平行世界の最弱の龍が重桜に『保護』されました。これより治療を始めます。 作:八意 颯人
勇人が外出の為に私服に着替えている頃、セイレーンが支配する海域『鏡面海域』にて……
「……漸く『あの機体』を見付けた様ね」
機械的な猫耳を付けた銀髪の少女は何かに呆れたかの様に溜息を溢しながら呟くと、彼女の隣に佇んでいる『紫と瓜二つの女性』が呆れながら少女に同意した。
「どうやら、その様ね『オブサーバー』……ったく、何で私が『外来の世界』に介入しないといけないのよ!これも全て『彼方の世界の私』と『博霊飛龍』が厄介事を持ち込んだ
『紫に瓜二つの女性』もとい『この世界の八雲紫(以後 AL紫)』は勇人を転移させた『張本人』である『紫と博霊』に恨み節を強く唱えるかの様に悪態を吐くと『機械的な猫耳を付けた銀髪の少女』こと『セイレーンの幹部』である『オブサーバー』はAL紫に同情するかの様に表情を険しくしながら聞いた。
「……それに関しては同感ね。本当に、あの2人は『各平行世界の均衡』を破壊するだけでは無く『
オブサーバーはAL紫に同意し、顔を顰めながら溜め息を零すと2人の背後から『霊夢に似た格好をした20代後半の妖艶な女性』こと『この世界の博麗霊夢(以後 AL霊夢)』が現れ、2人の会話を聞いていたのか、2人と同じく顔を顰めながら言った。
「そうね。しかも『レミリア』から聞いた話では『彼方の私』と『彼方の艦船達』こと『艦娘達』が、この世界に来ているのよ……十中八九『あの
「あら?珍しいわね霊夢。貴女が此処に来るなんて……」
AL紫はAL霊夢の登場に珍しそうに聞くと、AL霊夢は顔を顰めたまま彼女の質問に答えた。
「当たり前よ……何せ、この異変は幻想郷だけでは無く『全ての平行世界』を巻き込む『
「流石、博麗の巫女だわ……と言いたいが本音は?」
AL紫はAL霊夢の本心を見透かす様に横目にしながら聞くと、AL霊夢は先程までの顰めっ面から野望に満ちた真剣な表情に変わり、息を巻きながら答えた。
「『彼方の影の一族の統領』から多額の依頼料を貰う為よ!! 噂では彼方の頭領は『洒落にならない程の大金持ち』だからね!! 『1億』位、ポンと出して貰える筈だわ!!」
「……だろうと思ったわ……『100万』で済んだ彼方の霊夢が、まだ可愛げがあるわ」
「……そもそも本当に巫女なの?金に意地汚いわ……」
2人はAL霊夢の本心を聞き、物凄く呆れながら呟くとAL霊夢は2人の反応を見て、少し苛つきながら答えた。
「煩いわね!此方も『万年金欠』だから仕方無いのよ!んで、その『博霊飛龍の正体』は?」
「それに関しては私も興味あるわ……何せ『別世界の貴女』と『三笠』そして『
AL霊夢とオブサーバーは博霊の正体をAL紫に聞くと、AL紫は嫌な表情になりながら答えた。
「……それは教えれないわ。彼方の私から口止めされているのよ」
AL紫は博霊側の紫に口止めされているのか、口元を隠す様に扇子を開きながら言うとオブサーバーはつまらなそうに答えた。
「ツレナイわね……まぁ良いわ。もし『
オブサーバーは博霊の容姿と実力を高く評価し、AL紫に彼をセイレーンに勧誘させる様、御願いをし、その場を後にするとAL霊夢はオブサーバーの発言に呆れながらAL紫に聞いた。
「……んで、
AL霊夢は先程の続きである『博霊の正体』と『此方が抱えている問題の火種』である『2人が勇人を転移させた事』について聞くとAL紫は辺りを見渡し、神妙な表情になりながら答えた。
「……そうね、セイレーンも居ない事ですし……これは他言無用で御願いするわ霊夢」
「分かっているわよ」
「……これが『博霊飛龍』よ」
AL霊夢は真剣な表情でAL紫の条件を飲むと、AL紫は懐からスマホを取り出し、隠し撮りをしたであろう『影の世界のミカサ』と『
「ッ!?嘘でしょ……アイツの正体が……『セイレーン』だったの!?」
AL霊夢は狼狽えながらAL紫に聞くと、彼女はAL霊夢の表情を見て、神妙な表情で答えた。
「……半分正解よ。経緯は分からないが、何かしらの原因で艦船がセイレーン化した状態『
AL紫は神妙な表情で『余燼化』の仕組みを簡潔に織り交ぜながら答えるとAL霊夢は先程までの青ざめた表情が消え、神妙な表情になりながら答えた。
「……只の人間では無く、艦船と同じ体質を持った『
AL霊夢は神妙な表情で答えるとAL紫は「そうよ」と肯定し、続けて言った。
「……そして今回の異変の火種である『別世界の私とミカサが
AL紫はスマホを操作し、影の世界の紫とミカサが襲撃した理由である『とある男』こと『勇人』の画像を見せるとAL霊夢は勇人を見て、2人が襲撃した理由を察し、その事をAL紫に言った。
「……大体分かったわ。つまり、あの2人は『セイレーン』と手を組み、別世界同士の
AL霊夢は『勇人の境遇』そして『2人の目的』を察し、怒りを顕にするかの様な冷たい口調で酷評するとAL紫もまたAL霊夢と同意なのか、冷たい口調で、その続きを言った。
「……全くよ。これが『影の世界の私の性格』だなんて……そして2人の目的を知った博霊飛龍は『
AL紫は簡潔に勇人が佐世保鎮守府の指揮官になった経緯を説明するとAL霊夢は勇人が安心して第二の人生を歩める事に安堵しながら悪態を吐いた。
「成程ね……其処までアフターケアをするなんて……あの男は兎も角、アッチの紫はアンタと比べて物凄く有能なんだね」
「そうそう……って、ヒドッ!! これじゃ私が『無能』みたいじゃないの!! 今すぐ訂正して!!」
AL紫はAL霊夢の毒舌に心外し、強く反論すると、AL霊夢は「事実でしょ?今更何を?」と彼女を誂う様に答え、続けて言った。
「……んで話を戻すが、この事が切欠で『博霊飛龍の世界』と繋がってしまい、アッチの問題が此方に影響を及ぼし、今回の異変が発生した……と言う訳ね」
「……そう言う事よ。だから貴女には情報収集しに今から彼方の世界に行ってもらうわ」
「分かっ……はぁ!? 今から!?」
AL霊夢はAL紫の発言に動揺するとAL紫は先程の仕返しをするかの様な悪意丸出しの笑みを溢しながら答えた。
「『善は急げ』と言うからね。それじゃ頼んだわよ……隙間オープン♪」
AL紫はAL霊夢の反論を遮るかの様に彼女の足元に隙間を展開させ……
「逝ってらっしゃ~い♪お土産宜しくね♪」
「ちょ!?覚えてなさいよ紫ィィィィ……」
彼女を隙間に落とさせ、博霊の世界に行かせたのだ。
AL紫は無事、彼女が彼方に行かせた事に軽く微笑みながら呟いた。
「……さて、これで準備はオッケーね。後は影の世界から転生させた連中が良い方向に運んで来る事を願うだけね」
AL紫は北叟微笑みながら開いた扇子を優雅に閉じ、別の隙間を使い、その場を後にした。
だが、この世界の紫は何処か抜けている性格なのか……
「……あの男がセイレーンが狙っている
『