の大量破壊兵器を所持している事に驚愕しつつも、上城に怒鳴り付けると朱里は「まぁまぁ……」と友伽里を窘めながら、その訳を紫と共に三人に説明……もとい脅迫をし始めた。
「確かに友伽里の意見は尤もよ……だけど、それは私達側の勇人の艤装の一部だから原寸通りの兵器じゃないから安心して……まぁ、それでも大量破壊兵器を扱える方の勇人を処刑するのなら……分かるよね?」
「貴女の判断次第で私達の世界と全面戦争になるわよ……さぁ、どうする?」
二人は『大量破壊兵器を扱える上城』を武器にし、友伽里と三笠を脅すと二人は完全に脅しに屈したのか、自棄になり、顔面蒼白になりながら答えた。
「ッ!?分かったわよ!!私達の負けよ!!ったく、何故こんな破天荒で血の気盛んな危ない息子に育ったのよ!!『平行世界の私の息子』とは言え怖すぎるわ!!三笠!この『事案』については不問とし、今現時刻を以て『勇人と博霊さんの個人情報』と『博霊さんの世界に関する全て』を『最高機密』として指定するわよ!良いね?」
「ど……同感だ……これは『機密漏洩』を行った上城殿に対して我々が彼を処刑したら彼の艦娘達や隊員達からの報復が怖いからな……『此方側の世界崩壊』的な意味で……」
友伽里と三笠は顔面蒼白になりながら上城の処罰を不問とすると、上城達は二人の様子を見て自身の脅迫が成功したかの様に安堵の笑みを溢しながら呟いた。
「フッ、計画通り……結局、俺達も『無罪放免』か……まぁ『話し合い』で済んだから良いか」
「……貴方達の場合は『話し合い』じゃなくて『脅迫』だと思うが……」
「まぁ良いじゃない紫♪『話し合い』で済んだ事だし……あら?どうしたの『アッチの勇人』?」
三人は友伽里の決断に微笑みながら言い、朱里は困惑している勇人に聞くと、勇人は先程のやり取りを聞いて戸惑いながら朱里と三笠そして友伽里に言った。
「あ、いえ……本当に此れで良かったのかな……と……何か母さんや三笠さん達に申し訳無い事を……」
「勇人は悪くないわ……此処は素直に喜ぶべきよ」
「……我も正直、安堵しているのだ……指揮官の恩人達に手を掛ける必要も無くなったからな……」
「そういう事よ♪それに二人が『許す』と言ったんだし………ん?あら?勇人、貴方……何時の間に隙間を展開したの?」
朱里は勇人の背後に隙間の亀裂を見つけ、上城に聞くと、上城は見覚えが無いのか、頭を横に振りながら答えた。
「いや、展開した覚えは無いんだが……一体誰が……」
上城は首を傾げながら無用心に隙間の亀裂に近付くと隙間の亀裂から女性らしい『しなやかな手』が多数現れ、そして……
「「「「ドッセイ!!」」」」
パーン!!
「「え……えぇぇぇぇ!?」」
「「なっ!?」」
「嘘でしょ……隙間を強引に……抉じ開けて来た……まさか!?赤城さん達が!?」
「……マジかよ」
……その手によって強引に隙間を抉じ開け、抉じ開けられた隙間から赤城、大鳳、愛宕そして隼鷹が息切れをし、疲労困憊になりながら隙間から現れたのだ。
W勇人、WユカリそしてW三笠は四人が『何かしらの方法』で隙間を抉じ開け、現れた事に驚愕すると四人を代表として赤城が息を整えながら友伽里と三笠に言った。
「はぁ……はぁ……元帥に三笠大先輩……彼を……上城様を処刑するの……はぁ……止めてくれませんか……はぁ……彼らは指揮官様の……ぜぇ……恩人です……」
「今、その事については『不問』になったから問題無いが……御主達、大丈夫か?」
「「「「な……なんとか……」」」」
「それ以前に、どうやって隙間から脱出出来たんだ?余程の能力が無い限り隙間を抉じ開ける事が出来ない筈だが……」
上城は四人が『何かしらの方法』で隙間を抉じ開けた事について少し驚きながら聞くと、四人は疲労困憊の身体に鞭を打つかの様に凛とした立ち振舞いをし、自身の象徴を誇示しているかの様な大きな胸を張り、高々と上城に隙間から脱出出来た方法を打ち明けた。
だが、それは紫そして上城にとって『常識を逸した方法』だったのだ。
それは………
「「「「それは簡単な事です!『指揮官様への愛の力』によって隙間から脱出出来ました!!」」」」
「え!?貴女達、たったそれだけで……隙間から出られたの!?」
「「「「はい!!」」」」
「………泣けるぜ」
「それ、私が言いたいわよ……根性論だけで隙間から脱出出来たなんて……『隙間妖怪』の面目丸潰れよ……」
「……ああ……しかも、こんな荒業で脱出出来たとは……化け物か、テメェらは……」
……そう、四人は『根性論』で隙間から脱出したのだ。
紫と上城は四人の荒業による隙間からの脱出を行った事に頭を抱え、溜め息を吐くと三笠と勇人そして友伽里は呆れながら上城に言った。
「紫殿は兎も角、上城殿………それは御主が言えた口では無いのだが……」
「……君には言われたくないよ……原始的な方法で結界を破壊するだけではなく、あの『艦娘の頂点』に立つ三笠様を手加減をしながら半殺しにしたんた……一番ブッ飛んでいるのは君だよ……」
「……全くよ、一体どんな育て方をしたら、こんなイカれた息子になるのよ……」
三人は呆れながら上城に愚痴を溢すと上城は「そうか?」と首を傾げつつも友伽里の発言に対して少し苛つき、ジド目になりながら答えた。
「それに、俺を『こんな風』にさせた切欠を作ったのは……平行世界のお袋だそ」
「……恨むわよ、アッチの私……」
「まぁまぁ、もう過ぎた事を言っても仕方無いわ……では紫、そろそろ宴を始めましょ♪『此処の世界』と『私達の世界』をね♪」
朱里は微笑みながら二人を窘めながら紫に言うと、紫も呆れながら言った。
「……漸くね、それじゃ始めるから食堂に行くわよ……みんな」
「「「「はい!」」」」
「「ええ!」」
「うむ!」
「うん……」
「ん?どうした勇人?ノリが悪いぞ?さっきの事を、まだ引き摺っているのか?」
上城は俯いている勇人に微笑みながら聞くと、勇人は少し不安になりながら上城に言った。
「いや……もし博霊さん……『平行世界の僕』の所も僕と同じ……三笠様みたいな極悪非道な人達だったら……」
勇人は上城に自身の『不安要素』である『艦娘による暴行等の非人道的な行い』を懸念し、それを彼に伝えると上城は高々と笑いながら勇人の不安を一掃した。
「それは無ぇ、お前も見ただろ?俺の所の一航戦が勇人に頭を下げた所を……アイツらが勇人に危害を与える事は絶対無ぇよ♪寧ろ、お前を治す為に命を賭けている位『お人好しの塊みてぇな連中』さ♪そんな連中に勇人……いや人間達に危害を与える事は絶対有り得ねぇよ」
「……だと良いんだが……」
勇人は上城の言葉を信用していないのか、はたまた自身が味わった非人道的な行いをされたトラウマが未だに強く残っているのか、俯きながら食堂に向かった。
自身のトラウマに立ち向かうかの様に……