平行世界の最弱の龍が重桜に『保護』されました。これより治療を始めます。   作:八意 颯人

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第1章「精神に傷を負いし者」
第1話「平行世界からの送り者」


1030 佐世保鎮守府 医務室にて

 

「……」

 

ピッ……ピッ……

 

医務室内に設置されているベットの上に麻酔により眠っている重傷の男が横たわり、その男の生命音である心肺計測器の機械音が鳴り響く中、三笠と赤城は男が()()()()()()に安堵しているのか、胸を撫で下ろし、疲れきった表情で猫耳を付けた緑髪の少女に礼を言った

 

「済まぬな『明石』……本業以外の仕事を押し付けてしまって……」

 

「お陰で、この殿方の峠は越えましたわ……」

 

「三笠達が気にする事は無いニャ……これも工作艦である明石の()()ニャ……しかし……」

 

「しかし?」

 

猫耳を付けた緑髪の少女……『工作艦 明石』を精霊化した艦女『明石』は眠っている男に違和感を感じているのか、腕を組み、首を傾げながら言った

 

「……この人の身体の傷……まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が、かなりの箇所があったニャ……しかもセイレーンか他の艦女のどちらかは分からないが、それの攻撃による()()()()()()()が残っていたニャ……」

 

「火傷だけではなく弾痕もか!?しかも常日頃から!?」

 

「ッ!?セイレーンの連中ならやりかねませんが、もし古傷……骨の変形や火傷、弾痕の原因が『()()()()()()()()()()()()()()()』だったら……とんだ愚か者ですわ……そんな愚か者を殺してやりたいわ……」

 

明石は自身が疑問視している『男の古傷』について答えると三笠は驚き、赤城は半分は納得しつつ『もし古傷を作った原因が他の艦女』だと考えると、怒りが込み上がり、殺意を込める様に拳を強く握り締めると水が入った桶を持ってきた加賀が医務室に入室し、話を聞いていたのか、自身の憶測を三人に言った

 

「……なぁ明石、この男も常日頃から私達と同じ様に戦場に赴き、そのまま『負傷した』という憶測はしないのか?」

 

「……それは無いニャ、もし常日頃から戦場に赴いていたら、()()()()()()()()()()()になっていないニャ……」

 

「……そうか」

 

明石は加賀の考えを否定すると、加賀は少し残念そうに桶の水を染み込ませたタオルを絞り、絞ったタオルを男の顔を拭こうとした途端……

 

「うっ……うう……」

 

「ッ!?気が付いたか!?」

 

「大丈夫か?」

 

男は気が付き、加賀と三笠は心配そうに男に聞くと、男は三笠を見て顔を青ざめ、震えながら言った

 

「ヒィッ!!や……止めて下さい!!僕を……」

 

「ちょ!?落ち着いて!!私は貴方を治療しているの!此処で暴れたら傷が開くわ!!」

 

三笠は男の予想外の行動に驚きつつも、男を落ち着かせる為に()()()()()()調()で男に言うと、男は怖がり、平常心が保たれていないのか、三笠達にとって()()()()()()()()()を言った

 

それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……僕を……『殺さないで下さい』!!腕を折ってみせます!爪だって剥がします!!だから……殺さないで下さい!!()()()!!お願いします!!」

 

「「「「ッ!?」」」」

 

……そう、本来『守るべき人類からの命乞い』だったのだ

 

三笠達は男の命乞いを聞き、只々、絶句すると、男は恐怖により動揺しているのか、三笠達から逃げる様にベットから転げ落ち、這いつくばりながら部屋の隅に踞っていると、赤城は静かに男に近付いた

 

「……」

 

「ヒィッ!!こんな僕を……」

 

男は震え、踞りながら赤城に言うと、赤城は男の前でしゃがみ、そして……

 

 

 

 

 

 

 

ギュッ……

 

 

「……へ?」

 

男を安心させるかの様に優しく抱擁したのだ

 

赤城は男が冷静さを取り戻したのを見計らって、優しく、そして落ち着いた口調で男を説得した

 

「大丈夫ですわ、この赤城が責任持って貴方を御守りしますわ……だから赤城の前で『この様な愚行』をするのは止めて欲しいですわ……それに私達は『艦娘』では無く『艦船少女』……通称『艦女』ですので御間違いの無い様、お願いしますね」

 

「か……艦女……艦娘様とは違うのですか?」

 

男は少し落ち着いたが、まだ恐怖により身体を震わせながら『艦女』について聞くと、赤城は男の質問に優しく答えた

 

「う~ん……この赤城『艦娘』という言葉は初耳ですが『艦女』って言うのは『軍船が精霊化した女子(おなご)』の事です」

 

「ッ!?やはり『艦娘様』と()()じゃないですか!?」

 

「だから違いますわ……」

 

「これじゃ埒が……ん?ちょっとお尋ねしたい、貴殿が言っている『艦娘』って言うのは何だ?」

 

赤城の説明に男は再び動揺し、再度、恐怖に怯え始め、三笠は男が言っていた『艦娘』について聞くと、男は三笠を見て、先程以上に恐怖に怯え、冷や汗を流し、身体を震わせながら言った

 

「ヒィッ!み……()()様!僕を……」

 

「ッ!?何故、我……じゃなかった、私の名前を()()()()()()?」

 

三笠は自己紹介をしていないのに、男は三笠を()()()()()について、男を刺激しない様に優しく質問すると男は震えながら説明した

 

「……僕の……そ、()()()……()であり、艦娘様の頂点に立つ人です……」

 

「な!?貴殿の……『母親』だと!?」

 

「……あの状態だと、幼少時代から艦娘達に……」

 

三笠は男の説明に驚き、加賀は今の男の状態を見て『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』と結論着け、赤城は男を落ち着かせる為に男を更に強く抱き締め、優しく言った

 

「ッ!?」

 

「……辛かったでしょ?此処は『害虫(艦娘)』は居ませんわ、もし『貴方の天敵(艦娘)』が現れたら……赤城達が駆除(ソウジ)しますわ……だからと言って赤城達を信じてとは()()()()()()……ただ、これだけは知って欲しいわ……」

 

「知って……欲しい事?」

 

赤城は一呼吸を置き、男に優しく言った

 

「ええ、此処は貴方に仇なす者は()()()()()()()()……赤城達は人類を平和に導く者『艦女』ですから……」

 

「ッ!?平和に導く者……艦女……」

 

男は赤城の言葉に震えが止まり、徐々に冷静さを取り戻し、赤城に聞くと、赤城は微笑みながら言った

 

「ええ、そうですわ……」

 

「そうですか……分かりました……先程は御無礼を……」

 

男は完全に冷静さを取り戻し、謝罪すると、赤城達は笑顔を崩さず、男に自己紹介を始めた

 

「いいえ、気にして居ませんわ……自己紹介が遅れましたわ……『一航戦』の『赤城』と申しますわ」

 

「同じく『加賀』だ」

 

「『明石』ニャ……」

 

「我は『三笠』だ……まぁ貴殿の母君とは別人だから間違えぬ様にな……」

 

「……此方こそ暫くお世話になります」

 

男は『自身が知っている赤城達』とは程遠い容姿の赤城達を見て少し戸惑いを感じつつ、頭を下げると、三笠は事が収まった事に安堵し、男の名前について聞いた

 

「うむ、宜しく頼むぞ……所で貴殿の名は?」

 

三笠の質問に男は『自身が知っている三笠』と『助けて貰った三笠』の容姿が極似しているのか少し混乱しつつ、自己紹介を始めた

 

「僕は……」

 

男は自身に『この人は育ての母じゃないんだ!』と言い聞かせつつ、深呼吸し、自身の名前と役職を答えた

 

だが、それは三笠達の中で『予想だにしていない肩書き』だったのだ

 

 

それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『佐世保鎮守府 第一前衛基地』の『司令官』で『海軍少尉』……『上城(かみしろ) 勇人(はやと)』と申します」

 

「うむ………ん!?」

 

「「………へ!?」」

 

「ニャ!?」

 

……『神の悪戯』なのか、はたまた『妖怪(悪魔)の気紛れ』なのか、男……否、勇人の肩書き(素性)は今、三笠達が所属している鎮守府と同じ鎮守府だった事に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、()()()()()()()()()()()()()()()()の舞鶴鎮守府付近の海岸にて……

 

「……」

 

「……何処に行っていたんだ?探したぞ……」

 

手術服を着用し、顔にマスクを着けた男が勇人を異世界に飛ばした元凶である女性が微笑みながら答えた

 

「……ちょっと()()()にね」

 

女性は男の質問に答えると、男は女性の目を数秒間、確りと見つめ、目を移すと女性の野暮用(目的)を察したのか、呆れながら答えた

 

「……ったく、問題事(火種)を増やすんじゃねぇよ……」

 

「大丈夫よ、貴方には一切、関わらせないわ」

 

「……まぁ良い、今はそんな事をしている場合じゃねぇ、行くぞ……」 

 

「ええ……」

 

男は女性の性格を熟知しているのか、深追いするのを止め、女性と共に鎮守府に急いで戻った

 

(……平行世界とは言え『彼と同一人物』だから問題無いが、些か不安が残る所があるわ……達者に暮らすのよ……アッチの勇人……)

 

……自身が行った野暮用(善行)に不安を感じながら……

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