平行世界の最弱の龍が重桜に『保護』されました。これより治療を始めます。   作:八意 颯人

31 / 46
第18話「混沌と化した宴そして勇人の意思表示(決意)

博霊の宣言により宴会が開始されてから30分後 食堂改め『特設宴会場』にて……

 

「グビッ……グビッ……プファ!さっすが上城殿、相変わらず良い酒を選択するなぁ♪特に『山崎55年』は味わいも深く、香りも良い……桜花大尉、本当に良かったのか?上城殿の『秘蔵の酒』を勝手に持ってきて……しかも相当高額な酒を……」

 

三笠は優花が持って来た酒『山崎55年』を舌鼓しつつ、優花が持って来た酒が『相当高額な酒』だと把握し、申し訳無さそうに言うと優花は三笠の不安を取り除くかの様に微笑みながら答えた。

 

「大丈夫ですよ。まだまだ()()()()()()()()ので♪」

 

「『隠し持って』って……そこまでやるか普通?」

 

「何ででしょうね……」

 

「まさか………脱税対策の為に隠しているんじゃ……」

 

「……あの『悪に染まった方の指揮官』こと上城殿の事だ。十中八九『脱税対策』で隠しているに違いない!!もし本当に『脱税対策(その様な悪行)』なら、この三笠が直々に性根を叩き治してやる!」

 

優花の答えに勇義は水で割った山崎55年(ウィスキー)が注がれいる盃を味わうかの様に勇人と一緒にチビチビと味わいながら首を傾げ、三笠は隣でチビチビ飲んでいる『卯耳を着けた艦船』こと『島風』の憶測を鵜呑みにし、先程までの博霊の『悪行染みた行い』を思い出し、憶測しながら声を高々に言うと山崎55年をロックで飲んでいるKC隼鷹は三笠の発言に苦笑しながら三笠の憶測を否定した。

 

「まぁ、提督(アイツ)の事だから何食わぬ顔で悪に手を出すが脱税では無いぞ三笠さんに島風。提督(アイツ)は山崎55年みたいな『クソ高い酒』をアタシや那智みたいな『飲兵衛達』に取られない様に隠しただけだからな♪それに提督(アイツ)は私達の日本(世界)では『高額納税者』として高く評価されているから安心してくれ♪」

 

「なぬ!?か……上城殿が『高額納税者』!?一体何故?」

 

「「は!?博霊殿(さん)が!?」」

 

三笠と勇人そして島風はKC隼鷹の説明に口に含んでいた酒を吐き出しそうになり、驚愕しながら聞くとKC隼鷹は酒をグイッと飲み干し、自分自身を嘲笑うかの様に笑みを溢しながら答えた。

 

「……まぁ提督が納めているのはアタシ達の世界の政府が建てた部署『戦争孤児福祉緊急対策省』文字通り『戦争で孤児になった子供達を助ける為に創設された政府の管轄』の事だが、提督は戦争孤児達(その管轄)に対して『名無し(アンノウン)』として自主的に税金を納めているんだ。提督(アイツ)は『大本営襲撃事件』や『920事件』等の戦争で数々の民間人や日本の軍人達が亡くなった事に負い目を感じているんだ。複雑な事情があったとは言え自身のせいで亡くなった民間人や味方の軍人(同僚)そして残された子供達に対しての『軍人としての罪滅ぼし』の為に提督(アイツ)自身の給料の半分以上を『平和な未来(あす)を生きる子供(孤児)達』の為にアタシ達に黙って毎月欠かさず納めているんだ……本当、水臭い事をするぜ……あの提督(バカ)は……人が良過ぎるんだよ……こうなったのも全て提督(アイツ)責任(せい)じゃないのに全部背負いやがって……アタシ達だって一緒に罪滅ぼしをさせてくれよ……」

 

KC隼鷹は最初は嘲笑っていたが、酒の酔いに身を任せる様に自身の無念を悔し涙を流しながら三笠達に告白すると三笠と島風は先程の軽率な発言に猛省し、俯きながら謝罪した。

 

「……すまない。御主にとって『言ってはいけない事』を言ってしまって……」

 

「……すみません。自分が軽率な事を言ってしまったせいで……」

 

二人は俯きながら謝罪するとKC隼鷹は「此方こそ白けさせてゴメンな」と慌てて二人に謝罪するとKC隼鷹の説明を黙って聞いていた赤城は博霊が持ってきた酒『手取川』が注がれているコップを緑茶を飲む様に上品に飲みながらも神妙な表情でKC隼鷹に言った。

 

「……なら何故、その事を上城様に……貴女の提督に言わないのですか?貴女も上城様と同じく戦争で孤児になった子供達に対して贖罪する気持ちがあるのなら上城様と一緒に行えば良いのでは?」

 

「ちょ!?赤城!?彼方には『彼方の事情』があるのよ!もう『この話』については触れないで!!ごめんなさい隼鷹、赤城が『あんな事』を言って……」

 

愛宕は赤城の正論に慌てながら赤城を窘めながら謝罪するとKC隼鷹は悲しく俯きながら赤城の質問に答えた。

 

「……気にして無いさ。それに言い訳では無いんだが、アタシ達は提督(アイツ)が『それ(寄付)』をしていた事に気付いたのは数時間前(ついさっき)()()()()()……」

 

「聞いた?誰から聞いたのですか?」

 

赤城はKC隼鷹の言葉を聞き、怒りが入ったかの様な重く低い声を出しながら問い詰めるとKC隼鷹は俯いたまま赤城の質問である『博霊が寄付し続けている事を告白した人物』について答えた。

 

だが、それは軍人である博霊とは一番接点(関わり)の無い人物だったのだ……

 

その人物とは……

 

「………アタシ達の世界の『内閣総理大臣』と『天皇陛下』から聞いたんだ」

 

「「「な!?な……ななな……()()()()()()()()()()からだと!?」」」

 

「ッ!?……な……何故、国の最重要指導者である総理と陛下から聞いたのですか?軍人である上城様とは一番関わりの無い人物なのに?」

 

……日本の政治を纏める長である『内閣総理大臣』と日本の皇帝である『天皇陛下』から聞いたのだ。

 

赤城はKC隼鷹の告白に動揺を見せ、冷静さを取り戻すかの様に声を震わせながらも普段の御淑やかな口調で聞くとKC隼鷹はウィスキーをコップに注ぎながら答えた。

 

「……昔、未来と現在そして国の存亡が懸かった大事件『蒼霧事変』が起きてな。提督が、その大事件を解決した『功績者の一人』として天皇陛下主催の『親授式』に呼ばれたんだが『とある事情』で欠席したから天皇陛下自ら後日、改めて親授式を行う事を聞いている時に『その事』を聞かされたんだ。赤城さん、提督の部下として聞くが今の『アタシの立場』が『アンタの立場』なら、どう動く?勿論アタシは提督に問い詰め『寄付を止めさせる』か『提督と一緒に寄付するつもり』だ。アンタなら絶対、少尉と共に贖罪を背負って行くつもりだろ?」

 

KC隼鷹は静かに、そして悲壮感のある重い声を出しながら赤城に問い掛けると赤城はKC隼鷹の言葉に黙り込み、彼女の質問に肯定するかの様に静かに頷き、短く答えた。

 

「……確かに、貴女の言う通りね。私なら指揮官様と共に……いえ()()()()()()()()()()()()()()()……野暮な事を聞いて、ごめんなさいね」

 

赤城は『今のKC隼鷹の立場が自分自身だった場合』を妄想もとい想定し、彼女の言葉を静かに肯定すると愛宕は暗くなった場の雰囲気を変える為にKC隼鷹が言ってた『蒼霧事変』の『その後』について聞いた。

 

「蒼霧事変って……確か『彼方の世界の東煌(C国)の連中』が四年前に亡くなった上城さんの実姉である『水嶋蘭花さん』を蘇させ、彼女や群像君そして翔一朗達そして和平派のセイレーン(深海棲艦)を騙し、そのまま『彼方の重桜(日本)』を乗っ取り、上城さんを殺そうとした事件の事よね?その事件が終わった後、上城さんは何をしてたの?天皇陛下主催の親授式を欠席しなざるを得なかった事情って?」

 

「水嶋?上城じゃ……」

 

「結婚したからよ。これ位、察しなさい島風……」

 

「あ!?それ私も聞きたいです♪教えてくれませんか?」

 

「僕も聞きたいです」

 

「我もだ。あの陛下主催の親授式を欠席した位だ……何か理由があったのか?」

 

愛宕は島風のボケに苦笑しながらツッコミつつ博霊が何故、授賞式を欠席した事情について早苗と三笠そして勇人と共に聞くとKC隼鷹と優花は当時を思い出したのか苦笑しながら答えた。

 

「う~ん……何て言えば良いんかな……表向きは『蒼霧事変での負傷による辞退』なんだけど……あのワガママな提督だから『()()()()()()()()()()()』との理由で高速修復材を使って強制的に完治させ、病院しかも提督が入っている病室であり警備が一番厳重な『集中医療室(ICU)』から脱走し、そのまま東京都内へ遊びに行ったからな……」

 

「……簡潔に言うと親授式を『入院中』と嘘を吐いて『ボイコット』し、そのまま遊びに行ったのよ。そして軍は親授式をボイコットした『私達側の勇人君』こと『飛龍君』はボイコットした罰として遊びに行っている道中で助けた交通事故孤児を義妹として迎え、年末年始の休暇を取り上げ、2週間『新人達の教官』として大本営に幽閉したのよ」

 

「「「……………はぁ!?親授式をボイコット!?それに病院を脱走!?フリーダム過ぎませんか!?彼方の指揮官は!?」」」

 

「……頭が痛くなりそうだよ……これが平行世界の僕だなんて……」

 

「昔からハヤチャンの行動力(フリーダムさ)は度を越えているのに……少しは落ち着いて欲しいですね……」

 

「同感だ指揮官に東風谷殿……しかも集中医療室に入る程の瀕死の重傷を負っているのにも関わらず……本当に『自由奔放』な男だ……」

 

「……泣けるわね」

 

二人の説明に勇人と三笠を除くアズレン組は驚愕し、勇人と三笠、友伽里そして早苗は頭を抱えながら悪態を吐くと勇義と萃果は「あっははは♪そこだけは昔から変わら無ぇな♪」と腹を抱えながら爆笑すると先に酔い潰れてしまったW二航戦と翔一朗、隼鷹、敦、大鳳、由香奈(コンゴウ)そして隼一を別室に移動する為に席を外していた朱里と三笠元帥が会場に入り、今の現状(雰囲気)に首を傾げながら聞いた。

 

「ただいまぁ♪さて、飲み直し……あれ?どうしたの?」

 

「ん?何か問題でも起きたの?」

 

「お帰りなさい教官に元帥……赤城さん、これを御願いします。これは見られては不味いので……」

 

「分かりましたわ大尉。では、この赤城の尻尾に……」

 

朱里と三笠元帥は首を傾げながら聞くと優花は赤城の了承を得て然り気無く山崎55年を赤城の尻尾の中に隠し、友伽里は平行世界とは言え『勇人の母親』として朱里の育て方に不信感を抱き、その事を懸念しながら聞いた。

 

「……博霊さんが解決した『蒼霧事変』について聞いていたのよ。貴女、一体どんな育て方をしたの?」

 

「そりゃ誰よりも『強く』そして『慈愛のある優しい心』を持つ様に徹底的に育て上げたんだか……それが、どうかしたの?」

 

「いや、『ソッチ』じゃなくて……博霊さんが親授式をボイコットした件についてですよ」

 

朱里は友伽里の発言に然も当たり前かの様に首を傾げながら聞き返し、勇人はトラウマのせいなのか朱里に恐る恐る臆しながらツッコミをすると、朱里は「その事ね……」と気不味そうに目を横に反らし、三笠元帥は「あの件についてか……」と苦笑しつつも友伽里の真意を察し、自由奔放過ぎる博霊を育て上げた元凶(母親)である朱里が友伽里の棘が入った質問に申し訳無さそうに答えた。

 

「……あの子の自由奔放(フリーダム)な性格は『私達の世界の()()()()』だから遺伝子的に治し様が無かったからね……ごめんなさい」

 

「……アッチの私譲りなら仕方無いわね。貴女を責める様な言い方をして、ごめんなさいね」

 

友伽里は朱里の答えに同情し、謝罪しながらウィスキーの摘まみであるアーモンドチョコを上品に味わいながらウィスキーを堪能していると突然、友伽里の背後に隙間が展開され、隙間から『黒い鉢巻をした十代中頃の肌白い少女』が彼方の世界で博霊が作ったであろう『生春巻』が乗せている大皿を慎重に運びながら朱里に言った。

 

「朱里さーん。()()が作った生春巻を持ってきたよ」

 

「お!?相変わらず良いタイミングに持ってくるなぁ♪ありがとう『未来』」

 

「ッ!?……この禍々しさは……」

 

「ッ!?あ……貴女様は……秋月様!?それにしては色々と薄い様な……」

 

「……あ!?ヤバッ!そ……それじゃ、ごゆっくり……」

 

朱里は『肌白い少女』こと『未来』に礼を言うと勇人は未来の容姿を見て『艦娘 秋月』と被り、自身の恐怖心を煽る様に動悸が早まり、身体を震わせ顔面蒼白になっていると未来は勇人の容態の変化を察し、そそくさと帰ろうとしたが赤城は『勇人の容態の変化』と『未来の容姿に関する何とも言えない違和感』を本能的に察知し、勇人を守る様に寄り添い、未来に殺意をぶつけるかの様に艤装と『黒炎を纏った龍』を召喚しながら冷たく重い口調で呼び止め、質問した。

 

「……待ちなさい。貴女、艦娘にしては『セイレーンに近い禍々しい何か』を持っているわね……何者?」

 

「フヒッ!?わ……わわわわ……私はアッチの世界の住人で勇人さんが知っている秋月では……あ……あああ……ありません!」

 

未来は赤城の『見た目が超凶悪(ヤバ)過ぎる龍』と『常人では耐えきれない程の強い殺気』に腰を抜かし、身体を震わせながら弁解すると赤城は「それは分かっています」と静かに一喝すると早苗と朱里そして優花は腰を抜かしている未来を守る為に慌てて二人の間に入り、戦闘状態しかも『本気』で殺しに掛かっている赤城に未来の正体を簡潔に説明しながら窘めた。

 

「ストップ!ストーップ!何やっているんですか赤城さん!!艤装を仕舞って下さい!!怖過ぎます!!未来ちゃん、大丈夫?」

 

「落ち着きなさい赤城、彼女は少なくとも勇人に仇なす者では無いわ」

 

「そうですよ。彼女は少し『訳有り』だけど『飛龍君(私達側の勇人君)』の『娘』ですよ」

 

「なら何故『セイレーン』いえ『深海棲艦に変身した上城様』に似た………へ!?か……()()()()()ぇ!?え!?ちょ!?どういう事ですか!?上城様は()()と御聞きしましたが……それに『訳有り』……まさか!?貴女は、この赤城の……娘?」

 

赤城は三人の説明に物凄く動揺し、混乱しているのか狼狽えながら未来に聞くと優花は未来に抱き着きつかれ、勇人と同じく身体を震わせ、顔面蒼白になっている未来を宥めながら答えた。

 

「大丈夫よ未来ちゃん。赤城さんは未来ちゃんの姿に驚いただけだから……赤城さん、彼女は『前世の記憶』を持った状態で『艦娘 秋月』として産まれてきたのです。そして……」

 

「……『彼女の前世』いえ『上城様の前世』では『貴女の父親』だった……という訳ですか。それなら私が感じた『違和感(禍々しさ)』について合点が付きますね。先程は失礼致しました……後、最後に一つ……」

 

赤城は優花の説明に自身の疑問が解決し、未来に謝罪し、中腰になり、微笑みながら未来の頭を撫でながら小声で忠告(おど)した。

 

「指揮官様の恩人の娘とは言え、指揮官様のトラウマを刺激する様な真似をしたら……()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「ヒィッ!?わ……分かりました!」

 

「これ赤城、未来ちゃんを脅すんじゃない。大人気無(おとなげな)い……ごめんね未来ちゃん。貴女の姿が『セイレーン』貴女の世界で言う『深海棲艦』に近い容姿だから警戒しちゃって……」

 

三笠は未来を脅した赤城に一喝しつつ、未来を安心させる為に敢えて素の口調である『母親の様な柔らかい口調』で赤城が警戒した理由を伝えると未来は赤城の事が相当怖かったのか涙目になりながら答えた。

 

「こ……怖かったよぉ!!まるで『深海棲艦になったパパ』を見ている様だったよぉ!!此処の赤城さん、色んな意味でヤバ過ぎるよぉ!!」

 

「よしよし……もう大丈夫だからね。赤城、艤装を仕舞え。彼女は指揮官に害なす者では無い……指揮官も怯えなくても良いぞ」

 

三笠は未来の頭を優しく撫でながら勇人に優しく言うと、勇人はトラウマ再発による顔面蒼白になったまま気絶から目覚め、狼狽えながら言った。

 

「………ハッ!?ぼ……僕は確か赤城さんの殺気に当たって……一体、何が起きたのですか三笠さん?」

 

「ッ!?も……申し訳ございません指揮官様!!指揮官様に当てたつもりは御座いませんでした!どうか……この赤城に寛大な処罰をッ!!」

 

「……ソッチの方で気絶していたのか御主は……まぁ分からんでも無いが……」

 

訂正、勇人は赤城の強烈過ぎる殺気に当たって気絶していた様だ……

 

赤城は、すぐに艤装を解除ながら慌てて勇人に土下座をし、三笠は勇人が気絶した理由を聞き、安堵と呆気が混ざった重い溜め息を吐くと未来は三笠に窘めたられた事に平常心を取り戻しながらも優花の背後に隠れながら勇人を気遣いながら言った。

 

「だ……大丈夫ですか?私、こんな姿ですが一応『秋月』なので……」

 

「う……うん。何とか……心配させてゴメンね未来さん……色々とありがとう。僕達の為に料理を運んでくれて……」

 

勇人は未来の気遣いに申し訳無さそうに答えると未来は「そ……そりゃ……平行世界とは言えのパパの前世の娘だからね。それじゃ、ごゆっくり……」と赤城を刺激しない様に答えながら隙間を介して場を後にすると、モニター越しで博霊とセーラー服の上に割烹着風の衣装を纏った艦娘『大鯨』と飲んでいる伊勢が一升瓶片手に陽気に騒ぎながら勇人達に言った。

 

「よぉ~指揮官、飲んでるかぁ~♪」

 

「チビチビ飲んでいるよ。初めて酒を飲んだけど……こんなに美味しい物だとは思わなかったよ……特に博霊さんから貰ったウィスキーが凄く美味しいよ……」

 

伊勢は勇人が飲んでいる『山崎55年』の感想を聞いて興味が湧いたのか、はたまた飲兵衛の性分(サガ)なのか大鯨と共に博霊を口説き……もとい説得し始めた。

 

「ほほう♪そんなに良い()()かぁ……上城さん、アタシも直接味わいたいなぁ~♪」

 

「えへへ♪提督、私にも『提督の()()』が欲しいですぅ~♪」

 

「止めろ二人共。これ以上、俺の秘蔵の酒を減らさないでくれ……ただでさえ車一台買える程の高い酒なのに……後、色仕掛けをするな」

 

伊勢は酒の酔いに身を任せる様に陽気に答えながら博霊の左腕を抱き着き、大鯨は赤面しつつも、あまり酔っていないのか意図的に自身の自慢の豊満な2つの山を博霊の右腕に密着させ、二人はキャバ嬢みたいに妖艶に誘惑しながら言うと博霊は二人の色仕掛け(頼み事)に呆れながら断ると三笠は博霊が今、文字通り『両手に花(ハーレム)状態』になっている事に「本当に節操が無いな……御主は……」と物凄く呆れながら呟き、博霊は呆れながら生春巻きを食べている勇人に言った。

 

「……んで、俺が作った生春巻きの味は?」

 

「モグモグ……ゴクン!凄く美味しいけど……ただ、コレ(ウィスキー)とは合わないよ。」

 

「あのなぁ……ソレは甘口の日本酒かビールで摘まむモノだぞ……ん?この感覚は……」

 

博霊は勇人の感想に苦笑しながら指摘しつつも、勇人の違和感を感じ取り、神妙な表情で勇人に聞いた。

 

「……お前、誰かに憑依されているだろ?」

 

「「「ッ!?」」」

 

「なッ!?さ……さぁ?何の事かな?」

 

勇人は博霊の質問に目を反らしながら否定すると博霊は勇人を見据えたかの様に鋭い目付きになりながら再度、聞いた。

 

「……惚けなくても良い。除霊(はいじょ)しないから出てこい」

 

「だから僕は………うっ!」

 

博霊は勇人の中にいる『本来の上城勇人』こと『上城』を呼び出す様に淡々に言うと勇人は博霊の呼び出しに答える様に瞳の色と髪色の一部を蒼く染め、両手の爪が爬虫類の爪の様に鋭利に変化し、声も某ベルトさんに似た落ち着いたダンディーな声に変わり、上城に変わった勇人が博霊に微笑みながら言った。

 

「……君の第六感には舌を巻くよ。これじゃ私と彼との約束が台無しになったじゃないか……初めましてだな『アッチの私』」

 

「「「なっ!?ま……まさか中佐!?」」」

 

「ほ……本当に……あの……勇人なの?」

 

「「「「ブーッ!な……何だってぇ!?」」」」

 

勇人もとい上城が微笑みながら博霊に挨拶すると赤城と三笠、愛宕そして友伽里は驚愕しつつ確認し、博霊を除く全員が飲んでいる物を勢い良く吹き出すと博霊は「……やっぱりな」と呟きながら上城の目的を聞いた。

 

「……何故、勇人に憑依した?何か未練でもあったんか?」

 

「私のか?私の未練は愛する妻である飛龍が私の死を乗り越えて幸せになって欲しい事しか考えていないから安心したまえ……しかし君は本当に『Parallel world(平行世界)の私』か?まるで『Roughneck(荒れくれ者)』の様な下品で汚い喋り方だ。もう少し上品に喋ったらどうだ?君も私に似て顔立ちが良いから損は無いと思うが……」

 

「……余計なお世話だ。喧嘩売っているんなら今すぐ除霊(はいじょ)してやろうか『ベルト擬き野郎』」

 

博霊は上城の言葉を聞いて癪に触れ、少し怒りが入った強い口調で言葉を返すと上城は「落ち着きたまえ、私は君と喧嘩しに憑依したのでは無い」と敵意が無い様に微笑みながら答えた。

 

「……まぁ『私個人の未練(そんな事)』は置いといて……私が何故、彼に憑依した理由は私が生前培った全てを使って彼をassist(補助)し、君や重桜と共に彼を治療する為に憑依したのだ」

 

「……その目や奇抜な頭そして蜥蜴(トカゲ)みてぇな爪は、どう説明するんだ?勇人(アイツ)に変なモノを与えるんじゃねぇよ」

 

博霊は上城に憑依された勇人の身体の変化に気付き、警戒しながら言うと上城は博霊の指摘に笑いながら答えた。

 

「ハハッ……これは私に代わった時に変化するんだ。ヴェノ〇みたいで格好いいだろ?それに『Lizard(トカゲ)』では無く『Dragon()』だ。其処(そこ)の所を間違えないでくれたまえ」

 

「……センスを疑うぞ。何処ぞのイマ〇ンライダー(仮〇ライダ〇電王)みてぇな事をしやがって……」

 

「ほう……君にしてはセンスのある言い草(ツッコミ)だな。実に気に入った♪」

 

上城は博霊に敵意が無い事を示すかの様に上品に、そして友好的に説明すると博霊は上城が敵意が無い事を理解すると共に自身とは真逆の雰囲気を持つ上城に苦手意識が芽生え、顰めっ面になりながら言った。

 

「チッ……一番苦手な野郎だぜ。まぁ敵意が無く、尚且つ協力してくれるのは此方(こっち)としても助かる。これからも手を借りる時があるから、その時は宜しくな」

 

Of course(勿論だ)♪君は彼と同じく『平行世界の私』であり佐世保(この鎮守府)希望(指揮官)を与えてくれた救世主だ。重桜の人間として全面的にSupport(協力)するよ。後、それと飛龍の事なんだが……」

 

上城は博霊の要望に快く承諾しながらも自身の未練(心残り)である飛龍の事が心配なのか、彼女について言おうとしたが博霊は上城の心情を察し、上城に安堵感を与える様に軽く鼻で笑いながら答えた。

 

「フッ……安心しろ。アンタの妻も俺が治療してやるからな……俺やビスマルクも『事情を知らなかった』とは言え飛龍の内情(気持ち)を踏み弄ってしまったからな。勿論、お前が勇人の中に居る事は黙っておくから安心しろ」

 

「……すまない。飛龍を頼んだぞ」

 

上城は博霊に託しながら勇人と入れ換わると勇人は上城に乗っ取られた後の記憶が鮮明に覚えているのか、悲しく俯きながら博霊に言った。

 

「上城さん……死んでも尚、僕や飛龍さんの事を……」

 

「……ああ。だが、それは勇人では無く『アイツの未練』だ。アイツに答えるのは勝手だが、それに答える余り、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。『アイツ』は『アイツ』『お前』は『お前』だからな」

 

「……それ位、分かっているよ……よし!!決めた!!」

 

「……ん?何を?」

 

勇人は博霊と上城の言葉に腹を括ったかの様に決意のある気合いが入った声を荒げ、神妙な表情になりながら全員に言った。

 

「皆さん聞いて下さい。僕は此処で宣言します!僕は『この世界の本来の上城勇人さんの遺志』を継ぎ……そして『この世界の新たな上城勇人』として赤城さんを初め数多くの佐世保の艦船の皆様や平行世界の艦娘や幻想郷の皆様そして僕の新たな人生の為に身を挺してまで助けてくれた『二人の上城勇人さん』に御恩を返すべく『重桜艦隊所属 佐世保鎮守府 第一前衛基地 指揮官』に着任し、そして……」

 

勇人は少し酔っ払ってはいるものの、その酒の酔いに身を任せる様に自身の本音と意志を強く宣言しながらも熱が篭り過ぎたのか冷静さを取り戻す様に一呼吸置き、勇人の中で『一番の恩返し』である『ある目標』と、それに伴う『願い』を皆に強く、そして意志のある溌剌とした口調で公言した。

 

そう、それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……この『優しさと慈愛に満ちた素晴らしい世界』に()()()()()()()()()!!勿論、僕一人だけでは精神的にも肉体的にも無理難題な目標(こと)です……だから秘書艦である『一航戦』の『赤城』さんに『加賀』さんを初め数多くの方々に御迷惑を掛ける事がありますが、僕の目標(願い)の為に御協力を御願いします!!そして赤城さんに加賀さん、どうか僕の秘書艦として傍に居てくれませんか?」

 

……アズールレーンの世界(この素晴らしい世界)に『安泰』つまり『他陣営の艦船含む人類全てに()()()()()()()()()()()()()を築き上げる事』を目標にし、その目標(願い)の為に赤城と加賀を秘書艦として指名し、力を貸して欲しい事だったのだ。

 

藤田(KC赤城)加賀美(KC加賀)は生春巻を頬張りつつもモニター越しではあるが勇人の宣言に呆気を取られ、目をパチクリと瞬きをしながら聞き返した。

 

「「……え?私達が少尉の?」」

 

「違ぇよ。アッチ(重桜)の方だ……それ位、察しろ」

 

博霊は二人の発言に勇人の熱意ある目標(気持ち)に共感した『自身の熱い気持ち』が一気に冷めたかの様に呆れながら一喝(ツッコミ)を入れると赤城は勇人の言葉に嬉しさの余り感極まって涙を流しながらも満面な笑みを溢しながら勇人の願いに答えた。

 

「も………勿論ですわ!この赤城、指揮官様の秘書……いえ『人生の伴侶』として御供いたしますわ!!加賀、貴女は?」

 

赤城はモニター越しではあるが深酒で倒れている加賀に聞くと、加賀は自前の根性で千鳥足になりながら立ち上がり、泥酔による吐き気が催して来たのか嘔吐物を吐かない様に口を強く閉じ、頬を膨らませながらも……

 

 

 

「ウッ……ゴクン!!……ぐ……愚問だな姉様に指揮官。それに私が居なければ誰が姉様の暴走を止めるんだ……その役目、しかと引き受け……た」

 

ドスン!!

 

「ちょ!?加賀さん!アッチの私、運ぶわよ!」

 

「分かっているニャ!!せぇーのぉ!!」

 

……勇人の熱意に答えるかの様に口に含まれている嘔吐物を強引に飲み込み、泥酔による顔面蒼白になりながらも笑みを作りながら勇人の願いに答え、そして力を使い果たしたかの様に地面に倒れ、偶々近くに居たW明石によって医務室に搬送された。

 

(((……貴女の強い意志(一航戦の誇り)、しかと見届けました。そして今後の苦労に同情します)))

 

(……彼方の私、彼方の赤城さんを宜しくお願いします……私達だけは『あの人の暴走(ヤンデレ化した彼方の赤城さん)』を止めれる自信が無いので……)

 

(平行世界とは言え『貴女の相棒(赤城)』として……大変御迷惑を御掛けします……)

 

そして博霊側の艦娘達及び一部の艦船達は勇人の願いに答えた加賀に敬意を表すかの様に強く、そして今後『赤城絡み』で苦労が増える事に同情するかの様な優しい目になりながら黙って敬礼し、藤田と加賀美(博霊側の一航戦)一航戦の誇り(艦船としての意気込み)を見せた加賀に申し訳無さそうに頭を下げたのは内緒である……

 

博霊は勇人の『決意(意思表示)』そして、それに答えた加賀の『決意と自尊心(一航戦の誇り)』を聞き、未来(あす)を見据えるかの様な神妙な表情になりながら勇人と赤城に聞いた。

 

「……良いのか勇人に赤城?お前達が選んだ目標(みち)は俺も含めて誰も為し遂げる事が難しくで『後戻りが出来ない修羅の目標(みち)』を歩む事になるんだぞ。それでも……やるんだな?」

 

博霊は勇人の決意を再確認しながらも勇人達が自身でもさえ為し遂げる事が困難な目標だと言う事を伝えると勇人は博霊の心配事を吹き飛ばすかの様に微笑みながら、赤城は勇人に『専属秘書艦』として選ばれて相当嬉しかったのか顔を綻び、高揚した表情になりながら答えた。

 

「フフッ、勿論ですわ……私は指揮官様の専属秘書艦(オンナ)……指揮官様の為なら、喩え修羅の道や茨の道……いえ指揮官様に仇なす者全てを焼き尽くすつもりですわ♡だから御心配する事は、ありませんわ♡」

 

「……何を今更。それにコレは僕達『重桜』だけでは無く、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。まさか今更、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

赤城は相変わらずの『何時ものヤツ(ヤンデレモード)』で答え、勇人は博霊(平行世界の自分)の性格を把握した上で彼を煽る様に微笑みながら聞き返すと博霊は鼻で笑い、微笑みながら答えた。

 

「……本当に『何を今更』……だな。俺は患者達(テメェラ)を見捨てる様な腐った真似はしねぇよ。赤城の受け売りでは無いが、重桜(テメェラ)だけでは取り除く事が出来ない障害(ジャマ)が入ったら俺や『俺の仲間達』が責任持って排除してやるからよ!だから……安心して自分の(意志)に突き進めよ!分かったかヘタレ野郎!」

 

博霊は野次を飛ばす様に勇人に悪態が入った激励をすると、勇人は博霊の激励を返す様に微笑みながら悪態が入った激励を飛ばした。

 

「君こそ自前の極道気質で下手売って彼方の憲兵達に世話になる事はしないでくれよ?僕達の目標に支障を来すからね」

 

「おう!バレない様にやるから問題無い!!」

 

「「「ッ!?そういう問題(こと)じゃないですよ提督(司令官)!!ってか、そういうのは堂々と公言しないで下さい!!『色んな方々』に怒られます!!」」」

 

博霊側の艦娘達は博霊の男らしい公言(問題発言)に焦りながら一喝すると博霊は「場を盛り上げる為の冗談なのに……」と苦笑しながら呟き、懐に隠していた携帯用の水筒を取り出し、水筒の中に淹れてあるウィスキーをコップに淹れ、チビチビ飲んでいると友伽里は博霊の呟きが聞こえたのか、呆れながら言った。

 

「……貴方の場合は前歴があるから本当にやりそうで怖いのよ。でもまぁ、まさか『二人の勇人』だけでは無く『死んだ息子』まで私達の前に現れるとは……本当に『事実は小説より奇なり』ならぬ『現実は小説より奇なり』という諺を現した様な1日だったわ」

 

「そうだな。ってか、そもそも……これは二次小s……」

 

「「メタ発言は止めなさい馬鹿(不良)息子」」

 

「はいはいっと……さて……俺もアイツの意思に答えますか……赤城に加賀、ちょっと来てくれ」

 

「「……分かりました提督」」

 

朱里と友伽里は博霊の『メタ過ぎる(身も蓋もない)発言』を被せる様に一喝すると博霊は先程の発言を撤回する様にゴホンと咳払いをし、ウィスキーが入った水筒用のコップを持ちながら藤田と加賀美を呼ぶと二人は『博霊の専属秘書艦』として長く付き合っていた事による強い信頼関係(きずな)が築き上がっているのか『博霊の考え』を誰よりも逸早く察し、三人は神妙な表情で勇人達と『ある約束』を提案した。

 

その約束とは……

 

「……佐世保鎮守府の艦娘達並びに各提督達に告ぐ!現時刻を以て『佐世保鎮守府 総司令官』権限の元『日本海軍所属 佐世保鎮守府』は『重桜艦隊所属 佐世保鎮守府』と友軍関係を築く事にした!!」

 

「その友軍の証として『佐世保鎮守府 総司令官』……いえ『我々の提督』であり『平行世界の上城少尉』である『博霊大将』を始め私達『艦娘』が無償で戦闘や業務等、ありとあらゆる事を全面的に支援します!」

 

「勿論、貴方達(重桜の皆さん)からの見返りなんて求めていませんし貰いたくもありません。これも平行世界とは言え『私達が行ってきた少尉に対しての悪行を精算する為』と『その少尉の誇り高い意志に答える為』に、この様な関係(かたち)として築き上げる事に至りました!元帥に少尉、異存はありませんか?」

 

「「え!?は……博霊さん達が重桜に!?」」

 

「「な!?博霊(上城)さん自ら!?」」

 

……そう、博霊達は自身の独断で『重桜艦隊』いや勇人達が所属している『佐世保鎮守府』と正式に協力関係を築き上げる事だったのだ。

 

博霊に藤田そして加賀美の提案に勇人達は博霊の軍人として非常識極まり無い発言に鎮守府自体の業務効率と戦闘力の底上げ(物凄く良い意味)で捉える者も居れば海軍一の問題児が味方になった事(それ以上に物凄く悪い意味)で捉える者も居った為、2つの意味(捉え方)が入り雑じり、ぶつかったかの様に驚愕し、狼狽えていると博霊の発言を聞いた三笠元帥は呆れながら博霊に言った。

 

「……大将、独断による友軍契約は軍法違反よ……まずは私を通してから契約して」

 

「たまには良いじゃないの三笠。それにアンタが『事後承諾』として手続きをすれば大丈夫よ……それに旦那は兎も角、あの子の業務を増やした原因の一つが貴女が怠っていた仕事(ツケ)を、あの子に回した事を……ねぇ……」

 

「ギクッ!?そ……それは……それに何故お姉ちゃんが、この事を……」

 

「本人から聞いたのよ」

 

「流石に、あの量は業務ところが日常生活に支障を来す量でしたから母さんに相談したのですよ。それに俺に後ろめたい気持ちがあるのなら、俺の要望に答えるのが筋じゃないのですか?」

 

博霊と朱里は陽気に笑いながら言うと三笠元帥は博霊の無茶苦茶な要望に苛つきながら生春巻きを頬張り、少し自棄になりながら答えた。

 

「あーもう!!本当に大将は無茶苦茶な要望をするわね!!分かったわよ!!現時刻を以て、この契約は『条件付公認』として取扱うわ!!」

 

「うわぁ……平行世界とは言え大本営のトップ相手に脅迫染みた事を……ん?『条件』?」

 

「何故『条件付』として扱うんですか?」

 

勇人は博霊の交渉術(オドシ)を間近で見て三笠元帥に同情しつつも、三笠元帥が言っていた『条件付』について博霊と共に首を傾げながら聞くと三笠元帥は呆れながら答えた。

 

「当たり前じゃない。普通の人間である少尉は問題無いが大将、貴方『現人神』と『付喪神』の2つの力を持った『チート人間』になったでしょ?その力のせいで『彼方の世界』を壊しかねないからね。それに『彼方の世界』ばかり気にしてて『此方の職務』を疎かにする訳には、いかないのよ。だから私からの条件は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……という事が条件よ……でないと私が()()()()()からね

 

「……三笠総司令官殿、今先ほど()()()()()()()()()()を聞いたが?それに部下である上城殿に仕事を押し付けていたとは、お主さては……」

 

「な……ななな……何を言っているのよ!これは私なりの『茶目っ気(ジョーク)』で私でさえ捌き着れない量だったから大将や上城元帥に助けて貰っていたのよ……流石『平行世界のお姉ちゃん』だわ。地獄耳だけでは無く睨み付け方や思考まで一緒だったとは……」

 

「なら彼方の私、コイツの監視員として私と契約する?」

 

「お!?それは良いな♪是非、我と……」

 

「止めて!!『日本海軍のザ・ボス』と言われている厳格なお姉ちゃんが『二人』居たら精神的に轟沈するわ!!ただでさえ失恋して凹んでいるのに!!」

 

三笠元帥は三笠のドスの利いた睨みに少し焦りながらもW勇人に『条件内容』を分かりやすく説明すると勇人と赤城は三笠元帥の説明に納得するのと同時に失恋で落ち込んでいる彼女に同情し「ですよね……それに同情します」と呟き、赤城は博霊と三笠元帥の提案について答えた。

 

「……話を戻しますが、我々『重桜』も指揮官様の本名と上城様の素性については『最終機密』彼方の世界では『特別防衛機密』に指定されているのですよ。その事を配慮した上での契約でしょうか?」

 

赤城は自身の世界の最終機密について三笠元帥に言うと三笠元帥は微笑みながら答えた。

 

「当たり前じゃない。ってか、そもそも大将自身が日本海軍(この世界)の『(奥の手)』として国から『特別防衛機密』に指定されているのよ。他国なら兎も角、違う世界……しかも彼方の深海棲艦こと『セイレーン』に大将と少尉の素性を公にしたら、セイレーンが何かしらの問題を起こすに決まっているわ。だから、この契約は『最終機密』此処では『特別防衛機密』として扱うから安心して……そして、この事項を踏まえて私達は貴方達との友軍契約を望んでいるわ。では彼方の『大本営総司令官』である上城元帥、御答えを……」

 

三笠元帥は赤城の不安を取り除くかの様な優しい笑みを溢しながら答えながら友伽里に聞くと、友伽里は微笑みながら答えた。

 

「……そこまで『私達に配慮された契約事項(ないよう)』なら喜んで契約するわ。『重桜艦隊所属 大本営総司令官』として……ね♪」

 

友伽里は微笑みながら承諾すると博霊は微笑みながら「決まりだな……」と安堵感が入った柔らかい声を発しながら酒を飲むと勇人と赤城は微笑みながら博霊と藤田に言った。

 

「では、改めて宜しく博霊さん……いや『アッチの僕』」

 

「指揮官様の専属秘書艦(伴侶)として歓迎しますわ。そして私からの条件は極力、指揮官様のトラウマを刺激させないでね……『アッチの(わたくし)』」

 

二人は微笑みながら手を差し出すと『平行世界の自分自身』である『博霊と藤田(KC赤城)』は微笑みながら博霊がコッソリ展開した隙間に手を入れ二人の手を力強く握り、微笑みながら答えた。

 

「おう、何か有ったら言えよ……『アッチの俺』」

 

「勿論ですよ。一航戦の誇りに……いえ『平行世界(この世界)の勇人さんの正妻(オンナ)としての誇り』に掛けて貴女の要望に全力で御答えしますよ……『アッチの私』」

 

「あら?落ち着いた身形(みなり)に関わらず上城様に対して大胆な……流石『平行世界の(赤城)』ですわ♪実に気に入りましたわ♪」

 

「フフッ、こう見えて『平行世界の貴女(赤城)』ですから、貴女みたいに人一倍()()()()()()んですよ。食事だけでは無く最愛の殿方に対しても……ね♪」

 

「これが悪に染まっていない『艦娘 赤城(平行世界の私)』の本来の性格でしたか……貴女とは気が遇いそうね♪フフフ……」

 

二人は『勇人と赤城(平行世界の自分自身)』に固く強い握手をすると加賀美と優花そして早苗は藤田の発言に驚愕し、強い口調で異議を唱えた。

 

「ちょ!?赤城さん!何さらっと正妻ポジを取っているのですか!!其所は私の席ですよ!!」

 

「オイコラ!何、人の旦那を寝取っているのよ!!」

 

「そうですよ赤城さん!!今すぐ訂正して下さい!!」

 

そーだ!そーだ!其所は私の席よ!今すぐ訂正して!

 

ブー!ブー!

 

三人が異議を唱えると博霊側の艦娘達及び萃果と勇義そして紫以外の幻想郷の住人達も藤田に野次を飛ばしながら異議を唱えると藤田は異議を唱えている人達の言葉を無視するかの様に軽く舌を出し、挑発するかの様に微笑みながら博霊の腕に抱き着き、答えた。

 

「良いじゃないですか♪私だって『彼方の私』みたいに自分を押さえ付けず、有りの(まま)に生きてみたいんですよ♪それに……」

 

藤田は顔を赤く染めながら博霊の顔を向き……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュッ♡

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「ッ!?」」」」

 

「あら……あらあら……流石、彼方の私ですわ。これは負けていられませんわ♪」

 

「「「あらまぁ……大胆……」」」

 

「……『最愛の人(提督)』の為なら私は『彼方の私』みたいに邪魔者を一掃しながら一生、寄り添って行くつもりですから、覚悟して下さいね……あ・な・た♡」

 

……博霊の腕から身体に抱き着き直し、そのまま唇を奪ったのだ。

 

赤城は藤田の大胆不敵な行動に同艦(赤城)としての『謎の対抗意識』を芽生えながらも友人の恋路を応援するかの様に優しく微笑み、舞鶴の艦娘達及び勇人含め全ての艦船達は恋愛ドラマのクライマックスシーンを見ている視聴者の様に胸を躍らせながら赤面し、悶絶していると博霊側の艦娘達は黙って艤装を展開し、鬼の形相になりながら幻想郷の住人達と共に怒鳴った。

 

「「「赤城ィ!!表へ出ろ!!誰が提督(勇人)の正妻か決めてやろうじゃねぇか!!」」」

 

「フフフ……ちょっと、やり過ぎましたね……ですが正妻として御相手しますよ♪提督に少尉、ちょっと席を外しますね♪」

 

「一応、大丈夫かと思いますが助太刀しても?」

 

赤城は高揚とした笑みを溢しながら藤田に聞くと藤田は……

 

「……是非♪」

 

……と微笑みながら承諾すると赤城は悪意丸出しの怖い笑みを溢し、鼻息を荒くしながら握手した時に展開した隙間を強引に拡張しつつ自身の身体を捩じ込む様に隙間に入りながら移動するとW勇人は苦笑しながら会話した。

 

「……泣けるぜ」

 

「正しく『それ』だね……しかし、あの藤田さんが……あんな大胆な行動を起こすなんて……」

 

「アイツはベロベロに酔うと、アッチの赤城みたいに『愚直な迄に自分に正直になる』から普段は自制していたんだ。主に『修羅場発展防止』の為にな。まぁ此処では日常茶飯事(恒例行事)だから気にするな」

 

博霊は苦笑しながら今現在の藤田の状態を簡潔に説明すると勇人は「あははは……」と只々、苦笑しながらも『自身が身を以て味わった艦娘達の本性』とモニター越しではあるが『色んな意味で生き生きとした艦娘達(彼女達)』を見て戸惑いながら博霊に言った。

 

「……しかし本来の艦娘様って、こんなにも()()()()()()()()()。」

 

「……『人間臭い』ではなく、アイツらも艦船達(赤城達)と同じく『戦える能力(ちから)を持った人間』だ。勿論、お前が曾て居た世界の艦娘達も性根は腐っているが『人間』だ……だからと言って俺は、お前を虐げていた連中(艦娘達)に許すつもりも無いし、したくもない」

 

「あははは……君らしいね」

 

「……一応、お前は平行世界とは言え『俺自身』だからな。この『怒り(ケジメ)』はアイツらに取らせて貰うつもりだ。さて、俺も()()()()()()……隙間展開っと……んじゃ!」

 

「へ?それ、どういう……あ!?そう言う事か……」

 

勇人は博霊の言葉を聞いて首を傾げたが彼の行動そして彼に迫ってくる者達を見て納得した。

 

何故なら……

 

「「逃げんなぁ勇人ォォォォォ!!今すぐ幻想郷に連れて帰って既成事実を作ってやらぁぁぁ!」」

 

「「逃げないで下さい勇人さん!!今すぐ佐世保に帰りましょ!!そして……フフフ……」」

 

「そうは問屋を卸せません!勇人さんは私の物です!!それに逃げても無駄ですよ旦那様♡私と一緒になりましょ♡」

 

「皆さん、それって()の事じゃないですよね!?()()()()の事ですよね!?ってか『バイ〇ハザード(一種のホラー)』ですよ!!皆さん怖すぎますって!!」

 

……先程の藤田の大胆不敵な行動と過度の飲酒によって正常な判断思考が失い、猟奇的な愛情やら狂気染みた笑みを此れでもかと言う位に溢している連中から逃げたのだ。

 

勇人が先程説明したが今や藤田達は『博霊に対しての猟奇的な愛情』という『ウイルス』に感染した『感染者(彼女達)』が、ある意味『元凶』である博霊を求め舞鶴鎮守府をデモ行進の如く暴走していたのだ。

 

勇人は『ゾンビ化』ならぬ『赤城(ヤンデレ)化』している藤田達が「勇人ぉぉぉ……勇人ぉぉぉ……」と覇気の無い静かな呻き声で連呼しながら探していた為、曾て居た時のトラウマとは又違うトラウマ(恐怖)が来ると思い、臆しながら聞くと、藤田達は……

 

「「「………違いますよ。貴方では、ありません。ウチの提督(旦那)を見付けたら御報告の方、御願いします」」」

 

……一瞬ではあるが冷静さを取り戻し、勇人の質問に答えると再び博霊を探しに走り回った。

 

勇人は先程の恐怖から解放され胸を撫で下ろすと三笠は博霊自身の面倒見の良い性格によって起きた『彼に対しての異常な迄の愛情』に、もう一喝する気も無いのか呆れ返りながらも勇人の気持ちを察し、微笑みながら冗談を言った。

 

「……我らに恩返しするのも良いが、上城殿みたいに節操の無い真似だけは止めてくれたまえ」

 

「分かってますって……それに僕は彼とは違い一途ですよ」

 

勇人は三笠の冗談に微笑みながら答え、続けて言った。

 

「それでも、彼みたいに仲間から慕われるだけでは無く、国民の平和を守る為に自ら艤装(ぶき)を持って前線に向かうなんて……やっぱ凄いよ……彼は……」

 

「少々、過激な所もあるが、あの姿こそ苦難や恐怖を乗り越えた『未来の御主』でもあり『未来の私達』かも知れないな。只、あの修羅場は私も御勘弁願いたいね」

 

「……そうですね。其所だけは気を付けます」

 

勇人は三笠の優しい言葉に満面な笑みを溢しながら酒を飲み、博霊を探している藤田達をコメディ映画を見ている様に静かに微笑みながら楽しい宴を過ごして行った。

 

そう、まるで博霊の仲間達が勇人達の未来を暗示しているかの様に……

 

 

 

ちなみに……

 

 

 

 

 

 

「あの……指揮官様……大変お恥ずかしい事ですが……この赤城の尻を押して頂けないでしょうか。尻と尻尾が隙間に……」

 

「「少尉に三笠さん……胸が引っ掛かったから助けて……ってか優花さん(早苗ちゃん)!何で私と同じ隙間から出ようとしたの!!」」

 

ワーワー!!

 

「……分かりました。では赤城さん、失礼します……」

 

「……放っておけ指揮官、彼女達を助けたら彼方に迷惑が掛かる……そうだろ彼方の間宮に緑ちゃん?」

 

「……御気遣い、ありがとうございます三笠さん」

 

「……本当にスミマセン」

 

赤城と早苗そして優花は狭い隙間から強引に入ったせいで隙間から出られなくなったのは言うまでも無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、とある鎮守府の会議室にて……

 

「……軍曹殿、佐世保鎮守府から吉報です。どうやら新しい指揮官様が正式に着任したそうです」

 

赤城に似た立派な九尾を着けた和装の女性が軍医と思わしき白衣を着た爽やかな若い男に報告すると男は女性の吉報に心の底から歓喜したのか嬉しそうに微笑みながら答えた。

 

「あら?そうなの?なら、さっさと早く帰らないとね♪天城ちゃん、今すぐ荷物を纏めて出発するわよ。あの子達が暴走しない内にね♪本当は大湊を観光してから帰りたかったが仕方無いわ」

 

「畏まりました……ッ!?」

 

男は女性口調で女性『艦船 天城』に指示を出し、二人は急いで照明を落とし、会議室を後にしようとした途端、天城は自身と軍医風の男以外の人気(ひとけ)を察し……

 

 

 

 

「……曲者!」

 

 

 

ドスッ!!

 

 

 

懐から素早く苦内を取り出し、その人気が居るであろう方向に向けて投げ、投げた苦内は硬い物が刺さったかの様な低重音を発しながら壁に刺さると男は直ぐ様、照明を着け、苦内が刺さっている所を見ると天城は軽い溜め息を吐きながら苦内に刺さったモノの正体を言った。

 

「……どうやら『ゴキブリ』が迷い混んだ様ですね」

 

「あら()だ……本当にゴキブリが刺さっているわね……んもう!気持ち悪い!!それに脅かさないでよ天城ちゃん!てっきり侵入者かと思ったじゃないの!!」

 

軍医風の男は苦内に刺さったゴキブリを見て気分を害しながらも天城の防衛行為に驚かされながら言うと天城は「申し訳ございません」と丁寧に謝罪し、続けて言った。

 

「……ゴキブリの後始末は、この天城に任せて軍曹殿は寝ている『土佐』を起こして、すぐに準備を……」

 

「……感染症には気を付けてね。最近流行っているからね」

 

男は刺さったゴキブリを見たくないのか、そそくさと会議室を後にすると天城は壁に刺さっている苦内の『横』に目線をやり、その『目線の先』に向けて忠告した。

 

「……貴方に敵意が無いのは分かってます。ですが此処は貴方の様な『ならず者』が入っても良い場所ではありません。憲兵や艦船達に射殺されない内に早急に出た方が身の為ですよ……それでは……」

 

天城は、そう言うと壁に刺さった苦内に術式を施されているのか指を鳴らすと苦内は淡い桃色の炎に燃え上がり、刺さったゴキブリごと苦内を消し燃やし、その場を後にした。

 

そして天城が目線を向けた先には……

 

 

(あ……危ねぇ……まるで赤城みたいな女だな。いきなり苦内を投げてくるとはな……まぁ手違いとは言え勝手に入って来た俺が悪いんだけど……しかし何者なんだアイツ?勇人の所に何の関係が……何か変な胸騒ぎがするんだよな……これが杞憂であれば良いんだが……)

 

……藤田達から逃げてきた博霊が居たのだ。

 

博霊は酒酔いによって能力が若干不安定になっており、本来なら勇人の所に行くつもりだったが手違いで別の鎮守府に来てしまったのだ。

 

博霊は少し動揺しつつ、先程の苦内を掠めた事によって雫が垂れ落ちるかの様に出血している右耳を所持しているハンカチで押さえ付け、地面に付いた血を隙間を使って消し、変な胸騒ぎを感じながら、こっそり自分の世界に帰って行った。

 

そして、この出来事が後々、勇人達に降り掛かる『一悶着の火種』になろうとは……

 

 

 

 

 

 

 

第1章「精神に傷を負いし者」 完

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。