「嘘だろ……博霊さんの鎮守府も……僕と同じ『ブラック鎮守府』だったなんて……」
「……赤城、何故上城殿の世界が嘗てブラック鎮守府になった経緯を教えて頂けないか?少し引っ掛かる所があるのだが……」
勇人は上城の世界が嘗て『ブラック鎮守府』に陥れていた事に驚愕しつつも『ブラック鎮守府』という言葉を聞き、自身が味わった地獄がフラッシュバンクするかの様に思い出し、身体を震わせながら呟き、三笠もまた勇人と同じように驚愕しつつも赤城達の発した『KC金剛達に恨みは無い』という言葉に首を傾げながら聞くと、赤城は俯きながらKC金剛とKC榛名に聞いた。
「私達は構いませんが金剛は兎も角……榛名、今から『嘗て貴女達が味わった地獄』そして『着任後の上城様と白楼様に対して行った悪行』を指揮官様達に公表しても?」
「………」
「……Of course……これは私が背負うべき『Sin』デスから……」
KC榛名は黙って頷き、KC金剛は先程、上城が告白した『大本営襲撃』と『自身が改造人間になった経緯』の2つの出来事に強い因果関係があるのか今にも自身の『罪悪感』と赤城の『悪人風な風貌』によるものなのか、はたまた赤城達からの『無言のプレッシャー』による『何とも言えない気味の悪い圧迫感』が津波の様に押し寄せたのか勇人に助けを求めるかの様に弱々しい声を発しながら答えると赤城は二人の承諾を得た事を確認し、勇人達に言った。
「今、誰かが私に『失礼極まりない事』を言った気がしましたが……まぁ良いでしょう。では……」
赤城は俯きながら上城と緑が着任した当時『ブラック鎮守府』だった佐世保鎮守府の内情を勇人達に分かり易く説明し始めた。
「……まずは上城様が着任した当時の経緯を……」
1年位前 上城と緑の世界の佐世保鎮守府 正門前にて……
「……ここか佐世保鎮守府、前衛基地か……なんか幽霊屋敷みたいなところだな」
「そうですね……」
「まぁ………あの上層部は何故こんなお化け屋敷に俺を飛ばしたんだ?」
「さぁ?分かりませんが、取り合えず行ってみましょ?『提督』」
上城と藤田は自身が着任する鎮守府『佐世保鎮守府』の正門前に車を止め、ほぼ廃墟と化した外見に絶句していると正門を警備している憲兵が二人を見つけ、警戒しながら二人に言った。
「はぁ……お前が新しい提督と秘書か……身分証明書を見せろ!」
憲兵は上から目線で強い口調で二人に命令すると二人は憲兵の態度に少し苛ついたが仕方無く自身の身分証を憲兵に提示した。
「……はいよ、ってか俺、アンタより上なんだけど?」
「……はい。」
二人が身分証明書を見せると、憲兵は二人に先程の非礼を詫びる様に敬礼し、忠告する様に伝えた。
「これは失礼しました『上城勇人』中佐に『正規空母 赤城』秘書艦、ですが此れだけは伝えておきます!前任者達のせいで艦娘達が貴方の退陣、いや命を狙う艦娘もいますのでお気をつけを………」
憲兵が二人に言うと上城は「泣けるぜ」と呟きながら止めていた車に乗り、そのまま門をくぐり、鎮守府正門を後にした。
移動中 車内にて……
「………想像以上に酷い状態だな。何故上の連中は俺を『ブラック鎮守府』に配属するんだ?まぁ上の連中は俺の事を毛嫌いしているか、この鎮守府の『後処理』としてか………まぁ取り合えず着任してみますか……」
「そうですね……しかし………」
グゥ~
「……お腹過ぎました」
「……はぁ……さっき食ったばかりだろうが………」
藤田は上城に空腹を訴える様に腹部を押さえ、腹の虫を鳴かすと上城は藤田の……否、艦娘『赤城』の『コストパフォーマンスの悪さ』を十分承知していたのか、呆れながらも佐世保鎮守府に来る道中で立ち寄ったロー〇ンで購入したお握りを取り出し、それを藤田にあげた。
「ほら………お握りだ、これでも食っておけ」
「ありがとうございます♪」
「……泣けるぜ」
上城は色々と不安になりながら自身の職場である『佐世保鎮守府 第一前衛基地』後に佐世保鎮守府の最重要拠点である『佐世保鎮守総本部』に向かった。
数分後………
「つきましたね」
「ついたな………ッ!?」
二人は車から降り、鎮守府の外形を見てた途端、上城は鎮守府の窓から何者かが魚雷を二人に向けて発射されるのを確認した。
そう、まるで『その何者か』が『殺意』『憎しみ』等の自身の『怨念』を魚雷に乗せ、二人を『この世』から排除するかの様な冷酷な表情で二人を見詰めていた。
上城は逸早く『何者か』の奇襲に気付き、廃墟と化した鎮守府の外見に絶句している藤田に怒鳴りながら突き飛ばした。
「赤城危ない!オラァ!」
「キャッ!?」
ドカッ!
ドカン!!
上城は藤田を突飛ばすと二人に魚雷が飛んできて魚雷が勇人に当たり、物凄い爆発音を発しながら爆発した。
「ッ!?提督!!ご無事でしょうか!?」
藤田は被弾した上城の身を案じ、焦りながら被弾した上城に向けて叫ぶと彼は爆風のせいで上半身だけではあるが提督服は燃え尽き、上半身裸体になった彼の背中には藤田を守る様に現れた様な絵柄が描かれた『応龍』の刺青を露にし、首を回し、呆れながら藤田に言った。
「……全く過激な歓迎だな……泣けるぜ」
「ホッ……良かった……すみません提督、私が油断したせいで……」
藤田は彼が無事だと知り安堵しつつも申し訳無さそうに俯きながら謝罪すると上城は何事も無かったかの様に微笑みながら藤田に言った。
「気にするな、油断は誰にだってあることだ………さて行きますか……此処を『治療』しに……な?」
「……はい。行きましょう提督」
二人は、この『荒れ果てていた佐世保鎮守府と艦娘達の再建』を最優先にし、神妙な表情になりながら鎮守府に入って行った………
そして現在 『勇人の世界』の佐世保鎮守府 食堂にて……
「……と言う訳です。この後は金剛達を見て分かると思いますが二人が……いえ後から着任した『白楼様』や『彼方の世界の桜花様』の四人で佐世保鎮守府を再建、そして『本当に人間達に虐げられていた艦娘達』を治療し、今の良好な関係を築き上げ、今に至りますわ。」
赤城は簡易的ではあるが、緑と上城が着任した当時の佐世保鎮守府の状態を説明し終えると三笠は『当時の二人の世界の佐世保鎮守府の現状』を聞いて俯きながら鎮守府の再建に貢献した二人を褒め称えた。
「……そうだったのか。色んな意味で化け物染みた上城殿は兎も角、白楼殿……御主も『小さい身体』ながらも上城殿と同じく『アッチの佐世保鎮守府の再建』に貢献していたとは……感服するぞ。」
「……ありがとうございます。後、三笠さん『小さい身体』は余計ですよ」
緑は三笠の『小さい身体』という言葉に反応し、相当気にしているのかジド目になりながら聞き返すと三笠は「そんなつもりでは無かったが……すまない」と大人として頭を下げ、誠心誠意に謝罪すると友伽里は二人の功績に感服しつつも赤城の説明に気掛かりが有ったのか首を傾げながら聞いた。
「まぁ私も三笠と同じく二人の功績には驚くが……それは兎も角、赤城……今さっき言ってた『彼方の金剛達が味わった地獄』と『本当に艦娘達が人間達を恨んでいた事』についての共通点が見付からないわ。そして何より貴女の説明が『勇人が嘗て居た世界とは事情が全く違う』と言っている様に聞こえるわ。」
「そ……それは……」
友伽里は赤城の発言や説明の伝え方に違和感を感じ取り、それを赤城に伝えると赤城は友伽里の質問に『子供である緑』と『艦娘達にトラウマを持っている勇人の心情』に悪影響を及ぼす可能性があるのか、俯きながら黙り混むと上城と緑そして朱里は赤城の心情を察し、面倒臭そうに答えた。
「はぁ~……此処からは俺が説明するが、俺の世界は勇人が嘗て居た世界とは真逆で『人間』……まぁ俺と妖m……ン"ン"ッ!緑の場合は『前任達』が艦娘達に危害を与えていたんだ。そして艦娘達は再び人間達に危害を貰わない様に本能的に『自己防衛』……さっき赤城が説明した通りだが自身そして姉妹艦を守る為に俺達に危害を与えていたんだ。」
「しかも『勇人さんの方の艦娘達』の話では私達の前任達が日頃のストレスを吐き出す様に『夜の御相手』を強要する等『職権乱用』をして苛めていた所もあったらしいです……所で勇人さん『夜の御相手』って何ですか?しかも今、私の本名を言い掛けませんでした?」
「……子供が聞いて良い内容じゃねぇから知らんで良いし気にするな。大人になれば分かる事だ。名前に関しては悪かった。ついうっかり……」
「……緑には早過ぎる内容よ」
「……何か納得いかないですが分かりました」
上城は不本意に緑の『本当の名前』を言い掛けた事を隠す様に咳払いをし、緑と朱里と共に何事も無かったかの様に勇人達に説明し終えると三笠と勇人は二人の説明に信じられなかったのか、はたまた緑が発言した『夜の御相手』と聞いて、かなり狼狽えながら聞いた。
「なっ!?よ……よよよ……『夜の御相手』だと!?人間が……指揮官が自身の仲間である艦娘達相手に強制的に……」
「え!?それじゃ博霊さんの世界は……僕とは真逆で艦娘では無く『良心を持たない人間達の手』によって……」
「……ああ。残念ながらな……」
二人は上城達の世界で問題になっている『ブラック鎮守府の内情』を知り、絶句すると友伽里は先程、赤城が『彼方の艦娘達を憎んでいない理由』を知り、納得しつつもKC金剛に忠告した事を思い出し、その事について赤城に聞いた。
「成程ね。だから先程の説明の前に『博霊さん達の前任によってトラウマを抱えているであろう彼方の榛名』を配慮しつつ承諾を得た訳ね………だけど分からない所もあるわ。赤城は何故、金剛の意見を無視して榛名の意見を聞いたの?普通なら金剛にも聞く筈では?」
友伽里は赤城が説明をする前に行った経緯について触れると赤城は『艦娘として最低な過ちを犯したKC金剛』に対して『強い怒り』そして『当時のKC金剛の事情』を察し、同情する様な『深い哀れみ』の2つの感情が混み上がりながらも自身の感情を抑え込む様に俯きながら答えた。
その『罪』とは……
「……確かに、普通なら彼方の榛名だけでは無く金剛にも了承を得るべきですが……私の独断で金剛には聞きませんでした。何故なら金剛は『大本営襲撃事件』の後、自身の姉妹艦である『比叡』『榛名』『霧島』を上城様の前任である『堤下 督郎』によって『人質』にされ、彼の『命令』いえ『脅迫』によって瀕死の重傷を負った上城様にトドメを刺そうとしたからです。」
「あの事件の後……ッ!?まさか!?左腕を失った博霊さんに暴行した金剛って……貴女だったの!?」
「……そうデス。」
「ギリッ……酷すぎる……」
「……瀕死の重傷を負った上城様に……そして妹達を盾にして……残忍極まり無い男ですわ……」
「「……全くよ」」
「「「………」」」
……『大本営襲撃事件』の後、妹達を人質に取られていたものの『瀕死の重傷を負った上城にトドメを刺そうとした金剛』が今『目の前に居る金剛本人』によるものだったのだ。
友伽里は赤城の説明に驚愕し、赤城と同じく上城の前任が行った蛮行に『強い怒り』と人質にされた妹達を守る為に已む無しに行った金剛の行いに『深い哀れみ』の2つの感情が一気に混み上がり、歯軋りをし、上城の孫達と愛宕達は友伽里と同じく自身の感情を抑え込む様に辛い表情になりながら俯くと三笠は当時のKC金剛の事情に同情するかの様に悲しい表情になりながら正座しているKC金剛とKC榛名に近付き、彼女の目線に合わせる様にしゃがみ、そして……
ギュッ……
「ッ!?み……三笠……」
「み……三笠御姉様……」
……二人を慰めるかの様に優しく抱擁したのだ。
二人は『三笠に殴られる』かと思っていたのか、三笠が抱擁した事に戸惑いながら聞くと三笠は二人を自身の妹達として接しているかの様に優しく答えた。
「……御主達も指揮官同様、上城殿に出逢うまで辛い思いをしてきたんだな……だからこそ私達や指揮官に艦娘もまた艦船と同じ存在だと伝える為に、そして平行世界とは言え自身の蛮行のせいで指揮官を廃人寸前までに追い込ませた事よるケジメを着ける為に此処に来たんだな?」
「「……Yes」」
「……なら御主達も指揮官を治す為に我々と共に手伝ってくれぬか?上城殿の話では指揮官は『PDなんちゃら』という厄介な症状になっているから我々の力では難しいからな……」
「「ッ!?」」
三笠は二人の過去を知り、尚且つ二人の行動に筋が通っていたのか優しくお願いすると二人は三笠の言葉に救われたのか涙目になりながら「……はい!!喜んで!!」と強く答えると勇人は二人の気持ちを知り、自身のトラウマに立ち向かう様に身体を震わせながら近付き、今の自身の本音を二人に伝えた。
「……金剛様、榛名様……ぼ……僕は君達の過去を知ったからってトラウマが消える訳でも無いし、平行世界の君達によって兄弟姉妹を殺した恨みが消える事はありません……だが、それはあくまで平行世界の君達であり、君達本人ではありません。だから僕が三笠さんや母さん達……いや『重桜の皆さん』に恩を報いる為に……そして君達と僕のケジメの為に博霊さんと共に僕の治療に協力してくれないか?」
勇人は身体こそは震えていたものの真の入った強い口調でKC金剛達に『勇人自身を治療する為に協力して欲しい主旨』を伝えると二人は勇人の言葉に感極まったのか泣きながらも艦娘達に強いトラウマを持っている勇人が二人に嘘を言っていると思ったのか狼狽えながら聞き返した。
「ッ!?少尉………それって、つまり……」
「榛名達を……『許す』と?」
二人は勇人の意外な発言に狼狽えながら聞き返すと勇人
は『二人が本心』を知り、そして何よりも彼女達が『上城側の艦娘達』である事から『勇人自身にトラウマを植え付けた元凶である艦娘では無い事』をKC金剛とKC榛名、三笠そして上城に伝えた。
「……許すも何も君達は博霊さんの艦娘だから、君達を恐れていても恨むのは『御門違い』さ。そうだろ博霊さんに三笠さん?」
「……ああ。そうだな」
「うむ……英断だったぞ指揮官」
上城と三笠は勇人の結論に彼を称えるかの様に微笑みながら答えるとKC金剛とKC榛名は勇人の嘘偽りの無い言葉に感極まり号泣しながら抱き着き……
「は……勇人さぁぁぁぁん!!」
「本当に……ごめんなさぁぁぁぁい!!勇人さん!!」
ギュッ!!
「ッ!?ちょ………うぅん……」
バタン!
「「「あ………」」」
「「ッ!?平行世界の勇人さん!!しっかりして下さい!!」」
「………上城殿、これは流石に……」
「……少し荒療治過ぎたか……仕方ねぇ、倒れている勇人はソファーに寝かせて宴会の準備をするぞ」
……それのせいで勇人のトラウマが再発し、気絶したのは言うまでも無かった。