場所は変わり、横須賀鎮守府にて
横須賀鎮守府……別名『大本営』又は『本部』と言われている日本海軍の最重要基地である
この横須賀鎮守府は『海軍基地全て』の中枢を補っている他、未来の指揮官達を養成、更に艦女達の艤装を改造等、あらゆる分野において日々、研究している日本海軍の中枢……否、日本の最重要拠点なのだ
横須賀鎮守府内の一室にて
「元帥、三笠大先輩から……」
緑色の和装、更に兎を模した耳と丸い眼鏡を着けた女性がデスクワークをしている年相応の妖艶な女性に報告すると、女性は溜め息を吐き、兎耳の女性に言った
「……どうせ『佐世保に早く新しい指揮官を異動させてくれ』……でしょ?『蒼龍』?」
「……この様子だと新米達は赤城さんの事を怖がって……」
「……泣けるわね、蒼龍……三笠に悪報を……」
「……分かりました」
兎耳の女性……否『空母 蒼龍』を精霊化した艦女『蒼龍』は元帥と言われていた女性の言葉を察し、少し落ち込みながら言うと、女性もまた嘆く様に呟くと蒼龍は残念そうにスマホを操作し、自身が所属している鎮守府『佐世保鎮守府 第一前衛基地』に電話を掛けたが……
「……出ませんね」
「……まさか悪報を聞きたく無いから居留守を使って……」
「……否定出来ませんね、それか『佐世保に問題が起きた』とか?」
蒼龍は頭を抱え、何とも言えない変な予感を感じ取り、小さく呟く様に質問すると、女性は蒼龍の言葉に苦笑いをし、答えた
「……それは無いわ、今の日本は艦女達のお陰で平和になっているのよ……そんな一等の宝くじが当選する確率より低いトラブルが起こる事なんて、そうそう無いわよ」
「……それもそうですね」
女性は苦笑しながら蒼龍の予感を一掃し、蒼龍と共にデスクワークに取り掛かった
まさか、蒼龍の予感が当たっている……否『予感以上に厄介な事が起きている』とは……
場所は変わり、『佐世保鎮守府 第一前衛基地』の医務室にて……
「上城殿、今……何と?」
三笠は勇人の肩書きに驚愕し、再確認の為、もう一度質問すると、勇人もまた『艦娘の三笠』と『目の前にいる三笠』の容姿が極似している為、まだ割り切っていないのか、少し臆しながら答えた
「ヒィッ……だから『佐世保鎮守府 第一前衛基地』の『司令官』と……」
「ニャんと!?よりによって『明石達の鎮守府』に……」
「何と言う偶然ッ!三笠大先輩ッ!是非とも彼……上城様を赤城達の『指揮官様』にッ!!」
明石は自身が所属している鎮守府と勇人が曾て所属していた鎮守府が同じだった事に驚き、赤城に至っては先程までの優しく、物腰の柔らかい雰囲気から一転、目を光らせながら興奮し、某奇妙な冒険のキャラみたいな口調で三笠に懇願すると、三笠は勇人の言葉と自身の鎮守府の現状に相違点が生じたのか、少し戸惑いながら答えた
「ちょっと待って!もし、上城殿が我と同じ鎮守府に所属していたのなら、此処の鎮守府の問題が発生しない筈だ、それに『我が知っている上城殿』は……10年前に病死しているんだ……」
「え!?それはどう言う事だ!?」
「初耳ですわ!?失礼ですが上城様、今の御年齢は?」
三笠の言葉に一航戦の二人は初耳なのか、驚愕し、赤城は驚きを隠せないまま、勇人に聞くと、勇人もまた三笠の説明に驚きを隠せないまま答えた
「に……23です」
「な!?23歳!?だとしても仮に生存してたとしても年齢が合わないな……むしろ若返っている……」
「「ッ!?」」
「ってか、何故三笠が『そんな事を知っている』ニャ?」
明石は三笠に何故『自身が知っている勇人が10年前に病死している事』について聞くと、三笠は『病死した出来事』を思い出したのか、俯きながら答えた
「……今、大本営で臨時の秘書艦を務めている蒼龍の『上官』から聞いたの……」
「「蒼龍の上官?」」
「ッ!?まさか!?」
三笠の言葉に一航戦の二人は首を傾げ、明石は今の蒼龍の上官と面識があるのか、憶測し、声を荒げると、三笠は明石の憶測が当たっているかの様に頷き、答えた
「うむ……これは上城殿にも関係あるかも知れない事だが……『我が知っている上城殿』は……今、蒼龍の上官である女性『海軍元帥』の『上城 友伽里』の『亡き御子息』なのだ」
「ッ!?そんな……」
そう、三笠が知っている亡き勇人は今、蒼龍の上官『上城 友伽里』の『息子』だったのだ
勇人は三笠の言葉を聞き、自身の記憶と三笠が知っている勇人の相違点に混乱しながら三笠に聞いた
だが、それは三笠達を更に混乱を招く内容だった……
「ちょっと待って下さい!僕の『実の母』は……僕が幼い時に事故で亡くなっているのですよ!」
「「「ッ!?」」」
……そう、勇人自身の記憶では実の母である『友伽里』は彼が幼い時に既に亡くなっていた事に……
そして、勇人が元いた佐世保鎮守府では……
「あーあ……あの木偶の坊、死んじゃったね……『長門』」
「……何、替えは幾らでもいる……所で『陸奥』……何故、奴を跡形も無く木端微塵に吹き飛ばした?」
勇人が元いた佐世保鎮守府の執務室で寛ぎながら『長門』と言われていた黒髪の女性が茶髪のショートカットの女性『陸奥』に聞くと、陸奥は初耳なのか、首を傾げ、答えた
「え?私……殺して無いわよ……長門が殺ったんじゃ?」
「な!?私は殺ってないぞ……もし『あの時』殺したとしても遺体は残る筈だが……」
陸奥は長門の言葉に疑問が発生したのか、腕を組みながら長門に言った
「……奇妙な事ね……ま、あの男は居ても居なくても変わりが無いけどね」
「……そうだな」
長門は陸奥の他人事な発言に勇人の事を考えるのを止め、そのままソファーの上で昼寝を始めた
まさか近い未来、長門達が平行世界の勇人達によって壊滅寸前になるのは、また別の物語で……