場所は戻り 三笠達の世界の佐世保鎮守府にて
「なっ!?上城元帥が……既に亡くなっているだと……上城さん!これはどういう事だ!?」
「お……おおおお落ち着きなさい加賀、赤城達が知っている上城元帥はまだまだ御生存よ!!三笠大先輩、これは一体……」
加賀と赤城は二人の説明に矛盾点が生じ、混乱しながら三笠と勇人に聞くと、二人もまた混乱しているのか困りながら言った
「我に聞かれても……」
「一体どうなっているんだ……」
「これは、どう聞いても『可笑しい』ニャ……艦娘……佐世保……ッ!?まさか!?……上城さん、貴方……」
明石は勇人の発言に『ある憶測』が生まれ、勇人に問い詰めると、勇人も自身が知っている出来事とは違う出来事が起きていた事に混乱し、明石が聞こうとしているであろう質問を早合点をし、明石の言葉を遮る様に言った
「ですから、僕は佐世保鎮守府所属の……」
勇人は明石に再度、自身の肩書きについて説明しようとしたが、明石は勇人の言葉を遮り、自身が結論着けた内容を勇人に言った
「上城さんの肩書きは分かっているから落ち着いて欲しいニャ!明石が言いたいのは……」
明石は自身の混乱を落ち着かせる為に、一呼吸し、勇人を含め『その場に居る全員』に自身が結論着けた内容を全員に言った
その『結論』とは……
「……上城さん、貴方……何かしらの事故で異世界……いや、平行世界の明石達の鎮守府から、この鎮守府へやってきた可能性があるニャ……」
そう、明石が結論着けたのは、勇人は『この世界とは違う平行世界の人間』だと言う結論だったのだ
それを聞いた一航戦と三笠そして勇人は明石の結論に驚愕しつつ、加賀は明石の結論に異義を唱えた
「なっ!?上城殿が……この世界の人間では無い……だと……」
「そんな……上城様が……」
「嘘……だろ……」
「……明石、こんな時にふざけた事を言うのは止めろ、そんなファンタジーやメルヘンチックな出来事が起こる筈が無いだろ!」
加賀は混乱しながら明石に異義を唱えると明石は加賀達に勇人が発した言葉を思い出させる様に結論に至った経緯を説明した
「……思い出して欲しいニャ、上城さんは明石達の事を艦女ではなく『艦娘』と言ってたニャ……それに上城さんは、この世界では『故人』で上城さんの記憶では『上城元帥が既に亡くなっている』ニャ……もし、上城さんが『この世界の人間』なら辻褄が合わない……いや嘘を吐いている可能性があるニャ……だが上城さんは『嘘を吐いている様子も無い』……それ所が『三笠を育ての母と勘違いをし、本当に怖がっている』から、そう『結論』を着けたニャ」
明石は勇人の発言と行動を纏め、加賀の異義を論破すると、三笠は明石の説明に辻褄が合ったのか、納得し、明石に言った
「……確かに、少々……いや『かなり突飛抜けた話』だが、これなら辻褄が合うな……」
「……なら、上城さんを元の世界に返した方が……」
「ッ!?」
加賀は明石に『勇人を元の世界に返す事』を提案すると、勇人は怯え始め、それを見た赤城が血相を変え、加賀に怒鳴った
「何をふざけた事を!上城様は、その『艦娘』に虐げられて来たのよ!!元の世界に返したら、上城様は……上城様は……」
「あ……赤城さん……」
赤城は勇人が元の世界に帰ったら、また『艦娘達に虐げられ』、『下手すれば艦娘達に殺されてしまう事』に強い危機感を感じ、加賀の案を一掃すると、加賀は強い口調で赤城に聞いた
「では、どうするんだ?まさか上城さんを『此処に居させろ』と言うのか!?」
加賀の反論に赤城は強い口調で自身の考えを加賀にぶつけた
その『考え』とは……
「その通りですわ!!上城様は幸運にも『平行世界』とは言え赤城達と同じ鎮守府に所属している……しかも『指揮官様》』ですわ!!此処は返すよりも、この鎮守府で『新たな人生』を歩めば良いと思いますわ!!」
「なっ!?」
そう、赤城の考えは勇人を元の世界に返さず、この世界に残り、この鎮守府の指揮官として第二の人生を歩ませる事だったのだ
それを聞いた加賀は驚き、明石は赤城の考えに同意したのか、三笠に頭を下げ、懇願した
「それなら大賛成ニャ!明石も上城さんを元の世界に返すのは大反対ニャ!三笠、上城さんの為に……お願いニャ……」
「お願いしますわ!三笠大先輩!!」
「ふむ……」
三笠は二人の願いに普段以上に頭を回転をし、思考を手繰り寄せ、考えが纏まらないのか、勇人に『ある質問』を投げた
「……上城殿『元いたの世界』に未練が無いのか?婚約者や大切な人には二度と逢えないぞ……」
そう、三笠の質問は赤城の案を採決した前提で『アッチの世界に残しているであろう未練』について聞くと、勇人は即答で返した
「ありません、僕は母親が死んでから家族全員に虐げられ、今まで天涯孤独だったので、僕が消えても悲しむ人は居ませんし、多分、元の世界では『死人扱い』になっているので問題無いと思います……それに『こんな役立たずな僕を懸命に治してくれた三笠さん達』に『恩返し』をしたいのです!!どうか、こんな役立たずな僕を……この鎮守府の指揮官にしてください!!お願いします!!」
勇人は自身の悲惨な過去を簡潔ではあるが、交えながら三笠に頭を下げると、三笠は勇人の悲惨な過去に一瞬、悲しい顔になったが、勇人が『三笠達に恩返しをしたい為に指揮官に着任する』という心意気を聞いて、微笑みながら言った
「うむ!では、宜しく頼むぞ!指揮官殿!皆も異義は無いな?」
三笠は微笑みながら三人に聞くと、三人は勇人を歓迎する様に微笑みながら答えた
「勿論ニャ!指揮官!欲しい物があれば、明石にお任せニャ!!」
「フッ……愚問だな、少々頼り無さそうだが……宜しく頼むぞ、指揮官」
「上城様……いえ、指揮官様は、この赤城が全身全霊を賭けて『艦娘やセイレーンの連中』を駆除しますから、指揮官様は、この赤城だけ見ていれば大丈夫ですわ!」
「ははは……程々に、お願いします……赤城さん」
赤城は勇人が指揮官として着任する事に嬉しくなり、高揚とした表情で、素の性格である『赤城節全開』で勇人に言うと、勇人は苦笑し、加賀は赤城に一喝し、明石と三笠は呆れながら呟いた
「早速、素に戻るな!馬鹿姉!!指揮官が引いているだろ!!」
「だって……こんな幸運……この赤城も嬉しくて……」
「気持ちは分かるけど良い雰囲気が台無しニャ……」
「……泣けるぞ」
赤城のお陰なのかは知らないが、先程までの重苦しい雰囲気が一掃され、医務室内の雰囲気が和やかに、そして優しい雰囲気に変わった
そして……
「……これで良かったのか?」
そんな四人を遠く眺めていた勇人と瓜二つの顔をした筋骨隆々の青年が勇人を漂流させた元凶の女性に微笑みながら言うと、女性もまた勇人の笑った顔を見て安堵し、微笑みながら答えた
「ええ、アッチの世界は彼を『戦死』にしたから問題無いわ……後は彼次第よ」
「フッ、まぁ平行世界とは言え俺自身だからな……上手くやって行けるさ……さて、俺達はクールに去るか」
「それもそうね……では隙間解放、帰るわよ」
女性は微笑みながら異空間に繋がる空間『隙間』を召喚させ、二人は三笠達に気付かれない様に隙間に入り、医務室を後にした
二人が帰る時の表情は、まるで勇人を応援するかの様に微笑み、この世界に平和を託すかの様な優しい表情になりながら……